JP3965186B2 - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばハードディスク駆動装置(HDD)といった磁気記録媒体駆動装置で使用されることができる垂直磁気記録媒体に関する。
ハードディスク(HD)といった磁気記録媒体の分野では垂直磁気記録媒体は広く知られる。垂直磁気記録媒体では、表面で記録磁性層を受け止める軟磁性の裏打ち層が組み込まれる。いわゆる単磁極ヘッドから磁界が作用すると、裏打ち層の鏡像効果に基づき、基板の表面に直交する垂直方向に記録磁性層の磁化は強められることができると考えられてきた。実際には、裏打ち層が組み込まれても、期待されるとおりに記録磁性層で垂直方向に磁化が強められることはできない。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、基板の表面に直交する垂直方向に磁化を強めることができる垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、基板と、基板の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸を有する記録磁性層と、表面で記録磁性層を受け止め、前記垂直方向に沿って磁化容易軸を有する補助磁性層とを備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体が提供される。
こういった垂直磁気記録媒体では、補助磁性層で容易に垂直方向に磁化は確立されることができる。したがって、記録磁性層の表面に直交する垂直方向から磁束が流通すると、そういった磁束は記録磁性層の全域にわたって垂直方向に流通することができる。記録磁性層では確実に垂直方向に磁化は確立される。こうして記録磁性層から漏れ出る磁化すなわち記録磁界は強められる。特に、こういった記録磁性層によれば、隣接する磁気情報(2値情報)同士の境界で記録磁界は強められることができる。
補助磁性層は記録磁性層の保磁力よりも小さい保磁力を有することが望まれる。特に、補助磁性層の膜厚と残留磁束密度との積は記録磁性層の膜厚と残留磁束密度との積の5分の1以下に設定されることが望まれる。こういった残留磁化膜厚積の設定によれば、補助磁性層から漏れ出る磁界は極力抑制されることができる。磁気情報の読み出しにあたって補助磁性層の影響は極力排除されることができる。こういった補助磁性層は、少なくともCoを含む磁性膜と、少なくともPt、Pd、AuおよびAgのいずれかを含む非磁性膜との積層体で構成されればよい。
以上のような垂直磁気記録媒体には、表面で補助磁性層を受け止め、基板の面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性の裏打ち層がさらに組み込まれてもよい。垂直磁気記録媒体に例えば単磁極ヘッドが向き合わせられると、周知の通りに、単磁極ヘッドの主磁極、補助磁極および裏打ち層で磁束の循環経路が形成されることができる。例えば主磁極の先端から漏れ出る磁束は垂直方向に沿って裏打ち層まで導かれる。裏打ち層で磁束は基板の面内方向に流通する。その後、磁束は裏打ち層から補助磁極に向かって垂直方向に流通する。こうして記録磁性層には垂直方向に磁化は確立されることができる。
その他、垂直磁気記録媒体には、表面で補助磁性層を受け止める非磁性層と、表面で非磁性層を受け止め、基板の面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性の裏打ち層とが同時に組み込まれてもよい。こういった垂直磁気記録媒体によれば、前述と同様に、裏打ち層の働きで記録磁性層には確実に垂直方向に磁化が確立されることができる。しかも、補助磁性層と裏打ち層との間に非磁性層が挟み込まれれば、補助磁性層と裏打ち層との磁気的相互作用は阻止されることができる。こうして磁気的相互作用が阻止されれば、磁気情報は確実に読み取られることができる。
なお、以上のような垂直磁気記録媒体は、例えばハードディスク駆動装置(HDD)に組み込まれて利用されてもよく、その他の磁気記録媒体駆動装置に組み込まれて利用されてもよい。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は、例えば平たい直方体の内部空間を区画する箱形の筐体本体12を備える。収容空間には、記録媒体としての1枚以上の磁気ディスク13が収容される。磁気ディスク13はスピンドルモータ14の回転軸に装着される。スピンドルモータ14は例えば7200rpmや10000rpmといった高速度で磁気ディスク13を回転させることができる。筐体本体12には、筐体本体12との間で収容空間を密閉する蓋体すなわちカバー(図示されず)が結合される。
収容空間にはヘッドアクチュエータ15がさらに収容される。このヘッドアクチュエータ15は、垂直方向に延びる支軸16に回転自在に支持されるアクチュエータブロック17を備える。アクチュエータブロック17には、支軸16から水平方向に延びる剛体のアクチュエータアーム18が規定される。アクチュエータアーム18は磁気ディスク13の表面および裏面ごとに配置される。アクチュエータブロック17は例えば鋳造に基づきアルミニウムから成型されればよい。
アクチュエータアーム18の先端にはヘッドサスペンション19が取り付けられる。ヘッドサスペンション19は、アクチュエータアーム18の先端から前方に向かって延びる。周知の通り、ヘッドサスペンション19の前端には浮上ヘッドスライダ21が支持される。こうして浮上ヘッドスライダ21はアクチュエータブロック17に連結される。浮上ヘッドスライダ21は磁気ディスク13の表面に向き合わせられる。
浮上ヘッドスライダ21にはいわゆる磁気ヘッドすなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。この電磁変換素子は、例えば、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用して磁気ディスク13から情報を読み出す巨大磁気抵抗効果素子(GMR)やトンネル接合磁気抵抗効果素子(TMR)といった読み出し素子(図示されず)と、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用して磁気ディスク13に情報を書き込む単磁極ヘッドといった書き込み素子(図示されず)とで構成されればよい。
浮上ヘッドスライダ21には、磁気ディスク13の表面に向かってヘッドサスペンション19から押し付け力が作用する。磁気ディスク13の回転に基づき磁気ディスク13の表面で生成される気流の働きで浮上ヘッドスライダ21には浮力が作用する。ヘッドサスペンション19の押し付け力と浮力とのバランスで磁気ディスク13の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ21は浮上し続けることができる。
アクチュエータブロック17には例えばボイスコイルモータ(VCM)といった動力源22が接続される。この動力源22の働きでアクチュエータブロック17は支軸16回りで回転することができる。こうしたアクチュエータブロック17の回転に基づきアクチュエータアーム18およびヘッドサスペンション19の揺動は実現される。浮上ヘッドスライダ21の浮上中に、支軸16回りでアクチュエータアーム18が揺動すると、浮上ヘッドスライダ21は半径方向に磁気ディスク13の表面を横切ることができる。周知の通り、複数枚の磁気ディスク13が筐体本体12内に組み込まれる場合には、隣接する磁気ディスク13同士の間で2本のアクチュエータアーム18すなわち2つのヘッドサスペンション19が配置される。
図2は磁気ディスク13の断面構造を詳細に示す。この磁気ディスク13は、支持体としての基板31と、多層構造膜32とを備える。基板31は例えばガラス基板で構成されればよい。ただし、基板31はディスク形のAl本体と、Al本体の表裏面に広がるNiP膜とで構成されてもよい。多層構造膜32に磁気情報は記録される。多層構造膜32の表面は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)といった保護膜33や、パーフルオロポリエーテルといった潤滑膜34で被覆される。
多層構造膜32は記録磁性層36を備える。記録磁性層36では、基板31の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸が揃えられる。こういった磁化容易軸の確立にあたって記録磁性層36は例えば極薄膜の積層体から構成されればよい。この積層体では磁性膜および非磁性膜が交互に積層される。磁性膜には例えば膜厚0.3nm程度のCoBO膜が用いられればよい。非磁性膜には例えば膜厚1.0nm程度のPdO膜が用いられればよい。ここでは、CoBO膜およびPdO膜は交互に20層ずつ積層される。記録磁性層36に磁気情報は記録される。
記録磁性層36は補助磁性層37の表面に受け止められる。補助磁性層37では、記録磁性層36と同様に、基板31の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸が揃えられる。こういった磁化容易軸の確立にあたって補助磁性層37は例えば極薄膜の積層体から構成されればよい。この積層体では磁性膜および非磁性膜が交互に積層される。磁性膜には例えばCo膜やCoを含む合金膜が用いられればよい。磁性膜の膜厚は例えば0.5nm程度に設定されればよい。非磁性膜には例えば膜厚0.7nm程度のAu膜が用いられればよい。ここでは、Co膜およびAu膜は交互に4層ずつ積層される。
補助磁性層37の保磁力は記録磁性層36のそれよりも小さく設定される。しかも、補助磁性層37では、記録磁性層36に比べて垂直方向に磁化されやすいことが望まれる。したがって、補助磁性層37の保磁力は40[kA/m]以下に設定されればよい。補助磁性層37の保磁力角形比は0.9以上に設定されればよい。加えて、補助磁性層37の残留磁化膜厚積(tBr)は記録磁性層36の残留磁化膜厚積の5分の1以下に設定されることが望まれる。ここで、残留磁化膜厚積とは、磁性膜の膜厚tと残留磁束密度Brとの積に相当する。
補助磁性層37は裏打ち層38の表面に受け止められる。裏打ち層38は例えばFeTaCといった軟磁性体から構成されればよい。裏打ち層38では、基板31の表面に平行に規定される面内方向に磁化容易軸は確立される。裏打ち層38では100以上の透磁率が確保されることが望まれる。図2から明らかなように、補助磁性層37と裏打ち層38との間には非磁性層39が配置されてもよい。非磁性層39は例えばPdといった非磁性金属材料から構成されればよい。
裏打ち層38は基板31の表面に受け止められる。このとき、裏打ち層38と基板31との間には密着膜41が配置されてもよい。密着膜41は例えばTaといった金属材料から構成されればよい。密着膜41は裏打ち層38と基板31との密着性を強める。
いま、磁気ディスク13に磁気情報が書き込まれる場面を想定する。図3に示されるように、磁気情報の書き込みにあたっていわゆる単磁極ヘッド42は用いられる。単磁極ヘッド42の主磁極42aおよび補助磁極42bは磁気ディスク13の表面に向き合わせられる。主磁極42a、補助磁極42bおよび裏打ち層38には磁束の循環経路が形成される。
例えば主磁極42aの先端から漏れ出る磁束43は、基板31の表面に直交する垂直方向に沿って裏打ち層38まで導かれる。裏打ち層38で磁束43は基板31の面内方向に流通する。その後、磁束43は裏打ち層38から補助磁極42bに向かって垂直方向に流通する。こうして記録磁性層36には垂直方向に磁化は確立される。
このとき、補助磁性層37では垂直方向に磁化が確立されることから、確実に記録磁性層36では垂直方向に磁束は流通する。記録磁性層36では全域にわたって確実に垂直方向に磁化は確立される。こうして記録磁性層36から垂直方向に漏れ出る磁界すなわち記録磁界は強められる。特に、こういった記録磁性層36によれば、隣接する磁気情報(2値情報)同士の境界で記録磁界は強められることができる。その一方で、従来のように記録磁性層36が軟磁性の裏打ち層38に直接に受け止められると、記録磁性層36では、裏打ち層38との境界に近づくにつれて磁化は垂直方向から逸脱しやすい。記録磁界は弱まってしまう。
しかも、補助磁性層37では、残留磁化膜厚積が記録磁性層36の残留磁化膜厚積の5分の1以下に設定される。したがって、補助磁性層37から漏れ出る磁界は極力抑制されることができる。磁気情報の読み出しにあたって補助磁性層37の影響は極力排除されることができる。その一方で、補助磁性層37の漏れ磁界が大きいと、記録磁性層36から漏れ出る磁界すなわち記録磁界に補助磁性層37の漏れ磁界は紛れ込んでしまう。磁気情報の読み取りは阻害されてしまう。
さらに、前述のように補助磁性層37と裏打ち層38との間に非磁性層39が挟み込まれれば、補助磁性層37と裏打ち層38との磁気的相互作用は阻止されることができる。こうして磁気的相互作用が阻止されれば、磁気情報は確実に読み取られることができる。その一方で、そういった磁気的相互作用が大きく働くと、記録磁性層36から漏れ出る磁界すなわち記録磁界に磁気的影響が及んでしまう。磁気情報の読み取りは阻害されてしまう。
次に磁気ディスク13の製造方法を簡単に説明する。まず、ディスク形の基板31は用意される。基板31は例えばスパッタリング装置に装着される。スパッタリング装置内で基板31の表面には多層構造膜32が形成される。形成方法の詳細は後述される。その後、多層構造膜32の表面には膜厚4.0nm程度の保護膜33が積層形成される。積層形成にあたって例えばCVD法(化学的気相蒸着法)が用いられる。保護膜33の表面には膜厚1.0nm程度の潤滑膜34が塗布される。塗布にあたって基板31は例えばパーフルオロポリエーテルを含む溶液に浸されればよい。
スパッタリング装置ではいわゆるDCマグネトロンスパッタリング法に基づき多層構造膜32は成膜される。図4に示されるように、基板31の表面には密着膜41すなわちTa層45が成膜される。成膜にあたってスパッタリング装置にはTaターゲットが装着される。Ta原子は基板31の表面に堆積する。Ta層45の膜厚は例えば1.0nm程度に設定される。
続いて図5に示されるように、Ta層45の表面には裏打ち層38すなわちFeTaC層46が成膜される。成膜にあたってスパッタリング装置にはFeTaCターゲットが装着される。Ta層45の表面にはFe原子、Ta原子およびC原子が堆積する。FeTaC層46の膜厚は例えば300nm程度に設定される。
続いて図6に示されるように、FeTaC層46の表面には非磁性層39すなわちPd層47が成膜される。成膜にあたってスパッタリング装置にはPdターゲットが装着される。Pd原子はFeTaC層46の表面に堆積する。Pd層47の膜厚は例えば5.0nm程度に設定される。
続いて図7に示されるように、Pd層47の表面には補助磁性層37すなわち極薄膜の積層体48が形成される。膜厚0.5nmのCo層48aと膜厚0.7nmのAu層48bとが交互に成膜される。Co層48aの成膜とAu層48bの成膜とは4回にわたって繰り返される。こうして4層構造の積層体48は形成される。
続いて図8に示されるように、積層体48の表面には記録磁性層36すなわち極薄膜の積層体49が形成される。膜厚0.3nmのCoBO層49aと膜厚1.0nmのPdO層49bとが交互に成膜される。ここでは、CoBO層49aの成膜とPdO層49bの成膜とは20回にわたって繰り返される。こうして20層構造の積層体49は形成される。
本発明者は、以上のように製造された磁気ディスク13の特性を検証した。検証にあたって磁気ディスク13には磁気情報が書き込まれた。磁気情報の書き込みには単磁極ヘッドが用いられた。その後、書き込まれた磁気情報は読み出された。読み出しにあたってスピンバルブ磁気抵抗効果ヘッドは用いられた。前述の通り、単磁極ヘッドやスピンバルブ磁気抵抗効果ヘッドは浮上ヘッドスライダ21に搭載された。浮上ヘッドスライダ21の浮上量は15.0nmに設定された。浮上ヘッドスライダ21と磁気ディスク13との相対速度は10.0[m/s]に設定された。
検証にあたって本発明者は比較例を用意した。この比較例では前述の補助磁性層37は省略された。すなわち、非磁性層39の表面に直接に記録磁性層36は積層形成された。その他の構造は本実施形態に係る磁気ディスク13と同様に構成された。
本発明者は、単磁極ヘッドのコイルパターンに供給される書き込み電流の電流値を変化させつつ磁気ディスクに磁気情報を書き込んだ。磁気情報は440[kFCI]の線記録密度で書き込まれた。磁気情報の読み出しにあたって再生出力には基準値[1.0]が設定された。この基準値[1.0]の確立にあたって書き込み電流には50[mA]の電流値が設定された。各電流値ごとに再生出力は測定された。図9に示されるように、本実施形態に係る磁気ディスク13では、比較例に係る磁気ディスクに比べて小さな電流値で基準値[1.0]に相当する再生出力は確保されることが確認された。
次に、本発明者は、書き込まれた磁気情報の磁界分布を検証した。この検証にあたって、例えば図10に示されるように、磁気ディスクには2本の記録トラック51、52が確立された。一方の記録トラック51には110[kFCI]の線記録密度で磁気情報が書き込まれた。書き込み電流の電流値は30[mA]に設定された。他方の記録トラック52には440[kFCI]の線記録密度で磁気情報が書き込まれた。この書き込みにあたって書き込み電流には様々な電流値が設定された。単磁極ヘッドのコア幅は0.6μmに設定された。記録トラック同士の間隔は0.3μmに設定された。
記録トラック51、52に基づき磁気情報は読み出された。再生出力の測定にあたってスペクトラムアナライザは用いられた。図11に示されるように、再生出力には最大磁界の位置で基準値[1.0]が設定された。同時に、2つの記録トラック51、52で、基準値[1.0]の50%の再生出力が確保される位置が特定された。特定された位置同士の間隔は「サイドイレーズ幅」として定義された。
図12に示されるように、本実施形態に係る磁気ディスク13では、書き込み電流の大きさに拘わらず、比較例に係る磁気ディスクに比べて小さいサイドイレーズ幅が実現されることが確認された。すなわち、本実施形態に係る磁気ディスク13では、隣接する記録トラック同士の境界に近づいても十分な大きさの磁界は確保されることが確認された。
次に、本発明者は、本実施形態に係る磁気ディスク13で再生出力と裏打ち層38の透磁率との間で相関関係を検証した。検証にあたって本発明者は複数の磁気ディスク13を用意した。個々の磁気ディスク13ごとに裏打ち層38では異なる透磁率は設定された。磁気情報の書き込みにあたって書き込み電流には様々な電流値が設定された。ここで、再生出力の飽和値が検出された。飽和値の90%の再生出力を実現する書き込み電流の電流値(Iw90)が特定された。図13から明らかなように、裏打ち層38で100以上の透磁率が確保されると、記録磁性層36では小さな電流値で十分に磁化が確立されることが確認された。
次に、本発明者は、本実施形態に係る磁気ディスク13のS/N比を測定した。測定にあたって本発明者は複数の磁気ディスク13を用意した。個々の磁気ディスク13ごとに記録磁性層36の残留磁化膜厚積と補助磁性層37の残留磁化膜厚積との比には様々な値が設定された。磁気ディスク13には300[kFCI]の線記録密度で磁気情報が書き込まれた。図14から明らかなように、補助磁性層37の残留磁化膜厚積が記録磁性層36の残留磁化膜厚積の5分の1以下に設定されると、良好なS/N比が確保されることが確認された。ここでは、いずれの磁気ディスク13でも補助磁性層37の膜厚は4.8nmに設定された。ただし、補助磁性層37の保磁力は14.3〜19.1[kA/m]の範囲に確保された。同様に、補助磁性層37では0.92〜0.96の範囲で保磁力角形比は確保された。
さらに、本発明者は、本実施形態に係る磁気ディスク13のS/N比を測定した。測定にあたって本発明者は複数の磁気ディスク13を用意した。個々の磁気ディスク13ごとに補助磁性層37で異なる膜厚は設定された。その他の条件は前述と同様に設定された。図15に示されるように、補助磁性層37の膜厚が5.0nm以下に設定されると、良好なS/N比が確保されることが確認された。
さらにまた、本発明者は、本実施形態に係る磁気ディスク13のS/N比を測定した。測定にあたって本発明者は複数の磁気ディスク13を用意した。個々の磁気ディスク13ごとに非磁性層39で異なる膜厚は設定された。その他の条件は前述と同様に設定された。図16に示されるように、非磁性層39の膜厚が5.0nm程度に設定されると、良好なS/N比が確保されることが確認された。
磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)の内部構造を概略的に示す平面図である。 磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。 磁気情報の書き込みにあたって書き込み磁界の様子を概念的に示す浮上ヘッドスライダおよび磁気ディスクの拡大部分断面図である。 密着膜の成膜工程を概念的に示す基板の垂直部分断面図である。 裏打ち層の成膜工程を概念的に示す基板の垂直部分断面図である。 非磁性層の成膜工程を概念的に示す基板の垂直部分断面図である。 補助磁性層の成膜工程を概念的に示す基板の垂直部分断面図である。 記録磁性層の成膜工程を概念的に示す基板の垂直部分断面図である。 書き込み電流の電流値と再生出力との関係を示すグラフである。 磁界分布の検証にあたって磁気ディスク上に確立される記録トラックの概念を示す拡大部分平面図である。 いわゆるサイドイレーズ幅の概念を示す磁界分布のグラフである。 書き込み電流の電流値とサイドイレーズ幅との関係を示すグラフである。 書き込み電流の電流値(Iw90)と裏打ち層の透磁率との関係を示すグラフである。 補助磁性層および記録磁性層の間で特定される残留磁化膜厚積の倍率とS/N比との関係を示すグラフである。 補助磁性層の膜厚とS/N比との関係を示すグラフである。 非磁性層の膜厚とS/N比との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 基板と、基板の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸を有する記録磁性層と、表面で記録磁性層を受け止め、前記垂直方向に沿って磁化容易軸を有し、記録磁性層の保磁力よりも小さい保磁力を有する補助磁性層とを備え、補助磁性層の膜厚と残留磁束密度との積は記録磁性層の膜厚と残留磁束密度との積の5分の1以下に設定されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、前記補助磁性層は、少なくともCoを含む磁性膜と、少なくともPt、Pd、AuおよびAgのいずれかを含む非磁性膜との積層体で構成されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、表面で前記補助磁性層を受け止め、基板の面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性の裏打ち層をさらに備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  4. 請求項3に記載の垂直磁気記録媒体において、前記補助磁性層は、少なくともCoを含む磁性膜と、少なくともPt、Pd、AuおよびAgのいずれかを含む非磁性膜との積層体で構成されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  5. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、前記補助磁性層の膜厚は5nm以下の値に設定されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  6. 請求項1に記載の垂直磁気記録媒体において、表面で前記補助磁性層を受け止める非磁性層と、表面で非磁性層を受け止め、基板の面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性の裏打ち層とをさらに備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  7. 請求項6に記載の垂直磁気記録媒体において、前記補助磁性層は、少なくともCoを含む磁性膜と、少なくともPt、Pd、AuおよびAgのいずれかを含む非磁性膜との積層体で構成されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  8. 請求項6に記載の垂直磁気記録媒体において、前記補助磁性層の膜厚は5nm以下の値に設定されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  9. 請求項6に記載の垂直磁気記録媒体において、前記非磁性層の膜厚は5nm以下の値に設定されることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
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