JP3955417B2 - 泥土固化処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、推進工事、シールド工事、基礎工事、浚渫工事等の建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
縦穴掘削機等による基礎工事、管推進機による推進工事、シールド工事、浚渫工事等の建設工事で発生する軟弱な泥土は、建設汚泥と呼ばれ、産業廃棄物として脱水処理した後、最終処分地に埋立て処分されている。この建設汚泥と呼ばれる泥土は、微粒子分を多く含む含水比の高い泥水状や塑性状の土砂であり、一般の建設残土とは異なり、有害物質の有無にかかわりなく産業廃棄物として取り扱われて、所定の最終処分地で処分するように定められている。しかしながら、最近は、産業廃棄物の最終処分地の立地難が深刻化し、こうしたことを背景にして建設副産物のリサイクルの促進が要請されている。こうした要請から、これまで利用価値のなかった泥土について、施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺で固化材(脱水処理剤等)を混合して改質処理を施すことにより、これを強度の高い一般建設残土と同等の土砂に改質して利用価値を創出し、改質処理現場から再利用先へと直接搬送して、路盤材、埋め戻し土、宅地造成土、土手の盛土等の種々の用途に再利用する技術の開発が進められている。
【0003】
泥土の発生現場やその近辺で改質処理を施す方法としては、泥土にセメント系や石灰系の固化材を混合する方法が知られている。こうした方法を具現する装置として、従来、例えば特開昭64ー43399号公報及び特開昭64ー43400号公報に記載されているような装置が知られている。この出願の発明は、こうした従来の装置を改良しようとするものである。そこで、この種の従来の装置を本明細書で従来の技術として位置付け、その技術内容を図7及び図8に基づいて以下に説明する。図7は、従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図、図8は、図7の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。
【0004】
これらの図において、1は建設工事で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土固化処理装置、2aは泥土を投入するための泥土投入ホッパ、2bは固化材を投入するための固化材投入ホッパ、3aは泥土投入ホッパ2aに投入された泥土を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための泥土搬入用スクリュコンベア、3bは固化材投入ホッパ2bに投入された固化材を回転ドラム10内にその後端側から搬入するための固化材搬入用スクリュコンベア、4は回転ドラム10を回転自在に支持するためのローラ、5はこのローラ4を軸着して基台6に回転自在に取付けるためのブラケット、6は泥土固化処理装置1を設置するための基台である。泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bは、それぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bと共に基台6で支持されるようにして回転ドラム10の後端側に設置されている。
【0005】
7aは長尺の矩形板状をなし回転ドラム10の内周面後部から前方に長手方向に向けて取付けられた後方の掻き上げ翼、7bはその前方に取付けられ後方の掻き上げ翼7aよりも短い同様の前方の掻き上げ翼、8は回転ドラム10の内周面の後方の掻き上げ翼7a寄りに取付けられ前方に向かって下方に傾斜した矩形板状の搬送翼、9は泥土を固化材で固化して生成された固化泥土を回転ドラム10の前端側から外部に搬出するための、土砂排出口9cを有する固化泥土搬出用スクリュコンベア、9bはこのスクリュコンベア9を回転駆動するための回転駆動装置、10は回転駆動することにより泥土を固化材と混合して固化する回転ドラムであり、回転ドラム10に設けたプーリと原動機と原動機の回転をプーリに伝達するベルトとからなる図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっている。なお、図7には、回転ドラム10内に搬入した泥土を符号MD、固化材を符号SDで示している。
【0006】
後方の掻き上げ翼7a及び前方の掻き上げ翼7bは、回転ドラム10の周方向に等間隔で放射状に多数取付けられている。後方の掻き上げ翼7aは、泥土搬入用スクリュコンベア3aや固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材を、回転ドラム10の回転に伴って掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させる作用をする。回転ドラム10を回転駆動して泥土や固化材をこの後方の掻き上げ翼7aで上昇、落下させる動作を繰り返すことにより、泥土を固化材と撹拌混合して固化させることができる。前方の掻き上げ翼7bは、こうして生成された固化泥土を、後方の掻き上げ翼7aと同様、掻き上げるがごとく上昇させ、回転ドラム10の上半部に上昇させたときに自重により落下させて固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに送り込む作用をする。搬送翼8は、回転ドラム10の内周面に前方に向かって下方に傾斜するようにその周方向に等間隔で取付けられているため、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材をとらえて漸次前方に移動させることができる。
【0007】
従来の泥土固化処理装置1は、こうした構造を備えているので、泥土及び固化材をそれぞれ泥土投入ホッパ2a及び固化材投入ホッパ2bに投入して、図示していない回転駆動装置により回転ドラム10を回転駆動すると、泥土及び固化材がそれぞれ泥土搬入用スクリュコンベア3a及び固化材搬入用スクリュコンベア3bで回転ドラム10内の後部に搬入される。次いで、こうして回転ドラム10内に搬入された泥土や固化材は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aの働きにより上昇、落下し、落下時に回転ドラム10の底面部や他の泥土の塊と衝突して破砕される。また、その過程で、搬送翼8にとらえられ漸次前方に移動する。泥土や固化材が前記のような上昇、落下、破砕の動作を繰り返すことにより、泥土は、均質化されて行きながら固化材と混合して固化する。こうして生成された固化泥土は、今度は、前方の掻き上げ翼7bの働きより上昇、落下の動作を繰り返し、落下時に固化泥土搬出用スクリュコンベア9の土砂取り込み口9aに逐次取り込まれて行き、固化泥土搬出用スクリュコンベア9で搬出されて土砂排出口9cから排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の技術は、泥土について、上昇及び落下の動作を繰り返すことにより、泥土を破砕して均質化しながら固化材と混合しようとするものであって、泥土の破砕と混合は、泥土の自由落下に依存している。そのため、泥土を十分に破砕して固化材と均一に混合し良質の性状に改質するには、泥土の落下開始地点から落下到達地点までの距離(図8における距離H)を十分に大きく取ること、換言すると回転ドラム10の内径を十分大きくすることが必要になる。そして、もし、回転ドラム10の内径を十分大きくすることができない場合には、泥土の破砕が不十分になり、ひいては、泥土と固化材とが十分に混合されないことになり、その結果、泥土の固化が不十分のまま固化泥土搬出用スクリュコンベア9から排出されることとなる。こうしたことから、従来の技術では、固化処理装置1が勢い大型化することとなる。固化処理装置は、建設工事の施工業者自らが泥土の発生現場やその近辺に設置して泥土に改質処理を施すことを主眼として製作されるものであるが、この固化処理装置を設置するための泥土の発生現場やその近辺では、比較的狭隘な場所しか確保できないことが多いため、固化処理装置は、可能な限り小型化してこうした狭隘な場所にでも無理なく設置できるようにすることが必要である。
【0009】
本発明は、前記の従来の技術の問題点を解消してこうした要求に応え得るようにするために創作されたものであって、その技術課題は、回転ドラムの径を従来の技術より小さくしても泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができる固化処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の技術課題を達成するため、この出願の第1番目の発明では次の1)の手段を採用し、この出願の第2番目の発明では次の2)の手段を採用した。
【0011】
1)建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを上昇、落下させ内部で混合して泥土を固化する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、
回転駆動される回転軸に独立した多数の撹拌羽根を固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、泥土や固化材及び固化泥土が撹拌羽根上に落下するように多軸撹拌機を設置してその端部を回転ドラムの他端部から突出させるとともに、落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材を撹拌羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土を撹拌羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように構成した手段。
【0012】
2)建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを上昇、落下させ内部で混合して泥土を固化する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、
回転駆動される回転軸に独立した多数の撹拌羽根とスクリュー羽根を回転ドラムの一端側から他端側に向けて順次固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、泥土や固化材が撹拌羽根上に、固化泥土がスクリュー羽根上に落下するように多軸撹拌機を設置してその端部を回転ドラムの他端部から突出させるとともに、落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材をスクリュー羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土をスクリュー羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように構成したようにした手段。
【0013】
この出願の第1番目の発明では、前記1)の手段を採用しているので、回転ドラムを回転駆動して泥土と固化材を回転ドラム内にその一端側から搬入すると、泥土と固化材とを上昇、落下させ、これらの落下時に特に泥土の塊が多軸撹拌機の撹拌羽根の縁部に衝突して一部破砕される。次いで、この段階で十分に破砕されなかった泥土の塊は、各撹拌機の撹拌羽根の間に固化材と共に巻き込まれて、撹拌羽根の回転に伴って、各撹拌羽根により剪断破砕されるようにして細かく砕かれながら固化材と撹拌混合される。泥土は、こうして回転ドラム内で固化材と混合されて固化するが、その結果生成された固化泥土は、土砂取り込み部材に落下して取り込まれ、土砂取り込み部材に載置されながら撹拌羽根で回転ドラムの他端側に搬送され、次いで、回転ドラムの他端側から撹拌羽根で外部に搬出される。
【0014】
この出願の第2番目の発明では、前記2)の手段を採用しているので、回転ドラム内に搬入された泥土は、第1番目の発明と同様にして細かく破砕されながら固化材と撹拌混合される。こうして固化材と混合して固化した固化泥土は、第1番目の発明と同様、土砂取り込み部材に落下して取り込まれて搬送され、回転ドラムの他端側から外部に搬出されるが、第2番目の発明では、固化泥土を特にスクリュー羽根で搬出するため、固化泥土を外部に連続的に搬出でき、かつ、固化泥土の排出力を増加することができて、固化泥土を外部に効率よく搬出することができる。この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明では、泥土の落下時にその塊を多軸撹拌機の撹拌羽根の縁部に衝突させて破砕するほか、特に撹拌羽根で剪断破砕して、泥土の自由落下に依存することなく細かく砕き、その細かく砕いた泥土を、撹拌羽根で同時に巻き込んだ固化材と撹拌羽根の回転により直ちに撹拌混合するようにしているので、回転ドラムの径を従来の技術のようには大きくしなくても、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図6に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の第1の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図、図2は、図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図、図3は、図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図、図4は、図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図、図5は、本発明の第2の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図、図6は、図5の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。これらの図において、図7及び図8と同一符号を付けた部分はこれら両図と同等の部分を表すので詳述しない。
【0016】
本発明の各具体化例の泥土固化処理装置11,21は、従来の技術と同様、建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを上昇、落下させ内部で混合して泥土を固化する回転ドラム10を備えたものである。この回転ドラム10には、後方の掻き上げ翼7aと前方の掻き上げ翼7bとが従来の技術と同様の態様で多数取付けられているとともに、搬送翼8が従来の技術と同様の態様で多数取付けられているが、その取付数は、従来の技術よりも少ない。また、回転ドラム10は、基台6にブラケット5を介して回転自在に取付けられたローラ4により回転自在に支持されていて、図示していない回転駆動装置により回転駆動されるようになっており、この点でも、従来の技術と変わらない。
【0017】
まず、図1乃至図4に基づき本発明の第1の具体化例の泥土固化処理装置11について説明する。本泥土固化処理装置11の最大の特徴は、回転ドラム10の回転に伴って後方の掻き上げ翼7aや前方の掻き上げ翼7bにより泥土及び固化材や固化泥土を上昇、落下させる回転ドラム10に、泥土と固化材を撹拌羽根19dで剪断破砕しながら撹拌混合し得る多軸撹拌機18を設置した点に関する構造にあるので、最初に、その構造について述べる。
【0018】
18は泥土と固化材を撹拌羽根19dで剪断破砕しながら撹拌混合し得るように撹拌機19を複数個並列させて構成した多軸撹拌機、19aは回転駆動装置19bにより回転駆動される撹拌機19の回転軸、19dはこの回転軸19aに非連続的に設けられて固着された撹拌羽根、19eは多軸撹拌機18に設けられて多軸撹拌機18の固化泥土の搬出側を収容するケーシングであり、回転ドラム10の外側の部位に土砂排出口19cが設けられている。回転軸19aは、後端を、後部固定板1aに設けられた軸受12で支承するとともに、前端部を前部固定板1bから突出させるように配設している。
【0019】
これら後部固定板1a及び前部固定板1bは、固定的に設置された円盤状の板体で、回転ドラム10の後側壁及び前側壁に設けた円孔にその回転を妨げないように嵌入されおり、この円孔の内周面と固定板1a、1bの外周面との間は、相対回転が行えるようにシールされている。なお、図1に示す例では、図7の従来例とは異なり、固化材は、後部固定板1aに取付けた固化材投入ホッパ2から回転ドラム10内にスクリュコンベアを介さずに直接搬入するようにしている。また、建設工事現場で回収した泥土は、従来例のような泥土投入ホッパ2aによらないで、後部固定板1aに取付けた泥土導入管3により回転ドラム10内に連続的に搬入できるようにしている。
【0020】
撹拌羽根19dは、所定間隔を置いて回転軸19aに多数固着されている。これらの撹拌羽根19dは、パドル羽根と称するものであって、スクリュ羽根とは異なり、それぞれが独立している。各撹拌羽根19dは、ここに示す例では、二つの扇形体を外周方向に向けて末広がり状をなすように背中合せに合体させたような形状を有している。多数の撹拌羽根19dは、図1に示すように、何れも前方に向かって下方に傾斜するように設けられ、互いに平行になるように配列されている。多数の撹拌羽根19dは、このように前方に向かって下方に傾斜させたことにより、後方の掻き上げ翼7aから落下する泥土や固化材が各撹拌羽根19dを通過する都度漸次前方に移動させることができて搬送翼8と同等の機能を果たすことができ、それゆえ、回転ドラム10に搬送翼8を設けることは、従来の技術とは異なり、必須不可欠の要件ではない。
【0021】
撹拌機19は、このように回転軸19aに独立した多数の撹拌羽根19dを固着して構成される。多軸撹拌機18は、こうした撹拌機19を回転軸19aが互いに平行になるように複数台並列させて構成し、ここに示す例では撹拌機19を3台ほど並べて構成している。その場合、各撹拌機19の多数の撹拌羽根19dが隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dの間に入り込むように配置する。すなわち、各撹拌機19の撹拌羽根19dが隣接するもの同士で半径方向においてラップするようにするとともに、各撹拌機19の撹拌羽根19dを隣接する撹拌機19の撹拌羽根19dと回転軸方向に位相をずらして両者が干渉しないように配列している。
【0022】
各撹拌機19の回転方向については、図2に示すように、隣接する左方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、落下した泥土を挾み込み得るように、それぞれR1 ,R2 の方向に回転させて反対方向に同一の回転数で回転させるようにしている。また、隣接する右方の一対の撹拌機19の撹拌羽根19dは、それぞれR2 ,R3 の方向に回転させて同じ方向に同一の回転数で回転させるようにしている。これら各一対の撹拌機19は、各撹拌羽根19dが傾斜するように設けられていて、その回転に伴って、隣接する左右の撹拌羽根19d間の間隔を変化させるので、同一方向及び反対方向の何れの方向に回転させるときでも、隣接する左右の撹拌羽根19dにより泥土を巻き込み、剪断破砕することができる。多軸撹拌機18を構成する場合、図には撹拌機19を3台並べて構成した例を示しているが、2台以上所望の台数並べて構成することができ、その台数は、回転ドラム10の内径や撹拌羽根19dの大きさ等を考慮しながら設計上適宜選択すればよい。
【0023】
多軸撹拌機18は、その端部を前部固定板1bを貫通させて回転ドラム10の前端部から突出させるようにして設置するとともに、各撹拌機19の回転軸19を同一水平面内に配置するようにして回転ドラム10の略中央部に水平に設置する。こうして回転ドラム10に設置した多軸撹拌機18は、後方の掻き上げ翼7aや搬送翼8を設けた区域にほぼ対応する図1のL1の区域において、泥土を破砕し固化材と撹拌混合する働きをする。また、前方の掻き上げ翼7bを設けた区域にほぼ対応する図1のL2の区域において、固化を済ませた固化泥土を取り込んで前方に搬送する働きをし、その搬送された固化泥土は、回転ドラム10の前端側から搬出されて排出口19cから排出される。
【0024】
多軸撹拌機18には、この多軸撹拌機18における固化泥土の搬出側部分(多軸撹拌機18中、固化泥土を取り込んで搬出するL2の個所及びその前方個所)を収容するケーシング19eを設けて、その前端部を、回転軸19aと同様、回転ドラム10の前部固定板1bから突出させるようにしている。なお、多軸撹拌機18のL1の区域には、泥土の破砕等の妨げになるため、ケーシング19eを設けない。このケーシング19eは、落下した固化泥土を取り込む個所すなわちL2の区域において、図1及び図3に示すようにケーシング19eの上方側を開放して土砂取り込み部19fを形成し、掻き上げ翼7bで掻き上げられて落下した固化泥土をケーシング19e内に取り込めるようにしている。ここに示す例では、このように、ケーシング19eの一部を、落下した固化泥土を取り込むための土砂取り込み部材に兼用している。また、L2の区域の前方個所においては、図1及び図4に示すように、ケーシング19eを、多軸撹拌機18を覆うように通常の態様で設けている。土砂取り込み部材は、落下した固化泥土を取り込めるような形状の部材であって撹拌羽根19dの下端に沿わせるように設けたものであればよく、必ずしもケーシング19eで兼用して構成する必要はない。
【0025】
こうした構造を備えた泥土固化処理装置11にあっては、泥土及び固化材をそれぞれ泥土導入管3及び固化材投入ホッパ2から回転ドラム10内に後部固定板1a側から搬入し、回転ドラム10を回転駆動装置19bで回転駆動すると、回転ドラム10の回転に伴って泥土と固化材を後方の掻き上げ翼7aにより上昇、落下させ、その落下時に、泥土の塊が多軸撹拌機18の撹拌羽根19dの縁部に衝突して一部破砕される。次いで、この段階で十分に破砕されなかった泥土の塊は、隣接する各撹拌機19の撹拌羽根19dの間に固化材と共に巻き込まれ、撹拌羽根19dの回転に伴って、各撹拌羽根19dにより剪断破砕されるようにして細かく砕かれ、回転ドラム10の底部に落下する。また、その過程で、細かく砕かれた泥土は、撹拌羽根19dで固化材と撹拌混合される。こうした泥土と固化材の上昇、落下、破砕、混合の動作は、回転ドラム10の回転に伴って繰り返され、その間、泥土は、搬送翼8や撹拌羽根19dの傾斜により漸次前方に進められながら固化材と混合して固化する。
【0026】
こうして生成された固化泥土は、今度は、前方の掻き上げ翼7bで押し上げられて上昇、落下し、この落下した固化泥土をケーシング19eの土砂取り込み部19fからケーシング19e内に取り込む。回転ドラム10の回転によりこうした動作を繰り返して固化泥土をケーシング19e内に漸次取り込むが、ケーシング19e内に取り込まれた固化泥土は、ケーシング19eに収容された状態で撹拌羽根19dの傾斜により前方に搬送され、前部固定板1b側から回転ドラム10の外部に搬出されて排出口19cから排出される。この泥土固化処理装置11では、上昇させた泥土を落下させるときに泥土の塊を多軸撹拌機18の撹拌羽根19dの縁部に衝突させて破砕するほか、特に撹拌羽根19dの回転により剪断するようにして細かく砕くようにしていて、泥土の自由落下に依存することなく破砕するようにしている。そして、こうして細かく砕いた泥土と、撹拌羽根19dで同時に巻き込んだ固化材とを撹拌羽根19dの回転により直ちに撹拌混合するようにしているので、回転ドラム10の径を従来の技術のようには大きくしなくても、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができる。
【0027】
この泥土固化処理装置11によれば、こうした従来の技術にはみられない優れた効果を発揮することに加え、多軸撹拌機18に格別の変更を加えることなく、土砂取り込み部材を付設するだけで、固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置の構造及び組立工程を簡素化することができる。しかも、その土砂取り込み部材を多軸撹拌機18のケーシング19eで兼用して構成するようにしているので、泥土固化処理装置11を製作する際に部品点数を少なくすることができるとともに組立工程を更に簡素化することができる。
【0028】
最後に、図5及び図6に基づき本発明の第2の具体化例の泥土固化処理装置21について説明する。この泥土固化処理装置21は、前記の泥土固化処理装置11に対し、多軸撹拌機28における固化泥土の搬出側の構造に差があるだけで、基本的な構造は、前記の泥土固化処理装置11と変わらない。
【0029】
図5及び図6において、28は泥土と固化材を撹拌羽根29dで巻き込んで砕きながら撹拌混合し得るように撹拌機29を複数個平行に並列させて構成した多軸撹拌機、29は回転軸29aに独立した多数の撹拌羽根29dと連続したスクリュー羽根29gとを回転ドラム10の後端側から前端側に向けて順次固着した撹拌機、29aは回転軸19aと同様の回転軸、29bはこの回転軸29aを回転駆動する回転軸19aと同様の回転駆動装置、29cはケーシング29eに設けた土砂排出口19cと同様の土砂排出口、29dは回転軸29aに固着された撹拌羽根19dと同様の撹拌羽根、29eはスクリュー羽根29gを収容するケーシング、29gは多軸撹拌機28における固化泥土の搬出側に設けられ掻き上げ翼7bから落下した固化泥土を搬出するスクリュー羽根である。
【0030】
各撹拌機29の撹拌羽根29dと隣接する撹拌機29の撹拌羽根29dとは、多軸撹拌機18と同様に配置して互いに干渉しないように配列し、各撹拌軸は、同一方向に同一回転数で回転駆動できるように構成されている。また、各撹拌機29のスクリュー羽根29gは、ケーシング29e内に取り込んだ固化泥土を前方に搬送し得るように形成され、図6に示すように、隣接するもの同士が互いに干渉しないようにオーバーラップして配置されている。多軸撹拌機28は、多軸撹拌機18と同様、L1の区域において、泥土を破砕し固化材と撹拌混合する働きをするとともに、L2の区域において、固化を済ませた固化泥土を取り込んで前方に搬送する働きをする。ケーシング29eは、L2の区域において、図5及び図6に示すようにケーシング29eの上方側を開放して土砂取り込み部29fを形成することにより、ケーシング29eで土砂取り込み部材を構成している。また、このL2の区域の前方個所においては、図5に示すように、ケーシング29eが多軸撹拌機28を覆うように通常の態様で設けられており、これらの点は、ケーシング19eと変わらない。
【0031】
この泥土固化処理装置21では、前記の泥土固化処理装置11と同様、回転ドラム10内に搬入された泥土の落下時にその塊を多軸撹拌機28の撹拌羽根29dの縁部に衝突させて破砕するほか、特に撹拌羽根29dの回転により剪断するようにして細かく砕いて、泥土の自由落下に依存することなく粉砕することができる。そして、その細かく砕いた泥土と、撹拌羽根29dで同時に巻き込んだ固化材とを撹拌羽根29dの回転により直ちに撹拌混合するようにしているので、前記の泥土固化処理装置11と同様、回転ドラム10の径を従来の技術のようには大きくしなくても、泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができる。こうして生成された固化泥土は、土砂取り込み部29fからケーシング29eに取り込まれて回転ドラム10の前端側から外部に搬出されるが、この泥土固化処理装置21では、固化泥土を特にスクリュー羽根29gにより搬出するようにしているため、固化泥土を外部に連続的に搬出できるとともにその固化泥土の排出力を増加することができて、固化泥土を外部に効率よく搬出することができる。また、土砂取り込み部材を多軸撹拌機28のケーシング29eで兼用して構成するようにしているので、泥土固化処理装置21を製作する際に部品点数を少なくすることができるとともに組立工程を簡素化することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明は、それぞれ、「課題を解決する手段」の項の1)及び2)に示した手段を採用しているので、この出願の各発明によれば、回転ドラムの径を従来の技術より小さくしても泥土を十分に破砕して固化材と効果的に混合することができる固化処理装置が得られる。こうした従来の技術にはみられない優れた効果を発揮することに加え、この出願の第1番目の発明によれば、多軸撹拌機に格別の変更を加えることなく、土砂取り込み部材を付設するだけで、固化泥土の搬出機能を付加することができて、泥土固化処理装置の構造及び組立工程を簡素化することができる。また、この出願の第2番目の発明によれば、スクリュー羽根を設けたことにより、固化泥土を外部に連続的に搬出できるとともにその固化泥土の排出力を増加することができて、固化泥土を外部に効率よく搬出することができる。この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、土砂取り込み部材を多軸撹拌機のケーシングで兼用して構成することができて、泥土固化処理装置を製作する際に部品点数を少なくすることができるとともに、この点によっても組立工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図である。
【図2】図1の泥土固化処理装置の I−I 線断面図である。
【図3】図1の泥土固化処理装置のII−II線断面図である。
【図4】図1の泥土固化処理装置の矢印 III−III 方向の矢視図である。
【図5】本発明の第2の具体化例の固化処理装置を示す縦断面図である。
【図6】図5の泥土固化処理装置のIV−IV線断面図である。
【図7】従来の技術に係る泥土固化処理装置の縦断面図である。
【図8】図7の泥土固化処理装置の V−V 線断面図である。
【符号の説明】
1a,1b 固定板
2 固化材投入ホッパ
3 泥土導入管
7a,7b 掻き上げ翼
8 搬送翼
10 回転ドラム
11 (第1の)泥土固化処理装置
12 軸受
18 多軸撹拌機
19 撹拌機
19a,29a 回転軸
19b,29b 回転駆動装置
19c,29c 排出口
19d,29d 撹拌羽根
19e,29e ケーシング
19f,29f 土砂取り込み部
21 (第2の)泥土固化処理装置
28 多軸撹拌機
29 撹拌機
29g スクリュ羽根
MD 泥土
SD 固化材

Claims (3)

  1. 建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを上昇、落下させ内部で混合して泥土を固化する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、回転駆動される回転軸に独立した多数の撹拌羽根を固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、泥土や固化材及び固化泥土が撹拌羽根上に落下するように多軸撹拌機を設置してその端部を回転ドラムの他端部から突出させるとともに、落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材を撹拌羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土を撹拌羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように構成したことを特徴とする泥土固化処理装置。
  2. 建設工事で発生する泥土とこの泥土を固化する固化材を一端側から搬入するとともに固化材により固化した固化泥土を他端側から搬出し、回転駆動することにより泥土と固化材とを上昇、落下させ内部で混合して泥土を固化する回転ドラムを備えた泥土固化処理装置において、回転駆動される回転軸に独立した多数の撹拌羽根とスクリュー羽根を回転ドラムの一端側から他端側に向けて順次固着した撹拌機を、泥土と固化材を撹拌羽根で剪断破砕しながら撹拌混合し得るように複数個並列させて、多軸撹拌機を構成し、泥土や固化材が撹拌羽根上に、固化泥土がスクリュー羽根上に落下するように多軸撹拌機を設置してその端部を回転ドラムの他端部から突出させるとともに、落下した固化泥土を取り込む土砂取り込み部材をスクリュー羽根の下側に沿わせて設けて、土砂取り込み部材で取り込んだ固化泥土をスクリュー羽根で回転ドラムの他端側から外部に搬出し得るように構成したことを特徴とする泥土固化処理装置。
  3. 多軸撹拌機に、この多軸撹拌機における固化泥土の搬出側部分を収容するケーシングを設けて、落下した固化泥土を取り込む個所においてケーシングの上方側を開放することにより、土砂取り込み部材を多軸撹拌機のケーシングで構成するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泥土固化処理装置。
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