図1Aにおいて、複合弾性材1は、第1層としての弾性層2と、弾性層2の上に積層される第2層としての耐久層3と、任意的に耐久層3の上に積層される第3層としてのエンボス層4とを備えている。
なお、弾性層2、耐久層3およびエンボス層4は、公益財団法人 日本体育施設協会/屋外体育施設部会 「屋外体育施設の設計指針 -各種スポーツ施設の設計・施工-(平成24年改正版) P.241~243に記載の通り定義される。
具体的には、グランド舗装(全天候型舗装)の表層構造において、樹脂部分の一番下の層が、弾性層(またはベース層)と称される。弾性層は、クッション性を与えるベース層である。また、弾性層の上に積層される層は、耐久層(または上塗り層)と称される。耐久層は、耐久性を与える上塗り層である。また、耐久層の上に積層される表面層は、エンボス層(その他、例えば、吹付仕上げ層、塗布仕上げ層、トップコート層など)と称される。エンボス層は、つや消しおよび適度な滑り性を与える表面層である。
このような複合弾性材1において、弾性層2は、弾性樹脂5を含んでいる。
弾性樹脂5としては、舗装に適した弾性を有する樹脂であれば、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの公知の樹脂が挙げられる。これら弾性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。弾性樹脂として、好ましくは、ポリウレタン樹脂が挙げられる。
また、弾性層2は、任意成分として、充填剤、顔料、さらには、粒状ゴム、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、染料、滑剤、加水分解防止剤などの添加剤を、適宜の割合で含有することができる。
そして、弾性層2は、その厚み方向における上部と下部とで密度が異なっている。
より具体的には、図1Aにおいて破線で示されるように、弾性層2を厚み方向における上側1/3部分(図1Aにおける弾性層の2A部分)と下側2/3部分(図1Aにおける弾性層の2B部分)とに分割した場合、弾性層2の上側1/3部分の密度が、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくなるように、弾性層2が設計されている。
このような弾性層2を得るには、例えば、図1Bに示されるように、弾性層2に発泡体チップ6を含有させる。
発泡体チップ6は、弾性層2(における各層)において、均一に分散される。
発泡体チップ6としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂の発泡体チップ、例えば、ガラス発泡体のチップ、コルクのチップなどが挙げられる。発泡体チップ6として、好ましくは、樹脂の発泡体チップが挙げられ、より好ましくは、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂の発泡体チップが挙げられる。
これら発泡体チップ6は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、発泡体チップ6は、発泡体をチップ状に製造したものであってもよく、また、発泡体をチップ状に破砕したものであってもよい。
また、発泡体チップ6は、例えば、ゴムタイヤの廃材から得られるゴムチップなどの無発泡チップとは区別される。
また、発泡体は、硬質、軟質および/または半硬質のものが用いられる。また、発泡体の気泡構造は、独立でもあってもよく、連通であってもよい。
発泡体チップ6の形状は、特に制限されず、複合弾性材1において通常使用される形状およびサイズのものが使用される。具体的には、例えば、小片、細片、粒状、ビーズ状である。
また、発泡体チップ6の密度(かさ比重)は、例えば、0.01g/cm3以上、好ましくは、0.05g/cm3以上であり、例えば、0.8g/cm3以下、好ましくは、0.5g/cm3以下、より好ましくは、0.3g/cm3以下である。
そして、発泡体チップ6は、好ましくは、上記したように、弾性層2の上側1/3部分の密度が、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくなるように、弾性層2に含有される。
すなわち、発泡体チップ6は内部に空隙を有するため、弾性層2に含有される発泡体チップ6のサイズが大きいほど、弾性層2に多くの空隙が含まれ、弾性層2の密度は小さくなる。逆に、弾性層2に含有される発泡体チップ6のサイズが小さいほど、弾性層2に含まれる空隙が少なく、弾性体2の密度は大きくなる。
そこで、例えば、弾性層2の上部に含まれる発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6A)のサイズを、弾性層2の下部に含まれる発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6B)のサイズよりも小さくする。
これにより、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
このような弾性層2を得るには、例えば、弾性層2を複数の層からなる積層体として形成し、複数の各層に含有される発泡体チップ6のサイズを、それぞれ変更する。
弾性層2を積層体として形成する場合、その層数は、特に制限されず、例えば、2~10層、好ましくは、2~5層、さらに好ましくは、2層であり、とりわけ好ましくは、弾性層2の厚み方向における上部と下部との2層である。
そして、好ましくは、各層で使用される発泡体チップ6のサイズを、より下層に含有される発泡体チップ6のサイズよりも、小さくする。
換言すれば、積層体として形成される弾性層2では、好ましくは、最下層に含有される発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6B)のサイズが最も大きく、最上層に含有される発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6A)のサイズが最も小さい。
最下層(2層の場合は下層)に含有される発泡体チップ6の平均粒径(測定方法:JIS Z8815(1994) 乾式ふるい分け試験)は、例えば、1.5mm以上、好ましくは、2.5mm以上であり、例えば、4.5mm以下、好ましくは、3.5mm以下である。
最上層(2層の場合は上層)に含有される発泡体チップ6の平均粒径(測定方法:JIS Z8815(1994) 乾式ふるい分け試験)は、最下層(2層の場合は下層)において使用される平均粒径よりも小さく、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、3.5mm以下、好ましくは、2.5mm以下である。
また、最下層(2層の場合は下層)に含有される発泡体チップ6の平均粒径と、最上層(2層の場合は上層)に含有される発泡体チップ6の平均粒径との差は、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、例えば、2.0mm以下、好ましくは、1.0mm以下である。
これにより、弾性層2の上部の空隙が比較的少なくなり、弾性層2の下部の空隙が比較的多くなる。
その結果、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
なお、詳述しないが、弾性層2を複数層の積層体として形成することなく、例えば、弾性層2を単層として形成し、その下部から上部に向かって、含有される発泡体チップ6のサイズを徐々に小さくすることにより、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることもできる。
また、例えば、弾性層2の厚み方向の上下において、発泡体チップ6の含有割合を調整することもできる。
すなわち、発泡体チップ6は内部に空隙を有するため、弾性層2中の発泡体チップ6の含有割合が多いほど、弾性層2に多くの空隙が含まれ、弾性体2の密度は小さくなる。逆に、弾性層2中の発泡体チップ6の含有割合が少ないほど、弾性層2に含まれる空隙が少なく、弾性体2の密度は大きくなる。
そこで、例えば、弾性層2の上部における発泡体チップ6の含有割合を、弾性層2の下部における発泡体チップ6の含有割合よりも少なくする。
これにより、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
このような弾性層2を得るには、例えば、弾性層2を複数の層からなる積層体として形成し、複数の各層における発泡体チップ6の含有割合を、それぞれ変更する。
弾性層2を積層体として形成する場合、その層数は、特に制限されず、例えば、2~10層、好ましくは、2~5層、さらに好ましくは、2層であり、とりわけ好ましくは、弾性層2の厚み方向における上部と下部との2層である。
そして、好ましくは、各層における発泡体チップ6の含有割合を、より下層における発泡体チップ6の含有割合よりも、小さくする。
換言すれば、積層体として形成される弾性層2では、好ましくは、最下層における発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6B)の含有割合が最も大きく、最上層における発泡体チップ6(図1Bにおける発泡体チップ6A)の含有割合が最も小さい。
弾性層2の最下層(2層の場合は下層)における発泡体チップ6の含有割合は、例えば、弾性樹脂100質量部に対して、発泡体チップ6が、例えば、6質量部以上、好ましくは、8質量部以上であり、例えば、14質量部以下、好ましくは、12質量部以下である。
弾性層2の最上層(2層の場合は上層)における発泡体チップ6の含有割合は、最下層(2層の場合は下層)における発泡体チップ6の含有割合よりも小さく、弾性樹脂100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、7質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
すなわち、弾性層2の最上層(2層の場合は上層)は、図1Bに示すように、発泡体チップ6を含有していてもよく、また、図2に示すように、発泡体チップ6を含有していなくともよい。
好ましくは、衝撃吸収性の観点から、弾性層2の最上層(2層の場合は上層)は、図1Bに示すように、発泡体チップ6を含有する。
また、弾性層2の最下層(2層の場合は下層)における発泡体チップ6の含有割合と、弾性層2の最上層(2層の場合は上層)における発泡体チップ6の含有割合との差は、弾性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、14質量部以下、好ましくは、9質量部以下である。
これにより、弾性層2の上部の空隙が比較的少なくなり、弾性層2の下部の空隙が比較的多くなる。
その結果、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
なお、詳述しないが、弾性層2を複数層の積層体として形成することなく、例えば、弾性層2を単層として形成し、その下部から上部に向かって、発泡体チップ6の含有割合を徐々に少なくすることにより、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくすることもできる。
そして、弾性層2の上側1/3部分の密度を、弾性層2の下側2/3部分の密度よりも大きくするには、例えば、弾性層2の上部に含まれる発泡体チップ6のサイズを、弾性層2の下部に含まれる発泡体チップ6のサイズよりも小さくして、弾性層2の上部における発泡体チップ6の含有割合と、弾性層2の下部における発泡体チップ6の含有割合とを同じにしてもよい。
また、例えば、弾性層2の上部における発泡体チップ6の含有割合を、弾性層2の下部における発泡体チップ6の含有割合よりも少なくして、弾性層2の上部に含まれる発泡体チップ6のサイズと、弾性層2の下部に含まれる発泡体チップ6のサイズとを同じにしてもよい。
また、例えば、弾性層2の上部に含まれる発泡体チップ6のサイズを、弾性層2の下部に含まれる発泡体チップ6のサイズよりも小さくして、さらに、弾性層2の上部における発泡体チップ6の含有割合を、弾性層2の下部における発泡体チップ6の含有割合よりも少なくしてもよい。
好ましくは、弾性層2の上部に含まれる発泡体チップ6のサイズを、弾性層2の下部に含まれる発泡体チップ6のサイズよりも小さくして、さらに、弾性層2の上部における発泡体チップ6の含有割合を、弾性層2の下部における発泡体チップ6の含有割合よりも少なくする。
弾性層2の上側1/3部分の密度(測定法:JIS Z8807(2012) 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法)は、例えば、0.86g/cm3以上、好ましくは、0.89g/cm3以上であり、例えば、1.3g/cm3以下、好ましくは、1.1g/cm3以下、より好ましくは、1.0g/cm3以下である。
また、弾性層2の下側2/3部分の密度(測定法:JIS Z8807(2012) 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法)は、例えば、0.6g/cm3以上、好ましくは、0.7g/cm3以上であり、例えば、0.85g/cm3以下、好ましくは、0.84g/cm3以下である。
また、弾性層2の上側1/3部分の密度と、弾性層2の下側2/3部分の密度との差は、例えば、0.01g/cm3以上、好ましくは、0.05g/cm3以上であり、例えば、0.45g/cm3以下、好ましくは、0.15g/cm3以下、より好ましくは、0.1g/cm3以下である。
弾性層2の上側1/3部分の密度と、弾性層2の下側2/3部分の密度との差が上記範囲であれば、衝撃吸収性および垂直変位量耐性にとりわけ優れる複合弾性材1を得ることができる。
また、弾性層2の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は、例えば、40以上、好ましくは、45以上であり、例えば、60以下、好ましくは、55以下である。
このような弾性層2の厚みは、特に制限されないが、例えば、7mm以上、好ましくは、9mm以上であり、例えば、13mm以下、好ましくは、11mm以下である。
耐久層3は、弾性層2の上に積層される樹脂層であって、好ましくは、上記の弾性樹脂を含有しており、より好ましくは、ポリウレタン樹脂を含有している。
また、耐久層3は、例えば、フィラーやチクソ剤など、公知の添加剤を含有することができる。添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、耐久層3は、複合弾性材1の耐久性の向上を図る観点から、弾性層2よりも高硬度である。
耐久層3の硬度を、弾性層2よりも高硬度にする方法としては、特に制限されないが、例えば、弾性樹脂の種類を適宜選択する。より具体的には、例えば、弾性層2がポリウレタン樹脂を含有する場合、耐久層に、弾性層2のポリウレタン樹脂よりも高硬度のポリウレタン樹脂を含有させる。
耐久層3の硬度(測定法:JIS K6253-3(2012) タイプA デュロメーター)は、例えば、50以上、好ましくは、55以上であり、例えば、70以下、好ましくは、65以下である。
また、弾性層2の硬度と、耐久層3の硬度との差は、例えば、1以上、好ましくは、3以上であり、例えば、30以下、好ましくは、20以下である。
このような耐久層3の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3.5mm以下である。
エンボス層4は、必要に応じて、耐久層3の上に積層される樹脂層であって、好ましくは、上記の弾性樹脂を含有しており、より好ましくは、ポリウレタン樹脂を含有している。
また、エンボス層4は、公知の方法により、その表面(上面)にエンボスパターンが形成されている。エンボス層4のエンボスパターンは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、エンボス層4は、フィラーなどの公知の添加剤を含有することができる。添加剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
このようなエンボス層4の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1mm以上であり、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下である。
なお、図示しないが、弾性層2、耐久層3およびエンボス層4のそれぞれの層間には、目的および用途に応じて、フォーム樹脂層などの中間層を介在させることもできる。
そして、このような複合弾性材1は、弾性樹脂を含む弾性層2と、その弾性層2よりも高硬度の耐久層3とを備え、弾性層2の厚み方向における上側1/3部分の密度が、弾性層2の厚み方向における下側2/3部分の密度よりも大きいため、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる。
より具体的には、例えば、特許文献1に記載されるように、発泡体チップ6が弾性層2中に一様に分散する場合などには、弾性層2の密度は、厚み方向の上下において、一様になる。また、例えば、発泡体チップ6と樹脂組成物とを混合して、その混合物を硬化させることにより弾性層2を製造する場合などには、弾性層2の形成時(弾性樹脂の未硬化時)において、発泡体チップ6が浮き上がり、弾性層2の上部に集中する。このような場合、弾性層2の上側の密度が、弾性層2の下側の密度よりも小さくなる。このような場合、複合弾性材1は、衝撃吸収性および垂直変位量耐性が十分ではない。
これに対して、上記の複合弾性材1は、弾性層2の厚み方向における上側1/3部分の密度が、弾性層2の厚み方向における下側2/3部分の密度よりも大きいため、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる。
そのため、上記の複合弾性材1は、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどにおけるコンクリート製床面など、各種施設の被舗装面を弾性舗装するために、好適に用いられる。
以下において、上記した複合弾性材1の製造方法について、詳述する。
上記した複合弾性材1を得るには、まず、図3A~図3Bに示すように、弾性樹脂(好ましくは、ポリウレタン樹脂)を含む弾性層2を形成する(弾性層形成工程)。
より具体的には、この工程では、図3Aに示すように、弾性樹脂を形成するための硬化性樹脂成分と、発泡体チップ6とを含有する下側樹脂組成物を、被舗装面などに敷き均し、硬化性樹脂成分を硬化させる。これにより、弾性樹脂5および発泡体チップ6を含有する弾性層2の下部を形成する(下部形成工程)。
硬化性樹脂成分は、硬化により弾性樹脂を形成する、未硬化の樹脂組成物である。硬化性樹脂成分は、弾性樹脂の種類に応じて、適宜選択される。例えば、弾性樹脂としてポリウレタン樹脂が用いられる場合、硬化性樹脂成分としては、例えば、公知のポリイソシアネート成分および活性水素基含有成分を含むポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
ポリウレタン樹脂組成物としては、例えば、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートと、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)とを含むMOCA系ポリウレタン樹脂組成物や、例えば、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートと、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールと、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)とを含む非MOCA系ポリウレタン樹脂組成物などが挙げられる。ポリウレタン樹脂組成物は、単独使用または2種類以上併用することができる。環境性の観点から、好ましくは、非MOCA系ポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
下部用樹脂組成物において、硬化性樹脂成分(例えば、ポリウレタン樹脂組成物)と発泡体チップとの含有割合は、硬化性樹脂成分(例えば、ポリウレタン樹脂組成物)100質量部に対して、発泡体チップが、例えば、6質量部以上、好ましくは、8質量部以上であり、例えば、14質量部以下、好ましくは、12質量部以下である。
また、下部用樹脂組成物は、任意成分として、充填剤、顔料、さらには、粒状ゴム、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、染料、滑剤、加水分解防止剤などの添加剤を、適宜の割合で含有することができる。
下部用樹脂組成物は、例えば、硬化性樹脂成分および発泡体チップ(さらに、必要により添加剤)を配合し、公知の方法で混合することにより、調製される。
そして、この方法では、被舗装面に対して、例えば、プライマーを塗布した後、施工条件に応じて、鏝、ローラー、レーキ、スプレーガンなどを用いて、下部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を硬化させる。
硬化条件は、硬化性樹脂成分の種類により異なるが、硬化温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、5℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下であり、硬化時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上、例えば、24時間以下、好ましくは、18時間以下である。
これにより、硬化性樹脂成分を硬化させ、弾性層2の下部を形成することができる。
なお、弾性層2の下部は、単層であってもよく、複数層であってもよい。弾性層2の下部が複数層である場合には、上記の操作を繰り返すことにより、複数層からなる下部を形成する。また、そのような場合、使用される硬化性樹脂成分の種類や、発泡体チップの種類は、各層において同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
好ましくは、弾性層2の下部は、単層である。
また、弾性層2の下部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、例えば、1/5以上、好ましくは、1/4以上、より好ましくは、1/3以上、さらに好ましくは、1/2以上、とりわけ好ましくは、1/1.8以上であり、例えば、1/1.1以下、好ましくは、1/1.2以下、より好ましくは、1/1.3以下、さらに好ましくは、1/1.4以下である。
より具体的には、弾性層2の下部の厚みは、例えば、4.6mm以上、好ましくは、6.0mm以上であり、例えば、8.7mm以下、好ましくは、7.3mm以下である。
また、とりわけ好ましくは、弾性層2の下部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、2/3である。換言すれば、弾性層2の下部は、とりわけ好ましくは、弾性層2の下側2/3部分である。
次いで、この方法では、図3Bに示すように、弾性層2の下部の上に、硬化性樹脂成分を含有する上部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分を硬化させる。これにより、弾性樹脂5を含有する弾性層2の上部を形成する(上部形成工程)。
上部用樹脂組成物において、硬化性樹脂成分は、弾性樹脂の種類に応じて、適宜選択される。より具体的には、弾性樹脂としてポリウレタン樹脂が用いられる場合、硬化性樹脂成分としては、未硬化のポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
また、上部用樹脂組成物中の硬化性樹脂成分として、好ましくは、下部用樹脂組成物中の硬化性樹脂成分と同種の硬化性樹脂成分が挙げられ、より好ましくは、下部用樹脂組成物中のポリウレタン樹脂組成物と同種のポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
また、上部用樹脂組成物は、発泡体チップ6を含有していてもよく(図1B参照)、また、発泡体チップを含有していなくともよい(図2参照)。
好ましくは、上部用樹脂組成物は、発泡体チップ6を含有する。
上部用樹脂組成物において、硬化性樹脂成分(例えば、ポリウレタン樹脂組成物)と発泡体チップとの含有割合は、硬化性樹脂成分(例えば、ポリウレタン樹脂組成物)100質量部に対して、発泡体チップ6が、例えば、0質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、例えば、7質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、上部用樹脂組成物は、任意成分として、充填剤、顔料、さらには、粒状ゴム、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、染料、滑剤、加水分解防止剤などの添加剤を、適宜の割合で含有することができる。
上部用樹脂組成物は、例えば、硬化性樹脂成分および発泡体チップ(さらに、必要により添加剤)を配合し、公知の方法で混合することにより、調製される。
そして、この方法では、上記した弾性層2の下部の上に、例えば、鏝、ローラー、レーキ、スプレーガンなどを用いて、上部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を硬化させる。
硬化条件は、硬化性樹脂成分の種類により異なるが、硬化温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、5℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下であり、硬化時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上、例えば、24時間以下、好ましくは、18時間以下である。
これにより、硬化性樹脂成分を硬化させ、弾性層2の上部を形成することができる。
なお、弾性層2の上部は、単層であってもよく、複数層であってもよい。弾性層2の上部が複数層である場合には、上記の操作を繰り返すことにより、複数層からなる上部を形成する。また、そのような場合、使用されるポリウレタン樹脂組成物の種類や、発泡体チップの種類は、各層において同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
好ましくは、弾性層2の上部は、単層である。
また、弾性層2の上部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、例えば、0.1/1.1以上、好ましくは、0.2/1.2以上、より好ましくは、0.3/1.3以上以下、さらに好ましくは、0.4/1.4以上であり、例えば、4/5以下、好ましくは、3/4以下、より好ましくは、2/3以下、さらに好ましくは、1/2以下、とりわけ好ましくは、0.8/1.8以下である。
より具体的には、弾性層2の上部の厚みは、例えば、2.3mm以上、好ましくは、3.0mm以上であり、例えば、4.4mm以下、好ましくは、3.7mm以下である。
また、とりわけ好ましくは、弾性層2の上部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、1/3である。換言すれば、弾性層2の上部は、とりわけ好ましくは、弾性層2の上側1/3部分である。
次いで、この方法では、図3Cに示すように、弾性層2の上に、耐久層3を形成する(耐久層形成工程)。
耐久層3を形成する方法は、特に制限されず、例えば、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を弾性層2の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。これにより、耐久層3を得ることができる。
なお、耐久層3を形成するための硬化性樹脂組成物は、耐久層3が弾性層2よりも高硬度となるように、適宜選択される。
その後、この方法では、図3Dに示すように、必要に応じて、耐久層3の上に、エンボス層4を形成する(エンボス層形成工程)。
エンボス層4を形成するには、例えば、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を耐久層3の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。その後、硬化した樹脂の表面を、例えば、ローラエンボス加工法などの公知の方法によって、エンボス加工する。これにより、エンボス層4を得ることができる。
これにより、弾性層2および耐久層3(さらに、エンボス層4)を備える複合弾性材1を得ることができる。
そして、上記した複合弾性材1の製造方法によっても、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる複合弾性材1を、効率よく得ることができる。
すなわち、上記した複合弾性材1の製造方法では、まず、弾性層2の下部を形成した後、弾性層2の上部を形成するため、弾性層2の下部と弾性層2の上部とに、それぞれ、サイズの異なる発泡体チップを、任意の割合で含有させることができる。
そのため、弾性層2の下部の密度と、弾性層2の上部の密度とを、任意に調整することができ、これにより、弾性層2において、上側1/3部分の密度を、下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
その結果、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる複合弾性材1を、効率よく得ることができる。
また、複合弾性材1の製造方法は、上記に限定されない。例えば、以下に示す方法でも複合弾性材1を得ることができる。
すなわち、この方法では、まず、まず、図4A~図4Dに示すように、弾性樹脂(好ましくは、ポリウレタン樹脂)を含む弾性層2を形成する(弾性層形成工程)。
より具体的には、この工程では、図4Aに示すように、硬化性樹脂成分を含有する下側樹脂組成物を、被舗装面などに敷き均し、硬化性樹脂成分を硬化させる前に、発泡体チップを散布する(散布工程)。
硬化性樹脂成分としては、上記した未硬化の樹脂組成物が挙げられ、好ましくは、上記したポリウレタン樹脂組成物が挙げられ、より好ましくは、非MOCA系ポリウレタン樹脂組成物が挙げられる。
このような硬化性樹脂成分は、通常、敷き均した後、硬化するまでに所定の時間を要する。そこで、この工程では、硬化性樹脂成分を敷き均した後、未硬化状態または半硬化状態の硬化性樹脂成分の上に、発泡体チップ6を散布する。
発泡体チップ6が散布されると、図4Aが参照されるように、発泡体チップ6が沈み込み、発泡体チップ6の下側の一部が硬化性樹脂成分中に埋められる。
次いで、この方法では、図4Bに示すように、上記の散布工程の後、硬化性樹脂成分を硬化させる。これにより、硬化した硬化性樹脂成分(すなわち、弾性樹脂5)によって、発泡体チップ6を固定する(固定工程)。
硬化条件は、硬化性樹脂成分の種類により異なるが、硬化温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、5℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下であり、硬化時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上、例えば、24時間以下、好ましくは、18時間以下である。
次いで、この方法では、図4Cに示すように、固定された発泡体チップ6の上に、上記した下部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分を硬化させることにより、弾性層2の下部を形成する(下部形成工程)。
硬化性樹脂成分は、上記した散布工程で使用した硬化性樹脂成分と同じであってもよく、また、異なっていてもよい。好ましくは、散布工程で使用した硬化性樹脂成分と同じ硬化性樹脂成分が使用される。また、硬化条件は、硬化性樹脂成分によって異なるが、好ましくは、上記と同じである。
これにより、硬化性樹脂成分を硬化させ、弾性層2の下部を形成することができる。
なお、弾性層2の下部は、上記の操作を繰り返すことにより、さらに、多層化してもよい。そのような場合、使用される硬化性樹脂成分の種類や、発泡体チップの種類は、各層において同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
また、弾性層2の下部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、例えば、1/5以上、好ましくは、1/4以上、より好ましくは、1/3以上、さらに好ましくは、1/2以上、とりわけ好ましくは、1/1.8以上であり、例えば、1/1.1以下、好ましくは、1/1.2以下、より好ましくは、1/1.3以下、さらに好ましくは、1/1.4以下である。
より具体的には、弾性層2の下部の厚みは、例えば、4.6mm以上、好ましくは、6.0mm以上であり、例えば、8.7mm以下、好ましくは、7.3mm以下である。
また、とりわけ好ましくは、弾性層2の下部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、2/3である。換言すれば、弾性層2の下部は、とりわけ好ましくは、弾性層2の下側2/3部分である。
次いで、この方法では、図4Dに示すように、弾性層2の下部の上に、硬化性樹脂成分を含有する上部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分を硬化させる。これにより、弾性樹脂5を含有する弾性層2の上部を形成する(上部形成工程)。
上部用樹脂組成物において、硬化性樹脂成分は、弾性樹脂の種類に応じて、適宜選択される。また、上部用樹脂組成物中の硬化性樹脂成分として、好ましくは、下部用樹脂組成物中の硬化性樹脂成分と同種の硬化性樹脂成分が挙げられる。また、上部用樹脂組成物は、発泡体チップ6を含有していてもよく(図1B参照)、また、発泡体チップを含有していなくともよい(図2参照)。好ましくは、上部用樹脂組成物は、発泡体チップ6を含有する。
また、上部用樹脂組成物は、任意成分として、充填剤、顔料、さらには、粒状ゴム、可塑剤、消泡剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤、離型剤、触媒、染料、滑剤、加水分解防止剤などの添加剤を、適宜の割合で含有することができる。
そして、この方法では、上記した弾性層2の下部の上に、例えば、鏝、ローラー、レーキ、スプレーガンなどを用いて、上部用樹脂組成物を敷き均し、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を硬化させる。
硬化条件は、硬化性樹脂成分の種類により異なるが、硬化温度が、例えば、0℃以上、好ましくは、5℃以上、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下であり、硬化時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、8時間以上、例えば、24時間以下、好ましくは、18時間以下である。
これにより、硬化性樹脂成分を硬化させ、弾性層2の上部を形成することができる。
なお、弾性層2の上部は、単層であってもよく、複数層であってもよい。弾性層2の上部が複数層である場合には、上記の操作を繰り返すことにより、複数層からなる上部を形成する。
また、そのような場合、使用されるポリウレタン樹脂組成物の種類や、発泡体チップの種類は、各層において同一であってもよく、また、それぞれ異なっていてもよい。
好ましくは、弾性層2の上部は、単層である。
また、弾性層2の上部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、例えば、0.1/1.1以上、好ましくは、0.2/1.2以上、より好ましくは、0.3/1.3以上、さらに好ましくは、0.4/1.4以上であり、例えば、4/5以下、好ましくは、3/4以下、より好ましくは、2/3以下、さらに好ましくは、1/2以下、とりわけ好ましくは、0.8/1.8以下である。
より具体的には、弾性層2の上部の厚みは、例えば、2.3mm以上、好ましくは、3mm以上であり、例えば、4.4mm以下、好ましくは、3.7mm以下である。
また、とりわけ好ましくは、弾性層2の上部の厚みは、弾性層2全体の厚みに対して、1/3である。換言すれば、弾性層2の上部は、とりわけ好ましくは、弾性層2の上側1/3部分である。
次いで、この方法では、図5Aに示すように、弾性層2の上に、耐久層3を形成する(耐久層形成工程)。
耐久層3を形成する方法は、特に制限されず、例えば、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を弾性層2の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。これにより、耐久層3を得ることができる。
なお、耐久層3を形成するための硬化性樹脂組成物は、耐久層3が弾性層2よりも高硬度となるように、適宜選択される。
その後、この方法では、図5Bに示すように、必要に応じて、耐久層3の上に、エンボス層4を形成する(エンボス層形成工程)。
エンボス層4を形成するには、例えば、硬化性樹脂成分(好ましくは、ポリウレタン樹脂組成物)を耐久層3の上に公知の方法で塗布した後、乾燥および硬化させる。その後、硬化した樹脂の表面を、例えば、ローラエンボス加工法などの公知の方法によって、エンボス加工する。これにより、エンボス層4を得ることができる。
これにより、弾性層2および耐久層3(さらに、エンボス層4)を備える複合弾性材1を得ることができる。
そして、上記した複合弾性材1の製造方法によれば、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる複合弾性材1を、効率よく得ることができる。
すなわち、上記した複合弾性材1の製造方法では、まず、発泡体チップを弾性樹脂5によって固定した後、その発泡体チップ6の上に弾性樹脂5を積層して、弾性層2の下部を形成し、さらにその後、弾性層2の上部を形成する。そのため、弾性層2の下部と弾性層2の上部とに、それぞれ、サイズの異なる発泡体チップ6を、任意の割合で含有させることができ、また、弾性層2中において、発泡体チップ6が浮動することを抑制することができる。
そのため、弾性層2の下部の密度と、弾性層2の上部の密度とを、任意に調整することができ、これにより、弾性層2において、上側1/3部分の密度を、下側2/3部分の密度よりも大きくすることができる。
その結果、衝撃吸収性および垂直変位量耐性に優れる複合弾性材1を、効率よく得ることができる。
なお、上記した説明では、発泡体チップ6のサイズや含有割合を調整することによって、弾性層2の上側の密度と、弾性層2の下側の密度とを調整したが、発泡体チップ6を用いることなく、例えば、弾性層2の上側において比較的高密度の弾性樹脂を使用し、弾性層2の下側において比較的低密度の弾性樹脂を使用することにより、弾性層2の上側の密度と、弾性層2の下側の密度とを調整し、上記した複合弾性材1を得ることもできる。
そして、弾性層2の厚み方向における上側1/3部分の密度が、弾性層2厚み方向における下側2/3部分の密度よりも大きい複合弾性材1は、国際陸上競技連盟(IAAF)が定める規格を満足し、競技時の安全性の向上および疲れやすさの低減の両立が可能な複合弾性材1である。
そのため、複合弾性材1は、屋外競技場、屋内競技場、運動場の通路、グランド、コートなどの弾性舗装において、好適に用いられる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
調製例1 (触媒溶液Aの製造)
DINP(ジイソノニルフタレート、新日本理化社製)990質量部とネオスタン U-600(オクチル酸ビスマス、日東化成工業社製)10質量部とを窒素気流下において攪拌混合し、触媒溶液Aを作製した。
作製例1(ポリイソシアネート成分Aの製造)
コスモネートT-80(2,4-異性体/2,6-異性対比80/20のトリレンジイソシアネート、三井化学社製)186.3質量部と、アクトコールD-1000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量1000、三井化学社製)324.4質量部とアクトコールD-2000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、三井化学社製)432.8質量部と、アクトコールT-700(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量700、三井化学社製)56.5質量部とを、攪拌機、温度計および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに窒素雰囲気下において仕込み、90℃で4時間攪拌混合して反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAを得た。得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAのイソシアネート基含有率(NCO%)をJIS K7301(1995)に記載のイソシアネート基含有率試験により測定したところ、3.4質量%であった。
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAを、ポリイソシアネート成分Aとした。
作製例2(活性水素基含有成分Aの製造)
エタキュア100(ジエチルメチルベンゼンジアミン、アルベマール社製)35.6質量部と、アクトコールT-3000(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、三井化学社製)101.1質量部と、アクトコールT-4000(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量4000、三井化学社製)125.3質量部と、アクトコールD-4000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量4000、三井化学社製)71.9質量部とDINA(ジイソノニルアジペート、田岡化学工業社製) 100.0質量部と、BK-115(酸化アルミニウム、住友化学社製)248.1質量部と、NS-200(炭酸カルシウム、日東粉化工業社製)256.0質量部と、NSR-300(顔料、森下弁柄工業社製)60.0質量部と、DA-1200(湿潤分散剤、楠本化成社製)2.0質量部を、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分Aを作製した。
作製例3(活性水素基含有成分Bの製造)
エタキュア100 37.3質量部と、アクトコールT-4000(ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量4000、三井化学社製)219.7質量部と、アクトコールD-4000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量4000、三井化学社製)71.9質量部と、BK-115 210.0質量部と、NS-200 410.9質量部と、NSR-300 46.2質量部と、P-450(消泡剤、楠本化成社製)2.0部と、DA-325(分散剤、楠本化成社製)2.0質量部を、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分Bを作製した。
作製例4(活性水素基含有成分Cの製造)
エタキュア100 20.5質量部と、アクトコールD-3000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量3000、三井化学社製)23.0質量部と、アクトコールD-4000(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量4000、三井化学社製)49.3質量部と、アクトコールNS-100(ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量325、三井化学社製)10.8質量部と、BK-115 100.0質量部と、NS-200 77.0質量部と、NSR-300 51.2質量部と、DINA 208.2質量部と、シーレッツ200(炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製) 460.0質量部とを、窒素気流下において攪拌混合し、活性水素基含有成分Cを作製した。
<弾性層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例1 弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)
ポリイソシアネート成分A 500質量部、活性水素基含有成分A 500質量部、平均粒径3mmの発泡黒EVAチップ(粉砕発泡EVAチップ かさ比重0.16、日進ゴム社製)100質量部、L-5309(整泡剤、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)10質量部、および、触媒溶液A 10質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)を得た。
得られた弾性層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約0.81g/cm3であった。
製造例2 弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)
ポリイソシアネート成分A 500質量部、活性水素基含有成分A 500質量部、平均粒径2mmの発泡白EVAチップ(粉砕発泡EVAチップ かさ比重0.08、三福工業社製)40質量部、L-5309(整泡剤、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)10質量部、および、触媒溶液A 10質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)を得た。
得られた弾性層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約0.89g/cm3であった。
製造例3 弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)
ポリイソシアネート成分A 500質量部、活性水素基含有成分A 500質量部、および、触媒溶液A 10質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を得た。
得られた弾性層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約1.22g/cm3であった。
<耐久層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例4 耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)
ポリイソシアネート成分A 500質量部、活性水素基含有成分B 500質量部、触媒溶液A 10質量部、および、酢酸ブチル50質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を得た。
得られた耐久層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約1.35g/cm3であった。
<エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物>
製造例5 エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)
ポリイソシアネート成分A 333.3質量部、活性水素基含有成分C 666.7質量部、および、酢酸ブチル 13.3質量部を、日立工機社製UM15型攪拌機を用いて4分間攪拌混合し、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を得た。
得られたエンボス層用ポリウレタン樹脂組成物を、ポリプロピレン製の基材に対して平滑に塗布および硬化させたところ、得られた硬化物(すなわち、弾性樹脂)の密度は、約1.31g/cm3であった。
<複合弾性材(1)>
実施例1
まず、25cm×25cmサイズとなるように枠を作成したポリプロピレン基材の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)を、6.5mm厚みとなるように塗布し、常温で一日放置して硬化させた。これにより、弾性層の下部を形成した。なお、このとき、発泡黒EVAチップが液面付近に浮く現象がみられた。
次いで、得られた弾性層の下部の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)を、3mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上部を形成した。
次いで、弾性層の上に耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を、2mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上に耐久層を形成した。
その後、耐久層の上に、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を、1.5mm厚みとなるように塗布し、その直後に砂骨材ローラー(大塚刷毛社製)を用いてエンボス加工して、硬化させた。これにより、耐久層の上にエンボス層を形成した。
これにより、弾性層、耐久層およびエンボス層を備える複合弾性材を得た。
参考例2
弾性層の上部を形成するときに、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)に代えて、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を使用した以外は、実施例1と同様にして、複合弾性材を得た。
比較例1
まず、25cm×25cmサイズとなるように枠を作成したポリプロピレン基材の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-1)を、9.5mm厚みとなるように塗布し、常温で一日放置して硬化させた。これにより、弾性層を形成した。なお、このとき、発泡黒EVAチップが液面付近に浮く現象がみられた。
次いで、弾性層の上に耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を、2mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上に耐久層を形成した。
その後、耐久層の上に、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を、1.5mm厚みとなるように塗布し、その直後に砂骨材ローラー(大塚刷毛社製)を用いてエンボス加工して、硬化させた。これにより、耐久層の上にエンボス層を形成した。
これにより、弾性層、耐久層およびエンボス層を備える複合弾性材を得た。
<複合弾性材(2)>
実施例3
まず、25cm×25cmサイズとなるように枠を作成したポリプロピレン基材の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を2mm厚みとなるように塗布し、次いで、その上に3mmサイズの発泡黒EVAチップ 2.9質量部を均一に散布した。
次いで、3時間放置して、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を硬化させ、その表面に発泡黒EVAチップを一部固着させた。
その後、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)をさらに流し込み、常温で一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の下部を形成した。なお、弾性層の下部の厚みは、合計6.5mmになるように調整した。
なお、このとき、固着していない発泡黒EVAチップが、弾性層の下部の表面に浮く現象がみられた。
次いで、得られた弾性層の下部の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)を、3mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上部を形成した。
次いで、弾性層の上に耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を、2mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上に耐久層を形成した。
その後、耐久層の上に、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を、1.5mm厚みとなるように塗布し、その直後に砂骨材ローラー(大塚刷毛社製)を用いてエンボス加工して、硬化させた。これにより、耐久層の上にエンボス層を形成した。
これにより、弾性層、耐久層およびエンボス層を備える複合弾性材を得た。
参考例4
弾性層の上部を形成するときに、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-2)に代えて、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3を使用した以外は、実施例1と同様にして、複合弾性材を得た。
比較例2
まず、25cm×25cmサイズとなるように枠を作成したポリプロピレン基材の上に、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を2mm厚みとなるように塗布し、次いで、その上に3mmサイズの発泡黒EVAチップ 2.9質量部を均一に散布した。
次いで、3時間放置して、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)を硬化させ、その表面に発泡黒EVAチップを一部固着させた。
その後、弾性層用ポリウレタン樹脂組成物(D-3)をさらに流し込み、常温で一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層(下部および上部)を形成した。なお、弾性層の厚みは、合計9.5mmになるように調整した。
なお、このとき、固着していない発泡黒EVAチップが、弾性層の上部の表面に浮く現象がみられた。
次いで、弾性層の上に耐久層用ポリウレタン樹脂組成物(T-1)を、2mm厚みとなるように塗布し、常温でさらに一日放置することにより硬化させた。これにより、弾性層の上に耐久層を形成した。
その後、耐久層の上に、エンボス層用ポリウレタン樹脂組成物(E-1)を、1.5mm厚みとなるように塗布し、その直後に砂骨材ローラー(大塚刷毛社製)を用いてエンボス加工して、硬化させた。これにより、耐久層の上にエンボス層を形成した。
これにより、弾性層、耐久層およびエンボス層を備える複合弾性材を得た。
<評価>
(1)作業可能時間
複合弾性材を構成する各層(弾性層、耐久層およびエンボス層(以下同様))の作製において、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、所定の混合比で23℃、相対湿度55%の下で撹拌混合した後、実際に作業可能な時間を測定した。
(2)密度
複合弾性材を構成する弾性層を、下側2/3部分と、上側1/3部分とに切り分けた。
そして、各部分の密度をJIS Z 8807(2012)に定める液中ひょう量法による密度および比重の測定方法に従って、測定した。
なお、測定では、23℃のもとで島津製作所製AUX220と簡易比重測定キットSMK-401を用いた。
(3)衝撃試験(衝撃吸収率・垂直変位量)
<衝撃吸収率>
測定機器はIAAFが規定するArtificial Athlete試験機を用いた。
EN14808:2005に則り、測定環境温度25℃にて、試料表層面に置いたバネ(ばね定数2000N/mm)の上に、質量20kgのフラットな底面を有する錘を55mmの高さから落下させ、表層面にかかる最大の力を測定した。
なお、同じ地点にて3回連続して測定し、同じ地点での各測定を60秒間隔とした。
また、2回目の力Fs2、及び3回目の力Fs3から、下記式にてFR2およびFR3を算出した。
FRn(%)=(1-(Fsn/Fc))×100 (nは、測定回数を示す。)
ここでFcはコンクリート面に錘を落下させたときの力の最大値(6400N)である。上記で得られたFR2およびFR3を平均して衝撃吸収率FR(%)とした。
<垂直変位量>
測定機器はIAAFが規定するArtificial Athlete試験機を用いた。
EN14809:2005に則り、測定環境温度25℃にて、試料表層面に置いたバネ(ばね定数40N/mm)の上に、質量20kgのフラットな底面を有する錘を120mmの高さから落下させ、表層面にかかる最大の力と表面層と垂直方向の最大変位量を測定した。
なお、同じ地点にて4回連続して測定し、同じ地点での各測定を60秒間隔とした。
そして、2回目の力f2及び変位量d2と、3回目の力f3及び変位量d3と、4回目の力f4および変位量d4とから、下記式にてVD2、VD3およびVD4を算出した。
VDn(mm)=(1500/fn)×dn (nは、測定回数を示す。)
上記で得られたVD2、VD3およびVD4を平均して垂直変位量VD(mm)を算出した。
なお、衝撃試験に用いた複合弾性材の養生期間は23℃、相対湿度55%の下で、エンボス層塗布後より、1週間以上経過したのもとした。
また、IAAF規格では、舗装材の衝撃吸収率が35~50%、垂直変位量が0.6~2.5mmとなるよう要求されている。