JP6199674B2 - 弾性ブッシュ - Google Patents
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Description
特許文献1のものでは、その図6に示されるように、ねじり棒(8)に外嵌される内筒(符記無し)と、側梁(2)に内嵌される外筒(符記無し)と、これら内外筒の間に介装されるリング状の弾性層(ゴムブッシュ:9)とにより弾性ブッシュが構成されている。
一例として、制動による減速時における大なる荷重が作用することに重点を置いた性能を備える鉄道車両用の弾性ブッシュとする場合には、その大なる荷重を受けながら良好な耐久性を得るために、略筒状弾性体を予め径方向に圧縮させた状態で装備する予圧縮手段を採ることがある。
特許文献1に示される単純な円筒形状の弾性層を有する弾性ブッシュでは、構造上、前述の軸心方向の剛性(車両進行方向に対する左右方向の剛性)を高くすることはできず、せいぜい5〜20倍の範囲の剛性比率に止まる。
そのため、従来の弾性ブッシュでは、軸心方向の剛性に若干の不足が生じるなど、要求される低い剛性比率を十分満足できるものに設定することが困難な場合が多かった。このように、前述した低い剛性比率の特性を持つ弾性ブッシュを実現させるには、さらなる改善の余地が残されているものであった。
前記外側部材11は、これの前記軸心Pに沿う幅方向での端に向かうに従って径が小さくなる傾斜内周面12を備える外嵌部分11Bを有し、
前記中心軸7における前記弾性部10に内嵌する部分は、前記軸心Pに対して前記傾斜内周面12と互いに同じ方向に傾く傾斜外周面13を有し、
前記弾性部10は、前記傾斜内周面13と前記傾斜外周面12との間にて圧縮される弾性材製被圧縮部分14を有するとともに、前記外嵌部分11Bの前記軸心P方向端を径大となる側に廻り込むフランジ部17cを有し、
前記弾性部10は、前記傾斜外周面12に外嵌される前記被圧縮部分14に外嵌され、かつ、前記傾斜内周面13に内嵌される硬質材製の中間輪17を有しており、前記中間輪17に前記フランジ部17cが形成されていることを特徴とする。
前記外側部材11が鋼板製であり、前記フランジ部17cは、前記鋼板の端面により形成される前記外嵌部分11Bの端面19に当接して受止め可能なストップ面25を有していることを特徴とする。
前記外嵌部分11Bは、前記外側部材11の前記軸心P方向の端部を縮径加工することにより形成されていることを特徴とする。
前記傾斜内周面13は、前記外側部材11における前記軸心P方向での両端側部分のそれぞれに形成されるとともに、前記被圧縮部分14及び前記フランジ部17cを有する前記弾性部10と前記傾斜外周面12とは、それぞれの前記傾斜内周面13毎に構成されていることを特徴とする。
それぞれの前記被圧縮部分14は、互いに接近する方向及び前記軸心Pに関して縮径する方向の双方に圧縮された状態で装備されていることを特徴とするものである。
そして、弾性材が予圧縮されることにより、外部からの入力により弾性材が変形する状態での歪を軽減させることも可能である。
その結果、中心軸及び外側部材それぞれのテーパ面で弾性部を挟んで予圧縮する構造を採る工夫により、中心軸の軸心方向の剛性と径方向の剛性との比率である剛性比率をより低く設定できるようにして、要求される低い剛性比率にも対応可能となるように改善される弾性ブッシュを、軸心方向に分離するおそれのない良好なものとしながら提供することができる。
図4に鉄道車両の軸はり装置の概略が示されており、1は車軸、2は軸箱部、3は軸はり、4はハウジング部、5は車軸1に取付けられる車輪、6は弾性ブッシュ(防振ブッシュとも呼ばれる)、8は台車フレームである。
軸はり3は、車軸1を支持する軸箱部2から車両進行方向(矢印Y方向)に向けて延設され、その軸はり3の一端部に形成される筒状のハウジング部4に弾性ブッシュ6が嵌装されている。8Aは、弾性ブッシュ6の中心軸7を支持する二股状の支持ブラケットであり、台車フレーム8から下向きに突出形成されている。
このような構造により、軸はり3が中心軸7の軸心P回りに揺動移動可能であるとともに、軸はり3と台車フレーム8との連結部位の振動及び衝撃を吸収できうるように構成されている。
中心軸7は、ボルト挿通用などのための取付孔7hを備えて断面が小判型形状を呈する左右両端それぞれの取付部7B,7Bと、左右の小径面15と中央の大径面16と各小径面と大径面との間の傾斜外周面13とを有して、左右中心部ほど径が大となる形状の中央部7Aとを有する左右対称形状の軸に構成されている。
この外側部材11の幅寸法は、図1に示されるように、中心軸7における中央の大径面16と左右の傾斜外周面13,13との合計の幅寸法にほぼ等しく設定されている。
ゴム製の弾性材10は、環状で左右一対の傾斜外嵌部10A,10Aと、左右中央の環状膜部10bとを有して構成され、外側部材11の幅寸法に略等しい幅を持っている。傾斜外嵌部10Aにおける幅方向の内側面と、環状膜部10bの外側面とにより、左右中央の空隙部10Bが形成されている。なお、弾性材は、一対の傾斜外嵌部10Aと環状膜部10bとで形成されるので、弾性材10A,10bと表示しても良い。
金属(硬質材の一例)製の中間輪17は、各傾斜外嵌部10Aの外周側に一体的に外嵌されている。各中間輪17と各傾斜外嵌部10Aとは焼付け又は加硫接着により一体化されることが多い。
従って、弾性材10A,10bは、縮径加工される対応部分11t(後述)を受止める硬質材製の中間輪17が傾斜外嵌部10Aの外周側に装備され、かつ、直胴筒部11Aの径内側に位置する箇所を軸心Pに関する周溝状に欠如された形状とされている。
大外周面17aは、直胴筒部11Aの直胴内周面11aに内嵌する径一定の面である。テーパ外周面17bは、外嵌部分11Bの傾斜内周面12に内嵌する斜めの面である。フランジ部17cは、外嵌部分11Bの軸心P方向の端部を受止める鉤状周部である。テーパ内周面17dは、テーパ外周面17bと互いに同等な傾斜角を持って傾斜外嵌部10Aに外嵌する面である。小内周面17eは、テーパ内周面17dの小径側端に続いて径一定な状態で傾斜外嵌部10Aに外嵌する面である。
ここで言う予圧縮とは、詳しくは後述するが、弾性ブッシュ6の組立時(組付時)に、中間輪17に外嵌部分11Bを形成する工程においてなされるものであり、各傾斜外嵌部10Aが傾斜内周面12と傾斜外周面13との間にて圧縮されることで被圧縮部14が形成される。
傾斜内周面12と傾斜外周面13とテーパ外周面17bとは、軸心P方向において互いに同じで、かつ、均一角度で傾斜する構成とされている。
即ち、弾性部10と外側部材11とを軸心方向に相対移動させて、加硫接着などによって中心軸7に一体に外装されている状態の弾性部10に外側部材11を外嵌する外嵌工程〔図3(a)参照〕の後に、外側部材11における傾斜外嵌部10Aに外装されている対応部分(外側部材11の軸心P方向の「端部」に相当)11tを縮径加工することにより、縮径される対応部分11tと傾斜外周面13との間で傾斜外嵌部10Aを圧縮させる圧縮工程〔図3(b)参照〕を行うことにより、弾性ブッシュ6が作製される。
なお、外嵌工程を円滑に行い易くするために、外側部材11の径を若干大き目にしておき、外嵌工程の後に外側部材11が丁度大外周面17aに密外嵌されるように外側部材11の全体を縮径させる全体縮径工程を、圧縮工程の前に行うようにしても良い。
まだ予圧縮されていない弾性部10の外径、即ち中間輪17の大外周面17aの径と外側部材11の内径とは、外嵌工程をスムーズに行う点から同等な値が良いが、そうでなくてもよい。
この場合、左右の各傾斜外嵌部10Aはまだ圧縮されていないので、弾性部10としての全幅Dは左右の中間輪17の部位であり、その中間輪17,17での全幅Dは、絞り加工前の径一定状態の外側部材11の全幅dよりも明確に長い(D>d)。
従って、圧縮工程がなされると、傾斜内周面12とテーパ外周面17bとが嵌合され、かつ、端面19とストップ面25とが当接(嵌合)される構造となるから、組付けられた完成部品としての弾性ブッシュ6においては、弾性部10と外側部材11とは軸心Pのいずれの方向にも互いにずれ移動しない構成とされている。
なお、外嵌部分11Bの端部外周側の角部に面取り加工が施されて、端面19の厚さ寸法が外側部材11の板厚より小さくなっているが、その面取り加工は省略可能である。
本実施形態では、対応部分11tの縮径加工に伴う強い圧縮力を受けるための金属製中間輪17を弾性部10に設けたものを用いているが、例えば、殆ど縮径方向又は軸心P方向のみの加工応力を受けるような場合には、ゴムなどの弾性材料のみでなる弾性部10とすることも可能である。また、弾性部10は、空隙部10Bの左右幅がもっと小さいものや、径方向の凹み量がもっと少ないものでもよく、或いは、空隙部10Bの無いものでも良い。
弾性ブッシュ6の他の使用例としては、図7に示すように、牽引リンク20の端部に装備されるものでも良い。
牽引リンク20は、鉄道車両である車体フレーム21に支持される牽引枠22と、台車枠23の一対の主支持枠24,24のうちの一方と、に亘って架設連結される単一のトルク受け部材として構成されている。
この構成により、弾性ブッシュ6が、鉄道車両における軸はり装置やバスなどの自動車における走行装置に組み込まれた実使用状態において、軸心P方向の強い力が作用しても、走行車両側に圧入などにより一体化される外側部材11と、軸はりなどの台車側に取り付けられる中心軸7及びこれに一体化されている弾性部10とが、軸心P方向に相対的にずれ動くことが防止されるようになる。故に、外側部材11と弾性部10とが分離するおそれがないようにすることができる。
また、外側部材11と嵌合孔4Hもテーパ形状どうしで嵌合しており、ハウジング部4にずれ動き無く弾性ブッシュ6を安定支持させることができる。
10 弾性部
11 外側部材
11B 外嵌部分
12 傾斜内周面
13 傾斜外周面
14 被圧縮部分
17 中間輪
17c フランジ部
19 端面
25 ストップ面
P 軸心
Claims (5)
- 車両進行方向に対して交差する方向の軸心を有する中心軸と、前記中心軸の径外側に周設される外側部材と、前記中心軸と前記外側部材との間に介装される弾性部とを有してなる弾性ブッシュであって、
前記外側部材は、これの前記軸心に沿う幅方向での端に向かうに従って径が小さくなる傾斜内周面を備える外嵌部分を有し、
前記中心軸における前記弾性部に内嵌する部分は、前記軸心に対して前記傾斜内周面と互いに同じ方向に傾く傾斜外周面を有し、
前記弾性部は、前記傾斜内周面と前記傾斜外周面との間にて圧縮される弾性材製被圧縮部分を有するとともに、前記外嵌部分の前記軸心方向端を径大となる側に廻り込むフランジ部を有し、
前記弾性部は、前記傾斜外周面に外嵌される前記被圧縮部分に外嵌され、かつ、前記傾斜内周面に内嵌される硬質材製の中間輪を有しており、前記中間輪に前記フランジ部が形成されている弾性ブッシュ。 - 前記外側部材が鋼板製であり、前記フランジ部は前記外嵌部分の端を形成する前記鋼板端面に当接して受止め可能なストップ面を有している請求項1に記載の弾性ブッシュ。
- 前記外嵌部分は、前記外側部材の前記軸心方向の端部を縮径加工することにより形成されている請求項2に記載の弾性ブッシュ。
- 前記傾斜内周面は、前記外側部材における前記軸心方向での両端側部分のそれぞれに形成されるとともに、前記被圧縮部分及び前記フランジ部を有する前記弾性部と前記傾斜外周面とは、それぞれの前記傾斜内周面毎に構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の弾性ブッシュ。
- それぞれの前記被圧縮部分は、互いに接近する方向及び前記軸心に関して縮径する方向の双方に圧縮された状態で装備されている請求項4に記載の弾性ブッシュ。
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