JP3951766B2 - スローアウェイチップおよびスローアウェイ式切削工具 - Google Patents

スローアウェイチップおよびスローアウェイ式切削工具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スローアウェイ式切削工具(以下、切削工具と称する。)に着脱可能に取り付けられるスローアウェイチップ(以下、チップと称する。)、および該チップを取り付けた切削工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のチップおよび切削工具として、本発明の発明者等は、特開2000−141123号公報において、軸線回りに回転されるチップボデー(切削工具本体)に、所定の長さを有する第1切れ刃(主切刃)と、回転軸線に対してこの第1切れ刃の径方向外側に連続する曲率半径の小さい第2切れ刃(コーナ刃)とを有し、チップ取付状態で第1切れ刃に所定の切込み角が与えられて、チップボデーの外周から突出するように着脱可能に取り付けられるチップ、および該チップが取り付けられて、上記軸線回りに回転するとともにこの回転軸線を平行に移動させることにより、切削対象に平面部とこの平面部に対して所定の角度を有する立壁部とを連続して形成可能な回転切削工具を提案している。ここで、このチップの第2切れ刃から連続する切削工具外周側を向く側辺は、切削対象に形成する立壁部と干渉しないように、回転軸線に関して径方向内側に僅かに傾斜するように形成されており、この側辺の端部とチップの最大旋回径を形成する径方向最外側との間に僅かな間隔が形成されるようになされている。しかして、このようなチップおよび切削工具によれば、例えば円板状のチップを取り付けた切削工具などに比べ、上記平面部を形成する場合と立壁部を形成する場合とで切れ刃の切削対象に接する長さ、およびこれに基づく切削抵抗が大きく変わることがなく、平面部を形成する場合の切削工具の回転駆動速度を立壁部を形成する場合に合わせて低く設定する必要がなく、切削効率の向上を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来のチップは多角形の平板状に形成されているものの、そのすくい面とされる多角形面と、このすくい面に上記切れ刃を介して連なる逃げ面とされる側面とが鋭角に交差させられた、いわゆるポジティブチップとされており、従って平板状のチップの本体の表裏いずれかの面のみがすくい面とされているため、1つのチップに最も多くてもこのすくい面がなす多角形の角の数までしか上記コーナ刃や主切刃を形成することができない。しかも、この従来のチップでは、すくい面とされる上記多角形面の1つの辺稜部において、その一方の角部側に上記主切刃が、また他方の角部側にはこの主切刃よりも短い副切刃が該主切刃に鈍角に交差するように形成されており、従ってたとえこのチップを、上記多角形面と側面とが直角に交差させられたネガティブチップに形成して、その表裏面を選択的にすくい面として使用しようとしても、表裏を反転させてチップを切削工具本体に取り付けると、上記副切刃が、切削工具外周側に突出するコーナ刃から切削工具内周側に延びるように切削工具先端側に突出させられるとともに、主切刃がこのコーナ刃から切削工具外周側を向いて後端側に延びるように配設されることとなり、所定の切刃長が得られな切削工具り、上記所定の切込み角が与えられなくなったり、あるいは切削工具外周側に向けられた上記主切刃が立壁部と干渉したりして、加工物(切削対象)に上述のような平面部と立壁部とを確実に形成することが不可能となってしまう。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述のように加工物に平面部と立壁部とを加工可能なチップにおいて、1つのチップ本体における使用可能な切刃の数を増やして経済的かつ効率的な加工が可能なチップおよび該チップを取り付けた切削工具を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のチップは、多角形平板状をなすチップ本体の上記多角形をなす表裏面を選択的にすくい面とし、これらの表裏面の共通する角部に円弧状をなすコーナ刃を形成するとともに、このコーナ刃の一端部に連なる上記表裏面の辺稜部には主切刃を形成し、さらに上記主切刃の上記コーナ刃とは反対側の端部に連なる上記表裏面の辺稜部には、この端部における上記主切刃の延長線に対して該端部から離間するに従い漸次後退する副切刃を形成して、連続するこれらコーナ刃、主切刃、および副切刃によって1つの切刃を構成する一方、上記コーナ刃の他端部に連なる上記表裏面の辺稜部は、このコーナ刃がなす上記円弧の二等分線に関して上記主切刃と対称形状に形成し、かつ上記チップ本体表裏面同士の間では、このチップ本体の表裏を反転させたときに、互いの上記コーナ刃、主切刃、副切刃、および上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部が対称形状となるようにし、上記表裏面には、該表裏面の内側においてこの表裏面に対し凹む凹溝状のブレーカを、上記コーナ刃の上記他端部から該コーナ刃およびその上記一端部に連なる上記主切刃、上記副切刃を経て、この副切刃に連なる上記辺稜部の途中に至るまで、かつ上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部の該他端部周辺側を避けるように形成して、しかもこれら表裏面に形成された上記ブレーカが、上記チップ本体の表裏を反転させたときに対称形状となるように配設したことを特徴とする。また、本発明の切削工具は、軸線回りに回転される切削工具本体の先端部外周に、ネガティブチップとされた上述のようなチップを、上記表裏面の一方を選択的に上記すくい面として上記切削工具本体の回転方向に向けるとともに、上記コーナ刃を上記切削工具本体の先端部の外周側に突出させて着脱可能に取り付け、このコーナ刃の一端部に連なる上記主切刃を、負のアキシャルレーキ角およびラジアルレーキ角を与えて、該コーナ刃の一端部から上記切削工具本体の内周側に向かうに従い先端側に傾斜するように該切削工具本体の先端側に突出させ、この主切刃に連続する上記副切刃は上記軸線に直交する平面に略沿うように配設する一方、このコーナ刃の他端部に連なる上記辺稜部は上記軸線方向後端側に向かうに従い上記切削工具本体の内周側に傾斜するように配設したことを特徴とする。
【0006】
すなわち、上記構成のチップにおいては、チップ本体の表裏面の共通する角部にそれぞれ形成されたコーナ刃の一端部に連なる主切刃および副切刃と他端部に連なる辺稜部とがコーナ刃のなす円弧の二等分線に対称とされるとともに、これらのコーナ刃、主切刃、副切刃、および辺稜部が表裏面同士でも反転対称とされているので、このチップ本体を、その表裏面から等距離にある平面と上記コーナ刃の上記二等分線を含む平面との交線である反転対称軸線回りに180°回転させて反転させることにより、表裏で主切刃および副切刃とコーナ刃の他端部に連なる辺稜部との位置関係を変えることなく、従って主切刃に所定の切込み角を与えつつ上記辺稜部と加工物の立壁部との干渉を避けて、多角形平板状のチップ本体の1つの角について2回の切刃の使い回しが可能となり、1つのチップ本体で、そのすくい面がなす多角形の角部の数の最大2倍の切刃を使用可能とすることができる。例えば、上記チップ本体が概略正三角形平板状をなしている場合には、その表裏の概略正三角形面を選択的に上記すくい面とし、これらの表裏面の6つの角部に上記コーナ刃を形成するとともに、少なくともこのコーナ刃と上記主切刃、副切刃および該コーナ刃の他端部に連なる辺稜部を、上記表裏面の中心を通る中心線に関して120°ずつの回転対称に形成することにより、1つのチップ本体で6回の切刃の使い回しが可能となり、極めて経済的かつ効率的である。
【0007】
さらに、上記主切刃の上記コーナ刃とは反対側の端部に連なる表裏面の辺稜部に、この端部における上記主切刃の延長線に対して該端部から離間するに従い漸次後退する副切刃を形成して、上記チップ本体の表裏面同士の間で、この副切刃も該チップ本体を表裏反転させたときに対称形状にとなるようにされているので、上述のような経済性および効率性を維持しつつも、副切刃を切削工具本体の軸線に直交する平面に沿って延びるようにチップを取り付けることにより、上記平面部の仕上げ面精度の向上を図ることができる。また、この副切刃を円弧状とすれば、例えば該副切刃が厳密に切削工具本体の軸線に直交する平面に沿って延びるようにチップが取り付けられていなくても、1刃当たりの送りに伴って平面部に大きな段差が形成されるのを防ぐことができ、仕上げ面精度の一層の向上を図ることができる。ただし、こうして副切刃を円弧状に形成する場合には、この副切刃がなす円弧の半径は、上記チップ本体の表裏面に内接する円の直径Dに対して1〜100×Dの範囲とされるのが望ましく、上記円弧の半径がこれより小さくても大きくても上述の効果を奏することができなくなるおそれが生じる。
【0008】
一方、上記主切刃は、上記コーナ刃の一端部における該コーナ刃の接線方向に延びる1の直線状、またはこの1の直線とこれに上記コーナ刃とは反対側で鈍角に交差する他の1の直線とからなる折れ線状に形成されるのが望ましく、これにより、上記切削工具のようにこの主切刃がコーナ刃の一端から切削工具本体の内周側に向かうに従い先端側に傾斜させられて所定の切込み角を有して切削工具本体先端側に突出するようにチップを取り付けた際に、例えば主切刃全体が円弧状とされている場合などに比べて加工物(切削対象)との主切刃の接触長さを短くすることができて切削抵抗の変動を防ぐことができるとともに、この主切刃に連なって逃げ面とされるチップ本体の側面や該主切刃と対称とされた上記コーナ刃他端部側の辺稜部に連なるチップ本体の側面を平面状とすることができ、これらの側面に切削工具本体の支持面を確実に密着させることが容易となって、チップ取付剛性の向上を図ることができる。特に、主切刃を上記2つの直線による折れ線状に形成した場合には、これらの直線部分による切屑の分断効果が期待できるとともに、取付状態においてこの主切刃のうち切削工具本体後端外周側に位置してコーナ刃の一端部から接線方向に延びる1の直線状部の切込み角が、このコーナ刃とは反対側の切削工具本体先端内周側に位置する他の1の直線状部よりも大きくなるので、加工面の平面部の切削のように切込みが浅い場合にはこの他の1の直線状部で切削を行うことができる一方、立壁部の切削のように切込みが深いときには後端外周側の上記1の直線状部も切削に供されるので、切削抵抗の増大を抑えることができる。ただし、この主切刃を構成する直線が3以上となると、主切刃と加工物との接触長さが長くなって切削抵抗の変動が大きくなるとともに、そのような主切刃を形成すること自体が困難ともなるので、この主切刃は1または2の直線により形成されるのが望ましい。
【0009】
また、上記表裏面に、該表裏面の内側においてこの表裏面に対し凹む凹溝状のブレーカを形成することにより、切屑の処理性の向上を図ってより円滑な加工を行うことができ、さらに該ブレーカを、上記コーナ刃の上記他端部から該コーナ刃およびその上記一端部に連なる上記主切刃、上記副切刃を経て、この副切刃に連なる上記辺稜部の途中に至るまで、かつ上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部の該他端部周辺側を避けるように形成して、しかもこれら表裏面に形成された上記ブレーカが、上記チップ本体の表裏を反転させたときに対称形状となるように配設している。しかるに、このコーナ刃の他端部に連なる辺稜部は、上述のように立壁部を形成する際の該立壁部とチップ本体との干渉を避けるために切削工具本体の上記軸線方向後端側に向かうに従い内周側に傾斜するように配設されるために切削作用を生じることはなく、従って切屑も生成されることはないのでブレーカを形成する必要もない一方で、こうしてコーナ刃の他端部に連なる辺稜部を避けるようにブレーカを形成することにより、表裏面同士で主切刃の反対側にはブレーカが形成されることがなくなってチップ本体やその取付剛性を確保することができるとともに、例えば上述のようにチップ本体を概略正三角形平板状として、その表裏のすくい面の6つの角部に上記コーナ刃を、また該コーナ刃の一端部に連なる辺稜部に主切刃や副切刃を形成し、さらにこれらのコーナ部や主切刃あるいは副切刃に沿ってブレーカを形成した場合でも、切削工具本体の先端側に突出させられる主切刃の対角に位置する角部のコーナ刃の他端部に連なる辺稜部の内側に、ブレーカの形成されない平坦なすくい面部分を残しておくことができ、この平坦部をクランプ機構等によって押圧したりすることによってチップの取付剛性の向上を図ることができる。さらに、上記チップ本体に、上記表裏面を判別する表示を、該表裏面の異なる角部側に付ければ、チップ本体の表裏面の一方をすくい面としてその切刃を使用した後に反転させて他方をすくい面としてその切刃を使用するときに、この表裏を間違えてチップを取り付けたりするのを防ぐことができる。また、上記切削工具本体の後端部に上記軸線に沿って延びる軸状のシャンク部を形成して、このシャンク部を工作機械の主軸に取り付けられるホルダの取付孔に挿入して保持するような場合には、この切削工具本体の先端面には、少なくとも工具切刃径寸法を含んだ寸法情報を表示するのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態のチップ1を示すものである。本実施形態のチップ1は、そのチップ本体2が超硬合金等の硬質材料により形成されて外形が概略正三角形(より具体的には偏六角形)の平板状をなし、この概略正三角形をなす表裏面3,4は互いに同形同大でその形状のまま平行とされ、一方が選択的にすくい面とされるとともに他方が着座面とされ、またこれら表裏面3,4の周りに配設される側面5は表裏面3,4に垂直とされて逃げ面が形成され、この逃げ面とすくい面とされる表裏面3,4の交差稜線部すなわちすくい面の辺稜部に切刃が形成されている。従って、本実施形態のチップ1は、すくい面と逃げ面とが切刃を介して直角に交差するように形成されたネガティブチップとされる。また、これら表裏面3,4の中央には、該表裏面3,4に垂直にチップ本体2をその厚さ方向に貫通する取付孔6が形成されており、この取付孔6には、チップ本体2の上記厚さ方向にその中央部から表裏面3,4側の開口部に向けて一段拡径するようにテーパ部6A,6Aが形成されている。
【0011】
ここで、本実施形態のチップ1は、略正三角形平板状に形成されたそのチップ本体2が上記取付孔6の中心線Cに関して120°ずつの回転対称形となるように形成されている。そして、表裏面3,4がなす三角形の各角部には、該表裏面3,4に垂直に対向する方向から見て凸円弧状をなすコーナ刃7が形成されるとともに、このコーナ刃7の一端部(図2、3において中心線Cを中心とした時計回り方向側の端部)7Aに連なる表裏面3,4の辺稜部には主切刃8が形成されている。また、この主切刃8のコーナ刃7とは反対側の端部(同じく図2、3において中心線Cを中心とした時計回り方向側の端部)8Aに連なる辺稜部には副切刃9が形成されており、端部7A,8Aを介して連続するこれらコーナ刃7、主切刃8、および副切刃9によって1つの上記切刃が構成されている。従って、本実施形態では、表裏面3,4のそれぞれにおいて上記中心線Cに関して120°ずつの回転対称に配置される3組のコーナ刃7、主切刃8、および副切刃9によって3つの切刃が形成され、1つのチップ本体2に合計6つの切刃が形成されることとなる。
【0012】
さらに、凸円弧状をなす上記コーナ刃7は、その半径rが、後述する表裏面3,4に内接する円の直径Dに対して0.05〜0.5×Dの大きさとされるとともに、その円弧の扇角が45〜150°程度とされ、この円弧の二等分線M、すなわちこの円弧の弦(コーナ刃7の両端部7A,7Bを結ぶ直線)の中点において該弦に直交する直線は、表裏面3,4の内側において上記中心線Cに交差させられている。また、このコーナ刃7の上記一端部7Aに連なる主切刃8は、本実施形態ではこの一端部7Aにおいて円弧状のコーナ刃7に滑らかに接して該一端部7Aにおけるコーナ刃7の接線方向に1直線状に延びる第1直線状部10と、この第1直線状部10におけるコーナ刃7とは反対側の端部10Aにおいて該第1直線状部10に凸V字状をなすように鈍角に交差してやはり1直線状に延びる第2直線状部11とから構成されて折れ線状をなしている。なお、これら第1、第2直線状部10,11の切刃長K,Lは、第2直線状部11の切刃長Lが第1直線状部10の切刃長Kよりも長くされ、その比率K/Lは0.4〜0.9程度とされている。
【0013】
さらにまた、副切刃9は、本実施形態では主切刃8の上記端部8A、すなわち第2直線状部11のコーナ刃7側とは反対側の端部において該第2直線状部11に滑らかに接する凸円弧状に形成されていて、この端部8Aにおける主切刃8の延長線(第2直線状部11の延長線)に対して該端部8Aから離間するに従い漸次後退するように形成されており、ただしその半径Rは上記内接円の直径Dの1〜100×Dの範囲とされて、コーナ刃7の半径rよりも十分大きくされている。また、この副切刃9の長さ(副切刃9がなす凸円弧の弦の長さ)Gは、上記内接円直径Dに対して0.1〜0.4×Dとされている。なお、本実施形態ではこの副切刃9は、表裏面3,4がなす略正三角形の各辺稜部の中央に位置して該辺稜に沿って延びるように形成され、該副切刃9がなす凸円弧の二等分線(副切刃9がなす凸円弧の両端部を結ぶ弦の中点において該弦に直交する直線)が上記中心線Cに交差するようにされており、従って表裏面3,4上における上記中心線Cを中心とした円は、この表裏面3,4の内側からその直径を徐々に大きくしてゆくと、この副切刃9の中央において当該表裏面3,4に内接することとなり、この円の直径が本実施形態における上記表裏面3,4に内接する円の直径Dとされる。
【0014】
一方、選択的にすくい面とされる表裏面3,4の各角部において上記主切刃8側とは反対側のコーナ刃7の他端部(図2、3において中心線Cを中心とした反時計回り方向側の端部)7Bに連なる該表裏面3,4の辺稜部12は、このコーナ刃7がなす円弧の上記二等分線Mに関して対称となるように形成されている。従って、本実施形態では上記主切刃8が第1、第2の2つの直線状部10,11によって構成されているのに伴い、この辺稜部12も凸V字状をなすように鈍角に交差する第1、第2の2つの直線状部13,14によって折れ線状に形成されることとなり、さらにチップ本体2が上述のように中心線Cについて120°回転対称とされていることから、当該チップ本体2は、その各角において互いに表裏反対側に位置する角部、すなわち表裏面3,4の共通する角部に形成されたコーナ刃7の上記二等分線Mとこれに交差する上記中心線Cとを含む平面Nに関して対称となるように形成されることとなる。また、この辺稜部12のコーナ刃7とは反対側は、当該辺稜部12の延長上に位置した他のコーナ刃7から延びる他の副切刃9と交差させられており、チップ本体2が上記平面Nに関して対称とされていることから、この他の副切刃9も平面Nに関して上記副切刃9と対称に形成される。
【0015】
従って、表裏面3,4それぞれの2つのコーナ刃7,7間に延びる上記概略正三角形の1辺にあっては、一方のコーナ刃7の一端部7Aから順に主切刃8(第1、第2直線状部10,11)、副切刃9、および辺稜部12(第2、第1直線状部14,13)が凸曲折するように並べられることとなり、しかもこの1辺も、当該1辺に対向する角部に形成された残りの1つのコーナ刃7の二等分線M、または該二等分線Mを含む上記平面Nに関して、対称に形成されることとなる。このため、上記1辺は、副切刃9を介して主切刃8と辺稜部12とが鈍角に交差するようにして形成されることとなるので、表裏面3,4は、より具体的には上述のように偏六角形状を呈することとなり、また副切刃9を1辺としてみるとさらに具体的には偏九角形状を呈することとなり、さらに主切刃8および辺稜部12を第1、第2直線状部10,11,13,14のそれぞれ2つの辺としてみると偏15角形状を呈することとなる。
【0016】
そして、さらにこれらのコーナ刃7、主切刃8、副切刃9、および該コーナ刃7の他端部7Bに連なる上記辺稜部12は、チップ本体2の表裏面3,4同士の間で、このチップ本体2の表裏を反転させたときにも互いに対称となるように配設されている。すなわち、本実施形態では図1に示すように、チップ本体2の1つの角における表裏面3,4の角部(共通する角部)に形成されたコーナ刃7,7の一端部7Aに連なる主切刃8および副切刃9同士と他端部7Bに連なる上記辺稜部12同士とが、それぞれ上記平面Nを挟んで互い違いの表裏面3,4側に配設されており、言い換えれば、該平面Nの一方の側に延びる側面5については、表面3との交差稜線部に主切刃8および副切刃9が形成されるとともに裏面4との交差稜線部に上記辺稜部12が形成され、逆にこれとは反対の平面Nの他方の側に延びる側面5については、裏面4との交差稜線部に主切刃8および副切刃9が形成されるとともに表面3との交差稜線部に辺稜部12が形成されるようになされている。従って、このチップ本体2を、その表裏面3,4から等距離にある平面と上記平面Nとの交線(共通する角部に形成されたコーナ刃7,7の二等分線M,Mから等距離にある平面N上の直線)である反転対称軸線S回りに180°回転させて反転させると、表面3の主切刃8および副切刃9の位置に裏面4の主切刃8および副切刃9が、表面3の上記辺稜部12の位置に裏面4の辺稜部12がそれぞれ配置されることとなり、逆に裏面4の主切刃8および副切刃9の位置には表面3の主切刃8および副切刃9が、裏面4の上記辺稜部12の位置には表面3の辺稜部12がそれぞれ配置されることとなる。
【0017】
また、本実施形態では、チップ本体2に、これら表裏面3,4を判別する表示15が付けられている。この表示15は、本実施形態では表裏面3,4から僅かに凹んだ円形の凹所内に、表面3には「A」、裏面4には「B」の文字が表裏面3,4から突出することなく刻印あるいは浮き上がらされて示されたされたものであって、表裏面3,4にそれぞれ1箇所ずつその1の上記辺稜部12に隣接して取付孔6との間の部分に付けられている。ただし、これらの表示15,15が隣接する上記1の辺稜部12は、該辺稜部12が連なるコーナ刃7の形成される角部が、表裏面3,4の上記共通する角部とならないようにされている。
【0018】
次に、図5ないし図8は、このようなチップ1を取り付けた本発明の切削工具の第1の実施形態を示すものである。本実施形態の切削工具は、その切削工具本体16が軸線Oを中心とした外形略円柱状に形成されていて、この切削工具本体16の先端部外周に上記チップ1が着脱可能に取り付けられるとともに、該切削工具本体16の後端部が工作機械の主軸に取り付けられて、上記軸線O回りに図中に符号Tで示す回転方向に回転させられつつ該軸線Oに交差する方向に送り出されることにより、加工物(切削対象)に平面部や立壁部のような加工面を形成してゆく。ここで、本実施形態では、その切削工具本体16の先端部外周に、図6に示すように軸線O方向先端視においてこの切削工具本体16先端部外周をL字状に切り欠くように複数(本実施形態では4つ)のチップポケット17…が周方向にほぼ等間隔に形成されていて、各チップポケット17の切削工具回転方向T側を向く壁面17Aの先端側に形成されたチップ取付座18に、上記実施形態のチップ1がそれぞれ取り付けられており、従って1つの切削工具本体16に複数(やはり本実施形態では4つ)のチップ1…が周方向に等間隔に取り付けられることとなる。なお、チップポケット17…は周方向に不等間隔に形成されていてもよい。
【0019】
上記チップ取付座18は、切削工具本体16の先端および外周に開口する凹所として形成されていて、上記壁面17Aから回転方向Tの後方に一段凹むように形成された平面状の底面18Aと、この底面18Aから垂直に上記壁面17Aに立ち上がるやはり平面状の壁面(支持面)18B,18C,18Dとから構成されている。このうち底面18Aは、切削工具本体16の後端側に向かうに従い切削工具回転方向T側に向けて傾斜するようにされており、その中央部には該底面18Aに垂直にネジ孔16Aが切削工具本体16に形成されている。また、壁面18Bはチップ取付座18の内周側に位置して切削工具本体16の先端面から略外周側を向きつつ後端外周側に延びるように、壁面18Cはこの壁面18Bの後端側にあって先端外周側を向きつつさらに後端外周側に延びるように、壁面18Dは壁面18Cに対向するようにチップ取付座18の後端外周側に位置して切削工具本体16の外周面から後端内周側に延びるようにそれぞれ形成されている。なお、これら壁面18Bと壁面18Cとの間、および壁面18Cと壁面18Dとの間には、半円形の逃げ部18E,18Fがそれぞれ形成されている。
【0020】
図5ないし図8に示した切削工具では、このようなチップ取付座18に、上記チップ1が、そのチップ本体2の1の側面5を切削工具本体16の先端側に向けて、表面3がすくい面として選択されて切削工具回転方向Tに向けられるとともに裏面4が着座面として上記底面18Aに密着させられ、上記1の側面5が交差する表面3の1辺に形成された主切刃8および副切刃9を切削工具本体6の先端側に突出させるとともに該主切刃8が連なるコーナ刃7を切削工具本体6の先端部外周に突出させ、さらにこのコーナ刃7の他端部7Bに連なる辺稜部12を切削工具本体16の外周側に向けて軸線O方向後端側に向かうに従い切削工具内周側に向かうように傾斜させて着座させられる。このとき、この切削工具本体16の先端部外周に突出させられたコーナ刃7に対向する表面3の他の1辺に連なる側面5においては、この他の1辺に形成された主切刃8の第1直線状部10に連なる部分がチップ取付座18の上記壁面18Bに、また辺稜部12の第2直線状部14に連なる部分にそれぞれ密着して当接させられるとともに、これらの間の部分は上記逃げ部18E内に略収容される。また、表面3の残りの1辺に連なる側面5においては、その主切刃8の第2直線状部11に連なる部分が壁面18Dに密着して当接させられ、これと上記他の1辺との間の切削工具後端側に向けられたコーナ刃7周辺に連なる部分は逃げ部18Fに略収容される。そして、こうしてチップ取付座18に着座させられた状態で、上記取付孔6にクランプネジ19を挿通して上記ネジ孔16Aにねじ込むことにより、チップ1は切削工具本体16に着脱可能に取り付けられる。
【0021】
なお、本実施形態ではこのクランプネジ19の他に、チップ1の取付剛性をより確実に確保するためのクランプ機構20が切削工具本体16に備えられている。このクランプ機構20は、チップポケット17の上記壁面17Aのチップ取付座18の後端側にクランプネジ孔20Aとこれよりも小径の孔20Bとが形成され、クランプネジ孔20Aには、先端がチップ1のすくい面とされた表面3上にまで延出させられたクランプ駒20Cの中央部に挿通されるクランプネジ20Dが取り付けられるとともに、孔20Bにはコイルスプリング20Eが収容された上で上記クランプ駒20C後端側のピン部が挿入された構成とされている。そして、クランプネジ20Dを上記クランプネジ孔20Aにねじ込んで締め付けることにより、クランプ駒20Cの先端がチップ本体2の表面3をチップ取付座18の底面18A側に押圧してチップ1を切削工具本体16に強固に固定する一方、クランプネジ20Dを緩めたときには、上記コイルスプリング20Eによってクランプ駒20Cが押し上げられてチップ1の押圧が速やかに解かれるようにされている。
【0022】
こうして切削工具本体16に取り付けられたチップ1においては、チップ取付座18の上記底面18Aが上記軸線O方向後端側に向かうに従い切削工具回転方向T側に向けて傾斜する平面状とされていることにより、切削工具本体16の先端側に突出させられた上記主切刃8および副切刃9と外周側に突出したコーナ刃7とには、図7に示すように負のアキシャルレーキ角αが与えられる。ただし、このアキシャルレーキ角は−5〜−15°の範囲に設定されるのが望ましい。また、こうして突出させられたコーナ刃7、主切刃8、および副切刃9には図6に示すように負のラジアルレーキ角βが与えられ、このラジアルレーキ角βは望ましくは−10〜−20°の範囲に設定される。
【0023】
さらに、上記主切刃8は、コーナ刃7の一端部7Aから切削工具本体16の内周側に向かうに従い先端側に傾斜するように配設されて、軸線Oに直交する平面Pに対し所定の切込み角γが与えられるようにされている。ただし、上記実施形態のチップ1では主切刃8が2つの直線状部10,11により構成されているので、主切刃8の切込み角γも、切削工具本体16外周側に配置される第1直線状部10による大きな切込み角γ10と、内周側に配置される第2直線状部11による小さな切込み角γ11とから構成されることとなる。なお、この第1直線状部10による切込み角γ10は15〜30°の範囲とされるのが望ましく、第2直線状部11による切込み角γ11は5〜20°の範囲とされるのが望ましい。ただし、これらの切込み角γ10,γ11はγ10>γ11の関係にある。また、この主切刃8の上記端部8Aに連なる凸円弧状とされた副切刃9は、該凸円弧がなす上記弦が平面P上に位置して該副切刃9がこの平面Pに沿うように配設されるか、この弦が切削工具本体16の内周側に向けて0〜3°程度の極小さな角度θで後端側に傾斜するように配設される。
【0024】
従って、このようにチップ1を取り付けた上記切削工具においては、加工物に平面部を形成するときには、専らこの主切刃8によって加工物が切削されるが、上記チップ1においてはこの主切刃8が直線によって形成されているため、例えばこの主切刃がコーナ刃からそのまま延長された円弧状とされている場合などに比べ、加工物に対する該主切刃8の接触長さを短くして上記切削負荷の変動自体を抑えることができる。また、チップ本体2の側面5の主切刃8やこれと対称とされた辺稜部12に連なる部分を平面状とすることができるので、上述のようにチップ取付座18の壁面18B,18C,18Dも平面状としてこれに上記側面5部分を密着させることにより高いチップ取付剛性を得ることができる。一方、切削工具本体16の外周側に突出させられたコーナ刃7は、その凸円弧に沿って上記主切刃8Aと連なる一端部7Aから外周後端側に向けて延びて最外周に達し、次いで僅かに後端内周側に延びて上記他端部7Bに至るように配設されており、さらにこの他端部7Bに連なる辺稜部12は、切削工具本体16の軸線O方向後端側に向かうに従い内周側に傾斜するように配設されているので、加工物に立壁部を形成するときでも、この辺稜部12が加工物と干渉することがなく、従ってこのように加工物に平面部と立壁部とを形成する場合でも、1つの切削工具により連続して円滑な加工を行うことが可能となる。
【0025】
そして、上記構成のチップ1では、これらコーナ刃7の両端部7A,7Bに連続する主切刃8と辺稜部12とが、該コーナ刃7の二等分線Mに対して対称とされているとともに、すくい面とされた表面3と着座面とされた裏面4同士の間で、チップ本体2の表裏を反転させたときにも、互いの上記コーナ刃7、主切刃8、および辺稜部12が対称形状となるように配設されているので、すくい面とされた表面3側にコーナ刃7や主切刃8に摩耗が生じたりしたときには、クランプネジ19およびクランプ機構20によるチップ本体2のクランプを解いてチップ1を取り外し、上記反転対称軸線S回りに180°回転させてチップ1を反転させ、裏面4をすくい面として選択して切削工具回転方向Tに向けるとともに表面3を着座面としてチップ取付座18の底面18Aに密着させて取り付け直すことにより、表面3の上記コーナ刃7が形成された角部と共通する裏面4側の角部のコーナ刃7およびこれに連なる主切刃8を、表面3側と同じ位置や切込み角γで切削に使用することができるとともに、このコーナ刃7の他端部7Bに連なる辺稜部12も、表面3側と同じように切削工具本体16の軸線O方向後端側に向けて内周側に傾斜するように配設することができる。すなわち、上記構成のチップ1では、切削の条件等を何等変更させることなく、そのチップ本体2の1つの角について2回の切刃の使い回しが可能となるので、多角形平板状のチップ本体2の角数の最大2倍の切刃が使用可能となり、例えば本実施形態のようにチップ本体2が概略正三角形平板状をなすチップ1では6回の切刃の使用が可能となって、極めて経済的かつ効率的な切削を行うことが可能となる。
【0026】
また、上記実施形態のチップ1では、そのチップ本体2に表裏面3,4を判別する表示15が付けられており、このようにチップ本体2の表裏を反転させて使用する際にも、チップ取付座18から取り外したチップ1の表裏を間違えて使用済みの面を再びすくい面として選択してしまうようなミスが生じるのを防ぐことができる。しかも、本実施形態では、この表示15が表裏面3,4から突出しないように形成されているとともに、表裏の表示15,15同士がチップ本体2の異なる角側に設けられていて、該チップ本体2の厚さ方向に重ならないようにされているので、クランプネジ19やクランプ機構20によるチップ本体2の取付にも支障を来したりチップ取付剛性が損なわれたりすることはない。なお、本実施形態では、このようにチップ本体2の表裏面3,4双方に表示15を設けているが、いずれか一方のみに表示15があれば表裏の判別は可能であり、またこの表示15自体も、実施形態のように「A」「B」等の文字を付ける以外に、例えば単なる窪み状のドットを表裏面3,4の少なくとも一方に付けるようにしてもよい。ただし、表裏面3,4の両面に付けるときには、ドットは互いに異なる形状や数とする。
【0027】
一方、上記第1の実施形態のチップ1では、コーナ刃7の一端部7Aに連なる主切刃8が、凸円弧状をなすこのコーナ刃7の該一端部7Aにおける接線方向に延びる第1直線状部10と、この第1直線状部10にその端部10Aにおいて鈍角に交差する第2直線状部11とから構成されて折れ線状に形成されており、これにより、これらが交差する上記端部10Aにおいて切屑を2つに分断して生成することができて、切屑処理性の向上を図ることができるとともに、切削工具取付状態において外周側に位置する第1の直線状部10の切込み角γ10が内周側に位置する第2直線状部11の切込み角γ11よりも大きくなり、しかもこの第2直線状部11の切刃長Lが第1直線状部10の切刃長Kよりも長くされているので、例えば加工物の上記平面部を切削するときには、主切刃8のうちでも専ら上記第2の直線状切刃部11によって小さい切り込み量で送りを大きくして効率的な加工を行うことができる一方、切り込み量が大きくなる立壁部の切削のときには、大きな切込み角γ10の上記第1の直線状切刃部10からコーナ刃7を用いて切削抵抗の増大を抑えることができる。
【0028】
ただし、上記第1の実施形態ではこのように主切刃8を第1、第2の2段の直線状部10,11によって構成し、またこれと対称とされる辺稜部12も第1、第2の直線状部13,14によって構成されるようにしているが、これを図9に示す第2の実施形態のチップ21のように、主切刃22が1直線状に延びるように形成して該主切刃22に単一の切込み角γ22が与えられるようにし、またこれと対称とされるコーナ刃7の一端部7Bに連なる辺稜部23も1直線状に延びるように形成するようにしてもよい。なお、この第2の実施形態を初め、後述する第3〜第5の実施形態のチップ31〜51においては、上記第1の実施形態と共通する主要な部分には同一の符号を配して説明を省略する。
【0029】
しかして、この第2の実施形態のチップ21によれば、当該主切刃22の切刃長Qを第1の実施形態よりもさらに短くして加工物との接触長さも短縮することができるとともに、当該主切刃22や辺稜部23およびこれらに連なるチップ本体2の側面5部分の形成も容易となり、さらには1の平面によって形成されることとなるこれら側面5部分の面積を、第1の実施形態の第1、第2直線状部10,11それぞれに連なる側面5部分よりも大きくすることができ、従ってチップ取付座18の壁面18B,18C,18Dとの密着面積も大きく確保することができるので、一層のチップ取付剛性の向上を図ることができる。ただし、この第2の実施形態では主切刃22を1直線状に、また上記第1の実施形態では主切刃8を2つの直線状部10,11により構成しているが、この主切刃を構成する直線が3以上となると、その切刃長が長くなって加工物との接触長さも長くなり、切削負荷(抵抗)の変動が十分に抑えられなくなるとともに、隣接する直線状部同士の交差角も大きくなるため切屑分断効果も少なくなり、しかもそのような多段に折れ曲がる主切刃を精度よく形成すること自体が困難ともなるので、この主切刃8,22はこれら第2、第1の実施形態のように1直線か多くとも2つの直線によって構成されるのが望ましい。
【0030】
さらに、上記第1の実施形態では、上記主切刃8のコーナ刃7側とは反対側の端部8Aに、この端部8Aにおける主切刃8の延長線(第1の実施形態では第2直線状部10の延長線)に対して該端部8Aから離間するに従い漸次後退する副切刃9を形成しており、チップ取付状態においてこの副切刃9が、切削工具本体16の軸線Oに直交する平面Pに対して切削工具内周側に向かうに従い後端側に向けて0〜3°程度の角度θでこの平面Pに略沿うように配設されている。従って、加工物に平面部を形成する場合において上述のように送りを大きくしても、1刃当たりの送りに伴ってこの平面部に残される山部(切削工具マーク)をこの副切刃9によって削り落とすことができて、仕上げ面精度の向上を図ることが可能となる。
【0031】
また、この第1の実施形態では上記副切刃9が凸円弧状とされているので、上述したチップ本体2の側面5とチップ取付座18の壁面18B〜18Dとの当接やクランプネジ19やクランプ機構20による押圧などにも拘わらず、万一チップ1が切削中に上記中心線C回りにずれ動いたりしてその上記弦が上記平面P上に厳密に位置しなくなったとしても、副切刃9が描く凸円弧自体はチップ1がずれ動く前とオーバーラップさせることができ、従ってこの副切刃9によって仕上げられる平面部の仕上げ面精度が著しく劣化するのを避けることができる。なお、このような効果を確実に奏するには、この副切刃9がなす円弧の半径Rは、第1の実施形態のように上記内接円の直径Dの1〜100×Dの範囲とされるのが望ましく、半径Rがこれより小さいと送りを大きくしたときの仕上げ面精度が損なわれるおそれがあり、逆に半径Rがこれよりも大きいと副切刃9が直線状に近くなってしまうおそれがある。ただし、上述のようにチップ本体2の側面5とチップ取付座18の壁面18B〜18Dとの当接やクランプネジ19、クランプ機構20による押圧などにより、このチップ取付剛性が向上されて中心線C回りの回転が確実に防止されたりするのであれば、例えば図10に示す第3の実施形態のチップ31のように副切刃32が直線状に延びるように形成されていて、この副切刃32が上記平面Pに対して0〜3°程度の角度θとなるようにチップ31を切削工具本体16に取り付けるようにしてもよい。
【0032】
次に、図11ないし図14は本発明の第4の実施形態のチップ41を示すものであり、図15および図16は第5の実施形態のチップ51を示している。しかして、これらのチップ41,51は、チップ本体2の上記表裏面3,4に、該表裏面3,4の内側においてこの表裏面3,4に対し凹む凹溝状のブレーカ42,52が、少なくとも上記コーナ刃7から主切刃8に沿って、かつコーナ刃7の他端部7Bに連なる辺稜部12の少なくとも該他端部7B側の周辺を避けるように形成されており、しかもこれら表裏面3,4に形成されたブレーカ42,52が、チップ本体2の表裏を反転させたときに対称形状となるように配設されていることを特徴とする。なお、第4の実施形態のチップ41は第1の実施形態と同様に主切刃8および辺稜部12が第1、第2直線状部10,11,13,14から構成されているものであり、また第5の実施形態のチップ51は第2の実施形態と同様に主切刃22および辺稜部23が単一の直線(1直線)状に形成されているものである。
【0033】
ここで、これらのブレーカ42,52は、チップ本体2の表裏面3,4からこのチップ本体2の上記厚さ方向に一段凹むようにして該表裏面3,4と平行とされた底面42A,52Aと、この底面42A,52Aから表裏面3,4に向けて斜め外側に傾斜しながら延びる壁面42B,52Bとから構成されたものであって、チップ本体2の表裏面3,4がなす概略正三角形の上記1辺に沿っては、その一方の角部に形成されたコーナ刃7の上記他端部7Bから、該コーナ刃7およびその一端部7Aに連なる主切刃8,22、副切刃9を経て、この副切刃9に連なる辺稜部12,23の途中に至る範囲まで、また表裏面3,4の上記中心線Cから外周側に向けては、上記取付孔6の開口部と表裏面3,4外周のコーナ刃7、主切刃8,22、副切刃9、および辺稜部12,23との間にそれぞれ一定幅の僅かな間隔をあけるようにして、側面5に達することなく該表裏面3,4の内側でのみ凹むように形成されている。なお、上記壁面42B,52Bは、底面42A,52Aから取付孔6側に向かう部分(表裏面3,4の内周側に向かう部分)よりも反対のコーナ刃7、主切刃8,22、副切刃9、および辺稜部12,23の途中側に向かう部分(表裏面3,4の外周側に向かう部分)の方が、その傾斜が緩やかになるようにされている。
【0034】
また、チップ本体2の表裏面3,4が上述のように中心線Cに関して120°ずつ回転対称とされていることから、これら第4、第5の実施形態では、このようなブレーカ42,52が表裏面3,4それぞれに3つずつの合計6つが、やはり120°回転対称に互いにつながることなく独立して形成されることとなる。従って、このブレーカ42,52と上記取付孔6の開口部、表裏面3,4外周のコーナ刃7、主切刃8,22、副切刃9、辺稜部12,23との間、および辺稜部12,23のコーナ刃7の他端部7B側の部分から取付孔6にかけては、上記表示15を除いて、ブレーカ42,52による凹みのない中心線Cに垂直な平面部分が残されることとなる。なお、このうち辺稜部12,23のコーナ刃7の他端部7B側から取付孔6にかけて残される部分は、表裏面3,4外周の辺稜部12,23側から内周の取付孔6側に向かうに従い、その幅が漸次大きくなるように形成されている。
【0035】
従って、このような第4、第5の実施形態によれば、加工物の平面部や立壁部の切削の際にコーナ刃7や主切刃8、副切刃9によって生成された切屑は、その表裏面3,4内側に形成された上記ブレーカ42,52内に導かれて壁面42B,52Bや底面42A,52Aに摺接、衝突することにより強制的にカールさせられて分断されるので、切屑処理性の向上を図ってより円滑な切削を行うことが可能となる。また、表裏面3,4の各角部においてコーナ刃7の他端部7Bに連なる辺稜部12の内側には、その少なくとも他端部7B側周辺部分にブレーカ42,52は形成されていないが、この辺稜部12は上述のように切削工具に取り付けた状態において加工物の立壁部に干渉しないように軸線O方向後端側に向けて内周側に傾斜させられ、すなわち切屑を生成することがないので、元々ブレーカ42,52を形成する必要がない。
【0036】
その一方で、このブレーカ42,52は、チップ本体2の表裏面3,4間で表裏を反転させたときに対称形状となるように配設されており、すなわち上記共通する角部において表裏面3,4に形成されたブレーカ42,52が、チップ本体2をこの角部の上記反転対称軸線S回りに180°回転させたときに互いに一致して対称形状となるようにされているので、すくい面として表面3を選択したときに、その主切刃8の少なくともコーナ刃7の一端部7A側周辺部分の裏側には、着座面とされた裏面4のブレーカ42,52が形成されていない辺稜部12の少なくともコーナ刃7の他端部7B側周辺部分が位置させられることとなる。このため、この主切刃8の裏側では、チップ本体2の肉厚が確保されるとともに、ブレーカ42,52がない平面状に残された裏面4部分がそのままチップ取付座18の底面18Aに密着させられることになるので、このようなブレーカ42,52を形成してもチップ本体2の切削負荷に対する剛性やチップ取付剛性が損なわれるのを避けることができ、より安定した切削を図ることが可能となる。また、チップ本体2を中心線C回りに120°回転対称に形成した上記実施形態のチップ41,51では、当該チップ41,51を上述のように切削工具本体16に取り付けたときに、すくい面とされる表裏面3,4の一方において切削に供される主切刃8とは対角上の切削工具後端側に向けられる角部にも、このブレーカ42,52が形成されない平面状部分を位置させることができるので、この部分を上記クランプ機構20のクランプ駒20Cによって押圧するようにすれば、このクランプ機構20による押圧を安定させて一層のチップ取付剛性の確保を図ることができる。
【0037】
なお、これら第1〜第5の実施形態ではチップ本体2が上述のように概略正三角形(より具体的には主切刃8,22を1つの辺としてみると偏六角形、さらに具体的には副切刃9を1つの辺としてみると偏九角形、また主切刃8、辺稜部12を第1、第2直線状部10,11,13,14のそれぞれ2つの辺としてみると偏15角形)の板状をなし、その表裏面3,4の各3辺にそれぞれ主切刃8、副切刃9および辺稜部12が形成されているが、例えば概略菱形等の平板状にチップ本体を形成して、その概略菱形状の表裏面の鋭角をなす角部にコーナ刃を形成するとともに、この角部に交差する上記辺稜部のうち、上記コーナ刃の一端部側に主切刃および必要に応じて副切刃を形成し、また他方の端部に連なる辺稜部はコーナ刃の二等分線に関して主切刃や副切刃と対称形状とし、さらには表裏面同士の間でチップ本体を反転させたときに上記主切刃や副切刃および辺稜部が対称形状となるように形成してもよい。
【0038】
次に、図17ないし図19は本発明の切削工具の第2の実施形態を示すものであって、図5ないし図8に示した第1の実施形態の切削工具と共通する要素には同一の符号を配して説明を簡略化する。本実施形態は、スローアウェイ式のエンドミルに本発明を適用したものであって、その切削工具本体61が第1の実施形態よりも外径に対して軸線O方向の長さの長い概略円柱状をなし、その後端部はこの軸線Oに沿って延びる該軸線Oを中心とした円柱軸状のシャンク部62とされている。また、このシャンク部62よりも先端側の切削工具本体61の先端部63は、その外周が、やはり軸線Oを中心として、該シャンク部62から一段縮径し、先端側に向けて小さな角度で漸次縮径した後に側面視に凹曲面状を描きつつ外周側に切れ上がり、次いで一定外径で当該切削工具本体61の先端面64に至るように形成されており、この先端部63の外周に、上記先端面64に開口して後端側に延びるチップポケット17…が形成されて、その切削工具回転方向T側を向く壁面17Aの先端側に形成されたチップ取付座18に、本実施形態では上記第1の実施形態のチップ1が、クランプネジ19およびクランプ機構20によって着脱可能に取り付けられている。
【0039】
そして、上記先端面64には、当該切削工具の工具切刃径Eを少なくとも含んだ寸法情報を表す表示65が設けられている。ここで、本実施形態の切削工具では、上記第1の実施形態と同様にチップ1において切削工具本体61の先端外周に突出させられたコーナ刃7が軸線Oから最も外周側に位置することとなり、このコーナ刃7の径方向外周側の突端が軸線O回りになす回転直径が工具切刃径Eとされて、その数値がそのまま(例えば、本実施形態では41mm)上記表示65として記載されている。また、この表示65は、例えば刻印等によって設けられている。
【0040】
しかるに、この種の軸状のシャンク部62を備えた切削工具では、このような工具切刃径E等の寸法情報や型番などは図17に示すようにこのシャンク部62に刻印されたりして表示されるのが一般的であるが、その一方でこの種の切削工具は、図19に示すようにこのシャンク部62がホルダ66の先端部に形成された取付孔67に挿入されて該ホルダ66に保持され、このホルダ66がその後端部のテーパシャンク68を工作機械の主軸に挿入して取り付けられたりすることにより軸線O回りに回転されて切削加工に供され、またこうしてホルダ66に保持されたまま工作機械のマガジン等に収容されて保管される。従って、図19には実線で示しているが、シャンク部62に表示された上記寸法情報等は、実際にはホルダ66によって覆い隠された状態であって、いちいちホルダ66から切削工具本体61を取り外さなければ確認することができない。特に、従来このような切削工具において上記工具切刃径Eとシャンク部62の外径とは互いに等しくされるのが一般的であり、従って上記取付孔67に取付可能なシャンク部62の外径についてのホルダ66側の表示を見れば、工具切刃径Eについても確認できたが、最近ではこのシャンク部62の外径に対して1、2mm程度僅かに大きく工具切刃径Eが設定された切削工具も使用されるようになってきており、このホルダ66側の表示や目視などによって正確な工具切刃径Eを確認することができなくなってきている。
【0041】
ところが、これに対して上記第2の実施形態の切削工具では、上述のように切削工具本体61の先端面64に表示65が示されているので、シャンク部62がホルダ66に保持されることにより覆い隠されていても、この表示65を容易に確認することができる。また、当該切削工具がホルダ66ごとマガジンに収容されていても、このようなマガジンにおいては通常ホルダ66がその先端側を該マガジンの収容孔の開口部に向けて収容されるので、やはり容易に表示65を確認することができる。なお、この表示65は、少なくとも上記工具切刃径Eを示す寸法情報を含んだものであればよく、他の寸法情報や型番等がこれと合わせて表示されていてもよい。また、刻印以外の手段で表示65が表されていても勿論構わない。さらに、この第2の実施形態の切削工具本体61に取り付けられるチップは、上記第1の実施形態のチップ1を初め、第2〜第5のチップ21,31,41,51や、上述したような概略平行四辺形等の他の多角形平板状のチップでも構わない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のチップにおいては、コーナ刃の一端部に連なる主切刃および副切刃と他端部に連なる辺稜部とがコーナ刃の二等分線に関して対称とされるとともに、チップ本体の表裏面でこれら主切刃および副切刃と辺稜部が反転対称とされているので、チップ本体の1つの角について2回の切刃の使用が可能となり、より経済的かつ効率的な切削を行うことが可能となる。また、この表裏面に、該表裏面の内側においてこの表裏面に対し凹む凹溝状のブレーカを、上記コーナ刃の上記他端部から該コーナ刃およびその上記一端部に連なる上記主切刃、上記副切刃を経て、この副切刃に連なる上記辺稜部の途中に至るまで、かつ上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部の該他端部周辺側を避けるように形成して、しかもこれら表裏面に形成された上記ブレーカが、上記チップ本体の表裏を反転させたときに対称形状となるように配設することにより、切屑処理性の向上を図りつつも、チップ本体の剛性やチップ取付剛性を確実に確保して、より円滑かつ安定した切削を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のスローアウェイチップ1を示す斜視図である。
【図2】 第1の実施形態のスローアウェイチップ1の表面3の平面図である。
【図3】 第1の実施形態のスローアウェイチップ1の裏面4の平面図である。
【図4】 図2、3におけるZZ断面図である。
【図5】 第1の実施形態のスローアウェイチップ1を取り付けた本発明の第1の実施形態のスローアウェイ式切削工具を示す一部破断側面図である(ただし、一部のスローアウェイチップ1はチップポケット17やチップ取付座18等を含めて図示が省略されている。)。
【図6】 実施形態のスローアウェイ式切削工具を軸線O方向先端側から見た底面図である。
【図7】 図5における矢線Y方向視の一部破断図である。
【図8】 実施形態のスローアウェイ式切削工具に取り付けられた第1の実施形態のスローアウェイチップ1を切削工具回転方向T側から見た図である(ただし、クランプ機構20は省略されている)。
【図9】 本発明の第2の実施形態のスローアウェイチップ21を示す表面3の平面図である。
【図10】 本発明の第3の実施形態のスローアウェイチップ31を示す表面3の平面図である。
【図11】 本発明の第4の実施形態のスローアウェイチップ41を示す斜視図である。
【図12】 第4の実施形態のスローアウェイチップ41の表面3の平面図である。
【図13】 第4の実施形態のスローアウェイチップ41の裏面4の平面図である。
【図14】 図12、13におけるZZ断面図である。
【図15】 本発明の第5の実施形態のスローアウェイチップ51を示す斜視図である。
【図16】 第5の実施形態のスローアウェイチップ51の表面3の平面図である。
【図17】 第1の実施形態のスローアウェイチップ1を取り付けた本発明の第2の実施形態のスローアウェイ式切削工具を示す側面図である(ただし、一部のスローアウェイチップ1はチップポケット17やチップ取付座18等を含めて図示が省略されている。)。
【図18】 第2の実施形態のスローアウェイ式切削工具を軸線O方向先端側から見た底面図である。
【図19】 第2の実施形態のスローアウェイ式切削工具をホルダ66に取り付けた状態を示す側面図である(ただし、一部のスローアウェイチップ1はチップポケット17やチップ取付座18等を含めて図示が省略されている。)。
【符号の説明】
1,21,31,41,51 スローアウェイチップ
2 チップ本体
3 表面
4 裏面
5 側面
6 取付孔
7 コーナ刃
7A コーナ刃7の一端部
7B コーナ刃7の他端部
8,22 主切刃
8A 主切刃8のコーナ刃7とは反対側の端部
9,32 副切刃
10 主切刃8の第1直線状部
11 主切刃8の第2直線状部
12,23 コーナ刃7の他端部7Bに連なる辺稜部
13 辺稜部12の第1直線状部
14 辺稜部12の第2直線状部
15 表示
16,61 切削工具本体
18 チップ取付座
19 クランプネジ
20 クランプ機構
65 表示
C 取付孔6の中心線
M コーナ刃7の二等分線
S 反転対称軸線
R 副切刃9の半径
O 切削工具本体16の中心軸線
T 切削工具回転方向

Claims (9)

  1. 多角形平板状をなすチップ本体の上記多角形をなす表裏面が選択的にすくい面とされ、これらの表裏面の共通する角部には円弧状をなすコーナ刃が形成されるとともに、このコーナ刃の一端部に連なる上記表裏面の辺稜部には主切刃が形成され、さらに上記主切刃の上記コーナ刃とは反対側の端部に連なる上記表裏面の辺稜部には、この端部における上記主切刃の延長線に対して該端部から離間するに従い漸次後退する副切刃が形成されて、連続するこれらコーナ刃、主切刃、および副切刃によって1つの切刃が構成される一方、上記コーナ刃の他端部に連なる上記表裏面の辺稜部は、このコーナ刃がなす上記円弧の二等分線に関して上記主切刃と対称形状に形成されており、かつ上記チップ本体の表裏面同士の間では、このチップ本体の表裏を反転させたときに、互いの上記コーナ刃、主切刃、副切刃、および上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部が対称形状となるように配設され、上記表裏面には、該表裏面の内側においてこの表裏面に対し凹む凹溝状のブレーカが、上記コーナ刃の上記他端部から該コーナ刃およびその上記一端部に連なる上記主切刃、上記副切刃を経て、この副切刃に連なる上記辺稜部の途中に至るまで、かつ上記コーナ刃の他端部に連なる辺稜部の該他端部周辺側を避けるように形成されており、しかもこれら表裏面に形成された上記ブレーカが、上記チップ本体の表裏を反転させたときに対称形状となるように配設されていることを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 上記副切刃が円弧状とされていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイチップ。
  3. 上記副切刃がなす円弧の半径が、上記チップ本体の表裏面に内接する円の直径Dに対して1〜100×Dの範囲とされていることを特徴とする請求項2に記載のスローアウェイチップ。
  4. 上記主切刃が、上記コーナ刃の一端部における該コーナ刃の接線方向に延びる1の直線状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
  5. 上記主切刃が、上記コーナ刃の一端部における該コーナ刃の接線方向に延びる1の直線と、これに上記コーナ刃とは反対側で鈍角に交差する他の1の直線とからなる折れ線状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
  6. 上記チップ本体には、上記表裏面を判別する表示が、該表裏面の異なる角部側に付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
  7. 上記チップ本体が概略正三角形平板状をなし、その表裏の概略正三角形面が選択的に上記すくい面とされて、これらの表裏面の6つの角部に上記コーナ刃が形成されるとともに、少なくともこのコーナ刃と上記主切刃および該コーナ刃の他端部に連なる辺稜部が、上記表裏面の中心を通る中心線に関して120°ずつの回転対称に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
  8. 軸線回りに回転される切削工具本体の先端部外周に、ネガティブスローアウェイチップとされた請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のスローアウェイチップが、上記表裏面の一方を選択的に上記すくい面として上記切削工具本体の回転方向に向けるとともに、上記コーナ刃を上記切削工具本体の先端部の外周側に突出させて着脱可能に取り付けられ、このコーナ刃の一端部に連なる上記主切刃が、負のアキシャルレーキ角およびラジアルレーキ角を与えられて、該コーナ刃の一端部から上記切削工具本体の内周側に向かうに従い先端側に傾斜するように該切削工具本体の先端側に突出させられ、この主切刃に連続する上記副切刃は上記軸線に直交する平面に略沿うように配設されている一方、このコーナ刃の他端部に連なる上記辺稜部は上記軸線方向後端側に向かうに従い上記切削工具本体の内周側に傾斜するように配設されることを特徴とするスローアウェイ式切削工具。
  9. 上記切削工具本体の後端部には上記軸線に沿って延びる軸状のシャンク部が形成されるとともに、この切削工具本体の先端面には、少なくとも工具切刃径寸法を含んだ寸法情報が表示されていることを特徴とする請求項8に記載のスローアウェイ式切削工具。
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