JP3974333B2 - 車両用エアクリーナ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアクリーナ内にオイル等の通路を設けるために、構造が単純で且つ部品数が少なく、組立が容易で、しかもエアフィルタエレメントの交換時期を延ばすのに好適な車両用エアクリーナ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのクランクケースからエアクリーナへブローバイガスを還流させるブリーザ装置を備えた車両のエアクリーナ構造としては、例えば特開平7−119431号公報「多気筒エンジンのブローバイガス還流装置」に記載されたものが知られている。
【0003】
上記公報の技術は、同公報の図1及び図3に示される通り、エアクリーナ28(符号は同公報で使用されているものを記載した。)のクリーナケース63における前部ケース67の前面壁74に複数のボルト81でカバー板79を取付けることでチャンバー83を形成し、このチャンバー83にクランクケースに連結した吸入チューブ84を連結することでクランクケースとチャンバー83とを連通させ、クランクケースからチャンバー83内に流入したオイルミストをカバー板79に開けた連通孔82を通してエレメント64側へ排出し、チャンバー83の下部に排水孔88を設けたことでチャンバー83内の水分やオイルを排水孔88へ排出するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報の技術では、チャンバー83を形成することで、チャンバー83内で分離したオイルを、チャンバー83の下面をオイル通路とすることで排出する構造であるため、オイル通路となるチャンバー83を形成するためにカバー板79やボルト81、ボルト81をねじ込むめねじ、めねじを形成するボス部が必要になって、部品数が多くなり、構造も複雑になる。従って、多くの組立工数を要する。
【0005】
また、チャンバー83からエアクリーナ28のクリーンサイド内に通じる連通孔82は前部ケース67の下面近くに開けられているため、この連通孔82からクリーンサイド内に流れ込んだブローバイガスに含まれるオイルミストは、クリーンサイド内の上方を流れる空気の下をエレメント64側へ流れてエレメント64に付着し、エレメント64の交換時期を早めることが予想される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、車両用エアクリーナ構造において、エアクリーナ内にオイル等の通路を設けるために、構造を単純に且つ部品数を少なくして組立を容易にし、しかもエアフィルタエレメントの交換時期を延ばすことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、エンジンのクランクケースとエアクリーナとを配管で連通させるエンジンのブリーザ装置を備えた車両において、エアクリーナのクリーンサイド内に面したエアクリーナケースの底面から上方に所定間隔離してエアフィルタエレメントを配置し、このエアフィルタエレメントの下面とエアクリーナケースの底面とエアクリーナケースの2つの側壁とで囲んで、エアクリーナケース内のオイルや水分を流す通路を形成し、この通路の端部にオイルや水分を排出する排出口を設け、エンジン側から延びるコネクティングチューブがエアクリーナケースに連結され、このコネクティングチューブがエアフィルタエレメントと前後方向に配置され、エアクリーナケースに、配管とエアクリーナケース内とを連通させる連通孔を開け、この連通孔を、コネクティングチューブのエアクリーナケースへの連結部よりも上方に配置したことを特徴とする。
【0008】
エアフィルタエレメントの下面とエアクリーナケースの底面とエアクリーナケースの2つの側壁とでクリーンサイド内に通路を形成し、この通路から排出口へオイル等を流すようにすることで、エアクリーナケースに特別に通路を形成せずに簡単な構造でオイル等を排出することができる。
【0009】
また、従来のようにチャンバーを設ける構造ではないので、ボルトや隔壁が必要なく、部品数を少なくすることができ、製造コストを減らすことができる。
また、チャンバーを形成するためにボルト締めする必要なく、組立工数を減らすことができて組立が容易になり、組立コストを低減することができる。
【0010】
更に、エアクリーナケースの底面を流れるオイルが付着しないように底面をエアフィルタエレメントから下方に十分な距離を離せば、オイル等でエアフィルタエレメントを汚さず、エアフィルタエレメントの交換時期を先に延ばすことができる。
【0011】
請求項2は、連通孔を、エアフィルタエレメントとコネクティングチューブとの間に設けたことを特徴とする。
エアクリーナ内をエアフィルタエレメント側からコネクティングチューブ側へ流れる空気の流れによって連通孔からエアクリーナ内に流れ込んだオイルミストがエアフィルタエレメント側に流れるのを防止することができ、オイルミストによってエアフィルタエレメントを汚すのを防ぐことができる。
【0012】
請求項3は、通路を、左右割りのエアクリーナケースの合わせ面間に挟まれるエアフィルタエレメントの下面とエアクリーナケースとの間に形成したことを特徴とする。
エアフィルタエレメントの固定と、通路の形成とを同時に行うことができ、部品数及び組立工数を減らすことができ、エアクリーナの製造コストを低減することができるとともに生産性を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るエアクリーナ構造を備えた車両の側面図であり、車両としての自動二輪車10は、後輪11を駆動するパワーユニット12と、このパワーユニット12の前部を構成するエンジン13と、このエンジン13に吸気管15を介して取付けたキャブレタ16と、このキャブレタ16にコネクティングチューブ17を介して取付けたエアクリーナ18とを備える。
【0014】
ここで、21,22,23はエンジン13を構成するシリンダブロック、シリンダヘッド、ヘッドカバー、24は排気管、25はマフラ、26はパワーユニット12を構成する遠心クラッチ付きベルトコンバータ無段変速機、31はハンドル、32はヘッドランプ、33はフロントカバー、34はレッグシールド、35はフロントフェンダ、37はフロントフォーク、38は前輪、41はフロアステップ、42は車体フレーム、43は燃料タンク、44はシート、45はラゲッジボックス、46,46(奥側の符号46は不図示)は左右一対のボディカバー、47はリヤカバー、48はテールランプ、51はリヤフェンダ、52はリヤクッションユニット、53はスタンド、54はキックペダルである。
【0015】
図2は本発明に係るエアクリーナを含むエンジンのブリーザ装置、吸気系及び排気系の系統図であり、4サイクルエンジンであるエンジン13のシリンダブロック21内にピストン61を移動可能に挿入し、このピストン61を、ピストンピン62及びコンロッド63を介してクランクケース64内に回転可能に配置したクランクシャフト65に連結し、ピストン61の上面とシリンダヘッド22とで燃焼室66を形成し、この燃焼室66からシリンダヘッド22内に吸気ポート67を延ばし、この吸気ポート67に吸気管15を連結し、この吸気管15をキャブレタ16に接続し、このキャブレタ16にコネクティングチューブ17を介してエアクリーナ18を接続し、このエアクリーナ18の後部からエアクリーナ18内のオイル、水分を排出するドレンチューブ68を延ばし、一方、燃焼室66からシリンダヘッド22内に排気ポート71を延ばし、この排気ポート71に排気管24を連結し、この排気管24の端部にマフラ25を連結し、クランクケース64内に連通させたシリンダヘッド22内のオイルミストをエアクリーナ18内に排出するためにヘッドカバー23とエアクリーナ18とを配管としてのブリーザチューブ72で連結したことを示す。
【0016】
エンジン13を始動させると、クランクケース64内に溜めたオイルは回転するクランクシャフト65やスイングするコンロッド63により掻き上げられ、オイルミストや飛沫となってクランクケース64内の各部を潤滑する。また、オイルミストはシリンダブロック21内の連通孔(不図示)を通じてシリンダヘッド22内にも流れ、シリンダヘッド22内の各部を潤滑する。
【0017】
そして、シリンダヘッド22内のオイルミストは、矢印のようにクランクケース64内の正圧及びエアクリーナ18内の負圧によってブリーザチューブ72を通じてエアクリーナ18内に流れる。
更に、オイルミストは、エアクリーナ18内から矢印のようにコネクティングチューブ17、キャブレタ16、吸気管15及び吸気ポート67を通って燃焼室66内に流れ、燃焼して排気ポート71、排気管24及びマフラ25を通って外部に排出する。
【0018】
上記したブリーザチューブ72及びエアクリーナ18はクランクケース64内のオイルミストを含むブローバイガスを還流させるブリーザ装置74を構成するものである。
【0019】
図3は本発明に係るエアクリーナの側面図であり、エアクリーナ18は、エアクリーナケース76内にエアフィルタエレメント77を配置し、前部(なお、図中の白抜き矢印で示すfront(車両前方のことである。以下同様。)側がエアクリーナ18の前部である。)にコネクティングチューブ15を取付け、後部下部に吸気口78を設け、後部からドレンチューブ68を延ばしたものである。
【0020】
図4は本発明に係るエアクリーナの平面図であり、エアクリーナ18は、エアクリーナケース76をケース本体81及びこのケース本体81の開口部を塞ぐケースカバー82から構成し、ケース本体81にケースカバー82をビス83…(…は複数個を示す。以下同様。)で取付け、ケース本体81にコネクティングチューブ17及びブリーザチューブ72を連結した状態を示す。なお、85は吸気口78(図3参照)からエアクリーナ18内に連通させる吸気ダクト、86はブリーザチューブ72をケース本体81に連結するためにケース本体81に設けたブリーザチューブ取付管、87は吸気音を低減するためにコネクティングチューブ17に設けたレゾネータである。
【0021】
図5は図3の5−5線断面図であり、エアクリーナ18におけるケース本体81の所定位置にエアフィルタエレメント77を配置し、このエアフィルタエレメント77を挟み込むようにしてケース本体81にケースカバー82を取付けたことを示す。
【0022】
ケース本体81にケースカバー82を取付けた場合に、エアフィルタエレメント77の下面77a、ケース本体81の下部に設けた底面81a及び側壁81b、ケースカバー82の下部に設けた側壁82aは、エアクリーナ18内のオイルや水分を流す、特にオイルを流す通路としてのオイル通路90を構成するものである。
【0023】
オイル通路90の幅を側壁81b、82a間の距離であるW、オイル通路90の高さを最大で底面81aと突出部82bとの距離であるHU、オイル通路90の高さを最小で底面81aと下面77aとの距離であるHL(請求項1に記載した所定間隔である。)とする。
ここで、92はエアクリーナ18のダーティサイド、93はエアクリーナ18のクリーンサイドである。
【0024】
以上のように、エアフィルタエレメント77は、エアクリーナ18内に、ケース本体81とケースカバー82とで挟み込むだけで固定することができる。
このように、本発明では、エアフィルタエレメント77の固定と、オイル通路90の形成とを同時に行うことができ、部品数及び組立工数を減らすことができ、エアクリーナ18の製造コストを低減することができるとともに生産性を高めることができる。
【0025】
エアフィルタエレメント77は、ダーティサイド92内の空気に含まれる塵や埃等を除去する濾紙77bと、この濾紙77bを柔軟に支持するために濾紙77bの周囲に設けた軟質材77cと、この軟質材77cを保持するエレメントホルダ77dとからなる。
【0026】
エレメントホルダ77dは、軟質材77cを保持するために枠状に形成したものであり、金属製の薄板から形成したものである。
従来は、エレメントホルダを樹脂で形成したが、金属製の薄板でエレメントホルダ77dを形成したことで、エアフィルタエレメント77を薄肉とすることができ、エアクリーナ18内のスペースを有効に利用することができ、エア通路を大きくできて吸気効率を高めることができる。
更にエアクリーナ18の厚さ(車幅方向の厚さ)を小さくすることができ、車幅を抑えることができる。
【0027】
ケースカバー82の突出部82b,82cは、エアフィルタエレメント77の軟質材77cを押付ける構造にしたことで、ケース本体81とケースカバー82との間にエアフィルタエレメント77をがたつくことなしに取付けることができ、ケース本体81及びケースカバー82におけるエアフィルタエレメント77を挟み込む部分の寸法誤差を吸収することができる。
【0028】
図6は本発明に係るケース本体の正面図であり、ケース本体81は、内部の空間を隔壁95で第1区画部96と第2区画部97とに分離し、これらの第1区画部96及び第2区画部97のそれぞれを、図示しないが同じくケースカバー82(図4参照)内部の空間を隔壁で分離した第1の区画部及び第2の区画部とあわせることで、エアクリーナ18内に、第1区画部96と第1の区画部とで第1室101を形成し、第2区画部97と第2の区画部とで第2室102を形成するものである。
【0029】
エアフィルタエレメント77を配置する第1室101は、ブリーザチューブ72(図4参照)から連通孔103を通じて流れ込むオイルミストがエアフィルタエレメント77の方へ流れないようにする湾曲壁104及びオイルミストが下方へ噴き出すようにするために湾曲壁104に設けた貫通部105と、ケース本体81の底面81aを構成する第1底面81d及び第2底面81eと、これらの第1・第2底面81d,81eを流れるオイルを排出するための排出口81qとを備える。なお、81h,81j,81k,81mはエアフィルタエレメント77の位置決めを行う位置決め部、81nはコネクティングチューブ17(図4参照)を取付けるためのコネクティングチューブ取付穴である。
【0030】
図1に示した自動二輪車10に乗車せずスタンド52を使用した状態で、図6において、第1底面81dは、水平面107に対して角度θだけ後下がりに傾け、第2底面81eは第1底面81dの傾斜角度θよりも更に後下がりに傾けたものである。
【0031】
第2室102は、小径の吸気口108と大径の吐出口109とを備え、吸気口108に吸気側チューブ(不図示)を連結してこの吸気側チューブの先端を車体フレーム42(図1参照)の隙間に配置し、吐出口109に二次空気制御弁(不図示)を取付けるとともに、この二次空気弁を吐出側チューブを介してシリンダヘッド22(図1参照)に設けたリード弁(不図示)に連結し、このリード弁から排気ポート71(図2参照)に連結する。
【0032】
このような構成により、上記の吸気側チューブから第2室102内へ取り入れた空気を図示せぬエアフィルタで濾過し、濾過した空気の流れを二次空気制御弁を開閉することで制御し、二次空気制御弁が開いたときにはリード弁を介して排気ポート71に空気を供給して排気中の未燃ガスを酸化させることにより浄化し、外部に排出する。
二次空気制御弁の開閉は、吸気管15内の負圧を利用して行う。
【0033】
111は第1区画部96を囲む無端状の第1シール部材、112は第2区画部97の一部を囲む第2シール部材であり、これらの第1シール部材111及び第2シール部材112は、ケース本体81及びケースカバー82のそれぞれの合わせ面に形成した溝に嵌める部材である
第2シール部材112は、端部112a,112bを備え、これらの端部112a,112bが第1シール部材111に密着するように上記した合わせ面の溝を形成することで、無端状のシール部材と同等のシール機能を持たせるようにしたものであり、無端状のシール部材よりも製造が容易であるため、部品コストを抑えることができる。
【0034】
図7は図3の7−7線断面図であり、エアクリーナ18におけるケース本体81の湾曲壁104の縁部周囲を囲うようにケースカバー82に湾曲壁114を設け、この湾曲壁114に貫通部115を設けたことを示す。
これらの湾曲壁104,114でエアクリーナ18内に流入したオイルミストがエアフィルタエレメント77(図6参照)側へ流れるのを防止することができる。
【0035】
図8は図6の8−8線断面図であり、ケース本体81に第2底面81eよりも車体内側(矢印in方向)に窪ませた凹部81pを形成し、この凹部81pの後方にオイルの排出口81qを設けたことを示す。
排出口81qは、ドレンチューブ68を接続するものである。
【0036】
図9は本発明に係るエアクリーナの後部に取付けたドレンチューブを説明する車両後部の側面図であり、ドレンチューブ68の端部をパワーユニット12の後端にクリップ117で取付け、ドレンチューブ68の先端をプラグ118で塞いだことを示す。なお、121はドレンチューブ68にプラグ118を固定するためのバンドである。
【0037】
以上に述べたエアクリーナ構造の作用を次に説明する。
図10は本発明に係るエアクリーナ構造の作用を説明する作用図である。
エアクリーナ18は、白抜き矢印a〜dのように、外気を吸気口78から吸気ダクトを介してダーティサイド内に吸込み、エアフィルタエレメント77で濾過してクリーンサイド93内に流し、クリーンサイド93からコネクティングチューブ17内へ流す。
【0038】
一方、エンジンのシリンダヘッド内からブリーザチューブ及び連通孔103を介してエアクリーナ18内に流入したオイルミストは、矢印(1)(2)のように貫通部105,115(符号115は図7参照)を通り、空気の流れとともにコネクティングチューブ17内に流入する。
【0039】
また、オイルミストの一部は、オイルの液滴となって、矢印(3)のように第1底面81dに落下し、傾斜した第1底面81dを矢印(4)のように流れ、更に、矢印(5)(6)のように第1底面81dから第2底面81eへ流れ、矢印(7)のように、第2底面81eから凹部81p及び排出口81q(図8参照)を通ってドレンチューブ68内に流れる。
そして、オイルは図9に示したドレンチューブ68内に溜まる。このようにして、溜まったオイルは、定期的に、プラグ118を外すことで排出する。
【0040】
このように、図6において、ブリーザチューブ72(図4参照)からエアクリーナ18へオイルミストが噴き出す連通孔103の位置を、エアフィルタエレメント77とコネクティングチューブ17との間で且つケース本体81の上部に設けたことで、エアクリーナ18内をエアフィルタエレメント77側からコネクティングチューブ17側へ流れる空気の流れによって連通孔103からエアクリーナ18内に流れ込んだオイルミストがエアフィルタエレメント77側に流れるのを防止することができ、オイルミストによってエアフィルタエレメント77を汚すのを防ぐことができる。
【0041】
また、本発明のオイル通路90は、図5に示したように、比較的大きな幅Wを有するので、底面81aを流れるオイルの量が増えたとしても、オイルを濾紙77bに付着しにくくすることができる。
更に、第1底面81d及び第2底面81eはそれぞれ後下がりに傾斜させた面なので、オイルを排出口81qへスムーズに導くことができる。
【0042】
以上の図1、図2及び図5で説明したように、エンジン13のクランクケース64とエアクリーナ18とをブリーザチューブ72で連通させるエンジン13のブリーザ装置74を備えた自動二輪車10において、エアクリーナ18のクリーンサイド93内に面したエアクリーナケース76の底面81aから上方に所定間隔HL離してエアフィルタエレメント77を配置し、このエアフィルタエレメント77の下面77aと底面81aとエアクリーナケース76の2つの側壁81b,82aとで囲んで通路としてのオイル通路90を形成し、このオイル通路90の端部にオイルや水分等の排出口81qを設けたことを特徴とする。
【0043】
エアフィルタエレメント77の下面77aとエアクリーナケース76の底面81aとエアクリーナケース76の2つの側壁81b,82aとでエアクリーナ18内にオイル通路90を形成し、このオイル通路90から排出口81qへオイル等を流すようにすることで、エアクリーナケース76に特別に通路を形成せずに簡単な構造でオイル等を排出することができるとともに、オイル通路90を容易に形成することができる。
【0044】
また、従来のようにチャンバーを設ける構造ではないので、ボルトや隔壁が必要なく、部品数を少なくすることができ、エアクリーナ18の製造コストを減らすことができる。
また、チャンバーを形成するためにボルト締めする必要がなく、エアクリーナ18の組立工数を減らすことができて組立が容易になり、エアクリーナ18の組立コストを低減することができる。
【0045】
更に、エアクリーナケース76の底面81aを流れるオイルが付着しないように底面81aをエアフィルタエレメント77から下方に十分な距離、即ち所定間隔HLを離せば、オイル等でエアフィルタエレメント77、特に濾紙77bを汚さず、エアフィルタエレメント77の交換時期を先に延ばすことができる。
【0046】
尚、図6では、エアクリーナ18内にオイルミストが流入する連通孔103をコネクティングチューブ17に対してエアフィルタエレメント77側に設けたが、これに限らず、連通孔103をコネクティングチューブ17に対してエアフィルタ77とは反対の側のケース本体81に設けてもよい。このようにすれば、連通孔103がエアフィルタエレメント77から離れるため、連通孔103を出たオイルミストがエアフィルタエレメント77側に流れるのをより一層防止することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の車両用エアクリーナ構造は、エアクリーナのクリーンサイド内に面したエアクリーナケースの底面から上方に所定間隔離してエアフィルタエレメントを配置し、このエアフィルタエレメントの下面とエアクリーナケースの底面とエアクリーナケースの2つの側壁とで囲んで、エアクリーナケース内のオイルや水分を流す通路を形成し、この通路の端部にオイルや水分を排出する排出口を設け、エンジン側から延びるコネクティングチューブがエアクリーナケースに連結され、このコネクティングチューブがエアフィルタエレメントと前後方向に配置され、エアクリーナケースに、配管とエアクリーナケース内とを連通させる連通孔を開け、この連通孔を、コネクティングチューブのエアクリーナケースへの連結部よりも上方に配置したので、エアクリーナ内のオイルや水分を底面上に設けた通路から排出口へ流すことができ、エアクリーナケースに特別に通路を形成せずに簡単な構造でオイル等を排出することができる。
【0048】
また、従来のようにチャンバーを設ける構造ではないので、ボルトや隔壁が必要なく、部品数を少なくすることができ、製造コストを減らすことができる。
また、チャンバーを形成するためにボルト締めする必要がなく、組立工数を減らすことができて組立が容易になり、組立コストを低減することができる。
【0049】
更に、エアクリーナケースの底面を流れるオイルが付着しないように底面をエアフィルタエレメントから下方に十分な距離を離せば、オイル等でエアフィルタエレメントを汚さず、エアフィルタエレメントの交換時期を先に延ばすことができる。
【0050】
請求項2の車両用エアクリーナ構造は、連通孔を、エアフィルタエレメントとコネクティングチューブとの間に設けたので、エアクリーナ内をエアフィルタエレメント側からコ ネクティングチューブ側へ流れる空気の流れによって連通孔からエアクリーナ内に流れ込んだオイルミストがエアフィルタエレメント側に流れるのを防止することができ、オイルミストによってエアフィルタエレメントを汚すのを防ぐことができる。
【0051】
請求項3の車両用エアクリーナ構造は、通路を、左右割りのエアクリーナケースの合わせ面間に挟まれるエアフィルタエレメントの下面とエアクリーナケースとの間に形成したので、エアフィルタエレメントの固定と、通路の形成とを同時に行うことができ、部品数及び組立工数を減らすことができ、エアクリーナの製造コストを低減することができるとともに生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエアクリーナ構造を備えた車両の側面図
【図2】 本発明に係るエアクリーナを含むエンジンのブリーザ装置、吸気系及び排気系の系統図
【図3】 本発明に係るエアクリーナの側面図
【図4】 本発明に係るエアクリーナの平面図
【図5】 図3の5−5線断面図
【図6】 本発明に係るケース本体の正面図
【図7】 図3の7−7線断面図
【図8】 図6の8−8線断面図
【図9】 本発明に係るエアクリーナの後部に取付けたドレンチューブを説明する車両後部の側面図
【図10】 本発明に係るエアクリーナ構造の作用を説明する作用図
【符号の説明】
10…車両(自動二輪車)、13…エンジン、17…コネクティングチューブ、18…エアクリーナ、64…クランクケース、72…配管(ブリーザチューブ)、74…ブリーザ装置、76…エアクリーナケース、77…エアフィルタエレメント、77a…エアフィルタエレメントの下面、81a…エアクリーナケースの底面、81b,82a…エアクリーナケースの側壁、81q…排出口、90…通路(オイル通路)、93…クリーンサイド、HL…所定間隔(オイル通路の最小高さ)、103…連通孔

Claims (3)

  1. エンジンのクランクケースとエアクリーナケースとを配管で連通させるエンジンのブリーザ装置を備えた車両において
    記エアクリーナのクリーンサイド内に面したエアクリーナケースの底面から上方に所定間隔離してエアフィルタエレメントを配置し、このエアフィルタエレメントの下面と前記エアクリーナケースの底面と前記エアクリーナケースの2つの側壁とで囲んで、エアクリーナケース内のオイルや水分を流す通路を形成し、この通路の端部に前記オイルや水分を排出する排出口を設け
    前記エンジン側から延びるコネクティングチューブが前記エアクリーナケースに連結され、このコネクティングチューブが前記エアフィルタエレメントと前後方向に配置され、
    前記エアクリーナケースに、前記配管と前記エアクリーナケース内とを連通させる連通孔を開け、この連通孔を、前記コネクティングチューブの前記エアクリーナケースへの連結部よりも上方に配置したことを特徴とする車両用エアクリーナ構造。
  2. 前記連通孔は、前記エアフィルタエレメントと前記コネクティングチューブとの間に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用エアクリーナ構造。
  3. 前記通路は、左右割りの前記エアクリーナケースの合わせ面間に挟まれる前記エアフィルタエレメントの下面と前記エアクリーナケースとの間に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用エアクリーナ構造。
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