JP3947376B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線断層像を得るX線CT装置に係り、特に、マルチスライスX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置のスキャン方式には、第3世代方式と第4世代方式がある。第3世代方式では、X線源を中心とした円弧状に複数のX線検出素子からなるX線検出器を配置し、X線源とX線検出器を対向させて回転して検査対象物体のX線投影像を計測する。第4世代方式では、複数のX線検出素子からなるX線検出器は検査対象物体を中心とする全円周に配置され、X線源を回転して検査対象物体のX線投影像を計測する。
【0003】
X線CT装置は、回転(第3世代方式ではX線源とX線検出器の回転,第4世代方式ではX線源の回転)軸方向に複数行にわたって配列される複数のX線検出素子の配列行数(以下、このX線検出素子の配列行数を、X線検出器の段数と云う)で大別される。すなわち、段数が1段である場合をシングルスライス方式,複数段である場合をマルチスライス方式と呼んで区別している。
【0004】
シングルスライス方式のX線CT装置による断層撮影では、回転軸に垂直な1つのスライス面での1つの断層像しか同時には得られない。複数の断層像を得るには、検査対象物体が搭載されている寝台天板を回転軸方向に移動させて複数のスライス面を選択して、順次時系列的に断層撮影を行なう。
【0005】
シングルスライス方式のX線CT装置では、回転(第3世代方式ではX線源とX線検出器の回転,第4世代方式ではX線源の回転)と同時に寝台天板を回転軸方向に連続的に移動させて走査(スパイラル走査)を行ないながら断層撮影を行なうことによって、3次元的な断層像を得ることができる。
【0006】
マルチスライス方式のX線CT装置では、スパイラル走査しない場合でも複数のスライス面での断層撮影が可能である。マルチスライス方式とスパイラル走査とを組み合わせて断層撮影を行なう場合には、シングルスライス方式のX線CT装置による場合に比べて、細かなサンプリング間隔で、短時間で複数のスライス面での断層撮影ができると云う利点がある。この利点のために、マルチスライス方式のX線CT装置が広く用いられている。近年では、X線検出器の段数が3段以上のマルチスライスX線CT装置も登場し、X線検出器の段数はさらに増える傾向にある。
【0007】
上記で説明したX線CT装置のX線検出器としては、通常、シンチレータ素子と光電変換素子とで構成されるX線固体検出器が使用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
複数の光電変換素子を1つの基板上に作製して複数の段数をもつ光電変換素子基板を製作して、複数の段数のX線固体検出器(以下、単にX線検出器と云う)を得る場合には、大面積の半導体基板が必要となる。しかし、半導体基板の面積が大きくなると、基板価格が高くなり、X線検出器が高価格になると云う問題がある。
【0009】
この問題を解決する一方法として、段数の少ない光電変換素子基板を低価格で製作し、この少段数基板の複数個を段方向(回転軸方向)に近接させて配列することによって、多段数を持った光電変換素子基板の代用とする方法がある。然るに、この方法では、光電変換素子基板からの出力信号の読み出しの方法が問題となる。従来、この問題を解決するために、ラップジョイントの方法(米国特許第4,467,342号明細書),2層式タイルアレイの方法(米国特許第5,105,087号明細書)が提案されているが、これらの方法では、検出感度及び解像度の低下を招くと云う問題がある。
【0010】
X線検出器の段数を増すにつれて、読み出し回路の規模が大幅に増大し、検出回路が大型となって、X線検出器の製造コストが高価となるため、実際に実用的に実現できるX線検出器の段数には限界があると云う問題がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、他段数のX線検出器における読み出し回路の規模を増大させずに、かつ検出感度及び解像度の低下を防止することのできるX線検出器を用いたマルチスライスX線CT装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線CT装置のX線検出器では、検出対象物を透過したX線がシンチレータ素子に入射して光に変換され、この光が光電変換素子に入射して光電変換され、該光電変換素子から電気信号として出力される。
【0013】
本発明では、半導体基板上に複数の光電変換素子を複数段に配列形成してなる光電変換素子基板を作成し、この複数段構成の光電変換素子基板の背面(光入射面とは反対側の面)側に該光電変換素子基板からの出力電気信号を読み出すための信号読み出し基板を接合配置して、上記光電変換素子基板からの出力電気信号を上記光電変換素子基板の背面側から取り出す。
【0014】
出力電気信号は、複数の光電変換素子の群に対して並列的に読み出され、光電変換素子の群を2次元的に順次切り換えて、出力電気信号の読み出しを行なう。複数の光電変換素子群の各々を複数のサブ基板上に作製し、この複数のサブ基板を互いに近接させて電気信号の読み出しを行なう信号読み出し基板上に接合配置して、上記した複数段構成の光電変換素子基板の背面側から電気信号(光電変換信号)を出力させるように構成することもできる。
【0015】
本発明のX線CT装置におけるX線検出器を構成する検出ブロックは、複数の光電変換素子が配列形成された光電変換基板,検出ブロック基板,複数のシンチレータ素子を含む。検出ブロックは、シンチレータ素子及び光電変換素子から形成されるX線検出素子(以下単に検出素子と云う)の複数を含む。複数のシンチレータ素子は、光学的に光電変換基板に接合される。光電変換基板は、検出ブロック基板に電気的に接合される。光電変換基板または検出ブロック基板は、光電変換素子を選択して電気信号の読み出しを切り換える素子選択部を有する。検出ブロック基板の表面(第1面)側に、出力電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための素子選択信号を素子選択部に供給するための選択用配線,光電変換素子からの出力電気信号を出力するための出力用配線が形成される。上記の選択用配線及び出力用配線は、各層間が絶縁されてなる多層配線構造により形成される。
【0016】
出力用配線は、第1の方向(スライス方向又はチャネル方向)に列をなす光電変換素子に対し共通に形成され、選択用配線は上記第1の方向に直交する第2の方向に行をなす光電変換素子に対し共通に形成される。制御回路から選択用配線へ光電変換素子を選択するための選択信号が入力され、上記第2の方向に選択用配線が共通配線された光電変換素子の群からの出力電気信号が上記の出力用配線から出力される。選択すべき光電変換素子の行を切り換えて光電変換素子の群を第1の方向へ順次切り換えて出力電気信号の読み出しを行なう。
【0017】
上記した本発明による検出器構成により、同じ列に属する光電変換素子の出力電気信号を、共通の読み出し回路でもって読み出せるので、光電変換素子からの出力電気信号を読み出すための読み出し回路の回路規模の増大を抑え、回路規模の縮減を図ることができる。
【0018】
また、光電変換基板の背面側から出力電気信号を検出ブロック基板上へと出力するので、光電変換素子形成領域の周囲に信号出力のための配線を形成するための配線スペースを必要としないがため、検出感度,解像度の低下を防止できる。光電変換素子間の空間が大きくなって、素子配列間隔が大きくなると、検出感度及び解像度の低下を招くことになるからである。
【0019】
本発明のX線CT装置のX線検出器では、大きな半導体基板を用いずに、複数の光電変換素子の各々を複数のサブ基板により形成して複数の検出段を構成した光電変換素子基板を使用して、複数の検出段数をもったX線検出ブロックを実現できる。
【0020】
光電変換基板が複数の検出素子が配列するチャネル方向(行方向)に複数配置される場合、複数の光電変換基板にまたがる複数の素子選択部が、共通の選択用配線により電気的に接続され、出力電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための配線を減少できる。
【0021】
光電変換基板がスライス方向(列方向)に複数個配置される場合、これら複数個の光電変換基板間にまたがる複数の検出素子が共通の信号用配線により電気的に接続されため、読み出し回路の規模を小さくできる。
【0022】
本発明のX線CT装置のX線検出器では、光電変換基板,検出ブロック基板の少なくとも一方に、光電変換素子からの出力電気信号を増幅するための増幅回路が配置される。読み出し回路内で発生するノイズはS/N比の低下の原因となるが、上記増幅回路の下段側での発生ノイズのS/N比への寄与は小さくなる。
【0023】
本発明のX線CT装置のX線検出器では、光電変換基板,検出ブロック基板の少なくとも一方が複数の基板により構成される。例えば、検出ブロック基板は、選択素子を有し選択用配線が形成された選択用配線基板と、電気信号を読み出すための出力用配線が形成された出力用配線基板とから構成され、上記選択用配線基板上に増幅回路が配置される。
【0024】
本発明のX線CT装置では、光電変換基板は、電気信号出力のオン・オフ切り換えを行なうための選択素子と、該基板の第1の面(光入射面)側に形成される透明電極と、第2の面(光入射面と反対側の面)側に形成され電気信号の出力を行なう出力端子と、上記の第2の面側に形成され選択素子を制御する信号を入力するための選択端子とを有し、検出ブロック基板は、上記の透明電極に電気的に接続される基準電位用配線を有し、出力用配線は、上記の出力端子と電気的に接続され上記の第1の面側に形成される接続用出力端子と,該接続用出力端子と出力線により電気的に接続され上記光電変換基板とは接しない位置に形成されて信号収集回路と電気的に接続される外部出力端子と,信号線とを有し、第1の方向(スライス方向又はチャネル方向)に列をなす検出素子の群が対応する上記接続用出力端子は共通の出力線によって電気的に接続され、選択用配線は、選択端子と電気的に接続されて第1の面に形成される接続用選択端子と,制御回路と電気的に接続されて光電変換基板と接しない位置に形成される外部選択端子と,接続用選択端子と外部選択端子とを電気的に接続する選択線とを有し、上記第1の方向と直交する第2の方向(回転軸方向)に行をなす検出素子の群が対応する上記接続用選択端子は共通の選択線によって電気的に接続され、基準電位用配線は、光電変換基板と接しない位置に形成される基準電位入力端子と,該基準電位入力端子及び上記透明電極に電気的に接続される接続用基準電位端子とを有している。更に、上記光電変換基板の上記第2の面上に、上記接続用基準電位端子に電気的に接続される表面電極端子が形成されている。
【0025】
若しくは、本発明のX線CT装置のX線検出器では、上記光電変換基板は上記第1の面側に形成される透明電極と上記第2の面側に形成され電気信号の出力を行なう出力端子とを有し、上記検出ブロック基板は、その第1の面側に形成され電気信号出力のオン・オフ切り換えを行なう選択素子と,上記透明電極に電気的に接続される基準電位用配線とを有し、上記選択素子は、上記の電気信号を入力する入力電極と,該入力電極に入力された上記電気信号を出力する出力電極と,上記電気信号出力のオン・オフ切り換えを行なう制御電極とを有し、上記の出力用配線は、上記入力電極と電気的に接続され上記第1の面に形成される接続用出力端子と,上記の出力線により上記出力電極に電気的に接続されて信号収集回路と電気的に接続される上記光電変換基板とは接しない位置に形成された外部出力端子と,信号線とを有し、上記の第1の方向に列をなす検出素子の群が対応する選択素子の出力電極は共通の出力線により互いに電気的に接続され、選択用配線は、制御回路と電気的に接続され光電変換基板と接しない位置に形成される外部選択端子と,制御電極と外部選択端子とを電気的に接続する選択線とを有してなり、上記第2の方向に行をなす検出素子の群が対応する選択素子の制御電極は共通の選択線によって互いに電気的に接続され、基準電位用配線は、光電変換基板と接しない位置に形成される基準電位入力端子と,上記透明電極に電気的に接続される接続用基準電位端子とを有している。更に、上記光電変換基板の上記第2の面に、上記接続用基準電位端子に電気的に接続される表面電極端子が形成されている。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明は、検出ブロックが周方向に円弧状に配置されてX線検出器が構成されており、回転手段によってX線源及びX線検出器を検査対象物体の周囲で回転させる第3世代方式のX線CT装置、および、検出ブロックが周方向に円状に配置されてX線検出器が構成されており、回転手段によってX線源を検査対象物体の周囲で回転させる第4世代方式のX線CT装置に対して適用される。
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図1に、本発明の実施例1になるX線CT装置の基本構成を示す。本X線CT装置は、寝台天板12,X線源11,X線検出器10,回転体16,信号収集回路90,演算処理装置13,表示装置14,及び、制御回路15から構成されている。検査対象物体Sは寝台天板12上に搭載され、該検査対象物体Sを間に挟んでX線源11とX線検出器10とが対向して配置されている。X線源11とX線検出器10とは回転体16上に固定保持されている。回転体16は検査対象物体Sを略中心として回転方向18に回転する。X線源11からのX線を検査対象物体Sに照射してその透過X線を検出するX線断層撮影では、回転体16の各回転角度で投影像を検出する。各回転角度で、検査対象物体Sを透過したX線をX線検出器10で検出し電気信号(投影像)に変換する。この電気信号は、信号収集回路90で収集され保存される。例えば、回転体16の回転角度0.4°毎に上記投影像を検出した場合、回転体16の1回転(360°回転)の間における検出投影像数は900枚となる。
【0028】
これら投影像の検出データは、静止系に置かれた演算処理装置13に転送される。演算処理装置13では、これら投影像の検出データに対しコンボルーション(畳み込み)の処理,バックプロジェクション(逆投影)の処理を行ない、検査対象物体Sの所望断面上でのX線吸収係数分布の画像(断層像)を再構成する。この再構成断層像が、表示装置14に表示される。制御回路15は、X線の照射タイミングの制御,X線検出器10からの電気信号の読み出しタイミングの制御等を行なう。
【0029】
図2に、本実施例1のX線CT装置に使用される検出ブロックの構造を斜視図で示す。また、図3に、図2に示した検出ブロック20のX線入射方向92から見た回路構成を示す。
【0030】
図1に示すX線検出器は、複数(K個)の検出ブロック20を検出ブロック固定板91上にチャネル方向21に円弧状に固定配列した構造をしている。検出ブロック20は、固定用ネジ穴46を介してネジにより固定板91上に固定されている。なお、ここでは、k(=1,2,…,K)を各検出ブロックの番号として、第k番目の検出ブロック20を20−kで表わしている。
【0031】
各検出ブロック20は、シンチレータ素子22,光電変換基板23,検出ブロック基板25を含む。光電変換基板23は検出ブロック基板25上に接して配置され、シンチレータ素子22は光電変換基板23の上に接して配置されている。検出素子は、X線を光に変換するシンチレータ素子22と、この光を電気信号に変換する光電変換素子59とから構成されている。各シンチレータ素子22は、各光電変換素子59に対応して光学的に分割されている。
【0032】
検出素子の数は、例えば、検出ブロック20のチャネル方向21に平行な方向(以後、行方向と云う)で16個,スライス方向26に平行な方向(以後、列方向と云う)で24個である。即ち、検出ブロックは16行24列の検出素子から構成される。図2では、図を簡単にするため、4行2列の場合を例に示す。光電変換素子59−k−i−jは、検出ブロック20−k中のi列,j行の光電変換素子を示す。光電変換素子59−k−i−jとシンチレータ素子22−k−i−jは、同じ検出ブロック20−k上の同じi列,j行に対応している。光電変換基板23−k−mは、m番目の光電変換基板(サブ基板)を示す。なお、i=1,2,…,I,j=1,2,…,J,m=1,2,…,Mである。検出ブロック基板25は、どの光電変換素子の電気信号を読み出すかを選択する機能と実際に読み出しを行なう機能とをもっている。
【0033】
図3に示すように、検出ブロック20は、光電変換回路41,選択素子43,選択線61,信号線60,外部選択端子53,外部出力端子52,基準電位入力端子54を含む。選択素子43は、例えばMOS型のトランジスタである。光電変換素子59−k−i−jは、光電変換回路41−k−i−jと選択素子43−k−i−jを含む。光電変換回路41及び選択素子43は光電変換基板23上に設けられる。選択線61,信号線60,外部選択端子53,外部出力端子52,及び基準電位入力端子54は、検出ブロック基板25上に設けられる。
【0034】
同じj行上にある光電変換素子59k−i−jの選択素子43−k−i−jのゲート電極は、共通の選択線61−k−jに接続され、光電変換素子59k−i−jの選択を行毎に行なう。また、同じi列上にある光電変換素子59k−i−jの選択素子43−k−i−jのソース電極は、共通の信号線60−k−iに接続される。光電変換素子59k−i−jからの検出信号の読み出しは、列方向に共通の読み出し回路を用いて行なう。次に、読み出しの方法の詳細を説明する。
【0035】
検出ブロック20に入射したX線は、シンチレータ素子22によって光に変換され、この光が光電変換素子59k−i−jで電気信号に変換されて、この電気信号がそこに蓄積される。制御回路15から外部選択端子53−k−jに、蓄積された電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号が入力されると、同じj行の選択素子43−k−i−jがオンされる。これにより、同じj行の光電変換素子59k−i−jに蓄積されている電気信号が、外部出力端子52−k−iから信号収集回路90に、同時に出力される。次に電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号が外部選択端子53−k−(j+1)に入力されると、同じ(j+1)行の光電変換素子59k−i−(j+1)に蓄積されている電気信号が、信号収集回路90に、同時に出力される。
【0036】
このように、蓄積電気信号を読み出すべき光電変換素子の行を順次切り換えることにより、検出ブロック20の全ての光電変換素子からの蓄積電気信号の読み出しを実行できる。このようにして、1つの方向からのX線投影像の取得ができる。次に、各基板の詳細な構造を説明する。
【0037】
図4に、本発明の実施例1における光電変換基板23の詳細構造を示す。光電変換基板23はシリコン基板140からなり、該基板上に光電変換素子が2次元的に形成される。図4には、2行2列の光電変換素子59が形成されている場合を例示した。なお、図中の141は、光電変換基板23の投影面を示している。
【0038】
図5に、本発明の実施例1における光電変換基板23の回路構成を示す。光電変換基板23は、光電変換回路41,選択素子43,透明電極42,透明電極端子38,出力端子45,選択端子44を具備する。光電変換回路41と選択素子43とは光電変換素子毎に設けられている。透明電極42は光電変換基板23の第1の面(光入射面)32上に形成される。第1の面32は、シンチレータ素子22と接合する面である。選択端子44−k−jは、選択素子43−k−i−jのゲート電極と電気的に接続される。
【0039】
出力端子45−k−iはソース電極と電気的に接続される。透明電極端子38−k−mは透明電極42と電気的に接続される。これらの端子は、光電変換基板23の第2の面33上に形成される。第2の面33は、検出ブロック基板25と接合する面である。このように、検出ブロック基板25と接合する光電変換基板23の第2の面33上にそれぞれの電極に接続する端子を設けるので、読み出し回路のためのスペースを検出ブロック基板25との間に設ける必要が無い。
【0040】
図6は本発明の実施例1における検出ブロック基板25の構造を示す斜視図である。検出ブロック基板25は光電変換基板23を支持する。検出ブロック基板25−kは光電変換基板23−k−mと接合領域220−k−mで接合される。
【0041】
図7に、本発明の実施例1における検出ブロック基板25の回路構成を示す。検出ブロック基板25は、出力用配線70,選択用配線71及び基準電位用配線72を含む。出力用配線70は、接続用出力端子55−k−i,信号線60−k−i及び外部出力端子52−k−iを含む。接続用出力端子55−k−iと外部出力端子52−k−iは信号線60−k−iによって電気的に接続される。選択用配線71は、接続用選択端子56−k−j,選択線61−k−j,外部選択端子53−k−iを含む。基準電位用配線72は、接続用基準電位端子57−k−m,基準電位入力端子54−k及び信号線62(62−k)を含む。
【0042】
同じ列iの光電変換素子59k−i−jに接続される接続用出力端子55−k−iは、共通の信号線60−k−iにより外部出力端子52−k−iに電気的に接続される。接続用選択端子56−k−iと外部選択端子53−k−iは選択線61−k−iによって電気的に接続される。同じ行jの光電変換素子59k−i−jに接続される接続用選択端子56−k−jは、共通の選択線61−k−jにより外部選択端子53−k−jに電気的に接続される。接続用基準電位端子57−k−mは、基準電位入力端子54−kと電気的に接続される。接続用出力端子55−k−i,接続用選択端子56−k−j及び接続用基準電位端子57−k−mは、接合領域220−k−mの内部に設けられる。
【0043】
接続用出力端子55−k−iと出力端子45−k−iが、接続用選択端子56−k−jと選択端子44−k−jが、接続用基準電位端子57−k−mと透明電極端子38−k−mとがそれぞれ電気的に接続されるように、検出ブロック基板25と光電変換基板23−k−mとを接合する。制御回路15からの信号を外部選択端子53−k−iに入力することによって、同じ行jの光電変換素子59k−i−jの電気信号を読み出し、この読み出した電気信号を外部出力端子52−k−iから信号収集回路90に並列に出力できる。
【0044】
図8に、本発明の実施例1における検出ブロックを構成する検出ブロック基板25の多層配線の断面構造を示す。検出ブロック基板25は、出力用配線70を構成する上層230,基準電位用配線72を構成する中層231及び選択用配線71を構成する下層232の3層と、各層間の絶縁層233とから構成される。
接続用選択端子56−k−j,接続用出力端子55−k−i及び接続用基準電位端子57−k−mは、上記の各層から検出ブロック基板25の第1面34の表面まで貫通し、光電変換基板23と電気的に接続される。 外部選択端子53−k−i,外部出力端子52−k−i及び基準電位入力端子54−kは上記各層から検出ブロック基板25の第1面34の表面まで貫通し、制御回路15および信号収集回路90と電気的に接続される。
【0045】
図9から図12は本発明の実施例1における検出ブロック20−kの作製方法を説明する斜視図である。図9に示すように、光電変換基板23を検出ブロック基板25に接合する。図9に示す例では、2行2列の光電変換基板23−k−mを2枚(m=1,2)用いて、4行2列の検出ブロック20−kを製作する。
【0046】
光電変換基板23−k−mの第2の面側に形成される出力端子45−k−m−iと検出ブロック基板25−k上に形成される接続用出力端子55−k−m−iとが、光電変換基板23−k−mの第2の面側に形成される選択端子44−k−m−jと検出ブロック基板25−k上に形成される接続用選択端子56−k−m−jとが、光電変換基板23−k−mの端面(側面)に形成される透明電極端子38−k−mと検出ブロック基板25−kに形成される接続用基準電位端子57−k−mとが、それぞれハンダにて電気的に接続される。
【0047】
図10に示すように、シンチレータ22−kは、光電変換基板23−k−mの第1の面32上に、シンチレータ22で発生する光を透過させ得る透光性接着剤を用いて、光学的に接合する。また、図11に示すように、シンチレータ22と光電変換基板23とに溝150を形成する。なお、このうちスライス方向に平行な溝は、シンチレータ22を貫通して光電変換基板23の一部にまで及んで形成される。また、チャネル方向に平行な溝は、シンチレータ22をほぼ貫通して形成されるが、光電変換基板23に及んでは形成されない。
【0048】
図12に示すように、光反射膜が形成されたCu又はMoからなるセパレータ27を溝150内に挿入する。このセパレータ27により、各シンチレータ素子22−k−i―jは光学的に相互に分離される。
【0049】
以下、実施例1における可能な変形例を説明する。(1)上記で説明した第3世代方式のX線CT装置に代えて、第4世代方式のX線CT装置に適用することができる。(2)列方向に並列に電気信号の読み出しを行ない行方向に順次切り換える代りに、行方向に並列に電気信号の読み出しを行ない、列方向に順次切り換えを行なうよう構成することもできる。(3)複数の光電変換基板(サブ基板)をスライス方向26に配列する代りに、チャネル方向21に複数の光電変換基板(サブ基板)を配置するか、または、両方向26,21に複数の光電変換基板(サブ基板)を配置することができる。(4)1つの信号線60が複数の光電変換基板(サブ基板)にまたがって接続用出力端子55と電気的に接続される代りに、1つの選択線61が複数の光電変換基板(サブ基板)にまたがって接続用選択端子56と電気的に接続されるように構成することもできる。(5)透明電極42を列毎に分割する代りに、透明電極42を行毎に分割するか、または、透明電極42を行毎及び列毎の双方で分割するか、あるいはまた、透明電極42を行および列の双方で分割しない構成とすることもできる。(6)シンチレータ素子22−k−i―jを2次元的に分割して構成する代りに、チャネル方向21又はスライス方向26の一方向で分割するか、または、いずれの方向にも分割しない構成(シンチレータ素子が連続したシンチレータ板構成)とすることもできる。(7)透明電極42と接続用基準電位端子57との電気的な接続を透明電極端子38を経て行なう代りに、透明電極42と接続用基準電位端子57とをボンディングにより直接電気的に接続することもできる。(8)透明電極端子38と透明電極42とを接続する配線を光電変換基板23の端面(側面)上に形成する代りに、光電変換基板23を貫通して透明電極端子38と透明電極42とを接続する配線を形成することもできる。(9)透明電極を複数の光電変換基板にまたがって共通に設ける構成とすることもできる。(10)光電変換基板の隣接した面で、複数の光電変換基板の透明電極が電気的に接触する構成とすることもできる。
(実施例2)
本実施例2になるX線CT装置は、先の実施例1の装置構成において、図13に示す回路構成をもつ光電変換基板23と、図14に示す回路構成をもつ検出器ブロック基板25とを使用する。
【0050】
図13に示すように、光電変換基板23は、光電変換回路41,透明電極42,透明電極端子38,及び出力端子45を含む。光電変換回路41及び出力端子45は、光電変換素子毎に配置される。透明電極42はシンチレータ素子22と接合される光電変換基板の第1の面(光入射面)32上に形成される。透明電極42は光電変換回路41内の1つの電極である。
【0051】
出力端子45−k−i−jは光電変換回路41−k−i−jの電極と電気的に接続される。透明電極端子38−k−mは透明電極42と電気的に接続される。出力端子45−k−i−j及び透明電極端子38−k−mは、検出ブロック基板25と接合される光電変換基板の第2の面(背面)33上に形成される。このように、検出ブロック基板25と接合される光電変換基板の背面(第2の面)上に各端子を形成するので、読み出し回路形成のためのスペースを光電変換基板23と検出ブロック基板25との間に確保する必要が無い。
【0052】
図14に示すように、検出ブロック基板25は、選択素子43,出力用配線70,選択用配線71,基準電位用配線72を含む。出力用配線70は、接続用出力端子55−k−i−j,信号線60−k−i,外部出力端子52−k−iを含む。選択用配線71は、選択線61−k−j及び外部選択端子53−k−iを含む。基準電位用配線72は、接続用基準電位端子57−k−m及び基準電位入力端子54−kを含む。選択素子43,出力用配線70,選択用配線71,基準電位用配線72は、検出ブロック基板25の第1の面(上面)34に形成される。選択素子43及び接続用出力端子55は、光電変換素子毎に配置される。
【0053】
接続用出力端子55−k−i−jは、出力端子45−k−i−j,及び選択素子43−k−i−jのドレイン電極に電気的に接続される。選択素子43−k−i−jのソース電極と外部出力端子52−k−iは、信号線60−k−iにより電気的に接続される。同じ列iの光電変換素子59k−i−jに接続された選択素子43−k−i−jのソース電極は、共通の信号線60−k−iにより互いに電気的に接続される。
【0054】
選択素子43−k−i−jのゲート電極と外部選択端子53−k−iは、選択線61−k−iにより電気的に接続される。同じ行jの光電変換素子59k−i−jに接続された選択素子43−k−i−jのゲート電極は、共通の選択線61−k−iにより互いに電気的に接続される。
【0055】
接続用基準電位端子57−k−mは、基準電位入力端子54−kに電気的に接続される。接続用出力端子55−k−i,接続用選択端子56−k−j,接続用基準電位端子57−k−mは、接合領域220−k−mの内部に配置される。
【0056】
接続用出力端子55−k−iと出力端子45−k−iが、接続用選択端子56−k−jと選択端子44−k−jが、接続用基準電位端子57−k−mと透明電極端子38−k−mが、それぞれ電気的に接続されるように、検出ブロック基板25−kと光電変換基板23−k−mとを接合する。制御回路15からの信号を外部選択端子53−k−iに入力することにより、同じ行jの光電変換素子59k−i−jの電気信号を読み出し、該電気信号を外部出力端子52−k−iから信号収集回路90に並列に出力できる。
(実施例3)
本実施例3のX線CT装置は、先の実施例1の装置構成において、図15に示す検出ブロック20を使用する。検出ブロック20の光電変換基板23は、光電変換を行なう機能を有する光電変換素子基板200と、電気信号を出力すべき光電変換素子の選択を行なう機能をもつスイッチングモジュール基板201とから構成される。
【0057】
図16に示すように、光電変換素子基板200の第2の面(背面)35をスイッチングモジュール基板201の第1の面(上面)36に接合する。光電変換素子基板200の第1の面(光入射面)32はシンチレータ素子22の下面に接合される。スイッチングモジュール基板201の第2の面(下面)33は検出ブロック基板25に接合される。
【0058】
図17に本実施例3における光電変換素子基板200の回路構成を示す。光電変換素子基板200は、光電変換回路41,透明電極42,第2の接続用透明電極端子204,及び第2の接続用出力端子202を含む。透明電極42は、光電変換素子基板200の第1の面(光入射面)32上に形成される。第2の接続用透明電極端子204及び第2の接続用出力端子202は光電変換素子基板200の第2の面(下面)35上に形成される。第2の接続用透明電極端子204は、透明電極42に電気的に接続される。第2の接続用出力端子202−k−i―jは、光電変換回路41−k−i―jの出力電極に電気的に接続される。
【0059】
図18に本実施例3におけるスイッチングモジュール基板201の回路構成を示す。スイッチングモジュール基板201は、選択素子43,選択端子44,出力端子45,透明電極端子38,第2の接続用透明電極端子205,及び第2の接続用出力端子203を含む。選択端子44,出力端子45,透明電極端子38は、スイッチングモジュール基板201の第2の面33上に形成される。
【0060】
第2の接続用透明電極端子205と第2の接続用出力端子203は、スイッチングモジュール基板201の第1の面36上に形成される。第2の接続用出力端子203−k−i―jは、選択素子43−k−i―jのドレイン電極と電気的に接続される。第2の接続用出力端子203は、透明電極端子38と電気的に接続される。選択端子44−k−i―jは選択素子43−k−i―jのゲート電極に電気的に接続される。
【0061】
出力端子45−k−i―jは選択素子43−k−i―jのソース電極に電気的に接続される。第2の接続用透明電極端子205−k−i―jと第2の接続用透明電極端子204−k−i―jとが、第2の接続用出力端子203−k−i―jと第2の接続用出力端子202−k−i―jとが、それぞれ電気的に接続されるように、光電変換素子基板200−k−mとスイッチングモジュール基板201−k−mを接合する。本実施例3のX線CT装置に使用される検出ブロック20は、先の実施例2における検出ブロックの検出ブロック基板25を2つの機能をもつ基板により構成したものと見做せる。
(実施例4)
本実施例4のX線CT装置は、先の実施例1の装置構成において、さらに光電変換基板23で発生した電気信号を増幅する機能を具備させてなるものである。
【0062】
図19に、本実施例3における光電変換基板23の回路構成を示す。光電変換基板23は、先の実施例1における光電変換基板23の構成に加えて、増幅回路164,リセット電力端子163,リセット選択端子167及び定電圧入力端子166を含む。増幅回路164は、光電変換回路41毎に配置される。リセット電力端子163,リセット選択端子167,定電圧入力端子166は、光電変換基板の第2の面(下面)33上に形成される。
【0063】
図20に、本実施例4における増幅回路164とその周辺の回路構成を示す。
増幅回路164はトランジスタ165とリセット選択素子168を含む。トランジスタ165のドレイン電極160は定電圧入力端子166と接続され、ソース電極161は選択素子43のドレイン電極と電気的に接続される。トランジスタ165のゲート電極162は、光電変換回路41の電気信号出力を行なう電極と接続され、リセット選択素子168の接続用定電圧入力端子171と電気的に接続される。
【0064】
リセット選択電極169はリセット選択端子167に、リセット電力電極170はリセット電力端子163に、それぞれ電気的に接続される。同じ行jの光電変換素子59k−i−jに接続される増幅回路164−k−i−jのリセット選択電極169−k−i−jは、共通のリセット選択端子167−k−jに電気的に接続される。
【0065】
本実施例4の光電変換基板23では、次のようにして、電気信号の読み出しとリセットの動作を行なう。まず、リセット選択端子167−k−jに、電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号を入力する。この時、リセット電力端子163−kに或る電圧をバイアス印加しておくと、光電変換回路41−k−i−jの電極間での電位差を一意に決めることができる。
【0066】
次に、リセット選択端子167−k−jに入力していた電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号を切る(入力オフとする)。この時、光電変換回路41−k−i―jにX線が入射すると、光電変換により発生する電気信号が蓄積されているので、ゲート電極162の電位が変化する。そのため、定電圧入力端子166−k−mに定電圧をバイアスしておくと、発生した電気信号に依存する電流がソース電極161−k−i−jに流れる。
【0067】
電気信号の読み出しでは、選択端子44−k−i―jに、電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号を入力して、蓄積されている電流を出力端子45−k−iから出力する。次に、選択端子44−k−i―jに入力していた信号を切って、リセット選択端子167−k−jに、電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号を入力する。これにより、光電変換回路41−k−i−jの電極間の電位差を元に戻してリセットできる。以上の動作を繰り返して、入射X線量に依存した電気信号を繰り返し収集する。
【0068】
図21に、本実施例4における検出ブロック基板25の回路構成を示す。検出ブロック基板25は、先の実施例1において示した検出ブロック基板25の構成に加えて、接続用定電圧入力端子171,外部定電圧入力端子172,接続用リセット電力端子173,外部リセット電力端子174,接続用リセット選択端子175,外部リセット選択端子176を含む。接続用定電圧入力端子171,接続用リセット電力端子173及び接続用リセット選択端子175は、接合領域220−k−mの内側に配置される。接合領域220−k−mは、光電変換基板23−k−mと接合される位置である。
【0069】
接続用定電圧入力端子171は外部定電圧入力端子172に、接続用リセット電力端子173は外部リセット電力端子174に、接続用リセット選択端子175は外部リセット選択端子176に、それぞれ電気的に接続される。接続用定電圧入力端子171は定電圧入力端子166に、接続用リセット電力端子173はリセット電力端子163に、接続用リセット選択端子175はリセット選択端子167に、それぞれ電気的に接続される。外部定電圧入力端子172,外部リセット電力端子174,外部リセット選択端子176は、制御回路15に接続される。
【0070】
本実施例4の検出ブロック20−kでは、次のように読み出し動作を行なう。
まず、制御回路15から、電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択するための信号を選択端子44−k−jに入力する。これにより、同一の行jに属する光電変換回路41−k−i―jからの出力信号を、出力端子45−k−iから並列に取り出すことができる。次に、電気信号を読み出すべき光電変換素子の行をjから(j+1)に変えると共に、リセット選択端子167−k−i―jに、電気信号を読み出すべき光電変換素子を選択する信号を入力する。この時、光電変換回路41−k−i−(j+1)の信号を読み出すと同時に、光電変換回路41−k−i―jの電極間の電位差をリセットする。このように電気信号を2次元的に順次読み出しながら、順次リセットを行なう。
【0071】
本実施例では、増幅回路164の増幅率を光電変換素子の位置により変化させる。この増幅率は、光電変換回路41で発生した電気信号に対してトランジスタ165のソース電極161を流れる電流の割合である。例えば、検査対象物体Sを透過しない直接X線がX線検出器10に入射する場合には、この直接X線が入射する光電変換素子の位置での増幅回路164の増幅率は低くする。検査対象物体Sの中心を透過した強度が弱いX線が入射する光電変換素子の位置では、増幅回路164の増幅率を高くする。
【0072】
この結果、強いX線の入射位置では読み出し回路での信号の飽和を防止でき、弱いX線が入射する光電変換素子の位置では後段の読み出し回路のノイズがS/N比へ与える影響を小さくできる。また、増幅回路164の増幅率を光電変換基板23毎に又は検出ブロック毎に異ならせて、上記と同様の効果を実現できる。
【0073】
本実施例4では、光電変換基板23を機能の異なる複数の基板により構成してもよい。特に、光電変換回路41が形成される基板と、増幅回路164と選択素子43が形成される基板とにより光電変換基板23を構成することが望ましい。
(実施例5)
本実施例5におけるX線CT装置では、先の実施例1から実施例4において示した装置構成において、光電変換基板23の複数により光電変換素子が等間隔に配置される。
【0074】
図22に、本実施例5における光電変換基板23の配置位置関係を示す。隣接する2つの光電変換基板23の光電変換素子の間の距離と、光電変換基板23の端面と光電変換素子59の端部との距離との関係を説明する図である。
【0075】
2つの光電変換基板23が、スライス方向26において、隣接面212で隣接する。隣接面212と光電変換素子59k−2−2との間隔211は、光電変換素子59k−2−1と光電変換素子59k−2−2との間隔210の(1/2)となるように配置される。光電変換素子59k−2−2と光電変換素子59k−3−2との間隔213は、上記の間隔210と等しく設定される。
【0076】
上述のように、光電変換素子間の間隔を光電変換素子の位置によらずに等しく設定しているので、解像度の低下を防止できる。なお、間隔211を間隔210の(1/2)未満として、隣接面212において2つの光電変換基板の端面(側面)間の間隔を調整して、間隔213を間隔210と等しくしても、上記と同様の効果が得られる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、読み出し回路の規模の増大を抑えて、検出感度及び解像度の低下を防止することのできるマルチスライスX線CT装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるX線CT装置の基本構成を示す図。
【図2】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの構造を示す図。
【図3】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの回路構成を示す図。
【図4】実施例1によるX線CT装置に使用される光電変換基板の構造を示す図。
【図5】実施例1によるX線CT装置に使用される光電変換基板の回路構成を示す図。
【図6】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロック基板の構造を示す図。
【図7】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロック基板の回路構成を示す図。
【図8】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロック基板の多層配線構造を示す図。
【図9】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの作製手順を説明する図。
【図10】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの作製手順を説明する図。
【図11】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの作製手順を説明する図。
【図12】実施例1によるX線CT装置に使用される検出ブロックの作製手順を説明する図。
【図13】本発明の実施例2によるX線CT装置に使用される検出ブロックにおける光電変換基板の回路構成を示す図。
【図14】実施例2によるX線CT装置に使用される検出ブロックにおける検出ブロック基板の回路構成を示す図。
【図15】本発明の実施例3によるX線CT装置に使用される検出ブロックの構成を示す図。
【図16】実施例3によるX線CT装置に使用される光電変換素子基板の構造を示す図。
【図17】実施例3によるX線CT装置に使用される光電変換素子基板の回路構造を示す図。
【図18】実施例3によるX線CT装置に使用されるスイッチングモジュール基板の回路構成を示す図。
【図19】本発明の実施例4によるX線CT装置に使用される検出ブロックにおける光電変換基板の回路構成を示す図。
【図20】実施例4によるX線CT装置に使用される増幅回路とその周辺の回路構成を示す図。
【図21】実施例4によるX線CT装置に使用される検出ブロックにおける検出ブロック基板の回路構成を示す図。
【図22】本発明の実施例5によるX線CT装置に使用される検出ブロックにおける光電変換基板の配置関係を説明する図。
【符号の説明】
10…X線固体検出器,11…X線源,12…寝台天板,13…演算処理装置,14…表示装置,15…制御回路,16…回転体,18…回転方向,20…検出ブロック,21…チャネル方向,22…シンチレータ素子,23…光電変換基板,25…検出ブロック基板,26…スライス方向,27…セパレータ,32…光電変換基板の第1の面(光入射面),33…光電変換基板の第2の面(背面),34…検出ブロック基板の第1の面(上面),35…光電変換素子基板の第2の面(下面),36…スイッチングモジュール基板の第1の面(上面),38…透明電極端子,41…光電変換回路,42…透明電極,43…選択素子,44…選択端子,45…出力端子,46…固定用ネジ穴,52…外部出力端子,53…外部選択端子,54…基準電位入力端子,55…接続用出力端子,56…接続用選択端子,57…接続用基準電位端子,59…光電変換素子,60…信号線,61…選択線,62…信号線,70…出力用配線,71…選択用配線,72…基準電位用配線,90…信号収集回路,91…検出ブロック固定板,92…X線入射方向,140…シリコン基板,141…光電変換基板の投影面,150…溝,160…ドレイン電極,161…ソース電極,162…ゲート電極,163…リセット電力端子,164…増幅回路,165…トランジスタ,166…定電圧入力端子,167…リセット選択端子,168…リセット選択素子,169…リセット選択電極,170…リセット電力電極,171…接続用定電圧入力端子,172…外部定電圧入力端子,173…接続用リセット電力端子,174…外部リセット電力端子,175…接続用リセット選択端子,176…外部リセット選択端子,200…光電変換素子基板,201…スイッチングモジュール基板,202…第2の接続用出力端子,203…第2の接続用出力端子,204…第2の接続用透明電極端子,205…第2の接続用透明電極端子,210…間隔,211…間隔,212…隣接面,213…間隔,220…接合領域,230…上層,231…中層,232…下層,233…絶縁層,S…検査対象物体。
Claims (5)
- 検査対象物体に照射するX線を発生するX線源と、複数の方向から前記検査対象物体に前記X線を照射して前記検査対象物体を透過した透過X線を検出するX線検出器と、前記X線源を前記検査対象物体の周囲で回転させる回転手段と、前記X線検出器の出力信号を収集する信号収集回路と、前記X線検出器及び前記信号収集回路の制御を行なう制御回路と、前記出力信号の演算処理を行ない前記検査対象物体のスライス面の断層像を求める演算処理装置とを具備し、
前記X線検出器は、前記回転の周方向に配置され前記透過X線を検出する複数の検出ブロックにより構成され、前記検出ブロックは、第1の方向及び該第1の方向に直交する第2の方向で相互に分離され前記透過X線を光に変換するシンチレータ素子及び前記光を電気信号に変換する光電変換素子を含む検出素子を具備し、前記検出素子は2次元に複数配置され、2次元に配置された複数の前記光電変換素子が形成された光電変換基板、前記検出素子から前記電気信号の読み出しの切り替えを行う素子選択部を有するスイッチングモジュール基板、及び前記検出素子から前記電気信号を読み出す配線が形成された検出ブロック基板とから構成され、前記シンチレータ素子は前記光電変換基板の第1の面と光学的に接合し、前記光電変換基板の第2の面は前記スイッチングモジュール基板の第1の面と電気的に接合し、前記スイッチングモジュール基板の第2の面は前記検出ブロック基板の第1の面と電気的に接合し、前記検出ブロック基板は、前記電気信号を読み出す前記検出素子を選択する選択信号を前記素子選択部に供給する選択用配線と、前記電気信号を前記信号収集回路に出力する出力用配線とを有し、前記選択用配線及び前記出力用配線は前記第1の面に設けられ、前記出力用配線は前記第1の方向に列をなす前記検出素子に対して共通に形成され、前記選択用配線は前記第2の方向に行をなす前記検出素子に対して共通に形成され、前記制御回路により、前記選択用配線に前記選択信号を入力して、前記電気信号を出力する前記検出素子を前記行毎に選択し、選択する前記行を切り換えて、前記信号収集回路により、前記出力用配線から前記行毎の前記検出素子からの前記電気信号を前記列毎に収集して、前記演算処理装置は、前記信号収集回路により収集された前記出力信号を用いて、複数の前記スライス面の位置での前記断層像を求めることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置において、前記光電変換基板と前記スイッチングモジュール基板の少なくとも一方が複数のサブ基板から構成されてなることを特徴とするX線CT装置。
- 請求項1に記載のX線CT装置において、前記光電変換基板と前記スイッチングモジュール基板の少なくとも一方が前記検出素子毎に前記電気信号を増幅する増幅器を具備することを特徴とするX線CT装置。
- 請求項2に記載のX線CT装置において、前記光電変換基板と前記スイッチングモジュール基板の少なくとも一方が複数のサブ基板から構成され、複数の前記サブ基板にまたがる複数の前記検出素子が、共通の前記信号用配線により電気的に接続されることを特徴とするX線CT装置。
- 請求項2に記載のX線CT装置において、前記光電変換基板と前記スイッチングモジュール基板の少なくとも一方が複数のサブ基板から構成され、前記第1の方向、前記第2の方向の少なくとも一方向において、前記サブ基板の端面と、前記端面に最も近い位置にある前記光電変換素子の端面との距離が、前記サブ基板で隣接する前記光電変換素子の対向する端面の間隔の2分の1以下であることを特徴とするX線CT装置。
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