JP2002216333A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2002216333A
JP2002216333A JP2001012922A JP2001012922A JP2002216333A JP 2002216333 A JP2002216333 A JP 2002216333A JP 2001012922 A JP2001012922 A JP 2001012922A JP 2001012922 A JP2001012922 A JP 2001012922A JP 2002216333 A JP2002216333 A JP 2002216333A
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JP2001012922A
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English (en)
Inventor
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Toshishige Shibazaki
利成 柴崎
Harumi Sakamoto
晴美 坂本
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Akira Yano
亮 矢野
Takeshi Konuma
剛 小沼
Satoru Matsunuma
悟 松沼
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類遷移金属材料からなる非晶質記録層に
微小磁区を確実に形成できる垂直磁気記録媒体及び磁気
記録装置を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体100は垂直磁化を有する
記録層4と面内磁化層3を備える。記録層に面内磁化層
を接して形成することにより、記録層と面内磁化層とが
交換結合する。これにより記録層の磁化反転開始磁界は
ピンニング保磁力よりも小さくなる。記録層が磁壁移動
型の磁性材料から構成されていても、磁気記録媒体に磁
気ヘッドにより磁界を印加したときに記録層の磁壁の移
動が防止されて、記録層に微小磁区を確実に形成でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度の情報を記
録可能な垂直磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装
置に関し、更に詳細には、記録層に希土類−遷移金属を
用いた垂直磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】情報ネットワークの進展及びマルチメデ
ィアの普及に伴い、これを支える主要な情報記録装置で
ある磁気ディスク装置においては、小型化、低価格化及
び大容量化が重要な課題となっている。
【0003】現在実用化されている磁気ディスク装置は
面内磁気記録方式を採用している。すなわち、ディスク
面に対して平行な方向に磁化容易軸を有する磁性層を記
録層として備えた磁気記録媒体(以下、面内磁気記録媒
体と称する)を用い、面内磁化を有する磁区を記録層に
形成して記録を行なう記録方式である。ところが、かか
る面内磁気記録方式においては、磁気記録媒体の記録層
の膜厚を厚くすると、磁化方向の異なる磁区同士の境界
から生じる磁界が微小磁区の形成を阻害するために高密
度記録が困難となる。それゆえ、記録密度を向上させる
ためには記録層の膜厚を薄くすることが必要であった。
しかし、記録層が非常に薄くなると、室温においても記
録磁区の熱揺らぎが発生し、時間の経過に伴って記録磁
区の磁化が減少してしまう。その結果、かかる記録磁区
を再生したときに再生出力が低下するという問題が生じ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような面内磁気記
録方式における問題を解決する技術として、垂直磁気記
録方式が注目されている。垂直磁気記録方式では、磁化
容易方向がディスク面に対して垂直な方向の磁性層を記
録層として備える磁気記録媒体(以下、垂直磁気記録媒
体と称する)を用いる。かかる垂直磁気記録において
は、磁化方向の異なる磁区の境界から生じる磁界が微小
磁区の形成を阻害するという、上述した面内磁気記録に
おける問題がないので、磁気記録媒体の磁性層の膜厚を
厚くすることができる。このため、垂直磁気記録媒体
は、高密度記録のために微小化された記録磁区を磁性層
に形成することができ、面内磁気記録媒体に比べて熱揺
らぎに強い。
【0005】かかる垂直磁気記録媒体の一例として、記
録層に、TbFeCo膜等の希土類金属と遷移金属とか
ら構成された非晶質膜を用いた媒体が知られている。希
土類−遷移金属の非晶質膜は、これまで磁気記録媒体の
記録層に用いられてきたCoCrなどの多結晶膜に比べ
て磁気異方性が高い。それゆえ、希土類−遷移金属非晶
質膜を記録層として備える磁気記録媒体は熱揺らぎや熱
減磁に強い。しかしながら、希土類−遷移金属非晶質膜
は、各結晶粒が磁気的に分離した多結晶膜と異なり、面
内方向において磁気特性が一様であり、面内方向におけ
る磁気的相互作用が大きい。それゆえ、希土類−遷移金
属非晶質膜に形成される磁壁は面内方向において移動し
やすく、微小磁区を形成してもそれを所望の位置に高精
度に位置付けることが困難であった。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題を解決する
ためになされたものであり、本発明の目的は、希土類−
遷移金属から構成された非晶質の記録層に微小磁区を確
実に形成することができる垂直磁気記録媒体及びそれを
備える磁気記録装置を提供することにある。
【0007】本発明の別の目的は、60ギガビット/平
方インチ(約9.3ギガビット/平方センチメートル)
以上の高密度磁気記録を可能とする磁気記録媒体及びそ
れを備える磁気記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、磁気記録媒体において、基板と;希土類−遷移金
属材料から構成され、基板面に垂直な方向に磁化容易軸
を有する非晶質の記録層と;を備え、該記録層は、磁化
反転開始磁界よりも大きなピンニング保磁力を有するこ
とを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0009】本発明者らは、希土類−遷移金属から構成
される非晶質膜に微小磁区を形成ことが困難な原因を探
るために、以下に説明するような静磁気特性の測定(磁
化測定)を行なった。まず、微小磁区を形成することが
困難な従来の磁気記録媒体について磁化測定を行なっ
た。微小磁区を形成することが困難な磁気記録媒体に
は、TbFeCo非晶質膜を記録層として備える磁気記
録媒体を用いた。図2に、かかる磁気記録媒体の磁化曲
線を示す。図2に示した磁化曲線には、ヒステリシス曲
線と初期磁化曲線が示されている。いずれの曲線も外部
磁界を膜面に垂直な方向に印加して得られる磁化曲線で
ある。まずヒステリシス曲線について説明する。
【0010】図2に示したヒステリシス曲線は、以下に
説明する操作によって得られた磁化曲線である。まず、
磁気記録媒体に十分強い外部磁界をプラス方向に印加す
る。これにより記録層の磁化はプラス方向に飽和する。
次いで、媒体に印加している外部磁界の磁界強度を減少
させてゼロにした後、外部磁界をマイナス方向に反転し
て媒体に印加する。外部磁界の磁界強度を増加させる
と、磁界強度が所定の値になったときに、プラス方向に
飽和した記録層の磁化は急激に減少する。更に磁界強度
を増加させると記録層の磁化はマイナス方向に飽和す
る。次いで、外部磁界の磁界強度を減少させてゼロにし
た後、媒体に印加する外部磁界をプラス方向に反転して
磁界強度を増加させる。これにより、マイナス方向に飽
和した記録層の磁化は急激に増加に転じ、更に磁界強度
を増加させると記録層の磁化はプラス方向に再び飽和す
る。図2に示したヒステリシス曲線は、このような外部
磁界に対する記録層の磁化の変化を示している。一方、
初期磁化曲線は、交流消磁された記録層に外部磁界をプ
ラス方向に印加したときの外部磁界強度に対する記録層
の磁化の変化を示している。
【0011】図2のヒステリシス曲線に示すように、外
部磁界強度を−6kOe(約−477.48kA/m)
からプラス方向に増加させていくと、A点において記録
層の磁化が急激に増加する。これはA点の磁界強度にお
いて、マイナス方向に磁化の揃った記録層の内部に磁化
反転の核が発生し、磁化反転が開始されつつあることを
示している。外部磁界強度が、A点の磁界強度を僅かに
超えると、記録層の磁化はプラス方向に反転し磁化が飽
和する。本発明では、記録層の内部に磁化反転の核が発
生して磁化反転が開始され始めるときの磁界を「磁化反
転開始磁界」と称する。磁化反転開始磁界は、例えば図
2に示すように記録層のヒステリシス曲線を測定したと
きに、磁化が飽和したときの直線aと、磁化の変化が最
大となる点における接線bとの交点における磁界として
定義できる。
【0012】一方、図2に示すように、初期磁化曲線で
は、B点において記録層の磁化が急激に増大している。
交流消磁された記録層は、プラス方向の磁化を有する領
域とマイナス方向の磁化を有する領域とが混在してお
り、記録層全体の磁化はゼロである。このような交流消
磁された記録層には磁壁が多数存在している。初期磁化
曲線において、磁化が急激に増加するのは、外部磁界の
印加により記録層内に存在する磁壁が移動し始めて外部
磁界と同方向の磁化を有する領域が増加しているためで
ある。本発明では、交流消磁された記録層に外部磁界を
印加したときに記録層内の磁壁が移動を開始する磁界強
度(磁壁移動に基づく保磁力)を「ピンニング保磁力」
と称する。ピンニング保磁力は、例えば、記録層の初期
磁化曲線を測定したときに、磁化の変化が最大となる点
における接線と、磁化の大きさがゼロとなる直線との交
点における磁界として定義できる。図2の初期磁化曲線
においては、ピンニング保磁力は、B点における磁界で
あり約3.0kOe(約238.74kA/m)であ
る。図2の磁化曲線の結果から、微小磁区の形成が困難
な従来の磁気記録媒体は、記録層のピンニング保磁力が
磁化反転開始磁界よりも小さくなっている。
【0013】このようにピンニング保磁力が磁化反転開
始磁界よりも小さい記録層を備える磁気記録媒体に、磁
気ヘッドにより磁界を印加して記録を行なうと、磁気ヘ
ッドからの磁界で記録層の記録磁区の磁化は反転する
が、ピンニング保磁力が磁化反転開始磁界よりも小さい
ために、記録磁区の磁化反転と同時に、磁化反転した記
録磁区の境界すなわち磁壁が移動する。このため、磁化
反転した記録磁区が所望の寸法よりも拡大されて形成さ
れてしまう。これが、記録層に微小磁区を形成すること
が困難な原因であると考えられる。
【0014】そこで、本発明者らは、かかる結果から、
記録層の磁化反転開始磁界がピンニング保磁力よりも小
さくなるように媒体を構成したところ、後述する実施例
に示すように、記録層に微小磁区を所望の寸法で確実に
形成することができ、高密度に情報を記録することがで
きた。
【0015】本発明の磁気記録媒体は、磁化方向が基板
面に平行な面内磁化層を記録層に接して備えることが好
ましい。面内磁化層を、例えば図3に示すように記録層
に接して形成すると面内磁化層は記録層と交換結合す
る。2つの層が交換結合して形成されている場合は、通
常、両層の界面近傍の磁化が互いに平行になることによ
り安定化する。面内磁化層と垂直磁化膜である記録層と
を交換結合させると、両層の界面近傍における磁化は膜
面に対して僅かに傾いて安定化する。記録層の界面7の
近傍における磁化は、面内成分を含み、膜面に垂直な方
向から傾いている。ここで、図3に示すように、記録層
に磁化方向と逆向きの外部磁界Hを印加すると、磁化の
面内成分にトルクTが働いて記録層の磁化は外部磁界の
方向に容易に反転する。すなわち、記録層の磁化反転の
開始する磁界を低減することが可能となる。かかる構成
の磁気記録媒体は、記録層のピンニング保磁力が従来と
同じであっても、磁化反転開始磁界を従来よりも低くす
ることができるので、結果として、記録層のピンニング
保磁力よりも磁化反転開始磁界を小さくすることがで
き、記録層に微小磁区を確実に形成することできる。
【0016】また、面内磁化層は、希土類−遷移金属材
料から構成されることが好ましく、かかる材料として
は、例えば、ErFeCo、TmFeCo、GdFeC
oなどを用い得る。面内磁化層の膜厚は、記録層の膜厚
よりも厚いことが好ましい。
【0017】本発明の磁気記録媒体は、更に、磁化方向
が基板面に平行な軟磁性層と非磁性の中間層とを備え得
る。この場合、中間層は、面内磁化層に接し且つ面内磁
化層と軟磁性層との間に位置付けられる。また、このよ
うな構成を有する磁気記録媒体の場合は、面内磁化膜の
膜厚は記録層の膜厚よりも厚くする必要はない。軟磁性
層は、例えば、ErFeCo、GdFeCo、CoNb
Zr、Co、Fe、NiFe等を用いて形成し得る。非
磁性の中間層は、例えば、Si、SiN、AlN、C
r、Tiなどを用いて形成し得る。
【0018】本発明の磁気記録媒体の記録層を構成する
材料は、TbFeCo、DyFeCo、TbDyFeC
oなどが好適である。
【0019】本発明の第2の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従う磁気記録媒体を備えることを特徴とする
磁気記録装置が提供される。
【0020】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、微小な磁区を記録層に確実
に形成でき、60ギガビット/平方インチ以上の面記録
密度を実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う磁気記録媒体
の実施例について説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0022】
【実施例1】図1に、本発明に従う磁気記録媒体の一具
体例を示す。磁気記録媒体100は、基板1上に下地層
2、面内磁化層3、記録層4、保護層5及び潤滑剤層6
をこの順で有する。保護層及び潤滑剤層を除く全ての層
は、RFマグネトロンスパッタ法により形成した。スパ
ッタ時の到達真空度は、面内磁化層3と記録層4との交
換結合を確実に働かせるために、5×10−6Paより
も高真空に設定し、スパッタガスには純度6N以上のA
rガスを用いた。また、成膜時の基板温度は室温とし
た。この磁気記録媒体100の製造方法について説明す
る。
【0023】(1)下地層の形成 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板1上
に、下地層2としてSiを膜厚5nmにて成膜した。ス
パッタ時のArガス圧は0.5Paであり、投入電力は
200Wであった。下地層2は、面内磁化層3と基板1
との密着性を向上させるとともに、ガラス基板1中の酸
素によって面内磁化層3が酸化することを抑制すること
ができる。ここでは下地層2としてSiを用いたが、他
にCrやTiなどの金属を用いることもできる。
【0024】(2)面内磁化層の形成 次いで、下地層2上に、面内磁化層3として、磁化容易
軸が面内にあり且つ軟磁気特性を有するErFeCoを
膜厚200nmで形成した。スパッタ時のArガス圧は
0.5Paであり、投入電力は500Wであった。面内
磁化層3の表面に1原子層程度でも酸化層またはその他
の反応層が形成されると、面内磁化層3と該面内磁化層
3上に形成される記録層4との間に交換結合が働かなく
なる。それゆえ、スパッタ時の到達真空度を高真空にし
するとともにArガスを高純度にして、面内磁化層3の
表面に酸化層または反応層が形成されることを抑制し
た。これにより面内磁化層3と記録層4との間に確実に
交換結合を働かせることができる。
【0025】(3)記録層の形成 つぎに、面内磁化層3上に記録層4として、TbFeC
o層を20nmの膜厚で形成した。記録層4の形成は、
上記面内磁化層3の形成後、短時間のうちに行なうこと
が好ましい。面内磁化層3の形成から記録層4の形成ま
での時間が長いと、面内磁化層3の表面に酸化層または
その他の反応層が形成される恐れがあるためである。こ
こでは、面内磁化層3の形成後、15秒程度で記録層4
の成膜を開始した。スパッタ時のArガス圧は0.5P
a、投入電力は500Wとした。
【0026】(4)保護層の形成 次いで、記録層4上に保護層5としてカーボン(C)を
DCマグネトロンスパッタ法により膜厚5nmにて形成
した。スパッタ時のArガス圧は0.5Pa、投入電力
は600Wとした。保護層5の成膜に、DCマグネトロ
ンスパッタ法を用いたのは、RFマグネトロンスパッタ
法を用いて成膜した場合よりも強固なダイヤモンドライ
クカーボン膜を得ることができるからである。
【0027】次いで、保護層5上に潤滑剤層6としてパ
ーフロロポリエーテル膜をディップ法により膜厚2nm
で形成した。こうして図1に示す積層構造を有する磁気
記録媒体を作製した。
【0028】つぎに、得られた磁気記録媒体100の記
録層の磁化測定を行なった。ここで、振動試料型磁力計
器等を用いて磁気記録媒体の磁化測定を行なうと、面内
磁化層の磁気特性が重畳されるために記録層の磁化のみ
を測定することは困難である。そこで、磁気記録媒体に
外部磁界を印加しながら記録層のカー回転角の変化を測
定した。記録層のカー回転角は、記録層の磁化の大きさ
に比例するので、カー回転角と印加磁界との関係を表す
カー回転角曲線は、通常の磁化測定で求めた磁化曲線と
実質的に同等の形状となる。
【0029】図5に、得られた磁気記録媒体の記録層の
カー回転角曲線を示す。この曲線からわかるように、本
実施例の磁気記録媒体は、記録層と面内磁化層とを交換
結合させたことにより、磁化反転開始磁界(A点におけ
る磁界強度)が1.4kOe(約111.4kA/m)
と大きく低下している。また、この磁気記録媒体のピン
ニング保磁力は、ヒステリシス曲線に基づいて求められ
る保磁力に一致しており(B点)、2.6kOe(約2
06.9kA/m)であった。本発明の磁気記録媒体
は、記録層を面内磁化層と交換結合させることにより、
磁化反転を開始する磁界がピンニング保磁力(磁壁移動
に基づく保磁力)よりも低くすることができた。
【0030】また、本発明においては、記録層に比べて
面内磁化層を厚く形成している。この構造は、2層垂直
磁気記録媒体と実質的に同じであり、面内磁化層は裏打
ち層として機能する。すなわち、図6に示すように、記
録用磁気ヘッドからの磁束Bが裏打ち層を通過し、記録
用磁気ヘッドと裏打ち層との間で閉磁界ループが形成さ
れる。これにより、磁束還流の損失が低減し、記録層に
強磁界が効率よく印加されるので記録特性が向上する。
本実施例の磁気記録媒体では、再生出力の半減する線記
録密度D50が280kFCIであった。
【0031】
【実施例2】本実施例では、本発明に従う磁気記録媒体
の別の具体例として図4に示すような積層構造を有する
磁気記録媒体200を作製した。磁気記録媒体200
は、基板1上に下地層2、裏打ち層8、中間層9、面内
磁化層3、記録層4、保護層5及び潤滑剤層6をこの順
で有する。保護層5及び潤滑剤層6を除く全ての層は、
RFマグネトロンスパッタ法により形成した。スパッタ
時の到達真空度は、面内磁化層3と記録層4との交換結
合を確実に働かせるために、5×10−6Paよりも高
真空に設定し、スパッタガスには純度6N以上のArガ
スを用いた。また、成膜時の基板温度は室温とした。以
下、かかる磁気記録媒体200の製造方法について説明
する。
【0032】(1)下地層の形成 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板1上
に、下地層2としてSiを膜厚5nmにて成膜した。ス
パッタ時のArガス圧は0.5Paであり、投入電力は
200Wであった。下地層2は、裏打ち層8と基板1と
の密着性を向上させるとともに、ガラス基板1中に含ま
れている酸素によって裏打ち層8が酸化することを抑制
することができる。ここでは下地層2としてSiを用い
たが、他にCrやTiなどの金属を用いることもでき
る。
【0033】(2)裏打ち層の形成 次いで、下地層2上に裏打ち層8としてCo−Ta−Z
rを膜厚200nmにて形成した。スパッタ時のArガ
ス圧を0.5Paとし、投入電力を500Wとした。裏
打ち層8は、磁気ヘッドからの磁束を効果的に還流させ
て裏打ち層と磁気ヘッドとの間で閉磁界ループを形成す
るための層であり、これにより記録層4の微小領域に磁
界を効率よく印加することができる。
【0034】(3)中間層の形成 つぎに、裏打ち層8上に中間層9としてSi層を膜厚2
nmで形成した。スパッタ時のArガス圧を0.5Pa
とし、投入電力を200Wとした。中間層9は、面内磁
化層3と裏打ち層8との交換結合を切断して互いに静磁
気的に結合させるための層である。このように、面内磁
化層3と裏打ち層8との間に非磁性の中間層を形成する
ことにより、磁気ヘッドからの磁束を効果的に還流させ
るための裏打ち層8に用い得る材料の選択の範囲が広く
なる。
【0035】(4)面内磁化層の形成 次いで、中間層9上に、面内磁化層3として、磁化容易
軸が面内にあり且つ軟磁気特性を有するErFeCoを
膜厚200nmで形成した。スパッタ時のArガス圧は
0.5Paであり、投入電力は500Wであった。
【0036】(5)記録層の形成 かかる面内磁化層3の形成後、すぐに面内磁化層3上に
記録層4として、TbFeCo層を20nmの膜厚で形
成した。スパッタ時のArガス圧は0.5Pa、投入電
力は500Wとした。
【0037】面内磁化層3の磁化容易方向は単層の場合
は面内方向であるが、ここでは膜厚が薄く、しかも垂直
磁気異方性を有する記録層と交換結合しているために、
面内磁化層3の磁化方向は垂直成分を含み斜め方向とな
る。
【0038】(6)保護層の形成 次いで、記録層4上に保護層5としてカーボン(C)を
DCマグネトロンスパッタ法により膜厚5nmにて形成
した。スパッタ時のArガス圧は0.5Pa、投入電力
は600Wとした。次いで、保護層5上に潤滑剤層6と
してパーフロロポリエーテル膜をディップ法により膜厚
2nmで形成した。こうして図4に示す積層構造を有す
る磁気記録媒体を作製した。
【0039】かかる磁気記録媒体についても実施例1と
同様に外部磁界に対するカー回転角の変化を測定した。
得られたカー回転曲線から実施例1と同様に磁化反転開
始磁界とピンニング磁界を求めると、磁化反転開始磁界
は1.6kOe(約127.3kA/m)、ピンニング
磁界は2.6kOe(約206.9kA/m)であっ
た。このように本実施例の磁気記録媒体も、記録層と面
内磁化層とを交換結合させているので、磁化反転を開始
する磁界がピンニング保磁力(磁壁移動に基づく保磁
力)よりも低くすることができた。
【0040】また、この実施例の磁気記録媒体は、裏打
ち層を設けた2層垂直磁気記録媒体である。情報記録時
に、かかる媒体に記録用磁気ヘッドを用いて磁界を印加
すると、図8に示すように、記録用磁気ヘッドの磁極2
1からの磁束Bが記録層4及び面内磁化層3を介して裏
打ち層8を通過した後、再び面内磁化層3及び記録層4
を介して記録用磁気ヘッドの磁極22に戻る。これによ
り、磁束還流の損失が低減し、記録層に強磁界を実効的
に印加できる。この結果、記録特性が向上する。本実施
例の磁気記録媒体では、再生出力の半減する線記録密度
D50が280kFCIであった。
【0041】つぎに、前述の磁気記録媒体の製造工程と
同様の方法により複数枚の磁気記録媒体を作製し、それ
らを図7に示すような断面構造を有する磁気記録装置5
00に組み込んだ。図7に示すように、磁気記録装置5
00は、磁気ヘッド82、サスペンション83、アクチ
ュエータ84、駆動回路85、記録再生回路86、位置
決め回路87、インターフェース制御回路88及び複数
の磁気記録媒体200を備える。図7において、磁気ヘ
ッド82は、記録用磁気ヘッド(不図示)及び再生用磁
気ヘッド(不図示)が一体化された磁気ヘッドである。
記録用ヘッドは、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟
磁性層を用いた薄膜磁気ヘッドであり、再生用磁気ヘッ
ドは、巨大磁気抵抗効果を有するデュアルスピンバルブ
型のGMR磁気ヘッドである。この一体型の磁気ヘッド
82は、サスペンション83により保持されており、サ
スペンション83はアクチュエータ84と駆動回路85
とからなる磁気ヘッド駆動系により制御される。サスペ
ンション83及び駆動回路85は、位置決め回路87に
接続されている。位置決め回路87はインターフェース
制御回路88に接続されており、インターフェース制御
回路88は記録再生回路86に接続されている。また、
記録再生回路86はサスペンション83を通って磁気ヘ
ッド82に接続されている。かかる構成の磁気記録装置
500において、複数の磁気記録媒体200はスピンド
ル52により同軸回転されており、磁気記録媒体200
の回転時には、磁気ヘッド82の底面と磁気記録媒体2
00の表面との距離が12nmになるように制御され
る。
【0042】この磁気記録装置500に組み込まれた磁
気記録媒体200に60ギガビット/平方インチ(約
9.3ギガビット/平方センチメートル)に相当する信
号を記録して媒体のS/Nを評価したところ、30dB
の再生出力が得られた。また、媒体の欠陥レートを測定
したところ、信号処理を行なわない場合の値で1×10
−5以下であった。
【0043】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、希土類−遷移
金属合金を用いて構成された非晶質の記録層の磁化反転
開始磁界をピンニング保磁力よりも小さくしているの
で、情報記録時に媒体に磁界を印加したときに記録層に
形成される磁壁が移動することを防止することができ
る。これにより、記録層に微小磁区を所望の寸法で確実
に形成することができるので高密度記録が実現できる。
【0044】本発明の磁気記録媒体を備える磁気記録装
置は、60ギガビット/平方インチ(約9.3ギガビッ
ト/平方センチメートル)以上の記録密度で情報の記録
が可能であるので、超高密度記録用の磁気記録装置とし
て極めて有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の概略断面図であ
る。
【図2】従来の磁気記録媒体の記録層の磁化曲線であ
る。
【図3】本発明の磁気記録媒体の記録層と面内磁化層の
磁化の様子を模式的に示す図である。
【図4】実施例2で作製した磁気記録媒体の概略断面図
である。
【図5】本発明に従う磁気記録装置の概略構成図であ
る。
【図6】図1の磁気記録媒体に磁気ヘッドを用いて磁界
を印加したときの磁束の流れを模式的に示す図である。
【図7】本発明に従う磁気記録媒体の更に別の具体例の
概略断面図である。
【図8】図4の磁気記録媒体に磁気ヘッドを用いて磁界
を印加したときの磁束の流れを模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下地層 3 面内磁化層 4 記録層 5 保護層 6 潤滑剤層 7 界面 8 裏打ち層 9 中間層 21 記録用磁気ヘッドの主磁極 22 記録用磁気ヘッドの副磁極 82 磁気ヘッド 84 アクチュエータ 85 駆動回路 86 サスペンション 87位置決め回路 88 インターフェース制御回路 100、200 磁気記録媒体 500 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 矢野 亮 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小沼 剛 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 松沼 悟 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB07 BB08 CA05 CA06 DA03 DA08 EA03 FA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体において、 基板と;希土類−遷移金属材料から構成され、基板面に
    垂直な方向に磁化容易軸を有する非晶質の記録層と;を
    備え、 該記録層は、磁化反転開始磁界よりも大きなピンニング
    保磁力を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 更に、基板面に平行な方向に磁化容易軸
    を有する面内磁化層を記録層に接して備えることを特徴
    とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記面内磁化層は、希土類−遷移金属材
    料から構成される非晶質層であることを特徴とする請求
    項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記面内磁化層の膜厚が記録層の膜厚よ
    りも厚いことを特徴とする請求項2または3に記載の磁
    気記録媒体。
  5. 【請求項5】 更に、基板面に平行な方向に磁化容易軸
    を有する軟磁性層と非磁性の中間層とを備え、該中間層
    が、上記面内磁化層に接し且つ面内磁化層と軟磁性層と
    の間に位置付けられていることを特徴とする請求項2〜
    4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁
    気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置。
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