JP3965266B2 - 自動車用ホイールキャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のホイールのハブとともにハブナットを一緒に覆うタイプの自動車用ホイールキャップに関し、小型・軽量で、かつ、ホイールハブに対する装着の容易性と外れにくさとを併せ持った新規な構成のホイールキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来のホイールキャップのほとんどは、円形キャップ状に構成されており、ホイールの中心に位置するホイールハブに加えてホイールハブの周囲に位置する4〜6個程度のハブナットを一緒に覆うため、径寸法がハブナットの径方向位置で規定されることになり大型化していた。
【0003】
また、この種のホイールキャップは、ホイールハブに対する装着の容易性と外れにくさとを併せ持つことが必要である。そのために、ホイールハブに対する留め手段に工夫がなされて来ている。1つの従来の代表的な留め手段は、留め手段として金属クリップを採用したものである。この金属クリップは、ホイールキャップの内周面に装着される。金属クリップは数個のバネフックを備えている。ホイールキャップをホイールハブに装着するとき、これらのバネフックがホイールハブのホイールキャップ係止用周溝(図5参照)又はハブナットに係合又は係止する。
【0004】
上記従来例によれば、バネフックのバネ力が働くので、ホイールハブに対する係合が容易であるとともに、外れにくいという利点がある。しかし、その反面、プラスチック製のホイールキャップ本体に加えて金属クリップが必要になるとともに、後者を前者に組み込む工程を必要とする。また、そのため、重量が増加するとともに、コストアップにもなる。
【0005】
他の留め手段として、ホイールキャップ本体と一体的にプラスチック成形されバネ爪を採用した従来例がある。このバネ爪は、通常、天壁の内面から複数個のバネ爪を延在させている。このバネ爪は上記バネフックと同様の作用をなす。この従来例もバネフックの例と同様の利点を有するが、バネ爪はキャップ本体の空間部に突出する形態であるため、プラスティック成形型のキャビティ形状が複雑化し、コストアップするという問題がある。
【0006】
これら従来例の不具合の原因を追求して行くと、大型化の技術的な問題点は、キャップ全体形状を円形キャップ状にするという固定概念に捕らわれていることに原因があり、また、コストアップの技術的な問題点は、バネフックやバネ爪等のバネ手段を設けている点に原因があることが判る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の解決すべき技術的課題は、形態的に小型化し、かつ、留め手段を従来のバネ手段に代わる手段で実現するとともに、装着容易かつ外れにくいという条件を満たす構成を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段・作用・効果】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、次の構成の自動車用ホイールキャップが提供される。
【0009】
このホイールキャップは、キャップ本体の壁面が、天壁とそれに連接する周壁とからなる。また、キャップ本体の全体形状が、ホイールハブを覆う1つの中心部と、該中心部からこぶ状に膨出して各ハブナットを覆う複数個の膨出部とからなる。中心部の各周壁部分の内面には、ホイールハブのホイールキャップ係止用周溝に係合可能な係合突起が一体成形により形成される。各膨出部の各周壁部分は、係合突起がホイールキャップ係止用周溝に係合する際にバネ作用を果たす。
【0010】
上記構成において、好ましくは、ホイールハブに対するホイールキャップの装着時にホイールハブの先端部に当接して、ホイールキャップのホイールハブに対する装着位置を規制する位置決めリブを、上記キャップ本体の中心部の各周壁部分の内面に備える。
【0011】
上記係合突起は、中心部のすべての周壁部分に形成されることが好ましい。自動車のハブナットの個数は通常3個〜6個であるので、こぶ状の膨出部及び中心部の周壁部分も3個〜6個になる。
【0012】
本発明の第1の特徴は、キャップ本体の全体形状が、ホイールハブを覆う1つの中心部と、該中心部からこぶ状又はアメーバ状に膨出して各ハブナットを覆う複数個の膨出部とからなる点にある。この構成によれば、隣り合うこぶ状の膨出部間は空間であってホイールキャップの一部ではないので、ホイールキャップ全体が小型になる利点がある。
【0013】
本発明の第2の特徴は、キャップ留め手段として、従来のバネ手段に代えて、キャップ本体と一体成形された単純な係合突起を採用し、かつ、各膨出部の各周壁部分に、係合突起がホイールキャップ係止用周溝に係合する際のバネ機能を持たせた点にある。ホイールキャップをホイールハブに装着するときは、ホイールキャップをホイールハブに向けて押し込んで行く。そうすると、先ず始めに、各係合突起がホイールハブの先端部外面に圧接する。このとき、中心部の周壁部分は、ホイールハブからの反力で外側に押し広げられようとするが、各膨出部の周壁部分がそのバネ作用により弾性変形するので、比較的小さな押し込み力で容易にホイールキャップをホイールハブに押し込むことができる。さらに、ホイールキャップを押し込んでいくと、各係合突起はホイールハブのホイールキャップ係止用周溝に落ち込んで嵌合する。このとき、弾性変形していた各膨出部の周壁部分がスプリングバックし、各係合突起の周溝に対する係合を確かなものにする。キャップ装着が終了した装着状態においては、位置決めリブがハブ先端部にほぼ接触する。従って、もし、外力がホイールキャップにかかっても、それ以上深い位置まで移動することはない。
【0014】
上記構成によれば、係合突起が周溝にしっかり係合するので、自動車の走行時にホイールキャップがホイールハブから簡単に離脱するようなことはない。
【0015】
本発明によれば、変形代の必要なバネ手段を用いず、キャップ周壁自体のバネ作用を利用しているので、部品点数も少なく、ローコストにできるという利点がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発の一実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1〜図3によく示されるように、このホイールキャップ1は、従来の円形キャップ状ではなく、キャップ本体の全体形状が、ホイールハブ12を覆う1つの中心部2(図3中一点鎖線で示している)と、該中心部2からこぶ状又はアメーバ状に膨出して各ハブナット10(図5参照)を覆う複数個の膨出部3a〜3dとからなる。
【0018】
従って、キャップ本体の壁面も、中心部2及び膨出部3a〜3dの天壁4aと、それに連接する中心部2及び膨出部3a〜3dの周壁4bとからなる。本実施形態は、ハブナットが4つであるホイールに適用するホイールキャップ1を例示しているので、膨出部3a〜3dの個数も4つである。図3によく示されるように、中心部2は四角形、又は、一点鎖線で示すような八角形であり、互いに対向する2対の周壁部分2a〜2dを有している。これらの周壁部分2a〜2dは何れも平面視直板状である。
【0019】
中心部の各周壁部分2a〜2dの内面には、ホイールハブ12のホイールキャップ係止用周溝11(図5参照)に係合可能な係合突起5がプラスティック一体成形により形成されている。各係合突起5は、軸心方向底部に傾斜面4aを有する台形状のものである。
【0020】
図2によく示されるように、各係合突起5の軸心方向上方(図2では下方)には、位置決めリブ6を周壁部分2a〜2dに形成している。このリブ6は、補強リブ7と一体的に形成されていて、周壁部分2a〜2dの内面よりコの字状に突出している。位置決めリブ6は、ホイールキャップ1のホイールハブ12に対する装着時にホイールハブ12の先端部に当接して、ホイールキャップ1のホイールハブ12に対する装着位置を規制するためのものである(図5参照)。
【0021】
係合突起5及び位置決めリブ6は、次に述べるキャップ嵌め込み操作が可能なような位置関係に形成されている。
【0022】
図5において、8はホイールリム、9はホイールディスク、12はホイールハブである。ホイールハブ12の先端部近傍外面にはホイールキャップ係止用周溝11が形成されている。図に示すように、ホイールキャップ1はホイールハブ8aに押し込まれて装着される。このとき、各係合突起5の傾斜面5aがハブ8aの先端部を乗り越えてハブ外周面に当接する。そうすると、ハブからの反力を受けて中心部2の周壁部分2a〜2dは径方向外側に拡大変形しようとするが、このとき、各膨出部3a〜3dの周壁部分2a〜2d自体が容易に変形して、周壁部分2a〜2dの拡大変形を弾力的に吸収する。従って、周壁部分2a〜2dは容易に変形でき、ホイールキャップの嵌め込み力は小さい。
【0023】
ホイールキャップ1をさらに押し込めば、各係合突起5は周溝11に嵌合する。このとき、各周壁部分2a〜2dは、膨出部3a〜3dの周壁部分2a〜2dのスプリングバック力で元の位置に復帰し、各係合突起5は周溝11にしっかり係合し、自動車の走行中にホイールキャップ1が容易に離脱するようなことはない。
【0024】
本実施例によれば、留め手段としてバネ手段を用いず、キャップ周壁自体のバネ作用を利用しているので、部品点数も少なく、ローコストにできるという利点がある。
【0025】
以上説明したように、本実施例によれば、本発明の所期の課題を十分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るホイールキャップを前方から見た斜視図である。
【図2】 図1のホイールキャプを裏面側から見た斜視図である。
【図3】 図1のホイールキャップの平面図である。
【図4】 図3のA−A線断面図である。
【図5】 図1〜図3のホイールキャップを自動車用ホイールに装着した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ホイールキャップ
2 中心部
2a〜2d 中心部の周壁部分
3a〜3d 膨出部
4a 天壁
4b 周壁
5 係合突起
5a 傾斜面
6 位置決めリブ
7 補強リブ
8 ホイールリム
9 ホイールディスク
10 ハブナット
11 ホイールキャップ係止用周溝
12 ホイールハブ

Claims (3)

  1. キャップ本体の壁面が、天壁(4a)とそれに連接する周壁(4b)とからなり、キャップ本体の全体形状が、ホイールハブ(12)を覆う1つの中心部(2)と、該中心部(2)からこぶ状に膨出して各ハブナット(10)を覆う複数個の膨出部(3a〜3d)とからなり、
    中心部(2)の各周壁部分(2a〜2d)の内面には、ホイールハブ(12)のホイールキャップ係止用周溝(11)に係合可能な係合突起(5)が一体成形により形成され、
    各膨出部(3a〜3d)の各周壁部分(2a〜2d)が、係合突起(5)がホイールキャップ係止用周溝(11)に係合する際にバネ作用を果たすことを特徴とする自動車用ホイールキャップ。
  2. ホイールハブ(12)に対するホイールキャップ(1)の装着時にホイールハブ(12)の先端部に当接して、ホイールキャップ(1)のホイールハブ(12)に対する装着位置を規制する位置決めリブ(6)を、上記キャップ本体の中心部(2)の各周壁部分(2a〜2d)の内面に備えたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ホイールキャップ。
  3. 上記係合突起(5)は、3個〜6個であることを特徴とする請求項1記載の自動車用ホイールキャップ。
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