JP3954257B2 - 電装品のフレームへの固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造材として車両の内装壁材の裏側に配備される帯状のフレームに、ワイヤーハーネスに接続される電装品を位置決め固定する電装品のフレームへの固定構造に関するもので、電装品の取り付け作業を容易にするための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車においては、運転席の前方に配置されるインストルメントパネル上に、運転に必要なスイッチやメータ類等が集中配置されるため、これらのスイッチやメータ類と、車両上の灯火機器や各種の補機類等とを有機的に接続するワイヤーハーネスが、インストルメントパネルと車両のフロントパネルとの間に配設されている。
しかし、フロントパネルとインストルメントパネルとの間のスペースには、ヒータ、ステアリングコラム、ペダル類のブラケット等、各種部品が配置されるため、スペースが一般的に狭い。従って、インストルメントパネルの裏側にワイヤーハーネスを配設する際には、狭いスペース内でこれら部品との干渉を避けるだけでなく、車両に加わる振動等でワイヤーハーネスが損傷を受けることの無いように、ワイヤーハーネスの保護に対しても配慮が必要になる。
【0003】
そこで、このような背景から、インストルメントパネルの背面側に配備される構造材であって、少なくとも壁面で仕切られて空間を形成する帯状のフレームであるリインフォースメントに、インストルメントパネルの裏側に配設されるワイヤーハーネスを縦添えするように配設すると共に、このワイヤーハーネスに接続する制御ユニット等の電装品もリインフォースメントに固定したワイヤーハーネスの支持構造が各種提案されている。
しかし、リインフォースメントに取り付けられる電装品の中には、リインフォースメントへの取り付け作業が、インストルメントパネルの車体への組み付け後となるものも多い。そして、そのような電装品では、リインフォースメント上の取り付け面がインストルメントパネルで隠れてしまうため、取り付け作業が手指等で周囲を探りながらの盲作業となるので、そのような電装品の固定構造には、視認せずとも電装品を正確に位置決め可能にする工夫が必要不可欠となる。
【0004】
図8は、従来の電装品のリインフォースメントへの固定構造を示したものである。
この固定構造は、実開平6−84728号公報に開示された技術と同等のもので、車体側に固定されたリインフォースメント1には、取り付け面1aに直交する方向に突出したガイド部2aを有した金属製のブラケット2と、このブラケット2から取り付け面1aに沿って適宜距離離間した位置に装備された適宜数のねじ穴3とを装備している。また、ブラケット2は、車体取り付け前のリインフォースメント1に、溶接又はリベット止めにより固定される。
さらに、取り付け面1aに固定する電装品4は、その筐体5に、ガイド部2aを挿通させる位置合わせ用の筒部5aと、ねじ穴3に螺合するボルト6を挿通可能にした複数の取付穴5bとを備えている。
なお、電装品4に接続されたワイヤーハーネス7は、取り付け面1aに連なる段差1bによって電装品4とリインフォースメント1との間に確保される空間8を利用して、リインフォースメント1に縦添え状態に配設される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の電装品のリインフォースメントへの固定構造では、リインフォースメント1上のブラケット2やねじ穴3は、一般的に電装品4の筐体5の寸法・形状等に応じて専用に設計されており、筐体5の形状や寸法に変更があった場合、譬え僅かな変更であっても、ブラケット2及びねじ穴3の双方の設計変更が余儀なくされる場合が多く、変更箇所の増加に伴う開発時間の長大化、コストアップ等の問題が発生する。
また、電装品4の固定に使用するボルト6の本数が多いと、固定作業における所用時間の短縮が困難になるという問題もあった。
更には、比較的に大きな寸法の部品であるリインフォースメント1の成形性の面からブラケット2は別体で製造されるが、別体のブラケット2の使用は、構成部品の増加や、リインフォースメント1に一体化する加工工程が追加されるために、生産性の低下や、コストアップを招くという問題も指摘されていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、電装品の筐体の形状や寸法の変更が僅かであれば、帯状のフレーム側の取付部では、設計変更をせずとも電装品側の形状や寸法の変更を許容して、しっかりと位置決め固定することができ、また、使用するボルト等の締結部品の数量を最小限に抑えて、電装品の固定作業を行うことができ、更には、別部品によるブラケットの使用を省略することができる電装品の帯状のフレームへの固定構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る電装品のフレームへの固定構造は、少なくとも壁面で仕切られて空間を形成する帯状のフレームに、ワイヤーハーネスに接続される電装品を位置決め固定する電装品のフレームへの固定構造において、前記フレームには、前記電装品の筐体を押し付けると該筐体を前記フレーム上の取り付け面の中心に心出し位置決めするテーパ面を有したガイド突起と、前記取り付け面に位置決めされた電装品を前記フレームに結合・固定する取付穴とを備え、前記電装品の筐体には、固定時に前記ガイド突起の前記テーパ面に係合する傾斜面を備え、前記取付穴に係合する単一の締結手段で前記電装品を前記フレームに固定することにより前記電装品が前記テーパ面で位置決め固定されることを特徴とする。
【0008】
そして、上記構成によれば、帯状のフレームであるリインフォースメントの取り付け面上に電装品を押し付けると、ガイド突起のテーパ面による心出し作用によって、電装品は、自動的に取り付け面の中心に位置決めされ、電装品の筐体の中心部に貫通形成された締結手段取付孔の位置が、取り付け面の中心に形成された取付穴の位置に合致した状態になる。従って、電装品の筐体の締結手段取付孔に締結手段であるボルトを挿通して、この1本のボルトの締め付けだけで、ガイド突起のテーパ面により電装品をフレームの取り付け面の中心にしっかりと位置決め固定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電装品のフレームへの固定構造の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図6は本発明に係る電装品のフレームへの固定構造の一実施の形態を示したもので、図1は本発明の一実施の形態の分解斜視図、図2は図1に示したフレームと電装品の拡大図、図3は図2に示したフレームの取り付け面の構造の拡大図、図4は図2に示したフレームの取り付け面に電装品を載せた状態の側面図、図5は図4に示した状態から電装品を固定する締結手段の装着を示す側面図である。
【0010】
この一実施形態の電装品のフレームへの固定構造は、自動車の運転に必要なスイッチやメータ類が集中配置される運転席前方のインストルメントパネル11の裏側に配備される構造材であって、少なくとも壁面で仕切られて空間を形成する帯状のフレームであるリインフォースメント13に、電装品21を位置決め固定するものである。
【0011】
インストルメントパネル11は、合成樹脂材の成形によって形成される車両の内装壁材で、本実施の形態の場合、ステアリングモジュール11aや、各種のメータを集中配置したメータモジュール11bやAV用デバイス等をユニット化したセンタークラスタモジュール11cなどが装着される。
【0012】
上記のリインフォースメント13は、車体の幅方向に延在するように配置され、両端が車体の側面パネルに固定されることで、車両の強度・剛性を高める役割を果たすと同時に、インストルメントパネル11の支持と補強を兼ねる。
ここに示すリインフォースメント13は、図2に示すように、横断面形状が略H字状を呈していて、その前面側の凹部13aにワイヤーハーネス15が配設されている。
【0013】
ワイヤーハーネス15は、インストルメントパネル11上に装備される各モジュールの配置位置やリインフォースメント13上の電装品21の配置位置に合わせて、後述する分岐部が複数箇所に形成され、各分岐部からそれぞれのモジュールのスイッチ等と接続するコネクタ15aを先端に装着した分岐ハーネス15bが引き出されている。なお、ワイヤーハーネス15の分岐部は、詳述はしないが、多層に積層した基板上の電線相互を分岐接続する公知の分岐ボックス17によって形成されている。
【0014】
インストルメントパネル11上に固定される電装品21は、本実施形態の場合、インストルメントパネル11やその周辺に搭載される各種補機等の制御を行うコントロールユニットである。
この電装品21の外郭形状を形成している筐体22は、やや偏平な直方体状で、周囲の4つの側壁は、下部側が内方に向かって傾斜した傾斜面22aに形成されている。また、筐体22の中心部には、締結手段であるボルト24を挿通する単一の締結手段取付孔22bが上下方向に貫設されている。
【0015】
リインフォースメント13には、電装品21の筐体22を押し付けると該筐体22をリインフォースメント13上の取り付け面26の中心に心出し位置決めするテーパ面Tを有した4個のガイド突起27a、27b、27c、27dと、リインフォースメント13の取り付け面26に位置決めされた電装品21をリインフォースメント13に結合・固定する単一の取付穴28とを備えている。
4個のガイド突起27a、27b、27c、27dは、電装品21の外周面に4方向からに当接するように、テーパ面Tを内側に向けて、前後左右に配置されている。
また、単一の取付穴28は、ボルト24が螺合する雌ねじを刻設したねじ孔で、取り付け面26の中心に穿設されている。
【0016】
以上の電装品のリインフォースメントへの固定構造では、図4に示すように、リインフォースメント13の取り付け面26上に電装品21を押し付けると、ガイド突起27a、27b、27c、27dのテーパ面Tによる心出し作用によって、電装品21は、自動的に取り付け面26の中心に位置決めされ、電装品21の筐体22の中心部に貫通形成された締結手段取付孔22bの位置が、取り付け面26の中心に形成された取付穴28の位置に合致した状態になる。
従って、図5に示すように、電装品21の筐体22の締結手段取付孔22bに締結手段であるボルト24を挿通して、この1本のボルト24の締め付けだけで、電装品21はリインフォースメント13の取り付け面26の中心にしっかりと固定することができる。
【0017】
なお、図6では誇張して示しているが、ボルト24の締め付けを高めると、各ガイド突起27a、27b、27c、27dが押し広げられて、その際に生じるリインフォースメント13のフランジ部13bが弾性変形を起こし、その弾性復元力で、電装品21の固定強度の増大を図ることができる。
【0018】
このように電装品21の取り付け面26上での位置決めを、ガイド突起27a、27b、27c、27dに形成したテーパ面Tによって行う構成では、例えば、テーパ面Tの存在範囲内であれば、電装品21の筐体22の外形や外形寸法が多少変更になっても、ガイド突起27a、27b、27c、27d側には寸法等の変更が必要にならない。
即ち、電装品21の筐体22の形状や寸法の変更が僅かであれば、リインフォースメント13側の取付部では、設計変更をせずとも、電装品21側の形状や寸法の変更を許容して、しっかりと位置決め固定することができ、汎用性の向上により、開発時間の短縮、コストの低減を図ることができる。
【0019】
また、既述したように、単一のボルト24で堅固な固定がなし得るため、使用するボルト等の締結部品の数量を最小限に抑えて、電装品21の固定作業の所用時間の短縮を図ることができる。
また、電装品21の位置決め固定に使用するガイド突起27a、27b、27c、27dは、突出長自体はそれほど大きくする必要がないため、工夫によってリインフォースメント13に一体成形することも可能で、別部品のブラケットを使用する従来の電装品のリインフォースメントへの固定構造と比較すると、別部品のブラケットの省略による構成部品の低減によって、生産性の向上やコストの低減を促進することもできる。
【0020】
ところで、テーパ面Tを有したガイド突起27a、27b、27c、27dによって心出し位置決めされる電装品21は、リインフォースメント13上の取り付け面26との間に隙間が形成されるので、コントロールユニットとしての電装品21の放熱効果がこの隙間によって向上できる。また、電装品21は底部全域が取り付け26に接触して固定される場合に比べて、筐体22の傾斜面22aとテーパ面Tとが接して接触面が低減されているので、車体より伝達される振動に対し耐震性の向上も図れる。
【0021】
なお、電装品21をリインフォースメント13に締結する締結手段は、ボルトに限定するものではない。例えば、図7に示すように、締結ピン29を使用することも可能である。
【0022】
この締結ピン29は、電装品21の筐体22に貫設された締結手段取付孔22bやリインフォースメント13の取り付け面26の中心に貫設された取付穴31を挿通する軸部32と、この軸部32の先端に径方向外側に向かって突出形成された係止突起33と、軸部32の基端に突設されて筐体22の上面を押える頭部弾性片35とを備えた構成である。そして、軸部32は、径方向に弾性変位可能な複数本の弾性片32aで構成されていて、締結手段取付孔22b、取付穴31に挿通する際には、各弾性片32aが縮径方向に弾性変形して、先端部が取付穴31を抜け出ると、元に復元して、係止突起33をリインフォースメント13のフランジ部13bに係止させて、リインフォースメント13に固定される。
また、上記の締結ピン29以外にも、取り付けが容易になるように工夫された公知の各種の締結手段が利用できることは、言うまでもない。
【0023】
また、上記の実施形態では、リインフォースメント13上の取り付け面26の中心に電装品21を心出し位置決めするテーパ面を有したガイド突起は、筐体22の外周形状に合わせて、4方向に装備した。しかし、筐体22の形状等に合わせて、装備位置、装備個数等は、適宜に設計変更可能である。
また、例えば、電装品の筐体の外周形状が円径の場合には、リング状にテーパ面を形成した単一のガイド突起を採用することも考えられる。
【0024】
また、上記の実施形態では、電装品21をリインフォースメント13に固定する締結手段は、リインフォースメント13の取り付け面26の中心を通る構成としたが、締結手段の装備位置は、適宜に設計変更可能である。
なお、以上の実施形態では、インストルメントパネルの裏側に装備されるリインフォースメントに、ワイヤーハーネスに接続される電装品を位置決め固定する場合を示したが、本発明は車両の上記以外の部位に装備される帯状のフレームにも適用できることは、言うまでもない。
また、本発明に係るフレームの横断面形状は、上記のH字形に限らない。例えば、横断面形状が略コ字状となるフレーム等にも、応用可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の電装品のフレームへの固定構造によれば、フレームの取り付け面上に電装品を押し付けると、ガイド突起のテーパ面による心出し作用によって、電装品は、自動的に取り付け面の中心に位置決めされ、電装品の筐体の中心部に貫通形成された締結手段取付孔の位置が、取り付け面の中心に形成された取付穴の位置に合致した状態になる。従って、電装品の筐体の締結手段取付孔に締結手段であるボルトを挿通して、この1本のボルトの締め付けだけで、ガイド突起のテーパ面により電装品をフレームの取り付け面の中心にしっかりと位置決め固定することができる。
【0026】
このように電装品の取り付け面上での位置決めを、ガイド突起に形成したテーパ面によって行う構成では、例えば、テーパ面の存在範囲内であれば、電装品の筐体の外形や外形寸法が変更になっても、ガイド突起側には寸法等の変更が必要にならない。
即ち、電装品の筐体の形状や寸法の変更が僅かであれば、フレーム側の取付部では、設計変更をせずとも、電装品側の形状や寸法の変更を許容して、しっかりと位置決め固定することができ、汎用性の向上により、開発時間の短縮、コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、ガイド突起のテーパ面によって固定される電装品は、筐体の底部全域をフレームの取り付け面に接触させて取り付けられる場合に比べて、放熱性、耐震性の点で優れた効果が得られる。
【0028】
また、前述のように、単一のボルトで堅固な固定がなし得るため、使用するボルト等の締結部品の数量を最小限に抑えて、電装品の固定作業の所用時間の短縮を図ることができる。
また、電装品の位置決め固定に使用するガイド突起は、突出長自体はそれほど大きくする必要がないため、工夫によってフレームに一体成形することも可能で、別部品のブラケットを使用する従来の電装品のフレームへの固定構造と比較すると、別部品のブラケットの省略による構成部品の低減によって、生産性の向上やコストの低減を促進することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電装品のリインフォースメントへの固定構造の一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示したリインフォースメントと電装品の拡大図である。
【図3】図2に示したリインフォースメントの取り付け面の構造の拡大図である。
【図4】図2に示したリインフォースメントの取り付け面に電装品を載せた状態の側面図である。
【図5】図4に示した状態から、電装品を固定する締結手段の装着を示す側面図である。
【図6】リインフォースメントの取り付け面に設置された電装品を締結手段によって固定した状態の側面図である。
【図7】本発明において、電装品のリインフォースメントへの固定に使用する締結手段の別の例を示す側面図である。
【図8】従来の電装品のリインフォースメントへの固定構造の横断面図である。
【符号の説明】
11 インストルメントパネル
13 リインフォースメント(帯状のフレーム)
13a 凹部
13b フランジ部
15 ワイヤーハーネス
21 電装品
22 筐体
22a 傾斜面
22b 締結手段取付孔
26 取り付け面
27a、27b、27c、27d ガイド突起
T テーパ面
28 取付穴
29 締結ピン
Claims (1)
- 少なくとも壁面で仕切られて空間を形成する帯状のフレームに、ワイヤーハーネスに接続される電装品を位置決め固定する電装品のフレームへの固定構造において、前記フレームには、前記電装品の筐体を押し付けると該筐体を前記フレーム上の取り付け面の中心に心出し位置決めするテーパ面を有したガイド突起と、前記取り付け面に位置決めされた電装品を前記フレームに結合・固定する取付穴とを備え、前記電装品の筐体には、固定時に前記ガイド突起の前記テーパ面に係合する傾斜面を備え、前記取付穴に係合する単一の締結手段で前記電装品を前記フレームに固定することにより前記電装品が前記テーパ面で位置決め固定されることを特徴とする電装品のフレームへの固定構造。
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