JP3954644B2 - 医療に使用する化合物 - Google Patents
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Description
癌は、迅速にかつ制御されずに成長し、侵襲性であることが多い異常細胞の発達を記載するのに用いられる言葉である。生体器官への侵襲は、しばしば患者を死に至らしめる。
癌は非常にはびこっており、約30%の人々が彼等の寿命のうちある時点で癌になっていると考えられ、癌が約20%の割合で死の原因となっていると考えられている。癌の伝統的な治療法としては手術および放射線療法があるが、より最近では、癌細胞を損傷するあるいは殺すことができる化学治療または細胞毒性薬剤の開発に注意が向いてきた。
また、近年、組織の変化の発生に対する注意が増し、この変化が起こる部位で後に特殊な癌が発達する危険性が増加することが示されている。結腸や直腸の癌の発生の増加に関連する腸壁の変異(腸ポリープ)、皮膚癌に関連する皮膚の変質(光線性角化症)、及び子宮頸癌に関連する頸部のコンジロームなど、様々な症状が報告されてきた。当業者には、癌を進行させ、癌の発達に関連し、または有意に癌の危険性を有する傾向のある上記症状あるいは組織の変化は前癌性の症状または病変として知られている。太陽光線に過度に晒されることによる光線性角化症、または頸部のコンジロームの場合におけるヒトの乳頭腫ウィルスによる感染症の場合などのように、これらの前癌症状の原因は適度に良く確立されているものもある[カンサー イン プラクティス(Cancer in Practice)、ジー ジェー ジー リーズ(G J G Rees)、エス イー グッドマン(S E Goodman)及びジェー エー ブリモア(J A Bullimore)による、パブ ブッターウォース−ハインマン(Pub Butterworth-Heinemann)、オックスフォード(Oxford)、1993年]。また、前癌病変の原因は未だに特定されていない場合もある。
本発明は、癌の予防及び特に前癌病変の治療におけるある種のムラミルペプチド化合物(MDP)の使用に関するものである。
免疫システムの非特異的な刺激が細菌、または細菌細胞から抽出された成分に晒されることによって起こることはすでに知られている。上記活性に応答する特異的な成分は細胞壁の糖含有ペプチドとして同定されており、さらにこのペプチドの生化学的な分析によってこれらが細胞壁のペプチドグリカン成分であることが同定された。最小の有効合成分子がN−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(N-acetyl-muramyl-L-alanyl-D-isoglutamine)であることが分かり[マーサー(Merser)ら、バイオケム バイオフィズ レス コム(Biochem.Biophys.Res.Comm.)、66巻、頁1316(1975年)]、この物質はしばしば基本型のムラミルジペプチド(prototype muramyl dipeptide)または基本型のMDP(prototype MDP)と称される。
さらに、基本型のムラミルジペプチドの広範な類似体は合成され、これらの一部は免疫機能の修復または免疫システムの非特異的な刺激に対する処置物質として報告されている。これらの類似体、及び基本型のMDP自体はムラミルペプチド化合物(MDP)として既知である。
過去において、癌の処置においてMDPを使用することに関して研究が行われており、例えば、キー(Key)ら、ジェー ナショル カンサー インスト(J.Natl.Cancer Inst.)、69(5)、頁1189〜1198(1982年)には、MDP誘導体を含むリポソームを用いて肺への黒色腫の転移の治療が報告されている。その後、同様の研究グループが、MDP誘導体であるMTP−PEを被包したポソームを用いて黒色腫の転移を根絶するための最適な条件及び限定を調査した[フィドラー(Fidler)ら、カンサー イムノル イムノテル(Cancer Immunol.Immunother.)、21(3)、頁169〜173(1986年)]。さらに、良く確立された黒色腫の転移を撲滅するのには有効ではなかったが、経口投与されたMTP−PEを被包した非リポソームによって肺及び角膜周囲のマクロファージにおいて殺腫瘍活性が得られ、肺及びリンパ節への転移を防止するのに有効であることが分かった[フィドラー(Fidler)ら、ジェー イムノル(J.Immunol.)、138(12)、頁4509〜4514(1987年)]。
フィリップス(Phillips)ら、ジェー バイオル レスポンス モディフ(J.Biol.Response Modif.)、6(6)、頁678〜691にも、親油性のMDP類似体を含むリポソームを用いた実験的な肺への転移の治療に関する研究が記載されている。繰り返すが、この化合物は、実験的に誘導されたマウスの肺のB16黒色腫の腫瘍を治療するのに使用された。しかしながら、クライナーマン(Kleinerman)らは、ジェー クリン オンコロジー(J.Clin.Oncology)、9(2)、頁259〜267(1991年)において、MDP誘導体であるL−MTP−PEが転移性の病気を治療する単一の物理療法として作用できるとは考えられないと結論付けた。
MDPによっては、ヒトの治療を目的とした臨床的な試験に使用されていた。例えば、クライナーマン(Kleinerman)ら[クライナーマン,イーエス(Kleinerman,ES)、カンサー イムノル イムノテル(Cancer Immunol.Immunother.)、34:頁211〜220、1992年]]は、骨肉腫の患者で発達した肺への転移の処置にリポソーム配合物中に親油性の類似体を使用した。
上記したように癌の処置にMDPを使用することを示そうとしたにもかかわらず、また、MDPが約20年前に発見されたいう事実にもかかわらず、ヒトの癌の治療にMDPが非常に有用な効果がある例は一つも報告されていない。
しかしながら、本発明者らは、ここで、ある種のムラミルペプチド誘導体が、前癌性の病変を患っている患者に有効量のムラミルペプチド化合物を投与することからなる、前癌性の病変の処置方法に特に有効であることを発見した。したがって、本処置方法は、癌の処置に対する予防方法を構成するものである。
本方法は、新規であるばかりでなく、長期間で、危険で、不愉快であり、かつしばしば不成功に終わる癌の処置を受けずに、癌の発生を防止することは常に好ましいので、患者にとって有益であることは明らかである。
したがって、本発明の第一の概念によると、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる前癌性の病変の処置を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用を提供するものである。
この薬剤は、粘膜性の及び上皮性の癌を引き起こす前癌性の病変を処置するのに特に好ましいものの、どのような型の前癌性の病変を処置するのに使用されてもよい。
本発明はまた、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる癌の予防を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用を提供するものである。
繰り返すが、この薬剤は、上皮及び粘膜由来の癌の予防を目的として使用されるのが最も有効であるが、どのような型の癌の予防を目的として使用されてもよい。この薬剤の予防活性は前癌性の病変の処置に使用することにより生じることもあるが、薬剤が癌の危険性はあるが前癌性の病変を有さない患者に対する予防効果を有する場合もある。
発熱性がある種のムラミルペプチド化合物の開発を難しくする問題である。発熱性は適当な配合物(例えば、US−A−4522811号及びUS−A−4684625号のリポソーム配合物)によって抑制されるが、通常、本発明では内因性の発熱性の低いムラミルペプチド化合物を使用するように選択することが好ましい。
本発明において使用される数多くのムラミルペプチド化合物は下記一般式Iによって表わされる:
ただし:
R1は水素原子または炭素数1から22のアシル基を表わし;
R2は水素原子または炭素数1から22のアシル基を表わし;
R3は水素原子または炭素数1から6のアルキル基を表わし;
R4は炭素数1から21のアルキル基または炭素数6若しくは炭素10のアリール基を表わし;
R5は水素原子を表わし;および
Rはアミノ酸残基または2から6個のアミノ酸残基から構成される直鎖のペプチド残基を表わし、少なくとも1つの残基は必要であれば親油性基で置換される。
R1及びR2に関するアシル基はアセチル等の炭素数1から5のアシル基であることが好ましい;アシル基中の炭素数にはカルボニル部分を含まないと考える。R3に関するアルキル基はメチル及びエチル等の炭素数1から4のアルキル基であることが好ましい。R4に関する好ましいアルキル基は、炭素数1から6のアルキル基、特にメチルまたはエチル等の炭素数1から4のアルキル基である;フェニルが好ましいアリール基である。
Rは、好ましくは、アミノ酸残基またはジ−若しくはトリ−ペプチド残基を表わす。近位の(proximal)ペプチド残基(またはたった一つである際には、単一のペプチド残基)はL−アミノ酸残基であることが好ましい。例えば、以下のものが挙げられる:
L−アラニル、L−トリプトファニル、
L−バリル、L−リシル、
L−ロイシル、L−オルニチル、
L−イソロイシル、L−アルギニル、
L−α−アミノブチリル、L−ヒスチジル、
L−セリル、L−グルタミル、
L−トレオニル、L−グルタミニル、
L−メチオニル、L−アスパルチル、
L−システイニル、L−アスパラギニル、
L−フェニルアラニル、L−プロリル、
L−チロシル、L−ヒドロキシプロリル。
L−アラニル、さらにはL−トレオニルが好ましい。
ペプチドの近位端から二番目のアミノ酸はD立体配置のものであることが好ましい。また、酸性であることが好ましく、D−グルタミン酸若しくはD−アスパラギン酸またはその1置換型の、2置換型の若しくは混合型の炭素数1から22(好ましくは炭素数1から6)のアルキルエステル、アミド若しくは炭素数1から4のアルキルアミドである。(「混合」という表現は1つのカルボキシル基がアミド化し他はエステル化する場合を示す。)D−イソグルタミン及びD−グルタメートが好ましい。
上記鎖の近位端から3番目のアミノ酸残基は、一つである際には、近位のアミノ酸残基に関する上記記載と同様、L立体配置のものであることが好ましい。L−アラニル及びL−リシルが好ましい。
アミノ酸残基または直鎖のペプチド残基は必要であれば少なくとも一つの親油性基で置換される。親油性基は、ステアロイル等の炭素数10から22のアシル基またはジ−(炭素数10から22のアシル)−sn−グリセロ−3’−ヒドロキシ−ホスフェリルオキシ基[di-(C10-C22 acyl)-sn-3'-hydroxy-phospheryl-group][但し、例えば各炭素数10から22のアシル基がパルミトイル基であってもよい]である。親油性基は、炭素数2から6のエステル基等の、炭素数1から10のエステル基であってもよく(またはさらに、一つ以上の置換が存在していてもよい);ブチルエステルが一例である。
一般式Iの概念に含まれるムラミルジペプチドの例としては以下が挙げられる:
MDP−Lys(L18)として既知である、ムロクタシン(muroctasin)[N2−(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル)−N6−ステアロイル−L−リシン[N2-(N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl)-N6-stearoyl-L-lysine];
MTP−PE[N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニル−2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3’−ヒドロキシ−ホスホリルオキシ)エチルアミド−ナトリウム[N-acetyl-muramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl-L-alanyl-2-(1',2'-dipalmitoyl-sn-glycero-3'-hydroxy-phosphoryloxy)ethylamide,monosodium]];
ムラブチド(murabutide)(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン−α−N−ブチル エステル(N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-glutamine-α-N-butyl ester));及び
t−MDP(N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(N-acetylmuramyl-L-threonyl-D-isoglutamine))。
ムロクタシン(muroctasin)の調製は、EP−A−0021367号及びUS−A−4317771号に開示されている。MTP−PEの調製は、EP−A−0025495号に開示されている。ムラブチド(murabutide)の調製は、レフランシャー(Lefrancier)ら、ジェー メド ケム(J.Med,Chem.)、25巻、頁87(1982年)に記載されている。t−MDPの調製は、既知の方法によって調製できる。ムラミルペプチド化合物の調製を詳細に記載している特許公報としては、通常、BE−A−0834753号、BE−A−0834754号、BE−A−0847103号、BE−A−0849214号、DE−A−2710455号、DE−A−2922533号、DE−A−2747379号、DE−A−2912865号、FR−A−2355505号、FR−A−2358159号、FR−A−2375249号、EP−A−0004512号、EP−A−0002677号、JP−A−54063016号、JP−A−54073729号、JP−A−55019236号、US−A−4082735号、及びUS−A−4082736号が挙げられる。(基本型のムラミルジペプチドの調製はDE−A−2450355号及びUS−A−4235771号に開示される。)本明細書で引用された文献はすべて引用によって挿入されている。
本発明に使用できるすべてのムラミルジペプチドが一般式Iで表わされるわけではない。数多くが下記一般式IIで表わされ、これらは本発明で使用される化合物の非常に好ましいグループである:
ただし:
Rはアミノ酸残基または2から6個のアミノ酸残基から構成される直鎖のペプチド残基を表わし、少なくとも1つの残基は必要であれば親油性基で置換されており;及び
nは1または2である。
この化合物は一般式IIのアノマーであってもよい。Rに関する好ましい値は一般器式Iに関する記載と同様である。ペプチドRが基本型MDP(L−Ala−D−isoGln)におけるペプチドと一致することが特に好ましい。または、他の好ましい実施態様によると、RはL−Ala−D−Gluを表わす。
nに関する好ましい値は1である。
一般式IIの化合物はUS−A−4395399号に開示されており、上記文献に列挙された好ましい態様が本発明おいても同様に好ましい。さらに、本発明においては、基Rは上記したように親油性基で置換されてもよい。
本発明において使用される最も好ましい化合物の一つとしては一般式IIで表わされるものがあり、例えば、N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutamine](GMDP)があり、その構造は以下に示される通りである:
上記化合物(US−A−4395399号における化合物II)は、グリコピン(glycopin)としても知られているが、USSR(その時の実情では)において臨床使用するための認可に必要な前臨床による毒性試験及び薬物動態学的な研究がすでに行われている。LD50試験によって測定されたマウスの急性毒性は7g/kgである。これにより、上記化合物は、マウスのLD50値が625mg/kgであり、その治療用途が発熱などの好ましくない副作用と関連するムコクタシンより低い毒性値のオーダーを有することが示される。
GMDPの発熱性はMDPの約50%であり臨床評価を防ぐものではなかったが、より発熱性の低い類似体を使用することが好ましい場合がある。このような類似体も使用でき、例えば、N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン酸[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutamic acid](GMDP−A)があり、これはUS−A−4395399号では化合物IIIに相当し、その構造は以下に示される通りである:
一般式IIの概念に含まれる他の好ましい化合物としては下記のものが挙げられる:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−L−イソグルタミン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-L-isoglutamine](GMDP−LL):
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン n−ブチルエステル[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-glutamine n-butyl ester](GMDP−OBu):
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−リシン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl-L-lysine](GMDP−Lys):
下記構造を有するNα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル]−Nε−ステアロイル−L−リシン{Nα-[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1-4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl]-Nε-stearoyl-L-lysine}(GMDP−Lys(St)):
他の有用な化合物としては以下のものが挙げられる:
下記構造を有するNα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−グルタミル]−Nε−ステアロイル−L−リシン{Nα−[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetyl-muramyl-L-alanyl-γ-D-glutamyl]-Nε-stearoyl-L-lysine}:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン酸 ジベンジルエステル[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-glutamic acid dibenzyl ester]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−N−メチル−L−アラニル−D−イソグルタミン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-N-methyl-L-alanyl-D-isoglutamine]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−イングルタミン)[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-(β1--4)-N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-bis-(L-alanyl-D-isoglutamine)]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−グルタミン酸)[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-(β1--4)-N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-bis-(L-alanyl-D-glutamic acid)]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−リシン)[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-(β1--4)-N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-bis-(L-alanyl-D-isoglutaminyl-L-lysine)]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−[L−アラニル−D−イソグルタミニル−Nε−ステアロイル−L−リシン]{N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-(β1--4)-N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-bis[L-alanyl-D-isoglutaminyl-Nε-stearoyl-L-lysine]}:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン 1−アダマンチルエステル[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutamine 1-adamantyl ester]:
下記構造を有するL−トレオニル−Nε−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル]−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン{L-threonyl-Nε-[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetyl-muramyl-L-alanyl-γ-D-isoglutaminyl]-L-lysyl-prolyl-L-arginine}:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル−L−トレオニル−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetyl-muramyl-L-alanyl-γ-D-isoglutaminyl-L-threonyl-L-lysyl-L-prolyl-L-arginine]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−α−D−グルタミル−L−リシル−L−トレオニル−Nε−ステアロイル−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-α-D-glutamyl-L-lysyl-L-threonyl-Nε-stearoyl-L-lysyl-L-prolyl-L-arginine]:
下記構造を有するNε−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル]−L−リシル−L−ヒスチジル−L−グリシン アミド{Nε-[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetyl-muramyl-L-alanyl-γ-D-isoglutaminyl]-L-lysyl-L-histidyl-L-glycine amide}:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−グルタミル−L−トリプトファン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl-L-glutamyl-L-tryptophan]:
下記構造を有するN−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−ε−アミノヘキサノイル−L−グルタミル−L−トリプトファン[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl-ε-aminohexanoyl-L-glutamyl-L-tryptophan]:
下記構造を有するNα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル]−Nε−ステアロイル−L−リシル−L−グルタミル−L−トリプトファン{Nα-[N-acetyl-D-glucosaminyl-(β1--4)-N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-isoglutaminyl]-Nε-stearoyl-L-lysyl-L-glutamyl-L-tryptophan]:
下記構造を有するN−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(N-acetylmuramyl-L-threonyl-D-isoglutamine):
下記構造を有するN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン n−ブチルエステル(N-acetylmuramyl-L-alanyl-D-glutamine n-butyl ester):
上記構造において、以下の略称を用いる:
Bzl ベンジル;
Me メチル;
Ahx ε−アミノヘキサノイル。
最も好ましい化合物は、GMDP、GMDP−A、及びムラブチド(murabutide)である。
一般式IIの概念に含まれるグルコサミニル−ムラミルジペプチド(glucosaminyl-muramyl dipeptide)は、US−A−4395399号に開示された方法によって比較的安価にかつ適度に大量に調製できる。開示された調製方法は、細菌ミクロコッカス リソデクティカス(Micrococcus lysodecticus)由来の二糖成分の抽出及び精製、さらには例えば公知のペプチド化学によって合成されるジペプチドへの化学的な連結(linkage)を基礎とするものである。しかしながら、二糖は標準的な糖化学を用いて化学的に合成されていてもよい。
上述した一般式I及びIIの好ましい化合物のさらなる長所は、水に可溶性であるため患者への投与が容易であることである。
MDPの予防的な使用は、前癌性の症状の処置における化合物の有効性により生じる。
このような前癌性の症状は、例えば、ヒトの乳頭腫ウィルス株による感染に関連した乳頭腫の形成によって癌化し始めやすい頸部癌(cervical cancer)で生じる。乳頭腫は容易に検出でき、通常、焼灼によるまたは液体窒素を用いた後外科的に除去することにより処置している。しかしながら、未処置の場合、乳頭腫は新形成に進行し、さらに非常に処置しにくい頸部癌を形成しやすい。頸部癌を患った婦人の生存率は非常に高いため、新形成を防止することが好ましいことは明白である。乳頭腫の予防的な処置はある程度は成功しているが、外科的な処理によっては再発は完全には防止されない。胚上皮から生じるほとんどの腺癌である、結腸直腸癌が、腸ポリープの場合では、良性の前癌性の病変から生じえる異なるタイプの癌であるという良い証拠がある。
本発明によって処理することのできる他の前癌性の病変(および、括弧内は、その後悪性になる可能性のある症状)の例としては、性器いぼ(子宮頸癌);肛門のいぼ(肛門の癌);腸のポリープ(結腸直腸癌);光線性角化症(基底細胞癌、扁平上皮癌及び黒色腫);ケーラー紅色肥厚症(陰茎の扁平上皮癌(squamous carcinoma));ボーエン病(陰茎の扁平上皮癌);陰茎のいぼ(陰茎癌);白斑症(外陰の癌);扁平苔癬(口腔粘膜の癌);胃の腺腫様ポリープ(胃癌);膀胱上皮の乳頭腫(膀胱癌(bladder carcinoma);及び食道の(oesophageal)乳頭腫(食道の扁平上皮癌)が挙げられる。
しかしながら、このリストは単に例示したのみであって、本発明は粘膜性または上皮性の癌になると考えられるどのような前癌性の病変を処置するのにも使用できることを理解すべきである。
このような型の癌すべてにおいて、新形成が生じた後に癌を処置しようとするよりも新形成前の前癌段階を処置する方が通常より効果的である。
上記例はすべて上皮性または粘膜性の組織の癌であることを特記する。粘膜及び上皮由来の癌の処置におけるMDPの有効性は、少なくとも一部は、粘膜免疫の刺激物質としての活性より得られると考えられる。特に、IgAレベルがGMDP及びGMDP−Aで処置した患者で特に高いことが分かった。なお、本発明の有効性は上記理論が正しいか否かによらないことを強調すべきである。
MDPは頸部、肛門若しくは結腸直腸領域の乳頭腫、または皮膚若しくは口腔粘膜の前癌性の症状の処置を目的とした薬剤の調製に特に有効であると考えられる。したがって、これらの薬剤は上述した癌の予防に有効であろう。
場合によっては、MDPによる前癌性の症状の処置によって前癌性の症状が消失する場合もあるが、このような処置が単に新形成を防止する場合もある。
前癌性の症状の処置がMDP類似体のみを用いる場合もあるが、他方では、MDP類似体を用いた処置が副(adjunct therapy)または補助治療(adjuvant therapy)である場合もあり、この場合には、外科治療、冷凍外科治療、レーザー蒸気療法(laser vaporization)、化学療法、免疫療法または放射線治療に加えて行う。
MDPが前癌性の症状の処置に有効であるという発見は、大量の研究が従来明らかにされないまま癌におけるMDPの使用に関して行われてきたという点で特に驚くべきものがある。
本発明の概念が特に適用される癌の型は上記した通りである。
状況によっては、癌はこのような検出可能な前癌性の病変とは関連がない場合もある。しかしながら、様々な内因性のマーカーが存在し、そのほとんどが特殊な型の癌に対する担体の疾病素質を示す遺伝子マーカーであることが医療分野において認められている。
したがって、MDPは、癌の発達を防止する予防的な処置方法としてこのようなマーカーのキャリアに、さらには癌になる危険性の高いことが分かっている他の患者に投与してもよい。癌になる危険性の高い患者としては、遺伝子マーカーを有する患者、その病歴の家系である患者または危険性の高い環境下で、例えば放射線レベルの高い領域で、働く人々が挙げられる。
したがって、本発明のさらなる概念によると、癌に関する内因性のマーカーを有するまたは癌症状のでる危険性の高いことが特定される患者の癌の予防を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチドの使用を提供するものである。
このようなタイプの予防的な使用は既知の癌療法には企図されないものであった。放射線療法及び化学療法は、2つとも、病気になる危険性のほとんどない健常な人には絶えなれないほどのつらい副作用がある。
この化合物の投与経路は、当然、処置する前癌性の病変または癌の型によって異なる。しかしながら、具体的な投与経路としては、口腔(どのような前癌性の病変または癌にも好ましいが、特に口腔及び胃腸(GI)管の前癌性の病変または癌に好ましい);腔(頸部癌及び関連した前癌性病変に対する);直腸(より低部の胃腸(GI)管の癌及び前癌性の病変、特に結腸直腸癌及び肛門の癌及び前癌性の病変);および局所または経皮(皮膚及び口腔粘膜の癌及び前癌性の病変)によるものが挙げられる。上記した経路は好ましい投与経路であるが、腸管外で、例えば、静脈内または筋肉内注射によって、化合物を投与することも可能である。さらに、化合物を腫瘍、例えば膀胱の乳頭腫の局所部に、または頸部癌の膣及び子宮中にカテーテルや他の器具により注入(instill)してもよい。
経口用配合物は処置する癌の部位によって錠剤、カプセルまたは乳剤の形態を有する。場合によっては、活性化合物が配合物が必要となる部位に到達するまで放出しないように放出を遅延させる配合物である必要があることもある。配合物は、他の成分をさらに含んでいてもよく、錠剤の場合には、1つまたはそれ以上の適当な担体が通常存在する。具体的な担体としては、ラクトース、サッカロース、ジャガイモのデンプン、ステアリン酸カルシウム及びメチルセルロースが挙げられる。
注入用の調製物はGMDP若しくはGMDP−Aの溶液を含んでいてもよく、またはこれらの化合物をリポソーム中に被包して注入用の調製物を形成してもよい。
腔及び直腸用の配合物は、それぞれ、ペッサリー及び座剤として配合される。これらの配合物は他の賦形剤や適当な担体を含んでおり、賦形剤は配合分野においてよく公知である。
経皮及び他の局所的な配合物は、軟膏、クリームまたはローションの形態を有し、繰り返すが、適当な担体及び賦形剤は当該分野において既知である。
さらに、皮膚への化合物の浸透を改善するために、特に親油性の類似体を用いることが好ましい。または、皮膚への浸透性を修飾する化合物を配合物中に含ませてもよく、または皮膚中に類似体が注入されるのを誘導するために電位を用いてもよい。経皮用の配合物に関しては、配合物は経皮用パッチまたは同様の器具中に含ませてもよい。
腔、直腸、局所及び経皮用配合物はすべて新規であり、それ自身本発明のさらなる概念を形成する。本発明の上記概念によると、局所、経皮、直腸または膣経路による投与を目的として使用されることを特徴とする、ムラミルペプチド化合物および製薬上許容できる賦形剤または担体からなる組成物を提供するものである。
局所及び経皮用配合物は、上述したように、皮膚癌の予防に特に有用であると考えられ、ムラミルペプチドは、皮膚癌のさらなる保護剤としての局所用サンスクリーン(sun screen)中に含ませてもよい。
正確な投与量は臨床医(clinician)または医師(physician)によって判断される。しかしながら、通常、1日の平均投与量0.1〜100mg/日(または/錠剤または他の単位投与量)の範囲内である。0.5〜50mg/日(または/錠剤または他の単位投与量)の投与量の範囲が好ましいと考えられ、1.0〜10mg程度の1日の投与量が最適であると考えられる。
本発明を下記実施例及び下記図面によりさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されない。
図1は、子宮頸部がHPV感染した患者における頸粘膜のIg濃度に関するGMDPの効果を示すヒストグラムである;
図2は、子宮頸部がHPV感染した患者における血清のIgレベルに関するGMDPの効果を示すヒストグラムである;
図3は、子宮頸部がHPV感染した患者におけるリンパ球のサブポピュレーション(sub-population)に関するGMDPの効果を示すヒストグラムである。
実施例1
子宮頸部の前癌性ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)感染症の処置におけるGMDPの使用
方法:
研究群は、頸部がHPV感染している20〜30歳(平均年齢:26.7歳)の婦人50人から構成された。疾病期間は1から3.5年であった。30人の婦人に併用処置(combined treatment)の一部としてGMDPを投与し、残りの20人には併用治療(combined therapy)において偽薬を投与した。月経期間中の頸部の分泌物のIg濃度の変化を制御するために、期間開始後8〜10日目に処置を開始した。
下記の数多くの免疫学的なパラメーターを処置開始前に調べた;血清中の免疫グロブリン(Ig)(放射免疫拡散法)、唾液及び生殖路分泌物中のIg(ELISA)、免疫細胞のサブポピュレーション(subpopulation)(免疫細胞蛍光定量法(immunocytofluorimetry))。
次に、被験者に対して、10日間、付随した細菌の感染症に対する抗生物質の公知の処置;レーザー及び冷凍療法(cryotherapy)によるHPVが感染した頸部の上皮(コンジローム)の破壊、及び毎日1mgのGMDPを経口投与することからなる免疫療法を行った。コントロールの被験者にはGMDPの代わりに偽薬を投与した。
GMDP(または偽薬)を最終的に投与してから3日目に、被験者に同様の免疫学的な調査を行った。続けて、HPV感染症の臨床学的な経過に関する研究を行った。
免疫学的なパラメーターに関するコントロールの値は、HPV感染していない婦人群からとった。彼女らの年齢の範囲は20〜30歳であり、平均年齢は25.6歳であった。
結果:
臨床学的な結果:
続行期間中、処置結果は、コルポスコピー及び細胞学的な検査によって評価した。表1に示されるように、レーザー及び冷凍療法の補助としてGMDPが投与された被験者群では治癒率の上昇が見られた。
免疫学的なエンドポイント(endpoint):
正常なコントロールは、処置期間前には患者によって多くの相違を示した(表2)。偽薬による処置(レーザーまたは冷凍療法を行ったが免疫療法は行わない)は処置前後で差がなかった。しかしながら、GMDP群では、多くの有意の処置関連変化があった。特に、頸粘膜におけるより低レベルのIgA及びsIgAが上昇し、後者の場合では、正常なコントロールで見られたレベルを超えた。
GMDP投与に関連した多くの変化が、血球数及びサブタイプの分布でも観察された。感染した患者は感染していないコントロールと比較すると有意に低い白血球数を有する。この値はGMDP処置によって上昇するが、偽薬群では上昇しなかった。全リンパ球数もGMDP処置によって上昇し、これは主にT細胞(CD3+ve)、特にCD4+veのサブセット、の増加によるものであった。
結論:
子宮頸部がHPV感染している患者へのGMDPの投与によって、多くの免疫学的なパラメーターの有意の変化が誘導された。これらは、補助的なGMDP療法に関連した治癒率の増加傾向と関連していると考えられる。
Claims (24)
- ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる前癌性の病変の処置を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用方法。
- ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる癌の予防を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用方法
。 - 該癌は上皮または粘膜由来の癌である請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
- 該癌が頸部癌、結腸直腸癌、肛門の癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、陰茎の扁平上皮癌、陰茎の癌、外陰の癌、口腔粘膜の癌、胃癌、膀胱癌または食道の扁平上皮癌である、請求の範囲第3項に記載の方法。
- ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる皮膚癌の予防を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用方法。
- 該ムラミルペプチド化合物が外科治療、化学療法、免疫療法または放射線治療と組み合わせて投与される、請求の範囲第1項から第5項のいずれかに記載の方法。
- ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる癌に関する内因性のマーカーを有するまたは癌症状のでる危険性があると特定される患者の癌の予防を目的とした薬剤の調製におけるムラミルペプチド化合物の使用方法。
- 一般式Iの化合物が下記のいずれかのまたはすべての若しくはいずれかの矛盾のない組み合わせの置換基を有するものである、請求の範囲第8項に記載の方法:
R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1から5のアシル基を表わし;
R3は炭素数1から4のアルキル基を表わし;
R4は炭素数1から6のアルキル基、またはフェニル基を表わし;
Rはアミノ酸残基またはジ−若しくはトリ−ペプチド残基を表わす。 - 該ムラミルペプチド化合物が下記である、請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記載の方法:
MDP−Lys(L18)として既知である、ムロクタシン[N2−(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル)−N6−ステアロイル−L−リシン];
MTP−PE[N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニル−2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3’−ヒドロキシ−ホスホリルオキシ)エチルアミド−ナトリウム];
MDP−OBu(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン−n−ブチルエステル);
ムラブチド(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン−α−N−ブチルエステル);または
t−MDP(N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン)。 - nが1である請求の範囲第11項に記載の方法。
- 近位のアミノ酸残基がL−アミノ酸残基である、請求の範囲第11項または第12項に記載の方法。
- 近位のアミノ酸残基がL−アラニン残基である、請求の範囲第13項に記載の方法。
- ペプチドの近位端から二番目のアミノ酸残基が、D立体配置のものである、請求の範囲第11項から第14項のいずれかに記載の方法。
- 該二番目のアミノ酸残基がD−グルタミン酸若しくはD−アスパラギン酸またはその1置換型の、2置換型の若しくは混合型の炭素数1から22のアルキルエステル、アミド若しくは炭素数1から4のアルキルアミドである、請求の範囲第15項に記載の方法。
- 該二番目のアミノ酸残基がD−イソグルタミニルまたはD−グルタミルである、請求の範囲第14項から第15項のいずれかに記載の方法。
- ペプチドの近位端から三番目のアミノ酸残基が、L立体配置のものである、請求の範囲第11項から第17項のいずれかに記載の方法。
- 該三番目のアミノ酸残基がL−アラニルまたはL−リシルである、請求の範囲第18項に記載の方法。
- アミノ酸残基または直鎖のペプチドは必要であれば少なくとも一つの親油性基で置換される、請求の範囲第11項から第19項のいずれかに記載の方法。
- 該化合物がN−アセチル−グルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(GMDP)である、請求の範囲第11項に記載の方法。
- 該化合物が下記である、請求の範囲第11項に記載の方法:
N−アセチル−グルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン酸(GMDP−A);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン n−ブチルエステル(GMDP−OBu);
Nα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル]−Nε−ステアロイル−L−リシン(GMDP−Lys(St));
Nα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−グルタミル]−Nε−ステアロイル−L−リシン(GMDPA−Lys(St));
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン 酸ジベンジルエステル(GMDPA(OBzl)2);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−N−メチル−L−アラニル−D−イソグルタミン(Me−GMDP);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−イソグルタミン)((GMDP)2);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−グルタミン酸)((GMDPA)2);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−(L−アラニル−D−イソ グルタミニル−L−リシン)((GMDP Lys)2);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−(β1−−4)−N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−ビス−[L−アラニル−D−イソグルタミニル−Nε−ステアロイル−L−リシン]([GMDP−Lys(St)]2);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン 1−アダマンチルエステル(GMDP−Ad);
L−トレオニル−Nε−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル]−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン(GMDP−ツフトシンE);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル−L−トレオニル−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン(GMDP−ツフトシンA);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−α−D−グルタミル−L−リシル−L−トレオニル−Nε−ステアロイル−L−リシル−L−プロリル−L−アルギニン(GMDPA−ツフトシン親油性);
Nε−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−γ−D−イソグルタミニル]−L−リシル−L−ヒスチジル−L−グリシン アミド(GMDPA−ブルシン);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−グルタミル−L−トリプトファン(GMDP−チモーゲンI);
N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−ε−アミノヘキサノイル−L−グルタミル−L−トリプトファン(GMDP−チモーゲンII);
Nα−[N−アセチル−D−グルコサミニル−(β1−−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル]−Nε−ステアロイル−L−リシル−L−グルタミル−L−トリプトファン(GMDP−チモーゲンIII);
N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(Thr−MDP);または
N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン n−ブチルエステル(ムラブチド)。 - 該ムラミルペプチド化合物は口腔、膣、直腸、局所、経皮または腸管外経路により投与される、請求の範囲第1項から第22項のいずれかに記載の方法。
- 局所、経皮、直腸または膣経路による投与を目的として使用されることを特徴とする、ムラミルペプチド化合物および製薬上許容できる賦形剤または担体からなるヒト乳頭腫ウィルス(HPV)(Human Papilloma Virus)によって引き起こされる前癌性の病変の処置または予防を目的とする組成物。
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