JP3644994B2 - 易開封性液体紙容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、牛乳、ジュース等の液体を収納する液体紙容器に係り、特に易開封性を有する易開封性液体紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用後の後処理が比較的容易なことから牛乳、ジュース等の液体を収納するのに液体紙容器が盛んに使用されている。この液体紙容器は、板状に形成される紙基材を何の加工もせずにそのまま容器状に成形して牛乳、ジュース等種々の液体を収納すると、収納した液体が液体紙容器を形成している紙基材に染み込み、紙基材を通して外部に漏れ出てしまう。そこで、液体紙容器を形成している紙基材の少なくとも内容物が接触する接液面側にヒートシール可能な熱可塑性樹脂層
(低密度ポリエチレン層)を形成して液体紙容器内に収納した牛乳、ジュース等の液体が液体紙容器を形成している紙基材を通して外部に漏れ出てるのを防止している。一般には、製造上から紙を基材とする液体紙容器の場合、表側(印刷面側)及び裏側(接液面側)にヒートシール可能な熱可塑性樹脂層を形成し、紙容器の表側、裏側の両面から液体紙容器外に内容物が漏洩するのを防止している。
このような液体紙容器に収納した液体を取り出す方法として、従来、実開昭62−108226号のような図6に示す如く、紙基材1にミシン目2を直線状に入れ、このミシン目2を開封するに、ミシン目2を上から内部に向かって押し込むようにして該直線状のミシン目2に沿って破り開口して注出口3を引き出すものがある。また、従来、実開昭62−130025号のような図7に示す如く、ミシン目に沿って開口しやすいように紙基材4にミシン目5を帯状幅広にゲーベルトップの屋根ラインまで形成し、この帯状のミシン目5に沿って引き裂き、スリット状に開口して注出口6を形成するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の前者の液体紙容器の場合は、液体を取り出すために開封する紙基材に入れたミシン目に沿って開封しようとしてミシン目部を押込んだ際に、非切込み部分の強度に負けてミシン目線に沿って破れないことがある。また、従来の後者の液体紙容器の場合は、液体を取り出すために開封する紙基材に帯状に入れたミシン目に沿って開封しようとして、引き裂いた際に、紙基材に入れたミシン目が非切込み部分の強度に負けて途中で層間剥離したり、目的とするミシン目の末端まで届かないうちに千切れてしまうことがある。
【0004】
本発明の目的は、紙基材に形成したミシン目に沿って開封する際、途中で層間剥離を生じたりせずに、目的とするミシン目の末端まで非切込み部分の強度に負けずに確実に破ることができるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め紙基材を貫通するミシン目を該紙基材に形成し、該ミシン目に沿って液体紙容器を開封する開封口を形成し、さらに、前記液体紙容器内側に一軸延伸された高密度ポリエチレンフィルムを、その延伸方向が前記開封口を形成するミシン目の形成方向と同一の方向になるようにラミネートして構成したものである。
【0006】
【作用】
予め紙基材を貫通するミシン目を該紙基材に形成し、該ミシン目に沿って液体紙容器を開封する開封口を形成し、該開封口の上に高密度ポリエチレン一軸延伸フィルムをその延伸方向が前記開封口を形成するミン目の形成方向と同一の方向になるようにラミネートして構成してあるため、紙基材に形成したミシン目に沿って開封する際、途中で層間剥離を生じたりせずに、目的とするミシン目の末端まで非切込み部分の強度に負けずに確実に破ることができる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1〜図4には、本発明に係る易開封性液体紙容器の一実施例が示されており、図1は易開封性液体紙容器のカートン展開図、図2は易開封性液体紙容器を構成する紙材の断面図、図3は易開封性液体紙容器を構成する紙材のミシン目部の断面図、図4は易開封性液体紙容器を開封している状態を示す図である。
【0008】
図において、10は液体紙容器で、11は液体紙容器10を形成する板状に形成される紙基材である。12、13は紙基材11を貫通して形成されるミシン目であり、ミシン目12とミシン目13との間は所定間隔開けて帯状に形成されており、ミシン目12、13の切り込みと非切り込み部の間隔は、引き裂き伝播力を延伸フィルムによって保持するため、1:1〜10:1の間で適当に設定することができる。また、液体紙容器10におけるミシン目12、13の形成位置は容積効率の点からミシン目成形上支障のない範囲(開封した際に内容物が零れ落ちるようなことのない位置)で、できるだけ液体紙容器10の上部に形成するのが良い。そして、このミシン目12とミシン目13は、図1に示す如く、液体紙容器10の全周に渡って形成されている。14はタブで、引き裂く際の糸口として設けられており、このタブ14を液体紙容器10の外側に引っ張りながら図4に示す如くミシン目12とミシン目13に沿って開封し、開封口20を形成するためのものである。したがって、タブ14を液体紙容器10の外側に引っ張りながら図4に示す如くミシン目12とミシン目13に沿って全部開封すると、液体紙容器10の上部は完全に取り払われる。
【0009】
紙基材11の両面には、図2に示す如く、低密度ポリエチレンフィルム15、16が適宜厚さ(例えば、20μm)に被覆されている。この低密度ポリエチレンフィルム15、16には、例えば、三井石油化学工業株式会社製のミラソンP−206がある。この低密度ポリエチレンフィルム15、16の被覆された紙基材11の接液面側(図2では低密度ポリエチレンフィルム16被覆側)には、高密度ポリエチレンフィルム17が被覆されている。この高密度ポリエチレンフィルム17は、一軸延伸の高密度ポリエチレンフィルムで、その延伸方向がミシン目12、13のミシン目形成方向と同一の方向になるように低密度ポリエチレンフィルム16の上に熱圧着によって積層されている。この一軸延伸の高密度ポリエチレンフィルム17は、インフレーション法、キャスト法のいづれの方法で作られたものでも良く、具体的には、三井東圧株式会社製 ハイブロンSMK#25がある。
【0010】
18は低密度ポリエチレンフィルムで、高密度ポリエチレンフィルム17の上に押し出し被覆されるシール用の樹脂である。
このように紙基材11の両面に低密度ポリエチレンフィルム15、16が被覆され、低密度ポリエチレンフィルム16の上に高密度ポリエチレンフィルム17が熱圧着され、さらに高密度ポリエチレンフィルム17の上に低密度ポリエチレンフィルム18が被覆されて紙材19が形成されている。
【0011】
紙材19は、紙基材11の適宜箇所に開封口20を形成するための帯状のミン目12、13を図1に示す如く全周に渡って形成し、しかる後、このミン目12、13の構成されている紙基材11の両面に低密度ポリエチレンフィルム15、16をコーティングする。したがって、帯状のミン目12、13には、図3に示す如く低密度ポリエチレンフィルム15、16が入り込むことはなく、ミシン目12、13は図3に示す如く、紙基材11だけに形成されることになる。
【0012】
次に、本実施例の動作について説明する。
まず、図1に図示のカートンを組み立て、液体内容物を封入した後、重ね部を重ね合わせ、液体内容物の充填された液体紙容器10を完成させる。このように作られた液体紙容器10を開封する場合には、液体紙容器10の重ね部の外側に突出したタブ14を手で持って開くように液体紙容器10の外側に向かって引き裂く。この開封に当たっては、紙基材11は、ミシン目12、13が形成されているのでミシン目12、13に沿って引き裂くことができる。また、ミシン目12、13の上にコーティングした高密度ポリエチレンフィルム17が一軸延伸の高密度ポリエチレンで、しかも延伸方向がミシン目12、13のミシン目形成方向と同一に形成されているため、タブ14を持って引き裂いた際に、高密度ポリエチレンフィルム17の引き裂き容易性がよく、抵抗無く引き裂かれるため、図4に示す如く開封していき、引き裂き時に一軸延伸フィルムの延伸方向に対する引き裂き容易性の効果によって軽い力で引き裂くことができ、ミシン目12、13に沿って開封している最中に、ミシン目の末端まで引き裂かれない内に層間剥離を引き起こしたりして途中で切れてしまい開封が完全にできないということがない。タブ14を持って液体紙容器10の全周に渡って引き裂くと、液体紙容器10の頭部が切り取られることになる。このようにして頭部が切り取られた開封口20が露出する。
【0013】
したがって、本実施例によれば、軽い力で引き裂き伝播が可能であり、高密度ポリエチレン17が安価であるためコスト上の利点があり、液体紙容器10の積層時に一般的に使用される低密度ポリエチレン16、18との接着も十分あるため、高価な接着剤や接着性樹脂を使用する必要もなく、加工時のコストを抑えることができる。
【0014】
図5には、本発明の他の実施例が示されている。
本実施例は、内容量が1リットル以上の大容量の液体紙容器の場合であり、本実施例が図1に図示の実施例と異なる点は、図1に図示の実施例が紙基材11に形成されるミシン目12、13が液体紙容器10全周に渡って形成されているのに対し、本実施例が紙基材31のゲーベルトップの屋根ラインに帯状幅広に帯状のミシン目32を形成している点である。
【0015】
すなわち、図において、30は液体紙容器で、31は液体紙容器30を形成する板状に形成される紙基材である。32は紙基材31を貫通して形成されるミシン目であり、紙基材31のゲーベルトップの屋根ラインに形成されている。この紙基材31の両面には、図1に図示の実施例同様、図2に示す如く低密度ポリエチレンフィルムが適宜厚さに被覆されている。そして、図1に図示の実施例同様、接液面側の低密度ポリエチレンフィルムの上には、高密度ポリエチレンフィルムが被覆されており、この高密度ポリエチレンフィルムは、一軸延伸の高密度ポリエチレンフィルムで、その延伸方向がミシン目32のミシン目形成方向と同一の方向になるように低密度ポリエチレンフィルムに熱圧着によって積層されている。この高密度ポリエチレンフィルムの上に低密度ポリエチレンフィルムがラミネートされてシールされている。
【0016】
重ね部には、ミシン目32の切口が形成されており、ミシン目32の切口から引き剥がすように外に向けて引くことによってミシン目32に沿って開封する。ミシン目による開封方法は周知の方法であり、液体紙容器を手にした者は、多くミシン目の突端を探そうとする習性を有しており、引き裂き時に一軸延伸フィルムの延伸方向に対する引き裂き容易性の効果によって軽い力で引き裂くことができる。このように軽い力で引き裂くことができるため、ミシン目32に沿って開封している最中に、ミシン目の末端まで届かない内に層間剥離を引き起こして途中で切れてしまうようなことがない。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、従来より確実で完全な易開封を可能にでき、その実用的価値を高めることができる。
【0018】
また、本発明によれば、高密度ポリエチレンフィルムを一軸延伸のものを使用しているため軽い力で引き裂き伝播を可能とすることができる。
【0019】
また、本発明によれば、フィルムに最も安価な高密度ポリエチレンを用いているためコストの上昇を抑制することができ、液体紙容器の積層時に一般的に使用される低密度ポリエチレンとの接着も十分あるため、高価な接着剤や接着性樹脂を使用する必要もなく、加工時のコストも最小に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る易開封性液体紙容器の実施例を示すカートン展開図である。
【図2】図1に図示の易開封性液体紙容器を構成する紙材の断面図である。
【図3】図1に図示の易開封性液体紙容器を構成する紙材のミシン目部の断面図である。
【図4】本発明に係る易開封性液体紙容器をミシン目に沿って開封している状態を示す図である。
【図5】本発明に係る易開封性液体紙容器の他の実施例を示すカートン展開図である。
【図6】従来の紙基材にミシン目を直線状に入れて注出口を形成した液体紙容器を示す図である。
【図7】従来の紙基材にミシン目を帯状幅広にゲーベルトップの屋根ラインまで形成した液体紙容器を示す図である。
【符号の説明】
10………………………………………………液体紙容器
11………………………………………………紙基材
12,13………………………………………ミシン目
14………………………………………………タブ
15,16………………………………………低密度ポリエチレンフィルム
17………………………………………………高密度ポリエチレンフィルム
18………………………………………………低密度ポリエチレンフィルム
19………………………………………………紙材
20………………………………………………開封口
30………………………………………………液体紙容器
31………………………………………………紙基材
32………………………………………………ミシン目
Claims (1)
- 予め紙基材を貫通するミシン目を該紙基材に形成し、該ミシン目に沿って液体紙容器を開封する開封口を形成し、さらに、前記液体紙容器内側に一軸延伸された高密度ポリエチレンフィルムを、その延伸方向が前記開封口を形成するミシン目の形成方向と同一の方向になるようにラミネートしてなる易開封性液体紙容器。
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