JP6327814B2 - 全天候弾性舗装体 - Google Patents

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Description

本発明は、全天候弾性舗装(屋外運動場舗装)における舗装体を形成するための舗装用ポリウレタン樹脂組成物に関するものである。
一般的に、陸上競技場等の全天候弾性舗装は、砕石路盤やアスファルトなどで基層を形成し、その上に約8〜10mmのウレタン弾性層、約2〜4mmのウレタン層、さらに約1mm程度のエンボス層が積層されて構成されている。このうち、ウレタン層は、ほぼポリウレタン樹脂のみからなる層であるところ、ポリウレタン樹脂はセルフレベリング性を有するために、層の表面は鏡面の如く平滑に形成される。それゆえ、このウレタン層の表面は特に雨天時には滑りやすく、危険であることから、このウレタン層の上に所定の滑り抵抗を付与するためのエンボス層を設ける必要がある。
このエンボス層は、ウレタン層を構成するポリウレタン樹脂と同一又は同質のポリウレタン樹脂に粘性を付与したポリウレタン樹脂材料を用いて、(1)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料を塗布した後、複数の砂骨ローラーを転走させて舗装表面に凹凸を施すローラー工法(特許文献1)、(2)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料をスプレイガン等で吹き付けして舗装表面に凹凸を施すスプレイ吹付工法(特許文献2)、又は(3)ウレタン層の上に上述のポリウレタン樹脂材料を塗布した後、この塗布された材料が固まらないうちに、ポリウレタン樹脂を粉砕して形成した粒状チップを散布して固着させて舗装表面に粒状チップの凹凸を施すトッピング仕上げ工法(特許文献3)、の(1)〜(3)の工法により形成されている。
特開平3−228902号公報 特開昭56−040205号公報 特開昭63−32002号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたような各種工法によるエンボス層は、全て舗装表面に凹凸を施すことによって滑り抵抗を付与している。それゆえ、使用につれて舗装表面に施された凹凸が摩耗し、滑り止め効果が失われてしまうという問題があった。
また、特許文献1〜3に記載のローラー工法、スプレイ吹付工法又は粒状チップを散布するトッピング仕上げ工法においては、舗装表面に均一な凹凸を施して、舗装表面に均一な滑り抵抗を付与するにあたり、作業者の高度な技術が必要とされる。それゆえ、舗装表面に簡単に均一な滑り抵抗を付与させる技術が望まれている。
従って、本発明の目的は、舗装表面が摩耗しても、滑り抵抗を維持する舗装体を得ることのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、舗装表面に簡単に均一な滑り抵抗を付与させることのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂に平均粒子径が500μm以下であり、かつ均等係数が1〜2.5の微小中空体粒子が分散されてなる。
平均粒子径が500μm以下であり、均等係数が1〜2.5の微小中空体粒子をポリウレタン樹脂に添加して分散させることにより、たとえ、表面に施された凹凸部分が摩耗した場合においても滑り抵抗を有する舗装体を形成することのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物が得られる。これにより、従来では、舗装表面の凹凸部分が摩耗する度に舗装表面の改修工事を施す必要があったが、本発明ではこの舗装用ポリウレタン樹脂組成物により形成された舗装体自体が擦り減って失われるまで、持続して舗装を使用し続けることができる。また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、組成物全体に微小中空体粒子が分散されることにより滑り止め効果を備えるため、均一な滑り止め効果を有する舗装体を形成することができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物の微小中空体粒子の平均粒子径が150μm以下であり、かつ均等係数が1〜1.9であることも好ましい。これにより、滑り抵抗を好適に向上させつつ、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れる舗装体を形成することのできる舗装用ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して、微小中空体粒子が0.5〜10重量部配合されていることも好ましい。これにより、微小中空体粒子の好適な配合量が選択される。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物の微小中空体粒子は、アルミノシリケートからなることも好ましい。これにより、微小中空体粒子として好適な成分が選択される。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、さらに、遮熱剤、抗菌材、防かび材及び紫外線劣化防止剤からなる群より選ばれた1種以上の添加剤が含まれることも好ましい。これにより、さらに耐候安定性が向上した舗装体を形成する舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物のポリウレタン樹脂がアクリル変性ポリウレタン樹脂であることも好ましい。これにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物を構成するポリウレタン樹脂として好適な成分が選択される。
さらに、本発明の舗装体は、上述の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いてなる。これにより、舗装表面が摩耗しても、滑り抵抗が維持される舗装体を得ることができる。また、均一な滑り抵抗を有する舗装体が簡単に形成される。
本発明の舗装体は、さらに表面が粗面化処理されたものであることが好ましい。上述の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いて形成された舗装体の表面を粗面にすることにより、さらに滑り抵抗機能性が向上した舗装体が得られる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する舗装用ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いた舗装体を提供することができる。
(1)ポリウレタン樹脂組成物全体に滑り止め効果が付与されるため、舗装表面が摩耗した場合においても滑り止め効果を維持することができる。それゆえ、舗装体の改修頻度を減少させることができ、全天候弾性舗装を低コストで維持管理することができる。
(2)微小中空体粒子をポリウレタン樹脂組成物に分散させることのみで、簡単に均一な滑り止め効果を有する舗装体を得ることができる。
(3)滑り抵抗を向上させるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の全天候型弾性舗装に求められる物性においても優れた舗装体を形成することができる。そのため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。また、場合によっては、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でウレタン層を形成することにより、エンボス層を設けずに平滑なフラット仕上げとした舗装体を得ることができる。
1.ポリウレタン樹脂
本発明において、ポリウレタン樹脂としては、従来の舗装体に用いられているもの、例えば主剤と硬化剤とからなる二液型のポリウレタン樹脂、さらにアクリル成分を重合させたアクリル変性ポリウレタン樹脂、一液型のポリウレタン樹脂等を使用することができる。このうち、本発明においては、陸上競技場等の各種運動施設で用いられる全天候型表層材としては、二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂が用いられることが一般的であることから、主剤と硬化剤とからなる二液性常温硬化型のポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。この二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂は、末端にイソシアネート基を有する「主剤(プレポリマー)」と、「硬化剤」とから概略構成される。
本発明における二液性ポリウレタン樹脂の主剤としては、通常、有機ポリイソシアネート化合物と2個以上の活性水素基を有するポリオール等から合成されたものが使用される。ここで、有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート(2,4′−MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、特公昭38−4576等に記載されているような従来公知の種々の方法で液状化した液状ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)、トリレンジイソシアネートの粗製物(クルードTDI)及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)及びシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(H12MDI)等の脂環族を含む脂肪族ポリイソシアネート、並びに、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びキシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられ、これらを一種または二種以上混合して使用することも可能である。本発明においては、硬化性、物性及び経済性の観点から、トリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが好適に用いられる。
他方、ポリウレタン樹脂の主剤を構成している、上述した有機ポリイソシアネートと組み合わせて用いられる2個以上の活性水素基を有するポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール及びネオペンチルグリコール等のグリコール類や、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール類、並びに、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(カプロラクトン)ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリ(ブチレンカーボネート)ポリオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール、ポリ(エチレンアジペート)ジオール、ポリ(プロピレンアジペート)ジオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール及びポリ(ヘキサンアジペート)ジオール等の高分子ポリオール等が挙げられる。このうち、本発明においては、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール及びポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール及びポリブタジエンポリオールが好適に用いられ、平均分子量400〜8000で平均官能基数2〜6の範囲にあるものが特に望ましい。
なお、上述したポリオールの他に、例えば、エチレンジアミン、エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン及びポリ(オキシアルキレン)ポリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、2,4′−ジフェニルメタンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン及び1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン等の芳香族ポリアミン等を用いることもできる。
本発明に用いられる主剤(プレポリマー)は、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)が、ポリオール又はポリアミンなどの活性水素化合物の活性水素基(−OH又は−NHなど)に対し、例えば、NCO/H当量比が1.2〜10の割合で、反応温度約40〜130℃で4〜10時間反応させることにより、製造することができる。この反応は、従来公知の触媒、溶媒等を用いて行ってもよく、さらに、ベンゾイルクロライド、ジブチルヒドロキシトルエン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール又はトリフェニルフォスファイトなどの安定剤を添加して行ってもよい。合成されたプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常約1〜15重量%であり、特に1.5〜10重量%が本発明のプレポリマーとして好適である。また、プレポリマーの粘度は通常1,000〜100,000cps(25℃)であるところ、本発明のプレポリマーにおいては、特に作業性の観点から1,000〜10,000cps(25℃)とすることが好ましい。
次に、本発明における2液性ポリウレタン樹脂の硬化剤について説明する。硬化剤は、ポリオールおよびポリアミンの少なくとも1つからなる。ポリオールとしては、例えば前述した低分子量ポリオールや高分子量ポリオールが用いられる。このうち、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(カプトラクトン)ポリオール及びポリブタジエンポリオール等が好適に用いられ、平均分子量500〜8000、平均官能基数2〜6の範囲にあるものが特に好ましい。
他方、ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及びポリ(オキシアルキレン)ポリアミン等の脂肪族ポリアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン及びビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン、並びに2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエンまたは3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン及びその混合物、3,5−ジチオメチル−2,4−ジアミノトルエンまたは3,5−ジチオメチル−2,6−ジアミノトルエン及びその混合物、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノ−ベンゼン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタンまたは2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びその混合物等の芳香族アミン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。本発明に使用されるアミン類としては、要求される塗膜性能や施工時の可使時間等の観点から、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン又は2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びそれらの混合物が好適に用いられる。
本発明に用いられる硬化剤は、例えば、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(カプロラクトン)ポリオール及びポリブタジエンポリオールなどのポリオールが50〜90重量%、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン又は2,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン及びこれらの混合物等からなるポリアミンが10〜50重量%からなることが好ましく、さらには、ポリオールが60〜80重量%であり、ポリアミンが20〜40重量%からなることが特に好ましい。ディゾルバー等をこれらの成分を用いて均一に混練させることにより、硬化剤が得られる。なお、硬化剤には、目的に応じて、後述するその他の添加剤を配合させることも可能である。
本発明における二液性ポリウレタン樹脂は、上述した主剤(プレポリマー)と硬化剤とを混合し、よく混練して反応させることにより製造される。このとき、主剤のイソシアネート基(−NCO)が、硬化剤のポリオール又はポリアミンなどの活性水素化合物の活性水素基(−OH又は−NHなど)に対し、例えば、NCO/H当量比が0.8〜5.0、好ましくは0.95〜2.0となるような割合で混合し、反応させることにより、得ることができる。
さらに、本発明においては、紫外線等の影響を受け難く、黄変し難い性質を備える二液性ポリウレタン樹脂を選択することも好ましい。このような二液性ポリウレタン樹脂は、主剤であるポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12−MDI)、1,3−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(H6−XDI)などの脂肪族、脂環式イソシアネートが用いられ、硬化剤であるポリオールとしては、数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオール及び数平均分子量が1000未満、好ましくは134以下の低分子ポリオールが用いられ、低分子ポリオールはモノオール又はジオールであることが好ましく、ジオールがより好ましく用いられる。このうち、ポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物が好ましい。また、好ましい低分子ジオールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量が1000未満のポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール等のポリオールとを、溶媒の存在下または非存在下で反応させて得ることができる。ポリイソシアネートとポリオールとの反応条件について特に制限はないが、例えば、必要に応じてジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレートなどのウレタン化触媒を用いて、20〜150℃で過剰量のポリイソシアネートとポリオールとを反応させることにより、耐候性を有し、黄変し難いポリウレタン樹脂が得られる。このような二液性ポリウレタン樹脂を選択することにより、耐候安定剤を添加したり、舗装体の表面に耐候性を付与するためのトップコート層を施さなくとも、耐候性を備える舗装体を形成することができる。
2.微小中空体粒子
通常、ポリウレタン樹脂で平滑に形成された舗装体の滑り抵抗値は約20〜30程度しかなく、国際陸上競技連盟(IAAF)による物性規格値である「47以上」を満たすことができない。そのため、スリップ防止骨材等の添加剤をポリウレタン樹脂に混合させることが試みられているところ、滑り抵抗の向上に反比例して、滑り抵抗以外の物性は著しく低下してしまう。そのため、このような骨材入りのポリウレタン樹脂から形成された舗装体は全天候弾性舗装の表層材に求められる物性(屋外体育施設の建設指針、平成24年改訂版)を有しておらず、結局として舗装体として使用することは難しいとされている。ところが、平均粒子径500μm以下であり、均等係数が2.5以下の微小中空体粒子をポリウレタン樹脂に所定量添加し、分散させることにより得られる本発明の樹脂組成物によれば、滑り抵抗が向上すると共に、ポリウレタン樹脂そのものが有する滑り抵抗以外の物性に著しい影響を及ぼさず、全天候弾性舗装として適当な物性を備える舗装体を形成することができる。
本発明において、上述した種々のポリウレタン樹脂に添加され、分散される微小中空体粒子とは、粒子の内部に空間を有する微細な中空体(マイクロバルーン)のことをいう。分散される微小中空体粒子の平均粒子径は、平均粒子径が500μmを超えると、滑り抵抗は向上するものの、他の物性が劣化する観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、150μm以下が特に好ましい。さらに分散される微小中空体粒子の均等係数は、1〜2.5であることが好ましく、1〜2.1であることがより好ましく、1〜1.9であることが特に好ましい。均等係数が小さく、良く分粒されて粒子径が揃っている微小中空体粒子を添加することにより、ポリウレタン粒子中に微小中空体粒子が高度に均一な状態で分散される。それにより、滑り抵抗が向上すると共に滑り抵抗以外の他の物性についても適当な物性を有し、安定した物性を備える舗装体を形成するポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
ここで、本発明における平均粒子径とは、JIS A1204:2009の土の粒度試験10.3に記載の粒径加積曲線に準じて求められる。すなわち、使用する微小中空体粒子について、JIS Z8801公称目開き5μm、20μm、32μm、45μm、75μm、106μm、250μm、425μm、850μm、1mm及び1.4mmの試験用ふるいを用いて、ふるい分け試験を行い、通過質量百分率(縦軸:算術目盛り)と粒径(横軸:対数目盛り)との関係を粒径加積曲線に描き、この曲線から通過質量百分率50%のときの粒径D50を求め、この値を平均粒子径とした。また、本発明における均等係数とは、上述した粒径加積曲線から通過質量百分率10%及び60%のときの各粒径の値D10及びD60を読み取り、式Uc=D60/D10により求めた係数Ucのことをいう。均等係数Ucが大きくなるほど、粒度分布幅が広いことを示しており、1に近いほど粒径が揃っていることを示す。
微小中空体粒子は、無機系微小中空体及び有機系微小中空体のいずれも用いることができるが、本発明においては、アルミノシリケートからなる不活性(安定)な無機系微小中空体を用いることが好ましい。このような、アルミノシリケートからなる無機系バルーンの市販品としては、フライアッシュからなるものが挙げられ、特に限定されないが、具体的には日本フィライト株式会社製品の「フィライト(登録商標)」や、巴工業株式会社製品の「セノライト(登録商標)」、「セノスフィア」等が挙げられる。本発明のポリウレタン樹脂組成物における微小中空体粒子の含有量は、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、得られる舗装体の滑り抵抗値とその他の物性値との観点から、0.1〜25重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部が特に好ましい。
3.シランカップリング剤
本発明においては、微小中空体粒子を添加し、分散させたポリウレタン樹脂に対し、さらにシランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤をポリウレタン樹脂に添加することにより、微小中空体粒子の分散性を高めることができる。これにより、滑り抵抗を向上させつつ、バランス良い物性を備える舗装体を形成できる舗装用ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、反応官能基として、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基又はメルカプト基のものを使用することができ、このうち、舗装体の物性のバランスに優れる観点から、アミノ基又はエポキシ基のものが好ましい。さらに、本発明におけるシランカップリング剤の含有量は、ポリウレタン樹脂に添加し、分散させる微小中空体等の量にもよるが、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.01〜7重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。
4.その他の添加剤
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、その他の添加剤が配合され得る。その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、顔料、耐候安定剤、遮熱顔料、防藻剤、抗菌材、汚染防止剤、光安定剤及び防かび剤等が挙げられる。これらの添加材は、単一又は数種類を組み合わせて使用することができ、ポリウレタン樹脂に添加して配合させることのほか、ポリウレタン樹脂を構成する硬化剤に予め混合し分散させておくことも可能である。
上述の添加剤のうち、ウレタン化触媒としては、例えば、公知のアミン類、錫や鉛等の有機金属化合物を用いることができ、特に錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレートや鉛オクトエート等が好ましい。これらの触媒は単独又は組み合わせて用いることができ、その使用量は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲に限られるが、硬化剤の総量に対して0.1〜5重量部、特に1〜3重量部の範囲が好ましい。また、舗装体形成時の作業性を考慮した粘度調整や硬化後の物性改良などの観点により、無機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、カーボンブラック、無水ケイ酸(ホワイトカーボン)、ゼオライト又は二酸化チタン等が好ましい。これらの充填剤は単独又は組み合わせて用いることができ、その使用量は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲に限られるが、硬化剤の総量に対して2〜50重量%が好ましい。さらに、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)又は塩素化パラフィン等が挙げられる。これらの可塑剤は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲で添加することができ、例えば、ポリウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部で使用することができる。また、耐候安定剤としては、通常は、ベンゾトリアゾール系などの紫外線劣化防止剤や、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤が用いられ得る。これらの耐候安定剤は、ポリウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部、特に0.3〜1重量部の使用が好ましい。
また、遮熱顔料としては、通常用いられる各種顔料のうち、遮熱機能を備える顔料が好適に用いられ、特に限定されないが、例えば、モノアゾ系イエロー(商品例:Hostaperm yellow H3G:ヘキスト株式会社製)等の黄色系の遮熱性着色顔料、酸化鉄(商品例 トダカラー120ED:戸田工業株式会社製)及びキナクリドンレッド(商品例、Hostaperm Red E2B70:ヘキスト株式会社製)等の赤色系の遮熱性着色顔料、フタロシアニンブルー(商品例、シヤニンブルーSPG−8:大日本インキ株式会社製)等の青色系の遮熱性着色顔料、フタロシヤニングリーン(商品例 シヤニングリーン5310:大日精化工業株式会社製)等の緑色系の遮熱性着色顔料等が挙げられる。また、抗菌材や防カビ剤、防藻剤としては、例えば、日本エンバイロケミカルズ社製のコートサイド等が用いられる。汚染防止剤としては、例えば、東亞合成株式会社製、アロニックスM8060等が挙げられる。これらの遮熱顔料、抗菌材、防カビ剤、防藻剤、汚染防止剤の添加剤は、得られるポリウレタン樹脂組成物の各種物性に影響のない範囲で添加することができる。各添加剤の添加量はそれぞれ、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部、好ましくは、0.1〜7重量部程度が適当である。
5.舗装用ポリウレタン樹脂組成物の製造方法
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、上述したポリウレタン樹脂の主剤と硬化剤を混合して混練したものに対し、微小中空体粒子及び必要に応じて加えられるその他の添加剤を所定量添加し、ハンドミキサー等を用いて数分間よく混練し、分散させることによって製造される。
6.舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いた舗装体
本発明の舗装体は、主に施工現場において、上述のようにして本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を製造し、このポリウレタン樹脂組成物を流動性のある未硬化状態のうちにウレタン層やウレタン弾性層、あるいは砕石路盤やアスファルト等で形成された基層の表面上に流しこみ、敷設することにより形成される。具体的に、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でエンボス層を形成する際には、ウレタン層等の上にこのポリウレタン樹脂組成物を塗布した後、複数のローラーを転走させて舗装体表面に凹凸を施す方法(ローラー工法)、ポリウレタン樹脂組成物をスプレイガン等で吹き付けして舗装体表面に凹凸を施す方法(スプレイ吹付工法)、又はポリウレタン樹脂組成物を均敷した後、完全硬化する前にポリウレタン弾性体からなる粒状チップを舗装体表面に散布し固着させて凹凸を施す方法(トッピング仕上げ工法)等が行われる。このように形成された舗装体表面は、施された凹凸部分により滑り止め効果が付与されているのはもちろん、舗装体全体に分散された微小中空体粒子により滑り止め効果を具備しているため、滑り止め効果が向上すると共に、舗装体の表面の凹凸部分が摩耗した場合においても滑り止め効果が低減しない。さらに、本発明のポリウレタン樹脂組成物から形成される舗装体は滑り止め効果が維持されるだけでなく、引張強さ、伸び、引裂き強度又は硬さ等の物性においても優れているため、全天候型弾性舗装において最適な物性を備えるエンボス層舗装体を形成することができる。
また、本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物でウレタン層を形成する際には、ウレタン弾性層等の上にこのポリウレタン樹脂組成物を敷きならしすることが行われる。その際、形成された舗装体表面は、ポリウレタン樹脂特有のセルフレベリング性により、光沢を有するほど平滑であるが、湿潤状態においてもIAAF規格値の範囲内の滑り抵抗値を有している。また、この舗装体は、上述したように舗装体全体に微小中空体粒子が分散されて滑り止め効果を具備しているため、舗装体の表面が摩耗した場合においても滑り止め効果が低減せず、舗装体表面の平滑度が減少することから、むしろ摩耗した場合において、滑り抵抗が向上する。このことから、平滑又は凹凸に形成された舗装体の表面をブラッシング等の粗面化処理により粗くさせ、さらに滑り抵抗を向上させた舗装体とすることも可能である。この場合、粗面化処理としては、特に限定されないが、通常使用されるワイヤーブラシやデッキブラシ等によるブラッシングや、ポリッシャー、スイーパー又はサンダー等による擦り加工等で行うことができる。なお、本発明の舗装体は、舗装用ポリウレタン樹脂組成物を用いて、所定の寸法、厚みのシートを工場で製造しておき、そのシートを現場で貼りあわせて形成することも可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例における物性の測定方法並びに全天候型弾性舗装体のIAAF又は屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)で定められた物性規格は、下記の通りである。
(1)滑り抵抗値(湿潤状態)
「IAAF(国際陸上競技連盟) Certification System Track Facilities Testing Protocols 2009」に準じて、ポータブルスキッドレジスタンステスター(MUNRO社製 PORTABLE’SKID-RESISTANCE’TESTER)を用いて行った。接触距離が125〜127mmの範囲に収まるようにポータブルスキッドレジスタンステスターの振子の位置を調整し、試験体を水で十分にぬらした後、テスターの振子を振り降ろし、振り上がりの位置の数値を読み取った。測定は連続で6回行ない、最初の値は読み取らず、残りの5回を測定値とし、最大値、最小値を差引いた3点の平均値を滑り抵抗値とした。IAAFが定める舗装体表面の滑り抵抗値の規格値は47以上である。
(2)引張強さ
JIS K−6251に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状3号形に形成した試験片が切断するまでの最大引張力を測定した。この値を試験片の初期断面積で除した値を求め、引張強さとした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引張強さの規格値は2.0MPa以上である。
(3)伸び率
JIS K−6251に準じて、上述したように、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、ダンベル状に形成した試験片が切断するまでの標線間距離を測定し、伸び率(%)の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の伸びの規格値は500%以上である。
(4)引裂き強度
JIS K−6252に準じて、引張試験機(ORIENTEC社製、型番RTC−1150A)を用い、引張速度500±50mm/minにおいて、切込みなしアングル形に形成した試験片が切断するまでの最大の引き裂き力を測定した。この測定値と所定の数式とを用いて引き裂き強度の値を求めた。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の引裂き強度の規格値は12N/mm以上である。
(5)硬さ
JIS K−6253に準じて、タイプAデュロメーター(TECLOCK社製、型番GS−709N)を用いて測定を行った。なお、試験体の厚さは、試験片を積み重ねて厚さ12mm以上とした。屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)が定める舗装体の硬さの規格値は40〜75である。
以下の実施例及び比較例で使用した微小中空体粒子(A−1〜A−4)及び添加剤(A−5)の製品名、成分、粒子径及び均等係数を表1に示す。ここで、微小中空体粒子A−1a〜A−1eは微小中空体粒子A−1を以下の方法で分粒処理して得られたものである。また、微小中空体粒子A−2〜A−4は、分粒処理済みの製品である。微小中空体粒子A−1の分粒処理は以下のようにして行った。まず、JIS Z8801公称目開き5μm、20μm、32μm、45μm、75μm、106μm、250μm、425μm、850μm、1mm及び1.4mmの試験用ふるいを用いて、ふるい分け試験を行い、各ふるいの残留物を集めた。次に、所望の平均粒子径に近接する目開き値のふるいの残留物を中心に各ふるいの残留物を少量ずつ加え(例えば、300μmに分粒する場合には、目開きが250μm及び425μmのふるいの残留物を主に用いる)、通過質量百分率(縦軸:算術目盛り)と粒径(横軸:対数目盛り)との関係を粒径加積曲線に描いた。この曲線から通過質量百分率50%のときの粒径D50を求め、所望の平均粒子径が得られるまで上記作業を繰り返すことにより、分粒処理を行った。また、分粒処理を行った粒子について、均等係数を求めた。
Figure 0006327814
[実施例1]
以下の手順で、本実施例の舗装用ポリウレタン樹脂組成物を調製し、試験用サンプルを作成して、物性の測定及び効果の評価を行った。ポリウレタン樹脂の主剤としてハイプレン(登録商標)P−306(三井化学株式会社製品)を、硬化剤としてTSR−82M(三井化学株式会社製品)を用い、両者を1:1の重量比で混合したもの100重量部に対し、表1に示す平均粒子径300μmに調整された微小中空体粒子A−1aを2.6重量部添加してよく混錬した。混錬後のポリウレタン樹脂組成物を用いて、高さ150mm×幅250mm×厚さ2mmの平坦なフィルムを形成した。このフィルムを室温にて1週間養生させた後、フィルム表面が摩耗した際の滑り抵抗値を得るために、フィルム表面をワイヤーブラシで研磨して、試験用サンプルとした。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例2〜4]
実施例1について、表1に示す微小中空体粒子A−1aに代えて、微小中空体粒子A−2、A−3又はA−4をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。この試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。なお、微小中空体粒子A−2、A−3及びA−4はあらかじめ分級された分粒処理済みの製品である。
[実施例5〜8]
実施例1について、表1に示す微小中空体粒子A−1aに代えて、平均粒子径が425μm、500μm、600μm又は800μmとなるように分級処理された微小中空体粒子A−1b〜A−1eをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5〜8のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[実施例9〜14]
実施例1について、表1に示す微小中空体粒子A−1aの配合を表4の通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9〜14のポリウレタン樹脂組成物の各試験用サンプルを得た。得られた各試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例1]
実施例1について、ポリウレタン樹脂のみでポリウレタン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプル(ブランク1)を得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例2]
実施例1について、表1に示す微小中空体粒子A−1aに代えて、分級していない微小中空体粒子A−1を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
[比較例3]
実施例1について、表1に示す微小中空体粒子A−1aに代えて、添加剤A−5を表2に示す配合量で添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例3のポリウレタン樹脂組成物の試験用サンプルを得た。得られた試験用サンプルについて、各種物性の測定を行った。
実施例1〜14及び比較例1〜3の結果を表2〜4に示す。
Figure 0006327814
Figure 0006327814
Figure 0006327814
表2〜4に示すように、実施例1〜14の微小中空体粒子が配合されたポリウレタン樹脂組成物から形成されたサンプルは、比較例1のブランク(ポリウレタン樹脂のみ)と比較して、いずれも滑り抵抗が向上することを示した。また、微小中空体粒子の均等係数を2.5以下とし、粒子径を揃えることによって、全天候弾性舗装に求められる種々の物性を向上させることがわかった。また、発泡骨材を滑り止め剤として配合した比較例3をみると、滑り抵抗は向上するものの、その他の物性は著しく低下することが示された。また、この比較例3における滑り抵抗は、IAAFの規格値である「47以上」を満たしていないが、規格値を満たすように滑り止め剤を増量させた場合には、さらに引張強さ等の物性が低下することが推測された。
表2に示す実施例1及び表3に示す実施例2〜8においては、ポリウレタン樹脂組成物に配合された微小中空体粒子の平均粒子径による効果が示されている。これによれば、滑り抵抗値(IAAF規格:47以上)をはじめ、引張強さ、引裂き強度及び硬さの屋外体育施設の建設指針(平成24年改訂版)による規格値を満たしていることから、配合される微小中空体粒子の平均粒子径は、500μm以下が好ましいことがわかる。また、微小中空体粒子の平均粒子径が150μm以下の実施例2〜4においては、さらに伸び率の物性値も向上し、舗装体材料として非常に有用であることが示された。
また、表2に示す実施例1及び表4に示す実施例9〜14においては、ポリウレタン樹脂組成物の微小中空体粒子の配合量による効果が示されている。これによれば、滑り抵抗値の規格値(IAAF規格)を満たすことから、ポリウレタン樹脂100重量部に対し、1重量部以上配合させることが好ましく、その他の引張強さ、引裂き強度及び硬さ等の物性の規格値(屋外体育施設の建設指針、平成24年改訂版)の観点から、1〜7重量部程度が適当であることがわかった。
本発明の舗装用ポリウレタン樹脂組成物は、全天候弾性舗装が用いられる屋外の各種競技場をはじめ、施工の容易さと滑りにくさ等の物性を備えることから、屋内競技場、各種施設や交通舗装その他に広く応用できるものである。

Claims (6)

  1. 舗装表面が磨耗しても、滑り抵抗を維持することのできる舗装体であって、
    前記舗装体は、ポリウレタン樹脂に平均粒子径が300μm以下であり、かつ均等係数が1〜2.1の微小中空体粒子が分散されたポリウレタン樹脂組成物で形成されており、
    前記ポリウレタン樹脂は、主剤が芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリイソシアネートであり、硬化剤が芳香族アミンと、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレンプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール及びポリブタジエンポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオールとの混合物からなる、非水性の二液性常温硬化型ポリウレタン樹脂であることを特徴とする全天候弾性舗装体
  2. 前記舗装表面は、滑り抵抗を付与するためのエンボス層が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の全天候弾性舗装体。
  3. 前記微小中空体粒子の平均粒子径が150μm以下であり、かつ均等係数が1〜1.9であることを特徴とする請求項1又は2に記載の全天候弾性舗装体
  4. 前記微小中空体粒子は、前記ポリウレタン樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の全天候弾性舗装体
  5. 前記微小中空体粒子はアルミノシリケートからなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の全天候弾性舗装体
  6. 前記ポリウレタン樹脂組成物には、さらに、遮熱剤、抗菌材、防かび材及び紫外線劣化防止剤からなる群より選ばれた1種以上の添加剤が含まれることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の全天候弾性舗装体
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