JPH0845035A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JPH0845035A
JPH0845035A JP19900294A JP19900294A JPH0845035A JP H0845035 A JPH0845035 A JP H0845035A JP 19900294 A JP19900294 A JP 19900294A JP 19900294 A JP19900294 A JP 19900294A JP H0845035 A JPH0845035 A JP H0845035A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハードバイアス層を最適な磁性材料により形
成し、磁気抵抗層に充分な縦バイアス磁界を与えて低い
バルクハウゼンノイズの薄膜磁気ヘッドを得る。 【構成】 磁気抵抗層5と非磁性層4と軟磁性層3とが
積層されたヘッド素子積層体2と、磁気抵抗層5のトラ
ック幅方向の両側部に接続されたハードバイアス層12
を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、ハードバイアス層1
2をCo−Cr−Taの磁性膜により形成した。Co−
Cr−Ta膜は保磁力および残留磁化が高く、磁気抵抗
層5に充分な縦バイアス磁界を与え、磁気抵抗層5をx
方向へ高精度に単磁区化できるものとなる。また下地層
11と上地層13としてCr膜を用いることにより、下
地層11と上地層13がハードバイアス層12の磁気特
性に悪影響を与えないものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばハードディスク
装置用の浮上式磁気ヘッドなどに設けられて再生機能を
発揮する薄膜磁気ヘッドに係り、特にハードバイアス方
式の薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図10は従来のハードバイアス方式の薄
膜磁気ヘッドを記録媒体側から見た拡大正面図(断面
図)である。この薄膜磁気ヘッドは、パーマロイなどの
下部シールド層上に、Al23などの下部絶縁層1が積
層され、下部絶縁層1上にヘッド素子積層体2が設けら
れている。ヘッド素子積層体2は、下部絶縁層1側か
ら、軟磁性(SAL)層3、非磁性(SHUNT)層
4、磁気抵抗(MR)層5の順に積層されている。さら
にその上にAl23などの上部絶縁層6と、パーマロイ
などの上部シールド層が形成されている。ヘッド素子積
層体2のトラック幅方向(x方向)の両側部では、下部
絶縁層1側からハードバイアス層7、リード層8の順に
積層されている。そしてハードバイアス層7が、磁気抵
抗層5のトラック幅方向の両側端に接続導通されてい
る。
【0003】この薄膜磁気ヘッドでは、ハードバイアス
層7がx方向に磁化された磁石として機能し、このハー
ドバイアス層7から磁気抵抗層5に与えられる縦バイア
ス磁界により磁気抵抗層5がx方向に磁化され単磁区化
される。検出電流はリード層8およびハードバイアス層
7を経て磁気抵抗層5に与えられるが、検出電流が磁気
抵抗層5を流れる際に軟磁性層3がもたらす静磁結合エ
ネルギーにより、磁気抵抗層5に対して横バイアス磁界
がy方向に与えられ、これにより、磁気抵抗層5の磁界
変化に対する抵抗変化が直線性を有する状態に設定され
る。再生動作では、図10の紙面に対面する向きにて記
録媒体が対向し、磁気ヘッドと記録媒体との相対的な移
動方向はz方向となる。磁気ヘッドが記録媒体に対して
相対的に移動する際に、磁気抵抗層5の磁気抵抗効果
(H−R効果)により磁気抵抗層5の抵抗値が変化し、
これが検出電流の電圧の変化として検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記磁気ヘッドのハー
ドバイアス層7に求められる特性は以下の通りである。 (1)磁気抵抗層5をx方向へ高精度に単磁区化させる
ことによりバルクハウゼンノイズを低減できるが、磁気
抵抗層5を高精度に単磁区化させるためには、ハードバ
イアス層7として保磁力Hcおよび飽和磁化Bsが高い
値となるなど磁気特性において優れた材料を使用する必
要がある。 (2)ハードバイアス層7には、上地層としてリード層
8が形成され、また必要に応じてハードバイアス層7の
下側に下地層が形成されるが、ハードバイアス層7が上
地層と下地層の界面により影響を受け、ハードバイアス
層7の保磁力Hcなどに影響が出ることがある。よって
ハードバイアス層7の材料と上地層および下地層の材料
との組み合せを適正に選択する必要がある。
【0005】(3)ハードバイアス層7の膜厚は、ハー
ドバイアス層7の保磁力Hcや、B−Hループの角型比
に影響を与え、また前記下地層の膜厚もハードバイアス
層7の保磁力などに影響を与えることになる。したがっ
て、ハードバイアス層7の材料および上地層や下地層は
上記(1)〜(3)の各条件を満たす材料により構成す
ることが必要になる。
【0006】本発明は上記課題を解決するものであり、
ハードバイアス層の材料を最適なものにし、さらにその
膜厚や下地層の膜厚を最適に設定することにより、ハー
ドバイアス層の磁気特性を最適なものとし、バルクハウ
ゼンノイズを軽減できる薄膜磁気ヘッドを提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気抵抗層と
非磁性層と軟磁性層とが積層されたヘッド素子積層体
と、前記磁気抵抗層のトラック幅方向の両側部に接続さ
れたハードバイアス層とを有する薄膜磁気ヘッドにおい
て、前記ハードバイアス層がCo−Cr−Taの磁性膜
により形成されていることを特徴とするものである。
【0008】上記において、Co−Cr−Taの磁性膜
により形成されたハードバイアス層の下地層および上地
層としては、Cr膜を設けることが適切である。
【0009】また、Co−Cr−Taの組成比は、原子
量%のx:y:zで、x=76〜92、y=4〜24、
z=0〜16(ただしx+y+z=100)であること
が好ましく、この場合に、Co−Cr−Taの磁性膜の
膜厚は、50〜600オングストロームであることが好
ましい。
【0010】前記Co−Cr−Taの組成比のさらに好
ましい範囲は、原子量%のx:y:zで、x=80〜9
0、y=10〜20、z=0〜10(ただしx+y+z
=100)であり、この場合、Co−Cr−Taの磁性
膜の膜厚が50〜1000オングストロームであること
が好ましい。
【0011】さらに、下地層としてのCr膜の膜厚寸法
を10オングストローム以上とすることが好ましい。
【0012】
【作用】本発明は、ハードバイアス層としてCo−Cr
−Taの磁性膜を使用したことを特徴としている。この
Co−Cr−Taの磁性膜は、保磁力および飽和磁化が
高い値となり、またB−Hループの角型比も適正なもの
となり、磁気抵抗層を単磁区化させるためのバイアス機
能が優れている。特に温度変化による保磁力や飽和磁化
の変動が小さいため、製造時や使用時に高温環境下にさ
らされる薄膜ヘッドのハードバイアス層として適したも
のとなる。
【0013】また、Co−Cr−Taの磁性膜により形
成されたハードバイアス層の下地層および上地層として
は、Cr膜を設けることが適切である。上地層がCr膜
の場合に、その膜厚寸法がハードバイアス層の保磁力な
どの磁気特性にほとんど影響を与えない。また下地層と
なるCr膜はその膜厚を10オングストローム以上さら
に好ましくは50オングストローム以上とすることによ
りハードバイアス層の磁気特性への影響をきわめてわず
かなものにできる。
【0014】ハードバイアス層となる、Co−Cr−T
aの組成比は、原子量%のx:y:zで、x=76〜9
2、y=4〜24、z=0〜16(ただしx+y+z=
100)であることが好ましく、この場合に保磁力Hc
を200エルステッド(Oe)以上で、飽和磁化を4キ
ロガウス(kG)以上にできる。また、Co−Cr−T
aの磁性膜がこの組成比の場合に、膜厚を50〜600
オングストロームの範囲に設定することにより、200
(Oe)以上の保磁力Hcを確保できる。
【0015】前記Co−Cr−Taの組成比のさらに好
ましい範囲は、原子量%のx:y:zで、x=80〜9
0、y=10〜20、z=0〜10(ただしx+y+z
=100)である。この場合に、ハードバイアス層の保
磁力Hcを500(Oe)以上で、飽和磁化Bsをほぼ
6(kG)以上に設定できる。またこの組成比のCo−
Cr−Taの磁性膜では、膜厚が50〜1000オング
ストロームの範囲にて保磁力Hcを500(Oe)以上
にできる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。図1は、本発明の薄膜磁気ヘッドを記録媒体との対
向面側から見た拡大正面図(断面図)である。この薄膜
磁気ヘッドは、ハードディスク装置に用いられる浮上式
磁気ヘッドのトレーリング側端面に設けられるなどして
使用される。この磁気ヘッドは再生ヘッドとして機能す
る。記録・再生兼用ヘッドの場合には、図1に示す薄膜
磁気ヘッドの上部シールド層の上に記録用磁気ヘッド部
が薄膜形成される。ハードディスクなどの記録媒体の記
録面は、図1の紙面に平行な向きで磁気ヘッドに対向す
る。x方向はトラック幅方向、z方向は磁気ヘッドの記
録媒体に対する相対的な移動方向である。
【0017】下部シールド層はパーマロイなどにより形
成され、その上にAl23膜による下部絶縁層1が形成
されて、下部絶縁層1の上にヘッド素子積層体2が設け
られている。ヘッド素子積層体2は、下部絶縁層1側か
ら、軟磁性(SAL)層3、非磁性(SHUNT)層
4、磁気抵抗(MR)層5が順に積層されて成膜された
ものである。例えば、軟磁性層3は膜厚250オングス
トロームのFe−Ni−Nb系材料膜、非磁性層4は膜
厚200オングストロームのTa膜、磁気抵抗層5は膜
厚300オングストロームのFe−Ni系材料膜であ
る。
【0018】前記ヘッド素子積層体2のトラック幅方向
(x方向)両側では、前記下部絶縁層1上に、下地層1
1として膜厚200オングストロームのCr膜が形成さ
れ、その上にハードバイアス層12として膜厚600オ
ングストロームのCo−Cr−Taの磁性膜12が形成
されている。ハードバイアス層12の上には上地層13
として膜厚300オングストロームのCr膜が形成され
ている。上地層13は、リード層として機能するもので
あり、検出電流は、上地層13からハードバイアス層1
2を経て磁気抵抗層5に与えられる。なお、リード層と
して、上記上地層13の上に他の導電材料が積層されて
いてもよい。
【0019】上記磁気抵抗層5と上地層13の表面は、
Al23による上部絶縁層6が形成され、さらにその上
にパーマロイの上部シールド層が形成されている。ハー
ドバイアス層12はx方向に着磁されており、ハードバ
イアス層12から磁気抵抗層5に対しx方向への縦バイ
アス磁界が与えられ、磁気抵抗層5がx方向に磁化され
て単磁区化される。ハードバイアス層12により磁気抵
抗層5に対し、充分な強度の縦バイアス磁界を与えるた
めには、ハードバイアス層12が高い保磁力と残留磁化
を得られるものであることが必要である。
【0020】図2は磁性体(ハードバイアス層)のB−
Hループを示すものであり、Hが外部磁界の大きさを示
し、Bが磁性体(ハードバイアス層)の磁化の大きさを
示している。Hcが保磁力、Brが残留磁化(残留磁束
密度)、Bsが飽和磁化(飽和磁束密度)である。また
数1でのS*とSは、B−Hループの角型比を示し、
(0<S*<1)で(0<S<1)である。
【0021】
【数1】
【0022】ハードバイアス層12の残留磁化をBr、
ハードバイアス層の膜厚をδ1、磁気抵抗層5の飽和磁
化をBs′、磁気抵抗層5の膜厚をδ2とすると、その
関係は数2で表わされる。数2においてAは定数であ
る。
【0023】
【数2】
【0024】数2からハードバイアス層としては残留磁
化Brが高いことが必要であり、よってハードバイアス
層の飽和磁化Bsが高く、且つ角型比Sが1に近いもの
が好ましい。またハードバイアス層は保磁力Hcが高い
ことが必要であり、よってS*が1に近いものが好まし
い。
【0025】図3は、ハードバイアス層12として使用
するCo−Cr−Taの磁性膜のB−Hループにおける
保磁力Hc(Oe)、飽和磁化Bs(T;テスラ)、残
留磁化Br(T)、および角型比S*、Sを示してい
る。図3に示すB−Hループ特性の測定に使用した磁性
膜はCox−Cry−Tazであり、その組成比のx:
y:zを原子量%で86:12:2とした。すなわちC
86Cr12Ta2を使用した。ガラス基板上に下地層と
して膜厚200オングストロームのCr膜を形成し、そ
の上にCo86Cr12Ta2膜を600オングストローム
の膜厚にて形成し、B−Hループを測定した。
【0026】図3に示す結果は、上記の成膜試料を0℃
から260℃まで20℃毎に段階的に変化する温度内に
て5分間保持し、Co86Cr12Ta2膜に±10(k
G)の磁束を与えて、B−Hループを測定したものであ
る。図3の測定結果では、S*が1に近い値であり、し
かもS*は温度による影響を全く受けていないことが解
る。また飽和磁化Bsと残留磁化Brの大きさは、総体
的に高い値であり、高温環境下であってもその低下幅が
小さい。また保磁力Hcは高温になると低下するが、そ
れでも260℃の高温環境下において300(Oe)以
上の高い値を示している。
【0027】このようにCo−Cr−Taの磁性膜は、
Bs、BrおよびHcが高い値で、S*が1に近く、よ
ってハードバイアス層の材料として適していることが解
る。また、薄膜磁気ヘッドでは、その製造過程およびハ
ードディスク装置などにおいて使用されているときに、
高温の環境下に置かれることが多いが、図3では、Co
−Cr−Taの磁性膜は高温環境下でも磁気特性の低下
が極端ではなく、ハードバイアス層としての使用に何ら
問題がないことが解る。
【0028】次に、図4は、ハードバイアス層12とし
て使用されるCox−Cry−Taz膜の組成比と、保磁
力Hcおよび飽和磁化Bsの大きさとの関係を示してい
る。図4での三角形の底辺はCoの原子量%(at%)
すなわちxを示し、右辺はCrの原子量%のyを示し、
左辺はTaの原子量%のzを示している。また、保磁力
Hcを一点鎖線で示し、飽和磁化Bsの大きさを二点鎖
線で示している。xが76以上で92以下(76〜9
2)、yが4以上で24以下(4〜24)、zが16以
下(0〜16)となる組成比の領域を(イ)とする。た
だしCox−Cry−Tazでのx+y+zは常に100
である。この(イ)の領域内の組成比を持つCo−Cr
−Taでは、保磁力Hcが200(Oe)以上で、飽和
磁化Bsが4(kG)以上である。
【0029】また、xが80以上で90以下(80〜9
0)、yが10以上で20以下(10〜20)、zが1
0以下(0〜10)となる組成比の領域を(ロ)とす
る。同じくCox−Cry−Tazでのx+y+zは常に
100である。この(ロ)の領域内の組成比を持つCo
−Cr−Taでは、保磁力Hcが500(Oe)以上
で、飽和磁化Bsがほぼ6(kG)以上である。磁気抵
抗層5に縦バイアス磁界を与えるハードバイアス層12
の磁気特性としては、保磁力Hcが200(Oe)以上
で飽和磁化Bsが4(kG)以上であれば実用上十分で
あり、磁気抵抗層5をx方向へ単磁区化させてバルクハ
ウゼンノイズを低下させる効果を十分に発揮できる。ま
た保磁力Hcが500(Oe)以上で飽和磁化Bsが6
(kG)以上であれば、磁気抵抗層5のx方向への単磁
区化をきわめて高精度にでき、バルクハウゼンノイズの
低減にきわめて有効である。
【0030】したがって、ハードバイアス層12として
使用されるCox−Cry−Tazの、組成比は原子量%
でxが76以上で92以下(76〜92)、yが4以上
で24以下(4〜24)、zが16以下(0〜16)が
好ましく、さらに好ましくは、xが80以上で90以下
(80〜90)、yが10以上で20以下(10〜2
0)、zが10以下(0〜10)である。
【0031】次に、ハードバイアス層12の磁気特性
は、その膜厚によって変化する。図5と図6は、Co−
Cr−Taの磁性膜の膜厚と磁気特性との関係を示した
ものである。図5は横軸にCo−Cr−Ta膜の膜厚
(単位はオングストローム)をとり、縦軸にCo−Cr
−Ta膜の保磁力Hc(Oe)と、B−Hループの角型
比S*およびSをとったものである。図6は横軸にCo
−Cr−Ta膜の膜厚をとり、縦軸に飽和磁化Bs(k
G)をとったものである。
【0032】図5と図6に示すα1〜α4の線は、図4
に示す(イ)の領域の組成比のCo−Cr−Taに関す
る特性線である。測定した膜は、図4にてαで示す組成
比のものであり、xが86、yが12、zが2のCo86
Cr12Ta2膜である。ガラス基板上に、下地層として
Cr膜を200オングストロームの膜厚にて形成し、そ
の上にCo86Cr12Ta2膜を膜厚を変化させて形成
し、それぞれの膜厚の試料について±10(kG)の磁
束を与えてB−Hループの特性を調べたものである。α
1は保磁力Hc、α2は角型比S*、α3は角型比S、
α4は飽和磁化Bsである。
【0033】(イ)の領域のαの組成比となるCo86
12Ta2では、図6に示すように、膜厚の変化によっ
て飽和磁化Bsがほとんど変化しないことが解る。また
図5に示すように、膜厚が厚くなるにしたがって保磁力
Hcが徐々に低下するが、膜厚が600オングストロー
ムのときに保磁力Hcが600(Oe)で、膜厚が10
00オングストロームのときに保磁力Hcが500(O
e)であり、常に高い値となる。また角型比S*よびS
は、膜厚が200オングストローム以上では共に0.8
以上で1に近いものとなる。また膜厚が50オングスト
ロームでは、S*が0.9程度でSが0.7程度であ
る。図5と図6では、(イ)の領域のCo86Cr12Ta
2膜では、いずれの膜厚であっても充分な磁気特性を発
揮できるものとなっていることが解る。ただし、薄膜磁
気ヘッドの各層の膜厚との関係からハードバイアス層の
膜厚は最低でも50オングストローム以上は必要であ
り、また1000オングストロームを越えると、膜厚が
厚くなりすぎ、磁気抵抗層5などとの構造上のバランス
が崩れる。また、図5から膜厚が50オングストローム
よりも下回ると角型比Sが低くなりすぎる。以上から
(イ)の領域の組成比を持つCo−Cr−Ta膜により
ハードバイアス層12を形成する場合には、膜厚が50
オングストローム以上で1000オングストローム以下
とすることが好ましい。
【0034】次に、図5にてβで示す線は、図4の
(ロ)の領域の組成比のCo−Cr−Ta膜の、膜厚と
保磁力Hcとの関係を示している。測定は、ガラス基板
上に200オングストロームのCr膜を形成し、その上
にCo−Cr−Ta膜を膜厚を変化させて形成し、±1
0(kG)の磁束を与えて、B−Hループを測定したも
のである。膜の組成比は図4にてβで示されるものであ
り、xが92、yが6、zが2であり、Co92Cr6
2膜である。この膜では、α1と同様に、膜厚が厚く
なると保磁力Hcが低下し、膜厚600オングストロー
ムで保磁力Hcが200(Oe)である。ハードバイア
ス層12では保磁力Hcが200(Oe)以上であるこ
とが必要であり、よって(ロ)の領域の組成のCo−C
r−Ta膜をハードバイアス層として使用する場合、膜
厚は50オングストローム以上で600オングストロー
ム以下であることが好ましい。ただし、磁性膜の保磁力
は、成膜方法やアニール処理などにより調整が可能であ
り、Co92Cr6Ta2のように(ロ)の領域にある膜で
あっても、保磁力を調整することにより1000オング
ストローム程度の膜厚のものであっても使用することは
可能である。
【0035】次に図7と図8は、下地層となるCr膜の
膜厚と、Co−Cr−Ta膜の磁気特性との関係を示し
たものである。ガラス基板上に下地層となるCr膜を膜
厚を変化させて形成し、その上に(イ)の領域の組成比
のCo86Cr12Ta2膜を成膜し、それぞれの厚さのC
r膜のものに関してB−Hループ特性(外部から与える
磁束は±10kG)を測定したものである。図7と図8
では、下地層となるCr膜の膜厚が変化しても飽和磁化
Bsおよび角型比S*およびSがほとんど変化しないこ
とが解り、Co−Cr−Ta膜の下地層としてCr膜が
適していることが解る。
【0036】ただし、下地層のCr膜の膜厚が小さくな
ると、Co−Cr−Ta層の保磁力Hcが低下する。こ
れは、下地層の膜厚が薄くなり下地層の結晶配向が不安
定になると、Co−Cr−Ta層の結晶構造が、下地層
のCr層との界面において下地層の影響を受け、Co−
Cr−Ta膜の結晶配向が若干変化し、磁化方向(x方
向)での保磁力が影響を受けるためと考えられる。図7
では、下地層のCr膜の膜厚が50オングストロームを
下回ると、保磁力Hcが低下していく曲線となってい
る。ただし、これは測定した試料の関係で、Cr膜を5
0オングストロームよりも薄く成膜することが困難であ
り、50オングストロームの膜厚よりも小さいものはC
rの膜厚が0であり、50オングストロームの測定値と
0の測定値とを線で結んだ結果図7に示す曲線となった
ものである。
【0037】よって実際には、下地層としてのCr膜を
形成することによりCo−Cr−Ta膜の保磁力Hcを
ある程度高い値にできる。ただしCr膜の膜厚は成膜条
件から10オングストロームが最下限であり、また薄膜
磁気ヘッドの他の膜の厚さとの関係からCr層の膜厚は
最低でも50オングストローム以上とすることが必要で
ある。よって下地層のCr膜の膜厚は10オングストロ
ーム以上が好ましく、さらに好ましくは50オングスト
ローム以上である。また下地層のCr膜の膜厚が厚くて
もCo−Cr−Ta膜の磁気特性に悪影響はないが、薄
膜磁気ヘッドの他の層の膜厚との構造上のバランスを考
慮すると、下地層となるCr膜の膜厚の上限は600オ
ングストローム以下程度が好ましい。
【0038】次に、図9は、Co−Cr−Ta膜の上地
層となるCr膜の膜厚とCo−Cr−Ta層の磁気特性
との関係を調べた結果を示している。試料としては、ガ
ラス基板の上に下地層としてCr膜を200オングスト
ロームの膜厚に形成し、その上にCo86Cr12Ta2
磁性層を600オングストロームの膜厚に形成し、さら
に上地層としてCr膜を形成し、上地層の膜厚を変えた
もののそれぞれについてB−Hループ特性を調べた。図
9では、黒丸とこれを結んだ実線は、前記3層を成膜し
たものについて±10kGの磁束を与え、B−Hループ
を調べたものであり、白丸とこれを結んだ点線は、成膜
した後に250℃で2時間のアニール処理を行ったもの
に対して同様にB−Hループを調べたものである。図9
では上地層のCr膜の膜厚の変化が、Co−Cr−Ta
膜の磁気特性にほとんど影響を与えていないことが解
る。よってハードバイアス層がCo−Cr−Ta層の場
合に、上地層としてCr膜が適していることが解る。
【0039】このように上地層としてCr膜を設ける場
合に、膜厚寸法に制限はないが、薄膜磁気ヘッドの他の
層の膜厚との間に構造上のバランスをとるために、上地
層の膜厚は10オングストローム以上あるいは50オン
グストローム以上で、1000オングストローム以下あ
るいは1500オングストローム以下または2000オ
ングストローム以下程度であることが好ましい。
【0040】以上のように、薄膜ヘッドのハードバイア
ス層としてCo−Cr−Ta膜を形成する場合に、その
組成比は図4の(イ)の領域内が好ましく、さらに
(ロ)の領域内とすることが好ましい。また下地層と上
地層はCr膜が好ましい。またCo−Cr−Ta膜の膜
厚と、下地層と上地層の膜厚は前述した範囲とすること
が好ましい。なお、本発明の薄膜磁気ヘッドは、浮上式
磁気ヘッドに限られず、他の磁気ヘッドや磁気検出装置
に使用することができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明では、ハードバイ
アス層としてCo−Cr−Ta膜を使用することによ
り、ハードバイアス層として必要となる保磁力Hcや残
留磁化Brなどを得ることができ、磁気抵抗層に充分な
縦バイアス磁界を与えて磁気抵抗層を高精度に単磁区化
させることができ、バルクハウゼンノイズのきわめて低
い薄膜磁気ヘッドを得ることができる。またハードバイ
アス層の下地層と上地層として、Cr膜を設けると、下
地膜がCo−Cr−Ta膜のハードバイアス層の磁気特
性に影響を与えなくなる。
【0042】また、Cox−Cry−Tazの組成比x:
y:z:を前記(イ)の領域に設定することにより保磁
力Hcと飽和磁化Bsを高くでき、前記(ロ)の領域に
設定することにより、保磁力Hcと飽和磁化Bsをさら
に高いものにできる。
【0043】またハードバイアス層と下地層および上地
層の膜厚を適正に設定することにより高い保磁力を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドの実施例を示す拡大正
面図(断面図)、
【図2】ハードバイアス層を構成する磁性膜のB−Hル
ープ線図、
【図3】Co−Cr−Ta膜の温度とB−Hループ特性
との関係を示す線図、
【図4】Co−Cr−Ta膜の組成比と保磁力および飽
和磁化との関係を示す線図、
【図5】Co−Cr−Ta膜の膜厚と保磁力などとの関
係を示す線図、
【図6】Co−Cr−Ta膜の膜厚と飽和磁化との関係
を示す線図、
【図7】下地層の膜厚とCo−Cr−Ta膜の保磁力な
どとの関係を示す線図、
【図8】下地層の膜厚とCo−Cr−Ta膜の飽和磁化
との関係を示す線図、
【図9】上地層の膜厚とCo−Cr−Ta膜の保磁力な
どとの関係を示す線図、
【図10】従来の薄膜磁気ヘッドの拡大正面図(断面
図)
【符号の説明】
1 下部絶縁層 2 ヘッド素子積層体 3 軟磁性層 4 非磁性層 5 磁気抵抗層 6 上部絶縁層 11 下地層 12 ハードバイアス層 13 上地層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗層と非磁性層と軟磁性層とが積
    層されたヘッド素子積層体と、前記磁気抵抗層のトラッ
    ク幅方向の両側部に接続されたハードバイアス層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記ハードバイアス層が
    Co−Cr−Taの磁性膜により形成されていることを
    特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 Co−Cr−Taの磁性膜により形成さ
    れたハードバイアス層の下地層および上地層として、C
    r膜が設けられている請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 Co−Cr−Taの組成比は、原子量%
    でx:y:zであり、x=76〜92、y=4〜24、
    z=0〜16(ただしx+y+z=100)である請求
    項1または2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 Co−Cr−Taの磁性膜の膜厚が50
    〜600オングストロームである請求項3記載の薄膜磁
    気ヘッド
  5. 【請求項5】 Co−Cr−Taの組成比は、原子量%
    でx:y:zであり、x=80〜90、y=10〜2
    0、z=0〜10(ただしx+y+z=100)である
    請求項1または2記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 Co−Cr−Taの磁性膜の膜厚が50
    〜1000オングストロームである請求項5記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 下地層としてのCr膜の膜厚寸法が10
    オングストローム以上である請求項2記載の薄膜磁気ヘ
    ッド。
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