JP2005075741A - 放射線効果増強剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は腫瘍の放射線療法における放射線効果増強剤に関する。
一般に癌の化学療法は2剤以上の抗癌剤の組み合わせによる多剤併用療法及び放射線療法との併用療法が主に行われている。この理論的な根拠として、作用機序の異なる薬剤の組み合わせにより、1)非感受性細胞集団を減少させる、2)薬剤耐性出現を予防又は遅延させる、3)毒性の異なる薬剤の組み合わせにより毒性を分散させることが挙げられる。また、放射線療法を併用することにより化学療法単独に比べ、1)局所再発性率を1/2(30%前後)に減少させる、2)2年生存率を5〜15%向上させる、3)癌細胞に対する毒性を増強させるなどが想定されている。
放射線は様々な細胞において成長停止及び/又はアポトーシスを引き起こす。しかしながら、放射線への反応は細胞によって著しく異なる。細胞によってはアポトーシスで死ぬものもあり、壊死を起こして死ぬものもある。放射線を当ててから細胞が死ぬまでの時間もまちまちである。よって、放射能耐性を持った腫瘍細胞には放射線療法は非効率的とされており、外科手術による治療が主流となっていた。しかし、局所的に発達した癌に対して放射線療法の成す役割は重要である。実際に外科手術のみの場合と比べ、手術後の化学放射線療法は患者の生存率を向上させている。このことから治療に適した放射線効果増強剤があれば、放射線療法が癌の治療に大いに役立つ可能性がある。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤はヒストンの高アセチル化を誘発し、結果として各種遺伝子の転写調節活性、細胞周期阻害活性及びアポトーシスを誘導する(特許文献1、非特許文献1参照)ことが報告されている。そしてヒストンデアセチラーゼ阻害剤は強力な抗癌剤としても知られている。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は独特な抗癌剤で、高アセチル化を誘導し、いくつかの転写因子を活性化するが、DNAそのものには影響しない。
さらにヒストンデアセチラーゼ阻害剤の一種であるフェニルブチレートが、放射線による前立線癌細胞のアポトーシス誘導作用に対して併用効果を示すことが報告されている。(非特許文献2参照)
さらにヒストンデアセチラーゼ阻害剤の一種であるフェニルブチレートが、放射線による前立線癌細胞のアポトーシス誘導作用に対して併用効果を示すことが報告されている。(非特許文献2参照)
で表される化合物(以下、化合物Aと称する)、特に以下の式
で表される立体異性体(以下、FK228と称する)はヒストンデアセチラーゼ阻害剤の一種で、強力な抗腫瘍活性を有することが報告されている(特許文献1、非特許文献1参照)。特に言及しない限り、化合物Aとの記載はFK228を包含するものとする。
しかしながら、放射線療法との併用、並びに併用によって得られる効果についての報告はまだなされていない。
特公平7−64872号公報
エイチ.ナカジマら(H. Nakajima et al)「エクスペリメンタル セル リサーチ(Experimental Cell Research)」、(米国)、1998年、第241巻、P.126−133
メイデー・ゴーら(Meidee Goh et al.)「ネオプラシア(Neoplasia)」、2001年、第3巻、No.4、p.331−338
本発明の課題は、放射線療法の効果、特に抗腫瘍効果を増幅させる剤を提供することにあり、また放射線感受性の亢進に基づく放射線効果増強剤を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、癌細胞を用いたインビトロ及びヌードマウスを用いたインビボ実験において、FK228と放射線療法の併用が、腫瘍の治療に対して予想外に優れた効果を示すことを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)
(1)
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する腫瘍の放射線療法における放射線効果増強剤。
(2)腫瘍が悪性腫瘍である、(1)記載の放射線効果増強剤。
(3)悪性腫瘍が胃腸管腫瘍、腎臓癌、前立腺癌、及び悪性リンパ腫からなる群より選択される少なくとも1種である(2)に記載の放射線効果増強剤。
(4)胃腸管腫瘍が胃癌、直腸癌、及び大腸癌からなる群より選択される少なくとも1種である(3)に記載の放射線効果増強剤。
(5)放射線効果の増強が腫瘍の放射線感受性を亢進させる作用及び/又はDNA修復能低下を増強させる作用により達成されるものである(1)記載の放射線効果増強剤。
(6)放射線効果が抗腫瘍効果、骨転移の骨折予防や疼痛緩和効果、脳転移による神経症状緩和効果、癌組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状緩和効果である、(1)記載の放射線効果増強剤。
(2)腫瘍が悪性腫瘍である、(1)記載の放射線効果増強剤。
(3)悪性腫瘍が胃腸管腫瘍、腎臓癌、前立腺癌、及び悪性リンパ腫からなる群より選択される少なくとも1種である(2)に記載の放射線効果増強剤。
(4)胃腸管腫瘍が胃癌、直腸癌、及び大腸癌からなる群より選択される少なくとも1種である(3)に記載の放射線効果増強剤。
(5)放射線効果の増強が腫瘍の放射線感受性を亢進させる作用及び/又はDNA修復能低下を増強させる作用により達成されるものである(1)記載の放射線効果増強剤。
(6)放射線効果が抗腫瘍効果、骨転移の骨折予防や疼痛緩和効果、脳転移による神経症状緩和効果、癌組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状緩和効果である、(1)記載の放射線効果増強剤。
本発明による、化合物Aを有効成分として含有する腫瘍の放射線療法における放射線効果増強剤は、腫瘍、特に悪性腫瘍の中でも胃腸管腫瘍、腎臓癌、前立腺癌、及び悪性リンパ腫からなる群より選択される少なくとも1種の腫瘍において、放射線の治療効果を相乗的に上げる。この放射線効果増強作用は他の抗癌剤には見られない有意な特性であり、癌に対する新規な治療法として有望である。
放射線療法は多くの腫瘍に対して用いられる治療法の一つで、その種類に応じた放射線、例えばX線、γ線、電子線、中性子線、陽子線、重粒子線などを患部に照射して、腫瘍細胞の成長を止める、又はアポトーシスを起こさせるという治療法である。
本発明の放射線効果増強剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)に対して、腫瘍における放射線療法の放射線効果増強作用を有し、腫瘍の治療剤として有用である。本発明において放射線効果とは、放射線療法に用いられる上述した種々の放射線が有する、腫瘍に対する治療効果であって、腫瘍細胞の異常な増殖、成長を止める作用、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する作用などの抗腫瘍効果が挙げられる。また、腫瘍の放射線療法における放射線効果としては、他に、骨転移の骨折予防や疼痛緩和効果、脳転移による神経症状緩和効果、癌組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状緩和効果などが挙げられる。これらの抗腫瘍効果は化合物A(FK228を含む)の有する放射線療法における放射線効果を増幅させる作用に基づくものであり、かかる増強作用は、例えば腫瘍の放射線感受性を亢進させる作用であり、及び/又は腫瘍細胞のDNA修復能低下を増強させる作用である。
本発明は有効成分として式(I)で表される化合物A又はその塩を含む。この化合物は強力なヒストンデアセチラーゼ阻害活性を有する(Nakajima, H.ら;上述 (1998))。ヒストンデアセチラーゼ阻害活性とは、ヒストンデアセチラーゼの活性部位に基質と競合して結合する作用、又はヒストンデアセチラーゼの活性部位とは別の部位に結合してヒストンデアセチラーゼの酵素活性を変える作用を意図している。
化合物A又はその塩は、公知の物質であり、入手可能である。例えば、化合物Aの立体異性体の一つであるFK228は、それを生産しうるクロモバクテリウム属に属する菌株を好気性条件下に培養、当該培養ブロスから当該物質を回収することによって得ることができる。FK228を生産しうるクロモバクテリウム属に属する菌株としては、例えばクロモバクテリウム・ビオラセウムWB968(FERM BP−1968)が挙げられる。FK228はより具体的には特公平7−64872号公報に記載のとおりにして当該生産菌から得ることができる。FK228は、より容易に入手できるという点で、FK228を生産しうるクロモバクテリウム属に属する菌株からの回収が好ましいが、さらなる精製工程が不要あるいは少なくてすむという点で、合成あるいは半合成のFK228もまた有利である。同様にFK228以外の化合物Aについても、従来公知の方法により半合成、全合成することができる。より具体的にはKhan W.Li,らによって報告されている方法(J. Am. Chem. Soc., vol. 118, 7237-7238 (1996))に準じて製造することができる。
化合物Aの塩としては、無機塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)、有機塩基との塩(例えばトリエチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩)、無機酸付加塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、有機カルボン酸・スルホン酸付加塩(例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)、塩基性あるいは酸性アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との塩等の、塩基との塩又は酸付加塩が挙げられる。
化合物Aは、不斉炭素原子及び二重結合に基づく光学異性体又は幾何異性体等の立体異性体を有することがあるが(例えばFK228)、これらすべての異性体及びそれらの混合物もこの発明の範囲に含まれる。さらに、化合物A、FK228又はそれらの塩の溶媒和化合物(例えば包接化合物(例えば水和物等))もこの発明の範囲に含まれる。
本発明において、インビボ、インビトロとは通常、当分野で用いられている用語どおりであり、すなわち、「インビボ」とは、対象とする生体の機能や反応が生体内で発現される状態を意味し、「インビトロ」とは当該機能や反応が試験管内(組織培養系、細胞培養系、無細胞系等)で発現されることを意味する。
本発明の対象となる腫瘍は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤である化合物A及び放射線療法が抗腫瘍効果を発揮する腫瘍である。悪性の腫瘍に加え、縮小効果が期待される良性腫瘍も本発明の対象となる。併用する放射線療法で用いる放射線の種類によっても異なり、適宜、対象とする腫瘍に応じて放射線を選択してもよい。具体的には各種癌、肉腫、子宮筋腫、ポリープ、線維腫、疣などの増殖性疾患が主たる対象となるが、さらに美容上、機能上のために脾腫又は動静脈奇形やバセドー病時に見られる甲状腺腫などのコントロール等への応用も例示される。特に本発明が有用な対象癌としては、胃腸管腫瘍、腎臓癌、前立腺癌並びに悪性リンパ腫が挙げられる。胃腸管腫瘍としては、胃癌、直腸癌、大腸癌などが挙げられる。
本発明の放射線効果増強剤は、有効成分としての化合物A又はその塩を、経口又は非経口適用に適した有機又は無機の担体又は賦形剤との混合物として含有する固体、半固体又は液体形態の医薬製剤の形で使用できる。該活性成分は、例えば、散剤、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳濁液、懸濁液、エアロゾル剤、スプレー剤、その他の使用に適した形態用の、通常の、無毒性で、医薬として許容しうる担体と混ぜ合わせることができる。さらに、必要ならば、助剤、安定剤、増粘剤等を使用してもよい。これらの担体、賦形剤は必要に応じて無菌化処理を施したものを使用してもよく、また製剤化した後に無菌化処理を行うこともできる。化合物A又はその塩は、抗腫瘍効果を生じるのに十分な量を当該放射線効果増強剤に含ませればよい。
該薬剤をヒトに適用するには、静脈内、筋肉内又は経口投与によってこれを適用するのが好ましい。特に本発明の放射線効果増強剤は適当な期間のみ(即ち放射線療法使用時)放射線照射後のアポトーシス誘導を生じさせる必要があることから、一過性に作用するような状況で作用することが望ましい。そのためには、腫瘍局所への注射などにより直接投与する方法、もしくは未解決ではあるが何らかのデリバリーシステムによって局所のみで作用させることが望ましい。また、腹膜播種した場合は、腹腔内投与によって目的を達成しうることが期待できる。有効成分である化合物A又はその塩の治療上有効な用量は、処置すべき個々の患者の年齢及び状態、ならびに癌の種類や、悪性リンパ腫の種類によっても相違するが、通常、静脈内投与の場合には、ヒトの体表面積m2あたり化合物Aの量で1日量0.1〜100mg、好ましくは0.5〜50mg、さらに好ましくは0.5〜10mgを投与して腫瘍を処置する。
化合物A又はその塩を成分として含有する放射線効果増強剤は、治療に悪影響を及ぼさない範囲で他の薬剤と併用して投与することができる。併用薬剤としては、例えば悪性腫瘍に対する治療を目的とする場合には、好ましい抗癌剤を組み合わせるのが一般的である。併用薬剤は、化合物Aと同一製剤中に混合して配合してもよいし、別途製剤化して、組み合わせ剤としてもよい。別途製剤化して投与する場合、それらの投与経路、投与剤形は同一であっても、異なっていてもよく、また各々を投与するタイミングも、同時であっても別々であってもよい。併用する薬剤の種類や効果によって適宜決定する。併用薬剤の投与量も種類や所望する効果によって適宜変更され得る。
化合物A又はその塩を成分として含有する放射線効果増強剤の投与は、放射線照射の1時間前から12時間前に行うのが好ましい。さらに好ましくは1時間前から6時間前に投与する。一回に局所に照射する放射線は1〜20Gy、好ましくは1〜5Gyで照射するのが好ましい。Gy(グレイ)とは電離放射線の吸収線量のSI単位である。1kgあたり1Jのエネルギーを放射線から物質に与えられるとき、吸収線量を1Gyとする。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
FK228のMKN45におけるインビトロの放射線効果の増幅
実施例1:放射線量を種々に変化させ、FK228のMKN45におけるインビトロの放射線効果の増強作用を調べた。
FK228を1mMの濃度になるよう必要量測ってストックソルーションを作製し、DMSOに使用濃度の1000倍以上の濃度になるよう完全に溶解した後、PBSもしくは培養液で希釈した溶媒を加え、超音波をかけ溶解した。細胞はヒト胃癌細胞MKN45(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI1640又はD−MEMにて培養したものを使用した。放射線を照射する1時間以上前にFK228でMKN45細胞群(5×106)を処理し、コントロールとしてFK228を加えない細胞群を用意した。FK228でのMK45細胞群の処理は、FK228を加えた新しい培地(FK228濃度、100nmol/L)と交換後、1時間以上培養することによって行った。その後、室温にて150kV X線装置(M−150WE、ソフテックス、東京)を用いて、放射線をそれぞれ0、10、30、50Gy照射し、その60時間後に各細胞群の生死を確認した。細胞の生死の確認のため、両細胞群を同分量の0.4%トリパンブルー溶液と混合し、ただちに顕微鏡下で染色の具合を観察した。その後、トリパンブルーで染色された死細胞の数を数え、死細胞の生細胞に対する割合を求めた。
実施例1:放射線量を種々に変化させ、FK228のMKN45におけるインビトロの放射線効果の増強作用を調べた。
FK228を1mMの濃度になるよう必要量測ってストックソルーションを作製し、DMSOに使用濃度の1000倍以上の濃度になるよう完全に溶解した後、PBSもしくは培養液で希釈した溶媒を加え、超音波をかけ溶解した。細胞はヒト胃癌細胞MKN45(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI1640又はD−MEMにて培養したものを使用した。放射線を照射する1時間以上前にFK228でMKN45細胞群(5×106)を処理し、コントロールとしてFK228を加えない細胞群を用意した。FK228でのMK45細胞群の処理は、FK228を加えた新しい培地(FK228濃度、100nmol/L)と交換後、1時間以上培養することによって行った。その後、室温にて150kV X線装置(M−150WE、ソフテックス、東京)を用いて、放射線をそれぞれ0、10、30、50Gy照射し、その60時間後に各細胞群の生死を確認した。細胞の生死の確認のため、両細胞群を同分量の0.4%トリパンブルー溶液と混合し、ただちに顕微鏡下で染色の具合を観察した。その後、トリパンブルーで染色された死細胞の数を数え、死細胞の生細胞に対する割合を求めた。
結果を図1に示す。FK228処理しなかった細胞群の死亡率は僅かに8%であったのに対し、FK228処理を加え、30Gy照射した細胞群の死亡率は32%と高かった。
実施例2:FK228の濃度を種々に変化させ、FK228のMKN45におけるインビトロの放射線効果の増強作用を調べた。
実施例1と同様にして、FK228及びMKN45細胞を用意した。0、50、100、200nmol/LのFK228で処理したそれぞれの細胞群に、処理から1時間後に放射線を30Gy照射し、その60時間後に実施例1と同様にトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
実施例1と同様にして、FK228及びMKN45細胞を用意した。0、50、100、200nmol/LのFK228で処理したそれぞれの細胞群に、処理から1時間後に放射線を30Gy照射し、その60時間後に実施例1と同様にトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
結果を図2に示す。細胞群の死亡率はFK228の濃度に依存していた。
実施例3:異なる癌細胞を用いて、FK228のインビトロでの放射線効果の増強作用を調べた。
ヒト大腸癌細胞DLD1(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を実施例1と同様の方法で培養し、放射線照射の1時間以上前に5nmol/LのFK228とプレインキュベートした。培養後、放射線を30Gy照射して60時間後に、実施例1と同様にしてトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
ヒト大腸癌細胞DLD1(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を実施例1と同様の方法で培養し、放射線照射の1時間以上前に5nmol/LのFK228とプレインキュベートした。培養後、放射線を30Gy照射して60時間後に、実施例1と同様にしてトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
結果を図3に示す。MKN45同様にDLD1での死亡率は、FK228で処理した細胞群の方が高い割合を示した。
FK228のインビボにおける放射線効果の増幅
実施例4:動物実験(インビボ)
実施例1と同様にして培養、継代したMKN45細胞(5x105)をヌードマウス(4〜5週令−old athymic nude mouse)の足の裏に皮下接種した。接種から2週間後、腫瘍が目に見えるようになってから、腫瘍を放射線(4Gy×6回)のみ、FK228(10pmol(200nmol/LのFK228を50μl)投与×6回)のみ、又はその両方で処理した。比較のため無処理のコントロールを用意した。インビボでの腫瘍の進行は毎週腫瘍の体積(1/2×長径×短径2)を測ることによって評価した。その結果を図4に示す。また、上記処理後21日目にマウスを殺し、腫瘍の重さを量った。その結果を図5に示す。さらに、処理21日目のマウスの足の裏の写真を図6に示す。
実施例4:動物実験(インビボ)
実施例1と同様にして培養、継代したMKN45細胞(5x105)をヌードマウス(4〜5週令−old athymic nude mouse)の足の裏に皮下接種した。接種から2週間後、腫瘍が目に見えるようになってから、腫瘍を放射線(4Gy×6回)のみ、FK228(10pmol(200nmol/LのFK228を50μl)投与×6回)のみ、又はその両方で処理した。比較のため無処理のコントロールを用意した。インビボでの腫瘍の進行は毎週腫瘍の体積(1/2×長径×短径2)を測ることによって評価した。その結果を図4に示す。また、上記処理後21日目にマウスを殺し、腫瘍の重さを量った。その結果を図5に示す。さらに、処理21日目のマウスの足の裏の写真を図6に示す。
放射線処理のみ、FK228処理のみのマウスにおいても、コントロールに比べると部分的な腫瘍の成長の遅れは見られたものの、FK228及び放射線の両方で処理したマウスは、コントロールに比べてはもとより、放射線処理のみ、あるいはFK228処理のみの場合に比べ、顕著に腫瘍の成長が抑制されていた。21日目には、コントロールと比較して、FK228及び放射線の両方の処理を受けたマウスの腫瘍の平均の重さは約8分の1に減少していた。図6の写真を見ても明らかなように、放射線処理及びFK228処理を併用した場合のマウスの腫瘍の成長は強力に抑制されていた。
比較例1
最も一般的な抗癌剤の一つで、胃癌の治療や、化学放射線療法に用いられる5−FU(5−フルオロウラシル)をFK228の効果との比較のために用いた。実施例1と同様の方法で、MKN45細胞をFK228(100nM、200nM)、又は5−FU(5μM、10μM)で処理してから、30Gyの放射線を照射した。照射60時間後に、実施例1と同様にしてトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
最も一般的な抗癌剤の一つで、胃癌の治療や、化学放射線療法に用いられる5−FU(5−フルオロウラシル)をFK228の効果との比較のために用いた。実施例1と同様の方法で、MKN45細胞をFK228(100nM、200nM)、又は5−FU(5μM、10μM)で処理してから、30Gyの放射線を照射した。照射60時間後に、実施例1と同様にしてトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
結果を図7に示す。5−FUはFK228のように、放射線によって引き起こされるアポトーシスを増大させることはなかった。
比較例2
MKN45細胞以外の細胞において、FK228と5−FUの効果の差を調べた。大腸癌細胞BM314(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を実施例1と同様の方法で培養し、放射線照射1時間前に12.5nmol/LのFK228又は10mmol/Lの5−FUで処理をした。処理後、30Gyの放射線を照射して、その60時間後に実施例1と同様にトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
MKN45細胞以外の細胞において、FK228と5−FUの効果の差を調べた。大腸癌細胞BM314(日本癌リサーチリソースバンクから入手)を実施例1と同様の方法で培養し、放射線照射1時間前に12.5nmol/LのFK228又は10mmol/Lの5−FUで処理をした。処理後、30Gyの放射線を照射して、その60時間後に実施例1と同様にトリパンブルーを用いて細胞群の生死を確認した。
結果を図8に示す。MKN45細胞同様、BM314細胞においても、5−FUに比べてFK228処理細胞群の死亡率は明らかに高かった。
Claims (6)
- 腫瘍が悪性腫瘍である、請求項1記載の放射線効果増強剤。
- 悪性腫瘍が胃腸管腫瘍、腎臓癌、前立腺癌、及び悪性リンパ腫からなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載の放射線効果増強剤。
- 胃腸管腫瘍が胃癌、直腸癌、及び大腸癌からなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載の放射線効果増強剤。
- 放射線効果の増強が腫瘍の放射線感受性を亢進させる作用及び/又はDNA修復能低下を増強させる作用により達成されるものである請求項1記載の放射線効果増強剤。
- 放射線効果が抗腫瘍効果、骨転移の骨折予防や疼痛緩和効果、脳転移による神経症状緩和効果、癌組織による気管、血管、神経などの圧迫による症状緩和効果である、請求項1記載の放射線効果増強剤。
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