JP3955422B2 - 泥土固化処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、推進工事、シールド工事、基礎工事、浚渫工事等の建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
縦穴掘削機等による基礎工事、管推進機による推進工事、シールド工事、浚渫工事等の建設工事で発生する軟弱な泥土は、建設汚泥と呼ばれ、産業廃棄物として脱水処理した後、最終処分地に埋立て処分されている。この建設汚泥と呼ばれる泥土は、微粒子分を多く含む含水比の高い泥水状や塑性状の土砂であり、一般の建設残土とは異なり、有害物質の有無にかかわりなく産業廃棄物として取り扱われて、所定の最終処分地で処分するように定められている。しかしながら、最近は、産業廃棄物の最終処分地の立地難が深刻化し、こうしたことを背景にして建設副産物のリサイクルの促進が要請されている。こうした要請から、これまで利用価値のなかった泥土について、施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺で固化材を混合して改質処理を施すことにより、これを強度の高い一般建設残土と同等の土砂に改質して利用価値を創出し、改質処理現場から再利用先へと直接搬送して、路盤材、埋め戻し土、宅地造成土、土手の盛土等の種々の用途に再利用する技術の開発が進められている。
【0003】
泥土の発生現場やその近辺で、泥土の強度を高めるように改質処理を施す方法として、セメント系や石灰系の固化材を泥土に混合する方法が知られており、特に、石灰安定工法と称する工法が多用される。この石灰安定工法は、泥土すなわち高含水比の土砂に生石灰を添加して混合することにより、生石灰の発揮する消化吸収反応(水和反応)と発熱反応を利用して、泥土中の水分を生石灰中に吸収し熱で蒸発させて泥土の含水比を低下させる方法である。こうして含水比を低下させた土砂は、単に脱水処理されるだけではなく、生石灰中のカルシウムイオンによる土砂の凝集化作用やポゾラン反応と、この反応に関与しなかった残余の生石灰による炭酸化反応とにより、強度が上昇して固化するとともに、水の浸入するころで再利用しても、再汚泥化することがないように改質される。セメント系や石灰系の固化材を泥土に混合する方法は、全て、こうした原理により泥土を固化して改質する。
【0004】
こうした建設汚泥の改質処理に使用可能な装置として、従来、例えば特開昭64ー43399号公報及び特開昭64ー43400号公報に記載されているような装置が知られている。この出願の発明は、この種の従来の装置を改良しようとするものである。そこで、この種の従来の装置を建設汚泥の処理に適用したものを本明細書で従来の技術として位置付け、その技術内容を図5乃至図7に基づいて以下に説明する。図5は、従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図、図6は、図5の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図、図7は、図5及び図6の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。
【0005】
これらの図において、1は建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置、1’はこの泥土固化処理装置1の泥土及び固化材の搬入方式に若干の変更を加えた泥土固化処理装置1と同様の働きをする泥土固化処理装置、2aは泥土を投入するための泥土投入ホッパ、2bは固化材を投入するための固化材投入ホッパ、3aは泥土投入ホッパ2aに投入された泥土を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための泥土搬入用スクリュコンベア、3bは固化材投入ホッパ2bに投入された固化材を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための固化材搬入用スクリュコンベア、4は回転ドラム10を回転自在に支持するためのローラ、5はこのローラ4を軸着して基台6に回転自在に取付けるためのブラケット、6は泥土固化処理装置1を設置するための基台である。
【0006】
泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bは、それぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bと共に基台6で支持されるようにして回転ドラム10の後端側に設置されている。泥土搬入用スクリュコンベア3aは、図5の泥土固化処理装置1及び図6の泥土固化処理装置1’の何れも、前端部を回転ドラム10後端部の固定板を貫通されて回転ドラム10内に開口させている。一方、固化材搬入用スクリュコンベア3bは、泥土固化処理装置1におては前端部を泥土搬入用スクリュコンベア3aの後端部に連結することにより同スクリュコンベア3aを通じて固化材を回転ドラム10内に搬入するようにしているのに対し、泥土固化処理装置1’では前端部を回転ドラム10後端部の固定板を貫通させて回転ドラム10内に開口させることにより固化材を回転ドラム10内に直接搬入するようにしている。図5の泥土固化処理装置1と図6の泥土固化処理装置1’とは、この点を除いて構造上の差異はない。
【0007】
7aは長尺の矩形板状をなし回転ドラム10の内周面後部から前方に長手方向に向けて取付けられた後方の掻き上げ翼、7bはその前方に取付けられ後方の掻き上げ翼7aよりも短い同様の前方の掻き上げ翼、8は回転ドラム10の内周面の後方の掻き上げ翼7a寄りに取付けられ前方に向かって下方に傾斜した矩形板状の搬送翼、9は泥土を固化材で固化して生成された固化泥土を回転ドラム10の前端側から外部に搬出するための、土砂排出口9cを有する固化泥土搬出用スクリュコンベア、9bはこのスクリュコンベア9を回転駆動するための回転駆動装置、10は回転駆動することにより泥土を固化材と混合して固化する回転ドラムであり、回転ドラム10に設けたギアと原動機と原動機の回転をギアに伝達するピニオンとからなる図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっている。なお、図5及び図6には、泥土を符号MD、固化材を符号SDで示している。
【0008】
後方の掻き上げ翼7a及び前方の掻き上げ翼7bは、回転ドラム10の周方向に等間隔で放射状に多数取付けられている。後方の掻き上げ翼7aは、泥土搬入用スクリュコンベア3aや固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材を、回転ドラム10の回転に伴って掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させる作用をする。回転ドラム10を回転駆動して泥土や固化材をこの後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させる動作を繰り返すことにより、泥土を固化材と混合して固化させることができる。前方の掻き上げ翼7bは、こうして生成された固化泥土を、後方の掻き上げ翼7aと同様、掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させて固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに送り込む作用をする。搬送翼8は、回転ドラム10の内周面に前方に向かって下方に傾斜するようにその周方向に等間隔で取付けられているため、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材をとらえて漸次前方に移動させることができる。
【0009】
従来の泥土固化処理装置1,1’は、こうした構造を備えているので、泥土及び固化材をそれぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bに投入して、図示していない回転駆動装置により回転ドラム10を回転駆動すると、泥土及び固化材がそれぞれ泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内の後部に搬入される。次いで、こうして回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aの働きにより上昇、落下し、落下時に回転ドラム10の底面部や他の泥土の塊と衝突して破砕されるとともに回転ドラム10の底面部に飛散する。また、泥土や固化材は、落下する過程において、前方に下方傾斜した搬送翼8でとらえられ漸次前方に移動する。
【0010】
こうして回転ドラム10内で前方に移動しながら飛散した泥土と固化材は、後方の掻き上げ翼7aでかき集められて合体し、その過程で混合される。泥土と固化材が以上のような上昇−落下−破砕−飛散−合体の動作を反復して、細分化されながら離合集散を繰り返すことにより、泥土は、固化材と漸次混合して固化する。こうして生成された固化泥土は、今度は、前方の掻き上げ翼7bの働きより上昇、落下の動作を繰り返し、落下時に固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに逐次取り込まれて行き、固化泥土搬出用スクリュコンベア9で搬出されて土砂排出口9cから排出される。
【0011】
従来の技術の装置では、以上の過程により泥土を固化処理するが、その過程で泥土を固化するために同装置が果たしている基本的な機能を分析すると、次のとおりである。
【0012】
イ)泥土や固化材を、回転ドラム10を回転して後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させることにより破砕する。
【0013】
ロ)この破砕の際に回転ドラム10内で飛散した泥土と固化材を、回転ドラム10を回転して後方の掻き上げ翼7aでかき集める過程で混合する。
【0014】
ハ)閉じられて保温された回転ドラム10の保温環境内に、固化材と混合した泥土を一定時間滞留させることにより固化材の消化吸収反応を促進させる。
【0015】
泥土の固化処理を迅速に達成するには、固化材を泥土中に均一に点在させるとともに、固化材の消化吸収反応を行う周辺空間の温度を高くするのが望ましく、また、そうすることにより、良質の固化泥土を得ることができる。そして、固化材を泥土中に均一に点在させるためには、イ)の泥土等の破砕機能及びロ)の泥土と固化材の混合機能を高めることが必要であり、固化材の消化吸収反応を行う周辺空間の温度を高くするためには、回転ドラム10のような密閉された空間内で泥土と固化材を混合して滞留させることにより、ハ)の機能を確保できるようにすることが必要である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の技術は、前述したように、回転ドラム10内の密閉された空間内で泥土と固化材を混合して消化吸収反応を行うようにするとともに、泥土と固化材を落下する過程で搬送翼8でとらえられ漸次前方に移動するようにしていて滞留させるようにしているため、固化材の消化吸収反応を促進させるというハ)の機能が良好に発揮できるという点では望ましいものであった。しかしながら、次に示す理由により、イ)の泥土等の破砕機能とロ)の泥土と固化材の混合機能の点では難があり、品質の優れた固化泥土を得にくいとともに泥土の固化処理速度増加させることが困難であって大量処理に好適なものではない。
【0017】
イ)の泥土等の破砕機能について
従来の技術は、泥土や固化材を、回転ドラム内で上昇させて落下させることにより破砕しようとするものであって、泥土や固化材の破砕は、泥土の自由落下に依存している。そのため、良質の固化泥土が得られるように泥土を十分に破砕して固化材と均一に混合できるようにするには、泥土の落下開始地点から落下到達地点までの距離(図7における距離H)を十分に大きくとること、換言すると回転ドラム10の内径を十分大きくすることが必要になる。しかるに、固化処理装置は、建設工事の施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺の空きスペースに設置して泥土の固化処理が行えるように製作されるものであって、可能な限り小型化する必要があるため、回転ドラム10の内径を十分大きくするにしても自ずから限度がある。こうしたことから、従来の技術では、泥土を十分に破砕することが困難であって、品質の優れた固化泥土は得にくい。
【0018】
ロ)の泥土と固化材の混合機能について
従来の技術は、前述したように、泥土と固化材を自由落下により破砕して回転ドラム10の底面部に飛散させ、この飛散した泥土と固化材を後方の掻き上げ翼でかき集めて合体する過程で混合するようにしたものであり、積極的な撹拌混合手段は備えていない。したがって、従来の技術により泥土と固化材の混合を促進するには、回転ドラム10の内径を十分大きくして泥土等の破砕や飛散を活発化するだけではなく、泥土と固化材について上昇−落下−破砕−飛散−合体の動作を何度も繰り返す必要がある。そのため、泥土と固化材の混合効率が悪く、泥土の固化処理速度増加させることが困難である。建設工事で発生する建設汚泥は、工場の施設で発生する汚泥とは異なり膨大な量に及ぶことが多く、建設汚泥の固化処理装置である泥土固化処理装置には、膨大な量の泥土を迅速に処理できるようにすることが要求されるが、従来の技術は、こうした泥土の大量処理には必ずしも好適なものでない。
【0019】
本発明は、こうした従来の技術の問題点を解消してようとするものであって、その技術課題は、従来の技術よりも品質の優れた固化泥土が得られ大量処理に好適な泥土固化処理装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを掻き上げ部材で上昇、落下させて破砕、混合し泥土を固化するとともに落下させた固化泥土を取り込んで搬出する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、
「回転駆動される回転軸の後段、中段及び前段のうちの少なくとも後段及び中段に前方に向かって下方に傾斜し独立した多数の撹拌羽根を固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、この多軸撹拌機を後段及び前段の個所でそれぞれ回転ドラムの一端側及び他端側から突出させるとともに、泥土及び固化材の取り込み口を有するケーシングを多軸撹拌機の後段に設けて、泥土と固化材を撹拌混合して前処理しながら回転ドラム内に搬入できるように構成し、多軸撹拌機の中段を回転ドラム内に配置し、さらに、固化泥土を搬出し得る土砂搬出用の羽根を回転軸の前段に設けるとともに、回転ドラム内で落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材をその土砂搬出用の羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土を土砂搬出用の羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように」構成した。
【0021】
本発明は、このように構成したので、多軸撹拌機及び回転ドラムを回転駆動して、ケーシングの泥土及び固化材の取り込み口にそれぞれ泥土及び固化材を供給すると、多軸撹拌機の後段では、泥土と固化材を撹拌羽根により巻き込んで強力に剪断破砕しながら積極的に撹拌混合するとともに、回転ドラムの一端側へ搬送して回転ドラム内に搬入する。泥土と固化材が回転ドラム内に搬入されると、回転ドラムの回転により泥土と固化材とを上昇、落下させ、これら落下した泥土と固化材は、多軸撹拌機の中段で捕捉される。そうすると、前段階で十分に破砕混合されなかった泥土は、各撹拌機の撹拌羽根の間に固化材と共に巻き込まれて、撹拌羽根の回転により、再度、剪断破砕されて更に細かく砕かれながら固化材と一層均一に混ぜ合わされる。また、回転ドラムの回転により上昇、落下させた泥土と固化材は、多軸撹拌機の撹拌羽根や回転ドラムに衝突することによっても破砕される。こうして破砕された泥土と固化材や撹拌羽根により混ぜ合わされた泥土と固化材は、回転ドラムの下部に飛散するが、これらは、掻き上げ部材でかき集められて合体し、この過程でも混合される。泥土と固化材は、このように二重の手段により破砕混合され、以後、回転ドラムの回転により上昇、落下を繰り返して、同様の作用の反復により十分に破砕混合される。
【0022】
この間、泥土と固化材の混合物は、回転ドラム内の閉じられた保温空間内に一定時間滞留することとなるので、泥土と固化材の消化吸収反応を促進させるという従来の技術の利点をそのまま保持することができる。また、泥土と固化材は、特に、前方に向かって下方に傾斜した撹拌羽根で撹拌混合するようにしているので、その消化吸収反応を進める過程で撹拌羽根により捕捉されて漸次前方に移動する。泥土は、こうして回転ドラム内で固化材と十分に混合されて固化し、良質の固化泥土に改質されるが、この固化泥土は、土砂取り込み部材に落下して取り込まれる。多軸撹拌機の後段では、この土砂取り込み部材に取り込まれた固化泥土を土砂取り込み部材に載置した状態で土砂搬出用の羽根で前方に搬送し、回転ドラムの他端側から外部に搬出する。
【0023】
以上のように、本発明では、泥土と固化材を、特に、回転ドラム内に搬入する前段階で多軸撹拌機の後段により積極的に撹拌混合するようにしていて、泥土と固化材の混合は、この段階でかなりの程度進展しているため、回転ドラム内ではこれらの混合を補足的に行えば足りる。こうした多軸撹拌機の後段での処理に加え、回転ドラム内では、泥土と固化材を多軸撹拌機の中段で強力に破砕して積極的に撹拌混合し、更には、回転ドラムの回転によっても破砕混合するようにしていて二重の手段で破砕混合するようにしているため、品質の優れた固化泥土が得られることに加えて泥土の固化処理の時間を短縮することができ、その分、処理量を増加させることができて泥土の大量処理が適切に行える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図4、図8及び図9に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。まず、図1乃至図4を用いて本発明の基本的な実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図、図2は、図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図、図3は、図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図、図4は、図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図である。これら各図において図5乃至図7と同一符号を付けた部分は、これらの図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0025】
本発明の具体化例の泥土固化処理装置11は、従来の技術と同様、建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させ内部で破砕、混合して泥土を固化するとともに、前方の掻き上げ翼7bで上昇、落下させた固化泥土を取り込んで搬出する回転ドラム10を備えたものである。この回転ドラム10には、後方の掻き上げ翼7aと前方の掻き上げ翼7bが従来の技術と同様の態様で多数取付けられていることに加え、搬送翼8が従来の技術と同様の態様で多数取付けられているが、その取付数は従来の技術よりも少ない。また、回転ドラム10は、基台6にブラケット5を介して回転自在に取付けられたローラ4により回転自在に支持されていて、図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっており、この点でも、従来の技術と変わらない。
【0026】
図1乃至図4に基づきこの泥土固化処理装置11について説明する。この泥土固化処理装置11は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aや前方の掻き上げ翼7bにより泥土及び固化材や固化泥土を上昇、落下させる回転ドラム10に、泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得る多軸撹拌機18を両端部を突出させて設置している。この多軸撹拌機18は、泥土と固化材の取り込み側から固化泥土の排出側に向けて、後段、中段及び前段の領域に大別することができる。これら各領域中、多軸撹拌機18の後段では、泥土と固化材を前処理的に破砕混合しながら回転ドラム10内に搬入する機能を分担し、中段では、泥土と固化材を更に破砕混合しながら泥土を固化する機能を分担し、前段では、この固化した泥土を回転ドラム10外に搬出する機能を分担する。そこで、まず、この点の技術内容について詳述する。
【0027】
18は泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように撹拌機19を複数個並列させて構成した多軸撹拌機、19aは回転駆動装置19bにより回転駆動される撹拌機19の回転軸、19dはこの回転軸19aに非連続的に設けられて固着された撹拌羽根、19eは多軸撹拌機18に設けられて多軸撹拌機18の固化泥土の搬出側すなわち多軸撹拌機18の前段を収容するケーシング、19gは多軸撹拌機18の泥土の土砂搬入側すなわち多軸撹拌機18の後段を収容するケーシングである。
【0028】
回転軸19aは、後端部を前部固定板1aから突出させて、泥土投入ホッパ2a後部に固定した軸受19cで支承するとともに、前端部を前部固定板1bから突出させて、ケーシング19e内に固定した回転駆動装置19bに連結するように配設している。すなわち、回転軸19aは、泥土投入ホッパ2aとケーシングe内の回転駆動装置19bとで両端を支承するようにしていて、その支承部分が多軸撹拌機18による泥土や固化泥土の搬入や搬出の障害にならないように工夫している。なお、後部固定板1a及び前部固定板1bは、固定的に設置された円盤状の板体で、回転ドラム10の後側壁及び前側壁に設けた円孔にその回転を妨げないように嵌入されおり、この円孔の内周面と固定板1a、1bの外周面との間は、相対回転が行えるようにシールされている。
【0029】
撹拌羽根19dは、所定間隔を置いて回転軸19aに多数固着され、ここに示す例では、回転軸19aの後段、中段及び前段にわたって固着している。これらの撹拌羽根19dは、パドル羽根と称するものであって、スクリュ羽根とは異なり、それぞれが独立している。各撹拌羽根19dは、ここに示す例では、二つの扇形体を外周方向に向けて末広がり状をなすように背中合せに合体させたような形状を有している。多数の撹拌羽根19dは、図1に示すように、何れも前方に向かって下方に傾斜するように設けられ、互いに平行になるように配列されている。多数の撹拌羽根19dは、このように前方に向かって下方に傾斜させたことにより、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材が各撹拌羽根19dを通過する都度漸次前方に移動させることができて搬送翼8と同等の機能を果たすことができる。それゆえ、回転ドラム10に搬送翼8を設けることは、従来の技術とは異なり、必須不可欠の要件ではない。
【0030】
撹拌機19は、このように回転軸19aに独立した多数の撹拌羽根19dを固着して構成される。多軸撹拌機18は、こうした撹拌機19を回転軸19aが互いに平行になるように複数台並列させて構成し、ここに示す例では撹拌機19を3台ほど並べて構成している。その場合、各撹拌機19の多数の撹拌羽根19dが隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dの間に入り込むように配置する。すなわち、各撹拌機19の撹拌羽根19dが隣接するもの同士で半径方向においてラップするようにするとともに、各撹拌機19の撹拌羽根19dを隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dと回転軸方向に位相をずらして両者が干渉しないように配列している。
【0031】
各撹拌機19の回転方向については、図2に示すように、隣接する左方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、落下した泥土を上方で挾み込み得るようにそれぞれR1 ,R2 の方向に回転させて反対方向に同一の回転数で回転させるようにしており、泥土を挟みで切るようにして、隣接する左右の撹拌羽根19dにより剪断破砕することができる。また、隣接する右方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、それぞれR2 ,R3 の方向に回転させて同じ方向に同一の回転数で回転させるようにしており、落下した泥土を左の撹拌羽根19dの右側で押し上げるとともに右の撹拌羽根19dの左側で押さえ込むようにして剪断破砕することができる。したがって、隣接する一対の撹拌機19の撹拌羽根19dを同一方向及び反対方向の何れの方向に回転させるときでも、隣接する左右の撹拌羽根19dにより泥土を巻き込み、剪断破砕することができる。多軸撹拌機18を構成する場合、図には撹拌機19を3台並べて構成した例を示しているが、2台以上所望の台数並べて構成することができ、その台数は、回転ドラム10の内径や撹拌羽根19dの大きさ等を考慮しながら設計上適宜選択すればよい。
【0032】
多軸撹拌機18は、その後段及び前段の個所でそれぞれ後部固定板1a及び前部固定板1bを貫通させて回転ドラム10の後端側及び前端側から突出させるようにして設置するとともに、各撹拌機19の回転軸19aを同一水平面内に配置するようにして回転ドラム10の略中央部に水平に設置する。こうして回転ドラム10に設置した多軸撹拌機18において、後段、すなわち多軸撹拌機18の後端部から回転ドラム10の後端部に至る区域は、泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bからそれぞれ供給された泥土及び固化材を破砕して撹拌混合することにより前処理しながら回転ドラム10内に搬入する働きをし、この後段に続く中段、すなわち後方の掻き上げ翼7aや搬送翼8を設けた区域にほぼ対応する図1のL1の区域は、泥土と固化材を更に破砕、撹拌混合するとともに泥土を固化して本処理する働きをする。また、この中段に続く前段、すなわち前方の掻き上げ翼7bを設けた区域にほぼ対応する図1のL2の区域及びその前方区域は、固化泥土を取り込んで前方に搬送し、回転ドラム10の他端側から外部に搬出する働きをする。
【0033】
多軸撹拌機18の各段をこうした働きをするように構成するため、多軸撹拌機18の後段には、泥土投入ホッパ2aから泥土を取り込むための泥土取り込み口19h及び固化材投入ホッパ2bから固化材を取り込むための固化材取り込み口19iを上側に設け前端が回転ドラム10内に連通するケーシング19gを、多軸撹拌機18を覆うように設ける。一方、多軸撹拌機18の中段には、ケーシング19gから回転ドラム10内に排出された泥土と固化材を多軸撹拌機18で更に破砕、撹拌混合し、更には、従来の技術と同様に回転ドラム10の回転によっても破砕混合できるようにするため、ケーシングを設けない。
【0034】
また、多軸撹拌機18の前段には、回転ドラム10内で落下した固化泥土を取り込むための土砂取り込み部19fを形成し土砂排出口19jを付設したケーシング19eを設ける。このケーシング19eは、落下した固化泥土を取り込むL2の区域において、図1及び図3に示すようにケーシング19eの上方を開放することにより土砂取り込み部19fを形成して、掻き上げ翼7bで掻き上げられて落下した固化泥土をケーシング19eの底部内に取り込めるようにしており、ケーシング19eの底部が落下した固化泥土を取り込むための土砂取り込み部材をなしている。また、L2の区域の前方の区域、すなわちケーシング19e内の固化泥土を回転ドラム10の外側に導出する区域おいては、図1及び図4に示すように、下側に土砂排出口19jを設けたケーシング19eを、多軸撹拌機18を覆うようにして通常の態様で設けている。ここに示す例では、ケーシング19eの底部を土砂取り込み部材に兼用しているが、土砂取り込み部材は、落下した固化泥土を取り込めるような形状の部材であって撹拌羽根19dの下端に沿わせるように設けたものであればよく、必ずしもケーシング19eで兼用して構成する必要はない。
【0035】
ケーシング19e及びケーシング19gは、支持部材を介して基台6に支持されている。また、後段側のケーシング19gには、泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iが前方に向けて順次形成されており、これら泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iには、それぞれ泥土投入ホッパ2aの出口及び固化材投入ホッパ2bの固化材排出路20が接続されている。泥土投入ホッパ2aには、建設工事現場から図示しないベルトコンベアにより搬送される泥土が送り込まれ、又は建設工事現場で油圧ショベルのバケットにより掬い上げられた泥土が直接投入される。また、固化材投入ホッパ2bには、固化材が図示しない搬送機により供給されるようになっている。
【0036】
前記の固化材排出路20には、固化材切り出し装置21を設け、これにより、固化材投入ホッパ2bの固化材を、固化材切り出し装置21を経由して固化材取り込み口19iへコンスタントに投入できるようにしている。この固化材切り出し装置21は、固化材を固化材排出路20から取り込み固化材排出路20へ排出する出入り口が上下に設けられ円弧状の内周面を有するケーシング21aと、図示しない駆動装置で回転駆動されるロータ21bと、このロータ21bに、ケーシング21aの内周面に密接するように放射状に設けられ、ケーシング21aと協働して等容積の多数の空間を区画し得る多数の切り出し羽根21cとで構成されている。
【0037】
したがって、ロータ21bを図1の矢印Sの方向に回転駆動すると、固化材排出路20からケーシング21aの入口に取り込まれた固化材は、切り出し羽根21cにより一定量切り出されて、この切り出し羽根21cとケーシング21aとで区画された多数の空間に逐次充填される。次いで、この固化材は、切り出し羽根21cが回転することによりケーシング21aの出口から排出されてケーシング19gの固化材取り込み口19iに定量供給される。泥土を固化材と混合して等質の固化泥土を生成するには、泥土への固化材の混合比率を一定に保つ必要があるが、回転ドラム10内への泥土の供給量は、多軸撹拌機18の回転数が変動したり泥土の性状が著しく変化したりしない限り定量に保てるため、こうした固化材切り出し装置21を設けることにより、泥土と固化材の混合比率を一定に保って等質の固化泥土を生成することができる。
【0038】
本泥土固化処理装置11では、固化材切り出し装置21を設けたことに関連して、回転ドラム10内への泥土の供給量を調節できるようにするために回転駆動装置19bの回転数を可変制御し得るように構成するとともに、固化材取り込み口19iへの固化材の供給量を調節できるようにするためにロータ21bの駆動装置の回転数を可変制御し得るように構成している。したがって、建設現場での泥土の発生量に応じて回転駆動装置19bの回転数を制御して回転ドラム10内への泥土の供給量を適宜調節することができるとともに、これに関連して、その泥土の供給量に応じてロータ21bの駆動装置の回転数を制御することにより、泥土の供給量に見合った固化材を定量供給して泥土と固化材の混合比率を適切な値になるようにすることができる。また、固化材を定量供給する固化材切り出し装置21についてロータ21bの駆動装置の回転数を可変制御できるようにしたため、回転ドラム10内への泥土の供給量を固定した場合であっても、建設工事現場によって泥土の含水比等の泥土の性状が変化したときに、その泥土の性状の変化に応じて固化材の供給量を調節することにより、泥土への固化材の混合比率が適切な値になるように対応することができる。
【0039】
以上の構造を備えた泥土固化処理装置11において泥土を固化処理するため、固化材切り出し装置21と多軸撹拌機18と回転ドラム10を回転駆動すると、泥土及び固化材は、それぞれ、泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bから後段側のケーシング19gの泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iに供給される。そうすると、多軸撹拌機18の後段では、泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで強力に剪断破砕しながら積極的に撹拌混合するとともに前方に搬送して後部固定板1a側から回転ドラム10内に送り込む。その場合、泥土を多軸撹拌機18の回転駆動装置19bの回転数に応じて所定の量供給する一方、固化材切り出し装置21の働きにより、固化材をロータ21bの駆動装置の回転数に応じて所定の量供給するので、回転駆動装置19b及びロータ21bの駆動装置の各回転数を適切な値に設定すれば、泥土と固化材とは、供給量が変動することなく適切な比率で回転ドラム10内に定量供給される。
【0040】
こうして泥土と固化材が回転ドラム10内に搬入されると、回転ドラム10の回転により後方の掻き上げ翼7aで泥土と固化材とを上昇、落下させ、これら落下した泥土と固化材は、多軸撹拌機18の中段で捕捉される。そうすると、前段階で十分には破砕されず固化材と均一に混合されなかった泥土は、各撹拌機18の撹拌羽根19dの間に固化材と共に巻き込まれて、撹拌羽根19dの回転により、再度、剪断破砕されて更に細かく砕かれながら固化材と一層均一に混ぜ合わされる。また、回転ドラム10の回転により上昇、落下させた泥土と固化材は、多軸撹拌機18の撹拌羽根19dや回転ドラム10の下部に衝突することによっても破砕される。こうして破砕された泥土及び固化材と撹拌羽根19dにより混ぜ合わされた泥土及び固化材とは、回転ドラム10の下部に飛散するが、これらは、後方の掻き上げ翼7aでかき集められて合体し、この過程でも混合される。泥土と固化材は、このように二重の手段により破砕混合され、以後、回転ドラム10の回転により上昇、落下を繰り返して、同様の作用の反復により十分に破砕混合される。
【0041】
この間、泥土と固化材の混合物は、回転ドラム10内の閉じられた保温空間内に一定時間滞留することとなるので、泥土と固化材の消化吸収反応を促進させるという従来の技術の利点をそのまま保持することができる。また、泥土と固化材は、特に、前方に向かって下方に傾斜した撹拌羽根19dで撹拌混合するようにしているので、その消化吸収反応を進める過程で撹拌羽根19dにより捕捉されて漸次前方へ移動する。また、その前方への移動は、搬送翼8の傾斜によっても助勢される。泥土は、こうして回転ドラム10内で固化材と十分に混合されて固化し、良質の固化泥土に改質されるが、この固化泥土は、図1のL2 の区域において、前方の掻き上げ翼7bにより掻き上げられてケーシング19eの土砂取り込み部19fからケーシング19eの底部に落下し、回転ドラム10の回転によりこうした動作を繰り返してケーシング19e内に漸次取り込まれる。多軸撹拌機18の前段では、こうしてケーシング19e内に取り込まれた固化泥土を、ケーシング19eの底部に載置した状態で撹拌羽根19dにより前方に搬送して前部固定板1b側から回転ドラム10外に搬出し、排出口19jから排出する。
【0042】
以上のように、本泥土固化処理装置11では、泥土と固化材を、特に、回転ドラム10内に搬入する前段階において、多軸撹拌機18の後段で積極的に撹拌混合するようにしていて、泥土と固化材の混合は、この段階でかなりの程度進展しているため、回転ドラム10内では、これらの混合を補足的に行えば足りる。こうした多軸撹拌機18の後段での処理に加え、回転ドラム10内では、泥土と固化材を多軸撹拌機18の中段で強力に破砕して積極的に撹拌混合し、更には、掻き上げ翼7aを備えた回転ドラム10の回転によっても破砕混合するようにしていて二重の手段で破砕混合するようにしているため、品質の優れた固化泥土が生成されることに加えて泥土の固化処理の時間を短縮することができ、その分、処理量を増加させることができて、泥土の大量処理が適切に行える。
【0043】
また、回転ドラム10の径を従来の技術のようには大きくしなくても、回転ドラム10と多軸撹拌機18とで協働して、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができ、そのため、泥土の発生現場やその近辺の狭隘な空きスペースに無理なく設置することができて、こうした場所で多用される泥土固化処理装置にとって好適なものとなる。さらに、泥土を回転ドラム10内に搬入する前の段階で多軸撹拌機18の後段により予め破砕するようにしているので、従来の技術では固化処理できなかった大塊の土砂も固化材と十分に混合することができて、処理可能な泥土の性状の範囲を拡大することができる。この泥土固化処理装置11では、こうした従来の技術にはみられない優れた効果を発揮することに加え、泥土と固化材を破砕混合するための撹拌羽根19dを有する多軸撹拌機18に、格別の変更を加えることなく、その前段にケーシング19eを付設するだけで、固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置を製作する際に、部品点数を少なくすることができるとともにその構造及び組立工程を簡素化することができる。
【0044】
ここに示す例では、各回転軸19aの後段に設ける土砂搬出用の羽根に、各羽根が独立しているパドル羽根としての撹拌羽根19dを用いているが、ケーシング19e内の固化泥土を前方に搬送できるように構成された連続したスクリュ羽根を用いて各回転軸19aの後段に固着してもよい。その場合、当然のことながら、スクリュ羽根は、隣接するもの同士が互いに干渉しないようにオーバーラップして配置するとともに、各回転軸19aは、各スクリュ羽根が互いに干渉しないように、同一方向に同一回転数で回転駆動できるようにする。土砂搬出用の羽根にこうしたスクリュ羽根を用いると、固化泥土を外部に連続的に搬出できるとともにその固化泥土の排出力を増加することができて、固化泥土を外部に効率よく搬出することができる。各回転軸19aの後段に設ける羽根は、以上のようなものだけに限定されず、要は、固化泥土を前方に搬送できるように構成された羽根であればよい。
【0045】
次に、以上述べた泥土固化処理装置11に対して泥土の固化処理を一層効率的に実施できる手段を付加した例を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、図1の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図、図9は、図8の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。両図において図1乃至図7と同一符号をつけた部分は、これらの図と同等の部分を表わすので、詳述しない。
【0046】
図8及び図9に示す泥土固化処理装置11’は、多軸撹拌機18を回転ドラム10に両端部を突出させて設置して、多軸撹拌機18の後段で泥土と固化材を前処理的に破砕混合しながら回転ドラム10内に搬入する機能を分担し、中段で泥土と固化材を更に破砕混合しながら泥土を固化する機能を分担し、前段で固化した泥土を回転ドラム10外に搬出する機能を分担するようにしていて、基本的な構造は図1乃至図4の泥土固化処理装置11と変わらない。
【0047】
図8及び図9の泥土固化処理装置11’は、こうした泥土固化処理装置11において、掻き上げ翼7a,7bで上昇、落下させた泥土等の落下物を多軸撹拌機18上に導くシュート30を設けたものである。このシュート30は、回転ドラム10の全長(L1 +L2 )に略等しい長さの一対の長尺のガイド板30a,30bを多軸撹拌機18の左右の両脇に沿って上方に末広がり状に傾斜するように配置して、両端部を固定板1a,1bに取り付けることにより、多軸撹拌機18の幅W2 よりも間口W1 の広い落下物捕捉用の開口を形成するように構成している。その場合、各ガイド板30a,30bは、回転時の各撹拌羽根19dに接触しないように撹拌羽根19dの外径φDpのやや外側に配置するとともに、回転時の回転ドラムの掻き上げ翼7a,7bに接触しないように掻き上げ翼7a,7bの内径φDdのやや内側に配置している。
【0048】
本泥土固化処理装置11’は、こうした構造を有するシュート30を設けているので、後方の掻き上げ翼7aで掻き上げられて上昇した泥土と固化材は、多軸撹拌機18の中段のL1 の区域に落下するときに、間口W1 の広い開口を有するシュート30により、回転ドラム10内の左右の広い領域にわたって捕捉されて多軸撹拌機18上にその両脇から逃さないように導かれる。同様にして、前方の掻き上げ翼7bで掻き上げられて上昇した固化泥土は、多軸撹拌機18の前段のL2 の区域に落下するときに、シュート30で捕捉されて多軸撹拌機18上にその両脇から逃さないように導かれる。その結果、撹拌羽根19dにる泥土と固化材の破砕量や撹拌混合量さらには固化泥土の搬送量を増加することができて泥土の固化処理を一層効率的に行うことができる。ここでは、シュート30を回転ドラム10の全長(L1 +L2 )にわたって設けた例を示したが、中段のL1 の区域にだけ設けても泥土の固化処理効率の向上に資する。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決する手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明によれば、従来の技術よりも品質の優れた固化泥土が生成され大量処理に好適な泥土固化処理装置が得られる。また、回転ドラムの径を従来の技術のようには大きくしなくても、回転ドラムと多軸撹拌機とで協働して、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができ、そのため、泥土の発生現場やその近辺の狭隘な空きスペースに無理なく設置することができて、こうした場所で多用される泥土固化処理装置にとって好適なものとなる。さらに、泥土を回転ドラム内に搬入する前の段階で多軸撹拌機の後段により事前に破砕するようにするので、従来の技術では固化処理できなかった大塊の土砂も固化材と十分に混合することができて、処理可能な泥土の性状の範囲を拡大することができる。
【0050】
本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、多軸撹拌機に格別の変更を加えることなく、その前段にケーシングを付設するだけで固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置を製作する際に、部品点数を少なくすることができるとともにその構造及び組立工程を簡素化することができる。本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、固化材切り出し装置により固化材を定量供給することができて、泥土と固化材の混合比率を一定に保って等質の固化泥土を生成することができる。本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項4に記載のように具体化すれば、掻き上げ部材で上昇、落下させた泥土等の落下物を多軸撹拌機の両脇から逃すことなく、間口の広い開口を有するシュートで多軸撹拌機上に導くことができるため、泥土の固化処理を一層効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図である。
【図2】図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図である。
【図3】図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図である。
【図4】図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図である。
【図5】従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図である。
【図6】図5の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図である。
【図7】図5及び図6の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。
【図8】図1の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図である。
【図9】図8の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。
【符号の説明】
1a,1b 固定板
2a 泥土投入ホッパ
2b 固化材投入ホッパ
7a,7b 掻き上げ翼
8 搬送翼
10 回転ドラム
11,11’ 泥土固化処理装置
18 多軸撹拌機
19 撹拌機
19a 回転軸
19b 回転駆動装置
19c 軸受
19d 撹拌羽根
19e ケーシング
19f 土砂取り込み部
19g ケーシング
19h 泥土取り込み口
19i 固化材取り込み口
19j 土砂排出口
20 固化材排出路
21 固化材切り出し装置
21a ケーシング
21b ロータ
21c 切り出し羽根
30 シュート
MD 泥土
SD 固化材
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、推進工事、シールド工事、基礎工事、浚渫工事等の建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
縦穴掘削機等による基礎工事、管推進機による推進工事、シールド工事、浚渫工事等の建設工事で発生する軟弱な泥土は、建設汚泥と呼ばれ、産業廃棄物として脱水処理した後、最終処分地に埋立て処分されている。この建設汚泥と呼ばれる泥土は、微粒子分を多く含む含水比の高い泥水状や塑性状の土砂であり、一般の建設残土とは異なり、有害物質の有無にかかわりなく産業廃棄物として取り扱われて、所定の最終処分地で処分するように定められている。しかしながら、最近は、産業廃棄物の最終処分地の立地難が深刻化し、こうしたことを背景にして建設副産物のリサイクルの促進が要請されている。こうした要請から、これまで利用価値のなかった泥土について、施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺で固化材を混合して改質処理を施すことにより、これを強度の高い一般建設残土と同等の土砂に改質して利用価値を創出し、改質処理現場から再利用先へと直接搬送して、路盤材、埋め戻し土、宅地造成土、土手の盛土等の種々の用途に再利用する技術の開発が進められている。
【0003】
泥土の発生現場やその近辺で、泥土の強度を高めるように改質処理を施す方法として、セメント系や石灰系の固化材を泥土に混合する方法が知られており、特に、石灰安定工法と称する工法が多用される。この石灰安定工法は、泥土すなわち高含水比の土砂に生石灰を添加して混合することにより、生石灰の発揮する消化吸収反応(水和反応)と発熱反応を利用して、泥土中の水分を生石灰中に吸収し熱で蒸発させて泥土の含水比を低下させる方法である。こうして含水比を低下させた土砂は、単に脱水処理されるだけではなく、生石灰中のカルシウムイオンによる土砂の凝集化作用やポゾラン反応と、この反応に関与しなかった残余の生石灰による炭酸化反応とにより、強度が上昇して固化するとともに、水の浸入するころで再利用しても、再汚泥化することがないように改質される。セメント系や石灰系の固化材を泥土に混合する方法は、全て、こうした原理により泥土を固化して改質する。
【0004】
こうした建設汚泥の改質処理に使用可能な装置として、従来、例えば特開昭64ー43399号公報及び特開昭64ー43400号公報に記載されているような装置が知られている。この出願の発明は、この種の従来の装置を改良しようとするものである。そこで、この種の従来の装置を建設汚泥の処理に適用したものを本明細書で従来の技術として位置付け、その技術内容を図5乃至図7に基づいて以下に説明する。図5は、従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図、図6は、図5の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図、図7は、図5及び図6の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。
【0005】
これらの図において、1は建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置、1’はこの泥土固化処理装置1の泥土及び固化材の搬入方式に若干の変更を加えた泥土固化処理装置1と同様の働きをする泥土固化処理装置、2aは泥土を投入するための泥土投入ホッパ、2bは固化材を投入するための固化材投入ホッパ、3aは泥土投入ホッパ2aに投入された泥土を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための泥土搬入用スクリュコンベア、3bは固化材投入ホッパ2bに投入された固化材を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための固化材搬入用スクリュコンベア、4は回転ドラム10を回転自在に支持するためのローラ、5はこのローラ4を軸着して基台6に回転自在に取付けるためのブラケット、6は泥土固化処理装置1を設置するための基台である。
【0006】
泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bは、それぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bと共に基台6で支持されるようにして回転ドラム10の後端側に設置されている。泥土搬入用スクリュコンベア3aは、図5の泥土固化処理装置1及び図6の泥土固化処理装置1’の何れも、前端部を回転ドラム10後端部の固定板を貫通されて回転ドラム10内に開口させている。一方、固化材搬入用スクリュコンベア3bは、泥土固化処理装置1におては前端部を泥土搬入用スクリュコンベア3aの後端部に連結することにより同スクリュコンベア3aを通じて固化材を回転ドラム10内に搬入するようにしているのに対し、泥土固化処理装置1’では前端部を回転ドラム10後端部の固定板を貫通させて回転ドラム10内に開口させることにより固化材を回転ドラム10内に直接搬入するようにしている。図5の泥土固化処理装置1と図6の泥土固化処理装置1’とは、この点を除いて構造上の差異はない。
【0007】
7aは長尺の矩形板状をなし回転ドラム10の内周面後部から前方に長手方向に向けて取付けられた後方の掻き上げ翼、7bはその前方に取付けられ後方の掻き上げ翼7aよりも短い同様の前方の掻き上げ翼、8は回転ドラム10の内周面の後方の掻き上げ翼7a寄りに取付けられ前方に向かって下方に傾斜した矩形板状の搬送翼、9は泥土を固化材で固化して生成された固化泥土を回転ドラム10の前端側から外部に搬出するための、土砂排出口9cを有する固化泥土搬出用スクリュコンベア、9bはこのスクリュコンベア9を回転駆動するための回転駆動装置、10は回転駆動することにより泥土を固化材と混合して固化する回転ドラムであり、回転ドラム10に設けたギアと原動機と原動機の回転をギアに伝達するピニオンとからなる図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっている。なお、図5及び図6には、泥土を符号MD、固化材を符号SDで示している。
【0008】
後方の掻き上げ翼7a及び前方の掻き上げ翼7bは、回転ドラム10の周方向に等間隔で放射状に多数取付けられている。後方の掻き上げ翼7aは、泥土搬入用スクリュコンベア3aや固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材を、回転ドラム10の回転に伴って掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させる作用をする。回転ドラム10を回転駆動して泥土や固化材をこの後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させる動作を繰り返すことにより、泥土を固化材と混合して固化させることができる。前方の掻き上げ翼7bは、こうして生成された固化泥土を、後方の掻き上げ翼7aと同様、掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させて固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに送り込む作用をする。搬送翼8は、回転ドラム10の内周面に前方に向かって下方に傾斜するようにその周方向に等間隔で取付けられているため、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材をとらえて漸次前方に移動させることができる。
【0009】
従来の泥土固化処理装置1,1’は、こうした構造を備えているので、泥土及び固化材をそれぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bに投入して、図示していない回転駆動装置により回転ドラム10を回転駆動すると、泥土及び固化材がそれぞれ泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内の後部に搬入される。次いで、こうして回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aの働きにより上昇、落下し、落下時に回転ドラム10の底面部や他の泥土の塊と衝突して破砕されるとともに回転ドラム10の底面部に飛散する。また、泥土や固化材は、落下する過程において、前方に下方傾斜した搬送翼8でとらえられ漸次前方に移動する。
【0010】
こうして回転ドラム10内で前方に移動しながら飛散した泥土と固化材は、後方の掻き上げ翼7aでかき集められて合体し、その過程で混合される。泥土と固化材が以上のような上昇−落下−破砕−飛散−合体の動作を反復して、細分化されながら離合集散を繰り返すことにより、泥土は、固化材と漸次混合して固化する。こうして生成された固化泥土は、今度は、前方の掻き上げ翼7bの働きより上昇、落下の動作を繰り返し、落下時に固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに逐次取り込まれて行き、固化泥土搬出用スクリュコンベア9で搬出されて土砂排出口9cから排出される。
【0011】
従来の技術の装置では、以上の過程により泥土を固化処理するが、その過程で泥土を固化するために同装置が果たしている基本的な機能を分析すると、次のとおりである。
【0012】
イ)泥土や固化材を、回転ドラム10を回転して後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させることにより破砕する。
【0013】
ロ)この破砕の際に回転ドラム10内で飛散した泥土と固化材を、回転ドラム10を回転して後方の掻き上げ翼7aでかき集める過程で混合する。
【0014】
ハ)閉じられて保温された回転ドラム10の保温環境内に、固化材と混合した泥土を一定時間滞留させることにより固化材の消化吸収反応を促進させる。
【0015】
泥土の固化処理を迅速に達成するには、固化材を泥土中に均一に点在させるとともに、固化材の消化吸収反応を行う周辺空間の温度を高くするのが望ましく、また、そうすることにより、良質の固化泥土を得ることができる。そして、固化材を泥土中に均一に点在させるためには、イ)の泥土等の破砕機能及びロ)の泥土と固化材の混合機能を高めることが必要であり、固化材の消化吸収反応を行う周辺空間の温度を高くするためには、回転ドラム10のような密閉された空間内で泥土と固化材を混合して滞留させることにより、ハ)の機能を確保できるようにすることが必要である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の技術は、前述したように、回転ドラム10内の密閉された空間内で泥土と固化材を混合して消化吸収反応を行うようにするとともに、泥土と固化材を落下する過程で搬送翼8でとらえられ漸次前方に移動するようにしていて滞留させるようにしているため、固化材の消化吸収反応を促進させるというハ)の機能が良好に発揮できるという点では望ましいものであった。しかしながら、次に示す理由により、イ)の泥土等の破砕機能とロ)の泥土と固化材の混合機能の点では難があり、品質の優れた固化泥土を得にくいとともに泥土の固化処理速度増加させることが困難であって大量処理に好適なものではない。
【0017】
イ)の泥土等の破砕機能について
従来の技術は、泥土や固化材を、回転ドラム内で上昇させて落下させることにより破砕しようとするものであって、泥土や固化材の破砕は、泥土の自由落下に依存している。そのため、良質の固化泥土が得られるように泥土を十分に破砕して固化材と均一に混合できるようにするには、泥土の落下開始地点から落下到達地点までの距離(図7における距離H)を十分に大きくとること、換言すると回転ドラム10の内径を十分大きくすることが必要になる。しかるに、固化処理装置は、建設工事の施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺の空きスペースに設置して泥土の固化処理が行えるように製作されるものであって、可能な限り小型化する必要があるため、回転ドラム10の内径を十分大きくするにしても自ずから限度がある。こうしたことから、従来の技術では、泥土を十分に破砕することが困難であって、品質の優れた固化泥土は得にくい。
【0018】
ロ)の泥土と固化材の混合機能について
従来の技術は、前述したように、泥土と固化材を自由落下により破砕して回転ドラム10の底面部に飛散させ、この飛散した泥土と固化材を後方の掻き上げ翼でかき集めて合体する過程で混合するようにしたものであり、積極的な撹拌混合手段は備えていない。したがって、従来の技術により泥土と固化材の混合を促進するには、回転ドラム10の内径を十分大きくして泥土等の破砕や飛散を活発化するだけではなく、泥土と固化材について上昇−落下−破砕−飛散−合体の動作を何度も繰り返す必要がある。そのため、泥土と固化材の混合効率が悪く、泥土の固化処理速度増加させることが困難である。建設工事で発生する建設汚泥は、工場の施設で発生する汚泥とは異なり膨大な量に及ぶことが多く、建設汚泥の固化処理装置である泥土固化処理装置には、膨大な量の泥土を迅速に処理できるようにすることが要求されるが、従来の技術は、こうした泥土の大量処理には必ずしも好適なものでない。
【0019】
本発明は、こうした従来の技術の問題点を解消してようとするものであって、その技術課題は、従来の技術よりも品質の優れた固化泥土が得られ大量処理に好適な泥土固化処理装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを掻き上げ部材で上昇、落下させて破砕、混合し泥土を固化するとともに落下させた固化泥土を取り込んで搬出する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、
「回転駆動される回転軸の後段、中段及び前段のうちの少なくとも後段及び中段に前方に向かって下方に傾斜し独立した多数の撹拌羽根を固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、この多軸撹拌機を後段及び前段の個所でそれぞれ回転ドラムの一端側及び他端側から突出させるとともに、泥土及び固化材の取り込み口を有するケーシングを多軸撹拌機の後段に設けて、泥土と固化材を撹拌混合して前処理しながら回転ドラム内に搬入できるように構成し、多軸撹拌機の中段を回転ドラム内に配置し、さらに、固化泥土を搬出し得る土砂搬出用の羽根を回転軸の前段に設けるとともに、回転ドラム内で落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材をその土砂搬出用の羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土を土砂搬出用の羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように」構成した。
【0021】
本発明は、このように構成したので、多軸撹拌機及び回転ドラムを回転駆動して、ケーシングの泥土及び固化材の取り込み口にそれぞれ泥土及び固化材を供給すると、多軸撹拌機の後段では、泥土と固化材を撹拌羽根により巻き込んで強力に剪断破砕しながら積極的に撹拌混合するとともに、回転ドラムの一端側へ搬送して回転ドラム内に搬入する。泥土と固化材が回転ドラム内に搬入されると、回転ドラムの回転により泥土と固化材とを上昇、落下させ、これら落下した泥土と固化材は、多軸撹拌機の中段で捕捉される。そうすると、前段階で十分に破砕混合されなかった泥土は、各撹拌機の撹拌羽根の間に固化材と共に巻き込まれて、撹拌羽根の回転により、再度、剪断破砕されて更に細かく砕かれながら固化材と一層均一に混ぜ合わされる。また、回転ドラムの回転により上昇、落下させた泥土と固化材は、多軸撹拌機の撹拌羽根や回転ドラムに衝突することによっても破砕される。こうして破砕された泥土と固化材や撹拌羽根により混ぜ合わされた泥土と固化材は、回転ドラムの下部に飛散するが、これらは、掻き上げ部材でかき集められて合体し、この過程でも混合される。泥土と固化材は、このように二重の手段により破砕混合され、以後、回転ドラムの回転により上昇、落下を繰り返して、同様の作用の反復により十分に破砕混合される。
【0022】
この間、泥土と固化材の混合物は、回転ドラム内の閉じられた保温空間内に一定時間滞留することとなるので、泥土と固化材の消化吸収反応を促進させるという従来の技術の利点をそのまま保持することができる。また、泥土と固化材は、特に、前方に向かって下方に傾斜した撹拌羽根で撹拌混合するようにしているので、その消化吸収反応を進める過程で撹拌羽根により捕捉されて漸次前方に移動する。泥土は、こうして回転ドラム内で固化材と十分に混合されて固化し、良質の固化泥土に改質されるが、この固化泥土は、土砂取り込み部材に落下して取り込まれる。多軸撹拌機の後段では、この土砂取り込み部材に取り込まれた固化泥土を土砂取り込み部材に載置した状態で土砂搬出用の羽根で前方に搬送し、回転ドラムの他端側から外部に搬出する。
【0023】
以上のように、本発明では、泥土と固化材を、特に、回転ドラム内に搬入する前段階で多軸撹拌機の後段により積極的に撹拌混合するようにしていて、泥土と固化材の混合は、この段階でかなりの程度進展しているため、回転ドラム内ではこれらの混合を補足的に行えば足りる。こうした多軸撹拌機の後段での処理に加え、回転ドラム内では、泥土と固化材を多軸撹拌機の中段で強力に破砕して積極的に撹拌混合し、更には、回転ドラムの回転によっても破砕混合するようにしていて二重の手段で破砕混合するようにしているため、品質の優れた固化泥土が得られることに加えて泥土の固化処理の時間を短縮することができ、その分、処理量を増加させることができて泥土の大量処理が適切に行える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図4、図8及び図9に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。まず、図1乃至図4を用いて本発明の基本的な実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図、図2は、図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図、図3は、図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図、図4は、図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図である。これら各図において図5乃至図7と同一符号を付けた部分は、これらの図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0025】
本発明の具体化例の泥土固化処理装置11は、従来の技術と同様、建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させ内部で破砕、混合して泥土を固化するとともに、前方の掻き上げ翼7bで上昇、落下させた固化泥土を取り込んで搬出する回転ドラム10を備えたものである。この回転ドラム10には、後方の掻き上げ翼7aと前方の掻き上げ翼7bが従来の技術と同様の態様で多数取付けられていることに加え、搬送翼8が従来の技術と同様の態様で多数取付けられているが、その取付数は従来の技術よりも少ない。また、回転ドラム10は、基台6にブラケット5を介して回転自在に取付けられたローラ4により回転自在に支持されていて、図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっており、この点でも、従来の技術と変わらない。
【0026】
図1乃至図4に基づきこの泥土固化処理装置11について説明する。この泥土固化処理装置11は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aや前方の掻き上げ翼7bにより泥土及び固化材や固化泥土を上昇、落下させる回転ドラム10に、泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得る多軸撹拌機18を両端部を突出させて設置している。この多軸撹拌機18は、泥土と固化材の取り込み側から固化泥土の排出側に向けて、後段、中段及び前段の領域に大別することができる。これら各領域中、多軸撹拌機18の後段では、泥土と固化材を前処理的に破砕混合しながら回転ドラム10内に搬入する機能を分担し、中段では、泥土と固化材を更に破砕混合しながら泥土を固化する機能を分担し、前段では、この固化した泥土を回転ドラム10外に搬出する機能を分担する。そこで、まず、この点の技術内容について詳述する。
【0027】
18は泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように撹拌機19を複数個並列させて構成した多軸撹拌機、19aは回転駆動装置19bにより回転駆動される撹拌機19の回転軸、19dはこの回転軸19aに非連続的に設けられて固着された撹拌羽根、19eは多軸撹拌機18に設けられて多軸撹拌機18の固化泥土の搬出側すなわち多軸撹拌機18の前段を収容するケーシング、19gは多軸撹拌機18の泥土の土砂搬入側すなわち多軸撹拌機18の後段を収容するケーシングである。
【0028】
回転軸19aは、後端部を前部固定板1aから突出させて、泥土投入ホッパ2a後部に固定した軸受19cで支承するとともに、前端部を前部固定板1bから突出させて、ケーシング19e内に固定した回転駆動装置19bに連結するように配設している。すなわち、回転軸19aは、泥土投入ホッパ2aとケーシングe内の回転駆動装置19bとで両端を支承するようにしていて、その支承部分が多軸撹拌機18による泥土や固化泥土の搬入や搬出の障害にならないように工夫している。なお、後部固定板1a及び前部固定板1bは、固定的に設置された円盤状の板体で、回転ドラム10の後側壁及び前側壁に設けた円孔にその回転を妨げないように嵌入されおり、この円孔の内周面と固定板1a、1bの外周面との間は、相対回転が行えるようにシールされている。
【0029】
撹拌羽根19dは、所定間隔を置いて回転軸19aに多数固着され、ここに示す例では、回転軸19aの後段、中段及び前段にわたって固着している。これらの撹拌羽根19dは、パドル羽根と称するものであって、スクリュ羽根とは異なり、それぞれが独立している。各撹拌羽根19dは、ここに示す例では、二つの扇形体を外周方向に向けて末広がり状をなすように背中合せに合体させたような形状を有している。多数の撹拌羽根19dは、図1に示すように、何れも前方に向かって下方に傾斜するように設けられ、互いに平行になるように配列されている。多数の撹拌羽根19dは、このように前方に向かって下方に傾斜させたことにより、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材が各撹拌羽根19dを通過する都度漸次前方に移動させることができて搬送翼8と同等の機能を果たすことができる。それゆえ、回転ドラム10に搬送翼8を設けることは、従来の技術とは異なり、必須不可欠の要件ではない。
【0030】
撹拌機19は、このように回転軸19aに独立した多数の撹拌羽根19dを固着して構成される。多軸撹拌機18は、こうした撹拌機19を回転軸19aが互いに平行になるように複数台並列させて構成し、ここに示す例では撹拌機19を3台ほど並べて構成している。その場合、各撹拌機19の多数の撹拌羽根19dが隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dの間に入り込むように配置する。すなわち、各撹拌機19の撹拌羽根19dが隣接するもの同士で半径方向においてラップするようにするとともに、各撹拌機19の撹拌羽根19dを隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dと回転軸方向に位相をずらして両者が干渉しないように配列している。
【0031】
各撹拌機19の回転方向については、図2に示すように、隣接する左方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、落下した泥土を上方で挾み込み得るようにそれぞれR1 ,R2 の方向に回転させて反対方向に同一の回転数で回転させるようにしており、泥土を挟みで切るようにして、隣接する左右の撹拌羽根19dにより剪断破砕することができる。また、隣接する右方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、それぞれR2 ,R3 の方向に回転させて同じ方向に同一の回転数で回転させるようにしており、落下した泥土を左の撹拌羽根19dの右側で押し上げるとともに右の撹拌羽根19dの左側で押さえ込むようにして剪断破砕することができる。したがって、隣接する一対の撹拌機19の撹拌羽根19dを同一方向及び反対方向の何れの方向に回転させるときでも、隣接する左右の撹拌羽根19dにより泥土を巻き込み、剪断破砕することができる。多軸撹拌機18を構成する場合、図には撹拌機19を3台並べて構成した例を示しているが、2台以上所望の台数並べて構成することができ、その台数は、回転ドラム10の内径や撹拌羽根19dの大きさ等を考慮しながら設計上適宜選択すればよい。
【0032】
多軸撹拌機18は、その後段及び前段の個所でそれぞれ後部固定板1a及び前部固定板1bを貫通させて回転ドラム10の後端側及び前端側から突出させるようにして設置するとともに、各撹拌機19の回転軸19aを同一水平面内に配置するようにして回転ドラム10の略中央部に水平に設置する。こうして回転ドラム10に設置した多軸撹拌機18において、後段、すなわち多軸撹拌機18の後端部から回転ドラム10の後端部に至る区域は、泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bからそれぞれ供給された泥土及び固化材を破砕して撹拌混合することにより前処理しながら回転ドラム10内に搬入する働きをし、この後段に続く中段、すなわち後方の掻き上げ翼7aや搬送翼8を設けた区域にほぼ対応する図1のL1の区域は、泥土と固化材を更に破砕、撹拌混合するとともに泥土を固化して本処理する働きをする。また、この中段に続く前段、すなわち前方の掻き上げ翼7bを設けた区域にほぼ対応する図1のL2の区域及びその前方区域は、固化泥土を取り込んで前方に搬送し、回転ドラム10の他端側から外部に搬出する働きをする。
【0033】
多軸撹拌機18の各段をこうした働きをするように構成するため、多軸撹拌機18の後段には、泥土投入ホッパ2aから泥土を取り込むための泥土取り込み口19h及び固化材投入ホッパ2bから固化材を取り込むための固化材取り込み口19iを上側に設け前端が回転ドラム10内に連通するケーシング19gを、多軸撹拌機18を覆うように設ける。一方、多軸撹拌機18の中段には、ケーシング19gから回転ドラム10内に排出された泥土と固化材を多軸撹拌機18で更に破砕、撹拌混合し、更には、従来の技術と同様に回転ドラム10の回転によっても破砕混合できるようにするため、ケーシングを設けない。
【0034】
また、多軸撹拌機18の前段には、回転ドラム10内で落下した固化泥土を取り込むための土砂取り込み部19fを形成し土砂排出口19jを付設したケーシング19eを設ける。このケーシング19eは、落下した固化泥土を取り込むL2の区域において、図1及び図3に示すようにケーシング19eの上方を開放することにより土砂取り込み部19fを形成して、掻き上げ翼7bで掻き上げられて落下した固化泥土をケーシング19eの底部内に取り込めるようにしており、ケーシング19eの底部が落下した固化泥土を取り込むための土砂取り込み部材をなしている。また、L2の区域の前方の区域、すなわちケーシング19e内の固化泥土を回転ドラム10の外側に導出する区域おいては、図1及び図4に示すように、下側に土砂排出口19jを設けたケーシング19eを、多軸撹拌機18を覆うようにして通常の態様で設けている。ここに示す例では、ケーシング19eの底部を土砂取り込み部材に兼用しているが、土砂取り込み部材は、落下した固化泥土を取り込めるような形状の部材であって撹拌羽根19dの下端に沿わせるように設けたものであればよく、必ずしもケーシング19eで兼用して構成する必要はない。
【0035】
ケーシング19e及びケーシング19gは、支持部材を介して基台6に支持されている。また、後段側のケーシング19gには、泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iが前方に向けて順次形成されており、これら泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iには、それぞれ泥土投入ホッパ2aの出口及び固化材投入ホッパ2bの固化材排出路20が接続されている。泥土投入ホッパ2aには、建設工事現場から図示しないベルトコンベアにより搬送される泥土が送り込まれ、又は建設工事現場で油圧ショベルのバケットにより掬い上げられた泥土が直接投入される。また、固化材投入ホッパ2bには、固化材が図示しない搬送機により供給されるようになっている。
【0036】
前記の固化材排出路20には、固化材切り出し装置21を設け、これにより、固化材投入ホッパ2bの固化材を、固化材切り出し装置21を経由して固化材取り込み口19iへコンスタントに投入できるようにしている。この固化材切り出し装置21は、固化材を固化材排出路20から取り込み固化材排出路20へ排出する出入り口が上下に設けられ円弧状の内周面を有するケーシング21aと、図示しない駆動装置で回転駆動されるロータ21bと、このロータ21bに、ケーシング21aの内周面に密接するように放射状に設けられ、ケーシング21aと協働して等容積の多数の空間を区画し得る多数の切り出し羽根21cとで構成されている。
【0037】
したがって、ロータ21bを図1の矢印Sの方向に回転駆動すると、固化材排出路20からケーシング21aの入口に取り込まれた固化材は、切り出し羽根21cにより一定量切り出されて、この切り出し羽根21cとケーシング21aとで区画された多数の空間に逐次充填される。次いで、この固化材は、切り出し羽根21cが回転することによりケーシング21aの出口から排出されてケーシング19gの固化材取り込み口19iに定量供給される。泥土を固化材と混合して等質の固化泥土を生成するには、泥土への固化材の混合比率を一定に保つ必要があるが、回転ドラム10内への泥土の供給量は、多軸撹拌機18の回転数が変動したり泥土の性状が著しく変化したりしない限り定量に保てるため、こうした固化材切り出し装置21を設けることにより、泥土と固化材の混合比率を一定に保って等質の固化泥土を生成することができる。
【0038】
本泥土固化処理装置11では、固化材切り出し装置21を設けたことに関連して、回転ドラム10内への泥土の供給量を調節できるようにするために回転駆動装置19bの回転数を可変制御し得るように構成するとともに、固化材取り込み口19iへの固化材の供給量を調節できるようにするためにロータ21bの駆動装置の回転数を可変制御し得るように構成している。したがって、建設現場での泥土の発生量に応じて回転駆動装置19bの回転数を制御して回転ドラム10内への泥土の供給量を適宜調節することができるとともに、これに関連して、その泥土の供給量に応じてロータ21bの駆動装置の回転数を制御することにより、泥土の供給量に見合った固化材を定量供給して泥土と固化材の混合比率を適切な値になるようにすることができる。また、固化材を定量供給する固化材切り出し装置21についてロータ21bの駆動装置の回転数を可変制御できるようにしたため、回転ドラム10内への泥土の供給量を固定した場合であっても、建設工事現場によって泥土の含水比等の泥土の性状が変化したときに、その泥土の性状の変化に応じて固化材の供給量を調節することにより、泥土への固化材の混合比率が適切な値になるように対応することができる。
【0039】
以上の構造を備えた泥土固化処理装置11において泥土を固化処理するため、固化材切り出し装置21と多軸撹拌機18と回転ドラム10を回転駆動すると、泥土及び固化材は、それぞれ、泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bから後段側のケーシング19gの泥土取り込み口19h及び固化材取り込み口19iに供給される。そうすると、多軸撹拌機18の後段では、泥土と固化材を撹拌羽根19dで巻き込んで強力に剪断破砕しながら積極的に撹拌混合するとともに前方に搬送して後部固定板1a側から回転ドラム10内に送り込む。その場合、泥土を多軸撹拌機18の回転駆動装置19bの回転数に応じて所定の量供給する一方、固化材切り出し装置21の働きにより、固化材をロータ21bの駆動装置の回転数に応じて所定の量供給するので、回転駆動装置19b及びロータ21bの駆動装置の各回転数を適切な値に設定すれば、泥土と固化材とは、供給量が変動することなく適切な比率で回転ドラム10内に定量供給される。
【0040】
こうして泥土と固化材が回転ドラム10内に搬入されると、回転ドラム10の回転により後方の掻き上げ翼7aで泥土と固化材とを上昇、落下させ、これら落下した泥土と固化材は、多軸撹拌機18の中段で捕捉される。そうすると、前段階で十分には破砕されず固化材と均一に混合されなかった泥土は、各撹拌機18の撹拌羽根19dの間に固化材と共に巻き込まれて、撹拌羽根19dの回転により、再度、剪断破砕されて更に細かく砕かれながら固化材と一層均一に混ぜ合わされる。また、回転ドラム10の回転により上昇、落下させた泥土と固化材は、多軸撹拌機18の撹拌羽根19dや回転ドラム10の下部に衝突することによっても破砕される。こうして破砕された泥土及び固化材と撹拌羽根19dにより混ぜ合わされた泥土及び固化材とは、回転ドラム10の下部に飛散するが、これらは、後方の掻き上げ翼7aでかき集められて合体し、この過程でも混合される。泥土と固化材は、このように二重の手段により破砕混合され、以後、回転ドラム10の回転により上昇、落下を繰り返して、同様の作用の反復により十分に破砕混合される。
【0041】
この間、泥土と固化材の混合物は、回転ドラム10内の閉じられた保温空間内に一定時間滞留することとなるので、泥土と固化材の消化吸収反応を促進させるという従来の技術の利点をそのまま保持することができる。また、泥土と固化材は、特に、前方に向かって下方に傾斜した撹拌羽根19dで撹拌混合するようにしているので、その消化吸収反応を進める過程で撹拌羽根19dにより捕捉されて漸次前方へ移動する。また、その前方への移動は、搬送翼8の傾斜によっても助勢される。泥土は、こうして回転ドラム10内で固化材と十分に混合されて固化し、良質の固化泥土に改質されるが、この固化泥土は、図1のL2 の区域において、前方の掻き上げ翼7bにより掻き上げられてケーシング19eの土砂取り込み部19fからケーシング19eの底部に落下し、回転ドラム10の回転によりこうした動作を繰り返してケーシング19e内に漸次取り込まれる。多軸撹拌機18の前段では、こうしてケーシング19e内に取り込まれた固化泥土を、ケーシング19eの底部に載置した状態で撹拌羽根19dにより前方に搬送して前部固定板1b側から回転ドラム10外に搬出し、排出口19jから排出する。
【0042】
以上のように、本泥土固化処理装置11では、泥土と固化材を、特に、回転ドラム10内に搬入する前段階において、多軸撹拌機18の後段で積極的に撹拌混合するようにしていて、泥土と固化材の混合は、この段階でかなりの程度進展しているため、回転ドラム10内では、これらの混合を補足的に行えば足りる。こうした多軸撹拌機18の後段での処理に加え、回転ドラム10内では、泥土と固化材を多軸撹拌機18の中段で強力に破砕して積極的に撹拌混合し、更には、掻き上げ翼7aを備えた回転ドラム10の回転によっても破砕混合するようにしていて二重の手段で破砕混合するようにしているため、品質の優れた固化泥土が生成されることに加えて泥土の固化処理の時間を短縮することができ、その分、処理量を増加させることができて、泥土の大量処理が適切に行える。
【0043】
また、回転ドラム10の径を従来の技術のようには大きくしなくても、回転ドラム10と多軸撹拌機18とで協働して、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができ、そのため、泥土の発生現場やその近辺の狭隘な空きスペースに無理なく設置することができて、こうした場所で多用される泥土固化処理装置にとって好適なものとなる。さらに、泥土を回転ドラム10内に搬入する前の段階で多軸撹拌機18の後段により予め破砕するようにしているので、従来の技術では固化処理できなかった大塊の土砂も固化材と十分に混合することができて、処理可能な泥土の性状の範囲を拡大することができる。この泥土固化処理装置11では、こうした従来の技術にはみられない優れた効果を発揮することに加え、泥土と固化材を破砕混合するための撹拌羽根19dを有する多軸撹拌機18に、格別の変更を加えることなく、その前段にケーシング19eを付設するだけで、固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置を製作する際に、部品点数を少なくすることができるとともにその構造及び組立工程を簡素化することができる。
【0044】
ここに示す例では、各回転軸19aの後段に設ける土砂搬出用の羽根に、各羽根が独立しているパドル羽根としての撹拌羽根19dを用いているが、ケーシング19e内の固化泥土を前方に搬送できるように構成された連続したスクリュ羽根を用いて各回転軸19aの後段に固着してもよい。その場合、当然のことながら、スクリュ羽根は、隣接するもの同士が互いに干渉しないようにオーバーラップして配置するとともに、各回転軸19aは、各スクリュ羽根が互いに干渉しないように、同一方向に同一回転数で回転駆動できるようにする。土砂搬出用の羽根にこうしたスクリュ羽根を用いると、固化泥土を外部に連続的に搬出できるとともにその固化泥土の排出力を増加することができて、固化泥土を外部に効率よく搬出することができる。各回転軸19aの後段に設ける羽根は、以上のようなものだけに限定されず、要は、固化泥土を前方に搬送できるように構成された羽根であればよい。
【0045】
次に、以上述べた泥土固化処理装置11に対して泥土の固化処理を一層効率的に実施できる手段を付加した例を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、図1の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図、図9は、図8の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。両図において図1乃至図7と同一符号をつけた部分は、これらの図と同等の部分を表わすので、詳述しない。
【0046】
図8及び図9に示す泥土固化処理装置11’は、多軸撹拌機18を回転ドラム10に両端部を突出させて設置して、多軸撹拌機18の後段で泥土と固化材を前処理的に破砕混合しながら回転ドラム10内に搬入する機能を分担し、中段で泥土と固化材を更に破砕混合しながら泥土を固化する機能を分担し、前段で固化した泥土を回転ドラム10外に搬出する機能を分担するようにしていて、基本的な構造は図1乃至図4の泥土固化処理装置11と変わらない。
【0047】
図8及び図9の泥土固化処理装置11’は、こうした泥土固化処理装置11において、掻き上げ翼7a,7bで上昇、落下させた泥土等の落下物を多軸撹拌機18上に導くシュート30を設けたものである。このシュート30は、回転ドラム10の全長(L1 +L2 )に略等しい長さの一対の長尺のガイド板30a,30bを多軸撹拌機18の左右の両脇に沿って上方に末広がり状に傾斜するように配置して、両端部を固定板1a,1bに取り付けることにより、多軸撹拌機18の幅W2 よりも間口W1 の広い落下物捕捉用の開口を形成するように構成している。その場合、各ガイド板30a,30bは、回転時の各撹拌羽根19dに接触しないように撹拌羽根19dの外径φDpのやや外側に配置するとともに、回転時の回転ドラムの掻き上げ翼7a,7bに接触しないように掻き上げ翼7a,7bの内径φDdのやや内側に配置している。
【0048】
本泥土固化処理装置11’は、こうした構造を有するシュート30を設けているので、後方の掻き上げ翼7aで掻き上げられて上昇した泥土と固化材は、多軸撹拌機18の中段のL1 の区域に落下するときに、間口W1 の広い開口を有するシュート30により、回転ドラム10内の左右の広い領域にわたって捕捉されて多軸撹拌機18上にその両脇から逃さないように導かれる。同様にして、前方の掻き上げ翼7bで掻き上げられて上昇した固化泥土は、多軸撹拌機18の前段のL2 の区域に落下するときに、シュート30で捕捉されて多軸撹拌機18上にその両脇から逃さないように導かれる。その結果、撹拌羽根19dにる泥土と固化材の破砕量や撹拌混合量さらには固化泥土の搬送量を増加することができて泥土の固化処理を一層効率的に行うことができる。ここでは、シュート30を回転ドラム10の全長(L1 +L2 )にわたって設けた例を示したが、中段のL1 の区域にだけ設けても泥土の固化処理効率の向上に資する。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決する手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明によれば、従来の技術よりも品質の優れた固化泥土が生成され大量処理に好適な泥土固化処理装置が得られる。また、回転ドラムの径を従来の技術のようには大きくしなくても、回転ドラムと多軸撹拌機とで協働して、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができ、そのため、泥土の発生現場やその近辺の狭隘な空きスペースに無理なく設置することができて、こうした場所で多用される泥土固化処理装置にとって好適なものとなる。さらに、泥土を回転ドラム内に搬入する前の段階で多軸撹拌機の後段により事前に破砕するようにするので、従来の技術では固化処理できなかった大塊の土砂も固化材と十分に混合することができて、処理可能な泥土の性状の範囲を拡大することができる。
【0050】
本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、多軸撹拌機に格別の変更を加えることなく、その前段にケーシングを付設するだけで固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置を製作する際に、部品点数を少なくすることができるとともにその構造及び組立工程を簡素化することができる。本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、固化材切り出し装置により固化材を定量供給することができて、泥土と固化材の混合比率を一定に保って等質の固化泥土を生成することができる。本発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項4に記載のように具体化すれば、掻き上げ部材で上昇、落下させた泥土等の落下物を多軸撹拌機の両脇から逃すことなく、間口の広い開口を有するシュートで多軸撹拌機上に導くことができるため、泥土の固化処理を一層効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図である。
【図2】図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図である。
【図3】図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図である。
【図4】図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図である。
【図5】従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図である。
【図6】図5の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図である。
【図7】図5及び図6の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。
【図8】図1の泥土固化処理装置の変形例を示す縦断面図である。
【図9】図8の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。
【符号の説明】
1a,1b 固定板
2a 泥土投入ホッパ
2b 固化材投入ホッパ
7a,7b 掻き上げ翼
8 搬送翼
10 回転ドラム
11,11’ 泥土固化処理装置
18 多軸撹拌機
19 撹拌機
19a 回転軸
19b 回転駆動装置
19c 軸受
19d 撹拌羽根
19e ケーシング
19f 土砂取り込み部
19g ケーシング
19h 泥土取り込み口
19i 固化材取り込み口
19j 土砂排出口
20 固化材排出路
21 固化材切り出し装置
21a ケーシング
21b ロータ
21c 切り出し羽根
30 シュート
MD 泥土
SD 固化材
Claims (4)
- 建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを掻き上げ部材で上昇、落下させて破砕、混合し泥土を固化するとともに落下させた固化泥土を取り込んで搬出する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、回転駆動される回転軸の後段、中段及び前段のうちの少なくとも後段及び中段に前方に向かって下方に傾斜し独立した多数の撹拌羽根を固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、この多軸撹拌機を後段及び前段の個所でそれぞれ回転ドラムの一端側及び他端側から突出させるとともに、泥土及び固化材の取り込み口を有するケーシングを多軸撹拌機の後段に設けて、泥土と固化材を撹拌混合して前処理しながら回転ドラム内に搬入できるように構成し、多軸撹拌機の中段を回転ドラム内に配置し、さらに、固化泥土を搬出し得る土砂搬出用の羽根を回転軸の前段に設けるとともに、回転ドラム内で落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材をその土砂搬出用の羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土を土砂搬出用の羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように構成したことを特徴とする泥土固化処理装置。
- 土砂搬出用の羽根を回転軸の前段に設ける場合、回転軸の後段及び中段に固着したのと同様の独立した多数の撹拌羽根を設けるとともに、多軸撹拌機の前段にケーシングを設けて、回転ドラム内で落下した固化泥土を取り込む個所においてケーシングの上方側を開放することにより、土砂取り込み部材を多軸撹拌機のケーシングで構成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の泥土固化処理装置。
- ケーシングの固化材の取り込み口に、円弧状の内周面を有するケーシングと回転駆動されるロータに放射状に設けられケーシングと協働して等容積の複数の空間を区画し得る複数の切り出し羽根とを備えた固化材切り出し装置を経由して固化材を供給するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泥土固化処理装置。
- 回転ドラム内に、多軸撹拌機の幅よりも間口の広い開口を有し、泥土等の落下物を多軸撹拌機上にその両脇から逃がさないように導くシュートを設けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の泥土固化処理装置。
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