JP3962428B2 - セメント加速混合物 - Google Patents

Description

本発明は、セメント様(cementitious)噴霧用組織物(すなわち、噴霧用セメント組成物)およびそれに使用する混合物に関する。
噴霧により基体に使用するセメント様組成物、例えば“ショットクリート”は、第一に噴霧され得なければならず(すなわち、充分な流動性を保持しなければならない)、基体に接触した際に、更なる層を素早く適用できるような堅い層を得るために、素早く硬化しなければならない(一般に数分以内に)。当分野で認識されているこれを達成する方法は、噴霧する時点(例えば、噴霧ノズルに注入することにより)で水性溶液の形の加速剤の添加である。使用されている加速剤は、アルミン酸ナトリウム、水酸化もしくは炭酸ナトリウムもしくはカリウムおよびトリエタノールアミンのような強いアルカリである(例えば、“Ｃoncrete Ａdmixtures Ｈandbook”Ｒamachandran編(Ｎoyes，1984)参照)。
このような物質の性質は、噴霧場所を不快な作業条件にし、長い間、既知の加速剤の有する苛性特性が少ない有効な噴霧用加速剤が求められて来た。最近では、無定形水酸化アルミニウム含有加速剤が提案されている。これらは、低いアルカリ度および高い性能の利点がある。その加速剤の典型的な例は、ガムシロップまたは種々の水溶性塩と水酸化アルミニウムを混合したものである。
ノズルで使用する加速剤は液体形である。これは、水酸化アルミニウムの場合、固体加速剤が水中に分散していなければならないことを意味する。これは、現場で行うことができるが、このような加速剤を液体形で提供できれば、更に便利である。現在まで、水酸化アルミニウムでは不可能であり、その分散剤は数日以上は貯蔵安定性ではない。
水酸化アルミニウムと他の物質との特定の組み合わせが、優れた貯蔵安定性を有するだけでなく、噴霧セメント様組成物の加速剤として特に有効であることが判明した。従って、本発明により、(ａ)無定形水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムおよび(ｂ)少なくとも一つのアミンを含む、セメント様組成物の噴霧に使用する、加速混合物が提供される。
更に、無定形水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムを水に分散し、更に少なくとも一つのアミンを添加することによる、貯蔵安定、無定形水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウム基本加速混合物の製造法を提供する。
本発明の具体的な事象において、水酸化硫酸アルミニウムが水酸化アルミニウムよりしばしば優れた加速剤であり、従って好ましい。水酸化硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウムおよび／または硫酸アルミニウムの混合物も使用し得るが、水酸化硫酸アルミニウム単独の使用が好ましい。典型的な商業的に入手可能な水酸化硫酸アルミニウムは“ゲセドラル(Ｇecedral)”(商標)Ｌ(Ｇuilini Ｃhemie ＧmbＨ，Ｌudwigshafen/Ｒhein，Ｇermany販売)である。
本発明で使用するアミンは、液体または水溶性でなければならない。アミンの非常に好ましいクラスは、アルカノールアミンである。好ましいアルカノールアミンは、ジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミン、更に好ましくはジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンである。最も好ましいのは、ジエタノールアミンとトリエタノールアミンの混合物である。
本発明の混合物において、水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムを、１：１０−１０００：１、好ましくは１：１０−１００：１、更に好ましくは１：１−１０：１の割合でアルカノールアミンと混合する。ジエタノールアミンとトリエタノールアミンの好ましい混合物を使用する場合、ジエタノールアミン対トリエタノールアミンの比は１：１から０：１である。
混合物の成分は、噴霧ノズルに別々に、または前混合混合物として添加し得る。従って、本発明は、前記成分の混合物である加速混合物も提供する。いずれの場合も、セメント成分に対する重量比は、水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムで０.５−１０％およびアミンで０.００１から５％、更に好ましくは０.００１−２％または０.０１−５％である。
本発明の特に好ましい態様において、本発明の加速剤をある他の物質と混合し、特に際立った結果を提供し得る。従って、本発明は、前記で定義の加速混合物とペンダントカルボキシル部分(carboxylic moiety)を有するポリマー少なくとも一つの組み合わせを含む、噴霧加速剤も提供する。
本発明のこの態様で有用なポリマーは、好適なペンダントカルボキシル部分を有するポリマーである。カルボキシル部分はカルボキシル基であり得、このような基を有し、以下に記載の他のパラメータに適合するポリマーが、本発明で使用される。具体例としては、ポリ（アクリル）酸やポリ（メタクリル）酸およびこれらの混合物、アクリル酸やメタクリル酸またはそれらの混合物と他のモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。好ましいポリマーは、「くし型」、すなわちペンダントカルボキシル部分を有するポリマー主鎖(その化学的性質は本発明の実施に無関係である)を含むポリマーである。分子は、１００単位長までであり得、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸またはフマール酸のモノマー残基を含み得る。分子が、完全に(メタ)アクリル酸残基から成っているのが好ましい。
好ましい主鎖は、無作為付加ポリマーであり、その一つのモノマーが重合化前に、１個以上、好ましくは２個の重合可能２重結合を有する。１個以上の２重結合を有する好ましいモノマーはブタジエンおよび、好ましいコポリマーはスチレン−ブタジエンコポリマーである。このようなコポリマー(ペンダントおよび／または鎖内重合可能２重結合を有し得る)に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはフマール酸のようなカルボキシル基含有モノマーがグラフト共重合し得る。好ましいコポリマーの例は、アクリル酸と共重合化したスチレン−ブタジエンおよびスチレン／ブタジエン／マレイン(またはフマール)酸ターポリマーである。
本発明のポリマーは、２０,０００を越える分子量(平均重量)を有し、室温で固体である。それらは、水には限定された溶解性であり、せいぜい分散可能(完全に溶解はしない)程度であるが、アルカリ媒体(流動性セメント様混合物のような)には非常に溶解性である。ポリ(メタ)アクリル酸および水に本来溶解性であるポリマーの場合、必要な溶解性が達成されるような形、例えば、微粒子形に製造することが可能である。セメント様組成物に、５％固体重量以下の水性分散剤として添加する。
好ましい商品の例は、商品名“シンソマー(Ｓynthomer)”(Ｓynthomer Ｃhemie ＧmbＨ，Ｆrankfurt/Ｍain，Ｇermany販売)で入手可能なものである。特に好ましい例は、“シンソマー”9523(メタクリル酸−スチレン−ブタジエンコポリマー)である。他の好適な商品は、“ポリアクリル(Ｐolyacryl)”ＡＤ(Ｐolygon Ｃhemie ＡＧ，Ｏlten，Ｓwitzerland販売)である。
水性分散剤を、セメント様組成物にノズルの箇所で、別々にまたは前記で定義の加速混合物との混合物として添加する。存在するポリマーの割合は、セメントの０.０１から３重量％である。
噴霧用混合物が前記の水性ポリマー分散剤を含む場合、混合物は、酸性、好ましくは最大ｐＨ６でなければならない。これは、好適な強い有機または無機酸から選択し得る酸の添加により達成され、所望のｐＨを達成するのに充分な量を添加する。加えて、酸はセメント様組成物または混合物の成分と、許容不可能な程度まで不利に反応してはならない。反応性は個々の酸および存在する成分に依存して変化するが、好適な酸の選択は、当業者に問題とはならない。強い無機酸の使用が好ましく、硝酸がほとんどの事象において特によく働くことが判明した。
前記の水性ポリマー分散剤を前記の加速混合物と組み合わせて使用することは、噴霧セメント性組成物の性能を非常に改善することが判明した。特に、組成物の硬化が良好な粘着を保証するには充分に進まない場合、噴霧組成物の基体への粘着性を、噴霧後の重要な数分間に促進することがわかった。
好ましい噴霧用混合物は、以下の組成を有する(乾燥成分、重量、製剤１００％までの残りは水である)：
無定形水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウム ２０％−６０％
アルカノールアミン ０.０１％−２５％
ポリマー分散剤 ０％−２０％
酸 １％−２０％
特に好ましい組成物は、この組成を有する(乾燥成分、重量、製剤１００％までの残りは水である)：
水酸化硫酸アルミニウム ４０％−６０％
トリエタノールアミン ０.０１％−２０％
ジエタノールアミン ０％− ５％
アクリル酸コポリマー分散剤 １０％−２０％
硝酸 ５％−２０％
本発明の組成物および方法は、“湿式”および“乾式”法の両方でセメント様組成物を噴霧するのに有用であるが、水をポンプ輸送する前の混合段階で添加する、“湿式”法でよりよく働く。従って、本発明は、上記で定義の添加剤を含む噴霧用セメント様組成物を提供する。
本発明の噴霧用組成物は、また噴霧用セメント様組成物で有用であることが知られている他の添加剤を広範囲に含み得、当分野で認識されている量で使用する。添加剤の一つの特に有用なカテゴリーは、可塑剤および超可塑剤である；これらは所望の水／セメント(Ｗ／Ｃ)比の達成を助けることができる。有用な添加物の別のクラスは、硬化遅延剤である。既知のタイプが使用し得、特に有用な物質のクラスはホスホン酸基本物質、特に米国特許第４,９６４,９１７号に記載のものである。
本発明の具体的な性質は、本発明の添加剤の優れた貯蔵安定性である。水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムを水に分散させた場合、混合物を非常に早く使用に適さなくなる値まで、粘性を急速に上昇させる(典型的に、混合後数日でLVT Brookfield粘性１００,０００＋mＰas(１.５rpmでＳpindle Ｎo．4)および１週間後完全な固体)。比較して、本発明の添加剤は、２０℃で貯蔵して６カ月使用可能である。従って、添加剤を使用の充分前に製造し、すぐに使用することが可能であり、従って現場で混合する必要はない。
本発明を使用したセメント様組成物は、すぐに“硬化”し、問題なくすぐに再噴霧できる厚い層を形成する。跳ね上がり特性は、強度発展および長期間強度と同様に特に良好である。従って、本発明は水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムと少なくとも一つのアミンの混合物の、噴霧すべきセメント様組成物の加速混合物としての使用を提供する。本発明は更に基体上に噴霧ノズルからセメント様組成物を噴霧する方法を提供し、その中で前記で定義の加速混合物をノズルの箇所で組成物に添加する。
本発明を、以下の実施例を参考にして更に記載し、その中ですべての部は重量部として示している。
(ａ)噴霧混合物の製造
以下の物質を低剪断下混合し、均質混合物を形成する：
水 ５５部
水酸化硫酸アルミニウム¹ １７.９
トリエタノールアミン ７.７
ジエタノールアミン １.５５
６５％硝酸 ７.７
水性ポリマー分散液² ６.１５
１．Ｇuilini Ｃhemie販売“ゲセトラル”Ｌ
２．

販売“シンソマー”９５２３
(ｂ)噴霧混合物の試験
(ｉ)噴霧コンクリート混合物をＷ／Ｃ比約０.４５で製造する。当該混合物に対し、ノズルの箇所において上記（ａ）で調製した噴霧混合物をセメントの０．４８重量％の量で添加しながら、基体上にノズルを経由して噴霧する。噴霧コンクリートは直ぐにつやが消え(直ぐに硬化することを意味する)、厚さ２５cmを越える層が非常に少ない跳ね上がりで直ぐに設立できることが判明した。測定可能な強度の発展は６分後のみであり、１６時間後、強度は(多くの異なる点で測定して)７から１８.８Ｎ／mm²の間である。
(ii)上記(ｉ)の工程を３.８％添加量で繰り返す。この場合、厚さは容易に約２０cmを達成でき、初期強度の発展は約２０分後に測定可能になる。１６時間後、強度を測定し、１４.７と１９.６Ｎ／mm²の間であることが判明した。

Claims (3)

1. (ａ)無定形水酸化アルミニウムおよび／または水酸化硫酸アルミニウムおよび(ｂ)少なくとも１種のアミンを含む、噴霧用セメント組成物のための貯蔵安定性硬化促進剤。
2. 以下の組成(乾燥成分；重量％；１００％までの残りは水である)：
   無定形水酸化アルミニウムおよび／または
   水酸化硫酸アルミニウム ２０％−６０％
   アルカノールアミン ０.０１％−２５％
   ポリマー分散剤 ０％−１０％
   無機酸 １％−２０％
   を有する、請求項１記載の貯蔵安定性硬化促進剤。
3. 基体上に噴霧ノズルからセメント組成物を噴霧するにあたり、請求項１または２に記載の貯蔵安定性硬化促進剤をノズルの箇所でセメント組成物に添加することを特徴とする、セメント組成物の噴霧方法。