JP3942287B2 - 含気チョコレート類及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイップ済みの水中油型(O/W)乳化クリーム類を含有した、新規な風味及び食感を有する含気チョコレート類に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
チョコレート類の食感に変化を持たせ、今までにないチョコレートを提供しようという試みは数多くなされてきており、使用する油脂の融点を調整したり、また、異なった融点の油脂を使用したチョコレートを組み合わせたり、含気させたり、或いはチョコレートに水性成分を添加したりすることが知られている。
その中で、チョコレート類の食感を軽くする為の手段として、チョコレート類に含気させる技術が確立されてきており、例えば、特公平04−19821号、特開平02−200149号、特開平03−201946号及び特開平06−62742号の各公報等に上記技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、これらの試みは全てチョコレート類中の油脂結晶の連続相中に含気させることを目的とするものであり、その特徴は油脂の結晶構造の調整方法であったり、装置を含む含気させる方法に関するものであり、工程が複雑である。
【0004】
従って、本発明の目的は、複雑な工程によらず、今までにない風味や食感の含気チョコレート類を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討した結果、チョコレート類に特定のクリーム類を添加、混合することにより、上記目的を達成する含気チョコレート類が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、チョコレート生地100重量部に対して、O/W乳化クリーム類をホイップ後にゲル化剤を添加したホイップ済みのO/W乳化クリーム類を1〜70重量部含有することを特徴とする含気チョコレート類を提供するものである。
また、本発明は、上記含気チョコレート類の製造方法として、O/W乳化クリーム類をホイップし、これにゲル化剤を添加したホイップ済みのO/W乳化クリーム類1〜70重量部をチョコレート生地100重量部に添加、混合し、混合物を成形、冷却することを特徴とする含気チョコレート類の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の含気チョコレート類及びその製造方法について詳述する。
本発明においてチョコレート類とは、油脂類と糖類を必須成分とし、必要によりカカオマスやココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法によりロール掛け及びコンチング処理して得たものを意味する。
【0008】
上記油脂類としては、カカオバター、その他の動植物性油脂及びこれらの分別油、硬化油、エステル交換油等を単独でもしくは混合して使用するもので、ノンテンパリング型、テンパリング型いずれでもかまわない。油脂類の使用量としては、好ましくは20〜80重量%(以下、%と略記する)、さらに好ましくは30〜60%である。
【0009】
上記糖類としては、砂糖、果糖、ブドウ糖等の各種糖類及び各種糖アルコール等、通常食用に使用される糖類であればいずれでも良く、それらを単独でもしくは併用して使用する。糖類の使用量としては、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜50%である。
【0010】
上記各種粉末食品としては、例えば、ココアパウダー、粉乳、果実粉末、果汁粉末、生クリーム粉末、チーズ粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト粉末等が挙げられる。各種粉末食品の使用量としては、好ましくは0.5〜60%、さらに好ましくは1〜50%である。
【0011】
上記乳化剤としては、特に限定されないが、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的でレシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を添加する場合がある。乳化剤の使用量としては、好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
【0012】
また、本発明に使用するO/W乳化クリーム類としては、フレッシュクリーム等の天然クリーム類及び牛乳等のほかに、動植物性油脂等を使用したクリーム類、フラワーペースト類、濃縮乳等が例示できる。また、これらは単独使用しても2種以上を併用しても良い。
さらに、上記O/W乳化クリーム類には、チョコレート類、各種粉末食品、果汁、濃縮果汁、各種フルーツ類及びそのペースト、ジャム、練乳、ゼラチンやペクチン等の各種ゲル化剤、各種液糖、各種香料等から選ばれる1種または2種以上を添加して風味や食感に特徴付けを行っても良い。
【0013】
上記O/W乳化クリーム類の含気方法は、特に限定されるものではなく、ホイッパーや、連続ミキサー、プレッシャーミキサー等の各種ホイッピングマシーンを使用して、オーバーランが好ましくは30〜250、さらに好ましくは50〜200となるように含気させる。オーバーランが30よりも小さいとO/W乳化クリーム類を使用して製造した含気チョコレートの特徴である食感の軽さがでないので好ましくなく、オーバーランが250よりも大きくするのは実質上困難であり、またオーバーランを大きくすると脱泡しやすく作業性が悪くなるので好ましくない。このオーバーランとは下記〔数1〕に示す式により得られた値である。
【0014】
【数1】
Figure 0003942287
【0015】
上記ホイップ済みのO/W乳化クリーム類の含有量(使用量)は、特に限定されるものではないが、好ましくはチョコレート生地100重量部(以下、部と略記する)に対して1〜70部、さらに好ましくは10〜50部である。
【0016】
次に、本発明の含気チョコレート類の一般的製法を以下に示す。
まず、常法に従ってロール掛け及びコンチング処理して得たチョコレート生地を加温溶解し、これに、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的でレシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等を添加する。
一方、O/W乳化クリーム類は、連続ミキサー等でホイップするが、その際必要に応じて風味や食感の特徴付けを行う。
チョコレート類に使用する油脂としてノンテンパリング型のものを使用する場合は、チョコレート生地にホイップ済みのO/W乳化クリーム類を適量添加、混合し、混合物をそのまま成形、冷却すれば良い。また、テンパリング型の油脂を使用する場合は、必要に応じて予めテンパリング処理を行ったチョコレート生地を使用して、ホイップ済みのO/W乳化クリーム類を適量添加、混合し、混合物を成形、冷却する。
【0017】
このようにして得られた本発明の含気チョコレート類は、そのまま食することも可能であるし、菓子類に使用でき、例えばケーキ類、ビスケット類にサンドしたり、ケーキ類、ビスケット類、冷菓等にコーティングしたり、ケーキ類、シュー等に充填したりすることができる。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0020】
(実施例−2)
砂糖35部、全脂粉乳10部、融点28℃の植物性油脂55部及びレシチン0.5部からなる配合にて、常法に従いチョコレート生地を得た。
また、フレッシュクリーム74部及び砂糖5部を混合し、ホイッパーを使用してホイップし、オーバーラン100のホイップ済みのO/Wクリーム類を得た。一方、液糖15部、ストロベリー濃縮果汁5部及びゼラチン1部を混合して60℃に加熱攪拌後35℃に冷却し、これを上記ホイップ済みのO/Wクリーム類に添加攪拌、冷却して、ムース状のホイップ済みO/W乳化クリーム類を得た。
調温した上記チョコレート生地70部に対し、上記ムース状のホイップ済みのO/Wクリーム類30部を添加、混合し、混合物を固化させて、含気チョコレート類を得た。この含気チョコレート類は、軽くてみずみずしく、滑らかな今までにない食感及び風味のチョコレートであった。
【0021】
【発明の効果】
本発明の含気チョコレート類は、今までにない風味や食感を有するものである。
また、本発明の含気チョコレート類の製造方法によれば、複雑な工程によらず、今までにない風味や食感を有する上記の本発明の含気チョコレート類が得られる。

Claims (4)

  1. チョコレート生地100重量部に対して、水中油型乳化クリーム類をホイップ後にゲル化剤を添加したホイップ済みの水中油型乳化クリーム類を1〜70重量部含有することを特徴とする含気チョコレート類。
  2. ホイップ済みの水中油型乳化クリーム類が、オーバーラン30〜250のものである請求項1記載の含気チョコレート類。
  3. 請求項1記載の含気チョコレート類を製造する方法であって、水中油型乳化クリーム類をホイップし、これにゲル化剤を添加したホイップ済みの水中油型乳化クリーム類1〜70重量部をチョコレート生地100重量部に添加、混合し、混合物を成形、冷却することを特徴とする含気チョコレート類の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の含気チョコレート類を使用した菓子類。
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