JP7431643B2 - 複合弾性材および弾性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、複合弾性材および弾性組成物に関し、詳しくは、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどの弾性舗装に用いられる複合弾性材、および、複合弾性材を得るための弾性組成物に関する。
現在、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどの弾性舗装においては、例えば、コンクリートなどの被舗装面の上に、ゴムチップなどのチップ類および樹脂成分を含む弾性層を配置することが知られている。
より具体的には、例えば、弾性層と耐久層とエンボス層とを備える複合弾性材において、弾性層を、トリレンジイソシアネートおよびポリオキシプロピレンポリオールの反応により得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムを含む活性水素基含有成分と、発泡体チップとを混合および硬化させることにより形成することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2019-137979号公報
一方、複合弾性材の弾性層に発泡体チップを含有させると、硬化前の弾性層中において発泡体チップが浮遊し、弾性層の不均質化、物性(衝撃吸収性、垂直変位量耐性など)の低下などを惹起する場合がある。
また、複合弾性材には、生産効率の向上が要求されているため、弾性層の施工時における作業性(弾性層の生産性)の向上が要求される。
本発明は、作業性に優れ、優れた物性(衝撃吸収性および垂直変位量耐性)を有する複合弾性材、および、複合弾性材を得るための弾性組成物である。
本発明[1]は、弾性樹脂および発泡体チップを含む第1層と、前記第1層の上に配置される、前記第1層よりも高硬度の第2層とを備える複合弾性材であり、前記第1層は、TI値1.4以上2.4以下の弾性組成物の硬化物である、複合弾性材を含んでいる。
TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2
条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
本発明[2]は、前記弾性組成物は、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、前記充填材は、無処理炭酸カルシウムおよび/または酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含む、上記[1]に記載の複合弾性材を含んでいる。
本発明[3]は、前記充填材が、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含み、無処理炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸処理炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、前記無処理炭酸カルシウムが、10質量部以上80質量部以下、前記酸化アルミニウムが、10質量部以上80質量部以下、前記酸処理炭酸カルシウムが、10質量部以上30質量部以下である、上記[2]に記載の複合弾性材を含んでいる。
本発明[4]は、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、前記充填材が、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含み、TI値が、1.4以上2.4以下である、弾性組成物を含んでいる。
TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2
条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
本発明の複合弾性材は、弾性樹脂および発泡体チップを含む第1層と、第1層の上に配置される、第1層よりも高硬度の第2層とを備えており、第1層が、TI値が所定の範囲の弾性組成物の硬化物である。
そのため、本発明の複合弾性材は、作業性よく得られる。
さらに、本発明の複合弾性材は、発泡体チップの浮遊を抑制できるため、第1層の均質化を図ることができ、その結果、優れた物性(衝撃吸収性、垂直変位量耐性など)を得ることができる。
本発明の弾性組成物は、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、充填材が、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含み、TI値が、所定の範囲であるため、作業性に優れており、また、優れた物性の複合弾性材を得ることができる。
図1は、本発明の複合弾性材の一実施形態を示す概略図である。
図1において、複合弾性材1は、第1層としての弾性層2と、弾性層2の上に配置される第2層としての耐久層3と、任意的に耐久層3の上に配置される第3層としてのエンボス層4とを備えている。
なお、弾性層2、耐久層3およびエンボス層4は、公益財団法人 日本体育施設協会/屋外体育施設部会 「屋外体育施設の設計指針 -各種スポーツ施設の設計・施工-(平成29年改正版) P.242~245に記載の通り定義される。
具体的には、グランド舗装(全天候型舗装)の表層構造において、樹脂部分の一番下の層が、弾性層(またはベース層)と称される。弾性層は、クッション性を与えるベース層である。また、弾性層の上に積層される層は、耐久層(または上塗り層)と称される。耐久層は、耐久性を与える上塗り層である。また、耐久層の上に積層される表面層は、エンボス層(その他、例えば、吹付仕上げ層、塗布仕上げ層、トップコート層など)と称される。エンボス層は、つや消しおよび適度な滑り性を与える表面層である。
複合弾性材1において、弾性層2は、弾性樹脂5および発泡体チップ6を含んでいる。
弾性層2は、詳しくは後述するように、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含む弾性組成物(後述)を、硬化させることにより得られる。
弾性層2において、弾性樹脂5は、樹脂成分および充填材を含む樹脂組成物(以下、バインダー組成物と称する場合がある。)の硬化物である。
樹脂成分は、硬化(後述)により弾性性能を発現する未硬化の樹脂を含んでいる。
樹脂成分は、舗装に適した弾性性能を発現する未硬化の樹脂であれば、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂組成物、ポリオレフィン樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物などの公知の樹脂組成物が挙げられる。これら樹脂成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
樹脂成分として、好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
ポリウレタン樹脂組成物としては、公知のポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分を含むポリウレタン樹脂組成物が挙げられ、より具体的には、例えば、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートと、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)とを含むMOCA系ポリウレタン樹脂組成物や、例えば、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートと、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)とを含む非MOCA系ポリウレタン樹脂組成物などが挙げられる。ポリウレタン樹脂組成物は、単独使用または2種類以上併用することができる。環境性の観点から、好ましくは、非MOCA系ポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
なお、バインダー組成物中の樹脂成分の割合については、後述する。
バインダー組成物において、充填材としては、例えば、弾性層2を補強するための充填材(以下、充填補強材と称する場合がある。)、樹脂成分に揺変性を付与するための充填材(以下、充填揺変材と称する場合がある。)などが挙げられる。
充填補強材としては、例えば、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、炭酸カルシウム(無変性炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの粒状充填剤、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤、例えば、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンなどのバルーン状充填剤などの無機充填材などが挙げられる。また、充填補強材として、例えば、木粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性樹脂粉末、熱硬化性樹脂粉末などの有機充填材も挙げられる。
これら充填補強材は、単独使用または2種類以上併用することができる。
充填補強材として、好ましくは、無機充填材、より好ましくは、粒状充填材、さらに好ましくは、無変性炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、とりわけ好ましくは、無変性炭酸カルシウムと酸化アルミニウムとの併用が挙げられる。
充填補強材として、無変性炭酸カルシウムと酸化アルミニウムとが併用される場合、それらの併用割合は、無変性炭酸カルシウムと酸化アルミニウムとの総量100質量部に対して、無変性炭酸カルシウムが、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下である。また、酸化アルミニウムが、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下である。
充填揺変材としては、例えば、微粉末シリカ、酸処理炭酸カルシウムなどの無機充填揺変材、例えば、尿素化合物、有機ベントナイト、脂肪酸アマイドなどの有機充填揺変材などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
充填揺変材として、好ましくは、無機充填揺変材、より好ましくは、酸処理炭酸カルシウムが挙げられる。
酸処理炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの酸処理物である。
炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸としては、例えば、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの脂肪酸が挙げられ、さらに、例えば、上記脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸の炭素数1~20アルキルエステルなど)、脂肪酸金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩など)、脂肪酸有機塩(例えば、アンモニウム塩など)などの脂肪酸誘導体などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら酸処理炭酸カルシウムは、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸処理炭酸カルシウムとして、好ましくは、コロイド炭酸カルシウムが脂肪酸エステルにより処理された酸処理炭酸カルシウムが挙げられる。
充填材は、好ましくは、充填補強材と充填揺変材とを含有し、より好ましくは、無処理炭酸カルシウムおよび/または酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含有する。
このような場合、充填補強材と充填揺変材との併用割合は、TI値を後述の範囲に調整し、作業性の向上を図るとともに、各種物性に優れた弾性樹脂5を得る観点から、充填補強材と充填揺変材との総量100質量部に対して、充填補強材が、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上であり、例えば、99質量部以下、好ましくは、95質量部以下、より好ましくは、90質量部以下である。
また、充填補強材と充填揺変材との総量100質量部に対して、充填揺変材が、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
また、ポットライフを適度に調整し、表面が比較的平滑な弾性層2を得る観点から、充填材は、さらに好ましくは、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含有する。
このような場合、ポットライフを適度に調整し、表面が比較的平滑な弾性層2を得る観点から、無処理炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸処理炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、無処理炭酸カルシウムが、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、60質量部以下、より好ましくは、40質量部以下である。
また、無処理炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸処理炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、酸化アルミニウムが、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、60質量部以下である。
また、無処理炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸処理炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、酸処理炭酸カルシウムが、例えば、10質量部以上、好ましくは、12質量部以上、より好ましくは、14質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、25質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
バインダー組成物は、樹脂成分と充填材とを公知の方法で混合することにより得られる。
バインダー組成物において、樹脂成分の割合は、樹脂成分および充填材の総量100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上、より好ましくは、70質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、85質量部以下、より好ましくは、80質量部以下である。
また、充填材の割合は、樹脂成分および充填材の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上、より好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
また、バインダー組成物は、さらに、顔料、分散剤、粒状ゴム、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、染料、滑剤、加水分解防止剤などの添加剤(後述の充填材を除く。)を含有することができる。なお、添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
発泡体チップ6は、弾性層2(における各層)において、均一に分散されている。
発泡体チップ6としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂の発泡体チップ、例えば、ガラス発泡体のチップ、コルクのチップなどが挙げられる。発泡体チップ6として、好ましくは、樹脂の発泡体チップが挙げられ、より好ましくは、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂の発泡体チップが挙げられる。
これら発泡体チップ6は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、発泡体チップ6は、発泡体をチップ状に製造したものであってもよく、また、発泡体をチップ状に破砕したものであってもよい。
また、発泡体チップ6は、例えば、ゴムタイヤの廃材から得られるゴムチップなどの無発泡チップとは区別される。
また、発泡体は、硬質、軟質および/または半硬質のものが用いられる。また、発泡体の気泡構造は、独立でもあってもよく、連通であってもよい。
発泡体チップ6の形状は、特に制限されず、複合弾性材1において通常使用される形状およびサイズのものが使用される。具体的には、例えば、小片、細片、粒状、ビーズ状である。
また、発泡体チップ6の密度(かさ比重)は、例えば、0.01g/cm以上、好ましくは、0.05g/cm以上であり、例えば、0.80g/cm以下、好ましくは、0.50g/cm以下、より好ましくは、0.10g/cm以下である。
発泡体チップ6の平均粒径(測定方法:JIS Z8815(1994) 乾式ふるい分け試験)は、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、4.5mm以下、好ましくは、3.5mm以下である。
発泡体チップ6の含有割合は、弾性樹脂5の100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上、より好ましくは、4質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
弾性層2を得るには、まず、バインダー組成物(樹脂成分および充填材を含むバインダー組成物)と、発泡体チップ6とを上記の割合で混合する。
これにより、バインダー組成物および発泡体チップ6を含む弾性組成物を調製する。
弾性組成物は、弾性層2を得るために用いられる未硬化の樹脂組成物であり、上記のバインダー組成物と上記の発泡体チップとを含み、より具体的には、上記の樹脂成分と、上記の充填材(好ましくは、酸処理炭酸カルシウム、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウム)と、上記の発泡体チップとを含む。
弾性組成物の調製において、各成分の混合順序は、特に制限されない。すなわち、任意の順序で樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)と、充填材(好ましくは、酸処理炭酸カルシウム、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウム)と、発泡体チップ6とを混合し、弾性組成物を調製する。
弾性組成物のTI値(チキソトロピックインデックス)は、以下の条件1で測定される粘度η1の、以下の条件2で測定される粘度η2に対する比(条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2)である。
条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
なお、粘度の測定において、弾性組成物の固形分濃度は、100質量%である。
また、粘度は、BM型粘度計を用いて、後述する実施例に準拠して、測定される。
より具体的には、条件1で測定される弾性組成物の粘度η1は、例えば、30Pa・s以上、好ましくは、40Pa・s以上であり、例えば、70Pa・s以下、好ましくは、60Pa・s以下である。
また、条件2で測定される弾性組成物の粘度η2は、例えば、10Pa・s以上、好ましくは、20Pa・s以上であり、例えば、40Pa・s以下、好ましくは、30Pa・s以下である。
そして、TI値(TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2)は、作業性の向上を図るとともに、各種物性に優れた弾性樹脂5を得る観点から、1.4以上、好ましくは、1.5以上、より好ましくは、1.6以上、さらに好ましくは、1.7以上であり、2.4以下、好ましくは、2.2以下、より好ましくは、2.0以下、さらに好ましくは、1.9以下である。
なお、TI値は、充填材の配合比率により調整される。より具体的には、TI値は、例えば、充填補強材と充填揺変材との併用割合により調整され、好ましくは、酸処理炭酸カルシウム、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムの併用割合により調整される。
換言すれば、充填補強材と充填揺変材との併用割合、好ましくは、酸処理炭酸カルシウム、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムの併用割合を、上記の範囲に調整することにより、TI値を上記範囲に調整できる。
次いで、この方法では、得られた弾性組成物を、被舗装面などに敷き均し、弾性組成物を硬化させる。より具体的には、まず、被舗装面に対して、例えば、プライマーを塗布し、次いで、適宜の条件で、スキージ、鏝、ローラー、レーキ、スプレーガンなどを用いて、弾性組成物を敷き均し、弾性組成物中の樹脂成分を硬化させる。
硬化条件は、硬化性樹脂成分の種類により異なるが、硬化温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、5℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下であり、硬化時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上、例えば、48時間以下、好ましくは、24時間以下である。
これにより、弾性組成物の硬化物として、弾性樹脂5および発泡体チップ6を含む弾性層2が形成される。
より具体的には、バインダー組成物の硬化物として弾性樹脂5が形成され、その結果、弾性樹脂5のマトリックス中に発泡体チップ6が分散した弾性層2が形成される。
なお、弾性層2は、単層であってもよく、複数層であってもよい。弾性層2が複数層である場合には、上記の操作を繰り返す。また、そのような場合、使用される樹脂成分の種類、充填材の種類、発泡体チップ6の種類などは、各層において同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
弾性層2の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は、常温(23℃)で1週間経過(養生)後の測定値として、例えば、35以上、好ましくは、38以上であり、例えば、60以下、好ましくは、55以下である。
このような弾性層2の厚みは、特に制限されないが、例えば、7mm以上、好ましくは、9mm以上であり、例えば、13mm以下、好ましくは、11mm以下である。
また、弾性層2では、上記の特定の弾性組成物を用いて得られるため、発泡体チップ6の浮遊が抑制されている。そのため、弾性層2の厚み方向における上下のいずれにも、発泡体チップ6が比較的多く分散しており、低密度化されている。
弾性層2の上側1/2部分の密度(測定法:JIS Z8807(2012) 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法)は、例えば、0.80g/cm以上、好ましくは、0.85g/cm以上であり、例えば、1.0g/cm以下、好ましくは、0.95g/cm以下、より好ましくは、0.90g/cm以下である。
弾性層2の下側1/2部分の密度(測定法:JIS Z8807(2012) 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法)は、例えば、上側1/2部分の密度よりも大きく、例えば、0.60g/cm以上、好ましくは、0.70g/cm以上であり、例えば、1.0g/cm以下、好ましくは、0.95g/cm以下である。
また、弾性層2の上側1/2部分の密度と、弾性層2の下側1/2部分の密度との差は、例えば、0.01g/cm以上、好ましくは、0.05g/cm以上であり、例えば、0.45g/cm以下、好ましくは、0.40g/cm以下である。
耐久層3は、弾性層2の上に配置(積層)される樹脂層であって、好ましくは、上記の弾性樹脂を含有しており、より好ましくは、ポリウレタン樹脂を含有している。
また、耐久層3は、例えば、上記の添加剤、充填材(充填補強材、充填揺変材)などを、適宜の割合で含有できる。
そして、耐久層3は、複合弾性材1の耐久性の向上を図る観点から、弾性層2よりも高硬度である。
耐久層3の硬度を、弾性層2よりも高硬度にする方法としては、特に制限されないが、例えば、弾性樹脂の種類を適宜選択する。より具体的には、例えば、弾性層2がポリウレタン樹脂を含有する場合、耐久層に、弾性層2のポリウレタン樹脂よりも高硬度のポリウレタン樹脂を含有させる。
耐久層3を形成する方法は、特に制限されず、例えば、上記の樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を、弾性層2の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。これにより、耐久層3を得ることができる。
なお、耐久層3を形成するための樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)は、耐久層3が弾性層2よりも高硬度となるように、適宜選択される。
耐久層3の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は、常温(23℃)で1週間経過(養生)後の測定値として、例えば、50以上、好ましくは、55以上であり、例えば、70以下、好ましくは、65以下である。
また、弾性層2の硬度と、耐久層3の硬度との差は、例えば、1以上、好ましくは、3以上であり、例えば、30以下、好ましくは、20以下である。
このような耐久層3の厚みは、特に制限されないが、例えば、弾性層2よりも薄く、より具体的には、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3.5mm以下である。
エンボス層4は、必要に応じて、耐久層3の上に配置(積層)される樹脂層であって、好ましくは、上記の弾性樹脂を含有しており、より好ましくは、ポリウレタン樹脂を含有している。
また、エンボス層4は、公知の方法により、その表面(上面)にエンボスパターンが形成されている。エンボス層4のエンボスパターンは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、エンボス層4は、例えば、上記の添加剤、充填材(充填補強材、充填揺変材)などを、適宜の割合で含有できる。
エンボス層4を形成するには、例えば、上記の樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を、耐久層3の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。
その後、硬化した樹脂の表面を、例えば、ローラエンボス加工法などの公知の方法によって、エンボス加工する。これにより、エンボス層4を得ることができる。
エンボス層4の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は、常温(23℃)で1週間経過(養生)後の測定値として、例えば、55以上、好ましくは、60以上であり、例えば、75以下、好ましくは、70以下である。
このようなエンボス層4の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下である。
なお、図示しないが、弾性層2、耐久層3およびエンボス層4のそれぞれの層間には、目的および用途に応じて、フォーム樹脂層などの中間層を介在させることもできる。
これにより、弾性層2および耐久層3(さらに、エンボス層4)を備える複合弾性材1を得ることができる。
上記の複合弾性材1は、弾性樹脂および発泡体チップを含む弾性層2と、弾性層2の上に積層される、弾性層2よりも高硬度の耐久層3とを備えおり、弾性層2が、TI値が所定の範囲の弾性組成物の硬化物である。
そのため、上記の複合弾性材1は、作業性よく得られる。
さらに、上記の複合弾性材1は、発泡体チップ6の浮遊を抑制できるため、弾性層2の均質化を図ることができ、その結果、優れた物性(衝撃吸収性、垂直変位量耐性など)を得ることができる。
また、上記の弾性組成物は、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、充填材が、酸処理炭酸カルシウム、無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムを含み、TI値が、所定の範囲であるため、作業性に優れており、また、優れた物性の複合弾性材1を得ることができる。
そのため、上記の複合弾性材1および弾性組成物は、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどの弾性舗装において、好適に用いられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
調製例1 (触媒溶液Aの製造)
DINP(ジイソノニルフタレート、新日本理化社製)990質量部とネオスタン U-600(オクチル酸ビスマス、日東化成工業社製)10質量部とを窒素気流下において攪拌混合し、触媒溶液Aを作製した。
作製例1(ポリイソシアネート成分Aの製造)
コスモネートT-80(2,4-異性体/2,6-異性対比80/20のトリレンジイソシアネート、三井化学社製)186.3質量部と、アクトコールD-1000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量1000、三井化学SKCポリウレタン社製)324.4質量部とアクトコールD-2000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、三井化学SKCポリウレタン社製)432.8質量部と、アクトコールT-700(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量700、三井化学SKCポリウレタン社製)56.5質量部とを、攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに窒素雰囲気下において仕込み、90℃で4時間攪拌混合して反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAを得た。得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基含有率(NCO%)をJIS K7301(1995)に記載のイソシアネート基含有率試験により測定したところ、3.4質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAを、ポリイソシアネート成分Aとした。
作製例2~7(活性水素基含有成分A~Fの製造)
表1に記載される処方で、エタキュア100(ジエチルメチルベンゼンジアミン、アルベマール社製)、アクトコールT-4000(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量4000、三井化学SKCポリウレタン社製)、アクトコールT-3000(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、三井化学SKCポリウレタン社製)、アクトコールD-4000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量4000、三井化学SKCポリウレタン社製)、DINA(可塑剤、ジイソノニルアジペート、田岡化学工業社製)、NSR-300(顔料、森下弁柄工業社製)、DA-1200(湿潤分散剤、楠本化成社製)、NS-200(炭酸カルシウム、日東粉化工業社製)、BK-115(酸化アルミニウム、住友化学社製)、および、シーレッツ200(酸処理炭酸カルシウム(脂肪酸エステルにより表面処理されたコロイド炭酸カルシウム)、丸尾カルシウム製)を、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分A~Fを作製した。
<弾性層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例1~6 弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1~D-6)
表1に記載の処方で、ポリイソシアネート成分A 500質量部と、活性水素基含有成分 500質量部と、触媒溶液A10質量部とを配合して、バインダー組成物を調製し、さらに、バインダー組成物に、平均粒径2mmの発泡EVAチップ(粉砕発泡EVAチップ かさ比重0.08、三福工業社製)40質量部を配合し、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合して、弾性組成物としての弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)~(D-6)を得た。
なお、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(弾性組成物)の固形分濃度は、100質量%であった。
そして、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(弾性組成物)の調製において、各成分(ポリイソシアネート成分、活性水素基含有成分および発泡体チップ)の混合後、20分後の25℃における粘度を、BM型粘度計(TVB-25L、東機産業製)にて、4号ローターを使用し、せん断速度6rpmおよび60rpmにて測定した。
また、その測定結果から、下記式に従い、TI値(チキソトロピックインデックス)を算出した。
TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2
条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
また、得られた弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(弾性組成物)を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させ、硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)を測定した。その結果を、表1に示す。
<耐久層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例7 耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)
エタキュア100 37.3質量部と、アクトコールT-4000 219.7質量部と、アクトコールD-4000 71.9質量部と、BK-115 210.0質量部と、NS-200 410.9質量部と、NSR-300 46.2質量部と、P-450(消泡剤、楠本化成社製)2.0部と、DA-325(分散剤、楠本化成社製)2.0質量部を、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分Gを作製した。
そして、ポリイソシアネート成分A 500質量部、活性水素基含有成分G 500質量部、触媒溶液A 10質量部、および、酢酸ブチル50質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を得た。
得られた耐久層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約1.35g/cmであった。
また、得られた耐久層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(常温(23℃)で1週間経過(養生)したもの)の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は57であった。
<エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例8 エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)
エタキュア100 20.5質量部と、アクトコールD-3000 23.0質量部と、アクトコールD-4000 49.3質量部と、アクトコールNS-100(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量325、三井化学SKCポリウレタン社製)10.8質量部と、BK-115 100.0質量部と、NS-200 77.0質量部と、NSR-300 51.2質量部と、DINA 208.2質量部と、シーレッツ200 460.0質量部とを、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分Hを作製した。
そして、ポリイソシアネート成分A 333.3質量部、活性水素基含有成分H 666.7質量部、および、酢酸ブチル 13.3質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を得た。
得られたエンボス層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約1.31g/cmであった。
また、得られたエンボス層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(常温(23℃)で1週間経過(養生)したもの)の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は61であった。
<複合弾性材>
実施例1~4および比較例1~2
25cm×25cmサイズとなるように枠を作成したポリプロピレン基材の上に、表1に記載の弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)~(D-6)を、9.5mm厚みとなるようにスキージで敷き均し、常温(23℃)で一日(24時間)放置して硬化させた。これにより、弾性層を形成した。
次いで、弾性層の上に耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を、2mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上に耐久層を形成した。
その後、耐久層の上に、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を、1.5mm厚みとなるように塗布し、その直後に砂骨材ローラー(大塚刷毛社製)を用いてエンボス加工して、硬化させた。これにより、耐久層の上にエンボス層を形成した。
これにより、弾性層、耐久層およびエンボス層を備える複合弾性材を得た。
<評価>
(1)ポットライフ
弾性組成物を調製した後、弾性層を形成するときの作業可能な時間(ポットライフ)を測定した。
(2)作業性
弾性組成物を用いて、弾性層を形成するときの作業性を、以下の基準で評価した。
○:弾性組成物の粘度が適度であり、スキージによる敷き均し作業が容易であった。
×:弾性組成物の粘度が過度に高く、スキージによる敷き均し作業が困難であった。
(3)表面状態
弾性層を作成した後、その表面状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:凹凸が観察されなかった。
△:わずかに凹凸が観察された。
×:凹凸が観察された。
(4)密度
複合弾性材を構成する弾性層を、下側1/2部分と、上側1/2部分とに切り分けた。
そして、各部分の密度をJIS Z 8807(2012)に定める液中ひょう量法による密度および比重の測定方法に従って、測定した。
なお、測定では、23℃のもとで島津製作所製AUX220と簡易比重測定キットSMK-401を用いた。
(5)衝撃試験(衝撃吸収率・垂直変位量)
<衝撃吸収率>
測定機器はIAAFが規定するArtificial Athlete試験機を用いた。
EN14808:2005に則り、測定環境温度25℃にて、試料表層面に置いたバネ(ばね定数2000N/mm)の上に、質量20kgのフラットな底面を有する錘を55mmの高さから落下させ、表層面にかかる最大の力を測定した。
なお、同じ地点にて3回連続して測定し、同じ地点での各測定を60秒間隔とした。
また、2回目の力Fs2、及び3回目の力Fs3から、下記式にてFR2およびFR3を算出した。
FRn(%)=(1-(Fsn/Fc))×100 (nは、測定回数を示す。)
ここでFcはコンクリート面に錘を落下させたときの力の最大値(6400N)である。上記で得られたFR2およびFR3を平均して衝撃吸収率FR(%)とした。
<垂直変位量>
測定機器はIAAFが規定するArtificial Athlete試験機を用いた。
EN14809:2005に則り、測定環境温度25℃にて、試料表層面に置いたバネ(ばね定数40N/mm)の上に、質量20kgのフラットな底面を有する錘を120mmの高さから落下させ、表層面にかかる最大の力と表面層と垂直方向の最大変位量を測定した。
なお、同じ地点にて4回連続して測定し、同じ地点での各測定を60秒間隔とした。
そして、2回目の力f2及び変位量d2と、3回目の力f3及び変位量d3と、4回目の力f4および変位量d4とから、下記式にてVD2、VD3およびVD4を算出した。
VDn(mm)=(1500/fn)×dn (nは、測定回数を示す。)
上記で得られたVD2、VD3およびVD4を平均して垂直変位量VD(mm)を算出した。
なお、衝撃試験に用いた複合弾性材の養生期間は23℃、相対湿度55%の下で、エンボス層塗布後より、1週間以上経過したのもとした。
また、IAAF規格では、舗装材の衝撃吸収率が35~50%、垂直変位量が0.6~2.5mmとなるよう要求されている。
Figure 0007431643000001
表中の略号の詳細を下記する。
エタキュア100:ジエチルメチルベンゼンジアミン、アルベマール社製
アクトコールT-4000:ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量4000、三井化学SKCポリウレタン社製
アクトコールT-3000:ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、三井化学SKCポリウレタン社製
アクトコールD-4000:ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量4000、三井化学SKCポリウレタン社製
DINA:溶剤、ジイソノニルアジペート、田岡化学工業社製
NSR-300:顔料、森下弁柄工業社製
DA-1200:湿潤分散剤、楠本化成社製
NS-200:充填補強材、炭酸カルシウム、日東粉化工業社製
BK-115:充填補強材、酸化アルミニウム、住友化学社製
シーレッツ200:充填揺変材、酸処理炭酸カルシウム(脂肪酸エステルにより表面処理されたコロイド炭酸カルシウム)、丸尾カルシウム製
1 複合弾性材
2 弾性層
3 耐久層
4 エンボス層
5 弾性樹脂
6 発泡体チップ

Claims (5)

  1. 弾性樹脂および発泡体チップを含む第1層と、
    前記第1層の上に配置される、前記第1層よりも高硬度の第2層と
    を備える複合弾性材であり、
    前記第1層は、
    TI値1.4以上2.4以下かつ粘度η2が20Pa・s以上40Pa・s以下の弾性組成物の硬化物である
    ことを特徴とする、複合弾性材。
    TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2
    条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
    条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
  2. 前記弾性組成物は、樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、
    前記充填材は、
    無処理炭酸カルシウムおよび/または酸化アルミニウムと、
    酸処理炭酸カルシウムと
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合弾性材。
  3. 前記充填材が、
    無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含み、
    無処理炭酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび酸処理炭酸カルシウムの総量100質量部に対して、
    前記無処理炭酸カルシウムが、10質量部以上80質量部以下、
    前記酸化アルミニウムが、10質量部以上80質量部以下、
    前記酸処理炭酸カルシウムが、10質量部以上30質量部以下
    であることを特徴とする、請求項2に記載の複合弾性材。
  4. 樹脂成分と充填材と発泡体チップとを含み、
    前記充填材が、
    無処理炭酸カルシウムおよび酸化アルミニウムと、酸処理炭酸カルシウムとを含み、
    TI値が1.4以上2.4以下かつ粘度η2が20Pa・s以上40Pa・s以下である
    ことを特徴とする、弾性組成物。
    TI値=条件1で測定される粘度η1/条件2で測定される粘度η2
    条件1:温度25℃、せん断速度6rpm
    条件2:温度25℃、せん断速度60rpm
  5. 請求項4に記載の弾性組成物を硬化させて第1層を形成する工程と、
    前記第1層上に配置される、前記第1層よりも高硬度の第2層を形成する工程と、
    を含む、複合弾性材の製造方法。
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