JP3947059B2 - 逆拡散式ヘリウムリークディテクタの省電力化のための運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆拡散式ヘリウムリークディテクタの省電力化のための運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
逆拡散式ヘリウムリークディテクタは、被試験体の封止検査や密閉検査を行う際に利用されるものである。図1にその一例の基本構成図を示す。装置の中核をなす真空排気系1は、高真空ポンプ1bの吸気口に分析管1aを接続し、排気口にフォアラインバルブ1eを介してフォアポンプ1cを接続したフォアラインを備え、ヘリウムリークテスト時にテストポート1gに接続された被試験体から漏洩したヘリウムを粗引き/テストバルブ1fを介して高真空のフォアラインに導き、ヘリウムを分析管1aで検出するように構成されている。なお、図1において、1dはテストポート1gの圧力を監視する真空計、2は装置に関する情報表示や操作を行うための表示/操作部、3は各部の電源オンオフと入力された信号の演算処理を行う電源/処理部、4はヘリウムイオン電流の増幅を行うDCアンプ、5は高真空ポンプのモータ制御を行う高真空ポンプ電源である。高真空ポンプ1bとしては、例えば、ヘリウム分子が高速回転するロータのタービンブレードから運動量を与えられて排気口へ移動することによってポンプ作用が行われるターボ分子ポンプ(TMP)が使用される。
【0003】
逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法の概略は次の通りである。即ち、初期起動を行ってフォアラインを高真空とする。いったんフォアラインを高真空とした後は、フォアラインを構成する各部に関する電源、即ち、分析管1aのフィラメント、高真空ポンプ1b、フォアラインバルブ1e、フォアポンプ1cの各電源を全てオンにし続け、フォアラインの状態を常に高真空にしておく。ヘリウムリークテスト時には、被試験体をテストポート1gに接続し、フォアラインバルブ1eを閉止してから粗引き/テストバルブ1fを開口して粗引きを行う。そして真空計1dにてテストポート1gの圧力が十分に減圧されていることを確認してからフォアラインバルブ1eを開口する。フォアラインに導かれたヘリウムは、高真空ポンプ1b内を排気口から吸気口に向かって逆拡散し、分析管1aに導かれて検出される。
【0004】
初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後にフォアラインを構成する各部に関する電源を全てオンにし続け、フォアラインの状態を常に高真空にしておくのは、分析管1aを安定した圧力に維持するためである。高真空ポンプ1bを回転し続けた状態でフォアラインバルブ1eを閉止し続けたりフォアポンプ1cの運転を停止し続けたりすると、分析管1aの圧力が上昇する。装置をこのような状態のままにしておくと、ヘリウムの正確な検出ができなくなるばかりでなく、高真空ポンプ1bに負荷がかかってそこに使用されているベアリングなどが損傷することがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォアラインを構成する各部に関する電源を全てオンにし続けることは電力の多大な消費を招いている。例えば、フォアラインバルブは約0.5A、フォアポンプは約5Aの電力を消費する。従って、このような消費電力を削減することができれば、省エネルギー化が叫ばれている時代の要請に応えることができる。
そこで本発明は、逆拡散式ヘリウムリークディテクタの省電力化のための運転方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑みてなされた本発明の逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法は、請求項1記載の通り、高真空ポンプの吸気口に分析管を接続し、排気口にフォアラインバルブを介してフォアポンプを接続したフォアラインを備え、ヘリウムリークテスト時に被試験体から漏洩したヘリウムをフォアラインに導き、ヘリウムを分析管にて検出する逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法であって、初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後のテスト待ち受け時において、フォアラインバルブとフォアポンプについて、ステップ1:フォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止し、ステップ2:ステップ1により分析管の圧力が上昇し、分析管の測定バックグランド値または高真空ポンプのモータの電流値に基づいて設定した圧力上昇限度値に達するとフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口し、ステップ3:ステップ2により分析管の圧力が下降して所定値に達するとフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止するというステップ1〜ステップ3のサイクルを繰り返す間欠運転を行うことでフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の省電力化を行うことを特徴とする。
また、本発明の逆拡散式ヘリウムリークディテクタは、請求項2記載の通り、請求項1記載のフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の省電力化を行うための運転ができることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法は、高真空ポンプの吸気口に分析管を接続し、排気口にフォアラインバルブを介してフォアポンプを接続したフォアラインを備え、ヘリウムリークテスト時に被試験体から漏洩したヘリウムをフォアラインに導き、ヘリウムを分析管にて検出する逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法であって、初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後のテスト待ち受け時において、フォアラインバルブとフォアポンプについて、ステップ1:フォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止し、ステップ2:ステップ1により分析管の圧力が上昇し、分析管の測定バックグランド値または高真空ポンプのモータの電流値に基づいて設定した圧力上昇限度値に達するとフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口し、ステップ3:ステップ2により分析管の圧力が下降して所定値に達するとフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止するというステップ1〜ステップ3のサイクルを繰り返す間欠運転を行うことでフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の省電力化を行うことを特徴とするものである。
【0008】
前述の通り、初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後、高真空ポンプを回転し続けた状態でフォアラインバルブを閉止し続けたりフォアポンプの運転を停止し続けたりすると、分析管の圧力が上昇し、ヘリウムの正確な検出ができなくなるばかりでなく、高真空ポンプに負荷がかかってそこに使用されているベアリングなどが損傷することがあるが、本発明においては、このような事態を招くことのない範囲での分析管の圧力上昇は許容することとし、初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後であっても、ステップ1として、フォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止し、これらに係る消費電力の省電力化を行う。そして、ステップ2として、分析管の圧力が上昇し、分析管の測定バックグランド値または高真空ポンプのモータの電流値に基づいて設定した圧力上昇限度値に達した時点で分析管の圧力を下降せしめるために、フォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する。そして、ステップ3として、分析管の圧力が下降して所定値に達した時点でフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止し、再び、これらに係る消費電力の省電力化を行う。このようなステップ1〜ステップ3のサイクルを繰り返す間欠運転を行うことで、全体としてフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の大幅な省電力化が可能となる。
【0009】
ここで、ステップ2における圧力上昇限度値の設定は、使用される逆拡散式ヘリウムリークディテクタの装置特性などに応じて、分析管の測定バックグランド値または高真空ポンプのモータの電流値に基づいて行われるものである。
【0010】
ステップ2は、ステップ1により分析管の圧力が上昇して圧力上昇限度値に達すると分析管の圧力を下降せしめるためにフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口するものであるが、適切にフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する方法の参考例としては、使用される逆拡散式ヘリウムリークディテクタの装置特性などに基づいて、フォアラインバルブを閉止してから、または、フォアポンプの運転を停止してからどの程度の時間経過後に分析管の圧力が圧力上昇限度値に達するのかを別途知見しておき、間欠タイマーで時間監視を行って分析管の圧力が圧力上昇限度値に達するまでの時間経過後に上記の制御を行う方法が挙げられる。
【0011】
図2は、ステップ2を間欠タイマーで時間監視を行って制御する場合のフォアラインバルブとフォアポンプに係る間欠運転動作フローチャートである。その概略を以下に時間を追って説明する。
ステップ1としてフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止すると(S1,S2)、ステップ2として間欠タイマーが作動する(S3A)。そして、フォアラインバルブを閉止してから、または、フォアポンプの運転を停止してから分析管の圧力が圧力上昇限度値に達するまでの時間が経過した時点でタイムアップとなり(S4A)、フォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する(S5,S8)。なお、フォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口するまでの時間をタイマーで監視し、所定の時間だけフォアラインバルブ下流を粗引きした後にフォアラインバルブを開口するようにすることが装置の損傷を防止する観点から望ましい(S6,S7)。
ステップ2としてフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口した後、ステップ3として、分析管の圧力を下降せしめる時間をタイマーで監視し、分析管の圧力が所定値に達するまでフォアラインの真空排気を行う(S9,S10)。その後、分析管の圧力が所定値に達した時点でフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止する(S1,S2)。
なお、分析管のフィラメントと高真空ポンプを間欠運転動作フローに組み込み、これらについても間欠運転を行うことで、よりいっそうの省電力化を図ることが可能となる。
【0012】
本発明における、ステップ2において、適切にフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する方法は、圧力上昇限度値の設定を分析管の測定バックグランド値に基づいて行う方法である。この方法は、分析管の圧力が上昇すると分析管の測定バックグランド値が上昇する現象を利用したものであり、測定バックグランド値が所定の値となった時点で分析管の圧力の上昇が圧力上昇限度値に達したと判断する方法である。
【0013】
図3は、ステップ2における圧力上昇限度値の設定を分析管の測定バックグランド値に基づいて行う場合のフォアラインバルブとフォアポンプに係る間欠運転動作フローチャートである。ステップ1としてフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止した後(S1,S2)、ステップ2として分析管の測定バックグランド値の監視を行う(S3B)。測定バックグランド値が所定の値となった時点で分析管の圧力の上昇が圧力上昇限度値に達したと判断し(S4B)、フォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する(S5,S8)。その他のフローは図2に示したフローと同じである。
なお、高真空ポンプを間欠運転動作フローに組み込み、高真空ポンプについても間欠運転を行うことで、よりいっそうの省電力化を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明における、ステップ2において、適切にフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する別の方法は、圧力上昇限度値の設定を高真空ポンプのモータの電流値に基づいて行う方法である。この方法は、分析管の圧力が上昇すると高真空ポンプのモータに負荷がかかり、その電流値が上昇する現象を利用したものであり、電流値が所定の値となった時点で分析管の圧力の上昇が圧力上昇限度値に達したと判断する方法である。
【0015】
図4は、ステップ2における圧力上昇限度値の設定を高真空ポンプのモータの電流値に基づいて行う場合のフォアラインバルブとフォアポンプに係る間欠運転動作フローチャートである。ステップ1としてフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止した後(S1,S2)、ステップ2として高真空ポンプのモータの電流値の監視を行う(S3C)。電流値が所定の値となった時点で分析管の圧力の上昇が圧力上昇限度値に達したと判断し(S4C)、フォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口する(S5,S8)。その他のフローは図2に示したフローと同じである。
なお、分析管のフィラメントを間欠運転動作フローに組み込み、分析管のフィラメントについても間欠運転を行うことで、よりいっそうの省電力化を図ることが可能となる。
【0016】
以上のような間欠運転を行っている最中にヘリウムリークテストを行うことになった場合、例えば、間欠運転解除を指令する入力に基づいて間欠運転解除を行ってフォアラインを高真空とする。フォアラインバルブが閉止されている際には、フォアポンプを運転することでフォアラインバルブ下流を十分に粗引きした後にフォアラインバルブを開口してフォアラインを高真空とすることが装置の損傷を防止する観点から望ましい。
【0017】
なお、上記のような間欠運転は自動設定されるものであってもよいし、手動設定されるものであってもよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、逆拡散式ヘリウムリークディテクタの省電力化のための運転方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヘリウムリークディテクタの一例の基本構成図である。
【図2】 時間の監視に基づく間欠運転動作フローチャートである。
【図3】 分析管の測定バックグランド値の監視に基づく間欠運転動作フローチャートである。
【図4】 高真空ポンプのモータの電流値の監視に基づく間欠運転動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 真空排気系
1a 分析管
1b 高真空ポンプ
1c フォアポンプ
1d 真空計
1e フォアラインバルブ
1f 粗引き/テストバルブ
1g テストポート
2 表示/操作部
3 電源/処理部
4 DCアンプ
5 高真空ポンプ電源
Claims (2)
- 高真空ポンプの吸気口に分析管を接続し、排気口にフォアラインバルブを介してフォアポンプを接続したフォアラインを備え、ヘリウムリークテスト時に被試験体から漏洩したヘリウムをフォアラインに導き、ヘリウムを分析管にて検出する逆拡散式ヘリウムリークディテクタの運転方法であって、初期起動を行ってフォアラインを高真空とした後のテスト待ち受け時において、フォアラインバルブとフォアポンプについて、ステップ1:フォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止し、ステップ2:ステップ1により分析管の圧力が上昇し、分析管の測定バックグランド値または高真空ポンプのモータの電流値に基づいて設定した圧力上昇限度値に達するとフォアポンプの運転を再開してからフォアラインバルブを開口し、ステップ3:ステップ2により分析管の圧力が下降して所定値に達するとフォアラインバルブを閉止してからフォアポンプの運転を停止するというステップ1〜ステップ3のサイクルを繰り返す間欠運転を行うことでフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の省電力化を行うことを特徴とする運転方法。
- 請求項1記載のフォアラインバルブとフォアポンプに係る消費電力の省電力化を行うための運転ができることを特徴とする逆拡散式ヘリウムリークディテクタ。
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