JP3951458B2 - 車体の前部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車体の前部構造に関するもので、特には、セミキャブオーバあるいはキャブオーバ型車両に適した車体の前部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セミキャブオーバあるいはキャブオーバ型車両では、エンジンルームが運転席の下方に位置したものがある。このような車両では、図6に示したように、エンジンルーム30の上部開口を画成するエンジンルームフロントパネル31とエンジンルームリヤパネル32(以下、両者を纏めてエンジンルームパネルという)との間で、フロントシート間に位置してセンターメンバー33と呼ばれる強度部材が差し渡して配設されている。そして、このセンターメンバー33にシフトレバーブラケット34,パーキングレバーブラケット35等の操作レバーブラケットが取付けられ、樹脂部品のコンソールボックス45によって艤装されている。それらの組付け手順は、先ずセンターメンバー33のナット(図示せず)に操作レバーブラケット34,35をボルト37等によって締結し、その後センターメンバー33をエンジンルームパネル31,32のナット38,39にボルト40,41によって締結する。ここで、カーペット仕様車の場合には、凸ホック42をエンジンルームフロントパネル31に予め取付け、カーペット43に予め部組みされた凹ホック44を前記凸ホック42に嵌着させる。そして、最後にコンソールボックス45をエンジンルームパネル31,32のナット46,47にボルト48,49によって締結する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、セミキャブオーバあるいはキャブオーバ型車両では、数多くの締付工数が必要であり、またコンソールボックスがエンジンルームパネルにネジ止めされたり、凸ホックがエンジンルームパネルにタッピングネジによって締結されているため、エンジン音の透過に対して不利であった。
【0004】
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、強度を高め、組付けが容易になり、エンジン透過音の低減が図れ、コストダウンが図れ、さらには部品間の位置出しが容易で、しかもエアバッグGセンサーの保護が図れる車体の前部構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の車体の前部構造では、エンジンルームの上部開口を画成するエンジンルームフロントパネルとエンジンルームリヤパネルとの間に差し渡すようにしてセンターメンバーを配設する車体の前部構造において、シフトレバーブラケット,センターメンバーおよびエンジンルームフロントパネルを共締めにし、前記センターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設し、該舌片にエンジンルームフロントパネルの縦壁に沿って添設されるカーペットの先端を嵌合してカーペットを保持させ、エアバッグGセンサーをエンジンルームフロントパネルの縦壁に配設し、前記センターメンバーの先端の上記舌片に孔を形成し、前記エアバッグGセンサーを覆った保護カバーの上部を前記孔を介してセンターメンバーに取付け、コンソールボックスの取付はセンターメンバーのみに締結している。
【0006】
この発明の車体の前部構造によれば、シフトレバーブラケットがセンターメンバーおよびエンジンルームフロントパネルに加わって一体に取付けられるので、強度部材であるセンターメンバーとエンジンルームフロントパネルとの結合剛性を高めることができる。
【0007】
本発明の車体の前部構造では、エンジンルームの上部開口を画成するエンジンルームフロントパネルとエンジンルームリヤパネルとの間に差し渡すようにして配設されるセンターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設し、該舌片にエンジンルームフロントパネルの縦壁に沿って添設されるカーペットの先端を嵌合して保持させている。
【0008】
この発明の車体の前部構造によれば、カーペットをセンターメンバーの舌片に嵌合すればよく、カーペットの取付け工数の削減が図れ、エンジンルームフロントパネルにネジ孔を形成しないためエンジンの透過音の低減が図れる。
【0009】
本発明の車体の前部構造では、エアバッグGセンサーをエンジンルームフロントパネルの縦壁に配設している。
【0010】
この発明の車体の前部構造によれば、エアバッグGセンサーがフロアに設置されていた従来に比べ、センサーに水がかかる虞れがなく、足で踏まれることもない。
【0011】
本発明の車体の前部構造では、エンジンルームの上部開口を画成するエンジンルームフロントパネルとエンジンルームリヤパネルとの間に差し渡すようにして配設されるセンターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設するとともに、該舌片に孔を形成し、前記エアバッグGセンサーを覆った前記保護カバーの上部を前記孔を介してセンターメンバーに取付けている。
【0012】
この発明の車体の前部構造によれば、コンソールボックスに対する位置出しが容易になり、タッピングスックリューを使用できるので、余分なナットを使用する必要がなくなりコストダウンが図れる。
【0013】
本発明の車体の前部構造では、コンソールボックスを、エンジンルームの上部開口を画成するエンジンルームフロントパネルとエンジンルームリヤパネルとの間に差し渡すようにして配設されるセンターメンバーに締結している。
【0014】
この発明の車体の前部構造によれば、コンソールボックスをエンジンルームフロントパネルに締結していた従来の場合に比べ、エンジンルームフロントパネルに孔を開けることがなくなるので、エンジンの透過音の減少が図れ、しかもナットを必要としないためコストダウンが図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る車体の前部構造の一実施の形態を示しており、キャブオーバ形車両、特にワンボックスカーの前部構造を示している。この車体の前部構造では、エンジンルーム1の上部開口を画成するエンジンルームフロントパネル(以下、単にフロントパネルという)2とエンジンルームリヤパネル(以下、単にリヤパネルという)3にセンターメンバー4が差し渡して設置される。
【0016】
センターメンバー4は、略矩形状を成しており、前端に上方へ向けて折り曲げ形成した舌片5を有し、後部側縁に上方へ向けて折り曲げ形成した舌片6を有している。そして、それらの舌片5,6には、それぞれタッピングスクリュー締め付け用下孔5a,6aが形成されている。また、このセンターメンバー4の前端隅部には絞り加工等によって他の部分よりも一段持ち上げた状態のフランジ7が形成され、それらのフランジ7にもタッピングスクリュー締め付け用下孔7aが形成されている。さらに、このセンターメンバー4には、パーキングレバーブラケット8およびシフトレバーブラケット9を締結するためのボルト挿通孔9a,9bが形成され(但し、パーキングレバーブラケット8のボルト挿通孔は図示していない)、該センターメンバー4をフロントパネル2およびリヤパネル3にそれぞれ締結するためのボルト挿通孔4a,4b,4cが形成されている。
【0017】
一方、フロントパネル2およびリヤパネル3には、上記各孔4a,4b,4cに対応させてボルト挿通孔2a,2b,3aが形成され、それらの孔2a,2b,3aに軸芯を合わせてフロントパネル2およびリヤパネル3の裏側にナット10a,10b,10cが溶接等によって固定されている。
【0018】
そして、上記した各部品は、以下のようにして互いに組み付けられる。先ず、センターメンバー4にパーキングレバーブラケット8を図示しないボルト等によって取付け、シフトレバーブラケット9もその後部のみボルト11によって取付ける。次いで、そのセンターメンバー4をフロントパネル2とリヤパネル3に差し渡して配置し、シフトレーバーブラケット9の孔9bに挿通させ、さらにセンターメンバー4の孔4aに挿通させたボルト12の先端をフロントパネル2のナット10aに螺合させてシフトレーバーブラケット9の前部およびセンターメンバー4の前端部をフロントパネル2に共締めし、センターメンバー4の孔4cに挿通させたボルト13の先端をリヤパネル3のナット10cに螺合させてセンターメンバー4の後端部をリヤパネル3に締結するとともに、センターメンバー4の孔4bに挿通させたボルト14の先端をフロントパネル2のナット10bに螺合させてセンターメンバー4の前端部をフロントパネル2に締結する。
【0019】
また、この車体の前部構造では、フロントパネル2の縦壁にカーペット15の上端縁が取付けられる。即ち、カーペット15の上端縁には孔15aが形成されており、カーペット15の上端縁は該孔15aを上記センターメンバー4の舌片5に嵌合させることによってセンターメンバー4を介してフロントパネル2に取付けられる。
【0020】
さらに、この車体の前部構造では、フロントパネル2の縦壁にエアバッグGセンサー16が設置されている。このGセンサー16には、保護カバー17が備えられている。該保護カバー17の上部にはフランジ18が形成され、該フランジ18にはタッピングスクリュー挿通用孔18aが形成されており、保護カバー17の下部にもタッピングスクリュー挿通用孔17aが形成されている。そして、Gセンサーに被せた保護カバー17は、図2に示したように、フランジ18の孔18aに挿通させたタッピングスクリュー19の先端を上記センターメンバー4の舌片5に形成した下孔5aに螺入して上部が取付けられ、孔17aに挿通させたタッピングスクリュー(図示せず)の先端をフロントパネル2に螺入することによってフロントパネル2の縦壁に取付ける。
【0021】
次いで、センターメンバー4の上方からコンソールボックス20を被せ、該コンソールボックス20の後部側壁に形成した孔20aに挿通させたタッピングスクリュー21をセンターメンバー4の舌片6の孔6aに螺入させてコンソールボックス20の後部をセンターメンバー4に締結するとともに、コンソールボックス20の前部フランジ22に形成した孔22aに挿入したタッピングスクリュー23をセンターメンバー4のフランジ7に形成した孔7aに螺入して、コンソールボックス20の前部をセンターメンバー4に取付ける。図3はこのようにしてコンソールボックス20をフロントパネル2に取り付けた状態を示している。
【0022】
図4および図5は、このようにして組付けられた状態を示した要部の断面を示している。図4は、図1におけるA−A線部を示したもので、センターメンバー4のフランジ7にコンソールボックス20のフランジ22がタッピングスクリュー23によって締結された状態を示している。センターメンバー4のフランジ7は、他の部分よりも上部へ距離Cだけ持ち上げた状態に形成されているため、タッピングスクリュー23の先端がフロントパネル2に当接することなく締結されている。また、図5は、図3におけるB−B線部を示したもので、シフトレーバーブラケット9,センターメンバー4およびフロントパネル2がボルト12によって共締めされた状態、カーペット15がセンターメンバー4の舌片5に係合された状態、保護カバー17がセンターメンバー4の舌片5にタッピングスクリュー19によって締結されている状態等が示されている。
【0023】
なお、上記した実施の形態では、各部品間の締結をボルト・ナットまたはタッピングスクリューによって締結しているが、それらは、適宜変更することができ、またそれらに替えてクリップを採用してもよい。
【0024】
【発明の効果】
上記したように、本発明の車体の前部構造では、以下のような効果を奏する。シフトレバーブラケット,センターメンバーおよびエンジンルームフロントパネルを共締めにしているので、強度部材であるセンターメンバーとエンジンルームフロントパネルとの結合剛性を高めることができる。
【0025】
また、本発明の車体の前部構造では、センターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設し、該舌片にエンジンルームフロントパネルの縦壁に沿って添設されるカーペットの先端を嵌合して保持させているので、カーペットの取付け工数の削減が図れ、エンジンの透過音の低減が図れる。
【0026】
本発明の車体の前部構造では、エアバッグGセンサーをエンジンルームフロントパネルの縦壁に配設しているので、センサーに水がかかる虞れがなく、足で踏まれることもない。
【0027】
本発明の車体の前部構造では、センターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設するとともに、該舌片にエアバッグGセンサーの保護カバー取付け用孔を形成し、前記エアバッグGセンサーを覆った保護カバーの上部を前記孔を介してセンターメンバーに取付けているので、コンソールボックスに対する保護カバーの位置出しが容易になり、余分なナットを使用する必要がなくなるので、コストダウンが図れる。
【0028】
本発明の車体の前部構造では、コンソールボックスをセンターメンバーに締結しているので、コンソールボックスをエンジンルームフロントパネルに締結していた従来の場合に比べ、エンジンルームフロントパネルに孔を開けることがなくなるので、エンジンの透過音の減少が図れ、しかもナットを必要としないためコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体の前部構造の一実施の形態を示した要部の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る車体の前部構造の一実施の形態におけるエアバッグGセンサーの保護カバーを取り付ける状態を示した分解斜視図である。
【図3】本発明に係る車体の前部構造の一実施の形態におけるコンソールボックスを取り付けた状態を示した斜視図である。
【図4】図1におけるA−A線部の組付け状態を示した断面図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】従来の車体の前部構造の要部を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
1 エンジンルーム
2 エンジンルームフロントパネル
2a,2b ボルト挿通孔
3 エンジンルームリヤパネル
3a ボルト挿通孔
4 センターメンバー
4a,4b,4c ボルト挿通孔
5,6 舌片
5a,6a タッピングスクリュー締め付け用下孔
7 フランジ
7a タッピングスクリュー締め付け用下孔
9 シフトレバーブラケット
9a,9b ボルト挿通孔
10a,10b,10c ナット
11,12,13,14 ボルト
15 カーペット
15a 孔
16 エアバッグGセンサー
17 保護カバー
17a タッピングクリュー挿通用孔
18 フランジ
18a タッピングクリュー挿通用孔
19 タッピングクリュー
20 コンソールボックス
20a 孔
21 タッピングクリュー
22 前部フランジ
22a 孔
23 タッピングクリュー

Claims (1)

  1. エンジンルームの上部開口を画成するエンジンルームフロントパネルとエンジンルームリヤパネルとの間に差し渡すようにしてセンターメンバーを配設する車体の前部構造において、シフトレバーブラケット,センターメンバーおよびエンジンルームフロントパネルを共締めにし、前記センターメンバーの先端に上方へ向けて舌片を突設し、該舌片にエンジンルームフロントパネルの縦壁に沿って添設されるカーペットの先端を嵌合してカーペットを保持させ、エアバッグGセンサーをエンジンルームフロントパネルの縦壁に配設し、前記センターメンバーの先端の上記舌片に孔を形成し、前記エアバッグGセンサーを覆った保護カバーの上部を前記孔を介してセンターメンバーに取付け、コンソールボックスの取付はセンターメンバーのみに締結したことを特徴とする車体の前部構造。
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