JP3936177B2 - 破風化粧板の取り付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根の妻側端部であるケラバに取り付けて破風を構成する破風化粧板の取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
家屋の切妻屋根廻りの造作において、妻側端部を装飾するため、ケラバに沿って破風形の化粧板を取り付けることがある。従来、破風化粧板の取り付けは、図5(A)に示されるように、先ず破風化粧板51の上部をケラバ52を構成する屋根端部の側板53にネジやビスなどの固着具54で固定し、次いで破風化粧板51の下部をケラバ52の下方の外壁55に同じく固着具54で固定して行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
破風化粧板51の取り付けは、破風化粧板51を屋根端部に被さるように取り付け位置を合わせて支持しながら、或いは仮止めした状態で行われるが、破風化粧板51の上部を固定した場合に、図5(B)に示されるように、破風化粧板51の下部が外方に反り、家屋の外壁55から浮き上がってしまうことがあった。この場合、浮き上がった破風化粧板51の下部を外壁55側に押さえつつ再度取り付け位置を合わせて固着具54を打ち込まねばならず、取り付け作業に手間を要していた。
【0004】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、破風化粧板の取り付けを迅速且つ正確に行えるようにし、家屋建築工事の施工性の向上を図ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明では、ケラバ下方の壁面が屋根端部の側板端面よりも屋内側の位置に設けられた家屋の屋根に破風化粧板を取り付ける構造において、
前記ケラバ下方の壁面として設置された不燃材からなる仕切板とその下側で上端を仕切板の下端に段違いに接合させて設置された外壁板に、
前記壁面に接合する基部の上端部に当該端部から側方へ垂直に折れ曲がって突出していて先端を下方へ折れた垂下片とした受け部を設け、基部の下端部に当該端部から側方へ段状に折れ曲がり且つ先端を適宜な長さ垂下させてなる被覆面部を設けて形成された破風受板を、
前記仕切板に基部、その下側で段違いに接合した仕切板と外壁板の取り合い部に被覆面部をそれぞれ接合させて基部に固着具を打ち込んで固定し、
破風化粧板の下端部に設けた裏面側上方へ折れた折れ部を破風受板の垂下片に係合させ、前記折れ部よりも先端側で側方へ突出させて設けた突片部を破風受板の受部の下面に重合させた状態で前記側板に破風化粧板の上部を固定し、前記重合部分を固着具で止着して破風化粧板の下部を破風受板に一体に固定することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記ケラバ下方の壁面として設置された不燃材からなる仕切板に、前記壁面に接合する基部の下端部に当該端部から側方へ垂直に折れ曲がって突出していて先端を下方へ折れた垂下片とした受け部を設けて形成された破風受板を、基部を接合させて固着具で固定し、
破風化粧板の下端部に設けた裏面側上方へ折れた折れ部を破風受板の垂下片に係合させ、前記折れ部よりも先端側で側方へ突出した突片部を破風受板の受部の下面に重合させた状態で前記側板に破風化粧板の上部を固定し、前記重合部分を固着具で止着して破風化粧板の下部を破風受板に一体に固定し、
その後、仕切板に重ねてケラバ下方の壁面に設置される外壁板の上部を、仕切板と破風化粧板の折れ部との間隙に装着して固定することを特徴とする。
【0007】
これによれば、破風化粧板の取り付けは、破風化粧板を取り付け位置に支持し、或いは仮止めするとともにその下端部を破風受板の受部下面に重合させ、その状態で破風化粧板の上部をケラバ側板に固定し、次いで重合部分をビスなどで一体に止着し、破風化粧板の下部を破風受板に連結することにより行われる。破風化粧板の上部を固定する際に破風化粧板の下部が反り返っても、受部下面に重合した破風化粧板の下端部が受部の係合部に係合して重合位置に保持されるため、破風受板から離脱して外壁から浮き上がるようなことはなく、当初位置合わせした取り付け位置に破風化粧板を迅速且つ正確に取り付けることができ、また、見切り材を用いることなく外壁上端部が納まり、使用部材及び作業工数の削減が図れて施工性が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例の破風化粧板の取り付け構造を示す屋根端部の断面図、図2は破風化粧板の要部外観図、図3は破風受板の要部外観図、図4は本発明の他の実施例の破風化粧板の取り付け構造を示す屋根端部の断面図である。
【0009】
図1は、外壁の取り合い部が破風受板の基部で覆われるように構成された実施例を示し、図中、符号1は破風化粧板、2は破風受板、3はネジやビスなどの固着具、4はケラバ、5はケラバを構成する屋根端部の側板、6は不燃材からなる仕切板、7は外壁板、8はケラバ化粧板をそれぞれ示している。図示した家屋の屋根は、ケラバ4の下方の壁面が、側板5の端面よりも屋内側の位置に設置したものとなっている。
【0010】
破風化粧板1は、例えば表面を塩化ビニル樹脂膜で被覆した鋼板などの金属板を用い、板金加工により、側板5を被覆する幅及び長さを有してL字形の断面形状に形成されている。
詳しくは、図2に示されるように、破風化粧板1は、側板5の表面とその下部を覆う被覆面部1aの下部に、端部を裏面側上方へU字状に折り返した折れ部1bとその縁部を側方へ垂直に突出させた突片部1cを設けて形成されている。
【0011】
破風受板2は、破風化粧板1と同様に金属板を用い、図3に示されるように、家屋の壁面に接合する基部2aと、基部2aの上端部を基部に対して垂直に折り曲げて側方に突出させるとともに先端に下方へ折れた係合部としての垂下片2cを設けてなる受部2bと、基部2aの下端部を後述する仕切板6と外壁板7の取り合い部に接合し得るように段状に折り曲げるとともに端部を適宜な長さ垂下させてなる被覆面部2dとを有して、破風化粧板1と略同じ長さに形成されている。
【0012】
図示された家屋の屋根端部は、ケラバ4の下方の壁面として、不燃材からなる仕切板6を設置して防火構造としてあり、仕切板6の下部に仕切板6よりも厚みのある外壁板7を設置してある。
【0013】
本実施例ではこれらの部材を用い、以下の手順で破風化粧板が取り付けられる。
先ず、ケラバ4の下方の壁面に破風受板2を取り付ける。破風受板2の取り付けは、仕切板6と外壁板7が段違いに接合する取り合い部に被覆面部2dを重ね、仕切板6に接合させた基部2aに固着具3を打ち込んで行う。
次に、ケラバ4の取り付け位置に破風化粧板1を仮止めする。このとき、破風化粧板1の突片部1cを破風受板2の受部2bの下面に重ね合わせておく。
破風化粧板1が仮止めされたならば、破風化粧板1の被覆面部1aの上部を、固着具3を打ち込んで側板5に固定する。このとき、破風化粧板1の被覆面部1aの下部が外方に反り返っても、折れ部1bが破風受板2の垂下片2cに係合するため破風化粧板1の下端部が破風受板2から離脱して浮き上がるようなことはなく、受部2bとの重合位置に保持される。
そして、重なり合った破風化粧板1の突片部1cと破風受板2の受部2bとを固着具3で止着し、破風化粧板1の下部を破風受板2に一体に連結することにより破風化粧板1が取り付けられ、さらに破風化粧板1の上部に重ねてケラバ化粧板8を取り付けることによりケラバ4の造作が完了する。
【0014】
図4は、不燃材からなる仕切板6の外側に設置された外壁板7の取り合い部が、破風化粧板1の下端部と重合した破風受板2の受部2bで覆われるように構成された実施例を示している。
この実施例では、基部2aの下端部に、端部に垂下片2cを有する受部2bを基部2aに対して側方へ垂直に突出させた形態の破風受板2が用いられ、前記と同様の手順で破風受板2の固定、破風化粧板1の固定及び破風化粧板1の下端部と破風受板2の連結一体化作業を行った後、仕切板6と破風化粧板1の折れ部1bとの間隙に外壁板7の上部を装着し、固定することによりケラバ4の廻りの造作が完了する。
【0015】
なお、破風化粧板1と破風受板2の形態は図示した形態に限定されない。図示した形態では、破風化粧板1とケラバ化粧板8を別体としたが、一体に構成されていてもよい。また、破風化粧板1は棟から軒に連なる側板5全長に渡る長さのものでも、それよりも短いユニット化された複数の部材によって構成されるものでもよい。受部2bの端部に垂下片2cを設けて破風化粧板1の端部を係合させたが、破風化粧板1の端部が係合する限り、他の形態の係合部を設けて構成してもよい。
また、破風化粧板1を仮止めせずに、取り付け位置に支持したまま固定作業を行ってもよい。破風化粧板1と破風受板2の固着具3が打ち込まれる表面部分に予め小径の開口が形成されていれば、取り付け作業をより迅速に行うことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、ケラバ下方に破風受板を固定し、これに破風化粧板の下端部を重合させることにより、固定作業中に破風化粧板が浮き上がったり取り付け位置がずれたりすることを防止でき、当初位置合わせした取り付け位置に破風化粧板を迅速且つ正確に取り付けることができる。
また、破風受板で外壁の取り合い部が覆われるように設けることにより、見切り材を用いることなく外壁上端部が納まり、使用部材及び作業工数の削減が図れて施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の破風化粧板の取り付け構造を示す屋根端部の断面図である。
【図2】図1の破風化粧板の要部外観図である。
【図3】図1の破風受板の要部外観図である。
【図4】本発明の他の実施例の破風化粧板の取り付け構造を示す屋根端部の断面図である。
【図5】(A),(B)は従来の破風化粧板取り付け構造を示す屋根端部の断面図である。
【符号の説明】
1 破風化粧板、1a 被覆面部、1b 折れ部、1c 突片部、2 破風受板、2a 基部、2b 受部、2c 垂下片、2d 被覆面部、3 固着具、4 ケラバ、5 側板、6 仕切板、7 外壁板、8 ケラバ化粧板
Claims (2)
- ケラバ(4)下方の壁面が屋根端部の側板(5)端面よりも屋内側の位置に設けられた家屋の屋根に破風化粧板(1)を取り付ける構造において、
前記ケラバ(4)下方の壁面として設置された不燃材からなる仕切板(6)とその下側で上端を仕切板(6)の下端に段違いに接合させて設置された外壁板(7)に、
前記壁面に接合する基部(2a)の上端部に当該端部から側方へ垂直に折れ曲がって突出していて先端を下方へ折れた垂下片(2c)とした受け部(2b)を設け、基部(2a)の下端部に当該端部から側方へ段状に折れ曲がり且つ先端を適宜な長さ垂下させてなる被覆面部(2d)を設けて形成された破風受板(2)を、
前記仕切板(6)に基部(2a)、その下側で段違いに接合した仕切板(6)と外壁板(7)の取り合い部に被覆面部(2d)をそれぞれ接合させて基部(2a)に固着具(3)を打ち込んで固定し、
破風化粧板(1)の下端部に設けた裏面側上方へ折れた折れ部(1b)を破風受板(2)の垂下片(2c)に係合させ、前記折れ部(1b)よりも先端側で側方へ突出させて設けた突片部(1c)を破風受板(2)の受部(2b)の下面に重合させた状態で前記側板(5)に破風化粧板(1)の上部を固定し、前記重合部分を固着具(3)で止着して破風化粧板(1)の下部を破風受板(2)に一体に固定することを特徴とする破風化粧板の取り付け構造。 - ケラバ(4)下方の壁面が屋根端部の側板(5)端面よりも屋内側の位置に設けられた家屋の屋根に破風化粧板(1)を取り付ける構造において、
前記ケラバ(4)下方の壁面として設置された不燃材からなる仕切板(6)に、前記壁面に接合する基部(2a)の下端部に当該端部から側方へ垂直に折れ曲がって突出していて先端を下方へ折れた垂下片(2c)とした受け部(2b)を設けて形成された破風受板(2)を、基部(2a)を接合させて固着具(3)を打ち込んで固定し、
破風化粧板(1)の下端部に設けた裏面側上方へ折れた折れ部(1b)を破風受板(2)の垂下片(2c)に係合させ、前記折れ部(1b)よりも先端側で側方へ突出した突片部(1c)を破風受板(2)の受部(2b)の下面に重合させた状態で前記側板(5)に破風化粧板(1)の上部を固定し、前記重合部分を固着具(3)で止着して破風化粧板(1)の下部を破風受板(2)に一体に固定し、
その後、仕切板(6)に重ねてケラバ(4)下方の壁面に設置される外壁板(7)の上部を、仕切板(6)と破風化粧板(1)の折れ部(1b)との間隙に装着して固定することを特徴とする破風化粧板の取り付け構造。
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