JP3972332B2 - 化粧板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物用のドア、収納家具の表面材などの表面に意匠部を備えた化粧板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に意匠部を備えた化粧板の製造方法が特許文献1に開示されている。
すなわち、基板に表面板(化粧シート)を接着し、その表面板と基板の一部分(表面部分)をルーターで切削して溝部を形成し、その溝部を着色塗装して表面に溝状の意匠部を備えた化粧板を製造する方法である。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−155663号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した化粧板の製造方法は、基板に表面板を接着した後に、その表面部分をルーターで溝加工するが、そのルーターによって所定の幅の溝を精度良く加工することは困難であるし、加工時間が長く、加工コストが高い。
特に、幅が細い溝の場合にはルーター刃物に加わる負荷が非常に大きく、刃物送り速度を極端に遅くしなければならず、加工時間が長くなって加工コストが高い。
また、ルーター加工した溝の表面には微細な加工跡があるので、その溝を意匠部とすると見栄えが悪い。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、表面部分を溝加工せずに、表面に意匠部を備えた化粧板を製造できる化粧板の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基板10に、複数の表面板用板材1を、その隣接する表面板用板材1間にダミー部材2が介在した状態で固着して仮表面板3とし、
その後に、前記ダミー部材2を隣接する表面板用板材1間から取り外すことで、前記隣接する表面板用板材1間に溝5を形成し、
前記溝5を形成した後に、その溝5に、意匠形成部材7を取付けることを特徴とする化粧板の製造方法である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において複数の表面板用板材1を、ダミー部材2を介在してあらかじめ面組みして仮表面板3とし、
この仮表面板3を基板10に固着する化粧板の製造方法である。
【0008】
【作用】
第1の発明によれば、表面部分に溝加工せずにダミー部材2を取り外すことで形成された溝5を、意匠形成部材7を取付けるための溝とすることができるため、意匠形成部材7を取付けるために表面部分に溝加工せずに済む。よって、表面に意匠形成部材7を備えた化粧板を短時間に製造できるから、コストの安い化粧板の製造方法であるし、製造した化粧板の表面にはルーター加工の跡がなく仕上がりが良く、見栄えが良い化粧板が得られる。
つまり、表面板用板材1、ダミー部材2、基板10を、所定の化粧板の大きさ、溝幅に基づいてあらかじめ製作し、その表面板用板材1を基板10に固着した後にダミー部材2を取り外して溝5とし、所定の意匠形成部材7を表面板用板材1とは別に製作し、この意匠形成部材7を仮表面板3の溝5に取付けることで製造できるから、ルーター加工が不要となるから、基板に表面板を固着した後にルーター加工する場合に比べて製造時間が短いし、仕上がりが良い。
【0009】
第2の発明によれば、あらかじめ面組みした仮表面板3を基板10に固着するので、仮表面板3を基板10に固着する作業がやり易い。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)に示すように、複数の表面板用板材1を溝幅と同一幅のダミー部材2を介在して面組みする。つまり、ダミー部材2を2つの表面板用板材1で挟持するように面組みして仮表面板3とする。
この仮表面板3の大きさは実際の表面板と同一大きさが好ましいが、加工誤差等を考慮して若干大きい大きさとしてある。
図1(a)においては2つのダミー部材2を用いているが、このダミー部材2は1つでも良いし、3つ以上でも良い。
また、前記ダミー部材2は表面板用板材1とほぼ同一長さの一体物であるが、これに限ることはなく、短尺なダミー部材2を長手方向に間隔を置いて複数設けたものでも良い。
また、前記ダミー部材2は表面板用板材1と同一厚さであるが、薄くとも良い。
また、前記ダミー部材2を溝幅と同一幅の厚さ方向一側部分と溝幅よりも幅広い厚さ方向他側部分で段差を有する形状とし、その段差部分を表面板用板材1の表面に接し、基板10の表面には接しないようにしても良い。なお、接するようにしても良い。
すなわち、前記ダミー部材2は隣接した2つの表面板用板材1間に溝幅と同一幅の間隔を形成するものであれば良い。
【0011】
前記面組みとは、複数の表面板用板材1を一平面状に連結することで、例えばダミー部材2と隣接した表面板用板材1に亘って粘着テープ4を貼着して連結する。
前記粘着テープ4は仮表面板3の裏面においてダミー部材2と隣接した表面板用板材1に亘って貼着する。
つまり、図1(a)に示すように粘着テープ4を貼着した後に反転して図1(b)に示すように、粘着テープ4側の面(裏面)を基板10の表面に固着する。
なお、ダミー部材2の幅は意匠形成部材の幅と同一である。
なお、前述のように複数の表面板用板材1とダミー部材2を面組みする際に、ガイド部材を用い、そのガイド部材に表面板用板材1を押しつけて位置決めするようにしても良い。
【0012】
図1(b)に示すように、基板10の表面に仮表面板3を固着、好ましくは接着する。前記仮表面板3の固着とは表面板用板材1の固着であって、ダミー部材2は固着されなくとも良く、好ましくは固着されないことが良い。
この仮表面板3の接着の仕方は、基板10の表面に接着剤を塗布し、その上に接着して行うが、これに限ることはない。
前記基板10は化粧板としての大きさと同一であることが好ましいが、加工誤差等を考慮して若干大きくしてある。
【0013】
図1(c)に示すように、切断機、例えば丸ノコ11で周囲を正寸切断加工する。
この正寸切断工程は仮表面板3、基板10が化粧板と同一大きさの場合は不要である。
【0014】
図1(d)に示すように、ダミー部材3を取り外して隣接する表面板用板材1間に溝5を有する表面板6とする。
【0015】
前記表面板用板材1、基板10は、正寸切断する際に切断し易い材料が好ましい。例えば、木又は合成木などの木質系材料、樹脂系材料が好ましい。
なお、正寸切断しない場合には表面板用板材1、基板10の材料は何でも良く、特に限定されない。
また、ダミー部材2の材料は、切断する場合には前述の表面板用板材1、基板10と同様に切断し易い材料が好ましいが、切断しない場合には特に限定されない。
また、ダミー部材2と基板10の接着力は弱いことが好ましく、接着されないことが最も好ましい。
例えば、ダミー部材2の材質を、仮表面板3を基板10に接着する際に基板10の表面に塗布する接着剤に接着し難い材質とすること、ダミー部材2の接着面を凹凸を有する形状とすること、ダミー部材の接着面に接着し難いテープを貼着したり、接着し難い液体を塗布することが好ましい。これによって、ダミー部材2が基板10に接着剤によって強固に接着されないため、仮表面板3と基板10との接着後にダミー部材2を取り外す作業がやり易い。
また、基板10のダミー部材2と対向した部分には接着剤を塗布しないこと、ダミー部材2が基板10の表面に接しないことで、接着しないようにすることが最も好ましい。
【0016】
そして、図2(e)に示すように、溝5に意匠形成部材7を取付けることで、意匠形成部材7(意匠部)を有した表面板8とし、表面に意匠形成部材7(意匠部)を備えた化粧板とする。
なお、ダミー部材2を取り外すことで形成された溝の底部が意匠形成部材7で覆われるため、仮表面板3の裏面側に貼着された粘着テープ4が化粧板の完成後に露出することはない。したがって、ダミー部材2を取り外しする際に粘着テープ4を剥がす必要が無いため、作業性が向上する。なお、粘着テープ4を第1の実施の形態と同様に仮表面板の表面側に貼着しても構わない。
【0017】
前記意匠形成部材7は嵌め込みのみで取付けても良いし、接着剤で接着して取付けても良いし、両者を兼用して取付けても良い。
この意匠形成部材7の材質は特に限定されず、アルミ押出形材などを用いることができる。
前記意匠形成部材7の幅は、溝幅よりも小さくとも良い。この場合には、粘着テープ4を第1の実施の形態と同様に仮表面板3の表面に貼着し、ダミー部材2を取り外す際に剥離するようにすることが好ましい。
【0018】
前述の実施の形態では仮表面板3を面組みしてから基板10に固着したが、面組みせずに基板10の表面に複数の表面板用板材1をダミー部材2を介在して順次固着して仮表面板3としても良い。
つまり、基板10に、複数の表面板用板材1を、その隣接する表面板用板材1間にダミー部材2が介在した状態で固着して仮表面板3とすれば良い。
【0019】
次に、本発明の化粧板の製造方法を用いて図2に示すドア(フラッシュドア)を製造する方法を説明する。
前記ドアは、図2に示すように、上部寄りと下部寄りに幅方向に連続した上下一対の横意匠部材30、幅方向中間部に上下方向に連続した左右一対の縦意匠部材31、左右中央部に上下方に連続した意匠形成部材32を備え、横意匠部材30と縦意匠部材31は交差し、縦意匠部材31と意匠形成部材32は横意匠部材30部分で上下に不連続で、上部31a,32a、上下中間部31b,32b、下部31c,32cに上下に三分割されている。
表面板を形成する板部33は、上下左右寄りの4つの第1板部33a、上下中間左右寄りの2つの第2板部33b、上下左右中間の4つの第3板部33c、上下中間で左右中間の2つの第4板部33dに分割されている。
【0020】
図3(a)に示すように、前記第1・第2・第3・第4板部33a,33b,33c,33dに対応した4つの第1表面板用板材40a、2つの第2表面板用板材40b、4つの第3表面板用板材40c、2つの第4表面板用板材40dをそれぞれ作成する。
前記意匠形成部材32に対応したダミー部材41を作成する。
このダミー部材41は上下に三分割され、上部ダミー部材41a、上下中間部ダミー部材41b、下部第2ダミー部材41cを有する。
【0021】
図3(b)に示すように、各表面板用板材、横意匠部材30、縦意匠部材31、ダミー部材41を面組みして仮表面板42とする。
この実施の形態では紙粘着テープ43でそれぞれ接合連結して面組みしている。
また、各表面板用板材と各意匠部材とが隣り合う部分に図3に示すように接着剤23を塗布し、その接着剤23の上に不織布、例えば紙テープ24を貼りつける。
この仮表面板42を一対作成する。
【0022】
図4(a)に示すように、基板44(この場合には芯材と表現することが好ましい)の両面に接着剤45を塗布し、図4(b)に示すように基板44の両面に仮表面板42をそれぞれ接着する。
図4(c)に斜線で示すように、幅方向両端部分46を正寸切断して幅方向寸法を所定の寸法とする。
図4(d)に示すように、切断した幅方向両端面47に縦縁材48を接着剤49で接着して取付ける。
この状態で上下端部分を正寸切断して上下寸法を所定の寸法とする。
【0023】
図5(a)に示すように、ダミー部材41を取り外して溝50を形成し、図5(b)に示すように、基板44の溝50を形成する部分に接着剤51、両面テープ52を設け、意匠形成部材32を図5(c)に示すように溝50に接着して取付け、図2に示すドアとする。
図5に示すように、前記縦意匠部材31は、表面が凹んだ断面形状で、溝状の外観を示すようにしてある。横意匠部材30も同様としてある。
【0024】
前記意匠形成部材32の接着の仕方を詳細に説明する。
意匠形成部材32がアルミ押出形材を所定の長さに切断したものであるから、その接着面をエタノールなどを用いて拭いて切削油を除去する。
両面テープ52を溝50の幅方向両端部にそれぞれ接着し、その両面テープ52間に接着剤51を塗布する。
両面テープ52から離型紙をはがし、意匠形成部材32を接着して取付ける。
前記意匠形成部材32が断面ほぼコ字形状の場合には、意匠形成部材32の裏面にスポンジテープを貼り付け、このスポンジテープで溝50に接着するようにしても良い。
【0025】
前述したドアの製造方法を用いて小窓付きのドアを製造することができる。
例えば、図6に示すように仮表面板42と基板44を小窓と対応した形状の開口部42a,44aを有する形状として前述のように組み立てる。
前記開口部42a,44a内にガラス53を入れ、押え縁54を取付けてガラス52を支持することで小窓55とする。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、表面部分に溝加工せずにダミー部材2を取り外すことで形成された溝5を、意匠形成部材7を取付けるための溝とすることができるため、意匠形成部材7を取付けるために表面部分に溝加工せずに済む。よって、表面に意匠形成部材7を備えた化粧板を短時間に製造できるから、コストの安い化粧板の製造方法であるし、製造した化粧板の表面にはルーター加工の跡がなく仕上がりが良く、見栄えが良い化粧板が得られる。
【0027】
請求項2に係る発明によれば、あらかじめ面組みした仮表面板3を基板10に固着するので、仮表面板3を基板10に固着する作業がやり易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す工程順説明図である。
【図2】 ドアの正面図である。
【図3】 図2のドア用の表面板の製作説明図である。
【図4】 図2のドアの製造の工程順説明図である。
【図5】 図2のドアの製造の工程順説明図である。
【図6】 小窓付きドアの断面図である。
【符号の説明】
1…表面板用板材、2…ダミー部材、3…仮表面板、5…溝、7…意匠形成部材、10…基板。
Claims (2)
- 基板10に、複数の表面板用板材1を、その隣接する表面板用板材1間にダミー部材2が介在した状態で固着して仮表面板3とし、
その後に、前記ダミー部材2を隣接する表面板用板材1間から取り外すことで、前記隣接する表面板用板材1間に溝5を形成し、
前記溝5を形成した後に、その溝5に、意匠形成部材7を取付けることを特徴とする化粧板の製造方法。 - 複数の表面板用板材1を、ダミー部材2を介在してあらかじめ面組みして仮表面板3とし、
この仮表面板3を基板10に固着する請求項1記載の化粧板の製造方法。
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