JP6267456B2 - 走行車両用弾性ブッシュの製造方法 - Google Patents
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特許文献1のものでは、その図6に示されるように、ねじり棒(8)に外嵌される内筒(符記無し)と、側梁(2)に内嵌される外筒(符記無し)と、これら内外筒の間に介装されるリング状の弾性層(ゴムブッシュ:9)とにより弾性ブッシュが構成されている。
一例として、制動による減速時における大なる荷重が作用することに重点を置いた性能の走行車両用弾性ブッシュとする場合には、その大なる荷重を受けながら良好な耐久性を得るために、略筒状弾性体を予め径方向に圧縮させた状態で装備する予圧縮手段を採ることがある。
そのため、従来の弾性ブッシュでは、軸心方向の剛性に若干の不足が生じるなど、要求される低い剛性比率を十分満足できるものに設定することが困難な場合が多かった。このように、前述した低い剛性比率の特性を持つ走行車両用弾性ブッシュを実現させるには、さらなる改善の余地が残されているものであった。
前記軸心Pに沿う幅方向での端に向かうに従って径が小さくなるように前記軸心Pに対して傾く傾斜外周面13が、前記軸心P方向での両端側部分のそれぞれに形成されている前記中心軸7と、前記傾斜外周面13の径外側に位置する傾斜外嵌部10Aを前記軸心P 方向での両端側部分のそれぞれに有する状態で前記中心軸7に外装される前記弾性材10と、前記中心軸7に外装されている前記弾性材10に外嵌可能で前記弾性材10の全幅よ りも短い全幅を有する筒状の外側部材11と、のそれぞれを用意し、
前記弾性材10と前記外側部材11とを前記軸心P方向に相対移動させて、前記中心軸7に外装されている状態の前記弾性材10に前記外側部材11を外嵌する外嵌工程aの後に、前記外側部材11におけるそれぞれの前記傾斜外嵌部10Aに外装されている各対応部分11tを縮径加工することにより、前記対応部分11tと前記傾斜外周面13との間でそれぞれの前記傾斜外嵌部10Aを圧縮させる圧縮工程bを行い、
前記圧縮工程bにおいては、前記対応部分11tの内径が前記軸心P方向での端に行くほど小となる傾斜内周面12に形成されることで前記弾性部材10の全幅が縮小されて前記傾斜外嵌部10Aが軸心P方向に強制移動されるように各前記対応部分11tを縮径加工して、それぞれの前記傾斜外嵌部10Aを前記軸心Pに関して縮径する方向及び前記軸心方向の双方に圧縮することを特徴とする。
前記弾性材10として、前記傾斜外嵌部10Aどうしの前記軸心P方向での間の部分が 前記軸心Pに関する周溝状に欠如された形状とされたものを用いることを特徴とする。
前記弾性材10として、縮径加工される前記対応部分11tを受止める硬質材製のリン グ体17が前記傾斜外嵌部10Aの外周側に装備されたものを用いることを特徴とする。
また、弾性材が予圧縮されているので、外部からの入力により弾性材が変形する状態での歪を軽減させることが可能である。
そして、圧縮工程においては、弾性材に被せられている外側部材の対応部分を縮径加工するだけで、弾性材の予圧縮も為されることになる。従って、上述のような作用効果を有する弾性ブッシュにおける弾性材の予圧縮は、そのための特別な工程を不要としながら、外側部材を弾性材に外嵌固定するための工程である圧縮工程を行うことで一挙に為されるから、工程数を削減しながら効率良く製造することが可能である。
その結果、中心軸及び外側部材それぞれのテーパ面で弾性材を挟む構造を採る工夫、並びに、対応部分を縮径加工するだけで傾斜外嵌部が圧縮できるように工夫された圧縮工程の採用により、中心軸の軸心方向の剛性と径方向の剛性との比率である剛性比率をより低く設定できるようにして、要求される低い剛性比率にも対応可能となるように改善された走行車両用弾性ブッシュを、工程の短縮化や生産効率に優れる状態で作製可能となる製造方法を提供することができる。
従って、それぞれの被圧縮部を、互いに接近する方向及び縮径する方向の双方に圧縮された状態となり、軸心方向については互いの圧縮による作用どうしを互いに打ち消すことが可能になるから、圧縮工程を行うだけで、他に特別な加工を必要とせず、軸心方向のバランスにも優れる利点が追加される走行車両用弾性ブッシュの製造方法を提供することができる。
従って、懸架作用や防振作用などの機能を安定して発揮可能な走行車両用弾性ブッシュとすることが可能であり、その優れた走行車両用弾性ブッシュを効率良く作製可能な製造方法を提供することができる。
軸はり3は、車軸1を支持する軸箱部2から車両進行方向(矢印Y方向)に向けて延設され、その軸はり3の一端部に形成される筒状のハウジング部4に弾性ブッシュ6が嵌装されている。8Aは、弾性ブッシュ6の中心軸7を支持する二股状の支持ブラケットであり、台車フレーム8から下向きに突出形成されている。
このような構造により、軸はり3が中心軸7の軸心P回りに揺動移動可能であるとともに、軸はり3と台車フレーム8との連結部位の振動及び衝撃を吸収できうるように構成されている。
中心軸7は、ボルト相通用などのための取付孔7hを備えて断面が小判型形状を呈する左右両端それぞれの取付部7B,7Bと、左右の小径面15と中央の大径面16と各小径面と大径面との間の傾斜外周面13とを有して、左右中心部ほど径が大となる形状の中央部7Aとを有する左右対称形状の軸に構成されている。
この外側部材11の幅寸法は、図1に示されるように、中央の大径面16と左右の傾斜外周面13,13との合計の幅寸法にほぼ等しく設定されている。
空隙部10Bには、型成形都合や中心軸7の防錆上の点から、中央部7Aを覆って一対の傾斜外嵌部10A,10Aを繋ぐ薄肉状ゴムの環状膜部10bが形成されているのが好ましいが、この環状膜部10bは無くてもよい。
つまり、弾性材10としては、縮径加工される対応部分11tを受止める硬質材製の中間輪17が傾斜外嵌部10Aの外周側に装備され、かつ、直胴筒部11Aの径内側に位置する箇所を軸心Pに関する周溝状に欠如された形状とされているものを用いる。
この予圧縮は、詳しくは後述するが、弾性ブッシュ6としての組立時(組付時)に、中間輪17に傾斜筒部11Bを形成する工程においてなされるものであり、各傾斜外嵌部10Aが傾斜内周面12と前記傾斜外周面13との間にて圧縮されることで被圧縮部14が形成される。
傾斜内周面12と傾斜外周面13とテーパ外周面17bとは、軸心P方向において互いに同じで、かつ、均一角度で傾斜する構成とされているが、そうでもなくても良い。
次に、弾性ブッシュ6の製造方法(作り方)について説明する。上述した構成の弾性ブッシュ6は、センター線Cを有して左右対称形状のものであり、外側部材11の組み付けに明確な特徴を有している。
即ち、弾性材10と外側部材11とを軸心方向に相対移動させて、中心軸7に外装されている状態の弾性材10に外側部材11を外嵌する外嵌工程a〔図2(a)参照〕の後に、外側部材11における傾斜外嵌部10Aに外装されている対応部分11tを縮径加工することにより、対応部分11tと傾斜外周面13との間で傾斜外嵌部10Aを圧縮させる圧縮工程b〔図2(b)参照〕を行うことにより、弾性ブッシュ6が作製される。
なお、外嵌工程aを円滑に行い易くするために、外側部材11の径を若干大き目にしておき、外嵌工程aの後に外側部材11が丁度大外周面17aに密外嵌されるように外側部材11の全体を縮径させる全体縮径工程を、圧縮工程bの前に行うようにしても良い。
まだ予圧縮されていない弾性材10の外径、即ち中間輪17の大外周面17aの径と外側部材11の内径とは、外嵌工程aをスムーズに行う点から同等な値が良いが、そうでなくてもよい。
この場合、左右の各傾斜外嵌部10Aはまだ圧縮されていないので、弾性材10としての全幅Dは左右の中間輪17の部位であり、その中間輪17,17での全幅Dは、絞り加工前の径一定状態の外側部材11の全幅dよりも明確に長い(D>d)。
その際、傾斜内周面12と傾斜外周面13とで挟まれている傾斜外嵌部10Aは、弾性材10としての左右中心に向かう方向及び軸心P方向、即ち、各外嵌部10A,10Aが互いに接近する方向及び軸心Pに関して縮径する方向の双方に圧縮され、よって予圧縮された被圧縮部14に形成される。結果として、傾斜外周面13及び被圧縮部14を有する弾性材10は、左右それぞれの傾斜内周面12毎に設けられている。
本実施形態では、対応部分11tの縮径加工に伴う強い圧縮力を受けるための金属製中間輪17を弾性材10に設けたものを用いているが、例えば、殆ど縮径方向又は軸心P方向のみの加工応力を受けるような場合には、ゴムのみによる弾性材10とすることも可能である。また、弾性材10は、空隙部10Bの左右幅がもっと小さいものや、径方向の凹み量がもっと少ないものでもよく、或いは、空隙部10Bの無いものでも良い。
弾性ブッシュ6の他の使用例としては、図6に示すように、牽引リンク20の端部に装備されるものでも良い。
牽引リンク20は、鉄道車両である車体フレーム21に支持される牽引枠22と、台車枠23の一対の主支持枠24,24のうちの一方と、に亘って架設連結される単一のトルク受け部材として構成されている。
弾性ブッシュ6は、外側部材11における弾性材10に外嵌する部分は、外側部材11の軸心Pに沿う幅方向での端に向かうに連れて径が小さくなるように軸心Pに対して傾く傾斜内周面12を有し、かつ、中心軸7における弾性材10に内嵌する部分は、軸心Pに対して傾斜内周面12と互いに同じ方向に傾く傾斜外周面13を有するとともに、弾性材10は、傾斜内周面12と傾斜外周面13との間にて圧縮(予圧縮)される被圧縮部14を有している。
そして、弾性材10と外側部材11とを軸心P方向に相対移動させて、中心軸7に外装されている状態の弾性材10に外側部材11を外嵌する外嵌工程aの後に、外側部材11における傾斜外嵌部10Aに外装されている対応部分11tを縮径加工することにより、対応部分11tと傾斜外周面13との間で傾斜外嵌部10Aを圧縮(予圧縮)させる圧縮工程bを行うことを特徴としている。
そして、外側部材(外輪)11の傾斜筒部11Bと中間輪17とをテーパ形状どうしで嵌合させてあるから、これら外側部材11と弾性材10とが軸心P方向にずれることが無い。また、外側部材11と嵌合孔4Hもテーパ形状どうしで嵌合しており、ハウジング部4にずれ動き無く弾性ブッシュ6を安定支持させることができる。
10 弾性材
10A 傾斜外嵌部
11 外側部材
11t 対応部分
12 傾斜内周面
13 傾斜外周面
17 リング体(中間輪)
P 軸心
a 外嵌工程
b 圧縮工程
Claims (3)
- 車両進行方向に対して交差する方向の軸心を有する中心軸と、前記中心軸の径外側に周設される外側部材と、前記中心軸と前記外側部材との間に介装される弾性材とを有してなる走行車両用弾性ブッシュの製造方法であって、
前記軸心に沿う幅方向での端に向かうに従って径が小さくなるように前記軸心に対して傾く傾斜外周面が、前記軸心方向での両端側部分のそれぞれに形成されている前記中心軸と、前記傾斜外周面の径外側に位置する傾斜外嵌部を前記軸心方向での両端側部分のそれ ぞれに有する状態で前記中心軸に外装される前記弾性材と、前記中心軸に外装されている前記弾性材に外嵌可能で前記弾性材の全幅よりも短い全幅を有する筒状の外側部材と、のそれぞれを用意し、
前記弾性材と前記外側部材とを前記軸心方向に相対移動させて、前記中心軸に外装されている状態の前記弾性材に前記外側部材を外嵌する外嵌工程の後に、前記外側部材におけるそれぞれの前記傾斜外嵌部に外装されている各対応部分を縮径加工することにより、前記対応部分と前記傾斜外周面との間でそれぞれの前記傾斜外嵌部を圧縮させる圧縮工程を行い、
前記圧縮工程においては、前記対応部分の内径が前記軸心方向での端に行くほど小となる傾斜内周面に形成されることで前記弾性部材の全幅が縮小されて前記傾斜外嵌部が軸心方向に強制移動されるように各前記対応部分を縮径加工して、それぞれの前記傾斜外嵌部を前記軸心に関して縮径する方向及び前記軸心方向の双方に圧縮する走行車両用弾性ブッシュの製造方法。 - 前記弾性材として、前記傾斜外嵌部どうしの前記軸心方向での間の部分が前記軸心に関 する周溝状に欠如された形状とされたものを用いる請求項1に記載の走行車両用弾性ブッシュの製造方法。
- 前記弾性材として、縮径加工される前記対応部分を受止める硬質材製のリング体が前記 傾斜外嵌部の外周側に装備されたものを用いる請求項1又は2に記載の走行車両用弾性ブッシュの製造方法。
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