JP3972669B2 - 鉄道車両用防振ゴムブッシュとその製造・組付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は軸ハリと台車フレームとの連結部,連節台車の連結部その他に用いられる鉄道車両用の防振ゴムブッシュとその製造・組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両においては、軸ハリと台車との連結部,連節台車における連結部その他の連結部に種々の防振ゴムブッシュが用いられている。
図9はその軸ハリと台車との連結部に用いられている防振ゴムブッシュの一例を、それら軸ハリ及び台車等とともに示したものである。
【0003】
同図において200は台車,202は車輪,204は車軸であり、この車軸204を支持する軸箱部205から軸ハリ206が前後方向に延び出している。
軸ハリ206の端部には筒状のハウジング部208が設けられており、このハウジング部208に防振ゴムブッシュ210が嵌合固定され組み付けられている。
【0004】
防振ゴムブッシュ210は、金属製の剛性のインナ部材212と、その外側に配されたゴム弾性体216と、ゴム弾性体216の外周面に固着された金属製の剛性のアウタ部材214とから成るもので、そのアウタ部材214において、軸ハリ206のハウジング部208の嵌合孔209内に嵌合固定され、またインナ部材212において台車200に固定されている。
ここでインナ部材212,ゴム弾性体216及びアウタ部材214は一体に加硫接着されている。
【0005】
この形態の連結装置においては、防振ゴムブッシュ210の弾性作用に基づいてインナ部材212周りの軸ハリ206の回動運動が許容されるとともに、軸ハリ206と台車200の連結部位で振動及び衝撃が良好に吸収される。
【0006】
ところでこの防振ゴムブッシュ210に良好な耐久性を付与するために、通常これに予圧縮を与えることが行われている。
この場合防振ゴムブッシュ210が図9(C)に示すような形状、即ちアウタ部材214が均等な肉厚の円筒形状で外周面,内周面ともに軸方向にストレートな形状をなしていれば、かかる防振ゴムブッシュ210に対して一定の絞り代をもって絞り加工を施すことで、容易に所要の予圧縮を与えることができる。
【0007】
しかしながら防振ゴムブッシュ210におけるアウタ部材214の形状や材質によっては、このような絞り加工を施すこと、即ち絞り加工によってゴム弾性体216に所定の予圧縮を付与することが困難な場合がある。
【0008】
例えばかかる防振ゴムブッシュ210において、軸方向のばね定数と軸直角方向のばね定数との比率をより小さくすることが求められる場合があり、そしてこれを実現するため、図10(A)に示しているように、インナ部材212に外周面が軸直角方向外方に円弧形状に膨出した膨出部218を設ける一方、ゴム弾性体216全体を同様の膨出形状となし、そしてこれに対応して、アウタ部材214に内周面が軸直角方向外方に凹陥した円弧形状の凹陥部222を形成することが行われている。
【0009】
尚、図10においてインナ部材212には軸方向に突出する形態で固定部221が一体に形成されており、その固定部221において防振ゴムブッシュ210が鉄道車両の対応する部位に固定される。
【0010】
しかしながらこのようにした場合、金属製のアウタ部材214が薄肉部224と厚肉部226とを有することとなって、これを良好に絞り加工することができなくなってしまう。
従ってこの場合にはアウタ部材214に対する絞り加工によって、ゴム弾性体216に予圧縮を与えることができなくなる。
【0011】
そのためかかる形態の防振ゴムブッシュ210においては、図10(B)に示しているようにアウタ部材214を周方向に複数分割(ここでは3分割)して、各分割体214Aの間に周方向の隙間を形成し、図11(I)に示しているように防振ゴムブッシュ210をアウタ部材214においてハウジング部208の嵌合孔209内に圧入する際、同時にアウタ部材214の上記分割構造及び隙間に基づいてこれを縮径させ、圧入完了時においてゴム弾性体216に所要の予圧縮を与えるようにしている。
【0012】
即ち防振ゴムブッシュ210を嵌合孔209に圧入嵌合し組み付けた状態において、アウタ部材214及びゴム弾性体216を縮径させ、その時点でゴム弾性体216に予圧縮が与えられるようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのようにアウタ部材214が複数分割されて成る防振ゴムブッシュ210を嵌合孔209内に圧入する際、嵌合孔209の内径の方が、アウタ部材214の外径よりも小さいために、図11(II)に示しているように圧入側の先端部分については比較的容易に嵌合孔209内に挿入できるものの、このとき反対側の端部が縮径方向とは反対方向に広がってしまい、このため防振ゴムブッシュ210を嵌合孔209内に良好に圧入することが難しく、圧入作業に困難を伴うといった問題が生じていた。
【0014】
以上軸ハリと台車との連結部に用いられる防振ゴムブッシュを例として説明したが、この問題は鉄道車両における他の連結部等において、アウタ部材が周方向に複数分割された防振ゴムブッシュを相手部材の嵌合孔内に圧入し、このとき同時にアウタ部材を縮径させてゴム弾性体に予圧縮を与える場合に共通して生ずる問題である。
【0015】
この問題はまた、アウタ部材が塑性変形能を有しない樹脂製等のものを用いた場合にも同様に生じる問題である。
鉄道車両に用いられる防振ゴムブッシュにあっては電気的な絶縁性が求められ、この場合ゴム弾性体自体を絶縁性としておくことで、防振ゴムブッシュ自体の電気的絶縁を確保することができる。
【0016】
しかしながらその場合、電気的な絶縁を確保するためにゴム弾性体におけるゴム材料の選択の自由度が制約されてしまう。
これに対してアウタ部材を電気的絶縁性を有する樹脂で構成した場合、ゴム弾性体を必ずしも十分な絶縁性を有するものとしなくても良いため、ゴム材料の設計の自由度が高くなり、防振ゴムブッシュにおける所望の防振特性の実現がより容易となる。
【0017】
しかしながらアウタ部材を樹脂で構成した場合、アウタ部材が塑性変形能を有しないため、即ち絞り加工が施すことができなくなるため、ゴム弾性体に予圧縮を与えるためにはアウタ部材を上記と同様に周方向に複数分割して、その分割構造に基づいてこれを縮径させ、ゴム弾性体に予圧縮を与えることが必要となる。
そしてこの場合においても上記と同様の問題が生ずるのである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉄道車両用防振ゴムブッシュとその製造・組付方法はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1は防振ゴムブッシュに関するもので、(イ)剛性のインナ部材と、(ロ)剛性のアウタ部材と、(ハ)該インナ部材とアウタ部材との間に配置され、それらインナ部材及びアウタ部材を連結するゴム弾性体とを有し、且つ該アウタ部材は周方向に複数の分割体に且つ各分割体間に所定の隙間形成する状態に分割され、該分割構造及び該隙間に基づいて該アウタ部材及びゴム弾性体が縮径させられることで該ゴム弾性体に予圧縮が加えられるとともに、該予圧縮状態で相手部材の嵌合孔内に嵌合固定される形態の鉄道車両用防振ゴムブッシュにおいて、前記アウタ部材の外周面に、周方向に連続した環状をなし縮径方向に絞り加工可能で外周面において前記嵌合孔内に圧入可能な金属筒を外嵌し、該金属筒の絞り加工後において該金属筒により前記アウタ部材及びゴム弾性体を縮径状態に保持し、該ゴム弾性体に予圧縮が加えてあることを特徴とする。
【0019】
請求項2は防振ゴムブッシュに関するもので、請求項1において、前記金属筒が前記アウタ部材に対し実質的に軸方向全長に亘って外嵌してあることを特徴とする。
【0020】
請求項3は防振ゴムブッシュに関するもので、請求項1,2の何れかにおいて、前記インナ部材及びゴム弾性体は、外周面が軸直角方向外方に膨出した形状をなしているとともに、前記アウタ部材は、内周面がその膨出部分に対応した部分において膨出形状に対応した凹陥形状をなしているとともに、外周面が軸方向にストレート形状をなしていることを特徴とする。
【0021】
請求項4は防振ゴムブッシュに関するもので、請求項1〜3の何れかにおいて、前記アウタ部材が周方向に3分割されていることを特徴とする。
【0022】
請求項5は防振ゴムブッシュの製造・組付方法に関するもので、(イ)剛性のインナ部材と、(ロ)周方向に複数に分割され且つ各分割体が互いに周方向に所定の隙間を隔てて配置されたアウタ部材と、(ハ)該インナ部材とアウタ部材との間に配置され、それらインナ部材とアウタ部材とを連結するゴム弾性体とを一体に加硫接着した後、その一体加硫品における該アウタ部材の外周面に、該アウタ部材の外径と同等以上の内径を有する金属筒を外嵌し、該金属筒を外嵌した後該金属筒に絞り加工を施して該金属筒を縮径変形させ、以て前記各分割体間の隙間に基づいて前記アウタ部材及びゴム弾性体を縮径して予圧縮状態とし、その状態で該金属筒において防振ゴムブッシュを相手部材の嵌合孔内に圧入嵌合して組み付けることを特徴とする。
【0023】
【作用及び発明の効果】
上記のように本発明は、周方向に複数分割したアウタ部材の外周面に、相手部材の嵌合孔内に圧入可能で且つ縮径方向に絞り加工可能な金属筒を外嵌して鉄道車両用の防振ゴムブッシュを構成し、そしてその金属筒によりアウタ部材及びゴム弾性体を縮径状態に保持してゴム弾性体を予圧縮状態に保つもので、この防振ゴムブッシュにあっては、周方向に複数分割されたアウタ部材が金属筒により縮径状態に保持されているため、防振ゴムブッシュを相手部材の嵌合孔内に圧入して組付ける際、アウタ部材が広がり変形して圧入作業が困難になるといった問題を解決することができる。
【0024】
即ち本発明は、図10に一例を示す形態の防振ゴムブッシュに金属筒を付加した形態で防振ゴムブッシュを構成したもので、このようにすることにより、組付け前に予め金属筒によってアウタ部材を縮径させ、ゴム弾性体に予圧縮を与えておくことができる。
そしてその縮径状態及び予圧縮状態にアウタ部材及びゴム弾性体を拘束保持した状態で、相手部材の嵌合孔内に圧入できるため、圧入作業性が良好となるとともに、防振ゴムブッシュのゴム弾性体に対し耐久性付与のための予圧縮を容易且つ支障なく付与することができる。
【0025】
この場合において、上記金属筒はアウタ部材に対し実質的に軸方向全長に亘って外嵌するものとなしておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、ゴム弾性体に対し軸方向全長に亘って良好に軸直角方向の予圧縮を与えることができ、更にまた相手部材の嵌合孔への圧入作業もより容易となる。
【0026】
本発明は以下の形態の防振ゴムブッシュ、即ちインナ部材及びゴム弾性体の外周面が軸直角方向外方に膨出し、またアウタ部材の内周面が軸直角方向に凹陥形状をなした形態の防振ゴムブッシュに適用して好適である(請求項3)。
これらの場合において、ゴム弾性体及びアウタ部材は周方向に3分割しておくことができる(請求項4)。
【0027】
請求項5は防振ゴムブッシュの製造・組付方法に関するもので、剛性のインナ部材と、周方向に複数に分割されたアウタ部材と、ゴム弾性体とを一体に加硫接着した後、アウタ部材の外周面にアウタ部材の外径と同等以上の内径を有する金属筒を外嵌し、その後金属筒を絞り加工してゴム弾性体に予圧縮を与えた状態で、金属筒において防振ゴムブッシュを相手部材の嵌合孔内に圧入嵌合し組付けるもので、この方法によれば、防振ゴムブッシュの製造及び相手部材の嵌合孔内への圧入嵌合による組付けを容易に行うことができる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は軸ハリと台車との連結部等に用いられる鉄道車両用の防振ゴムブッシュで、図4にも示しているように金属製の剛性のインナ部材12と、筒状をなす金属製の剛性のアウタ部材14と、それらの間に位置してインナ部材12及びアウタ部材14を軸直角方向に連結するゴム弾性体16と、アウタ部材14に外嵌された金属筒18とを有している。
【0029】
インナ部材12は、その外周面が軸直角方向外方に円弧形状に膨出した膨出部20を有しており、またこのインナ部材12には軸方向に突出する一対の固定部22が一体に形成されている。
インナ部材12は、これら固定部22において鉄道車両の対応する部位に固定される。
【0030】
インナ部材12には、これを軸方向に貫通する貫通孔24が設けられており、更に各固定部22においてこれを軸直角方向に貫通する貫通孔26がそれぞれ設けられている。
一方、上記ゴム弾性体16は軸方向に均等な肉厚を有しており且つその全体がインナ部材12における膨出部20に対応した形状、即ち軸直角方向外方に円弧形状に膨出する形状をなしている。
【0031】
他方、アウタ部材14は、その内周側がインナ部材12における膨出部20及びゴム弾性体16に対応した凹陥形状をなしている。即ちこのアウタ部材14には、内周面が軸直角方向外方に凸をなす円弧形状の凹陥部28が形成されている。
その結果として、アウタ部材14は軸方向中間部が薄肉部30をなし、また軸方向の両端部が厚肉部32をなしている。
尚その外周面は軸方向にストレートな形状をなしている。
ここでゴム弾性体16はインナ部材12及びアウタ部材14に対し一体に加硫接着されている。
【0032】
ゴム弾性体16は、金属筒18によりアウタ部材14とともに縮径状態に保持され、そしてその縮径に基づいてゴム弾性体16に所定の予圧縮が付与されている。
防振ゴムブッシュ10は、ゴム弾性体16にそのような予圧縮を与えた状態で、図2及び図4に示しているように鉄道車両における相手部材34の嵌合孔36内に嵌合固定され組み付けられる。
【0033】
図4は金属筒18を縮径方向に絞り加工し、これによりゴム弾性体16及びアウタ部材14を縮径させて、ゴム弾性体16に予圧縮を与えた状態を示している。
図3及び図5(A)は、そのような予圧縮をゴム弾性体16に加える前の状態、即ち金属筒18を絞り加工する前の状態で、またアウタ部材14及びゴム弾性体16を縮径させる前の状態で表したものである。
【0034】
図5に示しているように金属筒18は絞り加工前の外径D2が絞り加工後の外径D1に対して大径をなしており、またアウタ部材14は、図1及び図5(A)に示しているように周方向に3つの分割体14Aに均等に3分割されており、そして各分割体14Aと14Aとの間において周方向に所定の隙間Sを形成する状態で、それら分割体14Aのそれぞれがゴム弾性体16の外周面に加硫接着により固着されている。
【0035】
またゴム弾性体16においても、それら隙間Sに対応する部位において切欠部38が所定の切欠深さで形成されている。
尚金属筒18は、縮径前のアウタ部材14の外径に対し同等以上の内径を有している。
【0036】
本例の防振ゴムブッシュ10は、インナ部材12における膨出部20及びアウタ部材14における凹陥部28によって、それらインナ部材12及びアウタ部材14の外周面及び内周面が軸方向に均等である従来の防振ゴムブッシュに対し、軸方向のばね定数と軸直角方向のばね定数との比率をより小さくすることができる。
【0037】
図4に示す防振ゴムブッシュ10は、図3及び図5(A)の中間品10Aの金属筒18を絞り加工することによって製造することができる。
具体的には、先ずゴム弾性体16をインナ部材12,アウタ部材14とともに一体に加硫接着し、そしてその一体加硫品に対して、図6(I)に示しているように金属筒18を3分割形態のアウタ部材14の外周面に外嵌し、そして図6(II)に示しているように金属筒18を縮径方向に絞り加工する。
【0038】
これによって図5(B)にも示しているようにアウタ部材14が縮径して、アウタ部材14の各分割体14Aと14Aとが周方向に当接して隙間Sが消失し、また併せてゴム弾性体16が縮径変形して切欠部38も消失する。
ここにおいてゴム弾性体16に対し所定の予圧縮が加えられた状態となる。尚このときの金属筒18の外径はD1となる。
【0039】
ゴム弾性体16及びアウタ部材14は、絞り加工後の金属筒18によってそのような縮径状態に保持拘束される。即ちゴム弾性体16が所定の予圧縮状態に保持拘束される。
このようにして得られた防振ゴムブッシュ10は、続いて図6(III)に示しているように相手部材34の嵌合孔36に圧入固定され、組み付けられる。
【0040】
このように本例はアウタ部材14を周方向に3分割した上、そのアウタ部材14の外周面に金属筒18を外嵌し、そして金属筒18を絞り加工することにより、ゴム弾性体16をアウタ部材14とともに縮径させて、これに予圧縮を与えるようになしたもので、この防振ゴムブッシュ10にあっては、周方向に3分割されたアウタ部材14が金属筒18により縮径状態に保持されているため、これを相手部材34の嵌合孔36内に圧入嵌合して組付ける際、その圧入作業を容易に行うことができる。
【0041】
またゴム弾性体16に対し耐久性付与のための予圧縮を容易に加えることができる。
また金属筒18はアウタ部材14及びゴム弾性体16の軸方向全長に亘って外嵌しているため、金属筒18の縮径方向への絞り加工によりゴム弾性体16に対し軸方向全長に亘って良好に予圧縮を与えることができるとともに、圧入に際しても防振ゴムブッシュ10を容易に相手部材34の嵌合孔36内に圧入し組み付けることができる。
【0042】
上記の実施例はインナ部材12における膨出部20の外周面形状,アウタ部材14における凹陥部28の内周面形状及びゴム弾性体16を、それぞれ軸直角方向外方に凸をなす円弧形状となした例であるが、これら膨出部20,凹陥部28及びゴム弾性体16はその他様々な形状の膨出形状となすことができる。
図7はその一例を示したもので、ここでは膨出部20,凹陥部28及びゴム弾性体16の形状を、軸直角方向外方に山形状をなすように構成した例である。
【0043】
更にまた、上記実施例では金属筒18をアウタ部材14及びゴム弾性体16と同じ軸方向長を有するものとなして、かかる金属筒18をアウタ部材14に対し軸方向全長に亘り外嵌しているが、図8に示しているようにアウタ部材14よりも軸方向長の短い単数若しくは複数の金属筒18をアウタ部材14に外嵌し、そしてその金属筒18を絞り加工することで全体を縮径させ、更にまたその金属筒18において相手部材34の嵌合孔36内に圧入固定するようになすことも可能である。
【0044】
また上例ではアウタ部材14を金属製としているが、これを樹脂製として周方向に3分割し、上記と同様にして防振ゴムブッシュ10を製造し、また相手部材34の嵌合孔36内に圧入固定して組み付けるようになすことも可能である。
尚かかる樹脂材料としてはアウタ部材14に必要な強度,特性等を考慮して適宜選択することができ、例えばPA66(ポリアミド66)やPA6(ポリアミド6)等を好適に採用することができる。
この樹脂材料には例えばガラス繊維等の補強繊維を混入させておくこともできる。
【0045】
更に上例ではアウタ部材14を周方向に3分割しているが、場合によってこれを周方向に2分割若しくは4分割以上に分割することも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である防振ゴムブッシュを縮径前において各部材に分解して示す斜視図である。
【図2】 同じ実施例の防振ゴムブッシュを相手部材に組付ける前の状態で示す斜視図である。
【図3】 同じ実施例の防振ゴムブッシュを縮径前の状態で示す縦断面図である。
【図4】 同じ実施例の防振ゴムブッシュを縮径後の状態で示す縦断面図である。
【図5】 同じ実施例の防振ゴムブッシュを縮径前と縮径後の状態で比較して示す横断面図である。
【図6】 同じ実施例の防振ゴムブッシュの製造及び相手部材への組付方法を示す説明図である。
【図7】 本発明の他の実施例の要部縦断面図である。
【図8】 本発明の更に他の実施例の要部縦断面図である。
【図9】 鉄道車両用防振ゴムブッシュとして、軸ハリと台車との連結部に用いられるものを周辺部とともに示す図である。
【図10】 アウタ部材が周方向に複数分割された形態の防振ゴムブッシュの例を示す図である。
【図11】 図10の防振ゴムブッシュの相手部材への組付方法とその不具合の説明図である。
【符号の説明】
10 防振ゴムブッシュ
12 インナ部材
14 アウタ部材
14A 分割体
16 ゴム弾性体
18 金属筒
20 膨出部
28 凹陥部
34 相手部材
36 嵌合孔
S 隙間
Claims (5)
- (イ)剛性のインナ部材と、(ロ)剛性のアウタ部材と、(ハ)該インナ部材とアウタ部材との間に配置され、それらインナ部材及びアウタ部材を連結するゴム弾性体とを有し、且つ該アウタ部材は周方向に複数の分割体に且つ各分割体間に所定の隙間形成する状態に分割され、該分割構造及び該隙間に基づいて該アウタ部材及びゴム弾性体が縮径させられることで該ゴム弾性体に予圧縮が加えられるとともに、該予圧縮状態で相手部材の嵌合孔内に嵌合固定される形態の鉄道車両用防振ゴムブッシュにおいて、
前記アウタ部材の外周面に、周方向に連続した環状をなし縮径方向に絞り加工可能で外周面において前記嵌合孔内に圧入可能な金属筒を外嵌し、該金属筒の絞り加工後において該金属筒により前記アウタ部材及びゴム弾性体を縮径状態に保持し、該ゴム弾性体に予圧縮が加えてあることを特徴とする鉄道車両用防振ゴムブッシュ。 - 請求項1において、前記金属筒が前記アウタ部材に対し実質的に軸方向全長に亘って外嵌してあることを特徴とする鉄道車両用防振ゴムブッシュ。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記インナ部材及びゴム弾性体は、外周面が軸直角方向外方に膨出した形状をなしているとともに、前記アウタ部材は、内周面がその膨出部分に対応した部分において膨出形状に対応した凹陥形状をなしているとともに、外周面が軸方向にストレート形状をなしていることを特徴とする鉄道車両用防振ゴムブッシュ。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記アウタ部材が周方向に3分割されていることを特徴とする鉄道車両用防振ゴムブッシュ。
- (イ)剛性のインナ部材と、(ロ)周方向に複数に分割され且つ各分割体が互いに周方向に所定の隙間を隔てて配置されたアウタ部材と、(ハ)該インナ部材とアウタ部材との間に配置され、それらインナ部材とアウタ部材とを連結するゴム弾性体とを一体に加硫接着した後、その一体加硫品における該アウタ部材の外周面に、該アウタ部材の外径と同等以上の内径を有する金属筒を外嵌し、該金属筒を外嵌した後該金属筒に絞り加工を施して該金属筒を縮径変形させ、以て前記各分割体間の隙間に基づいて前記アウタ部材及びゴム弾性体を縮径して予圧縮状態とし、その状態で該金属筒において防振ゴムブッシュを相手部材の嵌合孔内に圧入嵌合して組み付けることを特徴とする鉄道車両用防振ゴムブッシュの製造・組付方法。
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