JP3943193B2 - マイクロ波回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板上にマイクロ波回路が組付けられ、その基板を金属ケース内に収納固定したマイクロ波回路装置に属する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波回路装置を基板上に形成する場合は、上面に素子を組付けて回路形成し、下面を接地面とする方法がその特性を良好とするため通常採用されており、マイクロ波回路部からの発生する電界が外部に漏れないようにシールドするためにその基板を金属ケース内に収納し密閉する構成をとっている。
【0003】
しかし、マイクロ波回路は単に電界の飛び出しを生ずる以外に、導波管モード等の発振を生じたり、マイクロ波帯の高周波域では接地パターンによる接続のみでは良好な接地特性が得られなかったりするため、基板上のマイクロ波回路部のみにシールド体を設けて上記特性の改善を図っている。
このシールド体として基板上の所定場所に金属カバーを設け、金属カバーの当接する基板上には接地パターンを形成し、金属カバーが良好な接地導体となるようにして金属カバーの上からボルト等のネジ締め手段により基板を金属ケースに固定している。
【0004】
このように、金属カバーと基板と金属ケースとを一体に締付けることで、基板上下面に形成された接地パターンや接地導体が確実に金属カバーや金属ケースと導通し、マイクロ波帯に於いてシールド性や接地特性を向上させている。
また、金属カバーと基板との当接部は、適宜スルーホールにより基板下面の接地導体との導通が図られ、良好な接地特性を確保するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
衛生放送を受信するコンバータ等は小型軽量化が要求されるため、内部のマイクロ波回路を組付けた誘電体基板は、誘電体損失が小さいものがその特性を劣化させずにストリップ線路等を細線化して小型化をし易いために使われている。このような基板としては、例えばテフロン(登録商標)から成る基板がその特性に優れているため、使用されている。
【0006】
しかし、このような誘電体損失の小さい材質からなる基板は、上記構成により金属カバー上から金属ケースにねじ締め等により密着固定される場合、強く締め過ぎたりすると、基板が変形したり、初期の段階では問題が無くとも、ねじ締めの過応力により変形して部分的な接触不良を生ずることがあり、発振や局部周波数のズレを生ずることがあった。
また、ガラスエポキシ樹脂系の基板を使用した場合は、ねじ締めが強過ぎると基板が割れてしまい特性不良を生じることもあった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みなされたもので、基板を金属カバー等により圧接して金属ケースに固定する際に、ボルトの締め圧が変化しても基板に必要以上の応力がかからず、長期に渡り良好な特性を維持できるマイクロ波回路装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の発明によるマイクロ波回路装置は、マイクロ波回路を組付けて裏面に接地導体を設けた誘電体基板と、前記接地導体を内部に形成した載置部に接触させて前記基板を収納する金属ケースと、天板と側壁とを有し前記基板のマイクロ波回路部を覆うように基板上に配置する金属カバーとからなるマイクロ波回路装置であって、前記載置部を前記側壁の基板当接面に対向する位置に設けると共に、前記載置部又は側壁の基板当接面の少なくとも一方に基板厚よりわずかに低い高さの突起を複数設け、前記側壁の適宜箇所に、金属カバーと基板と金属ケースとを密着固定するボルトを挿通するボルト挿通孔を設けると共に、基板の対応する夫々の位置には前記ボルトを挿通するボルト挿通孔と突起を挿通する突起挿通孔とを形成し、前記載置部に前記ボルトを螺着するネジ穴を設けて構成される。
【0009】
請求項2の発明によるマイクロ波回路装置は、前記突起を前記金属カバーの基板当接面に形成し、金属ケースの載置部を平坦として構成される。
【0010】
請求項3の発明によるマイクロ波回路装置は、前記基板に設けた前記突起を挿通する突起挿通孔がスルーホールであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るマイクロ波回路装置を具体化した実施の形態の1例を図面を基に詳細に説明する。
図1は衛生放送信号を受信するマイクロ波回路装置であるコンバータの主要部の分解斜視図を示すもので、1はホーンを有した金属製の箱体であるコンバータの本体、2はマイクロ波回路が組付けられ、本体1内に収納固定される誘電体基板、3は基板上のマイクロ波回路部をシールドするための金属カバーである。
【0012】
本体1は、表側に円錐形のホーン11を有し、そのホーンに連続して導波管12が内側に向けて貫通形成されている。また、13は同軸ケーブル接続端子、14は本体取付部である。本体1の内部は、基板2を載置し、基板下面の接地導体部を確実に本体と導通させるための載置部15が帯状に形成され、その載置部15の上部は平坦な基板当て部15aが形成されている。また、16はねじ穴であり、17は本体1の開口部を蓋体(図示せず)により密閉する際に使用するパッキン取り付け溝である。尚、このパッキンは導電性のものとすると良い。
【0013】
基板2は中央部に電波取入口21が形成され、22は電波を取り入れるプローブである。そして電波取入口21は接地パターン23により囲まれ、その周囲には周波数変換回路、増幅回路等のマイクロ波回路や、電源回路等の周辺回路が配置され、下面は電波取入口21以外はほぼ全面接地導体で覆われている。また、接地パターン23はマイクロ波回路部を囲むように形成され、26はボルト挿通孔、27は下面の接地導体と上面の接地パターンとを導通させているスルーホールであり、28は半導体素子、29は誘電体共振器である。
そして、25は後述する金属カバー3に形成された突起を挿通する突起挿通孔であり、突起の位置にあわせ適宜箇所に設けられている。
【0014】
金属カバー3は、基板2上に組付けられたマイクロ波回路部を覆い、電磁波シールド特性や高周波域での接地特性を良好とするためのもので、周囲及び内部所定位置に側壁であるシールド壁36が形成され、上部は天板3aで覆われている。また、基板2上のシールド壁36当接部位は接地パターン23が形成され、金属カバー3が良好な接地導体となり、シールドするように構成されている。尚、33は導波管短絡部、35はボルト39を挿通するボルト挿通孔であり、金属カバー3は本体1と共に亜鉛合金やアルミ合金のダイカスト等の導電性の良い金属で成形すると良い。
【0015】
図2は、図1のA部拡大図で、シールド壁36の先端の基板当接面34の形状を示し、図3はシールド壁と基板と本体当て部との関係を示している。
図示するように、当接面34と本体側当て部15aは相対する位置に形成され、基板2がボルト39による固定部以外でも、金属カバー3と本体1側の載置部15とにより圧接され双方に密着するよう構成されている。
【0016】
そして、当接面34には突起31が適宜間隔をもって複数個形成されている。この突起34は基板2の厚みより僅かに低い高さで形成され、金属ケース3を基板2上に載置して、ボルト39により本体1に螺着固定して基板2を圧接しても、突起31が当て部15aに当接して基板2には必要以上の応力が加わらないように作用し、更には基板全体に加わる応力が均一となるようにしているもので、図3の断面説明図において各寸法を具体的に示すと、例えばテフロン基板の厚みb=0.6mmとした場合、突起31の高さh=0.45mmとすると、基板は0.45mm以下の厚みにはならず、必要以上の応力が加わることが無い。
【0017】
尚、突起31或いは基板2に形成した突起挿通孔25の形状は、この実施の形態では例えば突起31を直径a=0.9mmの円形として、突起挿通孔25を直径c=1.0mmの円形としているが、突起31は四角形であっても、長円形であっても良く、挿通孔25はそれに合わせて変更すれば良い。
また、基板2が他の材質より成るものを使用する場合は、その材質に合わせて適切な突起31の高さを決めれば良い。また図3に於て、突起挿通孔25は、上面の接地パターン23と下面の接地導体24とを導通するスルーホール25aとしてあり、こうすることで更に接地,シールド効果を向上させることができる。また、突起31はボルト挿通孔35の近傍にのみ設けても効果的である。
【0018】
このように突起を設けることで、ボルト締め圧が不安定であって、必要以上の締め圧により応力が基板に加わろうとしても、突起31が本体側の当て部15aに当接して、その高さ以下には基板が圧接されなくなるため、応力はそれ以上基板に加わることが無い。また、突起31を設けた各場所が同様に一定応力により規定されるため、基板全体を一定の圧力で締付けることができるため、長期にわたり良好な特性を維持することができる。
【0019】
また、当接面34には突起31以外に図2、図3に示すような圧接用突部32を設けても良い。この圧接用突部32は基板2上の接地パターンと金属ケース3、基板2下面の接地導体と本体1とを確実に導通させるためのもので、例えば当接面34の中央に当接面の長手と平行に長円形状に設け、高さを0.1mm、幅を0.3mmとすると効果的である。ただし、この高さ等も基板2の種類により適宜変更されるものである。
【0020】
尚、基板2の金属カバー3の当接部には前記シールド壁36の形状に合わせて接地パターンを形成すれば金属ケース3の接地効果は十分発揮されるが、シールド壁36が回路パターンと交叉する場合はシールド壁36に凹部を設けて接触を避ければ良いし、基板上にランドのみ形成し、下面の接地導体とスルーホールにより連結して接地を図っても良い。
また、突起は金属ケース側のみに設ける必要は無く、本体側に設けても良いし、同一位置とならないように双方に設けても良い。このことは圧接用突部に関しても言えるである。
【0021】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2の発明によれば、ボルト締め圧が変化しても、基板に必要以上の応力が加わらないため、長期に渡り基板が変形することが無く、良好な特性を維持できる。
【0022】
請求項3の発明によれば、請求項1,2の効果に加え、さらに接地,シールド効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波回路装置の実施の形態の1例を示すコンバータの分解斜視図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】シールド壁と基板と本体当て部との関係を示す断面説明図で、(a)はシールド壁の幅方向の断面説明図であり、(b)はシールド壁の長手方向の断面説明図である。
【符号の説明】
1・・本体、2・・基板(誘電体基板)、3・・金属カバー、3a・・天板、15・・載置部、15a・・当て部、16・・ねじ孔、23・・接地パターン、24・・接地導体、25・・突起挿通孔、25a・・スルーホール、26・・ボルト挿通孔、31・・突起、34・・当接面、35・・ボルト挿通孔、36・・シールド壁、39・・ボルト。
Claims (3)
- マイクロ波回路を組付けて裏面に接地導体を設けた誘電体基板と、前記接地導体を内部に形成した載置部に接触させて前記基板を収納する金属ケースと、天板と側壁とを有し前記基板のマイクロ波回路部を覆うように基板上に配置する金属カバーとからなるマイクロ波回路装置であって、前記載置部を前記側壁の基板当接面に対向する位置に設けると共に、前記載置部又は側壁の基板当接面の少なくとも一方に基板厚よりわずかに低い高さの突起を複数設け、前記側壁の適宜箇所に、金属カバーと基板と金属ケースとを密着固定するボルトを挿通するボルト挿通孔を設けると共に、基板の対応する夫々の位置には前記ボルトを挿通するボルト挿通孔と突起を挿通する突起挿通孔とを形成し、前記載置部に前記ボルトを螺着するネジ穴を設けたマイクロ波回路装置。
- 前記突起を前記金属カバーの基板当接面に形成し、金属ケースの載置部は平坦である請求項1に記載のマイクロ波回路装置。
- 前記基板に設けた前記突起を挿通する突起挿通孔がスルーホールである請求項1或いは請求項2に記載のマイクロ波回路装置。
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