JP3949837B2 - パワーウインドウ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両に設けられるパワーウインドウ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両のサイドドア等のウインドウガラスを自動的に開閉させるためにパワーウインドウ装置が用いられている。そして、搭乗者が前記パワーウインドウ装置に設けられた、マニュアルのアップスイッチ(上昇スイッチ)又はダウンスイッチ(下降スイッチ)をオン操作することにより、ウインドウガラスがアップ側又はダウン側に駆動されるようにされている。
【0003】
図3は、従来のパワーウインドウ装置の駆動回路の一例を示している。なお、この駆動回路20は、ドア電子制御装置(Electronic Control Unit 、以下、ドアECUという)12に対して設けられている。この駆動回路20について説明する。
【0004】
バッテリ電源Bと接地線間には、第1リレー回路22のリレーコイル21は、下降スイッチ28の固定接点に対して接続され、下降スイッチ28の可動接点は接地されている。下降スイッチ28はオン操作されていない非操作時には、図示しないバネにより付勢されて、オフ状態とされた常開接点とされている。
又、第2リレー回路24のリレーコイル23は、上昇スイッチ28の固定接点に対して接続され、上昇スイッチ29の可動接点は接地されている。上昇スイッチ29はオン操作されていない非操作時には、図示しないバネにより付勢されて、オフ状態とされた常開接点とされている。
【0005】
又、リレーコイル21のマイナス端子は、ドアECU12の一つの制御端子に接続され、又、リレーコイル23のマイナス端子は、ドアECU12の他の制御端子に接続されている。
【0006】
駆動モータMは、図示しない車両のウインドウガラスを上昇又は下降駆動する直流モータからなる。
又、前記バッテリ電源Bと、駆動モータMの一方の端子間には、前記第1リレー回路22のリレー接点25が設けられている。同リレー接点25の可動接点25cは、駆動モータMの一方の端子に接続され、同リレー接点25の電源側固定接点25aはバッテリ電源Bに接続されるとともに接地側固定接点25bは接地線L1に接続されている。
【0007】
同リレー接点25は、切換接点(トランスファ接点)とされており、前記コイル21が消磁時には可動接点25cが、接地側固定接点25bに接続されている。又、前記リレー接点25の可動接点25cは、前記リレーコイル21が励磁されると、電源側固定接点25aに接続される。
【0008】
又、前記バッテリ電源Bと、駆動モータMの他方の端子間には、前記第2リレー回路24のリレー接点26が設けられている。同リレー接点26の可動接点26cは、駆動モータMの他方の端子に接続され、同リレー接点26の電源側固定接点26aはバッテリ電源Bに接続されるとともに接地側固定接点26bは接地線L1に接続されている。
【0009】
同リレー接点26は、切換接点(トランスファ接点)とされており、前記コイル23が消磁時には可動接点26cが、接地側固定接点26bに接続されている。又、前記リレー接点26の可動接点26cは、前記リレーコイル23が励磁されると、電源側固定接点26aに接続される。
【0010】
前記下降スイッチ28、上昇スイッチ29は、例えば2段クリック式のスイッチであってタンブラ型とされており、一端側(以下、ダウン側という)を一段押圧すると下降スイッチ28として機能し、すなわち、下降スイッチ28の可動接点が電源側固定接点に接続される。又、他端側(以下、アップ側という)を一段押圧すると上昇スイッチ29として機能し、すなわち、上昇スイッチ29の可動接点が電源側固定接点に接続される。
【0011】
又、ダウン側を2段押圧すると、下降スイッチ28及びオートスイッチ16がともにオン作動する。又、アップ側を2段押圧すると、上昇スイッチ29、及び前記オートスイッチ16がともにオン作動する。なお、オートで操作する場合は、2段押圧した後、下降スイッチ28、上昇スイッチ29の押圧を解除する。従って、下降スイッチ28、上昇スイッチ29は図3に示すように、可動接点がともにオフ位置となる。
【0012】
前記オートスイッチ16はドアECU12に接続されており、オートスイッチ16が下降スイッチ28の操作にともなってダウン側にオンされると、前記ドアECU12は、そのオン操作に基づいて、第1リレー回路22のリレーコイル21に励磁電流を流すようにされている。
【0013】
この結果、リレーコイル21の励磁によって、リレー接点25の可動接点25cが接地側固定接点25bから電源側固定接点25aに切換接続されるため、駆動モータMが正転される。この正転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが下降する。
【0014】
又、前記ドアECU12は、オートスイッチ16が上昇スイッチ29の操作にともなってアップ側にオンされると、そのオン操作に基づいて、前記第2リレー回路24のリレーコイル23に励磁電流を流すようにされている。
【0015】
この結果、リレーコイル23の励磁によって、リレー接点26の可動接点26cが接地側固定接点26bから電源側固定接点26aに切換接続されるため、駆動モータMが逆転される。この逆転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスを上昇する。
【0016】
又、手動操作により、ウインドウガラスを下降させたい場合、下降スイッチ28を1段ダウン側にオン操作する。この操作により、リレーコイル21に励磁電流が流れる。このため、駆動モータMが正転され、ウインドウガラスが下降する。又、手動操作により、ウインドウガラスを上昇させたい場合、上昇スイッチ29を1段アップ側にオン操作する。この操作により、リレーコイル23に励磁電流が流れる。このため、駆動モータMが逆転され、ウインドウガラスが上昇する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなパワーウインドウ装置は、前記下降スイッチ28、上昇スイッチ29、オートスイッチ16が雨水等の電解質の液にて濡れた場合、各接点間がリークすることがある。又、ドアECU12の内部回路がリークして、ドアECU12が誤作動する場合がある。
【0018】
いずれの場合においても、第1リレー回路22、第2リレー回路24のリレーコイル21,23のいずれもが励磁して、リレー接点25,26が同時にオン(可動接点25c,26cが電源側固定接点25a,26aに接続)するため、駆動モータMの両端子にはバッテリ電源Bの電圧が印加され、駆動モータMは駆動しない。
【0019】
このため、この状態のときに、下降スイッチ28をオン操作しても、リレー接点25,26が同時にオン(可動接点25c,26cが電源側固定接点25a,26aに接続)しているため、駆動モータMの両端子にはバッテリ電源Bの電圧が印加され、駆動モータMは下降作動しないことになる。
【0020】
本発明は上記の課題を解消するためになされたものであり、パワーウインドウ装置が水に濡れた状態であっても、下降スイッチをオン操作したとき、ウインドウガラスを下降できるようにしたパワーウインドウ装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ウインドウガラスを下降又は上昇駆動する駆動源と、前記駆動源の両端子に対して、それぞれ接続された第1リレー接点及び第2リレー接点と、励磁時には前記第1リレー接点を作動して前記駆動源を下降作動する第1コイルと、励磁時には前記第2リレー接点を作動して前記駆動源を上昇作動する第2コイルと、前記第1コイルを励磁作動させるための下降スイッチと、前記第2コイルを励磁作動させるための上昇スイッチとを備えたパワーウインドウ装置において、
前記下降スイッチは、前記第1コイルの一方の端子に接続された可動接点と、第1固定接点と、第2固定接点とを備えるトランスファ接点にて構成し、オフ時に前記可動接点が第1固定接点に接続されて、オン操作時に、前記可動接点を第2固定接点に切換可能とし、
前記上昇スイッチは、前記第2コイルの一方の端子に接続された可動接点と、第3固定接点と、第4固定接点とを備えるトランスファ接点にて構成し、オフ時に前記可動接点が第3固定接点に接続されて、オン操作時に、前記可動接点を第4固定接点に切換可能とし、
パワーウインドウ装置が水等の電解質液に浸水したか否かを検出する浸水検出回路部を設け、
前記浸水検出回路部が浸水を検出していない時には、前記下降スイッチの第1固定接点と、第1リレーコイルの他方の端子間、及び前記上昇スイッチの第3固定接点と、第2リレーコイルの他方の端子間を遮断するとともに、前記浸水検出回路部が浸水を検出した際には、同第1固定接点と、第1リレーコイルの他方の端子間、及び第3固定接点と、第2リレーコイルの他方の端子間を短絡するスイッチング回路部を設けたことを特徴とするパワーウインドウ装置を要旨とするものである。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1において、前記浸水検出回路部は、単一の浸水検出回路から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーウインドウ装置を要旨とするものである。
【0023】
請求項3の発明は、請求項2において、前記浸水検出回路は、一対の電極と、両電極間がリークした際に生ずる複数の抵抗を含む直列回路から構成され、スイッチング回路部は、同抵抗によって設定された所定の電圧に基づいてオン作動するパワーウインドウ装置を要旨とするものである。
【0024】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、パワーウインドウ装置の回路が浸水したとき、パワーウインドウ装置の回路がリークすると、下降スイッチ、上昇スイッチ等がオン状態となり、第1コイル、第2コイルがともに励磁され得る状態となる。
【0025】
一方、このとき、浸水検出回路が浸水を検出した際には、スイッチング回路部が下降スイッチの第1固定接点と、第1リレーコイルの他方の端子間を短絡し、第1リレーコイルの両端電位を同じとし、第1コイルの励磁を抑制する。
【0026】
又、スイッチング回路部が上昇スイッチの第3固定接点と、第2リレーコイルの他方の端子間を短絡し、第2リレーコイルの両端電位を同じとし、第2コイルの励磁を抑制する。
【0027】
この状態のとき、下降スイッチをオン操作すると、可動接点は第1固定接点から第2固定接点に切換接続される。
この結果、第1コイルのみが励磁されるため、第1リレー接点の可動接点は電源側接点に接続され、駆動源は下降作動し、ウインドウガラスを下降させる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、浸水検出回路部を、単一の浸水検出回路にて構成することにより、請求項1の作用を実現することができる。このことにより、簡単な回路構成にすることができ、複数の浸水検出回路を設けた場合には、浸水検出が時間的にずれる問題があるが、単一の場合にはそのような浸水検出の時間ずれをなくすることができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、浸水検出回路を、一対の電極と、両電極間がリークした際に生ずる複数の抵抗を含む直列回路から構成し、スイッチング回路部を、前記抵抗によって設定された所定の電圧に基づいてオン作動することにより、請求項2に記載の作用を実現できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両としての4ドアセダン型の自動車のパワーウインドウ装置に具体化した一実施形態を図1を参照して説明する。なお、図3に示す前記従来例と、同一構成又は相当する構成については、同一符号を付して説明を省略し、異なるところを説明する。
【0031】
図1は、パワーウインドウ装置10の電気的回路図を示している。
この実施形態のパワーウインドウ装置10は、自動車の運転席のサイドドアに設けられたものである。パワーウインドウ装置10はドアECU12、駆動回路20、駆動モータMとを備えている。
【0032】
この実施形態は、図3の構成中、下降スイッチ28及び上昇スイッチ29の接点構造をトランスファ接点としたところが従来例と異なっている。
下降スイッチ28は、電源側固定接点28a、接地側固定接点28b、及びリレーコイル21のマイナス端子に接続された可動接点28cとを備えている。
【0033】
そして、下降スイッチ28は、オフ時には前記可動接点28cが電源側固定接点28aに接続されており、オン操作時に、前記可動接点28cが接地側固定接点28bに切換接続可能とされている。前記電源側固定接点28aは第1固定接点に相当し、前記接地側固定接点28bは第2固定接点に相当する。
【0034】
又、上昇スイッチ29は、電源側固定接点29a、接地側固定接点29b、及びリレーコイル23のマイナス端子に接続された可動接点29cとを備えている。そして、上昇スイッチ29は、オフ時には前記可動接点29cが電源側固定接点29aに接続されており、オン操作時に、前記可動接点29cが接地側固定接点29bに切換接続可能とされている。
【0035】
前記電源側固定接点29aは第3固定接点に相当し、接地側固定接点29bは第4固定接点に相当する。
オートスイッチ16はドアECU12に接続された可動接点と、接地側固定接点からなる。同オートスイッチ16は、図示しないスイッチノブを2段ダウン操作したとき、下降スイッチ28とともに、オン作動するように構成されている。又、図示しないスイッチノブを2段アップ操作したとき、上昇スイッチ29とともにオン作動するように構成されている。
【0036】
オートスイッチ16は、前記のようにダウン側、或いはアップ側にオン操作された場合には、オートスイッチ16の押圧操作を解除してもドアECU12は、ウインドウガラスが全閉位置、又は、全開位置に達するまで、駆動モータMを正転又は逆転させる。そして、この駆動モータMの回転により、下降するウインドウガラスが全開位置に位置すると、全開位置リミットスイッチ(図示しない)が検出し、又は、上昇するウインドウガラスが全閉位置に位置すると、全閉位置リミットスイッチ(図示しない)が検出作動するようにされている。
【0037】
そして、いずれかのリミットスイッチが検出すると、その検出に基づいてドアECU12は、前記駆動モータMを駆動を停止させ、ウインドウガラスを全開位置又は全閉位置に保持するようにされている。
【0038】
又、リレーコイル21及びリレーコイル23のプラス端子と、前記下降スイッチ28、上昇スイッチ29の電源側固定接点28a,29a間には、トランジスタTR1のエミッタ・コレクタが接続されている。前記トランジスタTR1はPNPトランジスタから構成されている。
【0039】
さらに、リレーコイル21及びリレーコイル23のプラス端子と、前記下降スイッチ28、上昇スイッチ29の電源側固定接点28a,29a間には、リーク検出回路31、抵抗R1,R2の直列回路が接続されている。又、抵抗R1と抵抗R2との接続点Cと、前記トランジスタTR1のベースは接続されている。
【0040】
前記リーク検出回路31は、バッテリ電源Bに接続された電極31aと接地された電極31bとからなり、両電極31a,31bは、互いに若干離間して配置されている。リーク検出回路31は、ドアECU12等が設けられた場所と同じところ又は近接した位置に設けるのが好ましい。この実施形態では、駆動回路20を設けたパワーウインドウ装置10の制御回路基板を収めた図示しないケース内に収納されている。
【0041】
又、リーク検出回路31の電極31a,31b間がリークしたとき、接続点Cの電位(ベース電圧)をトランジスタTR1に印加することにより、同トランジスタTR1をオン作動し、電極31a,31bがリークしていないときには、トランジスタTR3はオフ作動するようにされている。なお、前記接続点Cの電位は、抵抗R1,R2、及び前記リーク抵抗の分圧比によって決定される。
【0042】
前記リーク検出回路31は、浸水検出回路とともに浸水検出回路部を構成する。なお、本実施形態では、前記リーク検出回路31は、単一の浸水検出回路を構成する。
【0043】
又、前記トランジスタTR1は、単一のスイッチング回路を構成する。又、トランジスタTR1は、スイッチング回路部を構成している。
この実施形態では、前記駆動モータMが駆動源に相当する。リレーコイル21が第1コイルに相当し、リレー接点25が第1リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点25aが電源側接点に相当し、接地側固定接点25bが接地側接点に相当する。
【0044】
又、リレーコイル23が第2コイルに相当し、リレー接点26が第2リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点26aが電源側接点に相当し、接地側固定接点26bが接地側接点に相当する。
【0045】
次に、上記のように構成された構成されたパワーウインドウ装置10の作用について説明する。
さて、パワーウインドウ装置10の回路が水等の電解質に濡れていないときにおいては、自動操作、及び手動操作とも前記従来例と同様の作用をするため、その説明を省略する。
【0046】
なお、リーク検出回路31は、電極31a,31b間がリークしていない場合には、トランジスタTR1をオフとしているため、前記下降スイッチ28の電源側固定接点28aと、リレーコイル21のプラス側端子間、及び上昇スイッチ29の電源側固定接点29aと、リレーコイル23のプラス側端子間を遮断している。
【0047】
オートスイッチ16等が雨水等の電解質の液にて濡れた場合(浸水した場合)、スイッチの接点間がリークする。このとき、ドアECU12からダウン制御信号、アップ制御信号の両信号が出力される場合がある。あるいは、リレーコイル21,23のマイナス端子側がグランドショートする場合がある。
【0048】
このとき、リーク検出回路31の電極31a,31b間もリークし、接続点Cの電位(ベース電圧)をトランジスタTR1に印加することにより、同トランジスタTR1をオン作動する。
【0049】
この結果、リレーコイル21,23の両端子間は短絡され、両リレーコイル21,23は励磁されない。リレーコイル21及びリレーコイル23がリレー作動しないため、駆動モータMは駆動しない。
【0050】
上記のようないずれの状態のときにも、下降スイッチ28を押圧操作すると、可動接点28cが電源側固定接点28aから接地側固定接点28bに切換接続される。この結果、リレーコイル21が励磁されて、リレーコイル21の両端電圧が感動電圧に達し、リレー接点25の可動接点25cが接地側固定接点25bから電源側固定接点25aに切換接続されるため、駆動モータMが正転される。この正転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが下降する。
【0051】
なお、前記のようにリークしている状態で、下降スイッチ28の押圧を解除すると、再び、可動接点28cが接地側固定接点28bから電源側固定接点28aに切換接続される。この結果、リレーコイル21の両端子間は短絡され、リレーコイル21は励磁されない。このため、駆動モータMは正転を停止する。
【0052】
又、上記のようにリークしている状態のとき、上昇スイッチ29を押圧操作すると、可動接点29cが電源側固定接点29aから接地側固定接点29bに切換接続される。この結果、リレーコイル23が励磁されて、リレーコイル23の両端電圧が感動電圧に達し、リレー接点26の可動接点26cが接地側固定接点26bから電源側固定接点256に切換接続されるため、駆動モータMが逆転される。この逆転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが上昇する。
【0053】
なお、前記のようにリークしている状態で、上昇スイッチ29の押圧を解除すると、再び、可動接点29cが接地側固定接点29bから電源側固定接点29aに切換接続される。この結果、リレーコイル23の両端子間は短絡され、リレーコイル23は励磁されない。このため、駆動モータMは逆転を停止する。
【0054】
本実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態では、下降スイッチ28を、リレーコイル21のマイナス端子に接続された可動接点28cと、電源側固定接点28aと、接地側固定接点28bとを備えるトランスファ接点にて構成した。そして、オフ時に可動接点28cが電源側固定接点28aに接続されて、オン操作時に、可動接点28cを接地側固定接点28bに切換可能とした。一方、上昇スイッチ29を、リレーコイル23のマイナス端子に接続された可動接点29cと、電源側固定接点29aと、接地側固定接点29bとを備えるトランスファ接点にて構成し、オフ時に可動接点29cが電源側固定接点29aに接続されて、オン操作時に、可動接点29cを接地側固定接点29bに切換可能とした。さらに、パワーウインドウ装置10が水等の電解質液に浸水したか否かを検出する少なくともリーク検出回路31を設け、リーク検出回路31が浸水を検出していない時には、下降スイッチ28の電源側固定接点28aと、リレーコイル21のプラス端子間、及び上昇スイッチ29の電源側固定接点29aと、リレーコイル23のプラス端子間を遮断するとともに、リーク検出検出回路31が浸水を検出した際には、電源側固定接点28aと、リレーコイル21のプラス端子間、及び電源側固定接点29aと、リレーコイル23のプラス端子端子間を短絡するトランジスタTR1を設けた。
【0055】
このため、パワーウインドウ装置10が浸水した場合においても、下降スイッチ28をオン操作すると、駆動モータMが正転するため、回路が水等に濡れて、リークされた状態にあっても、下降スイッチ28のオン操作により、ウインドウガラスを下降することができる。
【0056】
又、パワーウインドウ装置10が浸水した場合においても、上昇スイッチ29をオン操作すると、駆動モータMが逆転するため、回路が水等に濡れて、リークされた状態にあっても、上昇スイッチ28のオン操作により、ウインドウガラスを上昇することができる。
【0057】
本発明の実施形態は、上記実施形態以外に次のように変更することも可能である。
(1) 前記実施形態では、抵抗R1,R2、リーク検出回路31からなる直列回路は単一としたが、その代わりに複数個設けて、それぞれのリーク検出回路31がリークを検出した際に、トランジスタTR1をオン作動させてもよい。
【0058】
(2) 前記実施形態では、リレーコイル21,23の両端子をリーク時に、同電位となるように単一のトランジスタTR1をオン作動させるように構成した。この代わりに、それぞれのリレーコイル21,23に対して個別に、その両端子をリーク時に、同電位とするように、一対のトランジスタTR1を設けてもよい。
【0059】
(3) 前記実施形態では、トランジスタTR1をPNPトランジスタにて構成したが、図2に示すようにNPNトランジスタからなるトランジスタTR2にてスイッチング回路を構成してもよい。この場合においても前記実施形態で同様の作用効果を得ることができる。この場合、トランジスタTR2は、単一のスイッチング回路を構成し、又はスイッチング回路部を構成する。
【0060】
(4) 前記実施形態では、パワーウインドウ装置10の各スイッチは、サイドドアに設けることを前提としているが、サイドドアに設けることは必須ではなく、例えば、運転席と助手席との間のコンソールに設けてもよく、又、インストルメントパネル等に設けてもよい。
【0061】
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に挙げる。
(1) 請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、前記スイッチング回路部は、単一のスイッチング回路から構成されている。単一のスイッチング回路にて構成することにより、回路構成を簡単なものとすることができ、第1リレーコイル、及び第2リレーコイルを同時に励磁不能とすることができる。
【0062】
(2) 請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、浸水検出回路部は、パワーウインドウ装置内に設けたことを特徴とするパワーウインドウ装置。こうすることにより、パワーウインドウ装置が浸水した場合、浸水検出回路が浸水検出を容易に行なうことができる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至請求項3の発明によれば、パワーウインドウ装置の回路が水に濡れてリークした状態であっても、下降スイッチ又は上昇スイッチを操作すれば、ウインドウガラスを下降又は上昇することができる効果を奏する。
【0064】
請求項2の発明によれば、浸水検出回路は、単一で良くなるため、回路構成を簡単にすることができ、又、浸水検出回路が浸水を検出したときに、両第1リレーコイル及び第2リレーコイルの励磁を同時に抑制することができる。
【0065】
請求項3の発明によれば、複数の抵抗によって設定された所定の電圧に基づいてスイッチング回路部を作動することができ、抵抗の値を調整することによって、スイッチング回路部の作動調整を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のパワーウインドウ装置の電気回路図。
【図2】他の実施形態のパワーウインドウ装置の電気回路図。
【図3】従来のパワーウインドウ装置の駆動回路の電気回路図。
【符号の説明】
10…パワーウインドウ装置、12…ドアECU、
21…リレーコイル(第1コイルを構成する。)、
22…第1リレー回路、23…リレーコイル(第2コイルを構成する。)、
24…第2リレー回路、25…リレー接点(第1リレー接点を構成する。)、
26…リレー接点(第2リレー接点を構成する。)、28…下降スイッチ、
28a…電源側固定接点(第1固定接点を構成する。)、
28b…接地側固定接点(第2固定接点を構成する。)、
28c…可動接点、29…上昇スイッチ、
29a…電源側固定接点(第3固定接点を構成する。)、
29b…接地側固定接点(第4固定接点を構成する。)、
29c…可動接点、
31…リーク検出回路(浸水検出回路、浸水検出回路部を構成する。)
TR1…トランジスタ(スイッチング回路、スイッチング回路部を構成する。)、TR2…トランジスタ(スイッチング回路、スイッチング回路部を構成する。)、M…駆動モータ(駆動源を構成する)。
Claims (3)
- ウインドウガラスを下降又は上昇駆動する駆動源(M)と、前記駆動源(M)の両端子に対して、それぞれ接続された第1リレー接点(25)及び第2リレー接点(26)と、励磁時には前記第1リレー接点(25)を作動して前記駆動源(M)を下降作動する第1コイル(21)と、励磁時には前記第2リレー接点(26)を作動して前記駆動源(M)を上昇作動する第2コイル(23)と、前記第1コイル(21)を励磁作動させるための下降スイッチ(28)と、前記第2コイル(23)を励磁作動させるための上昇スイッチ(29)とを備えたパワーウインドウ装置において、
前記下降スイッチ(28)は、前記第1コイル(21)の一方の端子に接続された可動接点(28c)と、第1固定接点(28a)と、第2固定接点(28b)とを備えるトランスファ接点にて構成し、オフ時に前記可動接点(28c)が第1固定接点(28a)に接続されて、オン操作時に、前記可動接点(28c)を第2固定接点(28b)に切換可能とし、
前記上昇スイッチ(29)は、前記第2コイル(23)の一方の端子に接続された可動接点(29c)と、第3固定接点(29a)と、第4固定接点(29b)とを備えるトランスファ接点にて構成し、オフ時に前記可動接点(29c)が第3固定接点(29a)に接続されて、オン操作時に、前記可動接点(29c)を第4固定接点(29b)に切換可能とし、
パワーウインドウ装置が水等の電解質液に浸水したか否かを検出する浸水検出回路部(31)を設け、
前記浸水検出回路部(31)が浸水を検出していない時には、前記下降スイッチ(28)の第1固定接点(28a)と、第1リレーコイル(21)の他方の端子間、及び前記上昇スイッチ(29)の第3固定接点(29a)と、第2リレーコイル(23)の他方の端子間を遮断するとともに、前記浸水検出回路部(31)が浸水を検出した際には、同第1固定接点(28a)と、第1リレーコイル(21)の他方の端子間、及び第3固定接点(29a)と、第2リレーコイル(23)の他方の端子間を短絡するスイッチング回路部(TR1)を設けたことを特徴とするパワーウインドウ装置。 - 前記浸水検出回路部は、単一の浸水検出回路(31)から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーウインドウ装置。
- 前記浸水検出回路(31)は、一対の電極と、両電極間がリークした際に生ずる複数の抵抗を含む直列回路から構成され、スイッチング回路部は、同抵抗によって設定された所定の電圧に基づいてオン作動するものである請求項2に記載のパワーウインドウ装置。
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