JP2006008807A - エポキシド及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規なエポキシド及びそれらの混合物並びにそれらの硬化物に関し、生分解性プラスチック、成形材料、塗料、プリント配線基板、レジストインキ等の種々の用途の原料として使用可能である。
エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基を有するエポキシド、特に1,2−エポキシドは、種々の樹脂の原料として有用である。例えば、3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートは、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシドと(メタ)アクリル酸との反応によって合成される(特許文献1参照)。また、種々の硬化性組成物の一成分としても有用である。例えば、接着性を有する樹脂組成物の一成分として用いられたり(特許文献2参照)、生分解性成形物を得るための組成物の一成分として用いられている(特許文献3参照)。また、1,3−エポキシドも種々の樹脂の原料として有用である。例えば、オキセタニル基含有(メタ)アクリレート化合物は、3−アルキル−3−ハロゲン化メチル−オキセタンとアクリル酸誘導体のアルカリ金属塩との反応によって合成される(特許文献4参照)。
さらに、エポキシドの他の利用例として、エポキシドであるグリシジルエステルと(メタ)アクリル酸との反応等によって得られるモノ(メタ)アクリレートジエステルが挙げられ、これは嫌気性接着組成物の一成分として用いられる(特許文献5参照)。
また、エポキシドの高分子化としては、エポキシドと二塩基酸無水物との高分子化、エポキシドのアニオン重合などがよく知られている。
また、エポキシドの高分子化としては、エポキシドと二塩基酸無水物との高分子化、エポキシドのアニオン重合などがよく知られている。
上述したように、エポキシドの用途は広いが、エポキシドを利用して、優れた生分解性高分子は得られていないのが現状である。即ち、従来市販のエポキシドを用いてプラスチックを得た場合、そのプラスチックは、生分解性であるための充分な構造を有していない。
一方、生分解性樹脂の一つとして、ポリ乳酸はよく知られている。しかしながら、ポリ乳酸は、一般に、乳酸水溶液の脱水重縮合により乳酸オリゴマーを合成し、これを解重合によって環状化してラクチドを作り、これを開環重合して製造されるため、反応に長時間を要し、生産性や製造コストの面で問題がある。
一方、生分解性樹脂の一つとして、ポリ乳酸はよく知られている。しかしながら、ポリ乳酸は、一般に、乳酸水溶液の脱水重縮合により乳酸オリゴマーを合成し、これを解重合によって環状化してラクチドを作り、これを開環重合して製造されるため、反応に長時間を要し、生産性や製造コストの面で問題がある。
従って、本発明の目的は、工業的に容易に且つ比較的低コストで製造でき、またアクリルモノマー、接着性組成物、生分解性ポリマー等の原料として有用な新規なエポキシドあるいはそれらの混合物並びにそれらの硬化物を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、下記一般式(1)で表わされるエポキシドが提供される。
(但し、(C3H4O2)は乳酸残基を表わし、Xは末端が環状エーテルとなる化合物の残基を表わし、nは1〜10の整数である。)
本発明のエポキシドは、末端に水酸基を有するため、微生物により酸化され易く、また、ラクチリル乳酸などの乳酸の縮合物のために、エステル結合を単量体に比べて多く有し、加水分解され易い構造を持っている。従って、このエポキシド又はエポキシド混合物から得られる硬化物は、生分解性に優れたものとなる。
本発明者は、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、前記一般式(1)又は(2)で表わされるエポキシド、特に前記一般式(3)で表わされる化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシド、好ましくは、上記エポキシドにおいてn=1〜10のうちの少なくとも2つの異なるn数のエポキシドからなるエポキシド混合物が、アクリルモノマー、接着性組成物、生分解性プラスチック等の原料として有用であり、且つ優れた生分解性を有する硬化物を与えることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のエポキシドは、一方の末端に環状エーテル基を有するため、カルボン酸、アミン化合物、水酸基等と反応し、また、他方の末端に水酸基、分子内にエステル結合を有しているため、加水分解性に富み、このエポキシド又はエポキシド混合物を用いて得られる硬化物、特にプラスチックは、優れた生分解性を示すものとなる。さらに、上記エポキシドは、末端水酸基のため、各種素材への接着性に優れ、また、他の樹脂と反応させることが可能である。
ところで、本発明者は、乳酸のエポキシドが生分解性を示す構造を与えることを見出したが、この構造のみを得ることは困難である。なぜならば、乳酸は、水溶液中では比較的安定であるが、例えば、90%水溶液では、数%〜数十パーセントの割合で、ラクチリル乳酸などの乳酸の縮合物が、また50%水溶液では、数%の割合で、乳酸の縮合物が含まれるからである(本明細書においては、このようなラクチリル乳酸などの乳酸の縮合物を含む乳酸水溶液を、ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液と総称することもある)。さらに、乳酸のエポキシドを得るには、合成中に加熱されるため、乳酸はさらに縮合し、乳酸単量体のみをエポキシド化することは工業的に難しい。しかしながら、このように縮合したオリゴマーのエポキシドから得られる硬化物も、前記した理由により優れた生分解性を示す。従って、本発明のエポキシドの合成過程においては、厳密な意味では、前記一般式(1)におけるn数が異なるエポキシドからなるエポキシド混合物が得られるが、これらを分離・精製する必要はなく、混合物のまま用いることができ、工業的には安価な方法である。
以下に、本発明のエポキシド又はエポキシド混合物、及びその硬化物について詳細に説明する。
本発明のエポキシドは、種々の方法によって得ることができる。例えば、(A)アルカリ金属水酸化物又はその水溶液を用いて、乳酸及びその縮合物の50〜90%水溶液とエピハロヒドリンとを反応させる方法、(B)アルカリ金属水酸化物又はその水溶液を用いて、乳酸及びその縮合物の50〜90%水溶液とエピハロヒドリンとを第4級塩基性塩化合物及び/又はクラウンエーテル化合物を触媒として反応させる方法、(C)乳酸及びその縮合物のアルカリ金属塩の50〜90%水溶液とオキセタンとの脱塩反応などの方法が挙げられる。
本発明のエポキシドは、種々の方法によって得ることができる。例えば、(A)アルカリ金属水酸化物又はその水溶液を用いて、乳酸及びその縮合物の50〜90%水溶液とエピハロヒドリンとを反応させる方法、(B)アルカリ金属水酸化物又はその水溶液を用いて、乳酸及びその縮合物の50〜90%水溶液とエピハロヒドリンとを第4級塩基性塩化合物及び/又はクラウンエーテル化合物を触媒として反応させる方法、(C)乳酸及びその縮合物のアルカリ金属塩の50〜90%水溶液とオキセタンとの脱塩反応などの方法が挙げられる。
ここで、乳酸は、下記式(A)及び(B)で示される構造のD−体、L−体などの光学活性体又はこれらの混合物であるD,L−体のいずれでもよい。また、乳酸の縮合物の構造としては、例えば、下記式(C)〜(E)で示される化合物などが挙げられる。前記一般式(1)及び(2)に表わされている乳酸残基(C3H4O2)は、(C)〜(E)の残基を含めて包括的に表わしたものである。
また、前記一般式(1)においてnは1〜10の整数、一般式(2)においてnは2〜10の整数を表わすが、好ましくは、nは2〜7の整数である。混合物においても、nは1〜10の整数を表わし、好ましくは、nは1〜7の整数である。nが10を超えると、ジエポキシになる恐れがあるので、nが10を超えることは好ましくない。
さらに、工業的にはn=1〜10のうちの少なくとも2つの異なるn数からなるエポキシドの混合物が製造されるが、それらの混合物からn数が1、2、又は3などのエポキシドを個々に分離・精製することは難しい。それ故、一般的には、エポキシド混合物として製品化される。
さらに、工業的にはn=1〜10のうちの少なくとも2つの異なるn数からなるエポキシドの混合物が製造されるが、それらの混合物からn数が1、2、又は3などのエポキシドを個々に分離・精製することは難しい。それ故、一般的には、エポキシド混合物として製品化される。
前記製造方法(A)では、反応容器に50〜90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液とエピハロヒドリンとを仕込み、攪拌しながら、反応温度を室温〜80℃に保持しながら、アルカリ金属水酸化物を添加し、常圧あるいは減圧下で、40〜80℃で反応系内の水を系外に留去しながら反応させる。 しかし、副反応を抑制する点から、20〜100mmHg程度の減圧下で反応を進めることが好ましい。反応は、例えば下記反応式(4)で示すように進行する。
上記反応は、溶媒中又は無溶媒で行うことができるが、エピハロヒドリンが反応溶剤としての機能を有するので、従来一般的に使用されている反応溶剤は使用する必要がない。しかし、必要に応じてシクロヘキサン、n−ヘキサンなどの低級脂肪族炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの反応に対して不活性の有機溶剤をエピハロヒドリンと混合して使用することができる。但し、これらの溶剤(エピハロヒドリンを除く)を多量に使用することは、反応釜の容積効率を低下させることになり、また高分子量化物が生成し易くなる要因ともなるので好ましくない。
上記エピハロヒドリンとしては、たとえば、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリン等が例示されるが、工業的にはエピクロルヒドリンが使用される。エピハロヒドリンの使用量は、乳酸及びその縮合物のカルボキシル基1当量に対して、2〜15当量、好ましくは5〜10当量の範囲が好ましい。エピハロヒドリンの使用量が2当量未満の場合、反応が遅くなり、一方、15当量を超える範囲では容積効率が悪くなるので好ましくない。
上記アルカリ金属水酸化物は、エピハロヒドリンのグリシジル基とカルボキシル基との付加反応と、付加反応後の閉環反応の触媒としての機能を有する。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示される。これらのアルカリ金属水酸化物は固体又は水溶液として使用することができる。固体状で使用する場合、粉砕物が、反応率が高くなるので好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、グリシジルエーテル化する水酸基1当量に対し、1.0〜2.0当量であることが好ましい。
反応終了後、濾過し、又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等で残アルカリ金属水酸化物を中和した後、濾過し、副生塩を分離除去し、次いで、減圧下に過剰のエピハロヒドリンを留去し、目的とするエポキシドを得る。
前記製造方法(B)では、反応容器に50〜90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液とエピハロヒドリンとを仕込み、攪拌しながら、溶媒中又は無溶媒で、反応温度を室温〜80℃に保持しながら、触媒として第4級アンモニウムハイドロオキサイド、第4級ホスホニウムハイドロオキサイド、第4級アンモニウムハライドなどの第4級塩基性塩化合物及び/又はクラウンエーテル化合物を添加し、同温度で0.1〜3時間攪拌混合した後、アルカリ金属水酸化物を添加し、常圧あるいは減圧下で、40〜80℃で反応系内の水を系外に留去しながら反応させる。 しかし、副反応を抑制する点から、20〜100mmHg程度の減圧下で反応を進めることが好ましい。
反応温度が上記範囲外、すなわち80℃を超える場合は、原料エポキシ化合物の高分子量化が起こり、良好な目的物が得られなくなる。一方、室温よりも低い場合には、反応が進行し難くなるので好ましくない。また、反応時間(攪拌混合時間)が0.1時間未満では、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、第4級ホスホニウムハイドロオキサイド、第4級アンモニウムハライドなどの第4級塩基性塩化合物及び/又はクラウンエーテル化合物とカルボキシル基との間での錯塩形成が不充分になるために、グリシジルエーテル化率が低くなるので好ましくない。一方、3時間を超えても錯塩形成が平衡状態となり、長時間の反応(攪拌混合)は生産性の面から好ましくない。
上記第4級塩基性塩化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のテトラアルキルアンモニウムハライド類;トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド等のトリアルキルベンジルアンモニウムハライド類;テトラメチルアンモニウムバイカーボネート、テトラエチルアンモニウムバイカーボネート等のテトラアルキルアンモニウムバイカーボネート類;テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート等のテトラアルキルアンモニウムベンゾエート類;ビス(テトラメチルアンモニウム)フタレート等のビス(テトラアルキルアンモニウム)フタレート類などの第4級アンモニウム塩や、テトラエチルホスホニウムクロライド、ジメチルジシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムヨーダイド等の第4級ホスホニウムハライド塩、さらに、例えばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド類や、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラエチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド等のテトラアルキルホスホニウムハイドロオキサイド類を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。また、これらは固体又は液体の状態で使用される。
上記第4級塩基性塩化合物のうちでも、第4級アンモニウムハライド、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、又は第4級ホスホニウムハイドロオキサイドが好ましい。第4級アンモニウムハライドとしては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドが反応収率の面から好ましく、第4級アンモニウムハイドロオキサイドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイドが好ましく、また第4級ホスホニウムハイドロオキサイドとしては、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラエチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイドが好ましい。さらには、これらの第4級塩基性塩化合物のうち、第4級アンモニウムハイドロオキサイド類又は第4級ホスホニウムハイドロオキサイド類が、反応後に容易に分解除去でき、高品質の製品が得られるので特に好ましい。
第4級塩基性塩化合物は、前記一般式(3)で表わされる化合物又はそれらの混合物のカルボキシル基1当量に対して、0.001〜2当量、好ましくは0.05〜0.2当量の範囲で使用される。0.001当量未満の場合はその効果が発現し難く、一方、2当量を超える量を添加してもそれ以上の格別な効果の向上は見られない。
上記反応は、溶媒中又は無溶媒で行うことができるが、エピハロヒドリンが反応溶剤としての機能を有するので、従来一般的に使用されている反応溶剤は使用する必要がない。しかし、必要に応じてシクロヘキサン、n−ヘキサンなどの低級脂肪族炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの反応に対して不活性の有機溶剤をエピハロヒドリンと混合して使用することができる。但し、これらの溶剤(エピハロヒドリンを除く)を多量に使用することは、反応釜の容積効率を低下させることになり、また高分子量化物が生成し易くなる要因ともなるので好ましくない。
上記エピハロヒドリン及びアルカリ金属水酸化物については、前記製造方法(A)について説明した通りである。従って、前記製造方法(A)と同様に、エピハロヒドリンの使用量は、乳酸及びその縮合物のカルボキシル基1当量に対して、2〜15当量、好ましくは5〜10当量の範囲が好ましく、アルカリ金属水酸化物の使用量は、グリシジルエーテル化する水酸基1当量に対し、1.0〜2.0当量であることが好ましい。
反応終了後、濾過し、又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等で残アルカリ金属水酸化物などを中和した後、濾過し、副生塩を分離除去し、次いで、減圧下に過剰のエピハロヒドリンを留去し、目的とするエポキシド化合物を得る。
一方、前記製造方法(C)では、反応容器に乳酸及びその縮合物のアルカリ金属塩の50〜90%水溶液とオキセタン、例えば、3−アルキル−3−ハロゲン化メチル−オキセタンとを仕込み、攪拌しながら、溶媒中又は無溶媒下、触媒として第3級アミンや前記第4級塩基性塩化合物及び/又はクラウンエーテル化合物を添加し、常圧あるいは減圧下で、反応系内の水を系外に留去しながら、70〜130℃で30分〜30時間反応させる。反応は、例えば下記反応式(5)で示すように進行する。
上記オキセタンの使用量は、乳酸及びその縮合物のアルカリ金属塩1モルに対して、1〜10モルの範囲が好ましい。また、トリエチルアミンなどの第3級アミンや前記第4級塩基性塩化合物などの触媒は、乳酸及びその縮合物のアルカリ金属塩1モルに対して、0.001〜0.1モルの範囲が好ましい。
反応終了後、濾過し、副生塩を分離除去し、次いで、減圧下に過剰の3−アルキル−3−ハロゲン化メチル−オキセタンを留去し(溶剤を含む場合には、溶剤も留去し)、目的とするエポキシドを得る。
本発明のエポキシドは、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体を用いて、溶媒中又は無溶媒下で二塩基酸無水物と反応させて高分子化させることができるし、また水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を触媒として、アニオン重合させることができる。
従って、本発明のエポキシドの硬化物は、末端水酸基及びエステル結合を多数持った生分解性プラスチックになる。また、上記エポキシドは、アクリル酸などの不飽和二重結合を持ったカルボン酸と反応させることができ、アクリレートの原料としても有用である。特に、エポキシドアクリレートは、共重合させることができ、新規の生分解性プラスチックの原料としても有用である。
従って、本発明のエポキシドの硬化物は、末端水酸基及びエステル結合を多数持った生分解性プラスチックになる。また、上記エポキシドは、アクリル酸などの不飽和二重結合を持ったカルボン酸と反応させることができ、アクリレートの原料としても有用である。特に、エポキシドアクリレートは、共重合させることができ、新規の生分解性プラスチックの原料としても有用である。
以下、実施例を示して本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り全て「質量部」を意味するものとする。
実施例1
2リットルの四つ口フラスコに、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液184.1部、エピクロロヒドリン920.52部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド42.1部を仕込み、40〜50℃で1時間攪拌した。次いで、40〜50℃で攪拌しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液167部を2〜3時間かけて滴下した。その後、フラスコ内の圧力を80mmHgまで減圧し、40〜50℃で6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、未反応のエピクロロヒドリンをエバポレーターを用いて除去し、無色の液体263部を得た。
この反応生成物は、エポキシ当量(JIS K 7236に準拠して求めた)は約170g/eq、水酸基価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約330mgKOH/g、酸価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は1mgKOH/g以下であり、前記一般式(2)において、nは平均して1.33であった。得られたエポキシド混合物の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)及び核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))をそれぞれ図1及び図2に示す。尚、参考のために、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液の核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO−d6、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及びゲル浸透クロマトグラフィーによるクロマトグラムをそれぞれ図3及び図4に示す。また、ゲル浸透クロマトグラフィーによるクロマトグラムのピークが現れてから消えるまでの装置の読み取りデータを下記表1に示す。
2リットルの四つ口フラスコに、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液184.1部、エピクロロヒドリン920.52部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド42.1部を仕込み、40〜50℃で1時間攪拌した。次いで、40〜50℃で攪拌しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液167部を2〜3時間かけて滴下した。その後、フラスコ内の圧力を80mmHgまで減圧し、40〜50℃で6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、未反応のエピクロロヒドリンをエバポレーターを用いて除去し、無色の液体263部を得た。
この反応生成物は、エポキシ当量(JIS K 7236に準拠して求めた)は約170g/eq、水酸基価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約330mgKOH/g、酸価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は1mgKOH/g以下であり、前記一般式(2)において、nは平均して1.33であった。得られたエポキシド混合物の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)及び核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))をそれぞれ図1及び図2に示す。尚、参考のために、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液の核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO−d6、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及びゲル浸透クロマトグラフィーによるクロマトグラムをそれぞれ図3及び図4に示す。また、ゲル浸透クロマトグラフィーによるクロマトグラムのピークが現れてから消えるまでの装置の読み取りデータを下記表1に示す。
実施例2
2リットルの四つ口フラスコに、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液183.3部及びエピクロロヒドリン922.4部を仕込み、40〜50℃で1時間攪拌した。次いで、40〜50℃で攪拌しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液167部を2〜3時間かけて滴下した。その後、フラスコ内の圧力を80mmHgまで減圧し、40〜50℃で6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、未反応のエピクロロヒドリンをエバポレーターを用いて除去し、無色の液体227部を得た。
この反応生成物は、エポキシ当量(JIS K 7236に準拠して求めた)は約200g/eq、水酸基価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約280mgKOH/g、酸価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約1mgKOH/g以下であり、前記一般式(2)において、nは平均して1.75であった。得られたエポキシド混合物の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)及び核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO−d6、基準物質TMS(テトラメチルシラン))をそれぞれ図5及び図6に示す。
上記エポキシド混合物を180℃で60分間加熱し、室温まで冷却したところ、固形物となった。
2リットルの四つ口フラスコに、90%ラクチリル乳酸含有乳酸水溶液183.3部及びエピクロロヒドリン922.4部を仕込み、40〜50℃で1時間攪拌した。次いで、40〜50℃で攪拌しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液167部を2〜3時間かけて滴下した。その後、フラスコ内の圧力を80mmHgまで減圧し、40〜50℃で6時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を濾過し、未反応のエピクロロヒドリンをエバポレーターを用いて除去し、無色の液体227部を得た。
この反応生成物は、エポキシ当量(JIS K 7236に準拠して求めた)は約200g/eq、水酸基価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約280mgKOH/g、酸価(基準油脂分析試験法(日本油脂化学協会出版)に準拠して求めた)は約1mgKOH/g以下であり、前記一般式(2)において、nは平均して1.75であった。得られたエポキシド混合物の赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)及び核磁気共鳴スペクトル(溶媒DMSO−d6、基準物質TMS(テトラメチルシラン))をそれぞれ図5及び図6に示す。
上記エポキシド混合物を180℃で60分間加熱し、室温まで冷却したところ、固形物となった。
以上説明したように、本発明のエポキシド(及びその混合物)は、末端に水酸基を有し、また、分子中にエステル結合を有しているため、加水分解され易く、生分解性プラスチック等の原料として有用であり、且つ、反応性に優れているため、アクリルモノマー、接着性組成物などの原料としても有用である。
Claims (5)
- 前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシド又は請求項4に記載のエポキシド混合物を原料として得られる硬化物。
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JP2004186613A Withdrawn JP2006008807A (ja) | 2004-06-24 | 2004-06-24 | エポキシド及びその硬化物 |
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-
2004
- 2004-06-24 JP JP2004186613A patent/JP2006008807A/ja not_active Withdrawn
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