JP4533520B2 - 分別廃棄可能なプラスチックキャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分別廃棄可能なプラスチックキャップに関するもので、開封明示機能のための周状バンドを、使用後にボトル口部からの取り外しを容易にしたプラスチックキャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記開封明示機能を有するプラスチックキャップは、キャップ本体の下部に破断可能なブリッジを介して周状バンド部が形成された構造を有している。この代表的なものは、周状バンド部の内面の部分が、容器首部外周の部分と係合することにより周状バンド部が固定され、キャップ本体の開栓に伴って前記ブリッジが破断してキャップ本体と周状バンド部とが切り離されるというものである。
【0003】
切り離された周状バンドがボトルの首部に残留していると、ボトルのプラスチックをリサイクルする際の障害となるため、使用後にはこれをボトルの首部から容易に取り外すことができるようにする必要があり、そのための提案もなされている。
【0004】
実開昭61−56249号公報には、キャップ本体と、このキャップ本体の下方に設けられたピルファープルーフリングと、このピルファープルーフリングを上記キャップ本体下部に切り離し可能に連結する小片状のブリッジとが合成樹脂により一体に成形されてなる合成樹脂製キャップにおいて、上記ピルファープルーフリングにその上部と下部との一方から他方へ向かい、且つその途中に少なくとも1個所以上の戻り部を有する切り欠き部を形成したことを特徴とする合成樹脂キャップが記載されている。
【0005】
特開平6−156516号公報には、縦方向のスプリットが形成されたタンパーエビデントバンドを有する容器蓋において、前記スプリットのタンパーエビデントバンド肉厚方向切断面がタンパーエビデントバンド外周面から内周面に達するまでに外周面切断始点と周方向にずれた位置を通るように形成されていることを特徴とする容器蓋が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記第一の提案によると、ビンの口部に装着する際、ピルファープルーフリング(周状バンド)にこれを引き伸ばす力が加わっても上記切り欠き部の戻り部においてその伸びが阻止されるため上記切り欠き部で切断されてしまうおそれがないという利点が得られるものである。
しかしながら、この手段では、切り欠き部全体が外方に露出するため、衛生的でないという問題がある。また、キャップの成形に際しても割型が必要となるなど、生産性や製造コストの点でも未だ改善すべき点がある。
【0007】
一方、第二の提案では、切断面周方向に重なり合い、スプリットが周方向に一定範囲広がっても、スプリットを通して容器口頸部が露見することがないというものであるが、タンパーエビデントバンド(周状バンド)が周方向に広がるという欠点は避け得ないものであり、またこの広がりによってブリッジが損傷を受けるというおそれも免れない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、周状バンドが厚み方向に完全に切り離されていながら、周方向への広がりや伸びが抑制されていると共に、この抑制手段が周状バンドの外面により覆われて保護されており、しかも使用後におけるボトル首部からの周状バンドの取り外しが指でも容易に出来る分別廃棄可能なプラスチックキャップを提供するにある。
本発明の他の目的は、通常の型を用いて成形可能であり、しかも生産性も高く、外観特性、衛生的特性、巻締の確実性にも優れた分別廃棄可能なプラスチックキャップを提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部とスカート部とからなり且つスカート部内周壁には容器口部のネジと係合するネジを備えたキャップ本体と、スカート部の下端に破断可能なブリッジを介して連結され且つ内面側にボトル首部への係止部を有する周状バンドと、前記周状バンドに設けられたボトル首部からの取り外し機構とからなるプラスチックキャップにおいて、
前記取り外し機構が、周状バンドの外周面から内周面に至るように全体として厚さ方向及び周方向に延びかつ周状バンドの上面及び下面に達するように設けられた上下のスプリットと、該スプリットの少なくとも一部で区画され且つ周方向に互いに係合可能な外周側係合部及び内周側係合部とからなり、前記スプリットが、周状バンドの外周側から厚みの途中に達するように設けられた外周側スプリット、周状バンドの内周側から厚みの途中に達するように外周側スプリットから周方向に間隔をおいて設けられた内周側スプリット、外周側スプリットと内周側スプリットとの中間に外周側及び内周側に厚みを残してほぼ厚み方向に設けられた段差スプリット、段差スプリットの内周側端部と外周側スプリットの内周側端部とを結ぶ第一の周状スプリット及び段差スプリットの外周側端部と内周側スプリットの外周側端部とを結ぶ第二の周状スプリットからなり、第一の周状スプリットと段差スプリットとにより前記外周側係合部が形成されており、第二の周状スプリットと段差スプリットとにより前記内周側係合部が形成されている、ことを特徴とする分別廃棄可能なプラスチックキャップが提供される。本発明のキャップにおいては、
1.外周側係合部及び内周側係合部が周状バンドの下面側から見てZ字型、逆Z字型、S字型或いは逆S字型の形状のスプリットで区画されていること、
2.外周側係合部の内周側先端部及び内周側係合部の外周側先端部が水平断面において90度以下の角度を有すること
.前記スプリットの内周側端部にはブリッジが位置しており、スプリット内周側端部の少なくとも一方の側、好ましくは両側の周状バンドの部分が前記ブリッジを介してスカート部に連結していること、
.キャップ本体のスカート部下端と周状バンドの上端とが環状面で分離されており且つ環状面よりも内側に位置するブリッジで連結されていること、が好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明のプラスチックキャップは、頂板部とスカート部とからなり且つスカート部内周壁には容器口部のネジと係合するネジを備えたキャップ本体と、スカート部の下端に破断可能なブリッジを介して連結され且つ内面側にボトル首部への係止部を有する周状バンドと、前記周状バンドに設けられたボトル首部からの取り外し機構とからなるが、この取り外し機構が、周状バンドの外周面から内周面に至るように全体として厚さ方向及び周方向に延びかつ周状バンドの上面及び下面に達するように設けられた上下のスプリットと、該スプリットの少なくとも一部で区画され且つ周方向に互いに係合可能な外周側係合部及び内周側係合部とからなり、前記スプリットが、周状バンドの外周側から厚みの途中に達するように設けられた外周側スプリット、周状バンドの内周側から厚みの途中に達するように外周側スプリットから周方向に間隔をおいて設けられた内周側スプリット、外周側スプリットと内周側スプリットとの中間に外周側及び内周側に厚みを残してほぼ厚み方向に設けられた段差スプリット、段差スプリットの内周側端部と外周側スプリットの内周側端部とを結ぶ第一の周状スプリット及び段差スプリットの外周側端部と内周側スプリットの外周側端部とを結ぶ第二の周状スプリットからなり、第一の周状スプリットと段差スプリットとにより前記外周側係合部が形成されており、第二の周状スプリットと段差スプリットとにより前記内周側係合部が形成されている、ことが特徴である。
【0011】
本発明では、周状バンドの外周面から内周面に至るように全体として厚さ方向及び周方向に延びるスプリットを設けたので、開栓に際しブリッジを破断して周状バンドをボトルの首部に切り離した状態では、周状バンドがこのスプリットにより完全に切断されており、したがって周状バンドを引き裂き或いは千切るような格別の力を要することなく、周状バンドのスプリットで区画された一端部を持ち上げることによりボトル首部から容易に引き剥がすことができる。
【0012】
本発明ではまた、このスプリットの少なくとも一部で、周方向に互いに係合可能な外周側及び内周側の係合部を区画したことが顕著な特徴である。前述したスプリットが、周状バンドを完全に切断するものであることは既に指摘したが、このスプリットにより外周側係合部と内周側係合部とを周方向に互いに係合するように設けたので、周状バンドがブリッジを介してキャップ本体と一体化している状態において、ボトルへの巻締に際して周状バンドに周方向への応力が発生しても、外周側係合部と内周側係合部とが互いに係合して、周状バンドの伸びが抑制され、周状バンドの破損やブリッジの破損が有効に防止される。
【0013】
更に、本発明では全体として厚み方向及び周方向に延びるスプリットの少なくとも一部で外周側係合部と内周側係合部とを区画するように設けたため、これらの外周側係合部と内周側係合部とが周状バンドの外周面及び内周面で覆われると共に保護され、ごみの付着等がなく衛生的であり、またキャップ同士の接触や搬送具や巻締機器との接触によっても破損されないという利点がある。更に、前記係合部が周状バンド内に設けられていて、外部に見えないのでキャップの外観特性にも優れている。
【0014】
更にまた、本発明のキャップでは、周状バンドへのスプリットが上下に設けられているので、成形後のキャップは上下方向に型抜きが容易であり、高価な割型を必要とせず、また成形性にも優れており、生産性も高いという利点がある。
【0015】
本発明のキャップでは、外周側係合部及び内周側係合部が周状バンドの下面側から見てZ字型、逆Z字型、S字型或いは逆S字型の形状のスプリットで区画されていることが好ましい。このような外周側係合部と内周側係合部との対峙構造では、周状バンドに周方向の張力が発生したとき、外周側係合部の凸部と内周側係合部の凹部、外周側係合部の凹部と内周側係合部の凸部とが、径方向の余計な動きを生ずることなく係止し、スプリットからの周状バンドのはずれを防止するのに非常に有効である。
【0016】
本発明のキャップにおいては、外周側係合部の内周側先端部及び内周側係合部の外周側先端部が水平断面において90度以下の角度を有すること、一層好適には90度よりも小さい角度を有すること、最も好適には40乃至80度の角度を有することが、両係合部の周方向への係合を確実に行わせるために好ましい。
【0017】
周状バンドにおける上下のスプリットが周状バンドの外周側から内周側への完全切断線乃至ほぼ完全な切断線として設けられていることは既に指摘したが、このスプリットは周状バンドの上下に達するように設けられていることが、ボトル首部に残る周状バンドの取り外しを容易にする目的に好ましい。
【0018】
本発明におけるスプリットは、前述した条件を満足する限り任意の構造を取りうるが、一つの実施例では、周状バンドの外周側から厚みの途中に達するように設けられた外周側スプリット、周状バンドの内周側から厚みの途中に達するように外周側スプリットから周方向に間隔をおいて設けられた内周側スプリット、外周側スプリットと内周側スプリットとの中間に外周側及び内周側に厚みを残してほぼ厚み方向に設けられた段差スプリット、段差スプリットの内周側端部と外周側スプリットの内周側端部とを結ぶ第一の周状スプリット及び段差スプリットの外周側端部と内周側スプリットの外周側端部とを結ぶ第二の周状スプリットからなる。
この場合、第一の周状スプリットと段差スプリットとにより外周側係合部が形成されており、第二の周状スプリットと段差スプリットとにより内周側係合部が形成されていることが好ましい。
このスプリットの構造については、あとに詳しく説明する。
【0019】
本発明のキャップではまた、スプリットの内周側端部にはブリッジが位置しており、スプリット内周側端部の少なくとも一方の側、好適には両側の周状バンドの部分が前記ブリッジを介してスカート部に連結しているいることが、キャップの打栓に際しても、キャップ本体に対して周状バンドを正しく整合した位置関係で保持し、周状バンドをボトル首部に破損なしに挿入させるために好ましい。
勿論、このスプリット内周側端部に位置するブリッジも、他のブリッジと同様に、開栓に際してはキャップ本体の旋回に伴って切断されまたは弱化され、周状バンドの切り離しを阻害することはない。
【0020】
また本発明では、キャップ本体のスカート部下端と周状バンドの上端とが環状面、特に切断面で分離されており且つ環状面よりも内側に位置するブリッジで連結されていることが好ましい。この構造では、ブリッジの位置及び水平断面面積を、閉栓に際してはブリッジを破損することなく周状バンドが設定通りに保持され、一方開栓に際してはブリッジの破断による開栓が容易に行われるように規制することができる。特に、スプリットの内周側端部にブリッジを設ける上記の構成では、この意義は大きい。
【0021】
本発明では、本発明の精神を逸脱しない範囲で多くの変更が可能であることが了解されるべきである。
例えば、キャップ本体、周状バンド及びブリッジは、それ自体公知の任意の構造のものであってよく、格別の制限は受けない。
【0022】
キャップ本体は、頂板部と頂板部の周囲から垂下したスカート部とからなるものであり、スカートの内面には、ボトル首部に巻締るためのネジ部が形成されており、スカート外面にはキャップの把持を容易にするためのローレット溝が形成されている。
頂板部には、その内面側に、ボトル口部との密封のための機構や、ボトル口部に嵌着された中栓との密封或いは係合のための機構が設けられていてもよい。この密封のための機構は頂板部と一体に設けられたワンピース構造のものでもよく、また頂板部と別体にインシェルモールド等の手段で設けられたライナーであってもよい。
頂板部内面に設ける密封或いは係合のための機構は、ボトル口部或いは中栓口部の頂面と接する平面シールでもよいし、ボトル口部或いは中栓口部の外周面と接するアウターリングによるシールでもよいし、またボトル口部或いは中栓口部の内周面と接するインナーリングによるシールでもよいし、更にこれらの2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
周状バンドとしても、ボトル首部に対して周状バンドの係合を行いうる任意の係止部を周状バンドの内面側に備えたものが使用される。例えば、係止部としては、ボトル首部のあご部と係合するフラップ片やフィン類、或いはボトル首部の外周ラチェットと係合する内周ラチェットなどが挙げられる。
【0024】
周状バンドの容器口部への係合固定を行うフラップ片は、周状バンドの内周側の下部から、斜め上方向に延びており、その先端の径が大きくなる方向への変形は可能であるように設けられたものである。
このフラップ片は、閉栓時において、容器口部外周下方のあご部を乗り越えて、その下部と係合することが可能であり、これにより周状バンドの容器口部への固定を行えるものである。
一方、キャップの開栓時においては、フラップ片により周状バンドが容器首部のあご部の下に位置していると共に、開栓方向が上昇方向となり、フラップ片があごの下に係合して上昇不能に固定され、キャップ本体のみが上昇するので、剪断力によりブリッジが破断する。この破断により、キャップ本体と周状バンドとが分離して開栓が行われる。
【0025】
フィン類とは、周状バンドの内周側から径内方向且つ斜め開栓方向に延びる片状のフィンとして多数周状に配置されたものである。このフィンは、閉栓時において、容器首部外周下方のあご部と係合するようになっている。
キャップの容器への閉栓に際しては、キャップを閉栓方向に回転させると、容器首部のネジとスカート部内面のネジとが係合して、閉栓が進行する。この場合、周状バンドのフィンの延びる方向と閉栓方向とが一致しているため、このフィンは容器首部のあごを乗り越えて、その下部に達し、フィンによる周状バンドの保持が確実に行われる。
一方、キャップの開栓時においては、フィンにより周状バンドが容器首部のあご部の下に位置していると共に、開栓方向がフィンの延びている方向となるため、回転不能に固定され、キャップ本体のみが開栓方向に回転するので、剪断力によりブリッジが破断する。この破断により、キャップ本体と周状バンドとが分離して開栓が行われる。
また、フラップ片、フィン類等の係止部のタイプにおいては、スカート部と周状バンドとは、破断可能なブリッジに加えて、開栓時にキャップ本体と一体に周状バンドを取り除くための連結部をスプリットの近傍に設けてもよい。
【0026】
また、ラチェットとしては、周状バンドの内面に付け根を介して一定間隔をおいて多数取り付けられており、その先端が径内方及び開栓方向に延びているものが用いられる。
一方、このキャップを締結する容器首部は、あご部の下方及び外周にラチェットを備えている。
周状バンドのラチェットは、閉栓時において、容器首部外周のあご部及びラチェットを乗り越えて、回動可能であり、これにより適正締結トルクで周状バンドの容器口部への締結を行えるものである。
また、開栓に際しては、キャップのラチェットの先端部と容器首部のラチェットとが係合して、回転不能に固定され、キャップ本体のみが開栓方向に回転するので、剪断力によりブリッジが破断する。この破断により、キャップ本体と周状バンドとが分離して開栓が行われる。
【0027】
本発明のプラスチックキャップは、通常、射出成形、圧縮成形等によりキャップ本体及び周状バンドが一体化した状態で製造される。
成形に用いる樹脂としては、各種プラスチック、例えば、低−、中−又は高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
これらの内でも、高密度ポリエチレンやプロピレン系重合体が好適なものである。
キャップ本体とは、別個にライナーを施すこともでき、この場合、低密度ポリエチレン、エチレン系共重合体、各種ゴム乃至熱可塑性エラストマー、アクリル樹脂プラスチゾル、塩化ビニル樹脂プラスチゾル等を用いることができる。
【0028】
本発明において、キャップの製造に用いるプラスチックには、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
【0029】
【実施例】
本発明を添付図面に示す実施例に基づき以下に詳細に説明する。
添付図面において、
図1は本発明のキャップの一例の側面図であり、
図2は図1のキャップの下面図であり、
図3は図1のキャップの側断面図であり、
図4は図3における線L−Lにおける断面図であり、
図5は図4のキャップの周状バンドのスプリット形成部分の拡大図であり、
図6は図5のスプリット形成部分の厚さ方向断面位置を示す説明図であり、
図7は図6の線A−Aにおける垂直断面図であり、
図8は図6の線B−Bにおける垂直断面図であり、
図9は図6の線C−Cにおける垂直断面図であり、
図10は図6の線D−Dにおける垂直断面図であり、
図11は図6の線E−Eにおける垂直断面図であり、
図12は図1のキャップをその内部に保持される中栓と共に容器首部に締結した状態を示す拡大断面図である。
【0030】
本発明のプラスチックキャップの一例を示す図1、図2及び図3において、このキャップは、頂板部1とスカート部2とからなり且つスカート部内周壁には容器口部のネジと係合するネジ21を備えたキャップ本体3と、スカート部2の下端に破断可能なブリッジ4を介して連結され且つ内面側にボトル首部への係止部5を有する周状バンド6と、前記周状バンド6に設けられたボトル首部からの取り外し機構7(図2、図4)とからなる。この実施例のキャップは、図12に示されるとおり、内部に保持される内容物注ぎ出し用の中栓9と共にボトル10の首部に閉栓されるもので、キャップ本体3はボトル首部の形状(嵌合された中栓をも含む)にあわせた円筒状の形状をしている。
【0031】
頂板部1の内面には、中栓と係合する機構、軸方向内方に突出したアウターリング11及びインナーリング12と、両リングの中間に位置する凹部13が形成されている。これらの係合機構の機能については図12を参照してあとに説明する。
【0032】
スカート部2の内面側には、容器口部のネジと係合するネジ21が形成されている。一方、スカート部2の外面には、キャップの把持を容易にするためのローレット溝22が形成されている。また、スカート部2の下部は下向きに次第に径が増大するテーパ部23となっており、このテーパ部23を介して周状バンド6の外周面に滑らかに接続されている。また、スカート部2の内面のネジ部21の上方には、中栓を着脱自在に保持する保持用小突起部24が形成されている。この中栓保持用突起部24の機能については図12を参照してあとに説明する。
【0033】
キャップのスカート部2の下側に環状切断面乃至環状分離面31を介し開封明示用の周状バンド6が設けられている。
キャップのスカート部2の下端と周状バンド6とは環状切断面乃至分離面31により分割されていると共に、切断面乃至分離面31の内周よりも内側に位置するように周状に分布して配置されたブリッジ4により連結されている。
【0034】
この具体例のキャップの場合、周状バンド6の容器首部への係合固定は、フラップ片5により行われる。周状バンド6のフラップ片5は、周状バンドの内周側下部に上下に折り曲げ可能に且つ一体に周状に設けられている。このフラップ片5は、上方且つ内方に折り曲げられた状態で容器首部に挿入され、容器首部のあご部を乗り越えあご部の下部と係合することにより、周状バンドの容器首部への保持が可能となっている。
【0035】
図7〜11においては、フラップ片5は射出成形、圧縮成型などにより成形された状態で示されている。この状態ではフラップ片5は周状バンド6の内面から下方且つ内方に向けて延びている。その後、図示しない工具によりフラップ片は上方且つ内方に向けて延びた状態に変形され、容器首部に巻締られる。
【0036】
フラップ片5は、径内方の先端部51が厚肉であり、薄肉の付け根部52を介して周状バンド6の内面下方部に接続されており、径外方に向けて次第に薄肉となる断面形状を有している。
このフラップ片5は、中心側から周状バンド6の内面に向けて径方向に延びる切り欠き部53により周方向に分割されていることが好ましい。
切り欠き部53はフラップ片5の上下への折り曲げをを可能とすると共に液抜きをも可能にするものである。
【0037】
周状バンド6の内周面61はキャップ本体のスカート部内面25の内径よりも大きな内径を有している。このため、フラップ片5が上向きに折り返された状態で容器首部に挿入されるとき、フラップ片5がこの内径の増大したスペース内に収納され、閉栓時に無理な荷重がかからないようになっている。
【0038】
本発明のキャップにおいては、図5の拡大図に示すとおり、周状バンド6内にボトル首部からの取り外し機構7が設けられる。ボトル首部からの取り外し機構7は、周状バンド6の外周面62から内周面61に至るように、全体として厚さ方向及び周方向に延びる上下のスプリット71と、該スプリット71の少なくとも一部で区画され且つ周方向に互いに係合可能な外周側係合部72及び内周側係合部73とからなっている。
【0039】
スプリット71は、周状バンド外周面に位置する外周側端部74と、周状バンド内周面に位置する内周側端部75とを有しており、これら両端部間は連通している。
この具体例においては、外周側係合部72及び内周側係合部73は、周状バンド6の下面側から見て逆Z字型の形状のスプリットで区画されて形成されており、外周側係合部72の内周側先端部及び内周側係合部73の外周側先端部は水平断面において90度以下の角度を有している。
勿論、外周側係合部72及び内周側係合部73を区画するスプリットは、上記の例に限定されず、Z字型、逆Z字型、S字型或いは逆S字型等の任意の形状をとりうることが了解されるべきである。
【0040】
スプリット71の詳細な厚さ方向断面を示す図7乃至11において、周状バンド6の外周側から厚みの途中に達するように外周側スリット81が設けられている(図11)。このスリット81は、スカート部2のテーパ部をも通って上下に貫通していることが了解されよう。
また、周状バンド6の内周側から厚みの途中に達するように、外周側スリット81から周方向に間隔をおいて内周側スリット82が設けられている(図7)。
更に、外周側スリット81と内周側スリット82との中間に外周側及び内周側に厚みを残してほぼ厚み方向に段差スリット83が設けられている(図9)。
また、この段差スリット83の内周側端部と外周側スリット81の内周側端部とを結ぶように、第一の周状スリット84が形成されている(図10)。
更にまた、段差スリット83の外周側端部と内周側スリット82の外周側端部とを結ぶように、第二の周状スリット85が形成されている(図8)。
これらの各スリットが上記のように接続されて、逆Z字型のスプリットが形成されることが了解されよう。
また、第一の周状スリット84と段差スリット83とにより外周側係合部72が形成され、第二の周状スリット85と段差スリット83とにより内周側係合部73が形成されていることも了解されよう。
【0041】
図5及び図7に示されるとおり、スプリット71の内周側端部にはブリッジ4が位置しており、スプリット内周側端部の両側の周状バンドの部分が前記ブリッジ4を介してスカート部に連結していることが前述した理由により好ましい。
【0042】
本実施例のキャップでは、図12に示すとおり、中栓9との組み合わせで容器首部10との密封に用いられる。
【0043】
本実施例のキャップとの組み合わせで好適に使用される中栓を示す図12において、この中栓9は、容器首部10が挿入される溝91を備えたフランジ部92と、フランジ部92の下部の内周側に形成された水平壁93と、フランジ部92の内周上部に設けられた注出筒部94と、水平壁の開口予定部95と、開口予定部95を区画する開口用スコア96と、開口予定部95に設けられた開口用タブ97とを備えている。
【0044】
フランジの外周部98の内面には容器首部の上方あご部と係合する内向きの突起部99が形成されている。一方、フランジの内周部100の外面にはシール部101が形成されている。
注出筒部94は上方に向けて径の増大するラッパ形状となっていて、注ぎ出す液体の液切れを行うことが可能となっている。
開口用タブ97は開口予定部95に足部102を介して一体に設けられたプルリング103からなっており、プルリング103を指で把持し、これを引っ張り上げることにより、スコア96を剪断して、開口予定部95の取り外しが可能となっている。
【0045】
フランジ部92の内周部100の下部には下方への筒状延長部からなる容器首部のガイド104が形成されている。
中栓9はプラスチックキャップ内に収納された状態で一挙に容器首部との閉栓操作に付されるが、キャップ内の中栓9に若干の傾きなどがある場合でも、前記ガイド104の作用により、容器首部10がフランジ部の溝91の中に確実に案内され、中栓9と容器首部10との密封係合が確実に行えるという利点がある。ガイド104は、容器首部の内径よりも小さい外径を有し、しかも下向きに次第に径が小さくなるテーパ状に形成された部分を有しているのがよい。
【0046】
また、中栓フランジ部92の外周部98の下部には複数個の薄片状の突起部105を形成すると共に、プラスチックキャップのネジの上部にはこの薄片状突起部105と係止可能な中栓保持用突起部24を形成する。これにより、キャップの移送中や閉栓操作時に中栓9が離脱することなくプラスチックキャップに確実に保持され、しかも中栓の突起部105が薄片状であるため、開栓時にはキャップの環状突起部24との係合状態が外れ、中栓9を容器首部との密封状態を保ったまま容器首部に残すことが可能となる。
【0047】
中栓9及び図1のキャップと密封係合している状態の容器を示す図12において、この容器首部10は、容器首部の外周に、中栓保持用のあご部111、キャップ締結用のネジ112、周状バンド保持用のあご部113及びサポートリング114を備えている。
【0048】
中栓9及び図1のキャップを容器首部に締結させるには、中栓が内部に収納保持されている中栓付プラスチックキャップを、容器首部に被せ、キャップのネジ21と容器首部のネジ112とを係合させ、キャップを旋回させる。この旋回に伴って、容器首部10の内側に先ず中栓のガイド104が挿入され、容器首部に対して中栓の正しい位置規制が行われる。
キャップの旋回角度が一定角度、例えばキャップのネジ21と容器首部のネジ112とが螺合開始から180度以上に達した時点で、容器首部の頂部115と中栓突起部99とが係合する。
キャップの閉栓のための旋回が続くにつれて、中栓9はキャップのアウターリング11により押し下げられ、中栓突起部99が容器首部の中栓係止用あご部111を乗り越えて、中栓と容器首部との密封係合が行われる。同時に中栓9の注出筒部94の先端は、アウターリング11とインナーリング12との凹部13に挿入され、インナーリング12と係合する。
この状態では、キャップ周状バンドのフラップ片71が容器首部の周状バンド保持用のあご部113を乗り越えてその下部と係合しており、これにより周状バンド6の容器首部への固定も行われる。
【0049】
開栓に際しては、キャップのローレット22を指で把持して、キャップ本体を開栓方向に旋回させるが、周状バンド6はフラップ片5により容器首部に固定されているため、ブリッジ4が切断し、中栓9が容器首部と密封係合した状態でキャップ本体3の容器首部10からの取り外しが可能となる。
中栓9の開封は既に説明した動作により行われ、所定量の内容物を取り出した後、キャップ本体を再び容器首部に被せ、閉栓方向にキャップ本体3を旋回させて、キャップによるリシールを行うことができる。
【0050】
使用済み容器の廃棄に際して、容器首部10に残留する周状バンド6の取り外しは、本発明の取り外し機構7(スプリット71)により指先で容易に行うことができる。即ち、スプリット71の外周側端部74が設けられている周状バンド6の部分の下部76(図11)に指をかけ、これを外方に引き出すことにより、外周側係合部72と内周側係合部73との係合が解除され、周状バンド6はスプリット71により切り離され、容器首部10からの取り外しが至って容易に行われる。
尚、スプリット71の内周側端部75に設けられているブリッジ4は開栓の際破断され、または弱化されているので、周状バンドの取り外しの障害とはならない。
また、スプリットは、上述したように、完全切断線として説明してきたが、破断可能な薄膜で覆われていてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、頂板部とスカート部とからなり且つスカート部内周壁には容器口部のネジと係合するネジを備えたキャップ本体と、スカート部の下端に破断可能なブリッジを介して連結され且つ内面側にボトル首部への係止部を有する周状バンドと、前記周状バンドに設けられたボトル首部からの取り外し機構とからなるプラスチックキャップにおいて、取り外し機構を、周状バンドの外周面から内周面に至るように全体として厚さ方向及び周方向に延びる上下のスプリットと、該スプリットの少なくとも一部で区画され且つ周方向に互いに係合可能な外周側及び内周側の係合部とから構成したことにより、周状バンドが厚み方向に完全に切り離されていながら、周方向への広がりや伸びが抑制されていると共に、この抑制手段が周状バンドの外面により覆われて保護されており、しかも使用後におけるボトル首部からの周状バンドの取り外しが指でも容易に出来るという利点が奏される。
また、本発明のキャップは、通常の型を用いて成形可能であり、しかも生産性も高く、外観特性、衛生的特性、巻締の確実性にも優れているという付加的な利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャップの一例の側面図である。
【図2】図1のキャップの下面図である。
【図3】図1のキャップの側断面図である。
【図4】図3における線L−Lにおける断面図である。
【図5】図4のキャップの周状バンドのスプリット形成部分の拡大図である。
【図6】図5のスプリット形成部分の厚さ方向断面位置を示す説明図である。
【図7】図6の線A−Aにおける垂直断面図である。
【図8】図6の線B−Bにおける垂直断面図である。
【図9】図6の線C−Cにおける垂直断面図である。
【図10】図6の線D−Dにおける垂直断面図である。
【図11】図6の線E−Eにおける垂直断面図である。
【図12】図1のキャップをその内部に保持される中栓と共に容器首部に締結した状態を示す拡大断面図である。

Claims (5)

  1. 頂板部とスカート部とからなり且つスカート部内周壁には容器口部のネジと係合するネジを備えたキャップ本体と、スカート部の下端に破断可能なブリッジを介して連結され且つ内面側にボトル首部への係止部を有する周状バンドと、前記周状バンドに設けられたボトル首部からの取り外し機構とからなるプラスチックキャップにおいて、
    前記取り外し機構が、周状バンドの外周面から内周面に至るように全体として厚さ方向及び周方向に延びかつ周状バンドの上面及び下面に達するように設けられた上下のスプリットと、該スプリットの少なくとも一部で区画され且つ周方向に互いに係合可能な外周側係合部及び内周側係合部とからなり、
    前記スプリットが、周状バンドの外周側から厚みの途中に達するように設けられた外周側スプリット、周状バンドの内周側から厚みの途中に達するように外周側スプリットから周方向に間隔をおいて設けられた内周側スプリット、外周側スプリットと内周側スプリットとの中間に外周側及び内周側に厚みを残してほぼ厚み方向に設けられた段差スプリット、段差スプリットの内周側端部と外周側スプリットの内周側端部とを結ぶ第一の周状スプリット及び段差スプリットの外周側端部と内周側スプリットの外周側端部とを結ぶ第二の周状スプリットからなり、
    第一の周状スプリットと段差スプリットとにより前記外周側係合部が形成されており、第二の周状スプリットと段差スプリットとにより前記内周側係合部が形成されている、
    ことを特徴とする分別廃棄可能なプラスチックキャップ。
  2. 外周側係合部及び内周側係合部が周状バンドの下面側から見てZ字型、逆Z字型、S字型或いは逆S字型の形状のスプリットで区画されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
  3. 外周側係合部の内周側先端部及び内周側係合部の外周側先端部が水平断面において90度以下の角度を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ。
  4. 前記スプリットの内周側端部にはブリッジが位置しており、スプリット内周側端部の少なくとも一方の側の周状バンドの部分が前記ブリッジを介してスカート部に連結していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のキャップ。
  5. キャップ本体のスカート部下端と周状バンドの上端とが環状面で分離されており且つ環状面よりも内側に位置するブリッジで連結されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のキャップ。
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