JP3811273B2 - パワーウインドウ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両に設けられるパワーウインドウ装置に係り、特にパワーウインドウ装置が浸水したときに、下降用の操作手段を操作すると、ウインドウガラスを下降することができるパワーウインドウ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両のサイドドア等のウインドウガラスを自動的に開閉させるためにパワーウインドウ装置が用いられている。そして、搭乗者が前記パワーウインドウ装置に設けられた、マニュアルのアップスイッチ(上昇スイッチ)又はダウンスイッチ(下降スイッチ)をオン操作することにより、ウインドウガラスがアップ側又はダウン側に駆動されるようにされている。
【0003】
図3は、従来のパワーウインドウ装置10の駆動回路20の一例を示している。なお、この駆動回路20は、ドア電子制御装置(Electronic Control Unit 、以下、ドアECUという)12に対して設けられている。この駆動回路20について説明する。
【0004】
バッテリ電源Bと、接地線間には、トランジスタTR3のエミッタ・コレクタ、リレーコイル21、トランジスタTR1のコレクタ・エミッタが直列に接続されている。
【0005】
又、前記リレーコイル21のプラス端子と、接地線間には、リレーコイル23、トランジスタTR2のコレクタ・エミッタが直列に接続されている。
前記トランジスタTR1のベースは、前記ドアECU12の出力端子に対して抵抗R1を介して接続されている。又、トランジスタTR1のベースとエミッタ間には抵抗R3が接続されている。
【0006】
又、前記トランジスタTR2のベースは、前記ドアECU12の出力端子に対して抵抗R2を介して接続されている。又、トランジスタTR2のベースとエミッタ間には抵抗R4が接続されている。
【0007】
前記トランジスタTR3のベースは、前記ドアECU12の出力端子に対して抵抗R5を介して接続されている。又、トランジスタTR3のベースとエミッタ間には抵抗R6が接続されている。
【0008】
前記抵抗R5と接地線間には、トランジスタTR4のコレクタ・エミッタが接続されている。前記トランジスタTR4のベースは抵抗R7を介してドアECU12の出力端子に接続されている。又、トランジスタTR4のベース・エミッタ間には抵抗R8が接続されている。
【0009】
駆動モータMは、図示しない車両のウインドウガラスを上昇又は下降駆動する直流モータからなる。
又、前記バッテリ電源Bと、駆動モータMの一方の端子間には、リレー接点25が設けられている。同リレー接点25の可動接点25cは、駆動モータMの一方の端子に接続され、同リレー接点25の電源側固定接点25bはバッテリ電源Bに接続されるとともに接地側固定接点25aは接地線L1に接続されている。前記リレーコイル21と、リレー接点25とにより、第1リレー回路22が構成されている。
【0010】
同リレー接点25は、a接点とされており、前記コイル21が消磁時には可動接点25cが、接地側固定接点25aに接続されている。又、前記リレー接点25の可動接点25cは、前記リレーコイル21が励磁されると、電源側固定接点25bに接続される。
【0011】
又、前記バッテリ電源Bと、駆動モータMの他方の端子間には、前記リレー接点26が設けられている。同リレー接点26の可動接点26cは、駆動モータMの他方の端子に接続され、同リレー接点26の電源側固定接点26bはバッテリ電源Bに接続されるとともに接地側固定接点26aは接地線L1に接続されている。
【0012】
前記リレーコイル23と、リレー接点26とにより、第2リレー回路24が構成されている。
同リレー接点26は、a接点とされており、前記コイル23が消磁時には可動接点26cが、接地側固定接点26aに接続されている。又、前記リレー接点26の可動接点26cは、前記リレーコイル23が励磁されると、電源側固定接点26bに接続される。
【0013】
前記ドアECU12には、下降スイッチ28、上昇スイッチ29、自動操作スイッチ(オートスイッチ)30が接続されている。
前記下降スイッチ28、及び上昇スイッチ29は、例えばタンブラ型のスイッチとされており、一側を押圧すると下降スイッチ28として機能し、他側を押すと上昇スイッチ29として機能し、マニュアル操作では、同時に下降スイッチ28,上昇スイッチ29がオン操作されないようにされている。下降スイッチ28及び上昇スイッチ29の各可動接点28a,29aはバッテリ電源Bに接続されている。下降スイッチ28の固定接点28bは、ドアECU12に電気的に接続されている。又、上昇スイッチ29の固定接点29bはドアECU12に電気的に接続されている。オートスイッチ30の可動接点30aは、バッテリ電源Bに接続され、固定接点30bはドアECU12に電気的に接続されている。
【0014】
前記下降スイッチ28はオン操作されていない非操作時には、図示しないバネにより付勢されて、オフ状態とされている。上昇スイッチ29はオン操作されていない非操作時には、図示しないバネにより付勢されてオフ状態とされている。
【0015】
前記下降スイッチ28及び上昇スイッチ29は、例えば2段クリック式のスイッチであってタンブラ型とされており、一側側(以下、ダウン側という)を一段押圧すると下降スイッチ28として機能する。又、他側側(以下、アップ側という)を一段押圧すると上昇スイッチ29として機能する。
【0016】
又、ダウン側を2段押圧すると、下降スイッチ28及びオートスイッチ30がともにオン作動する。又、アップ側を2段押圧すると、上昇スイッチ29、及び前記オートスイッチ30がともにオン作動する。なお、オートで操作(以下、オート操作という場合がある。)する場合は、2段押圧した後、下降スイッチ28、上昇スイッチ29の押圧を解除する。従って、下降スイッチ28、及び上昇スイッチ29は図3に示すように、可動接点がともにオフ位置となる。
【0017】
前記オートスイッチ30はドアECU12に接続されている。そして、オートスイッチ30が下降スイッチ28の操作にともなってダウン側にオンされると、そのオン操作に基づいて、ドアECU12はトランジスタTR4のベースに対してハイ(H)レベルのオン信号を印加する。この結果、トランジスタTR4が導通するため、トランジスタTR3が導通する。一方、ドアECU12は前記トランジスタTR1のベースにハイ(H)レベルのダウン制御信号を印加する。前記トランジスタTR3の導通及び前記ダウン制御信号に基づいて、トランジスタTR1はオン作動し、リレーコイル21に励磁電流を流すようにされている。
【0018】
この結果、リレーコイル21が励磁され、リレー接点25の可動接点25cが接地側固定接点25aから電源側固定接点25bに切換接続されるため、駆動モータMが正回転される。この正回転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが下降する。
【0019】
又、オートスイッチ30が上昇スイッチ29の操作にともなってアップ側にオンされると、そのオン操作に基づいて、前記ドアECU12は、トランジスタTR4のベースに対してハイ(H)レベルのオン信号を印加する。この結果、トランジスタTR4が導通するため、トランジスタTR3が導通する。一方、ドアECU12は前記トランジスタTR2のベースにハイ(H)レベルのアップ制御信号を印加する。前記トランジスタTR3の導通及び前記アップ制御信号に基づいて、トランジスタTR2はオン作動し、リレーコイル23に励磁電流を流すようにされている。
【0020】
この結果、リレーコイル23の励磁によって、リレー接点26の可動接点26cが接地側固定接点26aから電源側固定接点26bに切換接続されるため、駆動モータMが逆回転される。この逆回転により、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスを上昇する。
【0021】
なお、オートスイッチ30は、前記のようにダウン側、或いはアップ側にオン操作された場合には、オートスイッチ30の押圧操作を解除してもドアECU12は、ウインドウガラスが全閉位置、又は、全開位置に達するまで、各トランジスタTR1又はTR2に対してダウン又はアップ制御信号を印加するとともに、トランジスタTR4にオン信号を印加し続け、駆動モータMを正回転又は逆回転させる。そして、この駆動モータMの回転により、下降するウインドウガラスが全開位置に位置すると、全開位置リミットスイッチ(図示しない)が検出し、又は、上昇するウインドウガラスが全閉位置に位置すると、全閉位置リミットスイッチ(図示しない)が検出作動するようにされている。
【0022】
そして、いずれかのリミットスイッチが検出すると、その検出に基づいてドアECU12は、ダウン制御信号又はアップ制御信号の印加を停止して前記駆動モータMの駆動を停止させ、ウインドウガラスを全開位置又は全閉位置に保持するようにされている。
【0023】
又、手動操作により、ウインドウガラスを下降させたい場合、下降スイッチ28を1段ダウン側にオン操作する。この操作に基づいて、前記ドアECU12は、前記トランジスタTR4にハイ(H)レベルであるオン信号を出力するとともに、前記第1リレー回路22のトランジスタTR1のベースにハイ(H)レベルのダウン制御信号を印加する。
【0024】
そして、下降スイッチ28がオン操作されている間、前記ドアECU12は、トランジスタTR4にオン信号を、トランジスタTR1にハイレベル信号を印加する。このため、前記トランジスタTR4及びトランジスタTR1がオンしたときと同様に駆動モータMが正回転され、ウインドウガラスが下降する。
【0025】
又、手動(マニュアル)操作により、ウインドウガラスを上昇させたい場合、上昇スイッチ29を1段アップ側にオン操作する。この操作により、前記ドアECU12は、前記トランジスタTR4にハイ(H)レベルであるオン信号を出力するとともに、前記第2リレー回路24のトランジスタTR2のベースにハイ(H)レベルのアップ制御信号を印加する。トランジスタTR4は前記オン信号によって、オン作動し、トランジスタTR2は、前記アップ制御信号に基づいて、オン作動し、リレーコイル23に励磁電流が流れる。このため、前記トランジスタTR4及びトランジスタTR2がオンしたときと同様に駆動モータMが逆回転され、ウインドウガラスが上昇する。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなパワーウインドウ装置は、車両が水に浸かって、駆動回路20が水に濡れたとき、例えば図3に示す,トランジスタTR2のコレクタ側であるa点、及びトランジスタTR3のコレクタ側であるb点でリークする場合がある。そして、この状態において、下降スイッチ29をオン操作すると、上述したように、ドアECU12から、ハイ(H)レベル信号が出力されることにより、トランジスタTR4がオン作動し、トランジスタTR3が導通する。
【0027】
しかし、この場合、a点、b点にてリークしているため、両コイル21,23が励磁され、第1リレー回路22及び第2リレー回路24のリレー接点25,26の可動接点25c,26cがともに電源側固定接点25b,26bに接続される。そのため、下降スイッチ29をオン操作しても、駆動回路20は駆動モータMを下降駆動しないことになる。
【0028】
本発明は上記の課題を解消するためになされたものであり、パワーウインドウ装置が浸水したときにおいても操作手段を操作することにより、ウインドウガラスを下降できるようにしたパワーウインドウ装置を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ウインドウガラスを下降又は上昇駆動する駆動源と、操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作又はウインドウガラスの上昇のためのオン操作に基づき、前記ウインドウガラスが全開位置又は全閉位置に位置するまで、継続してダウン制御信号又はアップ制御信号を出力するとともに、併せてオン信号を出力する制御手段と、前記ダウン制御信号に基づいて、励磁される第1コイルと、前記駆動源に接続され、前記第1コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を下降作動させる第1リレー接点とを含む第1リレー手段と、前記アップ制御信号に基づいて、励磁される第2コイルと、前記駆動源に接続され、前記第2コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を上昇作動させる第2リレー接点とを含む第2リレー手段と、前記オン信号の出力が継続している間、オン作動を継続することにより前記第1コイルと第2コイルに対して励磁電流を供給させ、オフの際には前記第1コイルと第2コイルに対する励磁電流の供給を停止させるトランジスタとを備え、前記駆動源の両端子は、該駆動源が駆動されないときは、前記第1リレー接点及び第2リレー接点を介して接地され、前記第1コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、一方の端子が第1リレー接点を介して電源に接続されるとともに他方の端子が第2リレー接点を介して接地され、前記第2コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、前記一方の端子が、第1リレー接点を介して接地されるとともに前記他方の端子が第2リレー接点を介して電源に接続されるパワーウインドウ装置において、前記第2コイルの両端子には、前記操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作に基づいて同第2コイルの両端子に同電位の電圧を付与する電圧印加手段を設けたことを特徴とするパワーウインドウ装置を要旨とするものである。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1において、前記同電位の電圧は、電源電圧であるパワーウインドウ装置を要旨とするものである。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、パワーウインドウ装置の回路が水に濡れた場合、回路がリークし、第1コイル、及び第2コイルがともに励磁する場合がある。しかし、この発明では、操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作に基づいて電圧印加手段が第2コイルの両端子に同電位の電圧を付与する。
この結果、第2コイルの励磁が不能になる。
【0031】
この結果、パワーウインドウ装置の回路のリークによっては、第1コイルのみが励磁される。この励磁により、第1リレー接点の可動接点が電源側接点に接続され駆動源は下降作動して、ウインドウガラスを下降させる。
【0032】
請求項2の発明によれば、第2コイルの両端子には、電源電圧が印加されることにより、請求項1の作用を得る。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両としての4ドアセダン型の自動車において、運転席側のサイドドアに設けられたパワーウインドウ装置10に具体化した第1実施形態を図1を参照して説明する。なお、図3に示す前記従来例と、同一構成又は相当する構成については、同一符号を付して説明を省略し、異なるところを説明する。
【0034】
図1は、パワーウインドウ装置10の電気的構成を示す電気回路図を示している。この実施形態のパワーウインドウ装置10は、自動車の運転席のサイドドアに設けられたものである。パワーウインドウ装置10は図1に示すようにドアECU12、駆動回路20、駆動モータMとを備えている。
【0035】
この実施形態は、図1に示すように、下降スイッチ28の固定接点28bに対してアノードが接続されるとともに、カソードがリレーコイル23の一方の端子に接続されたダイオードD1が設けられている。
【0036】
又、同様に下降スイッチ28の固定接点28bに対してアノードが接続されるとともに、カソードがリレーコイル23の他方の端子に接続されたダイオードD2が設けられている。すなわち、ダイオードD1,D2は、トランジスタTR3が導通したときに、リレーコイル23の両端子間が短絡しないように接続されている。
【0037】
前記ダイオードD1,D2により、電圧印加手段が構成されている。又、この実施形態では、前記駆動モータMが駆動源に相当し、リレーコイル21が第1コイルに相当し、リレー接点25が第1リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点25bが電源側接点に相当し、接地側固定接点25aが接地側接点に相当する。又、リレーコイル23が第2コイルに相当し、リレー接点26が第2リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点26bが電源側接点に相当し、接地側固定接点26aが接地側接点に相当する。
【0038】
上記のように構成されたパワーウインドウ装置10の作用について説明する。さて、パワーウインドウ装置10の回路が水等の電解質に濡れていないときにおいて、すなわち、駆動回路20がリークしていないときにおいて、下降スイッチ28,上昇スイッチ29のオン操作(マニュアル操作及びオート操作を含む)によって、トランジスタTR3が導通すると、リレーコイル23はその両端子に接続したダイオードD1,D2により短絡することはない。
【0039】
そして、下降スイッチ28をオン操作(マニュアル操作及びオート操作を含む)した場合、リレーコイル23の両端子には、可動接点28aが固定接点28bに接続されるため、バッテリ電源Bの電圧(電源電圧)が印加される。この場合、オート操作、及びマニュアル操作とも前記従来例と同様に駆動モータMは下降作動する。
【0040】
又、上昇スイッチ29のマニュアル操作及びオート操作の場合においては、従来と同様に駆動モータMは上昇作動する。
次に、自動車が浸水して、パワーウインドウ装置10の駆動回路20が、水に濡れたとき、図1に示すトランジスタTR2のコレクタ側であるa点、及びトランジスタTR1のコレクタ側であるb点でリークしたとする。
【0041】
この状態において、下降スイッチ29をオン操作すると、ドアECU12から、トランジスタTR4に対してハイ(H)レベル信号が出力されることにより、トランジスタTR4がオン作動し、トランジスタTR3が導通する。
【0042】
又、下降スイッチ28のオン操作により、固定接点28bはバッテリ電源Bに接続されるため、リレーコイル23の両端子には、ダイオードD1,D2を介してバッテリ電源Bの電圧(電源電圧)が印加される。この結果、リレーコイル23の両端子は、同電位となるため、リレーコイル23は励磁しない。
【0043】
一方、駆動回路20のb点によるリークによって、第1リレー回路22のみが作動されて、リレー接点25がオン状態(可動接点25cが電源側固定接点25bに接続された状態)となる。この結果、駆動モータMが正回転され、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが下降する。
【0044】
又、下降スイッチ28とともに、オートスイッチ30が作動した場合においても、同様に上述と同様に駆動モータMは作動する。
なお、上昇スイッチ29を、マニュアル操作でオンした場合、又はオート操作した場合、ドアECU12から、トランジスタTR4に対してハイ(H)レベル信号が出力されることにより、トランジスタTR4がオン作動し、トランジスタTR3が導通する。
【0045】
一方、この場合、a点、b点にてリークしているため、両コイル21,23が励磁され、第1リレー回路22及び第2リレー回路24のリレー接点25,26の可動接点25c,26cがともに電源側固定接点25b,26bに接続される。そのため、上昇スイッチ29をオン操作(マニュアル操作、又はオート操作)しても、駆動回路20は駆動モータMを上昇駆動しない。
【0046】
さて、本実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態では、トランジスタTR2,TR1のコレクタ側のa点、b点でリークしたときにおいて、下降スイッチ28をオン操作すると、リレーコイル23の両端子にバッテリ電源Bの電圧が印加されることにより、同両端子は同電位となるため、リレーコイル23が励磁されないようにした。この結果、リークによって、第1リレー回路22のみが作動されて、リレー接点25がオン状態(可動接点25cが電源側固定接点25bに接続された状態)となるため、駆動モータMが正回転されてウインドウガラスを下降することができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図2を参照して説明する。なお、前記第1実施形態と異なるところを中心に説明し、第1実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
この実施形態では、前記第1実施形態のオートスイッチ30の代わりに、オートアップスイッチ31及びオートダウンスイッチ32が設けられている。
オートアップスイッチ31の可動接点31aは、バッテリ電源Bに接続され、固定接点31bはドアECU12に電気的に接続されている。又、オートダウンスイッチ32の可動接点32aは、バッテリ電源Bに接続され、固定接点32bはドアECU12に電気的に接続されている。
【0048】
この実施形態においても、下降スイッチ28、及び上昇スイッチ29は、例えばタンブラ型のスイッチとされており、一側を押圧すると下降スイッチ28として機能し、他側を押すと上昇スイッチ29として機能し、マニュアル操作では、同時に下降スイッチ28,上昇スイッチ29がオン操作されないようにされている。
【0049】
又、ダウン側を2段押圧すると、下降スイッチ28及びオートダウンスイッチ32がともにオン作動する。又、アップ側を2段押圧すると、上昇スイッチ29、及び前記オートアップスイッチ31がともにオン作動する。
【0050】
そして、オートダウンスイッチ32が下降スイッチ28の操作にともなってダウン側にオンされると、前記ドアECU12は、そのオン操作に基づいて、トランジスタTR4のベースに対してハイ(H)レベルのオン信号を印加する。この結果、トランジスタTR4が導通するため、トランジスタTR3が導通する。一方、ドアECU12は前記トランジスタTR1のベースにハイ(H)レベルのダウン制御信号を印加する。前記トランジスタTR3の導通及び前記ダウン制御信号に基づいて、トランジスタTR1はオン作動し、リレーコイル21に励磁電流を流すようにされている。
【0051】
又、オートアップスイッチ31が上昇スイッチ29の操作にともなってアップ側にオンされると、そのオン操作に基づいて、ドアECU12は、トランジスタTR4のベースに対してハイ(H)レベルのオン信号を印加する。この結果、トランジスタTR4が導通するため、トランジスタTR3が導通する。一方、ドアECU12は前記トランジスタTR2のベースにハイ(H)レベルのアップ制御信号を印加する。前記トランジスタTR3の導通及び前記アップ制御信号に基づいて、トランジスタTR2はオン作動し、リレーコイル23に励磁電流を流すようにされている。
【0052】
なお、オートダウンスイッチ32、及びオートアップスイッチ31は、前記のようにダウン側、或いはアップ側にオン操作された場合には、その押圧操作を解除してもドアECU12は、ウインドウガラスが全閉位置、又は、全開位置に達するまで、各トランジスタTR1又はTR2に対してダウン又はアップ制御信号を印加するとともに、トランジスタTR4にオン信号を印加し続け、駆動モータMを正回転又は逆回転させるようにされている。
【0053】
そして、この実施形態は、図2に示すように、オートダウンスイッチ32の固定接点32bに対してアノードが接続されるとともに、カソードがリレーコイル23の一方の端子に接続されたダイオードD1が設けられている。
【0054】
又、同様にオートダウンスイッチ32の固定接点32bに対してアノードが接続されるとともに、カソードがリレーコイル23の他方の端子に接続されたダイオードD2が設けられている。すなわち、ダイオードD1,D2は、トランジスタTR3が導通したときに、リレーコイル23の両端子間が短絡しないように接続されている。
【0055】
この実施形態においても、前記ダイオードD1,D2により、電圧印加手段が構成されている。又、この実施形態では、前記駆動モータMが駆動源に相当し、リレーコイル21が第1コイルに相当し、リレー接点25が第1リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点25bが電源側接点に相当し、接地側固定接点25aが接地側接点に相当する。又、リレーコイル23が第2コイルに相当し、リレー接点26が第2リレー接点に相当する。そして、電源側固定接点26bが電源側接点に相当し、接地側固定接点26aが接地側接点に相当する。
【0056】
さて、以上のように構成されたパワーウインドウ装置10の作用について説明する。
この実施形態においては、第1実施形態と同様にパワーウインドウ装置10の回路が水等の電解質に濡れていないときにおいて、すなわち、駆動回路20がリークしていないときに、下降スイッチ28,上昇スイッチ29のオン操作(マニュアル操作及びオート操作を含む)によって、トランジスタTR3が導通すると、リレーコイル23はその両端子に接続したダイオードD1,D2により短絡することはない。そして、下降スイッチ28をオン操作(マニュアル操作及びオート操作を含む)した場合、リレーコイル23の両端子には、可動接点28aが固定接点28bに接続されるため、バッテリ電源Bの電圧(電源電圧)が印加される。この場合、オート操作、及びマニュアル操作とも第1実施形態と同様に駆動モータMは下降作動する。
【0057】
自動車が浸水して、パワーウインドウ装置10の駆動回路20が、水に濡れたとき、図2に示すトランジスタTR2のコレクタ側であるa点、及びトランジスタTR1のコレクタ側であるb点でリークしたとする。
【0058】
この状態において、2段クリック式のスイッチのダウン側を2段押圧すると、下降スイッチ28及びオートダウンスイッチ32がともにオン作動する。すると、ドアECU12から、トランジスタTR4に対してハイ(H)レベル信号が出力されることにより、トランジスタTR4がオン作動し、トランジスタTR3が導通する。
【0059】
又、オートダウンスイッチ32のオン操作により、固定接点32bはバッテリ電源Bに接続されるため、リレーコイル23の両端子には、ダイオードD1,D2を介してバッテリ電源Bの電圧(電源電圧)が印加される。この結果、リレーコイル23の両端子は、同電位となるため、リレーコイル23は励磁しない。
【0060】
一方、駆動回路20のb点によるリークによって、第1リレー回路22のみが作動されて、リレー接点25がオン状態(可動接点25cが電源側固定接点25bに接続された状態)となる。この結果、駆動モータMが正回転され、ワイヤ式又はアーム式のレギュレータ(図示しない)が前記駆動モータMにより駆動されてウインドウガラスが下降する。
【0061】
なお、この実施形態において、上昇スイッチ29を、マニュアル操作でオンした場合、又はオート操作した場合、ドアECU12から、トランジスタTR4に対してハイ(H)レベル信号が出力されることにより、トランジスタTR4がオン作動し、トランジスタTR3が導通する。
【0062】
一方、この場合、a点、b点にてリークしているため、両コイル21,23が励磁され、第1リレー回路22及び第2リレー回路24のリレー接点25,26の可動接点25c,26cがともに電源側固定接点25b,26bに接続される。そのため、上昇スイッチ29をオン操作(マニュアル操作、又はオート操作)しても、駆動回路20は駆動モータMを上昇駆動しない。
【0063】
さて、本実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態では、トランジスタTR2,TR1のコレクタ側のa点、b点でリークしたときにおいて、オートダウンスイッチ32をオン操作すると、リレーコイル23の両端子にバッテリ電源Bの電圧が印加されることにより、同両端子は同電位となるため、リレーコイル23が励磁されないようにした。この結果、リークによって、第1リレー回路22のみが作動されて、リレー接点25がオン状態(可動接点25cが電源側固定接点25bに接続された状態)となるため、駆動モータMが正回転されてウインドウガラスを下降することができる。
【0064】
本発明の実施形態は、上記実施形態以外に次のように変更することも可能である。
(1) 前記各実施形態では、パワーウインドウ装置10の各スイッチは、サイドドアに設けることを前提としているが、サイドドアに設けることは必須ではなく、例えば、運転席と助手席との間のコンソールに設けてもよく、又、インストルメントパネル等に設けてもよい。
【0065】
(2) 前記各実施形態では、運転席のサイドドアに設けられるパワーウインドウ装置10に具体化したが、助手席のサイドア、或いは後部座席用のサイドドアに設けられるパワーウインドウ装置に具体化してもよい。
【0066】
(3) 前記各実施形態では、リレーコイル23の両端子にバッテリ電源Bの電圧(電源電圧)を印加するようにしたが、これに限定されるものではなく、要は、リレーコイル23の両端子が同電位となるように電圧を印加できればよい。
【0067】
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に挙げる。
(1) 請求項1又は請求項2において、前記操作手段には、ウインドウガラスの下降のための下降スイッチを含み、前記電圧印加手段は、前記下降スイッチがオン状態のときのみ、前記第2コイルの両端子に同電位の電圧を印加するものであるパワーウインドウ装置。こうすることにより、下降スイッチがオン操作されたときのみ、電圧印加手段は、第2コイルの両端子に同電位の電圧を印加する。
【0068】
(2) 上記(1)において、電圧印加手段は、ダイオードであるパワーウインドウ装置。ダイオードによって、電圧印加手段を構成することができる。
(3) 請求項1又は請求項2において、第1コイルは、ダウン制御信号に基づいて、オン作動する第1のスイッチング手段に接続され、第2コイルは、アップ制御信号に基づいてオン作動する第2のスイッチング手段に接続されているパワーウインドウ装置。こうすることにより、第1コイルは、第1のスイッチング手段のオンにより励磁される。又、第2コイルは、第2のスイッチング手段のオンにより励磁される。上記実施形態において、トランジスタTR1が第1のスイッチング手段に相当し、トランジスタTR2が第2のスイッチング手段に相当する。
【0069】
(4) 請求項1又は請求項2において、前記操作手段には、ウインドウガラスの下降のためのオートスイッチを含み、前記電圧印加手段は、前記オートスイッチがオン状態のときのみ、前記第2コイルの両端子に同電位の電圧を印加するものであるパワーウインドウ装置。こうすることにより、オートスイッチが下降のためにオン操作されたときのみ、電圧印加手段は、第2コイルの両端子に同電位の電圧を印加する。この場合、前記第2実施形態のオートダウンスイッチ32がオートスイッチ及び操作手段に相当する。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1及び請求項2の発明によれば、ウインドウガラスを下降又は上昇駆動する駆動源と、操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作又はウインドウガラスの上昇のためのオン操作に基づき、前記ウインドウガラスが全開位置又は全閉位置に位置するまで、継続してダウン制御信号又はアップ制御信号を出力するとともに、併せてオン信号を出力する制御手段と、前記ダウン制御信号に基づいて、励磁される第1コイルと、前記駆動源に接続され、前記第1コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を下降作動させる第1リレー接点とを含む第1リレー手段と、前記アップ制御信号に基づいて、励磁される第2コイルと、前記駆動源に接続され、前記第2コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を上昇作動させる第2リレー接点とを含む第2リレー手段と、前記オン信号の出力が継続している間、オン作動を継続することにより前記第1コイルと第2コイルに対して励磁電流を供給させ、オフの際には前記第1コイルと第2コイルに対する励磁電流の供給を停止させるトランジスタとを備え、前記駆動源の両端子は、該駆動源が駆動されないときは、前記第1リレー接点及び第2リレー接点を介して接地され、前記第1コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、一方の端子が第1リレー接点を介して電源に接続されるとともに他方の端子が第2リレー接点を介して接地され、前記第2コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、前記一方の端子が、第1リレー接点を介して接地されるとともに前記他方の端子が第2リレー接点を介して電源に接続されるパワーウインドウ装置において、該パワーウインドウ装置の回路が水に濡れてリークしたときにおいても、操作手段を操作することによりウインドウガラスを下降できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のパワーウインドウ装置の電気回路図。
【図2】第2実施形態のパワーウインドウ装置の電気回路図。
【図3】従来のパワーウインドウ装置の電気回路図。
【符号の説明】
10…パワーウインドウ装置、12…ドアECU(制御手段を構成する。)、
21…リレーコイル(第1コイルを構成する。)、22…第1リレー回路、
23…リレーコイル(第2コイルを構成する。)、24…第2リレー回路、
25…リレー接点(第1リレー接点を構成する。)、
25a…接地側固定接点(接地側接点を構成する。)、
25b…電源側固定接点(電源側接点を構成する。)、25c…可動接点、
26…リレー接点(第2リレー接点を構成する。)、
26a…接地側固定接点(接地側接点を構成する。)、
26b…電源側固定接点(電源側接点を構成する。)、26c…可動接点、
28…下降スイッチ(操作手段を構成する。)、
29…上昇スイッチ(操作手段を構成する。)、30…オートスイッチ
32…オートダウンスイッチ(操作手段を構成する。)、
M…駆動モータ(駆動源を構成する)
D1,D2…ダイオード(電圧印加手段を構成する。)。
Claims (2)
- ウインドウガラスを下降又は上昇駆動する駆動源と、
操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作又はウインドウガラスの上昇のためのオン操作に基づき、前記ウインドウガラスが全開位置又は全閉位置に位置するまで、継続してダウン制御信号又はアップ制御信号を出力するとともに、併せてオン信号を出力する制御手段と、
前記ダウン制御信号に基づいて、励磁される第1コイルと、前記駆動源に接続され、前記第1コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を下降作動させる第1リレー接点とを含む第1リレー手段と、
前記アップ制御信号に基づいて、励磁される第2コイルと、前記駆動源に接続され、前記第2コイルの励磁時にオン作動し、前記駆動源を上昇作動させる第2リレー接点とを含む第2リレー手段と、
前記オン信号の出力が継続している間、オン作動を継続することにより前記第1コイルと第2コイルに対して励磁電流を供給させ、オフの際には前記第1コイルと第2コイルに対する励磁電流の供給を停止させるトランジスタと
を備え、
前記駆動源の両端子は、該駆動源が駆動されないときは、前記第1リレー接点及び第2リレー接点を介して接地され、前記第1コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、一方の端子が第1リレー接点を介して電源に接続されるとともに他方の端子が第2リレー接点を介して接地され、前記第2コイルが励磁時には、前記駆動源の両端子のうち、前記一方の端子が、第1リレー接点を介して接地されるとともに前記他方の端子が第2リレー接点を介して電源に接続されるパワーウインドウ装置において、
前記第2コイルの両端子には、前記操作手段のウインドウガラスの下降のためのオン操作に基づいて同第2コイルの両端子に同電位の電圧を付与する電圧印加手段を設けたことを特徴とするパワーウインドウ装置。 - 前記同電位の電圧は、電源電圧である請求項1に記載のパワーウインドウ装置。
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