JP3935109B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
大入賞口を開閉する開閉部材を備え、かつ該大入賞口により外部と連通する閉鎖作動領域内に、入賞路と連通する一般入賞口と特定入賞口とを備えた入賞装置と、遊技球の通過により前記開閉部材を開閉させる始動領域とを備えてなり、該始動領域を遊技球が通過すると、開閉部材が1回若しくは2回の瞬時的な往復開閉駆動を行ない、その開閉時に大入賞口から閉鎖作動領域内に流入した遊技球が特定入賞口に流入した場合に、開閉部材が連続的な往復開閉駆動を行なう特別開放作動を発生させると共に、該特別開放作動中にあって、開閉部材の開放駆動開始から、開閉部材の所定制限開閉回数の開閉満了、大入賞口からの規定個数の入賞満了、又は遊技球の特定入賞口の流入の何れかの終了条件の成立を契機として開閉部材の開放駆動が終了する開閉ラウンドを、特定領域口への球流入を条件として、所定回数継続するようにした遊技機として、例えば第二種パチンコ遊技機が良く知られている。
【0003】
このような遊技機にあっては、閉鎖作動領域に流入した遊技球が特定入賞口に入ると、特別開放作動が発生して遊技者に所定の賞球形態を付与する一方、遊技球が一般入賞口に入ると、現状の遊技状態が継続することとなる。したがって、遊技球が特定入賞口と一般入賞口とのいずれに流入するかによって、遊技者の獲得できる利益に大きな差を生ずる。このため、遊技球の、大入賞口への流入から特定入賞口又は一般入賞口に流入するまでの流動が、遊技者の最も注目するところとなっている。ここで、一般的な遊技機にあっては、大入賞口に流入した遊技球を、特定入賞口又は一般入賞口のいずれかに誘導する振分けステージが設けられている。そして、この振分けステージを多彩な趣向性を備える構成とすることにより、遊技者の緊張感と期待感とを昂揚させ、遊技の興趣を向上させるようにしている。このような振分けステージとして、従来より様々な構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−315561号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、大入賞口から流入した遊技球は、振分けステージにより一般入賞口又は特定入賞口のいずれかに誘導される。この振分けステージでは、遊技球の流動を遊技者が視覚的に認識できることから、該振分けステージを幾度も遊技球が通過すれば、その誘導パターンを遊技者はある程度予測することも可能となる。このため、遊技時間が延びるに従って、振分けステージにおける遊技球の流動過程がマンネリ化することともなり、特定入賞口への遊技球流入を望む感情を充分に昂揚させることができない、刺激性に乏しい遊技が進行することとなっていた。また、閉鎖作動領域の大きさは遊技機に基づいてある程度制限されることから、振分けステージの大きさも限られている。このため、従前の振分けステージに新たな構成を追加したり、振分けステージを複雑な構成とすること等に限界が生じており、遊技者の興趣感を充分に高め得る趣向性を持たせることが難しくなっていた。
本発明は、かかる従来の問題点を解消し得るようにした遊技機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、振分けステージに開口形成された球戻し口と、上方が該球戻し口と連通し、かつ下方が入賞路と連通すると共に、一般入賞口と連通する誘導路と連通部を介して連通する球戻通路と、誘導路に配設されて、遊技球を検知する案内開始スイッチとを備え、一般入賞口から流入した遊技球を球戻通路を経て入賞路へ流下させる通過位置と、一般入賞口から流入した遊技球を係留する係留位置と、該係留位置で係留した遊技球を球戻し口から振分けステージに戻す球戻し位置とに変換する球案内部材を具備してなり、案内開始スイッチが遊技球を検知してから所定時間経過後に、球案内部材を係留位置から球戻し位置に変換し、案内開始スイッチが検知した前記遊技球を振分ステージに戻す球戻し制御作動を実行する駆動制御装置を備えていることを特徴とする遊技機である。
【0007】
かかる構成にあって、一般入賞口への遊技球流入は、遊技球を入賞路に流下させて遊技を継続させるという遊技性と、球戻し口から振分けステージに戻されて再度一般入賞口又は特定入賞口のいずれかに誘導されるという、いわゆる再チャレンジを行う遊技性との二面性を有していることとなる。そして、この再チャレンジとなるか否かは、案内作動条件の成立如何によって決定するようにしている。すなわち、例え、遊技球が一般入賞口に流入した場合にあっても、再び振分けステージに戻った遊技球が特定入賞口に流入するという可能性を残すようにしたものである。したがって、振分けステージにおける遊技球の流動により昂揚した期待感と緊張感とが、一般入賞口への遊技球流入によって落胆に変わったとしても、遊技者は一縷の希望を持つことができる。そして、球戻し口から遊技球が振分けステージに戻った場合には、前記一縷の希望が大きな喜びに変わり、再チャレンジによる期待感と緊張感とが再び高まることとなる。ここで、このような球戻し制御作動が実行される可能性を比較的低めに設定すれば、遊技球が戻ってきたことに対して意外性や唐突感を強く印象付けることができる。このように、一般入賞口に流入した遊技球を球戻し口に戻す球戻し制御作動によって、大きく起伏する喜怒哀楽の感情を遊技者に誘起させることができ、従来にない興趣性の高い遊技を提供することができる。また、球戻し制御作動を実行する場合には、振分けステージでの遊技球を視認できる状態、該遊技球の一般入賞口への流入によって遊技者の視界から消えた状態、球戻し口に再び出現する状態が順次発生することとなるから、遊技者を視覚的に惑わすことともなりえ、遊技の趣向性を一層高めることができる。
【0008】
かかる構成は、特別開放作動の発生に至る過程が、振分けステージにより誘導された遊技球が特定入賞口に流入するパターンと、振分けステージにより一般入賞口に流入した遊技球が再び振分けステージに戻されて特定入賞口に流入するパターンとを備えている。このため、特別開放作動の発生を望む遊技者は、従来の、振分けステージの有する多彩な遊技性を楽しむことに加え、一般入賞口に流入した遊技球が球戻し制御作動により再び振分けステージに戻るという遊技性も重複して楽しむことができる。而して、遊技球が振分けステージから特定入賞口又は一般入賞口を経て入賞路に流下するまでの進行態様が多岐に渡り、変化に富んだ興趣豊かな遊技を提供できる。
【0009】
このような構成にあっては、球案内部材を、球戻通路で通過位置として遊技球を入賞路へ流下させる制御作動(以下、球通過制御作動)と、係留位置で遊技球を係留した後球戻位置に変換して振分けステージに該遊技球を戻す球戻し制御作動とを行うようにしたものであるから、球戻し口を形成する以外に振分けステージの構成に何ら影響を及ぼすことがない。このため、振分けステージの構成を複雑化したり、拡大したりすることなく、遊技に新たな趣向性を付与することができるという優れた利点を有する。
【0010】
このような球案内部材が、球戻通路内で遊技球を支持し、球戻位置で球戻し口から遊技球を振分けステージに戻す案内上面を備えている構成が提案される。かかる構成にあっては、球案内部材が係留位置で案内上面により遊技球を係留し、該遊技球を案内上面により支持したまま、該球案内部材を球戻位置に変換して振分けステージに遊技球を戻すことができるようにしたものである。このような案内上面としては、球戻位置で遊技球を振分けステージに戻すための傾斜面を備えるものとし、球戻通路内では該案内上面により遊技球の下側を支持すると共に、該球通路の通路壁により遊技球の水平方向を支持できるように、球通路と適切なクリアランスを有する構成とすることが望ましい。
【0011】
また、球戻し口に係止されて該球戻し口を閉鎖する一方、上方へ退避させることにより開口する開閉蓋を備えており、球案内部材を球戻し位置に変換した場合に、該開閉蓋を上方に押し上げて球戻し口を開口するようにした構成が提案される。かかる構成にあって、球戻し口は、開閉蓋によって閉鎖され、一般入賞口に流入した遊技球を振分けステージに戻す場合にのみ開口されることとなる。したがって、この遊技球を戻す場合以外では球戻し口が閉鎖されており、振分けステージがその全域で誘導作用を発揮することができる。これにより、振分けステージを、当初大入賞口から流入した遊技球に対し、球戻し口に関係なく、全域で誘導作用を発揮し得るものとできるから、該球戻し口によって振分けステージの趣向性が減退されることが無い。そして、球戻し口を振分けステージ上の様々な位置に設定することが可能である。
【0012】
一方、球戻通路が、上方の球戻し口と下方の入賞路とを垂直状に連通してなり、通過位置が、球戻通路の、一般入賞口との連通部より上方に位置し、係留位置が、一般入賞口との連通部より下方に位置し、球戻し位置が、該通過位置より上方に位置しており、球案内部材を球戻通路に沿って各位置に変換するようにした構成が提案される。かかる構成にあっては、球案内部材を連通部より上方の通過位置とすることにより、一般入賞口から流入した遊技球を該連通部から球戻通路を経て入賞路に流下させることができる。また、球案内部材を連通部より下方の係留位置とすることにより、一般入賞口から連通部を介して球戻通路に流入した遊技球を係止することができる。そして、前記通過位置より上方の球戻し位置とすることにより、前記係留位置で係止した遊技球を振分けステージに戻すようにしたものである。尚、球戻し位置を通過位置より上方としたことで、上記の開閉蓋を有する構成にあって、通過位置で球戻し口が開口することも無い。また、球戻通路を垂直状とすることにより、球案内部材を通過位置、係留位置、球戻し位置に駆動制御する構成を比較的容易に構築することができる。
【0013】
このような球戻し口が、振分けステージの、遊技球を特定入賞口に誘導する箇所に設けられている構成が提案される。かかる構成にあっては、振分けステージに戻した遊技球をかならず特定入賞口に流入させるようにしたものであり、この球戻し制御作動が、特定入賞口への遊技球流入過程となる。したがって、遊技者に、遊技球が戻るという行為を鮮烈に印象付けることができ、一般入賞口に遊技球が流入した後も、振分けステージに該遊技球が戻ってくることを望む感情を強く誘起させることができる。
【0014】
一方、案内作動条件が、特定の遊技状態となった場合に、球案内部材を通過位置に変換する球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選択的に決定する制御内容により、球戻し制御作動を選定したことであるとした構成が提案される。かかる構成にあっては、球戻し制御作動を実行する案内作動条件が、特定の遊技状態となると成立する場合があるようにしたものである。これにより、特定の遊技状態となると、一般入賞口に遊技球が流入しても、球戻し制御作動が実行されることを期待する感情が生じることとなり、遊技に対する緊張感を助長させることができる。
【0015】
上記の、球案内部材の制御作動を選択的に決定する制御内容が、複数の乱数値により構成されてなる案内作動乱数テーブルから乱数値を抽出し、当該乱数値に従って球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選定するようにしたものであるとした構成が提案される。かかる構成により、球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかがランダムに選択されることとなるから、該球戻し制御作動の偶発性が高まり、高い趣向性を発揮することができる。また、球戻し制御作動を実行することとなる乱数値の抽出確率と、振分けステージの誘導作用とを関連付けて設定し、遊技球の閉鎖作動領域内での流動過程を盛り上げる作用を高めることも可能である。
【0016】
上述した特定の遊技状態が、始動領域への遊技球通過であるとした構成が提案される。かかる構成にあっては、始動領域を遊技球が通過する毎に球通過制御作動又は球戻し制御作動が選定されることとなり、該始動領域通過により開放した大入賞口から遊技球が入ると、いずれかの制御作動が行われることとなる。したがって、大入賞口に流入した全ての遊技球が、球戻し制御作動の実行される可能性を有していることとなる。尚、例え、球戻し制御作動が選定された場合でも、遊技球が大入賞口に入らなければ、その作用を遊技者は受けることができない。
【0017】
また、駆動制御装置が、球案内部材に球戻通路に沿って設けられたラックギアと、ステッピングモータに取り付けられたピニオンギアとを噛み合わせ、該ステッピングモータの正逆回転により、該球案内部材を作動通路に沿って変位作動させるものであるとした構成が提案される。かかる構成にあって、ステッピングモータの回転方向及び回転量を制御することにより、球案内部材を、通過位置、係留位置、球戻位置に適正かつ容易に変換することができ、球戻し制御作動及び球通過制御作動をスムーズに行い得る。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態例を、添付図面に従って説明する。
図1は、第二種パチンコ遊技機として構成された遊技機の遊技盤面1を示す正面図であって、該遊技盤面1には、その略中央部に入賞装置2が配設されており、また、該入賞装置2の下方には、中央に位置させた始動領域3aと、その左右両側に位置させた始動領域3b,3bとが横一列状に配設されている。
【0019】
前記始動領域3aは、遊技球の通過により球検知信号を送出する始動スイッチS1(図3参照)を備えており、該始動スイッチS1 から球検知信号が送出されると、所定個数(例えば15個)の賞球が払い出されるとともに、後述する入賞装置2の開閉部材4,4(図2参照)が開閉駆動され、大入賞口5,5の所定時間(例えば0.8秒間)の開放が 2回行われる。また、始動領域3b,3bは、遊技球の通過により球検知信号を送出する始動スイッチS2(図3参照)を夫々備えており、該始動スイッチS2 から球検知信号が送出されると、所定個数(例えば15個)の賞球が払い出されるとともに、開閉部材4,4が開閉駆動されて、大入賞口5,5の所定時間(例えば0.5秒間)の開放が 1回行われる。
【0020】
その他、遊技盤面1には、種々の盤面一般入賞口6a,6b,風車7a,7b等の遊技装置や、コーナーランプ8a,サイドランプ8b,センターケースランプ8c等の電飾装置が所定位置に配設されている。
【0021】
前記入賞装置2には、図2に示すように、外郭を構成するセンターケース9の略中央位置に、矩形状に開口された奥に深い球流動領域26と、該流動領域26に形成された振分けステージ25とを備えた閉鎖作動領域10が形成されている。この閉鎖作動領域10は、左右両側にセンターケースランプ8cを兼ねた側壁部11,11を備え、かつ上部に天蓋部14を備えている。さらに、下部には、一般入賞口22a、22b及び特定入賞口21とが設けられており(図4参照)、その上方にはこれら入賞口のいずれかに遊技球を誘導する振分けステージ25が形成されている。また、この振分けステージ25の上方には左右両側に該閉鎖作動領域10を外部と連通させる大入賞口5,5が設けられている。この大入賞口5,5には、駆動軸15,15により下端部が軸支された翼片からなる開閉部材4,4が配設されており、該開閉部材4,4を駆動軸15,15に連繋した図示しない入賞口開閉ソレノイド20(図3参照)等からなる駆動手段によって往復回動駆動することにより、略起立状態で大入賞口5,5を塞ぐ閉鎖位置と、図2に示すように略倒ハ字形に外側方に拡開して大入賞口5,5を開放する開放位置とに変換制御し得るようになっている。さらに、この大入賞口5,5には、該大入賞口5,5に流入する遊技球を検知する図示しないカウントスイッチS3(図3参照)が配設されている。
【0022】
ここで、閉鎖作動領域10に設けられた振分けステージ25は、全体的に適宜の勾配で前方傾斜すると共に、遊技球を一般入賞口22a、22b又は特定入賞口21のいずれかに誘導する誘導作用を有する構成(図示省略)を備えている。また、この振分けステージ25の前縁部には、図4のように、中央に特定入賞口21が、その左右両隣りに一般入賞口22a,22bが区画形成されている。かかる構成により、大入賞口5,5から流入した遊技球を、振分けステージ25の誘導作用によって特定入賞口21、一般入賞口22a,22bのいずれかに流入させるようにしている。
【0023】
また、前記入賞装置2の上部には、図2に示すように、ドットマトリックス表示器、液晶表示器等で構成される判定図柄表示装置23が配設されている。この判定図柄表示装置23には判定図柄Aが変動表示される。該判定図柄Aは、通常遊技時において、前記始動スイッチS1 ,S2 の球検知によって開放される大入賞口5,5から閉鎖作動領域10に入った遊技球が、特定入賞口21に流入した場合に、変動を開始して所定時間の変動後停止して確定表示される。ここで、判定図柄Aは、「○」,「△」,「×」の三図柄からなる複数種類の図柄により構成されており、これらの中から何れかが表示されることとなる。そして、この何れかの判定図柄Aによって、大当り遊技作動において遊技者に付与する利益量としての継続可能ラウンド数(開閉ラウンドの継続可能回数)が報知される。即ち、「○」の判定図柄Aが確定表示された場合には継続可能ラウンド数が15回であることを示し、「△」の場合には7回を示し、「×」の場合には1回を示す。
【0024】
図3に、上述の遊技機の遊技制御手段を構成する制御回路を示す。
マイクロコンピュータにより構成される主制御基板60には、遊技機の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられており、この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設されている。この主制御用中央制御装置CPUは、遊技に関する統括的な制御を処理実行するものである。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行なうデータバス(図示省略)を介して接続され、該主制御基板60の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラムや、判定図柄乱数テーブル他、遊技の進行態様を選択的に決定するための乱数テーブル等の固定データが格納されている。そして、予め定められた条件が成立すると、各乱数テーブルから乱数値を抽出し、該乱数値に従って様々な遊技制御が実行されることとなる。ここで、判定図柄乱数テーブルから抽出された判定図柄乱数値Kは、上述した判定図柄表示装置23で変動表示する判定図柄Aを、「○」、「△」、「×」のいずれかに決定するものである。そして、この判定図柄乱数値Kによって選定された判定図柄Aに基づき、上述したように、「○」の場合は15ラウンド、「△」の場合は7ラウンド、「×」の場合は1ラウンドの大当り遊技作動時における開閉ラウンドの継続可能回数が決定される。
【0025】
また、記憶装置RAMには、各乱数テーブルから選出される乱数値や、始動スイッチS1 ,S2 、カウントスイッチS3、特定入賞スイッチS4 、入賞スイッチS5、案内開始スイッチS6から送出された球検知信号等の情報が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。ここで、特定入賞スイッチS4は、特定入賞口21に流入した遊技球を検知するものであり、入賞スイッチS5は、特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bに流入した遊技球を検知するものである。また、特定入賞スイッチS4には、有効時間が設定されており、カウントスイッチS3が遊技球を検知してから所定時間(例えば、約2秒間)経過するまでを有効時間とし、該有効時間を越えて特定入賞口21に遊技球が流入してもS4は検知しないようにしている。尚、この有効時間は、上述した振分けステージ25の構成によって様々に設定されている。また、案内開始スイッチS6は、遊技球を振分けステージ25へ戻す作動の開始時点を決めるものである。このスイッチS6は本発明の要部に係り、詳しくは後述する。
【0026】
さらに上記主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーも接続されている。
【0027】
また、上記主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられている。該入力ポートには、盤面中継基板61を介して上述した始動スイッチS1 ,S2 、カウントスイッチS3、特定入賞スイッチS4、入賞スイッチS5、案内開始スイッチS6 が接続されている。そして、主制御基板60は所定時間毎(例えば2ms毎)に上記各スイッチS1 〜S6 の遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して入賞口開閉ソレノイド20、球案内部材32のステッピングモータ40等が接続されており、これらが主制御用中央制御装置CPUの制御指令信号に従って作動される。また、主制御基板60の出力ポートを介して主制御用中央制御装置CPUの制御指令信号が、図柄表示制御基板62、音源制御基板63、光源制御基板64、及び払出制御基板65の各入力ポートに向けて一方向に発信されるようになっている。
【0028】
また、主制御用中央制御装置CPU、及び上記各制御基板62,63,64,65に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、該演算ユニットの連成数によって、中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板62,63,64,65に夫々送信し、各制御基板62,63,64,65の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0029】
上記図柄表示制御基板62には、判定図柄表示装置23に変動表示される図柄表示態様を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄表示態様を制御処理する図柄制御用中央制御装置CPUに、演出プログラムが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとを備えてなる。前記記憶装置ROMには、上述した判定図柄Aの図柄形態及び図柄変動パターン等の固定データやその動作プログラムが記憶されている。
【0030】
また、図柄表示制御基板62は、主制御基板60からの制御指令信号を入力ポートを介して受信すると、図柄制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の判定図柄Aの図柄変動を演出する変動態様データを、出力ポートを介して表示用ドライバに送信する。該表示用ドライバは前記変動態様データに従って、判定図柄表示装置23に所定の変動態様で判定図柄Aを変動表示させる。そして、この表示用ドライバ及び図柄表示制御基板62と前記主制御基板60とによって、判定図柄表示装置23の判定図柄Aを、変動開始させた後、所定のタイミングで確定表示するように表示制御される。
【0031】
上記音源制御基板63には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとを備えてなる。この音源制御基板63は、前記主制御基板60より入力ポートを介して受信した制御指令信号を音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを出力ポートを介してサウンドジェネレータに送信して、スピーカから所定の効果音を出力させる。
【0032】
また、上記光源制御基板64には、コーナーランプ8a,サイドランプ8b,センターケースランプ8c及び遊技機が具備するその他の発光ダイオードや装飾ランプ等の電飾装置を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、電飾装置の点灯,点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、電飾パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとを備えてなる。この光源制御基板64は、光源制御用中央制御装置CPUで、前記主制御基板60から入力ポートを介して受信した制御指令信号を演算処理し、所定の光演出データを出力ポートを介して光源作動基板に送信し、コーナーランプ8a,サイドランプ8b,センターケースランプ8c及び所定の発光ダイオードや装飾ランプ等を所定の演出態様で点灯,点滅させる。
【0033】
さらに、上記払出制御基板65には、遊技球の貸球や賞球等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、賞球ユニットや貸球ユニット等が具備する各種ソレノイドを作動して、所定数の賞球や貸球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球や貸球の球数パターン等の固定データが記憶されている記憶装置ROMと、球数カウントデータ等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとを備えてなる。この払出制御基板65は、入力ポートを介して主制御基板60から制御指令信号を受信し、該制御指令信号に従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより賞球ユニットや貸球ユニットが具備する図示しない各種ソレノイドを作動させて、所定数の賞球や貸球の払い出しを実行する。また、払出制御基板65は、プリペイド金額を記憶したプリペイドカードの読み込み・書き込みを行うプリペイドカードユニットと、プリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続されており、プリペイド金額の残額データ等を送受する。
【0034】
次に、図3に示した制御回路による制御態様を遊技機の作動に従って説明する。
遊技球が図示しない発射装置から遊技盤面1に打ち出され、この遊技球が始動領域3a,3b,3bの何れかを通過すると、入賞装置2の開閉部材4,4が瞬時的に 1回または 2回開閉駆動される。即ち、始動領域3aを遊技球が通過した場合には、始動スイッチS1 から送出される球検知信号に基づいて入賞口開閉ソレノイド20が作動し、開閉部材4,4が所定時間(例えば0.8秒間)、 2回開放駆動される。一方、始動領域3b,3bの何れかを遊技球が通過した場合には、始動スイッチS2 から送出される球検知信号に基づいて入賞口開閉ソレノイド20が作動して、開閉部材4,4が所定時間(例えば0.5秒間)に亘って 1回開放駆動される。そして、この開閉部材4,4の開放駆動中に、遊技球が大入賞口5,5から閉鎖作動領域10内に流入すると、該遊技球をカウントスイッチS3が検知し、該球検知に基づいて主制御基板60は特定入賞スイッチS4の有効時間をスタートさせる。この遊技球は、球流動領域26内の振分けステージ25を流下して特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bの何れかに流入する。ここで、遊技球が特定入賞口21に流入すると、特定入賞スイッチS4 により特定入賞口21への球流入が検知され、その球検知信号に基づいて即座に開閉部材4,4が所定開閉態様で開閉駆動される大当り遊技作動が実行される。尚、前記有効時間を越えた場合には、遊技球をS4が検知しても大当り遊技作動は実行されない。
【0035】
この大当り遊技作動により、入賞口開閉ソレノイド20が作動して、開閉部材4,4を所定制限開閉回数(例えば15回)開閉させ、かつ一回の開閉毎に所定時間(例えば0.8 秒間)の開放状態を生じさせる開閉ラウンドが開始される。
【0036】
一回の開閉ラウンドは、所定制限開閉回数(例えば15回)の開閉が満了するか、該所定制限開閉回数内でカウントスイッチを兼ねた入賞スイッチS5 により規定個数(例えば10個)の遊技球の入賞検知がなされるか、またはその入賞した遊技球が特定入賞口21に流入して特定入賞スイッチS4により検知されるかの何れかによる所定終了条件の成立を契機として終了する。そして、この開閉ラウンド中または開閉ラウンド終了後の所定有効時間(例えば2.3秒間)内に、特定入賞スイッチS4 によって特定入賞口21への球流入が検知されると、次の開閉ラウンドへ進む条件が充足され、開閉ラウンドが再開される。この開閉ラウンドが、上述した判定図柄乱数値Kにより決定された継続可能ラウンド数(例えば 1回,7回,15回)を上限として継続されると、大当り遊技作動が終了する。尚、この大当り遊技作動中にあって、特定入賞口21または一般入賞口22a,22bの球流入により、入賞スイッチS5 から球検知信号が送出される度に所定個数(例えば15個)の賞球が払い出される。
【0037】
次に本発明の要部について説明する。
上述した特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bは、これらに流入した遊技球を機台から排出する排出口へと通ずる入賞路(図示せず)に連通している。そして、この入賞路に上述した入賞スイッチS5が設けられており、特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bに流入した遊技球の球数をカウントしている。
【0038】
一方、特定入賞口21は、図5に示すように、流入した遊技球を流下させる特定入賞路27の上部で連通しており、該特定入賞路27に特定入賞スイッチS4が設けられている。また、一般入賞口22bは、流入した遊技球を流下させる一般入賞路28と上部で連通している。そして、この一般入賞路28は、下部で背面方向に湾曲した後横方向に湾曲して、後述の球戻し通路29と連通している。
【0039】
また、前記特定入賞路27の直背面側には、下部が入賞路と連通する垂直状の球戻し通路29が設けられている。この球戻し通路29の上部は、上述した振分けステージ25の、特定入賞口21に隣接する直奥位置に設けられた球戻し口30と連通している。そして、この球戻し口30には、その周縁に係止されて該球戻し口30を閉鎖する開閉蓋42が配されている(図4参照)。また、前記球戻し通路29には、一般入賞口22a側に、該一般入賞口22aと連通する誘導路31が、連通部24を介して連通している。この誘導路31は一般入賞口22aから流入した遊技球を球戻し通路29に導くものであって、一般入賞口22aから一旦背面側に湾曲した後横方向に湾曲して連通部24を介して球戻し通路29と連通している。そして、この誘導路31の、連通部24に隣接する位置に案内開始スイッチS6が配設されている。また、この球戻し通路29の下部には、上記の特定入賞路27が背面方向に湾曲して連通している。このように、特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bは入賞路に連通している。
【0040】
上記球戻し通路29には、上下方向に変位作動する球案内部材32が配されている(図6、図7参照)。この球案内部材32は、図8のように、前面方向に勾配する案内上面33を備えた案内部34と、該案内部34の背面側縁から略垂直方向に形成された作動案内部35とからなる、逆L字形状となっている。この作動案内部35には、一般入賞口22a側の側面に、垂直方向に沿って作動凹溝36が形成されている。この作動凹溝36は、図7のように、球戻し通路29に沿って、一般入賞口22a側から中央方向に突出する作動凸板37と嵌合し、球案内部材32が球戻し通路29に沿って上下作動するようにしている。ここで、作動凸板37は、誘導路31の背面に配設された背面板50の、球戻し通路29の一般入賞口22a側の側壁と略面一となる側面から突出するように形成されている。また、この作動凹溝36と反対側面には、垂直方向に沿ってラックギア38が形成されている。そして、このラックギア38と噛み合わされるピニオンギア39がステッピングモータ40に取り付けられている。このステッピングモータ40を正逆回転させることにより、球案内部材32が上下方向に変位作動することとなる。このように、作動凹溝36を作動凸板37と嵌合すると共に、ラックギア38とピニオンギア39とを噛み合わせ、案内部34を前面方向から球戻し通路29内に配するようにして、この球案内部材32を設置する。これにより、案内部34が球戻し通路29内で上下方向に平行移動することとなる。
【0041】
上記したステッピングモータ40は、上述した主制御基板60と接続しており、該主制御基板60からの制御指令信号に従って所定量の正逆回転をするように制御されており、該ステッピングモータ40、ラックギア38及びピニオンギア39により駆動制御装置41が構成されている(図8)。
【0042】
上記した球案内部材32の案内上面33には、図8のように、背面方の両側縁に、上方に突起する蓋押上棒44,44が設けられている。そして、上述した開閉蓋42の下面には、前記蓋押上棒44,44を内嵌する嵌合柱45、45が下方に向かって突設されている。ここで、この嵌合柱45,45は遊技球の直径より長く、かつ、蓋押上棒44,44は該嵌合柱45,45より短くなっている。上述したように、この開閉蓋42が球戻し口30に係止されて閉鎖している状態(図4)にあって、球戻し通路29を球案内部材32が上昇すると(図6,図7参照)、蓋押上棒44,44が嵌合柱45,45に嵌入する。さらに球案内部材32が上昇し、案内上面33が嵌合柱45,45の底面に接触すると、開閉蓋42が上方に押し出され、球戻し口30が開口することとなる(図9)。
【0043】
次に、上述した球案内部材32を変位作動させる駆動制御装置41の制御態様を説明する。
駆動制御装置41は、球案内部材32を、上述の球戻し通路29内で、図6及び図7のように、通過位置X、係留位置Y、球戻位置Zに変換する。ここで、通過位置Xは、図6(イ)及び図7(イ)のように、球案内部材32の案内部34が連通部24よりも上方に位置すると共に、案内上面33と開閉蓋42の嵌合柱45とが接触しない位置である。すなわち、球案内部材32を通過位置Xとすると、一般入賞口22aから流入した遊技球は、連通部24から球戻し通路29を経て入賞路に流下することとなる。この通過位置Xに球案内部材32を変換する作動が、本発明の球通過制御作動である。
【0044】
一方、係留位置Yは、図6(ロ)及び図7(ロ)のように、球案内部材32の案内上面33を連通部24より下方に位置し、かつ、特定入賞路27との連通位置より上方とする位置である。すなわち、球案内部材32を係留位置Yとすると、一般入賞口22aから流入した遊技球を、案内上面33で係止し、入賞路に流下させないように係留する。また、球戻位置Zは、図6(ハ)及び図7(ハ)のように、上記の通過位置Xより上方に位置すると共に、案内上面33が嵌合柱45を押して開閉蓋42を上方に押上げて、球戻し口30を開口させる位置である。この球戻位置Zでは、開閉蓋42を係止していた球戻し口30の開口側縁により横方向への移動が制限されると共に、案内上面33の勾配により、案内上面33上の遊技球を特定入賞口21に流入させる。すなわち、球案内部材32は係留位置Yで遊技球を係留した後、球戻位置Zに変換して、振分けステージ25に該遊技球を戻して特定入賞口21に入賞させる。この係留位置Yに変換した後球戻位置Zへ変換する作動が、本発明の球戻し制御作動である。
【0045】
このような球通過制御作動と球戻し制御作動とは、始動領域3a,3b,3bを遊技球が通過する毎に選定されるようにしている。主制御基板60の記憶装置ROMには、0〜29から構成された案内制御乱数テーブルが格納されており、始動スイッチS1 ,S2 からの球検知信号により案内制御乱数値Lを抽出するようにしている。この案内制御乱数値Lが7又は21であると、上述した球戻し制御作動を行うことを決定し、該Kがこれ以外であると、上述した球通過制御作動を行うことを決定する。そして、遊技球が大入賞口5,5から流入してカウントスイッチS3がON作動すると、主制御基板60は、前記球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかの実行を指示する制御指令信号を盤面中継基板61に送信し、この制御指令信号に従って駆動制御装置41を駆動させる。
【0046】
ここで、本実施形態例にあっては、球案内部材32は、常態で通過位置Xに位置させるようにしている。したがって、上記のように球通過制御作動を選定した場合には、ステッピングモータ40を回転させないこととなる。
【0047】
一方、上記のように球戻し制御作動を選定した場合には、ステッピングモータ40を所定角度だけ所定方向に回転させて、図6(イ)→図6(ロ)及び図7(イ)→図7(ロ)のように、球案内部材32を通過位置Xから係留位置Yに変換する。そして、大入賞口から入った遊技球が振分けステージ25を経て一般入賞口22aに流入すると、誘導路31を流下して、球案内部材32の案内上面33に係留される。この時、上述した誘導路31に配設された案内開始スイッチS6がON作動すると、主制御基板60は該ON作動の確認から約0.5秒経過後、球案内部材32を球戻位置Zに変換する制御指令信号を発信する。そして、この信号に従って、ステッピングモータ40の回転により球案内部材32は、図6(ロ)→図6(ハ)及び図7(ロ)→図7(ハ)のように、遊技球を案内上面33で支持したまま上昇して、上述のように開閉蓋42を上方へ退避させて球戻し口30を開口し、該球戻し口30から振分けステージ25に遊技球を戻すと共に、該遊技球を特定入賞口21に入賞させる(図9参照)。この後、ステッピングモータ40を回転させ、球案内部材32を通過位置Xに変換する。
【0048】
このように特定入賞口21に流入した遊技球は、上述の特定入賞路27を流下して特定入賞スイッチS4をON作動し、さらに入賞路に流下して入賞スイッチS5をON作動する。この特定入賞スイッチS4のON作動により、判定図柄表示装置23が変動し、判定図柄乱数値Kに従って所定の判定図柄Aを確定停止する。この判定図柄Aに従って、上述した特別開放作動が実行される。また、入賞スイッチS5のON作動により、所定数(例えば15球)の賞球が払い出される。
【0049】
一方、この球戻し制御作動を選定した場合にあって、案内開始スイッチS6がON作動せずに、特定入賞スイッチS4又は入賞スイッチS5がON作動した場合、すなわち、大入賞口から流入した遊技球が特定入賞口21又は一般入賞口22bに流入した場合には、主制御基板60は球案内部材32を常態の通過位置Xに変換する制御指令信号を発信し、該球案内部材32を係留位置Yから通過位置Xに変換する。ここで、大入賞口から流入した遊技球が、振分けステージ25を経て特定入賞口21に直接流入した場合には、上述と同様、特定入賞スイッチS4と入賞スイッチS5とをON作動して、特別開放作動が実行されると共に、所定の賞球が払い出される。また、一般入賞口22bに直接流入した場合には、遊技球が入賞路28を通過して入賞路に流下する。そして、入賞スイッチS5のON作動により、所定数(例えば15球)の賞球が払い出される。
【0050】
また、球通過制御作動が選定された場合には、球案内部材32は通過位置Xに位置したままとなり、大入賞口から流入した遊技球が一般入賞口22aに入っても、誘導路31から連通部24を経て球戻し通路29を通過して、入賞路に流下する。そして、入賞スイッチS5がON作動して、所定数の賞球が払い出される。尚、この球通過制御作動の場合にあっても、大入賞口5,5から流入した遊技球が、一般入賞口22b又は特定入賞口21に流入した場合は、上記の球戻し制御作動の場合と同様である。
【0051】
上述のように、本実施形態例は遊技球が一般入賞口22aに流入した場合にあっても、該遊技球が振分けステージ25に戻り、特定入賞口21に流入する球戻し制御作動を、比較的低確率(=2/30)で実行するようにした構成である。これにより、大入賞口5,5から遊技球が流入したことによって遊技者の期待感と緊張感とが昂揚した後、該遊技球が一般入賞口22aに流入して落胆している状況にあって、前記球戻し制御作動が実行された場合には、遊技球が振分けステージ25に戻って特定入賞口21に流入することとなるから、戻ってきた遊技球に遊技者はびっくりすると共に興奮することとなり、さらに、大きな喜悦感と満足感とを得ることができる。また、この場合には、振分けステージ25で視認できる遊技球が、一般入賞口22aに流入すると視界から消えることとなるため、遊技者の興奮する感情を高める作用が強い。また、比較的遊技に慣れた者にあっては、一般入賞口22aに流入後も、一縷の希望を持つこととなるから、遊技球が戻ってくるか否かを待つ間、不安と希望とが入り混じった感情に支配されることとなりえ、遊技球が戻ってきた場合には大きな満足感を得ることができる。このような球戻し制御作動は、遊技球の特定入賞口21又は一般入賞口22a,22bへの流入過程を、大きく拡げるものであるから、遊技に従来にない多彩な趣向性を発揮することができ、遊技者の興趣感を飛躍的に向上させることが可能である。
【0052】
上述した実施形態例にあっては、球戻し口30を特定入賞口21の直奥位置に設け、該球戻し口30から戻した遊技球が必ず特定入賞口21に入賞するようにした構成であるが、その他の構成として、球戻し口30を振分けステージ25の奥の方に設け、該球戻し口30から戻った遊技球を、再度振分けステージ25の誘導作用によって特定入賞口21又は一般入賞口22a,22bのいずれかに流入させるような構成とすることもできる。かかる構成は、球戻し制御作動が実行されると、一般入賞口22aに流入した遊技球が振分けステージ25に戻り、特定入賞口21への再チャレンジができるようにしたものである。また、再チャレンジによって再び一般入賞口22aに流入した場合には、再々チャレンジとなることもあるように設定することも可能である。尚、かかる構成としては、球戻し通路29を球戻し口30から垂直状となるように、一般入賞口22aから連通する誘導路31を上記実施形態例より延長することにより形成できる。又は、球戻し通路29を奥方向に向かって斜め上方に傾斜する構成とし、球案内部材32を該球戻し通路29に沿って変位作動できるようにする構成としても良い。
【0053】
また、上述の実施形態例にあっては、一般入賞口22aに流入した遊技球のみが球戻し制御作動によって振分けステージ25に遊技球が戻る場合があるようにした構成であるが、一般入賞口22bに流入しても同様に振分けステージ25に遊技球が戻る構成とすることもできる。かかる構成にあっては、一般入賞口22aと球戻し通路29とを繋ぐ誘導路31を、一般入賞口22bにも設けるようにすれば良い。
【0054】
また、上述の実施形態例にあっては、常態における球案内部材32の配置を通過位置Xとした構成であるが、該通過位置X以外の位置を常態での待機位置として設定することもできる。かかる構成にあっては、球通過制御作動が選定されると、球案内部材32が待機位置から通過位置Xに変位作動することとなる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、振分けステージに開口形成された球戻し口と、上方が該球戻し口と連通し、かつ下方が入賞路と連通すると共に、一般入賞口と連通する誘導路と連通部を介して連通する球戻通路と、誘導路に配設されて、遊技球を検知する案内開始スイッチとを備え、一般入賞口から流入した遊技球を球戻通路を経て入賞路へ流下させる通過位置と、一般入賞口から流入した遊技球を係留する係留位置と、該係留位置で係留した遊技球を球戻し口から振分けステージに戻す球戻し位置とに変換する球案内部材を具備してなり、案内開始スイッチが遊技球を検知してから所定時間経過後に、球案内部材を係留位置から球戻し位置に変換し、案内開始スイッチが検知した前記遊技球を振分ステージに戻す球戻し制御作動を実行する駆動制御装置を備えるものとしたから、一般入賞口は、遊技球を入賞路に流下させることと、球戻し口から振分けステージ戻すこととの二つの遊技性を有するものとなる。したがって、大入賞口への遊技球流入により昂揚した感情が、一般入賞口流入により落胆しても、球戻し制御作動が実行された場合には振分けステージに戻り、再び昂揚することとなるという、大きく起伏する喜怒哀楽の感情を遊技者に誘起させえ、遊技の興趣性を向上できる。また、振分けステージ上では遊技球を視認でき、一般入賞口に流入すると視界から消え、再び視認できるという、遊技者を視覚的に惑わす作用により、前記感情の起伏を更に増幅でき、興趣感を一層向上させ得る。さらに、この球戻し制御作動により、特定入賞口に遊技球が流入する過程が多岐にわたり、変化に富んだ興趣豊かな遊技を提供できる。さらにまた、かかる構成は、振分けステージを複雑化したり、拡大したりすることなく、遊技に新たな趣向性を付与することができるという優れた利点も有する。
【0056】
上記の球案内部材が、球戻通路内で遊技球を支持し、球戻位置で球戻し口から遊技球を振分けステージに戻す案内上面を備えた構成にあっては、球戻し制御作動に従って、案内上面により、係留位置での遊技球の係留と、該係留位置から球戻位置までの変換による遊技球の移送と、球戻位置での該遊技球を振分けステージに戻すこととを適切に行うことができる。
【0057】
また、球戻し口に係止されて該球戻し口を閉鎖する一方、上方へ退避させることにより開口する開閉蓋を備えており、球案内部材を球戻し位置に変換した場合に、該開閉蓋を上方に押し上げて球戻し口を開口するようにした構成にあっては、遊技球を振分けステージに戻す以外の場合では、振分けステージがその全域で誘導作用を発揮でき、該球戻し口によって振分けステージの趣向性が減退されることが無い。
【0058】
また、上述の球戻通路が、上方の球戻し口と下方の入賞路とを垂直状に連通してなり、通過位置が、球戻通路の、一般入賞口との連通部より上方に位置し、係留位置が、一般入賞口との連通部より下方に位置し、球戻し位置が、該通過位置より上方に位置しており、球案内部材を球戻通路に沿って各位置に変換するようにした構成にあっては、垂直状の球戻通路に、各位置が上下方向に夫々に配置されることにより、遊技球を係留し振分けステージに戻す球戻し制御作動と、遊技球を入賞路に流下させる球通過制御作動とを、球案内部材の上下方向の変位作動のみにより容易かつ適正に行うことが可能である。
【0059】
上述した球戻し口が、振分けステージの、遊技球を特定入賞口に誘導する箇所に設けられている構成にあっては、振分けステージに戻った遊技球はかならず特定入賞口に流入することとなるから、遊技者に、遊技球が戻るという行為を鮮烈に印象付けることができ、一般入賞口に遊技球が流入した後も、振分けステージに該遊技球が戻ってくることを望む感情を強く誘起させることができる。
【0060】
一方、上述の案内作動条件が、特定の遊技状態となった場合に、球案内部材を通過位置に変換する球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選択的に決定する制御内容により、球戻し制御作動を選定したことである構成とすることにより、特定の遊技状態となると、一般入賞口に遊技球が流入しても、球戻し制御作動が実行されることを期待する感情を遊技者に生じさせえ、遊技に対する緊張感を助長させることができる。
【0061】
上記の、球案内部材の制御作動を選択的に決定する制御内容が、複数の乱数値により構成されてなる案内作動乱数テーブルから乱数値を抽出し、当該乱数値に従って球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選定するようにしたものである構成とすることより、球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかがランダムに選択されることとなるから、該球戻し制御作動の偶発性が高まり、遊技の趣向性を一層向上できる。
【0062】
また、上述した特定の遊技状態が、始動領域への遊技球通過であるとした構成にあっては、大入賞口に流入した全ての遊技球が、球戻し制御作動の実行される可能性を有していることとなるから、遊技球が大入賞口に流入すると、従来の遊技機に比して、あたかも特別開放作動の発生する可能性が高いという印象を遊技者に付与でき、遊技の娯楽性が向上する。
【0063】
また、上述した駆動制御装置が、球案内部材に球戻通路に沿って設けられたラックギアと、ステッピングモータに取り付けられたピニオンギアとを噛み合わせ、該ステッピングモータの正逆回転により、該球案内部材を作動通路に沿って変位作動させるものであるとした構成にあっては、ステッピングモータの回転制御によって、球案内部材を、通過位置、係留位置、球戻位置に適正かつ容易に変換することができるから、球戻し制御作動及び球通過制御作動をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるパチンコ遊技機の、遊技盤面1を示す正面図である。
【図2】遊技盤面1に配設された入賞装置2の拡大正面図である。
【図3】パチンコ遊技機の制御回路を示すブロック回路図である。
【図4】振分けステージ25の球戻し口30が、開閉蓋42により閉鎖された状態を示す斜視図である。
【図5】特定入賞口21及び一般入賞口22a,22bの内部構造を表す、(イ)は上方向からの横断面図、(ロ)は側面方向からの縦断面図である。
【図6】球案内部材32を、(イ)通過位置X、(ロ)係留位置Y、(ハ)球戻位置Zに夫々に変換した状態を表す、背面方向からの説明図である。
【図7】球案内部材32を、(イ)通過位置X、(ロ)係留位置Y、(ハ)球戻位置Zに夫々に変換した状態を表す、背面方向からの斜視図である。
【図8】駆動制御装置41の、球案内部材32とステッピングモータ41との取付け状態を表す説明図である。
【図9】振分けステージ25の球戻し口30が、開閉蓋42により開口された状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 遊技盤面
2 入賞装置
21 特定入賞口
22a,22b 一般入賞口
24 連通部
25 振分けステージ
27 特定入賞路
28 一般入賞路
29 球戻し通路
30 球戻し口
31 誘導路
32 球案内部材
33 案内上面
38 ラックギア
39 ピニオンギア
40 ステッピングモータ
41 駆動制御装置
42 開閉蓋

Claims (3)

  1. 大入賞口を開閉する開閉部材を備え、かつ該大入賞口により外部と連通する閉鎖作動領域内に、一般入賞口及び特定入賞口と、この両者いずれかに遊技球を夫々に誘導する振分けステージとを備えた入賞装置と、
    遊技球の通過により前記開閉部材を開閉させる始動領域とを備えてなり、
    該始動領域の球通過を駆動契機とする開閉部材の開放駆動により大入賞口から閉鎖作動領域内に流入した遊技球が振分けステージを介して特定入賞口に流入した場合に、開閉部材が所定開放態様で開放駆動される特別開放作動を発生させるとともに、該特別開放作動中にあって、開閉部材の開放駆動開始から所定終了条件の成立を契機として開閉部材の開放駆動が終了する開閉ラウンドを、所定回数継続するようにした遊技機において、
    前記振分けステージに開口形成された球戻し口と、
    上方が該球戻し口と連通し、かつ下方が入賞路と連通すると共に、一般入賞口と連通する誘導路と連通部を介して連通する球戻通路と
    誘導路に配設されて、遊技球を検知する案内開始スイッチとを備え、
    一般入賞口から流入した遊技球を球戻通路を経て入賞路へ流下させる通過位置と、
    一般入賞口から流入した遊技球を係留する係留位置と、
    該係留位置で係留した遊技球を球戻し口から振分けステージに戻す球戻し位置とに変換する球案内部材を具備してなり、
    案内開始スイッチが遊技球を検知してから所定時間経過後に、球案内部材を係留位置から球戻し位置に変換し、案内開始スイッチが検知した前記遊技球を振分ステージに戻す球戻し制御作動を実行する駆動制御装置を備えていることを特徴とする遊技機。
  2. 遊技球が始動領域を通過する度に、球案内部材を通過位置に変換する球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選択的に決定する制御内容を備え、該制御内容が球戻し制御作動を選定した場合に球戻し制御作動が実行されることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
  3. 球案内部材の制御作動を選択的に決定する制御内容が、複数の乱数値により構成されてなる案内作動乱数テーブルから乱数値を抽出し、当該乱数値に従って球通過制御作動又は球戻し制御作動のいずれかを選定するようにしたものであることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
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