JP2004262874A - ジエポキシシクロオクタン類の製造方法 - Google Patents

ジエポキシシクロオクタン類の製造方法 Download PDF

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明 岡崎
Kyuhei Kitao
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Abstract

【課題】比較的安価な原料から、比較的高収率で、エステル結合を有しない脂環ジエポキシ化合物を製造する方法を提供すること
【解決手段】例えば、下記一般式(II)で表わされるシクロオクタジエン類を有機過カルボン酸によりエポキシ化することを特徴とする一般式(I)で表わされるジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
【化1】
Figure 2004262874

(上式中、R〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロオクタジエン類を有機過カルボン酸と反応させることによるジエポキシシクロオクタン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内に2個のエポキシ基を有し、うち1個以上が脂環エポキシ基を有する化合物は、現在様々な種類のものが市販されている。例えばダイセル化学工業製の3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CEL−2021)、1,2,8,9−ジエポキシリモネン(CEL−3000)、ε−カプロラクトンオリゴマーの両端に、それぞれ3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールと3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸がエステル結合したもの(CEL−2081)等がある。
これらエポキシ化合物は種々の硬化剤および硬化触媒と反応させることで硬化物が得られる。このエポキシ樹脂硬化物は、脂環骨格を持つ化合物を用いた樹脂の特徴である耐熱性、透明性、良好な誘電特性を持たせることができる。これらエポキシ化合物の用途としては、コーティング、接着剤、インキ、シーラントの成分、または医薬品および医療用品等の他の化合物を製造するための中間体として有用である。
CEL−3000は、そのエポキシ基を構成する脂環骨格の炭素原子上にメチル基を有するため、その立体障害により反応性が低い。また、CEL−2021,CEL−2081は、分子内にエステル基を持つため加水分解性を有し、高温高湿下での使用や強酸が発生する条件等に用いた場合、硬化物の物性低下が起こることがあった。
【0003】
そこで、分子内に脂環骨格を持つが、エステル基を持たないエポキシ化合物が望まれている。既存の脂環式エポキシ化合物の種類はあまり多くない上、エポキシ化前の原料が比較的高価な化合物が多い。又、エポキシ化剤として工業的に幅広く用いられているものとして過酸化水素水と過酢酸が知られているが、これらの酸化剤には目的のエポキシ化合物を得る上で、適、不適がある。
例えば石油学会誌(J. Japan Petrol. Inst.), 21,(6),410−414(1978)では、テトラヒドロインデン(THI)のジエポキシドの合成のためのエポキシ化剤として、過酸化水素と触媒量の二酸化セレンやモリブデン酸を用いているが、生成物はインデンと五員環側のオレフィンのみエポキシ化されたモノエポキシドで、ジエポキシドは得られていない。一方、THIの2倍モルの過安息香酸を用いると五員環側のオレフィンのみエポキシ化されたモノエポキシドと、六員環側のオレフィンのみエポキシ化されたモノエポキシドと、両オレフィンがエポキシ化されたジエポキシドの三種類の共存が認められた(非特許文献1参照)。
【0004】
また、過酢酸等の有機過カルボン酸を用いた場合にのみ得られるエポキシ化合物も数多く存在する。ただし、酸との反応性が高いとされる脂環式エポキシの合成においては、有機過カルボン酸を用いる場合、共存する有機酸が容易に生成エポキシと反応し、エポキシが開環してしまい、高純度でジエポキシ化合物を得ることができない。
このため、これらのエポキシ化合物の合成において、酸を調整する手段として予め合成系内にアルカリ塩や中性塩を入れることが有効となるが、エポキシ化合物の安定性保持とともに有機過酸の酸化能力を低下させることによりエポキシ化合物の収率も低下することが分かっている。
又、特開昭62−114980号公報や特開平2−233688号公報等ではエポキシ化剤として過酸化水素を用いているが、これのみでは反応性が弱いので、過酸化水素を用いる系においては各種金属錯体等の触媒が必需となる。(特許文献1および2参照)
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−114980号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平2−233688号公報(請求項1)
【非特許文献1】
石油学会誌(J. Japan Petrol. Inst.), 21,(6),410−414(1978)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
比較的安価な原料から、比較的高収率で、エステル結合を有しない脂環ジエポキシ化合物を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、シクロオクタジエンを有機過カルボン酸を用いてエポキシ化することにより、ジエポキシ化合物を経済的に、収率よく高純度で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の第1は、環を構成する各炭素原子に置換基を有していてもよいシクロオクタジエン類(置換基はハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)を有機過カルボン酸によりエポキシ化することを特徴とするジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第2は、下記一般式(II)で表わされるシクロオクタジエン類を有機過カルボン酸によりエポキシ化することを特徴とする一般式(I)で表わされるジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
【0009】
【化2】
Figure 2004262874
【0010】
(上式中、R〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくは、ハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の第3は、有機過カルボン酸が、対応するアルデヒドの酸素による酸化により得られた実質的に水分を含まないものである本発明の第1又は第2のジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第4は、有機過カルボン酸中の水分が0.8重量%以下である本発明の第1〜3の何れかのジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第5は、有機過カルボン酸が過酢酸である本発明の第1〜4のいずれかのジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第6は、過酢酸が酢酸エチル溶液である本発明の第4のジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第7は、エポキシ化反応温度が50℃以下である本発明の第1〜6のいずれかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
本発明の第8は、エポキシ化反応が非水系で行われる本発明の第1〜7のいずれかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
シクロオクタジエン類
本発明で、原料として使用するシクロオクタジエン類としては、環を構成する各炭素原子に置換基を有していてもよいシクロオクタジエン類であり、該置換基はハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基(炭化水素基は好ましくはアルキル基)、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
好ましいシクロオクタジエン類としては、前記式(II)で表される化合物であり、式(II)中、R〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくは、ハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
シクロオクタジエン類としては、具体的には、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、3,7−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。
中でも、1,5−シクロオクタジエンは、ブタジエンの三量化で合成されるシクロドデカトリエンの2量体の副生物として得られるので、比較的安価である。
【0012】
有機過カルボン酸
本発明で使用する有機過カルボン酸としては、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過イソ酪酸、トリフルオロ過酢酸等が挙げられる。有機過カルボンの中でも特に過酢酸は、本発明における脂環式エポキシ化合物の製造の際に必要な反応性を有すると同時に安定度が高いことから好ましいエポキシ化剤である。
中でも、実質的に水分を含まない、具体的には、水分含有量0.8重量%以下、好ましくは0.6重量%以下の有機過カルボン酸を使用することが高いエポキシ化率を有する化合物が得られるという点で好ましい。本発明でいう実質的に水分を含まない有機過カルボン酸は、アルデヒド類、例えば、アセトアルデヒドの空気酸化により製造されるものであり、例えば、過酢酸についてはドイツ公開特許公報1418465号や特開昭54−3006に記載された方法により製造される。この方法によれば、過酸化水素から有機過カルボン酸を合成し、溶媒により抽出して有機過カルボン酸を製造する場合に比べて、連続して大量に高濃度の有機過カルボン酸を合成できるために、安価に得ることができる。
【0013】
シクロオクタジエン類に対する有機過カルボン酸の使用量は、使用する個々の有機過カルボン酸やシクロオクタジエン類の反応性、目的とするエポキシ化の割合によって変わるがジエポキシシクロオクタン類を合成するためには、シクロオクタジエン類1モルに対する有機過カルボン酸の使用量は、2.1モル以上必要で、より望ましくは2.2〜2.5モルである。2.2倍モル未満であると多量のモノエポキシ体が残存すること、また、2.5モルを超えると、結果として有機酸濃度が高くなり、これにより生成エポキシ環が開環反応しやすくなり副反応が生じる。
【0014】
エポキシ化反応は、装置や原料の物性に応じて、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、原料粘度の低下、エポキシ化剤の希釈による安定化などの目的で使用することができ、溶媒比率を上げることでエポキシ化反応の際に発生する有機酸の濃度を下げることができるので、有機酸によるエポキシ環の開環反応が防止しやすくなる。
溶媒の種類としては過酢酸の場合であればエステル類、芳香族化合物、エーテル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等であり、とりわけ、酢酸エチルが好ましい。
【0015】
エポキシ化反応温度は、シクロオクタジエン類に対する有機過カルボン酸の反応性によって定まる。例えば、過酢酸を使用する場合の反応温度は、一般に20〜70℃、好ましくは20〜50℃である。20℃未満では反応が遅く、50℃、とりわけ70℃を超えると系内に存在する酢酸により副反応によるアセチル化の生成が多くなるために、好ましくない。
【0016】
エポキシ化反応は、シクロオクタジエン類の存在下に、有機過カルボン酸を滴下などのように逐次添加して行うことが好ましい。
本発明では、エポキシ化反応に特別な操作は必要なく、例えば有機過カルボン酸を滴下終了後、反応粗液を1〜5時間攪拌して熟成させればよい。
【0017】
得られた反応粗液からのジエポキシシクロオクタン類の単離は、適当な方法、例えば貧溶媒で沈殿させる方法、直接脱溶媒法などで行うことができる。
ジエポキシシクロオクタン類のようにエポキシ環が有機酸で開環反応しやすいものに関しては、熟成後に有機酸を除去せずに直接脱溶媒法を行なったり、熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法をとると、エポキシの開環が起こり高純度のジエポキシ化合物を得ることができない。
【0018】
反応熟成終了後、洗浄は最初に低温で炭酸ナトリウムのようなアルカリ塩を用いるかもしくは高濃度の苛性ソーダ水溶液などのアルカリにて中和洗浄を行うのが好ましい。例えば、苛性ソーダ水を用いると有機酸と中和反応を起こし、酢酸ソーダが生成し、酢酸ソーダが緩衝材的に作用する他、無機層側の比重を上げることで比重差が大きくなり、分液性がよくなる。この中和洗浄を行った後、生成した中和塩を水にて洗い出し、溶媒を蒸留除去することが好ましい。更に、例えば1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタンを例にとると、エポキシの酢酸による副反応で多量に1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノールを生じる場合は、これが目的の1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンより高沸点であることから脱高沸で除去することができる。
【0019】
本発明の製造方法では、過酸化水素のように各種金属触媒等の併用が必要としない。
【0020】
本発明の製造方法で製造される前記一般式(I)で表されるジエポキシシクロオクタン類は、単独重合、共重合、又はさらに他の化合物と反応させることによって様々なコーティング、インキ、接着剤、シーラント、成形品又は、これらを用いた他の用途のための中間体を生成することができる。
最終用途の例としては、酸除去剤;家具コーティング、装飾コーティング、飲料缶及びその他の缶コーティング;接着剤;自動車下塗り、シーラー、仕上げ塗り剤;文字情報又は画像情報のインキ;電子部品用のシーラント;印刷版又は印刷回路版を開発するのに適したフォトレジスト;注型印刷ロール;不飽和ポリエステル及びスチレンを主体として、ガラス、炭素、グラファイト又は他の繊維によって強化された成形配合物又はシート形成配合物によって作られた成形品;溶媒、難燃剤、医薬品および医療用品を含む他の化合物を製造するための中間体などがある。
また、本発明のジエポキシシクロオクタン類は、脂環骨格を持つので、耐熱性、透明性、良好な誘電特性を持たせることができるし、エステル結合を持たないので、自身の加水分解が生じない。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
反応器に、1,5−シクロオクタジエン108g、酢酸エチル108gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を30℃になるようにコントロールしながら、過酢酸を30重量%含む酢酸エチル溶液(水分0.41重量%)557gを、約3時間かけて滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、30℃で5時間熟成し反応を終了した。
さらに反応粗液に、20℃以下で攪拌状態で、86.9gの炭酸ソーダ粉末を加え半中和した後、更に10%苛性ソーダ水溶液219gを加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を分離除去した。この操作を3回繰り返した後に、上層の有機層に対して250gの脱イオン水加え、残存する中和塩を洗浄除去した。この操作を二回行った。
洗浄済みの粗液を60℃/20mmHg(60℃/2660Pa)で、溶媒、シクロオクタジエン、酢酸などの低沸点化合物の除去を行い、残留液124.1gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタン92.1%、1,2−エポキシシクロオクテン3.8%、1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノール3.9%、シクロオクタジエン0.2%であった(1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンの収率は81.6%)。
H−NMR(溶媒:CDCl、内部標準:TMS):図1に原料のシクロオクタジエン、図2に得られた残留液の各H−NMRスペクトルを示す(横軸はδ値、縦軸はシグナル強度を示す)。原料のシクロオクタジエンに見られたδ5.6ppm付近の内部二重結合に由来するピークと、δ2.4ppm付近に見られた環状炭素に付いたプロトンとがほぼ消失し、δ3.0ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークと、δ2ppm付近に移動した環状炭素に付いたプロトンが確認され、ほぼ1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンであることが確認された。
IR(食塩板使用):図3に得られた1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンのIRスペクトルを示す(横軸は波数、縦軸は吸収強度を示す)。1740cm−1にアセチル基の吸収が見られず、副反応であるエポキシ基と生成酢酸との反応によるアセチル化がほとんど起こっていないことが判る。
【0022】
[実施例2]
実施例1と同一な反応及び熟成条件で得た反応粗液に対し、20℃以下、攪拌状態で10%NaOH水溶液438gを加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を分離除去した。この操作を3回繰り返した後、上層の有機層に対して250gの脱イオン水を用いて、残存する中和塩の洗浄除去する操作を二回行った。次いで、実施例1と同様にして、60℃/20mmHgで低沸点化合物の除去を行い、残留液109.9gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタン90.4%、1,2−エポキシシクロオクテン4.0%、1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノール5.3%、シクロオクタジエン0.3%であった(1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンの収率は71.0%)。
H−NMR及びIRの測定で、主成分が1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンであることが確認された。
【0023】
[実施例3]
反応器に、1,5−シクロオクタジエン216g及び酢酸エチル108gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を50℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて過酢酸を30重量%含む酢酸エチル溶液(水分率0.41重量%)1,115gを滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、50℃で3時間熟成し反応を終了した。
さらに反応粗液に、20℃以下で攪拌状態で、876gの脱イオン水を加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を分離除去した。その後、上層の有機層に対して10%NaOH水溶液657gを加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を払い出した。10%NaOH水での洗浄を2回繰り返した後、更に上層の有機相層対して500gの脱イオン水を用いて、残存する中和塩の洗浄除去を行った。
洗浄済みの粗液を60℃/20mmHgで、低沸点化合物の除去を行い、残留液258.0gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタン64.0%、1,2−エポキシシクロオクテン0.4%、1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノール35.7%、シクロオクタジエン非検出であった(1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンの収率は59.0%)。
H−NMR:δ5.6ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ3.0ppmにエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認され、1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンであることが確認されたが、δ2ppm付近の環状炭素に付いたプロトンの強度に対しδ3.0ppmのエポキシ基に由来するプロトンの強度比が低いことが判った。
IR:さらにIRを測定したところ、図4に示すように、アセチル基の存在が明瞭に確認された。
多量に含まれる1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノールは、1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンに対して高い沸点を持つことから、190℃/14mmHgで、高沸点化合物の除去を行い、溜出液158.5gを得た。得られた溜出液をGCにて組成分析すると1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタン96.5%、1,2−エポキシシクロオクテン0.2%、1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノール3.3%、シクロオクタジエン非検出であった(1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンのトータル収率は54.6%)。
【0024】
[比較例1]
反応器に、1,5−シクロオクタジエン216g、酢酸エチル216gを仕込み、174gの炭酸ソーダを加え、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を50℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて過酢酸を30重量%含む酢酸エチル溶液(水分率0.41重量%)1,064gを滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、50℃で5時間熟成し反応を終了した。
さらに反応粗液に、20℃以下で攪拌状態で、10%NaOH水溶液438gを加え、攪拌を止めて2層分離し、下層の水層を分離除去した。この操作を3回繰り返した後に、上層の有機層に対して500gの脱イオン水を用いて、残存する中和塩の洗浄除去する操作を二回行った。
洗浄済みの粗液を60℃/10mmHg(60℃/1330Pa)で低沸点化合物の除去を行い、残留液215.0gを得た。
得られた残留液をGCにて組成分析すると1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタン49.5%、1,2−エポキシシクロオクテン34.9%、1,2−エポキシ−5−アセチルシクロオクタノール2.1%、シクロオクタジエン13.5%であった(1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンの収率は38.0%)。
H−NMR:5.6ppm付近の二重結合に由来する大きなピークが認められ、未反応の二重結合が多いことがわかる。3.0ppmのエポキシ基に由来するプロトンの強度比が5.6ppm及び2.0ppmの強度比の和に対して、0.33と低く(理論値の0.50)、エポキシの生成が少ないことが確認された。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、前記一般式(II)で表わされるシクロオクタジエン類から、安価に収率よく、一般式(I)で表わされる高純度のジエポキシシクロオクタン類を、収率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原料:1,5−シクロオクタジエンのH−NMRチャート
【図2】1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンのH−NMRチャート
【図3】実施例1で得られた1,2,5,6−ジエポキシ−シクロオクタンのIRスペクトル
【図4】比較例1におけるIRチャート

Claims (8)

  1. 環を構成する各炭素原子に置換基を有していてもよいシクロオクタジエン類(置換基はハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)を有機過カルボン酸によりエポキシ化することを特徴とするジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  2. 下記一般式(II)で表わされるシクロオクタジエン類を有機過カルボン酸によりエポキシ化することを特徴とする一般式(I)で表わされるジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
    Figure 2004262874
    (上式中、R〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、あるいは酸素原子もしくはハロゲン原子を含んでよい炭素数1〜5の炭化水素基、又は置換基を有してよい炭素数1〜5のアルコキシ基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 有機過カルボン酸が、対応するアルデヒドの酸素による酸化により得られた実質的に水分を含まないものである請求項1又は2に記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  4. 有機過カルボン酸中の水分が0.8重量%以下である請求項1〜3の何れかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  5. 有機過カルボン酸が過酢酸である請求項1〜4のいずれかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  6. 過酢酸が酢酸エチル溶液である請求項5に記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  7. エポキシ化反応温度が50℃以下である請求項1〜6のいずれかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
  8. エポキシ化反応が非水系で行われる請求項1〜7のいずれかに記載のジエポキシシクロオクタン類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103788059A (zh) * 2008-10-06 2014-05-14 日本化药株式会社 二烯化合物、环氧树脂、可固化树脂组合物及固化物

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