JP3958398B2 - 樹脂製キャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、密封信頼性と易開封性に優れたキャップに関し、より詳細には信頼性のある密封を形成できると共に容易且つ確実に開封することができ、更にタンパーエビデント性(TE)をも兼ね備えたキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製キャップは、一体成形が可能で、成形性に優れると共に、可撓性にも優れているため、打栓操作により容器口部に固定することができ、従来より種々の形態で広く用いられている。
【0003】
密封性に優れると共に、容器口部から道具を用いずに容易に取り外すことができるようにした開封性に優れた樹脂製キャップは、既に種々提案されており、例えば特公昭51−10555号公報には、容器の頸部に嵌合し、該部に係合する不連続リング状の突状をその内周面に有し、且つ蓋体の周壁にその両端部を強固に結合され、周壁に沿ってこれと一定の間隔を保ちつつその大部分を囲撓し、その内周面と蓋体の周壁間を切断容易な連結片をもって連結した把手をもって一体に形成した合成樹脂よりなる不正防止蓋が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、栓抜等の格別の道具を必要とせずに、手による開封を可能にし、且つ不正防止機能をも付与したプラスチックキャップを提供したものとして意義深いものではあるが、把手の付け根の部分では突条と容器頸部との係合が行われていないため、密封信頼性に未だ問題があると共に、逆に密封信頼性が保持される程度に突条と容器頸部との係合の程度を強くする場合には、開封力が過度に大きくなって、開封しずらいという問題を生じる。
【0005】
従って、本発明の目的は、打栓状態では、密封信頼性のある密封構造を形成できると共に、開栓に際しては格別の器具を使用することなしに開封が容易に行われ、タンパーエビデント性も付与されたプラスチック製キャップを提供するにある。
【0006】
本発明の他の目的は、打栓状態ではスカート外周壁がスカート内周壁を保護し、開栓に際してはスカート外周壁が取り外されることにより、スカート内周壁の容器口部からの離脱が容易に行われ、タンパーエビデント性を有し、ボトルから取り外した状態での分別廃棄機能をも備えたプラスチック製キャップを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部及びスカート部から成り且つ頂板部内面には容器口部と係合する密封部が設けられている樹脂製キャップにおいて、
前記スカート部は周の少なくとも大部分にわたって、成形後の後加工により切れ目が刻設された内側壁と外側壁との二重壁構造を有し、
前記スカート部の内側壁には内向きの突起部が形成されており、且つ、内側壁の下端から突起部を越えて上方に延びる複数個の切り欠きが周方向に間隔をおいて設けられ、
前記スカート部の内側壁と外側壁とは前記切れ目よりも上側或いは下側の複数個の破断可能な橋絡部或いは更に連結部を介して一体に形成されており、
前記外側壁には上下方向に延びる少なくとも1個の弱化部が形成されており、該弱化部が外側壁の内面側に設けた溝から成るものであり、且つ内側壁の切り欠きに対応する位置に設けられていると共に、
該弱化部に近接して引き裂き開始部が形成されていることを特徴とする樹脂製キャップが提供される。
【0008】
本発明のキャップにおいては、
1.前記内側壁の切り欠きは、前記弱化部に対応する切り欠きを除いて、内側壁と外側壁との上端境界部に露出しないように形成され、且つ前記弱化部に対応する切り欠きは内側壁と外側壁との上端境界部に露出しているか、或いは前記内側壁の切り欠きは、内側壁と外側壁との上端境界部を越えて上に延びており、外部に露出していること、
2.前記外側壁の弱化部の少なくとも上部は上方に向けて次第に肉厚が小さくなるように形成されていること、
3.前記連結部がスカート部の周の1/10乃至4/9の長さにわたって設けられていること、
4.前記連結部の両端部に隣接して2個の弱化部が形成されており、連結部には、径外方に延びるキャップ取り外し用タブが形成されていること、
5.内側壁と外側壁の下方境界部の内少なくとも切れ目或いは切れ目の延長線上には、下端から上方向に延びる溝が形成されていること、
が好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の樹脂製キャップでは、頂板部及びスカート部から成り且つ頂板部内面には容器口部と係合する密封部が設けられているが、
(A)前記スカート部は周の少なくとも大部分にわたって切れ目を刻設された内側壁(内周壁とも呼ぶ)と外側壁(外周壁とも呼ぶ)との二重壁構造を有すること、
(B)前記スカート部の内側壁には内向きの突起部が形成されていると共に、内側壁の下端から突起部を越えて上方に延びる複数個の切り欠きが周方向に間隔をおいて設けられていること、
(C)前記スカート部の内側壁と外側壁とは前記切れ目よりも上側或いは下側の複数個の破断可能な橋絡部或いは更に連結部を介して一体に形成されていること、及び
(D)前記外側壁には上下方向に延びる少なくとも1個の弱化部が形成されていると共に、該弱化部に近接して引き裂き開始部が形成されていること、
組み合わせに特徴を有するものである。
【0010】
前記(A)の構成により、前記(B)、(C)及び(D)の構成にも関連するが、打栓時における密封性並びにタンパーエビデント性の確保、開栓時における易開封性の確保が可能となると共に、複雑な金型を使用することなしに、上記機能を備えた樹脂製キャップの製造が容易となる。
【0011】
前記(B)の構成により、前記突起部が容器口部の外周側と係合して、確実な密封が可能となり、また前記寸法の切り欠きを設けたことにより、前記突起部が容器口部の外周側から解除されて、開封が容易に行われる。特に前記構成(A)との組み合わせにより、打栓状態では、外周壁のタガ締め力が作用するので、密封保持性は万全であり、外周壁が取り除かれた状態では、内周壁の径外方向への広がりは自由となって、易開封性が保証される。
【0012】
前記(C)の構成により、内周壁と外周壁とが破断可能な橋絡部を介して連結され、外周壁が切り取られていないことにより、タンパーエビデント性、即ち内容物に手が加えられていない保証を購入者に与えることが可能となる。更に、前記橋絡部以外では内側壁と外側壁とが分離されているため、その破断による開封操作も容易に行われる。
【0013】
前記(D)の構成により、開栓時における外周壁の取り外しが容易に行われる。即ち、外周壁には、上下方向に延びる弱化部が形成されていると共に、該弱化部に近接して引き裂き開始部が形成されているため、外周壁を前記弱化部の部分で切り裂きを先ず行い、次いでこの切り裂き部分から、外周壁の周に沿って、剥離による引き剥がしを行うことが可能となる。一般に、隣接する外周壁と内周壁とを、その界面で剪断方向に破断する場合には、かなり大きな力を必要とする(これがラップ接合の原理にもなっている)が、その界面にほぼ直角方向に剥離を行う場合には、剪断破壊に比して、はるかに小さな力で、界面破壊を行うことができる。これが、開栓時における外周壁の取り外しが容易となる理由である。
【0014】
本発明においては、前記切れ目の刻設が、成形後の樹脂製キャップにカッテイング等の後加工で行なわれ、これにより、複雑な金型の使用を避けて、製造コストを低減することができる。また、内側壁と外側壁とが切れ目により分離しているが、密接しているため、打栓した状態での密封保持性に優れている。
【0015】
また、前記外側壁に設ける弱化部が外側壁の内面側に設けた溝から成っており、これにより、外周壁の引き裂きを容易にすることができると共に、外側壁の外面を滑らかにすることができ、外面に溝を設けた場合のような他の部材との偶発的な接触、係合による破損を防止し、また外観特性を良好にすることができる。例えば、外面に溝を設けた場合、後加工で切れ目を刻設するとき、弱化部の破断のおそれを生じたり、溝の形成及び切れ目の刻設に精度が要求されるので、内面側に溝を設ける方が有利となる。
【0016】
更に、前記外側壁の溝は内側壁の切り欠きに対応する位置に設けられているべきであり、この配置関係では、弱化部の引き裂きが最も容易且つ確実に行えると共に、キャップの成形操作及び金型の構造も簡単なものとなる。
【0017】
本発明の一つの態様では、前記内側壁の切り欠きは、前記弱化部に対応する切り欠きを除いて、内側壁と外側壁との上端境界部に露出しないように形成され、且つ前記弱化部に対応する切り欠きは内側壁と外側壁との上端境界部に露出している。弱化部に対応する切り欠きは、弱化部の引き裂き性の点で外部に露出するのは避け得ないが、その他の切り欠きを内側壁と外側壁との上端境界部に露出しないようにすることにより、キャップ内部或いはボトル口外周部にほこり等が侵入するのを防止でき、衛生的となる。
本発明の他の態様では、前記内側壁の切り欠きは、内側壁と外側壁との上端境界部を越えて上に延びており、外部に露出している。切り欠きをこのように形成することにより、内側壁を外方に広げることが容易となり、キャップの容器口部からの取り外しが容易に行われるようになる。この場合、キャップの上にヒートシュリンクフィルムの覆いを設けることにより、ほこり等の侵入を防止することができる。
【0018】
また、前記外側壁の弱化部の少なくとも上部を、上方に向けて次第に肉厚が小さくなるように形成することにより、弱化部の引き裂き開始の際の引き裂き力を小さくし、易開封性能を向上させることができる。
【0019】
本発明においては、前記連結部をスカート部の周の1/10乃至4/9の長さにわたって設けることができ、これにより弱化部で引き裂かれた外側壁を上方に持ち上げることにより、内側壁とボトル口部の係合を解除して、一回の操作で、ボトルの開封を行うこともできる。
【0020】
本発明の一つの変形では、前記連結部の両端部に隣接して2個の弱化部が形成されており、連結部の下端には、径外方に延びるキャップ取り外し用タブが形成されている。この変形では、一方の弱化部から他方の弱化部間の外側壁を全て取り外した後、タブを押し上げることにより、キャップの静かな取り外しが可能となり、内容物がこぼれ出すのを防止できる。
【0021】
更に、頂板部とスカート部とのコーナを、頂板部の厚さの1乃至2倍の厚さに形成し、これにより、スカート部の過度の変形を抑制して、前記突起部とボトル口部外周部との係合による密封を一層確実なものとすることができる。
【0022】
本発明では、キャップの密封部が頂板部より突出したインナーリングを備えていることが、容器口部内周面との間で密封を行わせ、これにより、内容物の持続密封性や耐衝撃密封性を向上させる点で好適である。しかしながら、打栓に際して、インナーリングと容器口部内周面と早期にシールされると、容器内のエアースペース内の空気が過度に圧縮されるため、温度の上昇により漏れを生じる恐れがある。インナーリングの外周先端に、ガス抜き用のリブ乃至溝を形成することにより、空気の過度な圧縮を防止し、漏れを防止することができる。
【0023】
また、本発明のキャップでは、内側壁と外側壁の下方境界部の内少なくとも切れ目或いは切れ目の延長線上には、下端から上方向に延びる溝を形成しておくことが望ましい。上記溝を形成することにより、橋絡部は内側壁及び外側壁で覆われて保護された状態となり、橋絡部の偶発的な破断を防止できる。
更に、前記溝を橋絡部の部分では低く且つそれ以外の部分では高く形成することにより、橋絡部の部分で確実に内側壁と外側壁とを連結させることが可能となると共に、橋絡部の成形も容易に行うことができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のキャップの一実施例を示す上面図(図1)、側面図(図2)、下面図(図3)、図1のA−A’断面図(図4)、図4のBの拡大図(図5)、図3のCの拡大図(図6)、図6のDの断面図(図7)、図1のEの矢視拡大図(図8)、図3のFの拡大断面図(図9)、図3のGの拡大断面図(図10)及び図3のHの拡大図(図11)において、キャップ本体1は、頂板部2とその外周から垂下しているスカート部3とから成り、頂板部2の内面には容器口部と係合する密封部4が形成されている。
【0025】
スカート部3は、周の少なくとも半分程度以上にわたって刻設された切れ目5を介して設けられた内側壁6と外側壁7とから成っており、切れ目の部分では二重壁構造となっている(図4及び5)。
【0026】
図5に最もよく示されるとおり、スカート部内側壁6の内周には、容器口部の外周側の凸部と係合する内向きの突起部8が形成されており、容器口部を頂板部2の内面の密封部4に密接させ、密封を行わせるようになっている。この具体例においては、密封部4が、容器口部の内周側と係合するインナーリングであって、容器口部の内周側でも密封が行われ、密封が一層確実なものとなるようになっている。
【0027】
スカート部外側壁7は、スカート部内側壁6の外面の少なくとも一部を連続したリングの形で覆うように設けられている。このスカート部外側壁7で覆われたキャップ1のスカート部内側壁6には、内側壁の下端から突起部8を越えて軸線方向に延びる複数個の切り欠き9が周方向に間隔をおいて設けられている。
【0028】
キャップ1のスカート部内側壁6とスカート部外側壁7とは、周状の切れ目5を介して分離されていると共に、スカート部内側壁6とスカート部外側壁7とは、上記切れ目5よりも下側の複数個の破断可能な橋絡部11と、破断不能な連結部12を介して一体に形成されている。スカート部内側壁6の外面とスカート部外側壁7の内面とは、キャップ本体2が容器口部に打栓されている状態において、前記切れ目5の部分で相互に密接可能となっている。
【0029】
更に、スカート部外側壁7の一部には、上下方向に延びる弱化部10が形成されており、この弱化部10に近接して、スカート部外側壁7の上端縁よりも上方に突出した引き裂き開始部13が形成されており、開栓に際して、これを把持して剪断力を加えることにより、弱化部10での切り裂きが進行する。一旦、スカート部外側壁7が幅方向に引き裂かれると、引き裂き開始部13を把持して、周方向に対して直角方向へのピール力を加えることにより、前記橋絡部11を破断して、スカート部外側壁7を、少なくとも半周程度にわたって、スカート部内側壁6から切り離すことができる。
【0030】
外側壁7に設ける弱化部10は、図6及び図7に明確に示されるように、外側壁7の内面側に設けた溝14を備えていることが特に好ましく、更にこの溝14は内側壁6の切り欠き9aに対応する位置に設けられていることが好ましい。これにより、外周壁7の引き裂きを容易にすることができると共に、外側壁7の外面を滑らかにすることができ、また、この配置関係では、弱化部10の引き裂きが最も容易且つ確実に行えると共に、キャップの成形操作及び金型の構造も簡単なものとなる。即ち、外側壁7の外面側に溝を設けた場合のように、キャップ本体成形後に切れ目5を形成させる際に弱化部10を破断させるおそれがなく、また溝14及び切れ目5の成形に精度を要求されることがない。
弱化部10の厚みは0.2乃至0.7mm程度であるのが引き裂き性の点で好ましい。
【0031】
更にまた、図7及び図8に明確に示されるとおり、弱化部10に対応する切り欠き9aは高く形成されていて、内側壁と外側壁との上端境界部に露出する開口15を形成しており、これにより弱化部10の引き裂きを確実なものとしている。
一方、内側壁の切り欠き9は、前記弱化部10に対応する切り欠き9aを除いて、図5に明確に示されるとおり、内側壁6と外側壁7との上端境界部16に露出しないように低く形成されている。こうすることにより、キャップ内部或いはボトル口外周部にほこり等が侵入するのを防止でき、衛生的となる。
【0032】
また、図7に明確に示されるとおり、外側壁7の弱化部10の少なくとも上部17を、上方に向けて次第に肉厚が小さくなるように形成することにより、弱化部10の引き裂き開始の際の引き裂き力を小さくし、易開封性能を向上させることができる。
引き裂き開始部13の外表面には、引き裂き方向及び剥離進行方向を示すマーク18を形成しておくと、包装容器の購入者にとって便利である。
【0033】
キャップ本体1のスカート部内側壁6に設けた軸線方向に延びる複数個の切り欠き9は、開栓(スカート部外側壁7が取り外された状態)に際してはスカート部内側壁6が径外方向に広がり、これにより容器口外周の凸部とスカート部内向き突起部8との係合が解除されて、キャップ本体1の容器口部からの取り外しが容易に行われる様なものであり、その設置個数や周方向間隔はこれらの観点から適宜決定される。
【0034】
本発明のキャップにおいて、スカート部1に設ける切り欠き9の数は、キャップの口径等によっても相違するが、一般に周方向における切り欠き9間のピッチが5乃至25mm、特に10乃至17mmの範囲となるものが好ましく、また切り欠き9の周方向の幅は0.5乃至5mm、特に1.0乃至2.5mmの範囲にあるのがよい。また、切り欠き9の軸方向寸法は、一般に3乃至10mm、特に4乃至8mmの範囲が適当である。
【0035】
スカート部内側壁6とスカート部外側壁7とを切れ目5の部分で密接させることにより、少なくとも打栓状態でキャップ本体スカート部内側壁6がスカート部外側壁7によりタガ締めされ、スカート部内側壁6が外方に広がるのが防止され、容器口部に対する確実な密封性が維持される。スカート部内側壁6に軸方向に延びる切り欠き9が設けられている本発明のキャップの場合、この密接状態が特に重要である。即ち、スカート部内側壁6の切り欠き9は、容器口部外周の凸部とスカート部内側壁6の突起部8との係合状態を弱めるように作用するが、これにスカート部外側壁7によるタガ締め力が作用することにより、係合状態を強固且つ確実のものとすることができる。
【0036】
また、切れ目5よりも下側に、キャップ本体のスカート部内側壁6とスカート部外側壁7とを連結する複数個の破断可能な橋絡部11と破断不能な連結部12を設けたので、切れ目5の刻設が橋絡部11や連結部12に悪影響を及ぼすのが防止され、更に打栓時にも、キャップ本体スカート部内側壁6の外面とスカート部外側壁7の内面とが切れ目5の部分で密着するので、破断しやすい橋絡部11に外力が作用するのが防止され、打栓時における橋絡部11の保護が万全である。
【0037】
本発明において、キャップ本体スカート部内側壁6とスカート部外側壁7との切断面を介しての密着状態及び橋絡部11並びに連結部12の形成は、両者を一体に射出又は圧縮成形した後、両者間にカッター等で切り込みを入れて、橋絡部11及び連結部12を除く部分を分離させることにより行われる。このため、本発明のキャップは、通常のコアとキャビテイとから成る金型を用いて、能率よく短時間で製造でき、またキャップ各部の精度も高く、不良品の発生も少ないという利点を与える。
【0038】
キャップ本体スカート部内側壁6と、スカート部外側壁7との間に設ける橋絡部11の数は、隣り合った切り欠き9、9間のスカート部内側壁6とスカート部外側壁7とが少なくとも1個の橋絡部11を介して連結されるようなものである。また、橋絡部11を設ける位置も種々変化させることができ、例えば図3に示すとおり、切り欠き9、9間に橋絡部11を4個設けることができる。要するに、打栓時において、橋絡部の破損が防止され且つ開栓時にその破断が容易に行われるものであればよく、その位置及び個数は特に制限を受けない。橋絡部11の切れ目5方向の断面積は、1個当たり0.5乃至2mm2 、特に0.8乃至1mm2 の範囲にあることが好ましい。
【0039】
本発明においては、図3に示すとおり、前記連結部12をスカート部3の周の1/10乃至4/9の長さにわたって設けることができ、これにより引き裂かれた外側壁7を上方に持ち上げることにより、内側壁6とボトル口部の係合を解除して、一回の操作で、ボトルの開封を行うこともできる。
【0040】
更に、図5に示すとおり、頂板部2とスカート部3とのコーナ部19を、頂板部2の厚さの1乃至2倍の厚さに形成し、これにより、スカート部3の過度の変形を抑制して、前記突起部8とボトル口部外周部との係合による密封を一層確実なものとすることができる。
【0041】
本発明では、図5に示すとおり、キャップの密封部4が頂板部2より下方に突出したインナーリング20を備えていることが、容器口部内周面との間で密封を行わせ、これにより、内容物の持続密封性や耐衝撃密封性向上させる点で好適である。インナーリング20は、下向きに径が徐々に増大する内周部21と外周部22とを有し、外周部22の中間には突起部23が形成されている。外周部22の突起部23よりも下方では、次第に外径が減少する外周先端(テーパー部)24となっている。インナーリングの外周先端24に、図3に示すとおり、ガス抜き用のリブ25乃至溝26を形成することにより、打栓時における空気の過度な圧縮を防止し、漏れを防止することができる。
【0042】
また、本発明のキャップでは、図3に示すとおり、内側壁6と外側壁7の下方境界部の内少なくとも切れ目5或いは切れ目5の延長線上には、下端から上方向に延びる溝27を形成しておくことが望ましい。上記溝27を形成することにより、橋絡部11は内側壁6及び外側壁7で覆われて保護された状態となり、橋絡部11の偶発的な破断を防止することができる。
【0043】
更に、前記溝27を、図10に示すとおり、橋絡部11の部分では低く、図9に示すとおり、それ以外の部分では高く形成することにより、橋絡部11の部分で確実に内側壁6と外側壁7とを連結させることが可能となると共に、橋絡部11の成形も容易に行うことができる。
【0044】
本発明のキャップの他の実施例を示す図12(上面図)、図13(部分断面側面図)及び図14(底面図)において、図1乃至図11の実施例と共通の部分は共通の引照数字で示されており、構造も大部分共通しているが、次の点で前の実施例と相違している。
【0045】
この実施例のキャップでは、連結部12に隣接して2個の弱化部10a、10bが形成されており、連結部12の下端には、径外方に延びるキャップ取り外し用タブ29が形成されている。連結部12の一方の側の弱化部10aに近接する外側壁7には引き裂き開始部13が設けられている。開栓に際しては、この引き裂き開始部13を把持して、弱化部10aの引き裂き、外側壁7の剥離、最後に弱化部bの破断を行って、連結部12を除く外側壁7を全て取り外す。この状態で、タブ29を押し上げることにより、容器口部からのキャップの静かな取り外しが可能となり、内容物がこぼれ出すのを防止できる。
【0046】
また、内側壁6の切り欠き9は、内側壁6と外側壁7との上端境界部を越えて上に延びており、外部に露出した開口部15を形成している。切り欠き9をこのように長く形成することにより、開栓に際して(外側壁が取り外された状態で)、内側壁6を外方により大きく広げることが容易となり、キャップの容器口部からの取り外しが容易に行われるようになる。
【0047】
この場合、キャップの上にヒートシュリンクフィルムの覆いを設けることにより、ほこり等の侵入を防止することができる。また、内用品の表示をヒートシュリンクフィルムに印刷すると、天面のみに印刷する場合より面積が大きくなり、好都合である。
【0048】
本発明では、本発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの変更が可能である。例えば、頂板部には、ガスバリアー性材料をインサート成形等により設けておくことができ、これによりプラスチックキャップ壁を通してのガスの透過を防止し、内容物の保存性を向上させることができる。ガスバリアー性材料としては、アルミ箔等の金属箔、エチレン−ビニールアルコール共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ナイロン樹脂、ガスバリアー性ポリエステル等のガスバリアー性樹脂を挙げることができる。
【0049】
ガスバリアー性材料の代わりに、或いはガスバリアー性材料と共に、上記天面部に酸素吸収性の層を設けることもできる。酸素吸収性の層としては、例えば鉄系酸素吸収剤を樹脂中に分散させたものなどを用いることができる。
【0050】
キャップの成形に用いる樹脂としては、各種プラスチック、例えば、低−、中−又は高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
【0051】
本発明のプラスチックキャップは、上記樹脂を用い、通常、射出成形、圧縮成形等によりキャップ本体及びリング状部材が一体化した状態で製造される。環状切断面は、通常、この成形工程の後に公知のカッティング加工を施すことにより形成される。
【0052】
キャップ本体とは、別個にライナーを施すこともでき、この場合、低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体、各種ゴム乃至熱可塑性エラストマー、アクリル樹脂プラスチゾル、塩化ビニル樹脂プラスチゾル等を用いることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、上記構成により、打栓に際しては、密封信頼性のある密封構造を形成できると共に、開栓に際しては格別の器具を使用することなしに開封が容易に行われ、タンパーエビデント性も付与される。
【0054】
即ち、打栓に際してはスカート外周壁がスカート内周壁を保護し、開栓に際してはスカート外周壁が取り外されることにより、スカート内周壁の容器口部からの離脱が容易に行われる。また、外周壁には、上下方向に延びる弱化部が形成されていると共に、該弱化部に近接して引き裂き開始部が形成されているため、外周壁を前記弱化部の部分で切り裂きを先ず行い、次いでこの切り裂き部分から、外周壁の周に沿って、剥離による引き剥がしを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャップの一実施例を示す上面図である。
【図2】図1のキャップの側面図である。
【図3】図1のキャップの下面図である。
【図4】図1のキャップのA−A断面で示す断面図である。
【図5】図4のキャップのB部分の拡大断面図である。
【図6】図3のキャップのC部分の拡大図である。
【図7】図6のキャップのD−D断面で示す断面図である。
【図8】図1における矢視Eの拡大側面図である。
【図9】図1のキャップのF−F断面で示す断面図である。
【図10】図1のキャップのG−G断面で示す断面図である。
【図11】図1のキャップのH−H断面で示す断面図である。
【図12】本発明のキャップの他の実施例を示す上面図である。
【図13】図12のキャップの部分断面側面図である。
【図14】図12のキャップの下面図である。
【符号の説明】
1はキャップ、2は頂板(天面)部、3はスカート部、4は密封部、5は切れ目、6は内側壁、7は外側壁、8は突起部、9は切り欠き、10は弱化部、11は橋絡部、12は連結部、13は引き裂き開始部、14は溝、15は開口、16は内側壁と外側壁との接続部上部、17は弱化部上部、18はマーク、19は頂板部とスカート部との接続部、20はインナーリング、24はインナーリングの外周先端、25はガス抜き用リブ、26はガス抜き用溝、27は溝、29は押上用タブ。

Claims (7)

  1. 頂板部及びスカート部から成り且つ頂板部内面には容器口部と係合する密封部が設けられている樹脂製キャップにおいて、
    前記スカート部は周の少なくとも大部分にわたって、成形後の後加工により切れ目が刻設された内側壁と外側壁との二重壁構造を有し、
    前記スカート部の内側壁には内向きの突起部が形成されており、且つ、内側壁の下端から突起部を越えて上方に延びる複数個の切り欠きが周方向に間隔をおいて設けられ、
    前記スカート部の内側壁と外側壁とは前記切れ目よりも上側或いは下側の複数個の破断可能な橋絡部或いは更に連結部を介して一体に形成されており、
    前記外側壁には上下方向に延びる少なくとも1個の弱化部が形成されており、該弱化部が外側壁の内面側に設けた溝から成るものであり、且つ内側壁の切り欠きに対応する位置に設けられていると共に、
    該弱化部に近接して引き裂き開始部が形成されていることを特徴とする樹脂製キャップ。
  2. 前記内側壁の切り欠きは、前記弱化部に対応する切り欠きを除いて、内側壁と外側壁との上端境界部に露出しないように形成され、且つ前記弱化部に対応する切り欠きは内側壁と外側壁との上端境界部に露出していることを特徴とする請求項1記載の樹脂製キャップ。
  3. 前記内側壁の切り欠きは、内側壁と外側壁との上端境界部を越えて上に延びており、外部に露出していることを特徴とする請求項1記載の樹脂製キャップ。
  4. 前記外側壁の弱化部の少なくとも上部は上方に向けて次第に肉厚が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂製キャップ。
  5. 前記連結部がスカート部の周の1/10乃至4/9の長さにわたって設けられている請求項1乃至4の何れかに記載の樹脂製キャップ。
  6. 前記連結部の両端部に隣接して2個の弱化部が形成されており、連結部には、径外方に延びるキャップ取り外し用タブが形成されている請求項1乃至5の何れかに記載の樹脂製キャップ。
  7. 内側壁と外側壁の下方境界部の内少なくとも切れ目或いは切れ目の延長線上には、下端から上方向に延びる溝が形成されている請求項1乃至6の何れかに記載の樹脂製キャップ。
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