JP2009301631A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さな注入エネルギーで簡単にビットパターンドメディアを製造することができる磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1磁性層51および第2磁性層53で非磁性層52を挟み込む積層体が形成される。第2磁性層53の表面から非磁性層52に向かってイオンが注入される。その結果、第2磁性層53の表面からイオンの注入方向に延びる注入領域で非記録領域27が形成される。同時に、非記録領域27で相互に隔てられる記録領域26が形成される。こうした製造方法では、イオンのターゲットすなわち非磁性層52は第2磁性層53の表面から近い距離に配置される。イオンの注入エネルギーは小さく抑えられる。第2磁性層53の表面の損傷は抑制される。注入エネルギーの抑制に基づき例えばイオン注入機の消費電力は低く抑えられる。ビットパターンドメディアの製造コストは抑制される。ビットパターンドメディアは簡単に製造される。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えばビットパターンドメディアといった磁気記録媒体の製造方法に関する。
いわゆるビットパターンドメディアは広く知られる。ビットパターンドメディアでは記録磁性層の表面で複数列の記録トラックが同心円状に延びる。例えば個々の記録トラックでは1列または複数列に磁性ピラーが配列される。磁性ピラー同士は非磁性体の働きで相互に磁気的に分離される。垂直磁気記録の実現にあたって軟磁性の裏打ち層上に記録磁性層は積層される。書き込みヘッドから漏れ出る磁界は裏打ち層の働きで記録磁性層の表面に垂直に記録磁性層を突き抜ける。
特開2002−288813号公報
こうしたビットパターンドメディアの製造にあたって、単層の磁性層に例えば窒素イオンや酸素イオンといったイオンが注入される。注入された領域では磁性層の磁気特性が変化する。こうして注入された領域は例えば非磁性体を形成する。しかしながら、こうした磁気特性の変化の実現にあたってイオンは大きな注入エネルギーで磁性層に注入されなければならない。こうした大きな注入エネルギーはビットパターンドメディアの表面の損傷を発生させてしまう。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、小さな注入エネルギーで簡単にビットパターンドメディアを製造することができる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、磁気記録媒体の製造方法は、第1磁性層および第2磁性層で非磁性層を挟み込む積層体を形成する工程と、前記第2磁性層の表面から前記非磁性層に向かってイオンを注入し、前記第2磁性層の表面から前記イオンの注入方向に延びる注入領域で形成される非記録領域、および、前記非記録領域で相互に隔てられる複数の記録領域を形成する工程とを備えることを特徴とする。
こうした製造方法では、イオンのターゲットすなわち非磁性層は第2磁性材料の表面から近い位置に距離に配置される。その結果、イオンの注入エネルギーは小さく抑えられる。第2磁性層の表面の損傷は抑制される。しかも、注入エネルギーの抑制に基づき例えばイオン注入機の消費電力は低く抑えられる。ビットパターンドメディアの製造コストはこれまで以上に抑制される。こうしてビットパターンドメディアは簡単に製造される。
以上のように、磁気記録媒体の製造方法は、小さな注入エネルギーで簡単にビットパターンドメディアを製造することができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は筐体すなわちハウジング12を備える。ハウジング12は箱形のベース13およびカバー(図示されず)から構成される。ベース13は例えば平たい直方体の内部空間すなわち収容空間を区画する。ベース13は例えばアルミニウムといった金属材料から鋳造に基づき成形されればよい。カバーはベース13の開口に結合される。カバーとベース13との間で収容空間は密閉される。カバーは例えばプレス加工に基づき1枚の板材から成形されればよい。
収容空間には記憶媒体の一具体例すなわち1枚以上の磁気ディスク14が収容される。磁気ディスク14はスピンドルモータ15の回転軸に装着される。スピンドルモータ15は例えば5400rpmや7200rpm、10000rpm、15000rpmといった高速度で磁気ディスク14を回転させることができる。後述されるように、個々の磁気ディスク14はいわゆる垂直磁気記憶媒体に構成される。
収容空間にはキャリッジ16がさらに収容される。キャリッジ16はキャリッジブロック17を備える。キャリッジブロック17は、ベース13の底板から垂直方向に立ち上がる支軸18に回転自在に連結される。キャリッジブロック17には、支軸18から水平方向に延びる複数のキャリッジアーム19が区画される。キャリッジブロック17は例えば押し出し成型に基づきアルミニウムから成型されればよい。
個々のキャリッジアーム19の先端にはヘッドサスペンション21が取り付けられる。ヘッドサスペンション21はキャリッジアーム19の先端から前方に延びる。ヘッドサスペンション21にはフレキシャが張り合わせられる。フレキシャ上には浮上ヘッドスライダ22が支持される。フレキシャに基づき浮上ヘッドスライダ22はヘッドサスペンション21に対してその姿勢を変化させることができる。浮上ヘッドスライダ22にはヘッド素子すなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。
電磁変換素子は書き込みヘッド素子と読み出しヘッド素子とを備える。書き込みヘッド素子にはいわゆる単磁極ヘッドが用いられる。単磁極ヘッドは薄膜コイルパターンの働きで磁界を生成する。磁界は主磁極および副磁極の働きで単磁極ヘッドおよび磁気ディスク14を循環する。こういった循環の働きで、磁気ディスク14の表面に直交する垂直方向に磁界は誘導される。この磁界の働きで磁気ディスク14に情報は書き込まれる。その一方で、読み出しヘッド素子には巨大磁気抵抗効果(GMR)素子やトンネル接合磁気抵抗効果(TMR)素子が用いられる。GMR素子やTMR素子では、磁気ディスク14から作用する磁界の向きに応じてスピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化が引き起こされる。こういった抵抗変化に基づき磁気ディスク14から情報は読み出される。
磁気ディスク14の回転に基づき磁気ディスク14の表面で気流が生成されると、気流の働きで浮上ヘッドスライダ22には正圧すなわち浮力および負圧が作用する。浮力および負圧とヘッドサスペンション21の押し付け力とが釣り合うことで磁気ディスク14の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ22は浮上し続けることができる。
キャリッジブロック17にはボイスコイルモータ(VCM)23が連結される。ボイスコイルモータ23の働きでキャリッジブロック17は支軸18回りで回転することができる。こうしたキャリッジブロック17の回転に基づきキャリッジアーム19およびヘッドサスペンション21の揺動は実現される。浮上ヘッドスライダ22の浮上中に支軸18回りでキャリッジアーム19が揺動すると、浮上ヘッドスライダ22は磁気ディスク14の半径線に沿って移動することができる。その結果、浮上ヘッドスライダ22上の電磁変換素子は最内周記録トラックと最外周記録トラックとの間でデータゾーンを横切ることができる。こうした浮上ヘッドスライダ22の移動に基づき電磁変換素子は目標記録トラックに対して位置決めされる。
ヘッドサスペンション21の先端には、ヘッドサスペンション21の先端から前方に延びるロードタブ24が区画される。ロードタブ24はキャリッジアーム19の揺動に基づき磁気ディスク14の半径方向に移動することができる。ロードタブ24の移動経路上には磁気ディスク14の外側でランプ部材25が配置される。ランプ部材25はベース13に固定される。ロードタブ24はランプ部材25に受け止められる。ランプ部材25は例えば硬質プラスチック材料から成型されればよい。
ランプ部材25にはロードタブ24の移動経路に沿って延びるランプ25aが形成される。このランプ25aは磁気ディスク14の中心から遠ざかるにつれて磁気ディスク14の表面を含む仮想平面から遠ざかる。したがって、キャリッジアーム19が支軸18回りで磁気ディスク14の回転軸から遠ざかると、ロードタブ24はランプ25aを上っていく。こうして浮上ヘッドスライダ22は磁気ディスク14の表面から引き剥がされる。浮上ヘッドスライダ22は磁気ディスク14から外側に待避する。反対に、キャリッジアーム19が支軸18回りに磁気ディスク14の回転軸に向かって揺動すると、ロードタブ24はランプ25aを下っていく。回転中の磁気ディスク14から浮上ヘッドスライダ22には浮力が作用する。ランプ部材25およびロードタブ24は協働でいわゆるロードアンロード機構を構成する。
図2に示されるように、磁気ディスク14の表面には同心円状に複数列の記録領域すなわち磁性ドット26が確立される。個々の磁性ドット26は、磁気ディスク14の表面に直交する中心軸を有する円柱すなわち磁性ピラーで構成される。磁性ピラーは磁性体から形成される。磁性ピラーに磁気情報は記録される。ここでは、例えば3列の磁性ピラーで1記録トラック28が形成される。磁性ピラー同士は非記録領域27で相互に隔てられる。非記録領域27は磁性体から形成される。非記録領域27の保磁力Hcは磁性ドット26の保磁力Hcよりも大きく設定される。ここでは、非記録領域27の保磁力Hcは、単磁極ヘッドから作用する磁界によっても磁化の反転を阻止する大きさに設定される。
図3は一具体例に係る磁気ディスク14の断面構造を示す。この磁気ディスク14はいわゆるECC(Exchange Coupling Composite)媒体を構成する。同時に、磁気ディスク14はいわゆるビットパターンドメディアを構成する。こうした磁気ディスク14は基体すなわち基板31を備える。基板31には例えばガラス基板が用いられる。ただし、基板31は、例えば、ディスク形のSi本体と、Si本体の表裏面に広がる非晶質のSiO膜とで構成されてもよい。その他、基板31には例えばアルミニウム基板が用いられてもよい。
基板31の表面には軟磁性の裏打ち層32が広がる。裏打ち層32は、基板31の表面に順番に積層される例えば鉄コバルトボロン(FeCoB)第1強磁性層33、ルテニウム(Ru)中間層34および鉄コバルトボロン(FeCoB)第2強磁性層35の積層体から形成される。FeCoB第1強磁性層33およびFeCoB第2強磁性層35はそれぞれ例えば25nm程度の膜厚を有する。Ru中間層34は例えば0.8nm程度の膜厚を有する。裏打ち層32では、基板31の表面に平行に規定される面内方向に磁化容易軸は確立される。この裏打ち層32では例えば1.5[T]以上の飽和磁束密度Bsが確保される。なお、中間層34には、Ru、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)およびそれらの合金のいずれかが用いられる。
裏打ち層32の表面にはタンタル(Ta)密着層36が広がる。Ta密着層36は非晶質構造を有する。Ta密着層36の膜厚は例えば3.0nm程度に設定される。Ta密着層36は、Ta密着層36上に積層される層の配向制御層として機能することができる。Ta密着層36の表面にはルテニウム(Ru)下地層37が広がる。Ru下地層37は多結晶構造を有する。隣接する結晶同士は密着する。Ru下地層37の膜厚は例えば5.0nm程度に設定される。
Ru下地層37の表面には多層磁性層38が広がる。多層磁性層38に前述の磁性ドット26および非記録領域27が形成される。磁性ドット26および非記録領域27の間に規定される境界面は基板31の表面に直交する垂直方向に規定される。多層磁性層38では、基板31の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸は確立される。多層磁性層38は、Ru下地層37の表面に順番に積層されるコバルトクロム白金(CoCrPt)第1磁性層39、ルテニウム(Ru)非磁性層41およびコバルトクロム白金ボロン(CoCrPtB)第2磁性層42の積層体から形成される。CoCrPt第1磁性層39の保磁力HcはCoCrPtB第2磁性層42の保磁力Hcよりも大きく設定される。
CoCrPt第1磁性層39は例えば10nm程度の膜厚を有する。CoCrPtB第2磁性層42は例えば3.0nm程度の膜厚を有する。Ru非磁性層41の膜厚は、多層磁性層38の保磁力Hcを最小にする膜厚に設定される。こうした膜厚は非磁性層41の膜厚と多層磁性層38の保磁力Hcとの相関関係から予め算出されればよい。ここでは、Ru非磁性層41は例えば0.5nm程度に設定される。図3から明らかなように、Ru非磁性層41の膜厚は非記録領域27で増大する。なお、非磁性層41には、Ru、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)およびそれらの合金のいずれかが用いられる。
多層磁性層38の表面は保護膜43や潤滑膜44で被覆される。保護膜43の膜厚は例えば3.0nm程度に設定される。潤滑膜44の膜厚は例えば1.0nm程度に設定される。保護膜43には例えば窒化炭素(CN)膜やダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜が用いられる。潤滑膜44には例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)膜が用いられる。なお、基板31の裏面には同様に裏打ち層32、Ta密着層36、Ru下地層37、多層磁性層38、保護膜43および潤滑膜44が順次積層される。
いま、書き込みヘッド素子すなわち単磁極ヘッドが磁気ディスク14の表面に向き合わせられると、主磁極から漏れ出る磁界は磁性ドット26で多層磁性層38に作用する。多層磁性層38には、多層磁性層38の表面に直交する垂直方向に磁界は誘導される。磁界は裏打ち層32から単磁極ヘッドの副磁極に循環する。こうして多層磁性層38では複数個の磁性ドット26ごとに上向き(垂直方向に外向き)の磁化または下向き(垂直方向に内向き)の磁化が確立される。情報は記録される。前述の通り、非記録領域27の保磁力Hcは単磁極ヘッドの磁界によっても磁化の反転を阻止する大きさに設定されることから、非記録領域27で磁化の反転は回避される。
その一方で、読み出しヘッド素子が磁気ディスク14の表面に向き合わせられると、磁性ドット26から漏れ出る磁界はスピンバルブ膜やトンネル接合膜に作用する。スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化が引き起こされる。こういった抵抗変化に基づき磁気ディスク14から情報は読み出される。このとき、非記録領域27から漏れ出る磁界がスピンバルブ膜やトンネル接合膜に作用することが想定される。したがって、例えば非記録領域27では磁性ドット26の残留磁化と異なる残留磁化が設定されればよい。残留磁化の相違に基づき非記録領域27および磁性ドット26の間で抵抗変化は相違する。こうした抵抗変化の相違は予めサンプリングに基づき算出されればよい。その結果、磁性ドット26から読み出される情報と非記録領域27から読み出される情報とは区別される。
次に磁気ディスク14の製造方法を説明する。まず、基板31が用意される。基板31はスパッタリング装置に装着される。スパッタリング装置のチャンバー内には真空環境が確立される。チャンバー内で基板31の表面には裏打ち層32が形成される。裏打ち層32の表面には順番にTa密着層36およびRu下地層37が形成される。その後、図4に示されるように、Ru下地層37の表面には10nmの膜厚のCoCrPt第1磁性層51、0.5nmの膜厚のRu非磁性層52および3nmの膜厚のCoCrPtB第2磁性層53の積層体が形成される。Ru非磁性層52の膜厚はその全面にわたって均一に設定される。
CoCrPtB第2磁性層53の表面には所定のパターンでレジスト膜54が形成される。レジスト膜54は前述の磁性ドット26に相当する領域を覆い隠す。こういったレジスト膜54の形成にあたって例えばフォトリソグラフィー技術が利用される。レジスト膜54の形成後、CoCrPtB第2磁性層53の表面にはイオン注入が実施される。イオン注入機では電圧の制御に基づきイオンの到達深度が調整される。到達深度は例えば4nm程度に設定される。イオン種には非磁性層52と同一の材料が用いられる。ここでは、非磁性層52はRuから形成されることから、イオン種にはRuイオンが用いられる。
CoCrPtB第2磁性層53の表面からRu非磁性層52に向かってRuイオンが注入される。Ruイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定される。イオン種には非磁性層52同一の材料が用いられることから、レジスト膜54の周囲ではCoCrPtB第2磁性層53の表面からRuイオンの注入方向に延びる注入領域でRu非磁性層52の膜厚が増大する。こうして、図5に示されるように、レジスト膜54の周囲で非記録領域27が形成される。非記録領域27では高い保磁力が確立される。レジスト膜54の直下で磁性ドット26が形成される。磁性ドット26の確立後、レジスト膜54は除去される。こうして多層磁性層38が形成される。
その後、多層磁性層38の表面には保護膜43が形成される。形成にあたって例えばCVD法(化学的気相蒸着法)が用いられる。保護膜43の表面には潤滑膜44が塗布される。塗布にあたっていわゆるディップ法が用いられる。ディップ法では基板31は例えばパーフルオロポリエーテルを含む溶液に浸される。
以上のような製造方法では、注入されるRuイオンのターゲットすなわちRu非磁性層52はCoCrPtB第2磁性層53の表面から近い距離に配置される。その結果、Ruイオンの注入エネルギーは小さく抑えられる。CoCrPtB第2磁性層53の表面の損傷は抑制される。しかも、注入エネルギーの抑制に基づきイオン注入機の消費電力は低く抑えられる。ビットパターンドメディアの製造コストはこれまで以上に抑制される。こうしてビットパターンドメディアは簡単に製造される。
図6は他の具体例に係る磁気ディスク14aの断面構造を示す。この磁気ディスク14aでは、Ru非磁性層41の膜厚は非記録領域27で減少する。Ru非磁性層41の膜厚は、多層磁性層38の保磁力Hcを最小にする膜厚に設定される。ここでは、Ru非磁性層41の膜厚は0.5nm程度に設定される。なお、前述と同様に、非磁性層41には、Ru、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)およびそれらの合金のいずれかが用いられる。その他、前述の磁気ディスク14と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
次に磁気ディスク14aの製造方法を説明する。まず、基板31には順番に裏打ち層32、Ta密着層36およびRu下地層37が形成される。その後、図7に示されるように、Ru下地層37の表面には10nmの膜厚のCoCrPt第1磁性層51、0.5nmの膜厚のRu非磁性層52および3nmの膜厚のCoCrPtB第2磁性層53の積層体が形成される。ここでは、Ru非磁性層52の膜厚はその全面にわたって均一に設定される。
前述と同様に、CoCrPtB第2磁性層53の表面には所定のパターンでレジスト膜54が形成される。レジスト膜54は前述の磁性ドット26に相当する領域を覆い隠す。レジスト膜54の形成後、CoCrPtB第2磁性層53の表面にはイオン注入が実施される。イオン種には非金属元素が用いられる。ここでは、イオン種には窒素(N)イオンが用いられる。その他、イオン種にはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)のいずれかの希ガスが用いられてもよい。
CoCrPtB第2磁性層53の表面からRu非磁性層52に向かってNイオンが注入される。Nイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定される。レジスト膜54の周囲ではCoCrPtB第2磁性層53の表面からNイオンの注入方向に延びる注入領域でRu非磁性層52が拡散する。その結果、Nイオンの注入領域でRu非磁性層52の膜厚が減少する。こうして、図8に示されるように、レジスト膜54の周囲で非記録領域27が形成される。非記録領域27では高い保磁力が確立される。レジスト膜54の直下で磁性ドット26が形成される。その後、前述と同様に、多層磁性層38の表面には保護膜43および潤滑膜44が形成される。
以上のような製造方法では、注入されるNイオンのターゲットすなわちRu非磁性層52はCoCrPtB第2磁性層53の表面から近い距離に配置される。その結果、Nイオンの注入エネルギーは小さく抑えられる。その結果、例えばCoCrPtB第2磁性層53の表面の損傷は抑制される。しかも、注入エネルギーの抑制に基づきイオン注入機の消費電力は低く抑えられる。ビットパターンドメディアの製造コストはこれまで以上に抑制される。こうしてビットパターンドメディアは簡単に製造される。
本発明者は多層磁性層38の特性を検証した。図9の表1に示されるように、検証にあたって本発明者は試料10〜16に係る7つの磁気ディスクを製造した。試料10〜16では非磁性層52に0.5nmの膜厚のルテニウム(Ru)膜が用いられた。試料10では非磁性膜52にイオンは注入されなかった。試料11〜13では前述の製造方法と同様の方法で非磁性層52に非磁性層52の材料と同一のイオン種すなわちRuイオンが注入された。試料11〜13ではRuイオンの注入エネルギーはそれぞれ2[keV]、5[keV]、10[keV]に設定された。試料14〜16では前述の製造方法と同様の方法で非磁性層52にNイオンが注入された。試料14〜16ではNイオンの注入エネルギーはそれぞれ2[keV]、5[keV]、10[keV]に設定された。
本発明者は磁気ディスクの保磁力Hcを測定した。測定にあたって、振動試料型磁力計(VSM)が用いられた。その結果、試料10に比べて試料11で保磁力Hcは増大した。試料11では、Ruイオンの注入領域で非磁性層52の膜厚が増大したことにより保磁力Hcが増大したと考えられる。その一方で、注入エネルギーが増大するにつれて保磁力Hcは減少した。試料12、13では注入エネルギーの増大に伴ってイオンがCoCrPt第1磁性層51の底まで到達し、保磁力Hcが減少したものと考えられる。したがって、保磁力の増大の実現にあたって、Ruイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定されることが望ましいことが確認された。
同様に、試料10に比べて試料14で保磁力Hcは増大した。試料14では、Nイオンの注入領域で非磁性層52の拡散に基づき非磁性層52の膜厚が減少したことにより保磁力Hcが増大したと考えられる。その一方で、注入エネルギーが増大するにつれて保磁力Hcは減少した。試料15、16では注入エネルギーの増大に伴ってイオンがCoCrPt第1磁性層51の底まで到達し、保磁力Hcが減少したものと考えられる。したがって、保磁力の増大の実現にあたって、Nイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定されることが望ましいことが確認された。
次に、図10の表2に示されるように、本発明者は試料20〜26に係る7つの磁気ディスクを製造した。試料20〜26では非磁性層52に0.5nmの膜厚のパラジウム(Pd)膜が用いられた。試料20では非磁性膜52にイオンは注入されなかった。試料21〜23では前述の製造方法と同様の方法で非磁性層52に非磁性層52の材料と同一のイオン種すなわちPdイオンが注入された。試料21〜23ではPdイオンの注入エネルギーはそれぞれ2[keV]、5[keV]、10[keV]に設定された。試料24〜26では前述の製造方法と同様の方法で非磁性層52にNイオンが注入された。試料24〜26ではNイオンの注入エネルギーはそれぞれ2[keV]、5[keV]、10[keV]に設定された。
前述と同様に、振動試料型磁力計(VSM)に基づき磁気ディスクの保磁力Hcが測定された。その結果、試料20に比べて試料21で保磁力Hcは増大した。試料21では、Pdイオンの注入領域で非磁性層52の膜厚が増大したことにより保磁力Hcが増大したと考えられる。その一方で、注入エネルギーが増大するにつれて保磁力Hcは減少した。試料22、23では注入エネルギーの増大に伴ってイオンがCoCrPt第1磁性層51の底まで到達し、保磁力Hcが減少したものと考えられる。したがって、保磁力の増大の実現にあたって、Pdイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定されることが望ましいことが確認された。
同様に、試料20に比べて試料24で保磁力Hcは増大した。試料24では、Nイオンの注入領域で非磁性層52の拡散に基づき非磁性層52の膜厚が減少したことにより保磁力Hcが増大したと考えられる。その一方で、注入エネルギーの増大に応じて保磁力Hcは減少した。試料25、26では注入エネルギーの増大に伴ってイオンがCoCrPt第1磁性層51の底まで到達し、保磁力Hcが減少したものと考えられる。したがって、保磁力の増大の実現にあたって、Nイオンの注入エネルギーは2[keV]以下に設定されることが望ましいことが確認された。
次に、図11の表3に示されるように、本発明者は試料30〜33に係る4つの磁気ディスクを製造した。試料30〜33では多層磁性層38に非磁性層41は形成されなかった。試料30では多層磁性層38にイオンは注入されなかった。試料31では多層磁性層38にRuイオンが注入された。試料32では多層磁性層38にPdイオンが注入された。試料33では多層磁性層にNイオンが注入された。試料31〜33ではイオンの注入エネルギーは2[keV]に設定された。前述と同様に、振動試料型磁力計(VSM)に基づき磁気ディスクの保磁力Hcが測定された。その結果、試料30に比べて試料31〜33では保磁力に大きな変化は観察されなかった。保磁力Hcの増大にあたって非磁性層52の存在が重要であることが確認された。
記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す平面図である。 磁気ディスクの表面を概略的に示す拡大斜視図である。 図2の3−3線に沿った垂直断面図であって、一具体例に係る磁気ディスクを示す図である。 図3に対応し、多層磁性層の形成の過程で多層磁性層の表面に形成されるレジスト膜を概略的に示す垂直断面図である。 イオンの注入に基づき多層磁性層が形成される工程を示す垂直断面図である。 図3に対応し、他の具体例に係る磁気ディスクを示す垂直断面図である。 図3に対応し、多層磁性層の形成の過程で多層磁性層の表面に形成されるレジスト膜を概略的に示す垂直断面図である。 イオンの注入に基づき多層磁性層が形成される工程を示す垂直断面図である。 多層磁性層の特性の検証結果を示す表である。 多層磁性層の特性の検証結果を示す表である。 多層磁性層の特性の検証結果を示す表である。
符号の説明
14 磁気記録媒体(磁気ディスク)、26 記録領域(磁性ドット)、27 非記録領域、51 第1磁性層、52 非磁性層、53 第2磁性層。

Claims (6)

  1. 第1磁性層および第2磁性層で非磁性層を挟み込む積層体を形成する工程と、
    前記第2磁性層の表面から前記非磁性層に向かってイオンを注入し、前記第2磁性層の表面から前記イオンの注入方向に延びる注入領域で形成される非記録領域、および、前記非記録領域で相互に隔てられる複数の記録領域を形成する工程とを備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記非記録領域の保磁力は前記記録領域の保磁力よりも大きいことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記イオンの注入エネルギーは2keV以下に設定されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記非磁性層にはRuおよびPdの少なくともいずれかが含まれることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記イオンのイオン種は前記非磁性層の材料と同一の材料であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 請求項2〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法において、前記イオンのイオン種は非金属元素および希ガスの少なくともいずれかであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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JP2014026701A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Toshiba Corp 磁気記録媒体およびその製造方法

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