JP3960366B2 - 弾性舗装体表面の仕上げ方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陸上競技場や運動場等の表面層を形成する弾性舗装体の表面の仕上げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、陸上競技場や運動場等では、競技や運動に適応するように、その表面層に弾性舗装を施すと共に滑り止め加工を施していた。例えば、特開平2-27003 号公報では、アスファルト基盤の上に形成された弾性舗装材層の表面に、ポリウレタン樹脂組成物と粒状ゴムチップからなる組成物を吹き付けて、粒状ゴムチップが突起している凹凸表面層を形成し、その表面層を硬化せしめて弾性舗装体を形成している。しかしながら、このように弾性舗装体を形成する場合、粒状ゴムチップを露出させないようにするために、用いるポリウレタン樹脂組成物の粘度を高くしなければならないので吹き付け施行性がわるくなり、かつ得られる弾性舗装体の厚みが不均一になってしまう。一方、用いるポリウレタン樹脂組成物の粘度を低くした場合には、吹き付け施行性はよくなるが、ポリウレタン樹脂組成物によるゴムチップ周囲の被覆層がうすくなって粒状ゴムチップが露出して弾性舗装体表面から剥がれ易くなり(耐離脱性の悪化)、また、弾性舗装体表面の耐摩耗性および使用感もわるくなってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、厚みのバラツキが少なく、チップの耐離脱性がよく、耐摩耗性に優れ、かつ使用感の良好な弾性舗装体表面の仕上げ方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性舗装体表面の仕上げ方法は、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物と平均粒径0.8〜4.0mmの弾性チップからなる、粘度(20℃)が2000〜12000cpsでチクソトロピーインデックスが1.1〜1.8の塗布材Iをポリウレタン系又はゴムチップ・ポリウレタン系の基盤上に配置して第1層を形成し、この第1層の硬化後、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物からなる粘度(20℃)が15000〜60000cpsでチクソトロピーインデックスが3.0〜5.5の塗布材IIを前記第1層上に塗布して第2層を形成することを特徴とする。
【0005】
このように、弾性基盤上に第1層および第2層を積層させて設けると共に、第1層を粘度およびチクソトロピーインデックスの比較的低い塗布材Iで構成し、かつ第2層を粘度およびチクソトロピーインデックスが第1層の塗布材Iよりも高い塗布材IIで構成したため、厚みのバラツキが少なく、また、チップ周囲の被覆層が厚いためチップが露出しないのでチップの耐離脱性がよく、耐摩耗性に優れ、かつ使用感の良好な弾性舗装体表面にすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
▲1▼ 本発明では、図1に示されるように、まず、アスファルト又はコンクリートからなる基盤の上に敷設されたポリウレタン系又はゴムチップ・ポリウレタン系弾性基盤1の上に、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物と弾性チップ3からなる塗布材Iを塗布して第1層2を形成する。第1層2の配置は、例えば、スプレーガンで塗布材Iを弾性基盤1の表面に吹き付けるようにすればよい。その吹き付け量は、0.5〜2.0kg/m2 であるのがよい。
【0007】
ここで使用される例えば2液常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の場合、その主剤は、ポリオールと有機ポリイソシアネートからなる、遊離イソシアネート基を2個以上有するプレポリマーである。
ポリオールは、有機ポリイソシアネートと付加反応し得る、水酸基を2個以上有する高分子化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール、またはトリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール等のトリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加重合した分子量600〜5000のポリオールの他、公知のポリエステルポリオール、アクリルポリオール等である。
【0008】
有機ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するもので、例えば、1,4 −フエニレンジイソシアネート、2,4 −トリレンジイソシアネート、2,6 −トリレンジイソシアネート、1,5 −ナフタレンジイソシアネート、4,4′−メチレン−ビス(フエニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等およびこれらの2種以上の混合である。
【0009】
遊離イソシアネート基を2個以上有するプレポリマーとしては、例えば遊離イソシアネート基を3個以上有するポリエーテルウレタンプレポリマー又はアクリルウレタンポリマーの20〜90重量%と、遊離イソシアネート基を2個有するポリエーテルウレタンプレポリマー又はアクリルウレタンプレポリマーの10〜80重量%とを混合したものが好ましい。
【0010】
一方、上記プレポリマーと組み合わせて反応させるべき硬化剤は、ポリオール、ジアミン類、反応促進剤、無機充填剤、着色顔料、安定剤、可塑剤、更には有機溶剤等より構成される。例えば、ポリオールは上記したと同様なポリオールが使用される。ジアミン類は、芳香族ジアミンとしては、例えば、メチレンビスオルソクロロアニリン、2,2′−ジクロロベンチジン、1,3 −ビスアミノメチルベンセン、m−トリレンジアミン等が挙げられる。また、脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,2 −プロピレンジアミン等を挙げることができる。
【0011】
反応促進剤としては、オクチル酸鉛、オクチル酸錫、ジブチルチンラウレートなどの有機金属塩やトリエチレンジアミン等の3級アミンが用いられる。
無機充填剤としては、床材、防水材、弾性舗装材に配合使用し得るものであればよいが、例えば、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ粉等が使用される。特に高級脂肪酸金属塩で表面処理された炭酸カルシウムは揺変性付与剤の効果をも発現するので上記充填剤と併用して使用するのが好ましい。
【0012】
また、さらに、有機溶剤(トルエン、キシレン等の芳香族系、酢酸アルキルエステル等のイソシアネート基と非反応性のもの)、耐候安定剤、着色顔料、耐光剤、可塑剤等を慣用的に配合することができる。
以上のような2液硬化型ウレタン樹脂組成物の他に有機ポリイソシアネート過剰のプレポリマーに無機充填剤、可塑剤、顔料、安定剤などを配合し、空気中の水分で硬化させる1液硬化型ウレタン樹脂組成物を使用することもできる。
【0013】
弾性チップ3としては、ポリウレタン、ポリ尿素ウレタン、エチレン−プロピレンゴム(EPG)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等のチップが特に好ましい。その他、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴムの加硫物のチップ、廃タイヤの粉砕物等も使用し得る。その平均粒径は0.8〜4.0mmである。0.8mm未満では、凸起が少なく耐すべり性に劣り、4.0mmを超えると、チップの耐離脱性に劣り、凸起高さの均一性に劣るので好ましくない。
【0014】
弾性チップ3は、第1層目用ウレタン樹脂組成物の20〜75重量%を占めるとよい。20重量%未満では、表面凸起が少なく滑り止め性(ノンスリップ性)を高めるとする弾性チップ3の本来の役割を果たし得なくなる。一方、75重量%超では、多すぎてチップの配列性が悪くなり、凸起高さのバラツキが多くなり、外観不良にもなる。
【0015】
このようにしてなる舗装材2は、粘度(20℃)が2000〜12000cps でチクソトロピーインデックス(TI)が1.1〜1.8のものである。粘度(20℃)が2000cps 未満の場合、チップ付着性が悪く離脱し易くなる。TI値は、無機充填剤をある程度以上含有する組成物は1.1以上となってしまう。粘度が12000cps を超えると、又はTI値が1.8を超えると耐摩耗性、塗布作業性悪く、凸起の均一性に欠け、またチップの耐離脱性等がわるくなるので好ましくない。
【0016】
TI値を所定の範囲内に調節するには、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪金属塩等で表面処理された炭酸カルシウムや液状の揺変剤を添加すればよく、これらの中で高級脂肪酸の金属塩で表面処理された炭酸カルシウムが最も好ましい。
▲2▼ つぎに、本発明では、上記のように形成した第1層の硬化後(硬化は常法による)、この第1層上に塗布材IIを塗布して第2層4を形成する。塗布材IIの塗布は、スプレーガンで吹き付けることによって行えばよい。その吹き付け量は、0.3〜1.0kg/m2 であるのがよい。
【0017】
塗布材IIは、前述したと同様な常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物からなる。2液常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物の場合には、前述したと同様に主剤であるウレタンプレポリマーにポリオール、ジアミン、反応促進剤、無機充填剤、および着色剤などが適宜配合された硬化剤が組み合わせて使用される。
また、塗布材IIは、粘度(20℃)が15000〜60000cps でチクソトロピーインデックス(TI)が3.0〜5.5のものである。すなわち、粘度(20℃)およびチクソトロピーインデックス(TI)の両方が塗布材Iよりも比較的高い。形成される表面仕上げ層の厚みのバラツキを抑えると共に、弾性チップが露出して耐離脱性が悪化するのを抑え、さらに耐摩耗性および使用感を高めるためである。塗布材IIの塗布により形成された第2層は、常法により硬化される。
【0018】
【実施例】
表1に示す諸元にて第1層および第2層を形成し、弾性舗装体を製造した。
ここで、粘度、チクソトロピーインデックス(TI)は、下記によった。
粘度(単位: CPS)
BH型回転粘度計を使用し、回転速度20rpm 試料温度20℃の条件で測定した。
チクソトロピーインデックス(TI)の測定法: BH型回転粘度計を使用し、試料温度20℃における、回転速度2rpm 時の粘度及び20rpm 時の粘度を測定して、下記の式からTI値を求めた。
【0019】
【数1】
Figure 0003960366
実施例1
(1) 弾性基盤
下記のウレタンプレポリマー(A)100重量部と硬化剤組成物(B)100重量部とを混合して12mm厚に平坦に流し込み作製した。
【0020】
ウレタンプレポリマー(A)
平均分子量1000のポリオキシプロピレンジオールと平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオールに過剰のトリレンジイソシアネートを常法により付加反応させて得られた遊離イソシアネート基3.5%のプレポリマー。
【0021】
硬化剤組成物(B)
メチレンビスオルソクロロアニリン7.0重量部、平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール、および平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール29重量部、重質炭酸カルシウム61重量部、オクチル酸鉛1重量部、老化防止剤および紫外線吸収剤2重量部からなる組成物。
【0022】
(2) 本発明によるウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
第1層を形成する塗布材Iに使用する液状ウレタンとして、ウレタンプレポリマー(A)および硬化剤組成物(B)を使用した。
弾性チップとしても、これら(A)および(B)を予め混合加熱して粉砕して得られたウレタンチップ(C)で粒径2mmのものを使用した。
【0023】
すなわち、塗布材Iとして、ウレタンプレポリマー(A)100重量部、硬化剤組成物(B)100重量部、および弾性チップとして、平均粒径2mmのウレタンチップ(C)70重量部をミキサーで混合した。このときの20℃における粘度はBH型粘度計、20rpmで10500cps、TIは1.1であった。
【0024】
この混合物をドイツSMG社製スプレー装置S−1200Dにより弾性基盤上に1.0kg/m2 の塗布量で塗布した。
なお、ウレタンプレポリマー(A)および硬化剤組成物(B)の硬化物の耐摩耗性は一般的に陸上競技場に使用されているものとほぼ同じで、テーバー摩耗試験(摩耗輪CS−17、荷重1kg、1000サイクル)の摩耗減量は480mgであった。
【0025】
(2.2) 第2層
第1層硬化後、第2層を形成する塗布材IIとして下記のウレタンプレポリマー(D)および硬化剤組成物(E)を使用した。
この塗布材層は耐摩耗性に優れたもので、テーバー摩耗試験(摩耗輪CS−17、荷重1kg、1000サイクル)における摩耗減量は210mgであった。
【0026】
ウレタンプレポリマー(D)
平均分子量1000のポリオキシテトラメチレングリコールに過剰のトリレンジイソシアネートを常法により付加反応させて得られた遊離イソシアネート基6.0%のプレポリマー。
硬化剤組成物(E)
メチレンビスオルソクロロアニリン8重量部、平均分子量1000 のポリオキシプロピレンジオール、および平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール58重量部、顔料12重量部、無機充填剤として炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムおよび表面処理炭酸カルシウム)98重量部、オクチル酸鉛1重量部(硬化促進剤)、老化防止剤および紫外線吸収剤3重量部、および溶剤としてキシレン20重量部からなる組成物。
【0027】
ウレタンプレポリマー(D)100重量部および硬化剤組成物(E)200重量部をミキサーで混合し、SMG社製スプレー装置S−120Dにより第1層上に塗布量0.6kg/m2 で吹き付けた。この混合物の粘度は20℃、BH型粘度計20rpmで40000cps、TIは4.5であった。
【0028】
(2.3) トップコート層塗布
第2層硬化後、艶消しによる外観向上および耐候性のなおいっそうの向上のために、アクリルウレタン系トップコート塗料を150g/m2 の塗布量でエアレススプレーヤーにより吹き付けた。(なお、以下の実施例、比較例は記載してないが、すべて同一方法、同一塗布量でトップコートを吹き付けた。)
実施例2
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
【0029】
(2) ウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
塗布材Iとして、ウレタンプレポリマー(A)100重量部、硬化剤組成物(B)において重質炭酸カルシウムの1部を表面処理炭酸カルシウムに置換したもの100重量部、溶剤としてキシレン50重量部、ウレタンチップ(C)で平均粒径2mmのもの140重量部をミキサーで混合した。得られた塗布材Iの20℃における粘度は5200cps、TIは1.8であった。
【0030】
この混合物をドイツSMG社製スプレー装置S−120Dで弾性基盤上に塗布量0.8kg/m2 で吹き付けた。
(2.2) 第2層
塗布材IIとして実施例1と全く同じウレタン組成物を同じく塗布量0.6kg/m2 で吹き付けた。
【0031】
実施例3
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
(2) ウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
塗布材Iとして、ウレタンプレポリマー(A)100重量部、硬化剤組成物(B)において重質炭酸カルシウムの1部を表面処理炭酸カルシウムに置換したもの100重量部、溶剤としてキシレン25重量部、ウレタンチップ(C)で平均粒径1.5mmのもの80重量部をミキサーで混合した。この混合物の20℃における粘度は3500cps、TIは1.3であった。
【0032】
この混合物をドイツSMG社製スプレー装置S−120Dで弾性基盤上
に塗布量1.0kg/m2 で吹き付けた。
(2.2) 第2層
塗布材IIとしてウレタンプレポリマー(D)および硬化剤組成物(E)の炭酸カルシウムの量はそのままで重質炭酸カルシウムの比率を増やしたものを使用した。
【0033】
この混合物の20℃、BH粘度計の粘度は20000cps、TIは3.0であった。
この混合物を同様の方法で塗布量0.5kg/m2 で吹き付けた。
実施例4
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
【0034】
(2) ウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
塗布材Iとして、実施例2で第1層に使用したプレポリマー100重量部、硬化剤組成物100重量部、およびキシレン45重量部、平均粒径3.0mmのウレタンチップ(C)120重量部を使用し、混合した。この混合物の20℃における粘度は4800cps、TIは1.7であった。
【0035】
この混合物を同様の方法で塗布量1.8kg/m2 で吹き付けた。
(2.2) 第2層
塗布材IIとしてウレタンプレポリマー(D)100重量部および硬化剤組成物(E)の炭酸カルシウムの量はそのままで表面処理重質炭酸カルシウムの比率を増やしたもの200重量部をミキサーで混合した。
【0036】
この混合物の20℃、BH粘度計の粘度は50000cps、TIは5.0であった。
この混合物を同様の方法で塗布量0.8kg/m2 で吹き付けた。
比較例1
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
【0037】
(2) ウレタン表面仕上げ層
下記のウレタンプレポリマーと硬化剤組成物を使用した。
ウレタンプレポリマー(F)
平均分子量1000のポリオキシプロピレングリコールに過剰のトリレンジイソシアネートを常法により付加反応させて得られた遊離イソシアネート基6.0%のプレポリマー。
【0038】
硬化剤組成物(G)
メチレンビスオルソクロロアニリン8重量部、平均分子量1000のポリオキシプロピレンジオール、および平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール58重量部、顔料12重量部、無機充填剤として炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムおよび表面処理炭酸カルシウム)102重量部、オクチル酸鉛1重量部(硬化促進剤)、老化防止剤および紫外線吸収剤3重量部、および溶剤としてキシレン16重量部からなる組成物。
【0039】
ウレタンプレポリマー(F)100重量部および硬化剤組成物(G)200重量部、平均粒径0.6mmのウレタンチップ(C)105重量部をミキサーで混合した。この混合物の20℃の粘度は25000cps、TIは2.5であった。これを1.5kg/m2 の塗布量で吹き付けた。
なお、上記のウレタンプレポリマー(F)および硬化剤組成物(G)のみの硬化物のテーバー摩耗試験(摩耗輪CS−17、荷重1kg、1000サイクル)の摩耗減量は410mgであった。
【0040】
比較例2
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
(2) ウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
塗布材Iとして、ウレタンプレポリマー(F)100重量部および硬化剤組成物(G)200重量部、溶剤としてキシレン75重量部、およびウレタンチップ(C)の平均粒径5mmのもの240重量部をミキサーで混合した。このときの20℃における粘度は12000cps、TIは2.1であった。
【0041】
この混合物を塗布量1.0kg/m2 で塗布した。
(2.2) 第2層
塗布材IIとしてウレタンプレポリマー(D)100重量部および硬化剤組成物(E)の炭酸カルシウムの量はそのままで重質炭酸カルシウムの比率を増やしたもの200重量部の混合物を使用した。
【0042】
この混合物の20℃の粘度は10000cps、TIは2.5であった。これを塗布量0.4kg/m2 で塗布した。
比較例3
(1) 弾性基盤
実施例1と全く同一のものを使用した。
【0043】
(2) ウレタン表面仕上げ層
(2.1) 第1層
塗布材Iとして、ウレタンプレポリマー(F)100重量部および硬化剤組成物(G)200重量部、ウレタンチップ(C)で平均粒径3mmのもの105重量部の混合物を使用した。
【0044】
この混合物の20℃の粘度は21000cps、TIは2.3であった。この混合物を2.2kg/m2 の塗布量で吹き付けた。
(2.2) 第2層
塗布材IIとしてウレタンプレポリマー(D)100重量部および硬化剤組成物(E)200重量部の混合物を使用し、塗布量1.2kg/m2 で吹き付けた。
【0045】
得られた弾性舗装体について、エンボス凸起の均一性(施工の容易性)、チップ頂部被覆性(チップ耐離脱性)耐摩耗性、耐すべり性、手足での接触感について評価した。この結果を表1に示す。
エンボス凸起の均一性
これは仕上がった表面を肉眼で観察してエンボス凸起の高さが2mm程度であり、しかも均一に外観よく分散している程度によって良好な場合は「○」、やや良好な場合は「△」、外観悪く、凸起も不均一に分散している場合を「×」とした。また、この凸起高さ、均一仕上がり性は施工の容易性でもあり、○印のものは比較的良好に施工性良く仕上がることを意味している。
【0046】
チップ頂部被覆性
これは、弾性チップで頂部が被覆されてチップのエッジの露出がないこと、および耐スパイク試験機で試験終了後にチップの離脱状態が少なく、スパイクによる表面の傷の程度により良好なものは「○」、中程度のものは「△」、エッジ露出が大きく傷の多いものは「×」とした。
【0047】
なお、耐スパイク試験機は、支持台上に置かれた長さ2m、幅50cmの試料シート上を重さ80kg、直径50cm、幅30cmの表面に6mm長さのスパイクを1.5cmピッチで埋め込んだもので、回転ドラムが試料シート上をスパイクがランダムに当たるように往復運動するもので、1000往復終了後に外観を肉眼により観察した。
【0048】
耐摩耗性
JIS K7204テーバー摩耗試験機により摩耗輪CS−17、荷重1kg、100回転後の摩耗減量で評価した。300mg以下を「○」、300〜400mgを「△」、400mg以上を「×」とした。
耐すべり性
ASTM E303−74によるポータブルスキッドレジスタンステスターによる潤滑時のすべり抵抗値を測定した。国際陸連の規格値が47以上であるので、47未満を「×」、47〜50を「△」、50以上を「○」とした。
【0049】
手足での接触感
これは、クラウチングスタート時の表面の凸起による手の痛さ、素足での競技を考慮した表面凸起による痛さを考慮したもので、表面を手で強く押さえた場合、素足を乗せた場合の感触、すなわち表面凸起に丸みの多いものを「○」、エッジ状になっているものを「×」、その中間を「△」とした。
【0050】
【表1】
Figure 0003960366
【0051】
表1から明らかなように、本発明によれば(実施例1〜4)、比較例1〜3に比し総合的に優れていることが判る。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物と平均粒径0.8〜4.0mmの弾性チップからなる、粘度(20℃)が2000〜12000cpsでチクソトロピーインデックスが1.1〜1.8の塗布材Iをポリウレタン系又はゴムチップ・ポリウレタン系の基盤上に配置して第1層を形成し、この第1層の硬化後、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物からなる粘度(20℃)が15000〜60000cpsでチクソトロピーインデックスが3.0〜5.5の塗布材IIを前記第1層上に塗布して第2層を形成するために、凸起のバラツキが少なく、チップの耐離脱性がよく、耐すべり性に優れ、かつチップのエッジが露出に近い状態にならないので、運動靴をはいたとき又は素足での使用感の良好な弾性舗装体表面とすることができる。また、本発明によれば、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物からなる塗布材がチップの頂部を覆い包むように塗布されるので(第2層)、特に、チップの耐離脱性と共に素足でのプレー性、スタート時の手の接触感が向上する。さらに、第2層の塗布材として耐摩耗性のよいものを選択することにより(例えば、ウレタンプレポリマーを構成するポリオールとしてポリテトラメチレングリコール(PTMG) を用いる等)、第2層の耐摩耗性を向上でき、耐久性向上に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性舗装体表面の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基盤 2 塗布材Iによる第1層
3 弾性チップ 4 塗布材IIによる第2層

Claims (3)

  1. 常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物と平均粒径0.8〜4.0mmの弾性チップからなる、粘度(20℃)が2000〜12000cpsでチクソトロピーインデックスが1.1〜1.8の塗布材Iをポリウレタン系又はゴムチップ・ポリウレタン系の基盤上に配置して第1層を形成し、この第1層の硬化後、常温硬化型ポリウレタン樹脂組成物からなる粘度(20℃)が15000〜60000cpsでチクソトロピーインデックスが3.0〜5.5の塗布材IIを前記第1層上に塗布して第2層を形成する弾性舗装体表面の仕上げ方法。
  2. 前記第1層ウレタン樹脂組成物の20〜75重量%が前記弾性チップである請求項1記載の弾性舗装体表面の仕上げ方法。
  3. 前記第1層の形成は前記塗布材Iを0.5〜2.0kg/m2 の量で弾性基盤面に吹き付けることによって行うと共に、前記第2層の形成は前記塗布材IIを0.3〜1.0kg/m2 の量で前記第1層に吹き付け塗布することによって行う請求項1又は2記載の弾性舗装体表面の仕上げ方法。
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