JPH0678101B2 - 易開封性の複合包装体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液体やガスの注入が可能で、ある程度の剛性を
有し、一定方向に対しての開封を容易に行なうことがで
き、かつ、開封部分を再度閉塞することができ、しか
も、包装体内に包装用材料の端面が露出することのない
複合包装体に関する。

合成樹脂フィルムと紙層とを具備する積層シートを主体
とする複合包装用材料の両側辺部同士を積層、貼着して
胴貼り部を形成する複合包装体は、該包装体が剛性を有
すること、包装体の内周面が無毒性であること、複合包
装用材料から内填物が封入してある包装体への成形工程
が容易であること等により、各種のデザート食品等の包
装体として多用されている。

この複合包装用材料の両側辺部同士を積層、貼着して胴
貼り部を形成した複合包装体内の内填物取り出し用の開
封は、複合包装体の１部に形成されている小摘み片を利
用して行ない得るようにされており、小摘み片に連続す
る帯条部を薄肉の引きちぎり線で囲繞した構成としてい
る。

しかしながら、前述の複合包装体を形成している複合包
装用材料に引き裂き方向性がないため、薄肉の引きちぎ
り線で囲繞した帯条部を小摘み片と共に引きちぎる際の
帯条部が先細りになって引きちぎりが不完全になった
り、また開封端面（引きちぎり端面）がケバ立って不整
となる等の不都合を生じていた。

本発明は、一軸方向に方向性を有している合成樹脂フィ
ルムと紙層とを具備する略扇形状をなす複合包装用材料
の１側辺部上に他側辺部を積層、貼着して胴貼り部を形
成した略逆円錐形状の複合包装体において、前記略扇形
状をなす複合包装用材料における合成樹脂フィルムの方
向性を略扇形状の複合包装用材料の１側辺部から他側辺
部に向かう方向とし、複合包装用材料の紙層のみに合成
樹脂フィルムの方向性と一致する方向に伸びる２本の易
破断線を、小間隔ｓを存して複合包装材料の１側辺部か
ら他側辺部に亘って形成し、また、複合包装用材料の他
側辺部には、該他側辺部から突出する小摘み片を、前記
２本の易破断線で囲繞される帯条部の延長方向に延設
し、しかも、複合包装用材料の１側辺部上に他側辺部を
積層、貼着した胴貼り部を、複合包装用材料の１側辺部
の全体における紙層を厚さ方向に１部分除去して得られ
る薄肉部を反転させた後に、該反転部に複合包装用材料
の他側辺部を積層し、複合包装用材料における合成樹脂
フィルム同士を貼着させて形成し、また、前記小摘み片
を離型処理層を介して複合包装用材料の１側辺部に積
層、貼着させた複合包装体とすることにより、前記の問
題を解決し得たものである。

以下、本発明の易開封性の複合包装体の構成を図面に基
づいて説明する。

第１図において符号１で表示される本発明の１実施例品
である易開封性の複合包装体は、第２図に示される略扇
形状の複合包装用材料２の１側辺部３上に他側辺部４を
積層、貼着して胴貼り部５を形成してあり、略逆円錐形
状をなしている。

複合包装体１の成形材料である複合包装用材料２の１例
は、第３図（１）に示される積層構成、すなわち、一軸
方向に方向性を有している合成樹脂フィルム６と紙層７
とこれらの間の接着剤層８とからなる積層シートであ
り、略扇形状をなす複合包装用材料２における合成樹脂
フィルムの方向性を、略扇形状の複合包装用材料２の１
側辺部３から他側辺部４に向かう方向、すなわち、第２
図において矢印（イ）で表示される方向と一致させてあ
る。

複合包装用材料２の紙層７のみに、合成樹脂フィルム６
の方向性（イ）と一致する方向に伸びる２本の易破断線
9,10を、小間隔ｓを存して複合包装用材料２の１側辺部
３から他側辺部４に亘って形成してあり、また、複合包
装用材料２の他側辺部４には、該他側辺部４から突出す
る小摘み片11を前記２本の易破断線9,10で囲繞される帯
条部12の延長方向に延設して形成してある。

また、小摘み片11が積層される部分の複合包装用材料２
の１側辺部の表面には離型処理を施してある。

さらに、複合包装用材料２の１側辺部３上に他側辺部４
を積層、貼着した胴貼り部は、第５図に示されるよう
に、複合包装用材料の１側辺部における紙層31の一部を
厚さ方向に除去した薄肉部を反転させた後に複合包装用
材料の他側辺部を積層、貼着させて形成してある。

以上の構成による略逆円錐形状をなす本発明の１実施例
品である易開封性の複合包装体１は、底部13の閉塞と、
複合包装体１内への内填物の充填と、開放口14の閉塞と
に付され、第４図にて符号15で表示されるような内填物
が封入されている包装体になる。

この包装体の開封は、小摘み片11を摘み上げ、小摘み片
11に連続する帯条部12を、易破断線9,10を利用して引き
ちぎることによって行なわれる。

易破断線9,10を利用して引きちぎる帯条部12の幅、すな
わち易破断線９と10との間隔ｓは約10mm程度で十分であ
る。

易破断線9,10は、複合包装用材料２の紙層７のみに施し
てあり、例えば、ハーフカット線やミシン目線等からな
る。

紙層７の厚さの略半分まで切刃を入れるハーフカット線
の場合には、一軸方向に方向性を有している合成樹脂フ
ィルム、紙及び必要に応じて積層するその他の素材を積
層した後、扇形状の抜き工程でハーフカットを同時に入
れることができるので、製作費のコストダウンを図るこ
とができる。

また、ミシン目線の場合には、予めミシン目線を刻設し
た紙と一軸方向に方向性を有している合成樹脂フィルム
及び必要に応じて積層するその他の素材を積層した後、
扇形状の抜き工程を実施するものであるため、ミシン目
線を形成する際の抜刃管理が不要である。

さらに、この易破断線9,10は、複合包装用材料２の紙層
７のみに施してあるため、易破断線9,10に起因する密封
不完全を完全に回避し得る。

本発明の易開封性の複合包装体の成形材料である複合包
装用材料は、少なくとも一軸方向に方向性を有している
合成樹脂フィルムと紙層とを含んでいる。

例えば、第３図（１）に示される複合包装用材料２のよ
うに、一軸方向に方向性を有している合成樹脂フィルム
６と紙層７とこれらの両者の間の接着剤層８との積層シ
ートが最も基本的な構成である。

第３図（２）の複合包装用材料16は、一軸方向に方向性
を有している合成樹脂フィルム18と紙層19と接着剤層20
とからなる積層シート21と、該積層シート21に積層して
あるヒートシール性能を有する合成樹脂によるヒートシ
ール層22とからなる。

第３図（３）の複合包装用材料17は、一軸方向に方向性
を有している合成樹脂フィルム23と紙層24と接着剤層25
とからなる積層シート26と、該積層シート26の一軸方向
に方向性を有している合成樹脂フィルム23側に接着剤層
27を介して積層してあるガスバリヤー性素材によるガス
バリヤー層28とヒートシール性能を有する合成樹脂によ
るヒートシール層29とからなる。

複合包装用材料において、一軸方向に方向性を有してい
る合成樹脂フィルムとしては、一軸延伸熱可塑性合成樹
脂フィルム、一方向に比較して他方向の配向性が極めて
大きい二軸延伸熱可塑性合成樹脂フィルム等が利用さ
れ、主としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオ
レフィン系フィルムが使用される。

また、第３図（２）の複合包装用材料16や第３図（３）
の複合包装用材料17において、ヒートシール層として
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等が使用される。

第３図（３）の複合包装用材料17において、ガスバリヤ
ー性素材によるガスバリヤー層としては、例えばアルミ
ニウム箔、ポリ塩化ビニリデンコートポリエステルフィ
ルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂コート
ポリエステルフィルム等を利用し得る。

なお、複合包装用材料中の紙層に方向性がある場合に
は、紙層の方向性と一軸方向に方向性を有している合成
樹脂フィルムの方向性とを一致して両者を積層すること
は勿論である。

また、本発明の易開封性の複合包装体は、複合包装用材
料の１側辺部上に他側辺部を積層、貼着してなる胴貼り
部の形成、底部の閉塞及び開口部の閉塞を、熱溶着によ
って実施することが好ましい。したがって、複合包装用
材料としては、該複合包装用材料の裏面がヒートシール
性能を有する合成樹脂層で形成されているものを使用す
るのが一般的である。

なお、第２図に示される複合包装用材料２において、符
号30で表示される条線は、複合包装用材料２から第１図
において符号１で表示される略逆円錐形状の複合包装体
を成形する際の折曲げ加工を容易にするための折曲線で
あり、紙層７から一軸方向に方向性を有している合成樹
脂フィルム６に向かって付されている凹条線である。

以上の通りの構成による本発明の複合包装体は、該複合
包装体の成形材料である複合包装用材料中の一軸方向に
方向性を有している合成樹脂フィルムの方向性と一致す
る方向に伸びる２本の易破断線と、該２本の易破断線に
囲繞される帯条部の延長方向に突出している小摘み片と
を有しているので、小摘み片を利用して前記帯条部を切
断、除去する複合包装体の開封を極めて容易に行なうこ
とができ、かつ、帯条部が先細りになって引きちぎりが
不完全になったり、また開封端面（引きちぎり端面）が
ケバ立って不整となる等の不都合を生ずることなく開封
することができる。

また本発明の複合包装体は、略扇形状をなす複合包装用
材料の１側辺部上に他側辺部を積層、貼着して胴貼り部
を形成した略逆円錐形状をなしているので、小摘み片を
利用して前記帯条部を切断、除去して開封した後にも、
帯条部の上方部分をキャップとして利用することができ
るため、開封口部を再び封緘し得る。

さらに本発明の複合包装体においては、複合包装用材料
の他側辺部から突出する小摘み片を、離型処理層を介し
て複合包装用材料の１側辺部に積層、貼着してあるた
め、小摘み片が複合包装用材料の１側辺部に強固に熱溶
着することがなく、開封に際しての小摘み片の摘み上げ
操作を容易に行なうことができる。

さらにまた、本発明の複合包装体は、複合包装用材料の
１側辺部上に他側辺部を積層、貼着した胴貼り部を、複
合包装用材料の１側辺部における紙層の一部を厚さ方向
に除去した薄肉部を反転させた後に、複合包装用材料の
他側辺部を積層、貼着させて形成しているので、複合包
装体の内部に複合包装用材料の端面が露出することがな
い。

したがって、複合包装用材料中に紙層が含まれているに
も拘らず、該紙層が複合包装体の内部に露出することが
なく、水分含有量の多いものを内填させる場合であって
も、複合包装用材料が吸湿するようなことが無く、しか
も、胴貼り部の厚さが複合包装用材料の３倍もの厚さに
なることがなく体裁が良いものになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の複合包装体の内填物充填前のものを示
す斜視図、第２図は第１図の複合包装体に使用する複合
包装材料の正面図、第３図（１）（２）（３）は本発明
の複合包装体に使用する複合包装材料のそれぞれ別の例
を示す断面模型図、第４図は本発明の複合包装体の内填
物充填後のものを示す斜視図、第５図は本発明の複合包
装体の胴貼り部を説明する断面模型図である。 1:内填物充填前の複合包装体、2:複合包装用材料、3:複
合包装用材料２の１側辺部、4:複合包装用材料２の他側
辺部、5:胴貼り部、6:一軸方向に方向性を有している合
成樹脂フィルム、7,31:紙層、9,10:易破断線、11:小摘
み片、12:帯条部、s:易破断線の間隔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一軸方向に方向性を有している合成樹脂フ
   ィルムと紙層とを具備する略扇形状をなす複合包装用材
   料の１側辺部上に他側辺部を積層、貼着して胴貼り部を
   形成した略逆円錐形状の複合包装体において、前記略扇
   形状をなす複合包装用材料における合成樹脂フィルムの
   方向性を略扇形状の複合包装用材料の１側辺部から他側
   辺部に向かう方向とし、複合包装用材料の紙層のみに合
   成樹脂フィルムの方向性と一致する方向に伸びる２本の
   易破断線を小間隔ｓを存して複合包装材料の１側辺部か
   ら他側辺部に亘って形成し、また、複合包装用材料の他
   側辺部には、該他側辺部から突出する小摘み片を前記２
   本の易破断線で囲繞される帯条部の延長方向に延設し、
   しかも、複合包装用材料の１側辺部上に他側辺部を積
   層、貼着した胴貼り部を、複合包装用材料の１側辺部の
   全体における紙層を厚さ方向に１部分除去して得られる
   薄肉部を反転させた後に、該反転部に複合包装用材料の
   他側辺部を積層し、複合包装用材料における合成樹脂フ
   ィルム同士を貼着させて形成し、また、前記小摘み片を
   離型処理層を介して複合包装用材料の１側辺部に積層、
   貼着したことを特徴とする易開封性の複合包装体。