JP3663986B2 - 含水チョコレート類の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水チョコレート類の製造法、詳しくは水分を含んでも固形分の凝集による粘度上昇やザラツキがなく、作業性が良好で、且つ剥離性、口どけ等の食感が良好なチョコレートが得られる含水チョコレート類の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、チョコレートとクリーム類とを混合して製造するガナッシュがあり、高級洋菓子素材に使用される。しかしこのガナッシュは、柔らかく口どけは良好であるが、剥離性が悪く、モールドなどの成型用には難しく、またコーティング材として使用した場合、固化速度が遅く、包装紙にべたつく等の問題があった。
【0003】
他方油中水型の含水チョコレート類の製造法には、水分の添加方法としてW/O型エマルジョンを添加する方法(特開昭60−27339号公報)やO/W型エマルジョンを添加する方法(特開平3−228647号公報)が知られている。また含水チョコレート中の水分量が低いもの(特開平3−53847号公報)から高いもの(特開平9−140332号公報)まで種々のものが知られている。
【0004】
上記のW/O型エマルジョンやO/W型エマルジョンを添加することにより得られた従来の油中水型の含水チョコレートは、チョコレート生地に水性成分を混合して得られ口どけは良好であるが、剥離機能は高くなく、しばしばモールドなどの成型を行う際に、剥離が困難な場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水分を含んだ口どけの良い含水チョコレートでありながら、通常のチョコレートと同様にテンパリングやモールド等の成型作業が出来る風味、食感の優れた含水チョコレート類の製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、HLBが1〜3のショ糖脂肪酸エステルである親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)100重量%に対して、水親和性物質を含む水が連続相であるエマルジョン(B)を、30〜100重量%添加することを特徴とするモールド成型、又は包装紙で包装する含水チョコレート類(C)の製造法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
チョコレート生地(A)は、カカオマス、ココアパウダー、油脂等を任意の割合で混合して、ロール掛け、コンチング処理して得たもので、油脂にはカカオ脂及びその他の動植物油脂、テンパリング型またはノンテンパリング型のいずれの油脂を使用してもよい。又、市販のブラックチョコレート、スィートチョコレートあるいはミルクチョコレート等を融解して使用してもよい。
【0008】
また、油脂、乳製品、糖類を主成分とし、カカオマス、ココアパウダーを使用しないホワイトチョコレートの生地を調製使用してもよい。
【0009】
チョコレート生地(A)には、親油性乳化剤が含まれるべきで、HLBは1〜3のショ糖脂肪酸エステルがよく、特にショ糖と脂肪酸のエステル置換度の平均が4〜5で、構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸又はエルカ酸である不飽和脂肪酸も有効である。親油性乳化剤として他に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルやレシチンと併用することが出来る。このポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、平均重合度4〜10のグリセリンと縮合度が3〜6のリシノレイン酸とのエステルが使用できる。親油性乳化剤の含水チョコレート(C)全体に対する割合は、0.05〜5重量%好ましくは0.1〜1.5重量%がよく、0.05重量%より少なくなると、含水チョコレートにボテが生じる。反対に、5重量%を超えると風味が悪くなる。
上記HLB1〜3のショ糖脂肪酸エステルは、エマルジョン(B)には含まれないのがよく、エマルジョン(B)に含まれるとエマルジョン(B)の連続相が水であるのを妨げる。
【0010】
本発明の製造法でいう水親和性物質は水溶性物質または吸水性物質等水に親和性を示すものであれば特に制限はないが、典型的にはチョコレート類の非脂成分、例えばココアパウダー、調整ココアパウダー等のカカオ分、糖類、乳固形分が挙げられる。糖類は、通常チョコレートに使用する糖であればよい。水への溶解度が高い蔗糖、果糖、還元乳糖、オリゴ糖等がより適している。
【0011】
又、その他の水親和性物質としては、天然のクリーム類あるいは牛乳等の他に従来種々開発されてきた動植物性油脂等を使用したクリーム類、濃縮乳あるいは各種フルーツ類、果汁、ジャム、チーズ類、ナッツペースト類、天然蜂蜜、飴、コーヒー、紅茶等の非脂固形分、例えば、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、フルーツ粉末、果汁粉末等も例示できる。
【0012】
水が連続相であるエマルジョン(B)は、どのような調製法で得てもよいが、水中油型のクリーム類(生クリームまたはノンデーリークリーム)と溶融チョコレートを混合したものを好適に用いることが出来る。水親和性物質が、水が連続相であるエマルジョン(B)中に、10〜50重量%であることが必要である。水親和性物質が10%未満では含水チョコレート(C)の剥離性が悪くなる。逆に、水親和性物質が50%を超えると粘度が上昇し作業性が悪くなる。
【0013】
水親和性物質を含む水が連続相であるエマルジョン(B)を、親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)に対して、20〜100重量%添加することにより、好ましくは、30〜70重量%添加することにより、O/W/O型の全体として水が非連続である含水チョコレート(C)が得られる。水親和性物質を含む水が連続相であるエマルジョン(B)の添加量が20重量%より少なくなると含水チョコレート(C)にみずみずしい食感が得られなくなる。逆に、このエマルジョン(B)の添加量が100重量%を超えると含水チョコレート(C)に分離が生じ、流動性がなくなり、ザラツキが出てきて、剥離性が悪くなる。
【0014】
本発明の製造法でいう含水チョコレート類(C)を調製する方法としては、親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)を加温融解し、エマルジョン(B)を加え均一になるように混合してO/W/O型の全体として水が非連続である含水チョコレート(C)が得られる。加えるエマルジョン(B)は、エマルジョン(B)を調製した後の温度の高いものから、冷蔵で保存した温度の低いものまで広い範囲で使用できる。又、親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)がテンパリング型チョコレートの場合は、含水チョコレート(C)にシード剤を加えることによってテンパリングを行なってもよい。親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)がノンテンパリング型チョコレートの場合は、含水チョコレート(C)をそのまま冷却して得られる。本発明の含水チョコレートは、水分を含んだ口どけの良い含水チョコレートでありながら、通常のチョコレートと同様にテンパリングやモールド等の成型作業が出来る風味、食感の優れた含水チョコレートである。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0016】
実施例1
油分44.0%のスィートチョコレート40部(水親和性物質56.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)40部と洋酒(固形分2.0%)20部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は24.8%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート30部を45℃に加温した配合1のチョコレート70部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
Figure 0003663986
【0017】
実施例2
油分33.0%のスィートチョコレート50部(水親和性物質67.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)29部と水14部と洋酒(固形分2.0%)7部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は35.1%)を得た。40℃の水中油型の含水チョコレート34部を45℃に加温した配合1のチョコレート66部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
【0018】
実施例3
油分33.0%のスィートチョコレート65部(水親和性物質67.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)21部と水9部と洋酒(固形分2.0%)5部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は44.7%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート34部を45℃に加温した配合1のチョコレート66部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
【0019】
実施例4
油分33.0%のスィートチョコレート65部(水親和性物質67.0%)とオレンジジュース(固形分5.5%)16部と水11部と洋酒(固形分2.0%)8部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は44.6%)を得た。50℃の水中油型の含水チョコレート49部を45℃に加温した配合1のチョコレート51部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
【0020】
実施例5
油分33.0%のスィートチョコレート65部(水親和性物質67.0%)とオレンジジュース(固形分5.5%)16部と水11部と洋酒(固形分2.0%)8部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は44.6%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート49部を45℃に加温した配合2のチョコレート51部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
Figure 0003663986
【0021】
実施例6
油分33.0%のスィートチョコレート65部(水親和性物質67.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)21部と水9部と洋酒(固形分2.0%)5部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は44.7%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート49部を45℃に加温した配合2のチョコレート51部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
【0022】
実施例7
油分44.0%のスィートチョコレート40部(水親和性物質56.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)40部と洋酒(固形分2.0%)20部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は24.8%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート30部を45℃に加温した配合3のチョコレート70部に均一になるように混合し全体として水が非連続である含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを40℃まで冷却しモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。この含水チョコレートは、なめらかで、食感が柔らかく、口どけも良好であった。通電性を調べると通電しなかった。
Figure 0003663986
【0023】
比較例1
油分44.0%のスィートチョコレート40部(水親和性物質56.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)40部と洋酒(固形分2.0%)20部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は24.8%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート15部を45℃に加温した配合1のチョコレート85部に均一になるように混合し含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きを行ない1個4gの含水チョコレートを得た。剥離性は良好であった。しかしながら、この含水チョコレートは、みずみずしい食感が得られなかった。
【0024】
比較例2
油分44.0%のスィートチョコレート40部(水親和性物質56.0%)と生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)40部と洋酒(固形分2.0%)20部を70℃にて混合、溶解し、攪拌混合して70℃の水中油型の含水チョコレート(水親和性物質は24.8%)を得た。20℃に冷却した水中油型の含水チョコレート65部を45℃に加温した配合1のチョコレート35部に均一になるように混合し含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリング操作を行なった。このチョコレートは、流動性がなく、ザラツキがあって、剥離性が非常に悪かった。食感は柔らかく、口どけも良好であった。
【0025】
比較例3
実施例1と配合1のチョコレート配合中、親油性乳化剤を使用しない以外同様な操作を行なった。このチョコレートは、流動性がなく、ザラツキがあって、剥離性が非常に悪かった。食感は柔らかく、口どけも良好であった。
【0026】
比較例4
45℃に加温した配合1のチョコレート70部に、20℃の生クリーム(油分45.0%、水分50.0%)30部を均一になるように混合し油中水型の含水チョコレートを得た。この含水チョコレートを29℃まで冷却し、シード剤(不二製油(株)製/「チョコシードA」商品名)を含水チョコレート全体に対して0.2%加えてテンパリングを行なった。得られたチョコレートをモールドに流し、5℃で30分間静置した。モールドから型抜きをしようとしたが剥離性が悪かった。この含水チョコレートは、食感が柔らかく、口どけも良好であった。
【0027】
【発明の効果】
水分を含んだ口どけの良い含水チョコレートでありながら、通常のチョコレートと同様にテンパリングやモールド等の成型作業が出来る風味、食感の優れた含水チョコレート類の製造法を提供できるようになった。

Claims (3)

  1. HLBが1〜3のショ糖脂肪酸エステルである親油性乳化剤を使用したチョコレート生地(A)100重量%に対して、水親和性物質を含む水が連続相であるエマルジョン(B)を、30〜100重量%添加することを特徴とするモールド成型、又は包装紙で包装する含水チョコレート類(C)の製造法。
  2. 水親和性物質が、エマルジョン(B)中に、10〜50重量%含まれる、請求項1記載の含水チョコレート類(C)の製造法。
  3. 親油性乳化剤の含水チョコレート(C)全体に対する割合が、0.05〜5重量%である、請求項1又は請求項2記載の含水チョコレート類(C)の製造法。
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