JP2023127238A - 雨押えの施工構造および雨押え - Google Patents
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Abstract
【課題】施工性の良好な雨押えの施工構造および雨押えを提供する。
【解決手段】屋根2と外壁3との取り合い部P1に設けられる雨押え1の施工構造であって、雨押え1は、屋根2の壁側端部15に沿ってその表面側を覆うカバー部材21と、カバー部材21を屋根2の壁側端部15にて係合保持するカバー係合部材22とを備え、カバー係合部材22は、壁側端部26の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部27を有し、壁側折り返し部27が屋根2の壁側端部15と外壁3の下端部18との間隙S1に挿入された状態で屋根2の表面側に固定され、カバー部材21は、壁側差し込み部23が壁側折り返し部27に反壁側から差し込まれて係合保持された状態で、屋根2の表面側に固定される。
【選択図】図2
【解決手段】屋根2と外壁3との取り合い部P1に設けられる雨押え1の施工構造であって、雨押え1は、屋根2の壁側端部15に沿ってその表面側を覆うカバー部材21と、カバー部材21を屋根2の壁側端部15にて係合保持するカバー係合部材22とを備え、カバー係合部材22は、壁側端部26の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部27を有し、壁側折り返し部27が屋根2の壁側端部15と外壁3の下端部18との間隙S1に挿入された状態で屋根2の表面側に固定され、カバー部材21は、壁側差し込み部23が壁側折り返し部27に反壁側から差し込まれて係合保持された状態で、屋根2の表面側に固定される。
【選択図】図2
Description
本発明は、屋根と外壁との取り合い部に設けられる雨押えの施工構造および雨押えに関する。
戸建て住宅などの建物では、屋根と外壁との取り合い部に、屋根裏に熱気や湿気が滞留するのを抑制したり、外壁内側の結露を排出したりするための間隙が設けられている。また、上記間隙には、雨水が上記間隙を通じて外壁内側に浸入するのを防止するための雨押えが設けられている(例えば、特許文献1および2)。
特許文献1および2には、取り合い部の間隙に短手側端面視略L字状の雨押えが施工されたものが開示されている。詳しくは、特許文献1の雨押え(雨押え部材)は、屋根材の壁側端部の表面に設けられた換気部と、換気部の上面から屋根材と略平行に外壁材(サイディング)側へ延出する化粧面部(第1雨押え部)と、化粧面部の壁側端部から上方へ延出する立上り部(第2雨押え部)とが一体的に形成された板材であって、上記立上り部を外壁材の裏面に配した状態で、取り合い部の間隙に沿って施工される。
一方、特許文献2の雨押えは、屋根材の壁側端部に設けられた笠木(嵩上げ笠木)の表面を覆う断面逆L字状の化粧面部(笠木カバー部)と、化粧面部の壁側端部から立ち上がる立上り部(背板部)と、化粧面部の下端部から反壁側へ延出する押え片部(雨返し板部)とが一体的に形成された板材であって、上記立上り部を外壁材(躯体壁面)の裏面に配し、且つ押え片部を屋根材の表面に配した状態で、取り合い部の間隙に沿って施工される。このように、特許文献1および2の雨押えは、立上り部を外壁材の裏面側に挟み込んだ状態で施工されるため、強風時にもバタつくことなく安定して取り合い部に保持固定される。
ところで、近年、戸建て住宅などの建物では、屋根を改修するにあたり、既設の屋根材を剥がさずに、その表面を改修用屋根材で覆って屋根を葺き替える工法、所謂カバー工法が広く採用されているが、その際、屋根と外壁との取り合い部に施工された雨押えについても改修が必要になる場合がある。
しかしながら、特許文献1および2に開示された雨押えの施工構造では、上記のとおり立上り部が外壁の裏面側に挟み込まれた状態で保持されているため、雨押えを取り合い部から取り外したり新たに取り付けたりするのに、外壁材も取り外す必要が生じ、改修作業が大掛かりになる場合がある。また、雨押えを取り合い部から取り外さないで、その上から新たに雨押えを被せて改修する方法もあるが、上記雨押えの場合、立上り部を屋根と外壁との間隙から外壁の裏面側まで深く差し込む必要があるため、上記間隙の大きさや外壁裏側の構造によっては、適切に施工できない可能性もある。また、上記雨押えを間隙の外側(外壁の表面側)に施工すると、その施工構造によっては空気や結露水の流通の妨げになる可能性もある。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、施工性の良好な雨押えの施工構造および雨押えを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の雨押えの施工構造および雨押えは、以下の技術的手段を講じている。
本発明の雨押えの施工構造は、屋根と外壁との取り合い部に設けられる雨押えの施工構造であって、前記雨押えは、屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うカバー部材と、前記カバー部材を屋根の壁側端部にて係合保持するカバー係合部材とを備え、前記カバー係合部材は、壁側端部の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部を有し、前記壁側折り返し部が屋根の壁側端部と外壁の下端部との間隙に挿入された状態で屋根の表面側に固定され、前記カバー部材は、壁側差し込み部が前記壁側折り返し部に反壁側から差し込まれて係合保持された状態で、屋根の表面側に重ねて固定されることを特徴とする。
好ましくは、前記カバー係合部材は、固定具によって屋根の表面側に固定され、前記カバー部材は、前記カバー係合部材における前記固定具の固定箇所を覆うように屋根の表面側に重ねて固定される。
好ましくは、前記壁側折り返し部は、前記カバー係合部材の壁側の端部を表面側へ鋭角に折り曲げて形成され、前記鋭角は、10度から20度の範囲内である。
好ましくは、前記カバー部材および前記カバー係合部材は、屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うように設けられた既設雨押えの表面に重ねて固定される。
また、本発明の雨押えは、屋根と外壁との取り合い部に施工される雨押えであって、屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うカバー部材と、前記カバー部材を屋根の壁側端部にて係合保持するカバー係合部材とを備え、前記カバー係合部材は、壁側端部の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部と、屋根の表面側に固定可能な固定面部とを有し、前記カバー部材は、前記壁側折り返し部に反壁側から差し込まれて係合保持される壁側差し込み部と、屋根の表面側に重ねて固定可能な化粧面部とを有している。
本発明の雨押えの施工構造および雨押えによれば、カバー部材を屋根の壁側端部の表面側に反壁側から容易に固定したり取り外したりすることができるから、施工性が格段に向上する。
以下、本発明に係る雨押えおよびその施工構造を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態の雨押え1は、一方向に長く形成された板材であって、戸建て住宅などの建物Aの屋根2とその棟側の外壁3との取り合い部P1や、屋根2とその桁側の外壁3との取り合い部P2に施工される。
なお、本実施形態では適宜、屋根2の棟側取り合い部P1において、屋根2の棟側を壁側、屋根2の軒側を反壁側とする。また、屋根2の桁側取り合い部P2において、屋根2の外壁3側の桁側を壁側、外壁3と反対側の桁側を反壁側とする。また、本実施形態の屋根2は、軒棟方向に所定の勾配で傾斜しており、屋根2上に流下した雨水は、その表面を伝って軒側へ流れる。即ち、屋根2の軒棟方向が雨水の流れ方向となる。
本実施形態の屋根2は、下地材4の表面に薄板形状の化粧スレート5を桁方向に複数並べ、且つ軒棟方向に階段状に重ねて施工された屋根であり、さらに化粧スレート5の表面には、改修用屋根材6が取り付けられている(図2および図3参照)。即ち、本実施形態の屋根2は、既設の屋根材(化粧スレート)5をカバー工法により改修した屋根である。なお、屋根2は、さらにジョイントカバーや軒先水切、けらば水切等を備えているが、それらの部材は、本発明と直接的に関係しないため説明を省略する。
図示しないが、下地材4は、野地板や野地板の表面を覆う下葺材等により構成されている。また、図2および図3に示すように、化粧スレート5は、屋根釘7によって下地材4に固定されている。改修用屋根材6は、化粧スレート5の表面に接着固定されている。
図2および図3に示すように、棟側取り合い部P1および桁側取り合い部P2にはそれぞれ、本実施形態の雨押え1を施工するより前(新築施工時や改修用屋根材6の施工時)に施工された既設雨押え10が設けられている。
既設雨押え10は、一方向に長い矩形状の金属製薄板を折り曲げる等して、立上り部11と、化粧面部12と、押え片部13とが一体的に形成された短手側端面視略L字状の板材であって、立上り部11を外壁材14の裏面に配し、化粧面部(以下、適宜「既設化粧面部」という)12を屋根2の壁側端部15に設けられた笠木16の表面を覆うように配し、且つ押え片部(以下、適宜「既設押え片部」という)13を改修用屋根材6の壁側端部17の表面を覆うように配した状態で、屋根2の壁側端部15の表面側(ここでは、笠木16の表面)に固定されている。なお、笠木16は、化粧スレート5の壁側端部15の表面に固定されている。また、笠木16と外壁材14の下端部(外壁3の下端部)18との間には、所定の間隙S1が画成されている。
図2に示すように、棟側取り合い部P1に設けられる既設雨押え10の化粧面部12は、外壁3の下方位置から斜め下方に延在する屋根2の角度に合わせて、立上り部11の下端部から屋根2の傾斜方向(軒側)と同方向へ斜め下方に延出形成されている。即ち、棟側取り合い部P1の既設雨押え10は、鈍角に折れ曲がる短手側端面視略L字状に形成されている。
一方、図3に示すように、桁側取り合い部P2に設けられる既設雨押え10の化粧面部12は、外壁3の下方位置から略水平に延在する屋根2の角度に合わせて、立上り部11の下端部から略水平に延出形成されている。即ち、桁側取り合い部P2の既設雨押え10は、略直角に折れ曲がる短手側端面視略L字状に形成されている。
なお、本実施形態では、棟側取り合い部P1と桁側取り合い部P2とで共通の既設雨押え10が用いられている。具体的には、例えば、桁側取り合い部P2には、棟側取り合い部P1に用いられている既設雨押え10と同一の略鈍角L字状の既設雨押え10(図2参照)を、立上り部11と化粧面部12との角度が直角になるように形状調整して施工して
いる。或いは、棟側取り合い部P1に、桁側取り合い部P2に用いられている既設雨押え10と同一の略直角L字状の既設雨押え10(図3参照)を、立上り部11と化粧面部12との角度が鈍角になるように形状調整して施工してもよい。
いる。或いは、棟側取り合い部P1に、桁側取り合い部P2に用いられている既設雨押え10と同一の略直角L字状の既設雨押え10(図3参照)を、立上り部11と化粧面部12との角度が鈍角になるように形状調整して施工してもよい。
図2および図3に示すように、既設雨押え10は、固定釘(図示せず)により笠木16に固定されている。詳しくは、既設雨押え10は、その化粧面部12が笠木16の表面および反壁側の側面(以下、「反壁側面」という)16Sを覆うように短手側端面視L字状に形成されており、笠木16の反壁側面16Sに化粧面部12の反壁側折り曲げ部12Sを重ね、笠木16の反壁側面16Sに固定釘を反壁側(図2の棟側取り合い部P1における軒側、図3の桁側取り合い部P2における外壁3と反対側の桁側)から打ち込むことによって固定されている。
なお、既設雨押え10は、改修用屋根材6や化粧スレート5など、笠木16と異なる箇所にて固定されてもよい。また、既設雨押え10は、固定釘を用いないで、接着剤のみによって笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5等に固定されてもよいし、その他一般的な方法によって笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5等に固定されてもよい。
化粧面部12の反壁側の端縁から壁側の端縁までの長さ、即ち、化粧面部12の全幅W1(図4参照)は、笠木16の幅寸法(図2の棟側取り合い部P1における軒棟方向の長さ、図3の桁側取り合い部P2における桁方向の長さ)よりも大きく形成されている。従って、笠木16の表面は、その略全面が化粧面部12によって覆われる。
既設押え片部13は、短手側端面相互間に亘って凹凸のない平面状に形成されている。また、既設押え片部13の反壁側の端部は、その裏面側へヘミング加工が施されており、既設押え片部13の曲げ剛性が高められている。さらにこのヘミング加工部が略全長に亘って屋根2の表面(ここでは、改修用屋根材6の表面)に当接することで、改修用屋根材6の裏面側への雨水の浸入や風の流入も防止される。
本実施形態の雨押え(以下、「新設雨押え」という)1は、上記のように施工された既設雨押え10の化粧面部12および押え片部13の表面を覆うように取り合い部P1,P2に施工される。
図2~図4に示すように、新設雨押え1は、カバー部材21と、カバー係合部材22とを備えおり、カバー係合部材22を既設化粧面部12の表面における外壁材14の下方位置に配し、且つカバー部材21を既設雨押え10の化粧面部12および押え片部13の表面に重ねた状態で、屋根2の壁側端部15の表面側(ここでは、既設雨押え10の表面)に固定される。
なお、本発明に係る雨押えの施工構造および雨押えは、上記のように既設雨押え10が設けられた取り合い部P1,P2にのみ適用されるものではない。即ち、新設雨押え1は、新築施工時に、既設雨押え10の代わりに施工されてもよい。具体的には、新設雨押え1は、カバー係合部材22を笠木16の表面壁寄りの位置(外壁材14の下方位置)に配し、且つカバー部材21を笠木16の表面および反壁側面16S、さらにはその反壁側に露出する化粧スレート5の一部表面に重ねた状態で取り合い部P1,P2に施工される。この場合、新設雨押え1は、外壁材14を施工する前に施工することもできるし、外壁材14を施工した後に施工することもできる。また、既設雨押え10が取り合い部P1,P2から容易に取り外し可能に構成されていれば、新設雨押え1は、改修時に、既設雨押え10に取り替えて施工されてもよい。具体的には、新設雨押え1は、既設雨押え10を取り合い部P1,P2から取り外した後、上記新築施工時と同様に施工される。この場合も同様に、新設雨押え1は、外壁材14を施工する前に施工することもできるし、外壁材1
4を施工した後に施工することもできる。
4を施工した後に施工することもできる。
カバー部材21は、一方向に長い矩形状の金属製薄板を折り曲げる等して、壁側差し込み部23と、化粧面部24と、押え片部25とが一体的に形成された短手側端面視略Z字状の板体であって、壁側差し込み部23がカバー係合部材22の壁側端部26に設けられた壁側折り返し部27に反壁側から差し込まれて係合保持され、化粧面部(以下、適宜「新設化粧面部」という)24が既設化粧面部12の表面を覆うように配され、且つ押え片部(以下、適宜「新設押え片部」という)25が既設押え片部13の表面を覆うように配された状態で、既設雨押え10に重ねて固定される。
壁側差し込み部23は、短手側端面相互間に亘って凹凸のない平面状に形成されている。従って、壁側差し込み部23は、カバー係合部材22の壁側折り返し部27に差し込まれる際に、壁側折り返し部27やその周辺部に引掛かり難い。また、壁側折り返し部27に差し込まれた際、壁側差し込み部23は、その端縁が略全長に亘って壁側折り返し部27の内側面に当接される。なお、壁側差し込み部23は、その壁側の端部にヘミング加工が施されていてもよい。
新設化粧面部24は、既設化粧面部12を覆うように短手側端面視L字状に形成されており、その反壁側折り曲げ部24Sは、既設化粧面部12の反壁側折り曲げ部12Sに対面して配される。また、新設化粧面部24は、短手側端面相互間に亘って凹凸のない平面状に形成されている。なお、新設化粧面部24は、その表面における雨水の流下を阻害しない程度に表裏方向に凹凸する波形面状や段差面状に形成されていてもよい。
新設化粧面部24の反壁側の端縁から壁側差し込み部23の端縁までの長さ、即ち、新設化粧面部24の全幅W3(図4参照)は、既設化粧面部12の全幅W1よりも小さく形成されている。具体的には、例えば、既設化粧面部12の全幅W1が100mmであるの対し、新設化粧面部24の全幅W3は90mmに形成されている。
新設押え片部25は、短手側端面相互間に亘って凹凸のない平面状に形成されている。また、新設押え片部25の反壁側の端部は、その裏面側へヘミング加工が施されており、新設押え片部25の曲げ剛性が高められている。さらにこのヘミング加工部を略全長に亘って屋根2の表面(ここでは、改修用屋根材6の表面)に当接させることで、カバー部材21の裏面側への雨水の浸入や風の流入を効果的に防止することもできる。
なお、図2および図3では、既設雨押え10、新設雨押え1のカバー部材21、およびカバー係合部材22については、それぞれ区別して視認し易くするために便宜上、それらの重なり部を離間させて図示しているが、それら既設雨押え10、新設雨押え1のカバー部材21、およびカバー係合部材22相互は、できるだけ密接させて固定される。特に、カバー部材21は、上記のとおり新設押え片部25の反壁側の端部(ヘミング加工部)を屋根2の表面に当接させるように施工される。このような施工構造とすることで、カバー部材21の裏面側への雨水の浸入や風の流入を防止できる。さらに、上記反壁側の端部と屋根2の表面との間には、シーリング剤や防水テープなどの封止材を付してもよい。これにより、カバー部材21の裏面側への雨水の浸入や風の流入をより効果的に防止できる。
新設押え片部25の壁側の端縁から反壁側の端縁までの長さ、即ち、新設押え片部25の全幅W4(図4参照)は、既設押え片部13の壁側の端縁から反壁側の端縁までの長さ、即ち、既設押え片部13の全幅W2(図4参照)よりも大きく形成されている。具体的には、例えば、既設押え片部13の全幅W2が30mmであるの対し、新設押え片部25の全幅W4は35mmに形成されている。従って、既設押え片部13の表面は、その略全面が新設押え片部25によって覆われる。
カバー係合部材22は、一方向に長い矩形状の金属製薄板を折り曲げる等して、壁側折り返し部27と、固定面部28とが一体的に形成された短手側端面視略V字状の板体であって、壁側端部26の壁側折り返し部27が屋根2と外壁3との間隙(笠木16と外壁材14の下端部18との間隙)S1に挿入され、且つ固定面部28が既設化粧面部12の表面に沿って配された状態で、既設雨押え10に重ねて固定される。このとき、壁側折り返し部27は、外壁材14の下端部18との間に、空気や結露水を流通させるのに十分な隙間(間隙S1)を存した状態で、屋根2と外壁3との間隙S1に挿入される。
壁側折り返し部27は、カバー係合部材22の壁側端部26の表面側から反壁側に向かって延設されており、その内側の隙間に反壁側の開放部からカバー部材21の壁側差し込み部23が差し込まれる。本実施形態では、壁側折り返し部27は、カバー係合部材22の壁側の端部を表面側へ鋭角に折り曲げることにより、壁側から反壁側に向かって拡開する略V字状に形成されている。これにより、壁側折り返し部27は、屋根2と外壁3との間隙S1に挿入される際に、外壁3の下端部18やその周辺部に引掛かり難い。
なお、壁側折り返し部27は、固定面部28と別体で形成された平面状または短手側端面視略V字状の板体であって、固定面部28の壁側端部(カバー係合部材22の壁側端部26)の表面に固定ネジや接着剤、溶接等により連結して構成されたものであってもよい。
壁側折り返し部27の折曲角度、即ち、壁側折り返し部27と固定面部28とのなす角度Aは、10度から20度の範囲内(例えば、10度)に設定されている(図4参照)。従って、壁側折り返し部27に差し込まれるカバー部材21の壁側差し込み部23は、壁側折り返し部27の内側の傾斜面に対して緩やかな角度で当接される。そしてさらに上記傾斜面に沿ってその奥側(反壁側)へ押し込まれることにより、壁側差し込み部23は、固定面部28側(屋根2側)へ押し付けられるようにして係合保持される。即ち、カバー部材21の壁側差し込み部23は、壁側折り返し部27の内側に反壁側から差し込まれて摩擦係合する。
壁側折り返し部27の反壁側の端部は、その裏面側(壁側折り返し部27の内側)へヘミング加工が施されており、壁側折り返し部27の曲げ剛性が高められている。さらにこのヘミング加工部が略全長に亘ってカバー部材21の壁側差し込み部23の表面に当接することで、カバー部材21をより確実に係合保持することもできる。
なお、壁側折り返し部27は、その内側にカバー部材21の壁側差し込み部23を円滑に差し込み可能で、且つ壁側差し込み部23を適切に係合保持可能であれば、カバー係合部材22の壁側の端部をその表面側へ略180度折り曲げて略U字状に形成されたものであってもよい。例えば、壁側折り返し部27は、壁側差し込み部23を挿入可能な隙間のみを設けて、カバー係合部材22の壁側の端部を固定面部28と並行になるように潰した形状であってもよい。また、壁側折り返し部27は、カバー係合部材22の壁側の端部をその表面側へ180度以上折り曲げることにより、壁側から反壁側に向かって縮開する略U字状に形成されたものであってもよい。
固定面部28は、固定具としての固定ネジ29により笠木16に固定される。詳しくは、固定面部28は、短手側端面相互間に亘って凹凸のない平面状に形成されており、既設雨押え10の表面に重ね、その表面側から固定ネジ29を螺入することによって笠木16に固定される。
固定面部28は、壁側折り返し部27よりも反壁側寄りの位置にて固定ネジ29により
笠木16に固定される。従って、カバー部材21の壁側差し込み部23は、壁側折り返し部27に差し込まれることで、固定面部28における固定ネジ29の固定箇所を覆うように屋根2の表面側(ここでは、既設雨押え10の表面)に重ねて固定される。
笠木16に固定される。従って、カバー部材21の壁側差し込み部23は、壁側折り返し部27に差し込まれることで、固定面部28における固定ネジ29の固定箇所を覆うように屋根2の表面側(ここでは、既設雨押え10の表面)に重ねて固定される。
固定ネジ29は、所謂タッピングネジであり、固定面部28および既設雨押え10にねじ立てしながら笠木16に螺入させる。なお、固定ネジ29は、固定面部28に予め設けられた固定用孔を通して既設雨押え10にねじ立てしながら笠木16に螺入させるようにしてもよいし、既設雨押え10が設けられていない場合は、上記固定用孔を通して笠木16に直接螺入させるようにしてもよい。また、固定ネジ29の周りには、シーリング剤や防水テープなどの封止材を付するのが好ましい。このような施工構造とすることで、カバー係合部材22の裏面側への雨水の浸入を効果的に防止できるし、固定ネジ29が緩むのも防止できる。
なお、固定面部28は、壁側折り返し部27を間隙S1に挿入された位置で保持することができれば、改修用屋根材6や化粧スレート5など、笠木16と異なる箇所にて固定されてもよい。また、固定面部28は、固定具として、固定ネジ29に代えて、接着剤によって笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5等に固定されてもよいし、ネジやタッカー針によって笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5等に固定されてもよい。或いは、その他一般的な方法によって笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5等に固定されてもよい。
カバー部材21およびカバー係合部材22は、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(これらを各種色調に塗装した金属製カラー板を含む)の一種が用いられ、さらに好適には、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板にマグネシウムによる防錆効果を付与した鋼板が用いられる。また、カバー部材21およびカバー係合部材22は、折り曲げ加工に限らず、ロール成形やプレス成形、押出成形、切り欠き加工等によって形成されてもよい。さらに、カバー部材21およびカバー係合部材22は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(これらを各種色調に塗装した合成樹脂製カラー板を含む)の合成樹脂製板材により形成されたものであってもよい。
次に、本実施形態の新設雨押え1の施工手順について説明する。なお、新設雨押え1以外の取り合い部P1,P2の施工手順については、従来のものと同様であるため説明を省略する。
まず、カバー係合部材22を既設化粧面部12の表面における外壁材14の下方位置に固定させる。具体的には、上記のとおり、壁側折り返し部27を屋根2と外壁3との間隙S1に挿入させた状態で、固定面部28を既設化粧面部12の表面に重ね合わせ、固定ネジ29により固定面部28をその表面側から既設化粧面部12を挟んで笠木16にネジ留め固定させる。
なお、カバー係合部材22を既設化粧面部12に固定させるにあたり、カバー係合部材22の裏面またはその取付部(ここでは、既設化粧面部12の表面)には、予め接着剤を塗布しておくのが好ましい。このようにすることで、取付部に対してカバー係合部材22をより強固に固定することができる。また、上記ネジ留め作業の際にカバー係合部材22が位置ずれし難くなるため、カバー係合部材22をより円滑且つ適切な位置に固定することもできる。
また、カバー係合部材22の壁側折り返し部27の内側の隙間には、カバー係合部材2
2を既設化粧面部12に固定させる前に、予めシーリング剤を充填しておいてもよい。先にカバー係合部材22を既設化粧面部12に固定させてから、屋根2と外壁3との間隙S1を通じて壁側折り返し部27の内側の隙間にシーリング剤を充填する方法では、壁側折り返し部27以外の箇所にシーリング剤がはみ出して外観を損なう虞がある。しかしながら上記のとおり、カバー係合部材22を既設化粧面部12に固定させる前に、壁側折り返し部27の内側の隙間にシーリング剤を充填させておくことで、外観の仕上がりに影響を与え難い。
2を既設化粧面部12に固定させる前に、予めシーリング剤を充填しておいてもよい。先にカバー係合部材22を既設化粧面部12に固定させてから、屋根2と外壁3との間隙S1を通じて壁側折り返し部27の内側の隙間にシーリング剤を充填する方法では、壁側折り返し部27以外の箇所にシーリング剤がはみ出して外観を損なう虞がある。しかしながら上記のとおり、カバー係合部材22を既設化粧面部12に固定させる前に、壁側折り返し部27の内側の隙間にシーリング剤を充填させておくことで、外観の仕上がりに影響を与え難い。
また、カバー係合部材22の表面における固定ネジ29の固定箇所は、防水テープで封止してもよい。或いは、上記固定ネジ29の周りに、シーリング剤を塗布してもよい。但し、カバー係合部材22の裏面等に塗布された接着剤や固定ネジ29に予め環装させたパッキン等によって、固定ネジ29周りからカバー係合部材22の裏面側への雨水の浸入を十分に防止できる場合は、必ずしも固定ネジ29の周りをシーリング剤や防水テープなどの封止材で封止する必要ない。
次に、カバー部材21を既設雨押え10の化粧面部12および押え片部13の表面に重ねて固定させる。具体的には、上記のとおり、壁側差し込み部23をカバー係合部材22の壁側折り返し部27に反壁側から差し込んで係合保持させる。そして、化粧面部24の反壁側折り曲げ部24Sに反壁側(図2の棟側取り合い部P1における軒側、図3の桁側取り合い部P2における外壁3と反対側の桁側)から固定釘30を打ち込んで、化粧面部24を笠木16に固定させる。これにより、カバー部材21は、既設雨押え10の表面に固定され、新設雨押え1の主な施工作業が完了する。
なお、カバー部材21を既設雨押え10の表面に固定させるにあたり、カバー部材21の裏面またはその取付部(ここでは、既設化粧面部12や既設押え片部13の表面)には、予め接着剤を塗布しておいてもよい。また、上記のようにカバー部材21の化粧面部(新設化粧面部)24を既設雨押え10の表面に固定させるのに、既設雨押え10の反壁側折り曲げ部12Sに打ち込まれた固定釘(図示せず)がカバー部材21の反壁側折り曲げ部24Sに干渉して適切な取り付けができない場合は、カバー部材21を既設雨押え10に固定させる前に、上記固定釘をさらに笠木16に打ち込んで埋没させる。或いは、上記固定釘を笠木16から抜き取る。このようにすることで、カバー部材21を既設雨押え10の表面に適切且つ強固に固定させることが可能となる。
また、カバー部材21は、取り合い部P1,P2から容易に外れないように固定保持させることができれば、固定釘30を用いないで、接着剤のみによって既設雨押え10の表面に固定されてもよいし、ネジやタッカー針によって既設雨押え10の表面に固定されてもよい。或いは、その他一般的な方法によって既設雨押え10の表面に固定されてもよい。また、カバー部材21は、笠木16や改修用屋根材6、化粧スレート5など、既設雨押え10の表面と異なる箇所にて固定されてもよい。
以上のように、上記実施形態の新設雨押え1の施工構造は、屋根2と外壁3との取り合い部P1,P2に設けられる雨押えの施工構造であって、雨押え1は、屋根2の壁側端部15に沿ってその表面側を覆うカバー部材21と、カバー部材21を屋根2の壁側端部15にて係合保持するカバー係合部材22とを備え、カバー係合部材22は、壁側端部26の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部27を有し、壁側折り返し部27が屋根2の壁側端部15と外壁3の下端部18との間隙S1に挿入された状態で屋根2の表面側に固定され、カバー部材21は、壁側差し込み部23が壁側折り返し部27に反壁側から差し込まれて係合保持された状態で、屋根2の表面側に固定されている。
この構造によれば、外壁材14を取り外さなくても、取り合い部P1,P2に対して新
設雨押え1を取り付けたり取り外したりすることができるから、施工性が格段に向上する。また、取り合い部P1,P2に既設雨押え10が施工されていても、既設雨押え10を外すことなく、その上から手間なく迅速に新設雨押え1を施工することができるから、施工性が一層向上する。
設雨押え1を取り付けたり取り外したりすることができるから、施工性が格段に向上する。また、取り合い部P1,P2に既設雨押え10が施工されていても、既設雨押え10を外すことなく、その上から手間なく迅速に新設雨押え1を施工することができるから、施工性が一層向上する。
しかも、カバー部材21は、壁側差し込み部23をカバー係合部材22の壁側折り返し部27に反壁側から差し込むことで係合保持されるから、改修作業の手間が一層軽減されるし、強風による壁側差し込み部23のバタつきも確実に防止できる。さらに、カバー部材21を上記のように施工することで、新設雨押え1と外壁3との間に、空気や結露水を流通させるのに十分な隙間(間隙S1)も確保される。
また、カバー係合部材22は、固定ネジ29によって屋根2の表面側に固定され、カバー部材21は、カバー係合部材22における固定ネジ29の固定箇所を覆うように屋根2の表面側に重ねて固定されている。この構造によれば、カバー係合部材22を屋根2の表面側に手間なく迅速且つ強固に固定することができるのに加え、固定ネジ29の固定箇所からカバー係合部材22の裏面側へ雨水が浸入するのも防止できる。
また、壁側折り返し部27は、カバー係合部材22の壁側の端部を表面側へ鋭角に折り曲げて形成され、その鋭角は、10度から20度の範囲内に設定されている。この構造によれば、カバー係合部材22の壁側折り返し部27にカバー部材21の壁側差し込み部23を反壁側から差し込むだけで、カバー部材21をカバー係合部材22に手間なく迅速に係合保持させることができるから、施工性が一層向上する。また、強風による壁側差し込み部23のバタつきも確実に防止できる。
また、カバー部材21およびカバー係合部材22は、屋根2の壁側端部15に沿ってその表面側を覆うように設けられた既設雨押え10の表面に重ねて固定される。このように、取り合い部P1,P2に施工された既設雨押え10を外すことなく、その上から新設雨押え1を重ねて施工することで、改修作業の手間が一層軽減される。しかも、上記のように既設雨押え10の上から新設雨押え1を被せて施工することで、取り合い部P1,P2の防水性も向上する。
また、上記実施形態の新設雨押え1は、屋根2と外壁3との取り合い部P1,P2に施工される雨押えであって、屋根2の壁側端部15に沿ってその表面側を覆うカバー部材21と、カバー部材21を屋根2の壁側端部15にて係合保持するカバー係合部材22とを備え、カバー係合部材22は、壁側端部26の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部27と、屋根2の表面側に固定可能な固定面部28とを有し、カバー部材21は、壁側折り返し部27に反壁側から差し込まれて係合保持される壁側差し込み部23と、屋根2の表面側に重ねて固定可能な化粧面部24とを有する。
このものでは、カバー係合部材22を屋根2と外壁3との間隙S1に反壁側から挿入させた状態で屋根2の表面側に固定させると共に、カバー部材21をカバー係合部材22の壁側折り返し部27に反壁側から差し込んで係合保持させ、屋根2の表面側に固定させることで、外壁材14を取り外さなくても、取り合い部P1,P2に対して新設雨押え1を取り付けることができるから、施工性が格段に向上する。
1 新設雨押え(雨押え)
2 屋根
3 外壁
15 屋根の壁側端部
18 外壁の下端部
21 カバー部材
22 カバー係合部材
23 壁側差し込み部
26 カバー係合部材の壁側端部
27 壁側折り返し部
P1 棟側取り合い部(取り合い部)
P2 桁側取り合い部(取り合い部)
S1 間隙
2 屋根
3 外壁
15 屋根の壁側端部
18 外壁の下端部
21 カバー部材
22 カバー係合部材
23 壁側差し込み部
26 カバー係合部材の壁側端部
27 壁側折り返し部
P1 棟側取り合い部(取り合い部)
P2 桁側取り合い部(取り合い部)
S1 間隙
Claims (5)
- 屋根と外壁との取り合い部に設けられる雨押えの施工構造であって、
前記雨押えは、屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うカバー部材と、前記カバー部材を屋根の壁側端部にて係合保持するカバー係合部材とを備え、
前記カバー係合部材は、壁側端部の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部を有し、前記壁側折り返し部が屋根の壁側端部と外壁の下端部との間隙に挿入された状態で屋根の表面側に固定され、
前記カバー部材は、壁側差し込み部が前記壁側折り返し部に反壁側から差し込まれて係合保持された状態で、屋根の表面側に重ねて固定されることを特徴とする、雨押えの施工構造。 - 前記カバー係合部材は、固定具によって屋根の表面側に固定され、
前記カバー部材は、前記カバー係合部材における前記固定具の固定箇所を覆うように屋根の表面側に重ねて固定されることを特徴とする、請求項1に記載の雨押えの施工構造。 - 前記壁側折り返し部は、前記カバー係合部材の壁側の端部を表面側へ鋭角に折り曲げて形成され、前記鋭角は、10度から20度の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の雨押えの施工構造。
- 前記カバー部材および前記カバー係合部材は、屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うように設けられた既設雨押えの表面に重ねて固定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の雨押えの施工構造。
- 屋根と外壁との取り合い部に施工される雨押えであって、
屋根の壁側端部に沿ってその表面側を覆うカバー部材と、前記カバー部材を屋根の壁側端部にて係合保持するカバー係合部材とを備え、
前記カバー係合部材は、壁側端部の表面側から反壁側に向かって延出する壁側折り返し部と、屋根の表面側に固定可能な固定面部とを有し、
前記カバー部材は、前記壁側折り返し部に反壁側から差し込まれて係合保持される壁側差し込み部と、屋根の表面側に重ねて固定可能な化粧面部とを有する、雨押え。
Priority Applications (1)
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JP2022030900A JP2023127238A (ja) | 2022-03-01 | 2022-03-01 | 雨押えの施工構造および雨押え |
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