JP3953582B2 - 易開口包装袋及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容易に広い開口部を形成することができる包装袋及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ピロータイプの包装袋において背シール部を剥離して開封させる袋としては、例えば、実開平3−84750号に記載されているような、内面側にイージーピールシーラント層が積層された包材を使用して、イージーピールシーラント層同志を合わせて熱接着して背シール部を設けると共に背シール部の包材端縁側に非シール部を形成し、上部シールと底部シールを設けた構成のピロータイプの易開封性包装袋が知られている。上記の構成の易開封性包装袋の場合、背シール部の包材端縁側に形成された非シールをつまんで背シール部を剥離することにより容易に開封することができるが、非シールをつまんで背シール部を剥離すると、背シール部全体が剥離し次いで上部シールと底部シールも剥離してしまった状態で、袋全体を開封してしまうことになり、部分的に所定の大きさの開口を形成することが困難であるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単に合掌熱接着部を剥離すると共に包装袋を引き裂いて、任意の大きさの開口を容易に形成することができるピロータイプの易開口包装袋を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを有する積層フイルムからなり、前記熱接着性樹脂層を内側にして合掌熱接着部と該合掌熱接着部と直交する方向で上下2箇所の両端部を熱接着して形成した上下の端縁熱接着部により形成されたピロータイプ袋であって、前記合掌熱接着部の外側の積層フイルム端縁に沿った所定巾を非熱接着部とすると共に、前記非熱接着部を構成する積層フィルムの揃えられた両端縁にはそれぞれ2箇所の合掌熱接着部に達する切込を有し、該2箇所の前記切込の一方は上の端縁熱接着部近傍の位置に他方は下の端縁熱接着部近傍の位置に配置された構成の易開口包装袋であるので、2箇所の切込間の非熱接着部を摘んで両側に引っ張り合掌熱接着部を剥離すると同時に、切込に対応した位置で積層フイルムを引裂くことにより、簡単に大きい開口を形成することができる。
【0005】
上記の易開口包装袋において、前記積層フイルムを前記1軸延伸フイルム層面に2軸延伸フイルム層を積層した構成とすることにより、2軸延伸フイルム層の耐熱性が良好であるため熱接着によりピロータイプ袋を作製する際の作業性がよくなると共にガスバリアー性の優れた易開口包装袋とすることができる。
【0006】
上記の易開口包装袋において、前記1軸延伸フイルム層の前記熱接着性樹脂層の積層面と反対側に絵柄層を形成すると共に、2箇所の前記切込間の前記合掌熱接着部に対応する前記熱接着性樹脂層の少なくとも一方の面に熱接着強度調整層を形成した構成とすることにより、2箇所の切込間の非熱接着部を摘んで両側に引っ張ることにより、熱接着強度調整層が形成された部分の合掌熱接着部を容易に剥離することができるし、更に2箇所の切込に対応した位置で積層フイルムを引裂いて包装袋を開口させた場合においても、熱接着強度調整層が形成されていない合掌熱接着部は接着強度が強く剥離することがないので、2箇所の切込の間隔に対応した大きさの開口を容易に形成することができる。
【0007】
上記の易開口包装袋において、前記熱接着性樹脂層がオレフイン系樹脂からなり、前記熱接着強度調整層がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる構成とすることにより、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフイン系樹脂を熱接着性樹脂層として使用した場合においても、熱接着性樹脂層に対する熱接着強度調整層の接着性が優れると共に熱接着強度調整層面同志の熱接着性も良好であるので、熱接着強度調整層を構成する樹脂組成及び塗布量を変化させることにより、熱接着強度調整層が形成された部分の熱接着性樹脂層の熱接着強度を適当な強度に調整することができるので、合掌熱接着部を剥離することが容易となり、簡単に所定の大きさの開口を形成することができる。
【0008】
上記の易開口包装袋において、前記熱接着強度調整層を構成する樹脂を水性のエマルジョンタイプとすることにより、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の残留による臭いの問題が発生するのを防止できる。
【0009】
1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを1軸延伸フィルム層の一方の面に熱接着性樹脂層を押出ラミネーションすることにより積層する工程と、前記1軸延伸フィルム層と熱接着性樹脂層との積層フィルムに対し前記1軸延伸フイルム層面に所定の絵柄層を形成すると同時に前記絵柄層に対応した前記熱接着性樹脂層面の所定領域に熱接着強度調整層を形成する印刷工程と、前記1軸延伸フイルム層の前記絵柄層面に2軸延伸フイルム層を積層する工程と、前記積層フイルムを所定位置にてスリットする工程と、スリットした前記積層フイルムを熱接着してピロータイプ袋を作製する工程とからなる製造方法にて易開口包装袋を製造することにより、容易に剥離したい部分の合掌熱接着部に対応した熱接着性樹脂層面に熱接着強度調整層を正確に位置合わせをして形成することができるので、開口の大きさを任意に設定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の易開口包装袋の第1実施形態を示す平面図、図2は第1実施形態の開口した状態を示す平面図、図3は本発明の第2実施形態の平面図、図4は第1実施形態の易開口包装袋をヒンジ蓋付き紙箱に収納した包装体を開口した状態を示す斜視図、図5は本発明の易開口包装袋を作製するのに使用する積層フイルムを示す(イ)は平面図で(ロ)はI−I断面図であって、2は合掌熱接着部、2aは合掌熱接着領域、3は端縁熱接着部、3aは端縁熱接着領域、4は非熱接着部、5は切込、6は熱接着強度調整層、7は引裂線、8はカット線、9は紙箱、9aはヒンジ蓋、10は内容物、11は2軸延伸フイルム層、12は絵柄層、13は1軸延伸フイルム層、14は熱接着性樹脂層をそれぞれ表す。
【0011】
本発明の第1実施形態の易開口包装袋は、外面から順に2軸延伸フイルム層と1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを積層した積層フイルムを、図1に示すとおり、合掌熱接着部2と上下の端縁熱接着部3により形成したピロータイプの包装袋であって、積層フイルムの合掌熱接着部2の外側の端縁に沿った所定巾を非熱接着部4とすると共に、合掌熱接着部2の外側の積層フイルム端縁の非熱接着部4に、包装袋を開口させる大きさに対応した所定間隔をおいた2箇所の切込5が形成され、2箇所の切込5間の合掌熱接着部2に対応する熱接着性樹脂層の少なくとも一方の面に熱接着強度調整層6が形成された構成である。2箇所の切込5間の合掌熱接着部2に対応する熱接着性樹脂層の少なくとも一方の面に熱接着強度調整層6を形成することにより、熱接着強度調整層6が形成された合掌熱接着部2の接着強度を任意に調整することができるので、熱接着強度調整層6が形成された合掌熱接着部2のみを容易に剥離させることができる。2箇所の切込5は非熱接着部4のみに形成してもよいし、切込5の内端が合掌熱接着部2に達するように形成してもよく任意である。
【0012】
第1実施形態においては、合掌熱接着部2がピロータイプ包装袋の左右方向の略中央部に形成されているので、合掌熱接着部2の外側の非熱接着部4を掴んで積層フイルムを両側に引っ張ることにより、2箇所の切込5間の合掌熱接着部2が容易に剥離すると同時に、2箇所の切込5に連続する引裂線7に沿って積層フイルムが引き裂かれ、図2に示すように、引裂線7により大きく開口させることができる。2箇所の切込5間の間隔により形成できる開口の上下方向の長さを変えることができると共に、非熱接着部4を掴んで左右方向に引っ張り積層フイルムを引裂線7に沿って引き裂く距離により開口の左右方向の大きさを変えることができる。包装される内容物の大きさに応じて2箇所の切込5間の間隔を変えることにより開口の大きさを調節することができるので大きい内容物の場合でも容易に取り出すことができる。
【0013】
本発明の第2実施形態の易開口包装袋は、図3に示すとおり、第1実施形態のものと対比して合掌熱接着部2が袋の左右方向の中央部ではなく側端縁寄りに形成されている点で異なる以外は、第1実施形態のものと同じ構成である。第2実施形態の場合には、非熱接着部4を掴んで積層フイルムを両側に引っ張って合掌熱接着部2を剥離した後に、上側の非熱接着部4を掴んで積層フイルムを引裂線7に沿って引き裂くことにより、大きい開口を形成することができる。第2実施形態の場合において、下側の非熱接着部4の巾を上側の非熱接着部4の巾より大きくしておくことにより、下側の大きい方の非熱接着部4の端縁を指で押さえて、上側の小さい方の非熱接着部4を摘んで積層フイルムを引っ張ることができるので、合掌熱接着部2を剥離し積層フイルムを引き裂いて開口を形成することがきわめて容易となる。
【0014】
本発明の易開口包装袋の使用方法としては、内容物を包装したピロータイプ袋の状態で単独で使用してもよいし、図4に示すように、内容物10を包装してピロータイプ袋としてから紙箱9にて外装した包装体として使用してもよい。その場合、外装に使用する紙箱9としては、紙箱9の上面に形成したミシン目等の切込線にて引き裂いて、ヒンジ蓋9aとして大きく開口できるタイプのものを使用することが好ましく、易開口包装袋の2箇所の切込5間の間隔をヒンジ蓋9aの巾と同じかやや小さめに設定しておくことにより、紙箱9のヒンジ蓋9aを開いてから、易開口包装袋を2箇所の切込5間で引き裂いて大きく開口させることができる。図4に示すような包装体として使用する場合、紙箱9に入ったままの状態で易開口包装袋を大きく開口させることができるので、比較的大きい内容物10を包装した場合でも容易に取り出すことができるので便利である。また、紙箱が小さく指が入りにくく力のかかりにくいような場合でも容易に易開口包装袋を開口させることができる。
【0015】
本発明の易開口包装袋を作製するための積層フイルムとしては、実施形態において説明したように、外面から順に2軸延伸フイルム層と1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを積層した構成としてもよいし、また、1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを積層した構成としてもよい。ピロータイプの包装袋を作製する際の熱接着適性、易開口包装袋に必要なガスバリアー性等を考慮して積層フイルムの構成をきめればよい。易開口包装袋に絵柄層を形成する場合には1軸延伸フイルム層の外面に形成される。袋の意匠となる絵柄を形成しない無地の易開口包装袋を作製する場合においても、ピロータイプ袋に製袋する際に、端縁熱接着部の位置、熱接着強度調整層の形成する位置を決めるための基準となる光電管マーク等を絵柄層として印刷により形成しておくことが必要である。
【0016】
本発明の易開口包装袋は、熱接着性樹脂層面同志の熱接着強度を1000g/15mm巾以上とすると共に、熱接着性樹脂層面に熱接着強度調整層6が形成された部分の合掌熱接着部2の熱接着強度を200〜600g/15mm巾程度になるように調整しておくのが好ましい。その場合、2箇所の切込5間の非熱接着部4を摘んで積層フイルムを引っ張ることにより、合掌熱接着部2を容易に剥離することができると共に、合掌熱接着部2を剥離した後に2箇所の切込5に連続する引裂線7に沿って積層フイルムを引き裂いて容易に大きく開口させることができる。2箇所の切込5間の非熱接着部4を摘んで積層フイルムを引っ張って熱接着強度調整層6が形成された部分の合掌熱接着部2を剥離する際に、熱接着強度調整層6が形成されていない部分の合掌熱接着部2をも同時に剥離してしまうことがない。
【0017】
また、本発明の易開口包装袋においては、熱接着強度調整層6が形成されていない状態での熱接着性樹脂層面同志の熱接着強度を400〜600g/15mm巾程度になるように調整しておくことにより、熱接着強度調整層6を形成しなくても2箇所の切込5間の非熱接着部4を摘んで積層フイルムを引っ張ることにより合掌熱接着部2を剥離すると共に、開封線7に沿って積層フイルムを引き裂いて開口を形成することができるが、熱接着性樹脂層面同志の熱接着強度が弱すぎると、2箇所の切込5間の合掌熱接着部2を剥離する際に、合掌熱接着部2が全長にわたって剥離してしまうおそれがある。したがって、接着強度調整層6を形成しない構成とする場合には、熱接着性樹脂層面同志の熱接着強度の調整を正確に行う必要がある。
【0018】
易開口包装袋を作製するための積層フイルムの平面形状は、図5(イ)に示すように、積層フイルムの熱接着性樹脂層面の両側端部に、左右方向は合掌熱接着領域2aの全巾を覆うように且つ上下方向は端縁熱接着領域3aの上下の所定寸法を残した状態で熱接着強度調整層6が形成されている。断面形状は、図5(ロ)に示すように、積層フイルムの構成は外面から順に2軸延伸フイルム層11と絵柄層12と1軸延伸フイルム層13と熱接着性樹脂層14とが積層されており、熱接着性樹脂層14面の絵柄層12に対応した両側端部の所定領域に熱接着強度調整層6が形成されている。易開口包装袋を作製するには、図5に示す状態から、両側端の熱接着性樹脂層14面同志を合わせて合掌熱接着領域2aにて熱接着して合掌熱接着部2を形成すると共に、上下方向は端縁熱接着領域3aにて熱接着して端縁熱接着部3を形成して、端縁熱接着領域3aの上下方向の中央部のカット線8にてカットすることにより作製される。開口を形成するための2箇所の切込5は、製袋時ないしは自動充填包装時において合掌熱接着領域2aを熱接着して合掌熱接着部2を形成する工程の後で設けられるものである。
【0019】
本発明の易開口包装袋を作製するのに使用する積層フイルムは、外面から順に2軸延伸フイルム層11と絵柄層12と1軸延伸フイルム層13と熱接着性樹脂層14とが積層された構成、ないしは外面から順に絵柄層12と1軸延伸フイルム層13と熱接着性樹脂層14とが積層された構成である。2軸延伸フイルム層11としては、2軸延伸ポリプロピレンフイルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム、2軸延伸ナイロンフイルムないしは上記の2軸延伸フイルムに塩化ビニリデン系樹脂からなるバリアー層を設けたガスバリアー性の優れたフイルムが使用される。1軸延伸フイルム層13は積層フイルムを引き裂き易くするために使用するものであり、1軸延伸フイルム層13としては、1軸方向に延伸したフイルムないしは2軸延伸フイルムで縦・横の延伸倍率が異なる一方方向の延伸倍率が大きいフイルムが使用できる。本発明の易開口包装袋は形状がピロータイプであり、開口を形成する際には積層フイルムを横方向に引き裂くことになるので、1軸延伸フイルム層としては横1軸延伸フイルムないしは横方向の延伸倍率の大きいフイルムが使用される。横1軸延伸フイルムとしては横1軸延伸ポリエチレンフイルム、横1軸延伸ポリプロピレンフイルム等であり、例えば、カラリアン(東洋化学)、YT12,YT22(東レ)、FOF,FOF−H(二村化学)等が好適に使用できる。熱接着性樹脂層14としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂が使用される。
【0020】
熱接着性樹脂層14面に形成される熱接着強度調整層6に使用する樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系の樹脂が適している。熱接着強度調整層6としてEVA系の樹脂を使用することにより、オレフィン系樹脂からなる熱接着性樹脂層14面への接着性が優れると共に、熱接着性樹脂層14面同志の熱接着強度として剥離可能な適度の強度が得られる。熱接着強度調整層6はグラビア印刷等により熱接着性樹脂層14面に2〜5μの厚さに形成される。熱接着強度調整層6は合掌熱接着部2に対応する熱接着性樹脂層14の一方の面のみに形成してもよいし、両方の面に形成するようにしてもよい。熱接着強度調整層6を形成することにより熱接着強度調整層6が形成された領域における合掌熱接着部2の熱接着強度を200〜600g/15mm巾の範囲で調整することができるので、包装袋を開口する際に容易に合掌熱接着部を剥離することができる熱接着強度が得られるものである。熱接着強度調整層6として使用できる樹脂としては、熱接着性樹脂層14がポリエチレンからなる場合には、例えば、アクアテックス909(中央理化工業)等が、熱接着性樹脂層14がポリプロピレンからなる場合には、例えば、アクアテックスEC1700(中央理化工業)、セイカダイン1900W(大日精化工業)等がある。上記の樹脂は共に水性のエマルジョンタイプであるので、有機溶剤に溶解した樹脂を使用する場合のように残留溶剤による臭いの問題等が発生することがない。
【0021】
積層フイルムの製造方法は以下のとおりである。1軸延伸フイルム層の一方の面にポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂からなる熱接着性樹脂層を押出ラミネーションないしはドライラミネーションにより積層する。押出ラミネーションで積層する場合において、熱接着性樹脂層としてポリエチレンを使用する際には1軸延伸フイルム層としてポリエチレンからなるものを使用し、熱接着性樹脂層としてポリプロピレンを使用する際には1軸延伸フイルム層としてポリプロピレンからなるものをそれぞれ使用するのが好ましい。次いで、クラビア印刷機にて1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層との積層フイルムの1軸延伸フイルム層面に所定の絵柄層を印刷すると同時に熱接着性樹脂層面の絵柄層に対応した所定領域、即ち、開口する際に剥離する合掌熱接着部に対応した熱接着性樹脂層面の所定領域に熱接着強度調整層をベタ印刷することにより形成する。1軸延伸フイルム層13の印刷する面には予めコロナ放電処理を施しておくのが好ましい。印刷工程が完了した1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とからなる積層フイルムをそのまま使用してもよいし、更に、印刷工程が完了した1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層との積層フイルムの絵柄層面にドライラミネーションにより2軸延伸フイルム層を積層した積層フイルムを使用してもよい。得られた積層フイルムを所定の位置にてスリットした後に、製袋機ないしは自動充填包装機にかけてピロータイプ袋を作製する。上記の方法により積層フイルムを作製することにより、合掌熱接着部の所定の領域に正確に位置決めした状態で熱接着強度調整層を形成することができるものである。
【0022】
【発明の効果】
表面から順に2軸延伸フイルム層と1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とが積層された積層フイルムからなり、熱接着性樹脂層を内面にして合掌熱接着部と端縁熱接着部により形成されたピロータイプ袋であって、合掌熱接着部の外側の積層フイルム端縁に沿った所定巾を非熱接着部とすると共に、非熱接着部に所定間隔をおいて2箇所の切込を形成した構成の易開口包装袋である。この場合、2箇所の切込間の非熱接着部を摘んで両側に引っ張り合掌熱接着部を剥離すると同時に、切込に対応した位置で積層フイルムを引裂くことにより、簡単に大きい開口を形成することができる。
上記の易開口包装袋において、積層フイルムを1軸延伸フイルム層面に2軸延伸フイルム層を積層した構成とすることにより、2軸延伸フイルム層の耐熱性が良好であるため熱接着によりピロータイプ袋を作製する際の作業性がよくなると共にガスバリアー性の優れた易開口包装袋とすることができる。
上記の易開口包装袋において、1軸延伸フイルム層の熱接着性樹脂層の積層面と反対側に絵柄層を形成すると共に、2箇所の切込間の合掌熱接着部に対応する熱接着性樹脂層の少なくとも一方の面に熱接着強度調整層を形成した構成とすることにより、2箇所の切込間の非熱接着部を摘んで両側に引っ張ることにより、熱接着強度調整層が形成された部分の合掌熱接着部を容易に剥離することができるし、更に2箇所の切込に対応した位置で積層フイルムを引裂いて包装袋を開口させた場合においても、熱接着強度調整層が形成されていない合掌熱接着部は接着強度が強く剥離することがないので、2箇所の切込の間隔に対応した大きさの開口を容易に形成することができる。
上記の易開口包装袋において、熱接着性樹脂層がオレフイン系樹脂からなり、熱接着強度調整層がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる構成とすることにより、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフイン系樹脂を熱接着性樹脂層として使用した場合においても、熱接着性樹脂層に対する熱接着強度調整層の接着性が優れると共に熱接着強度調整層面同志の熱接着性も良好であるので、熱接着強度調整層を構成する樹脂組成及び塗布量を変化させることにより、熱接着強度調整層が形成された部分の熱接着性樹脂層の熱接着強度を適当な強度に調整することができるので、合掌熱接着部を剥離することが容易となり、簡単に所定の大きさの開口を形成することができる。
上記の易開口包装袋において、熱接着強度調整層を構成する樹脂を水性のエマルジョンタイプとすることにより、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の残留による臭いの問題が発生するのを防止できる。
1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを積層する工程と、1軸延伸フイルム層面に所定の絵柄層を形成すると同時に絵柄層に対応した熱接着性樹脂層の所定領域に熱接着強度調整層を形成する印刷工程と、1軸延伸フイルム層の絵柄層面と2軸延伸フイルム層とを積層して積層フイルムを作製する工程と、積層フイルムを所定位置にてスリットする工程と、スリットした積層フイルムを熱接着してピロータイプ袋を作製する工程とからなる製造方法にて易開口包装袋を製造することにより、容易に剥離したい部分の合掌熱接着部に対応した熱接着性樹脂層面に熱接着強度調整層を正確に位置合わせをして形成することができるので、開口の大きさを任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易開口包装袋の第1実施形態を示す平面図。
【図2】第1実施形態の開口した状態を示す平面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す平面図。
【図4】第1実施形態の易開口包装袋をヒンジ蓋付き紙箱に収納した包装体を開口した状態を示す斜視図。
【図5】本発明の易開口包装袋を作製するのに使用する積層フイルムを示す(イ)は平面図で(ロ)はI−I断面図。
【符号の説明】
2 合掌熱接着部 9 紙箱
2a 合掌熱接着領域 9a ヒンジ蓋
3 端縁熱接着部 10 内容物
3a 端縁熱接着領域 11 2軸延伸フイルム層
4 非熱接着部 12 絵柄層
5 切込 13 1軸延伸フイルム層
6 熱接着強度調整層 14 熱接着性樹脂層
7 引裂線
8 カット線

Claims (6)

  1. 1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを有する積層フイルムからなり、前記熱接着性樹脂層を内側にして積層フィルムの端縁部をその端縁を揃えて熱接着して形成した合掌熱接着部と該合掌熱接着部と直交する方向で上下2箇所の両端部を熱接着して形成した上下の端縁熱接着部を有するピロータイプ袋であって、前記1軸延伸フィルム層の前記熱接着性樹脂層の積層面と反対側に絵柄層を形成すると共に、前記合掌熱接着部の外側端に前記合掌熱接着部と平行に帯状の非熱接着部を備え、前記非熱接着部を構成する積層フィルムの揃えられた両端縁にはそれぞれ2箇所の合掌熱接着部に達する切込を有し、該2箇所の前記切込の一方は上の端縁熱接着部近傍の位置に他方は下の端縁熱接着部近傍の位置に配置されており前記切込間の前記合掌熱接着部に対応する前記熱接着性樹脂層の少なくとも一方の面に熱接着強度調整層が形成され、前記非熱接着部の端縁に位置する2箇所の切込間の非熱接着部を摘んで両側に引っ張り前記合掌熱接着部が剥離されることを特徴とする易開口包装袋。
  2. 前記積層フイルムが、前記1軸延伸フイルム層面に2軸延伸フイルム層が積層されていることを特徴とする請求項1記載の易開口包装袋。
  3. 前記熱接着性樹脂層がオレフィン系樹脂からなり、前記熱接着強度調整層がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか記載の易開口包装袋。
  4. 前記熱接着強度調整層を構成する樹脂が水性のエマルジョンタイプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の易開口包装袋。
  5. 1軸延伸フイルム層と熱接着性樹脂層とを1軸延伸フィルム層の一方の面に熱接着性樹脂層を押出ラミネーションすることにより積層する工程と、前記1軸延伸フィルム層と熱接着性樹脂層との積層フィルムに対し前記1軸延伸フイルム層面に所定の絵柄層を形成すると同時に前記絵柄層に対応した前記熱接着性樹脂層面の所定領域に熱接着強度調整層を形成する印刷工程と、前記積層フイルムを所定位置にてスリットする工程と、スリットした前記積層フイルムを熱接着してピロータイプ袋を作製する工程とからなることを特徴とする易開口包装袋の製造方法。
  6. 前記印刷工程の後に、前記1軸延伸フイルム層の前記絵柄層面に2軸延伸フイルム層をドライラミネーションにより積層する工程を有することを特徴とする請求項5記載の易開口包装袋の製造方法。
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