JP3988991B2 - パチンコ遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、図柄表示装置に確定表示された各図柄の組合せが所定の大当り図柄態様である場合に、遊技者に所定の利得を供与することとなる特別遊技作動を実行するようにしたパチンコ遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の選出図柄を図柄表示領域上に変動表示する図柄表示装置と、遊技球の通過を検知する図柄始動領域とを遊技領域上に設け、図柄表示装置上で、選出図柄を変動後停止して図柄確定する一連の図柄生成行程を実行する図柄制御手段を備え、図柄始動領域への遊技球通過を契機として、該図柄制御手段を介して図柄生成行程を実行するとともに、選出図柄の組合せが大当り図柄態様で確定表示されることを契機として、所定の賞球形態を発生することとなる特別遊技作動を実行する制御内容を具備する遊技制御手段を具備するパチンコ遊技機は良く知られている。これらには、いわゆる第1種パチンコ遊技機及び第3種パチンコ遊技機がある。
【0003】
ここで、第1種パチンコ遊技機は、図柄を変動表示する複数の図柄表示部を具備する図柄表示装置と、開閉片により開閉制御される可変入賞口を具備する可変入賞装置とを備え、遊技盤面に設けられた特別図柄始動領域への遊技球通過に起因して表示図柄を変動開始し、停止して図柄確定する図柄制御手段とを備え、図柄表示装置に所定の大当り図柄態様が確定表示された場合に、可変入賞装置の可変入賞口の開放と、可変入賞口の所定制限時間の経過又は該所定制限時間内での規定個数の入賞満了による可変入賞口の閉鎖とを順次生じてなる開閉ラウンドを、可変入賞口内に設けられた特定領域を遊技球が通過することを継続条件として、所定制限回数まで繰り返してなる特別遊技作動を実行するものである。
【0004】
また、第3種パチンコ遊技機の一例としては、図柄を変動表示する図柄表示装置と、球通過を検知する図柄始動領域と、開口を開閉制御してその内部の特別作動領域へ球通過可能な状態と不可能な状態とに変換する普通電動役物と、開閉制御される可変入賞口とを備え、球通過に伴って該可変入賞口を開放する特定領域への流入制御を行う役物とを備え、図柄始動領域への遊技球通過に起因して、図柄表示装置の図柄を変動させた後に確定表示するようにし、その確定図柄態様が所定の大当り図柄態様である場合に、普通電動役物を開放制御し、その特別作動領域への球通過に伴って特別遊技作動が実行され、かつ該特別遊技作動は、役物が駆動して特定領域への球通過が可能となり、該球通過ごとに、可変入賞口の開放と、閉鎖とを生じてなる開閉ラウンドを複数回繰り返してなるものが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来構成にあって、大当り図柄態様が、奇数図柄など特定の図柄態様(いわゆる確変大当り図柄態様)の場合には、その当りに伴う特別遊技作動の終了後に、図柄生成行程に要する行程時間を短縮する変動時間短縮遊技状態を発生させたり、選出図柄の特定の大当り図柄態様が確定表示されると、次の大当り図柄態様が確定表示されるまで、いわゆる大当りとなる確率が向上する高確率遊技状態を発生させたりする等の内容の、付加利得が付与されるものがある。
ところで、この場合に、高確率となる確変大当り図柄態様の発生は以降の遊技利得に大きく影響するものであるにもかかわらず、その図柄態様が通常の大当り図柄態様か、確変大当り図柄態様かが一瞬にして決定されると、面白味に欠ける。そこで、大当り図柄態様で一旦仮停止した後、他の大当り図柄態様に再生する図柄再生行程を実行して、確定大当り図柄の選択過程を演出表示するようにした構成が提供されている。
ところで、この図柄再生行程での、再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の相対関係にあって、通常図柄態様から確変大当り図柄態様に昇格する場合はよいが、確変大当り図柄態様から通常図柄態様へ降格する場合には、遊技者の落胆が大きく、大当りに対する喜びが半減してしまうこととなる。そこで、実際には、このような降格する再変動は行われていない。このため、再変動のパターンが通常図柄からの、変化にとどまって、マンネリ化してしまい、遊技者の緊張感を阻害することとなっている。このように、図柄再生行程の意義をさらに高める工夫が求められている。
本発明は、かかる図柄再生行程の意義をさらに高め得る構成を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述したパチンコ遊技機において、遊技制御手段は、大当り図柄態様で一旦仮停止した後、再変動させることにより他の大当り図柄態様に再生する図柄再生行程を実行すると共に、再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の相対関係により、特別遊技作動終了後に付与される付加利得を変化させる制御内容を具備するものである。
【0007】
ここで、上述の制御内容としては、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が異なる複数の利得図柄態様種により区分される大当り図柄態様を有し、図柄再生行程での再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の利得図柄態様種の相対関係により、特別遊技作動終了後に付与される付加利得を変化させるようにした構成としている。
【0008】
ここで、付加利益が異なる複数の利得図柄態様種としては、当該特別遊技作動後に大当りとなる確率が向上することとなる確変大当り図柄態様と、当該特別遊技作動後に大当りとなる確率が向上しない通常大当り図柄態様の二種とすることができる。ここで、付加利得としては、大当り確率の向上の他に、特別図柄の変動時間短縮、普通図柄の変動時間短縮、普通電役の開放時間延長が提案される。そして、再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の相対関係により、特別遊技作動終了後に付与される上記各付加利得を変化させることとなる。
【0009】
かかる構成にあって、遊技制御手段の制御内容を、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に低い利得図柄態様種の大当り図柄態様に降格した場合に、特別遊技作動終了後に、補填付加利得を付与する。
【0010】
すなわち、上述した確変大当り図柄態様が一旦表示されたにもかかわらず、図柄再生行程で、通常大当り図柄態様となってしまった場合には、付加利得が低減することとなって、遊技者に失望感を与えてしまう。そこで、その失われた利益を少しでも償うために、補填付加利得が供与される。この補填付加利得としては、特別図柄の変動時間を、所定変動回数を限度として短縮したり、高確率を所定変動回数を限度として付与する等が提案される。さらには、所定変動回数を限度として普通図柄の変動時間短縮、普通電役の開放時間延長を実行すること等が提案される。いずれも、失われる利得の補填であるから、確変大当り図柄態様で与えられる付加利得よりも低い利得が設定されることとなる。
【0011】
また、遊技制御手段の制御内容が、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に高い利得図柄態様種の大当り図柄態様に昇格した場合に、特別遊技作動終了後に、予め定められた付加利得を低減するようにしたものとすることもできる。すなわち、再変動により、付加利得が向上することとなる場合には、その利益格差を緩和するために、再変動前後で確変大当り図柄態様が維持される場合に比して、付加利得を低減させるものである。これにより、利得の調和が達成される。
【0012】
さらにまた、遊技制御手段の制御内容が、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される利得図柄態様種に変化が無い場合に、特別遊技作動終了後に、賞球と直接関係しない補填付加利得を付与するようにしたものとすることもできる。
【0013】
かかる構成にあっては、利得図柄態様種に変化がないことを、新たな価値として捉えて、利得を供与するものである。この場合に、利得図柄態様種自体に起因する付加利得との重複や変更を避けるため、図柄表示装置で、大当り予告をする等、賞球と直接関係しない補填付加利得を付与する。
而して、上述した構成により、図柄再生行程での利得図柄態様種の変遷に対する遊技者の注意と期待感を醸成でき、該図柄生成行程の意義がさらに向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
いわゆる第1種パチンコ遊技機に本発明を適用した実施形態例を説明する。
パチンコ遊技機1は、図1に示されるように、遊技島設備(図示省略)に固定される長方形状の外枠2と、この外枠2の前面開口部分を覆う遊技機本体3とからなり、これらがヒンジ部材4を介して開閉可能に枢着されている。
【0015】
さらにこの遊技機本体3は、ほぼ正方形状の開口部が中央上部に形成されている板状の前面枠5を備え、この前面枠5が前記外枠2に枢着されている。そして、この前面枠5内側には遊技盤7が配設され、この遊技盤7の前方に位置するよう前面枠5の開口部に遊技扉6が枢着されている。さらに、この遊技扉6には、透明板8が装着されている。
【0016】
この遊技盤7の下方には、前面枠5に対して開閉可能に取付けられる上皿部材9と、この上皿部材9の下方に位置する下皿部材10とが配設されている。さらに、この下皿部材10の右側には発射ハンドル11が突設されている。
【0017】
また、図2に示されるように、パチンコ遊技機1の遊技盤7には、その盤面12上にほぼ円形を呈する誘導レール13によって遊技領域14が区画形成されており、この遊技領域14のほぼ中央にセンターケース15が配設されている。そして、このセンターケース15には、液晶表示器、CRT表示器等からなる図柄表示装置16が組み付けられており、さらにこの図柄表示装置16には図柄表示領域17が形成されている。
【0018】
さらに、この図柄表示領域17の中央位置には特別図柄表示部(選出図柄表示部)a,b,cが左右方向に形成される。そして特別図柄表示部aには特別図柄Aが、特別図柄表示部bには特別図柄Bが、特別図柄表示部cには特別図柄Cがそれぞれ表示される。この特別図柄A,B,C(選出図柄)は、それぞれ「1」〜「8」の数字からなると共に、各特別図柄A,B,Cは、前記の数字が順に並んだ特別図柄列を構成している。そして、後述する特別図柄始動条件が成立すると、特別図柄A,B,Cを変動後停止して特別図柄A,B,Cの組合せ態様を確定表示する一連の図柄生成行程が表示実行される。すなわち、この各特別図柄列が特別図柄表示部a,b,cで上下方向に変動することにより特別図柄A,B,Cが変動表示され、停止したときに横方向に並列表示されている停止図柄列の態様が所定の大当り図柄態様である場合に、いわゆる「大当り」となって後述の特別遊技作動が実行される。なお、本実施形態例にかかる特別図柄A,B,Cにより、本発明にかかる選出図柄が構成され、特別図柄表示部a,b,cにより選出図柄表示部が構成される。
【0019】
一方、図柄表示領域17内の左上位置には普通図柄x,yが表示される普通図柄表示部が形成される。この普通図柄表示x,yは、「7」又は「−」を示す。そして、後述する普通図柄作動ゲート22に遊技球が通過すると、普通図柄x,yが変動表示され、その後停止したときにx=y=「7」となる当り図柄態様で表示されると、後述の普通電動役物18が拡開作動を開始する。
【0020】
また、図柄表示装置16の直上左位置には、四個の発光ダイオードLEDからなる普通図柄始動記憶数表示装置21が配設されている。この普通図柄始動記憶数表示装置21は、後述の普通図柄始動スイッチS2(図9参照)の遊技球検出を、主制御基板60(図9参照)の記憶装置RAMの一部領域が記憶した場合に、その記憶数を表示するものである。
【0021】
さらに、図柄表示装置16の直上右位置には、四個のパイロットランプからなる特別図柄始動記憶数表示装置19が配設されている。この特別図柄始動記憶数表示装置19は、特別図柄始動記憶数Uを表示するものである。ここで、この特別図柄始動記憶とは、後述する主制御基板60(図9参照)の記憶装置RAMの一部領域に、後述の特別図柄始動領域20への遊技球通過ごとに記憶保持されるものである。
【0022】
一方、センターケース15の両側には、普通図柄作動ゲート(普通図柄始動領域)22,22が設けられ、遊技球が通過すると、この普通図柄作動ゲート22,22に内蔵された普通図柄始動スイッチS2が遊技球通過を検知し、かかる検知信号に基づいて、前記普通図柄x,yが変動を開始する。
【0023】
また、センターケース15の直下位置には、内部を特別図柄始動領域20とする普通電動役物18が配設されている。この普通電動役物18は、開閉翼片26,26を備え、普通図柄x,yの図柄内容が、上述の当り図柄態様の場合に、この開閉翼片26,26が所定時間拡開する。このように、普通電動役物18が拡開作動すると特別図柄始動領域20の開口度が変化し、遊技球が特別図柄始動領域20を通過し易い状態となる。なお、この開閉翼片26,26の拡開作動は、普通電動役物ソレノイド(図9参照)により作動する。また、この普通電動役物18内には、光電スイッチ、リミットスイッチ等の特別図柄始動スイッチS1(図9参照)が備えられ、この特別図柄始動スイッチS1が、特別図柄始動領域20への遊技球通過を検知すると、これに起因して、図柄表示装置16の特別図柄A,B,Cが変動開始する。なお、この特別図柄始動領域20により、本発明にかかる図柄始動領域が構成される。
【0024】
普通電動役物18の直下位置には、内部に特定領域と一般領域とを有する大入賞口23を備える可変入賞装置25が配設されている。この可変入賞装置25は開閉片24を具備し、この開閉片24を大入賞口開放ソレノイド(図9参照)により開閉制御することにより大入賞口23を開放状態又は閉鎖状態のいずれかに変換する。そして、特別図柄A,B,Cの組合せ態様が所定の大当り図柄態様であると、開閉片24が開き、さらに、その開放状態にある開閉片24の上面が案内作用を生じ、大入賞口23へ遊技球を案内する。さらに、特定領域に遊技球が流入すると、次の開閉ラウンドへ移行可能となり、所定ラウンド数だけ開閉片24の開閉作動を生じて、遊技者に所定の利得を付与する。この可変入賞装置25の開閉作動は、後述する特別遊技作動を構成するものである。なお、大入賞口23内部には、特定領域に入った遊技球を検知する特定領域スイッチS3と、当り中の入賞個数を計数するカウントスイッチS4とが設けられている。ここで特定領域スイッチS3にも、特定領域に入った遊技球を計数するカウントスイッチとしての機能が備えられている。
【0025】
図5は、本発明にかかるパチンコ遊技機の遊技作動を制御する制御回路を示すものである。
主制御基板60には、パチンコ遊技機1の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられており、この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設されている。この主制御用中央制御装置CPUは、遊技に関する統括的な制御を処理実行するものであって、この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。この記憶装置ROMには、制御プログラムや、各種乱数テーブル等の固定データが格納されている。ここで、この乱数テーブルとしては、当り特別乱数テーブルK、当り図柄乱数テーブルL、ハズレ図柄乱数テーブルM 、リーチ乱数テーブルN、リーチ図柄乱数テーブルP、リーチ態様乱数テーブルQ、当り普通乱数テーブル、ハズレ普通図柄乱数テーブルや、後述する図柄再生行程を実行するかどうかを定める再変動乱数テーブルW、仮停止図柄乱数テーブルX等があり、所定の要件が充足されると主制御用中央制御装置CPUが各乱数テーブルから乱数値を選択する。
【0026】
ここで、各乱数テーブルについて説明する。
当り特別乱数テーブルKは、0〜299の300コマからなる。そして、通常確率状態では、当り特別乱数テーブルKから選択した当り特別乱数値が「7」の場合に大当り図柄態様の特別図柄A,B,Cの組合せを表出する。すなわち大当り確率は1/300である。そしてそれ以外はハズレとなる。また、高確率では、当り特別乱数値が7,67,127,187,247(例)の場合には当りとなる。すなわち当り確率は1/60である。そしてそれ以外はハズレとなる。
【0027】
また、当り図柄乱数テーブルLは、0〜9の10コマからなり、選択した当り特別乱数値Kが特別図柄A,B,Cを大当り図柄態様とする内容である場合に、特別図柄A,B,Cの組合せ態様を決定するものである。したがって、組合せ態様の異なる大当り図柄態様を複数備えることとなる。例えば、この当り図柄乱数テーブルLから選択された当り図柄乱数値が「3」の場合に、特別図柄A,B,Cの組合せ態様は「333」となる。
【0028】
これに対し、ハズレ図柄乱数テーブルMは、選択した当り特別乱数値Kがハズレである場合に、特別図柄A,B,Cのハズレ態様を決定するものである。なお、このハズレ図柄乱数テーブルMからは、ハズレ図柄乱数値Ma,Mb,Mcが選択される。
【0029】
また、リーチ乱数テーブルNからは、リーチ乱数値が選択される。このリーチ乱数値は、当り特別乱数値Kがハズレの内容である場合に、図柄生成行程でリーチ変動作動を実行するか否かを決定するものである。そして、リーチ乱数値がリーチ変動作動を実行する内容であると、リーチ図柄乱数テーブルPから選択したリーチ図柄乱数値に従ってリーチ態様の特別図柄A,B,Cを表示する。
【0030】
また、当り特別乱数テーブルKからの当り特別乱数値が大当り図柄態様とする内容である場合、又はリーチ乱数テーブルNからの乱数値がリーチ変動作動を実行する内容である場合には、リーチ態様乱数テーブルQから選択したリーチ態様乱数値に従って非リーチ状態のときと異なるリーチ変動態様を実行する。このリーチ変動態様としては、例えば、ロングリーチ、低速スクロール、逆走行、低速走行からの加速的停止、図柄の反転等の種々の変動態様がある。
【0031】
一方、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2のON作動による通過記憶等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。すなわち、記憶装置RAMに特別図柄始動記憶及び普通図柄始動記憶が記憶保持される。
【0032】
また、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
【0033】
この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令が、図柄表示制御基板62、音源制御基板63、光源制御基板64、及び払出制御基板65の各入力ポートに向け、一方向に発信されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートには、上述した特別図柄始動スイッチS1が接続されると共に、盤面中継基板61を介して、普通図柄始動スイッチS2、特定領域スイッチS3、及びカウントスイッチS4が接続されている。そして、主制御基板60が2msごとに各スイッチS1〜S4の遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物18の開閉翼片26を拡開する普通電動役物ソレノイドや、大入賞口23の開閉片24を開閉する大入賞口ソレノイド等が接続され、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
【0034】
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62,63,64,65に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。なお、この演算ユニットの連成数によって、中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板62,63,64,65にそれぞれ送信し、各制御基板62,63,64,65の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0035】
上記の図柄表示制御基板62には、図柄表示装置16の図柄表示領域17上で表出される図柄表示態様を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄表示態様を制御処理する図柄制御用中央制御装置CPUに、演出に関するプログラムや固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。なお、この記憶装置ROMに格納された固定データは、特別図柄A,B,Cの可変パターン、特別図柄A,B,Cの組合せ態様パターン、当り遊技パターン、リーチ態様パターン、普通図柄x,yの組合せ態様パターン等の図柄変動態様等を規定するためのデータである。
【0036】
ここで、図柄表示制御基板62は、主制御基板60から入力ポートを介して受信した制御指令信号を図柄制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の図柄表示態様を演出する図柄データを、出力ポートを介して表示用ドライバに送信する。そして、この表示用ドライバが、前記図柄データに従って図柄表示装置16の図柄表示領域17に所定の図柄を所定態様で表出させる。なお、この図柄表示制御基板62により、図柄表示装置16で図柄生成行程を実行する図柄制御手段が構成される。
【0037】
上記の音源制御基板63には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この音源制御基板63は、上記の主制御基板60より入力ポートを介して受信した制御指令信号を音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを出力ポートを介してサウンドジェネレータに発信し、このサウンドジェネレータが、前記音データに従ってスピーカに効果音を出力させる。
【0038】
上記の光源制御基板64には、パチンコ遊技機1に備えられた発光ダイオードLED、装飾ランプ等で構成される電飾装置、特別図柄始動記憶数表示装置19、普通図柄始動記憶数表示装置21等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、電飾装置の点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、発光ダイオードLED,装飾ランプ等を電飾するための電飾パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板64は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して受信した制御指令信号を演算処理し、所定の光データを出力ポートを介して、発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を発光作動するドライバを配した光源作動基板に送信し、この光源作動基板が、所定の発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を点灯、点滅させる。なお、特別図柄始動記憶数表示装置19及び普通図柄始動記憶数表示装置21は、それぞれ最高四個まで始動記憶数を記憶保持できる。このため、各始動記憶数がこの上限値に達している遊技状態にあっては、遊技球通過は無効となり、所定数の賞球のみが遊技者に供与される。
【0039】
上記の払出制御基板65には、遊技球の貸球や賞球等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動して、所定の貸球や賞球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球や貸球の球数パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、球数カウントデータ等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板65は、主制御基板60から受信した制御指令信号に従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払い出しを実行する。また、払出制御基板65は、遊技球の貸球を記憶したプリペイドカードの読み込み書き込みを行うプリペイドカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。
【0040】
なお、本発明にかかる遊技制御手段は、上述の各基板60〜65等により構成されるものであって、前記図柄制御手段を介して図柄生成行程等を実行したり、所定賞球形態を発生する特別遊技作動を実行したりする制御内容を備えるものである。
【0041】
次に、本発明の制御態様をパチンコ遊技機の作動に従って説明する。
遊技球が発射装置(図示省略)より遊技領域14に発射され、この遊技球が特別図柄始動領域20を通過すると、特別図柄始動スイッチS1がON作動する。そして、図5に示されるように、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUが、特別図柄始動スイッチS1のON作動を認識すると、記憶装置RAMに特別図柄始動記憶を記憶する。さらに、記憶装置RAMに累積して記憶保持される特別図柄始動記憶の数(特別図柄始動記憶数U)が四個以下であるか否かを判定し、特別図柄始動記憶数Uが四個以下の条件を満たさない場合は、特別図柄始動記憶数Uが四個となるように最後に記憶保持された余剰の特別図柄始動記憶を記憶消化する。そして、始動口処理を終了する。
【0042】
一方、特別図柄始動記憶数Uが四個以下であると、記憶装置ROMに格納されている当り特別乱数テーブルK、当り図柄乱数テーブルL、リーチ乱数テーブルN、リーチ図柄乱数テーブルP、リーチ態様乱数テーブルQ、ハズレ図柄乱数テーブルM、再変動乱数テーブルW、仮停止図柄乱数テーブルX等から、それぞれ乱数値を選択し、選択した各乱数値を一旦、記憶装置RAMに格納する。そして、始動口処理を終了する。
【0043】
次に、特別図柄処理について説明する。
主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、特別図柄A,B,Cが変動中であるか判定し、変動中であれば変動時間が経過し、変動が停止するのを待って特別図柄処理を終了する。
【0044】
一方、特別図柄A,B,Cが変動中でない場合は、特別図柄始動記憶が存在するか否かを判定し、存在する場合は最先に記憶保持した特別図柄始動記憶を記憶消化し、特別図柄始動記憶数表示装置19で表示する特別図柄始動記憶数Uを一個減算表示する。
【0045】
そして、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、当り特別乱数値Kが、予め備えられた当り判定用データと同一であるか否かを判定する。そして、当り特別乱数値Kがハズレであると、リーチ乱数テーブルNから選択したリーチ乱数値に基づいてリーチ変動作動を実行するか否かを判定し、リーチ変動作動を実行する場合には、リーチ図柄乱数テーブルPから選択したリーチ図柄乱数値に基づいてハズレリーチ図柄を決定し、リーチ態様乱数テーブルQからの乱数値に基づいてリーチパターンをセットする。これに対し、リーチ変動作動を実行しない場合には、ハズレ図柄乱数テーブルMから選択したハズレ図柄乱数値Ma,Mb,Mcに基づいてハズレ図柄を決定し、通常停止パターンをセットする。
【0046】
一方、当り特別乱数テーブルKからの乱数値が「7」(通常確率時)等の当り乱数値であると、当該当り特別乱数値と同時期に、当り図柄乱数テーブルLから選択した当り図柄乱数値を有効として大当り図柄態様を構成する特別図柄A,B,Cの組合せを決定する。そして、所定の処理行程に従って後述する変動時間短縮回数データを所定処理内容に従ってセットする。さらに、リーチ態様乱数テーブルQから選択したリーチ態様乱数値Qに基づいてリーチパターンをセットし、変動時間をセットする。
【0047】
変動時間がセットされると、特別図柄始動条件が成立し、特別図柄A,B,Cを上述のセットした各パターンに従って変動開始して所定時間経過後に特別図柄A,B,Cを停止して、特別図柄処理を終了する。この場合に、再変動乱数テーブルWの乱数値が図柄再生行程を実行すべきこととなっている場合には、一旦、仮停止図柄乱数テーブルXからの乱数値に基づき、所定の大当り図柄態様を仮停止した後、さらに再変動して、当り図柄乱数テーブルLから選択した当り図柄乱数値に従って、所定の当たり図柄態様を確定表示することとなる。
【0048】
さらには、前記特別図柄始動スイッチS1のON作動に基づき、主制御用中央制御装置CPUは、演算処理して賞球指令信号を払出制御基板65に発信すると共に、賞球作動に連動する賞球音の発生指令信号を音源制御基板63に、賞球ランプ等の発生指令信号を光源制御基板64にそれぞれ発信する。
【0049】
主制御基板60から賞球指令信号を受信した払出制御基板65は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて払出制御用中央制御装置CPUにて演算処理を行い、その結果に従って賞球ユニットのソレノイドを作動させて所定数量の賞球を払い出す。
【0050】
これと同期して、賞球音の発生指令信号を受けた音源制御基板63は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて音源制御用中央制御装置CPUにて演算処理を行い、その結果に従ってスピーカより所定の賞球音を上記賞球の払出時に合わせて出力する。
【0051】
同時に光源制御基板64でも、受信した賞球ランプの発生指令信号に従って光源制御用中央制御装置CPUが記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて演算処理を行い、その結果に従って所定の発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を点灯、点滅させる。
【0052】
次に、特別図柄A,B,Cの組合せを大当り図柄態様で確定表示する場合に実行する特別遊技作動について説明する。
特別図柄A,B,Cの組合せ態様を大当り図柄態様で確定表示すると、主制御基板60は、以下の賞球形態の特別遊技作動を実行する。すなわち、図柄表示装置16の図柄表示領域17上で開始ディレーを表示実行し、その後、盤面中継基板61を介して大入賞口ソレノイドを駆動して、大入賞口23を開放する。そして、大入賞口23に遊技球が流入し、この大入賞口23内の特定領域スイッチS3やカウントスイッチS4がON作動すると、その信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が確認し、必要に応じて、図柄表示制御基板62や払出制御基板65に制御指令を発信する。
【0053】
すなわち、サウンドジェネレータがファンファーレを発すると共に、大入賞口ソレノイドが駆動し、開閉片24を前方に傾動して大入賞口23を開放し、開閉ラウンドを実行する。そして、大入賞口23の特定領域に遊技球が流入し、特定領域スイッチS3がON作動した時は、次の開閉ラウンドへの移行条件が充足され、一旦開閉片24が閉鎖駆動して、一ラウンドを終了する。そして、その動作終了後に再び大入賞口23を開放して、次の開閉ラウンドへ移行する。一方、所定制限時間(30秒)が経過するか、この所定制限時間内で、特定領域スイッチS3とカウントスイッチS4による遊技球の入賞検知が10個となると、大入賞口23が閉鎖する。このような開閉ラウンドを最大15回繰り返し、遊技者に所定の利得を供与する。そして、一連の可変入賞装置25の開閉作動が終了すると、図柄表示装置16の図柄表示領域17上で終了ディレーを表示実行し、その後特別遊技作動を終了する。
【0054】
次に普通図柄x,yの変動態様について概説する。
遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過すると、普通図柄始動スイッチS2がON作動する。そして、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUが普通図柄始動スイッチS2のON作動を認識すると、普通図柄表示部で、普通図柄x,yが変動開始する。この普通図柄x,yは、上述のように、「7」又は「−」のいずれかを表示する。一方、この普通図柄x,yが変動中に、又は普通電動役物18の開放動作中に、普通図柄始動スイッチS2が遊技球通過を検出すると、主制御基板60の記憶装置RAMにその遊技球検出が記憶され、普通図柄始動記憶数表示装置21の発光ダイオードLEDが点灯してその記憶数(普通図柄始動記憶数)を遊技者に報知する。なお、普通図柄始動記憶数表示装置21の最大記憶数は四個であり、それ以上の個数は無効とされる。
【0055】
この普通図柄x,yの変動停止後、又は普通電動役物18の開放動作終了後に、普通図柄始動記憶数表示装置21に表示された普通図柄始動記憶数の記憶消化に基づいて普通図柄x,yは再び変動開始する。そして、所定時間経過すると変動が停止し、x=y=「7」であれば当りとなる。そしてさらに、当りとなると普通電動役物18が拡開作動を開始する。
【0056】
次に、本発明について詳述する。
上述の大当り図柄態様が、奇数の場合は、確変大当り図柄態様となって、特別遊技作動の終了後に、該付加利得が実行される。一方、大当り図柄態様が、偶数の場合は、通常大当り図柄態様となって、上述した各付加利得は、通常供与されない。すなわち、利得図柄態様種としては、確変大当り図柄態様と通常大当り図柄態様の2種類がある。
この確変大当り図柄態様で、供与される付加利得としては、
▲1▼ 特別図柄の大当たり確率の変更
次の大当り図柄態様が確定表示されるまで、大当り図柄態様の表出確率を向上させる特別図柄の高確率とするものである。ここで、高確率は、大当り確率が1/60(通常確率1/300)となる。
▲2▼ 特別図柄の変動時間の短縮
特別図柄の変動時間短縮とは、特別図柄A,B,Cを停止表示するための図柄生成行程に要する平均行程時間(特別図柄A,B,Cの変動開始から停止するまでの時間)が通常10秒であるものを5秒に短縮するものである。この場合に、特別図柄始動記憶の記憶消化が促進されることとなるから、比較的短時間に大当り図柄態様が表出することとなる。
▲3▼ 普通図柄の変動時間の短縮
普通図柄の変動時間短縮は、普通図柄x,yの変動時間の短縮をいい、例えば、通常状態では、30秒間であるのが、6秒間の変動時間となる。この場合には、普通図柄始動記憶の記憶消化が促進されることとなるから、普通電動役物18の拡開作動機会が増える。
▲4▼普通電動役物の開放時間の延長
普通電動役物18の開閉翼片26の拡開時間の延長は、通常では0.5秒であるのが、2秒に延長される。このように開閉翼片26の拡開時間が延長されると、特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し易くなる。
次に本発明の要部に係る作動態様につき説明する。
大当り図柄態様が一旦仮停止した後、再変動して確定し、他の大当り図柄態様に再生する図柄再生行程が、再変動乱数テーブルWの抽選により選択的に実行される。なお、確定される図柄態様は大当り図柄乱数Lによりあらかじめ定められている。
【0057】
ここで、再変動する場合には、該再変動前に所定大当り図柄態様で一旦仮停止することとなるが、その図柄態様は仮停止図柄乱数テーブルXにより定められる。ここで仮停止図柄乱数Xは、「1」〜「8」までの8コマからなり、その選定により、「222」,「444」,「666」,「888」のいずれかの通常大当り図柄態様、または、「111」,「333」,「555」,「777」のいずれかの確変大当り図柄態様が選択され、この図柄態様で仮停止することとなる。そして、この仮停止後に、再変動して、特別当り図柄乱数Lによりあらかじめ決定された大当り図柄態様に確定停止することとなる。
【0058】
このように、図柄が変動開始し、当り乱数により、大当りとなる場合には、再変動乱数テーブルWの抽選結果に従って、図柄再生行程を実行し、仮停止図柄乱数テーブルXにより選定された図柄態様により仮停止する。そして、さらに再変動し、特別当り図柄乱数Lにより決定された図柄態様で大当りとなる。ここで、本発明にあっては、仮停止図柄乱数テーブルXの抽選結果と、特別当り図柄乱数テーブルLの抽選結果とを比較して、その相対関係に基づいて、特別遊技作動(大当り作動)満了後に付与される付加利得を、補填又は修正するようにしているものである。これには次の態様がある。
【0059】
イ) 確変大当り図柄態様で仮停止した後、通常大当り図柄態様で確定した場合
再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に低い利得図柄態様種の大当り図柄態様に降格した場合である。例えば、図3(a)で示すように、3図柄列が「777」で大当たり表示となり、その後、3図柄が同期変動して図柄再生行程が実行され、「222」となり図柄が最終確定した場合に相当する。通常大当り図柄態様「222」にあっては、通常、特別遊技作動終了後に、付加利得が供与されないが、この場合には、特別遊技作動終了後に、補填付加利得が付与される。
【0060】
この補填付加利得としては、特別図柄の変動時間を、所定変動回数を限度として短縮したり、高確率を所定変動回数を限度として付与する等が提案される。さらには、所定変動回数を限度として普通図柄の変動時間短縮、普通電役の開放時間延長を実行すること等が提案される。いずれも、失われる利得の補填であるから、確変大当り図柄態様で与えられる付加利得よりも低い利得が設定されることとなる。すなわち、上述した確変大当り図柄態様が一旦表示されたにもかかわらず、図柄再生行程で、通常大当り図柄態様となってしまった場合には、付加利得が低減することとなって、遊技者に失望感を与えてしまう。そこで、その失われた利益を少しでも償うために、補填付加利得を供与するものである。
【0061】
この補填付加利得として、例えば付加利得▲1▼〜▲4▼の一部が与えられる。その付与形態の具体例としては、次の態様が提案される。これらの態様のうち、二種以上が複合的に実行されるようにしても良い。
a) 特別遊技作動終了後に、特別図柄大当たり確率(▲1▼)を所定回数を限度として高確率にする(例えば30回)。
b) 特別遊技作動終了後に、特別図柄変動時間(▲2▼)を所定回数を限度として短縮する(例えば50回)。
c) 特別遊技作動終了後に、普通図柄の変動時間(▲3▼)を所定回数を限度として短縮すると同時に
d) 特別遊技作動終了後に、普通電動役物の開口時間(▲4▼)を延長する(例えば80回)
e) 特別遊技作動終了後に、降格変動での大当たり後は特別図柄の始動記憶限度数を所定回数を限度として上げる(例えば変動回数100回に達するまでは4個から8個に変更)。
f) 特別遊技作動終了後に、特別図柄表示装置における予告を実行する。(所定回数を限度として、降格変動は予告表示許可期間、それ以外は予告表示禁止期間とする)
上述の各態様は、二種以上の補填付加利得が複合的に実行されるようにしても良い。
また、図柄再生行程の変動前後の相対関係の程度差などに基づいて、補填付加利得が変化するようにしても良い。例えば、変動前の確変大当り図柄態様の内容ごとに、補填付加利得を変えることが考えられる。例えば、確変大当り図柄態様「777」から通常大当り図柄態様に変化した場合には、上述の補填付加利得a)〜d)のすべてが供与され、確変大当り図柄態様「333」からの変化では、補填付加利得a),b)が供与され、その他の確変大当り図柄態様「111」,「555」からの変化では、補填付加利得a)のみが供与されるようにする。
または、変動後の通常大当り図柄態様の内容ごとに、補填付加利得を変えても良い。例えば、通常大当り図柄態様「888」で確定すると、補填付加利得a)〜d)のすべてが供与され、通常大当り図柄態様「666」で確定すると、補填付加利得a),b)が供与され、その他の通常大当り図柄態様「444」,「222」で確定すると、補填付加利得a)のみが供与されるようにする。
さらにまた、変動前の確変大当たる図柄態様と、変動後の通常大当り図柄態様との相対的変化により、供与される補填付加利得を決めても良い。例えば、図柄の数値が高くなる場合には、より大きな補填付加利得を与えるようにする等が提案される。
【0062】
ロ)通常大当り図柄態様で仮停止した後、確変大当り図柄態様で確定した場合
特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に高い利得図柄態様種の大当り図柄態様に昇格した場合に、特別遊技作動終了後に、予め定められた付加利得を低減するようにしたものとするものである。すなわち、再変動により、付加利得が向上することとなる場合には、その利益格差を緩和するために、再変動しても、確変大当り図柄態様が維持される場合に比して、付加利得を低減させるものである。これにより、利得の調和が達成される。
【0063】
ここで図3(b)は、昇格例を示す。すなわち、3図柄列が「222」で大当たり表示となり、その後3図柄同期変動する再変動で「777」となり図柄が最終確定したような場合である。このように昇格した場合には、確変大当り図柄態様だった場合による付加利得(▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼)の利益の一部を削る。
【0064】
ハ)変動後に大当り図柄態様種に変化がなかった場合
遊技制御手段の制御内容が、再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される利得図柄態様種に変化が無い場合に、特別遊技作動終了後に、賞球と直接関係しない補填付加利得を付与するようにしたものとすることもできる。かかる構成にあっては、利得図柄態様種に変化がないことを、新たな価値として捉えて、利得を供与するものである。
【0065】
ここで図4(c)は、その例を示す。すなわち、3図柄列が「222」で大当たり表示となり、その後3図柄同期変動する再変動で「666」となり図柄が最終確定したような場合である。この場合には、再変動の前後において、いずれも通常当たり図柄態様であり、昇格又は降格が無い。この場合の補填付加利得として、大当たり後に特別の表示態様に変える。この場合遊技状態は変わらないが遊技をする上であった方がいいと思われる補助的表示を許可する等が提案される。而して、上述した構成により、図柄再生行程での利得図柄態様種の変遷に対する遊技者の注意と期待感を醸成できる。
【0066】
ニ)再変動しなかった場合
ここで図4(d)は、その例を示す。すなわち、3図柄列が「222」で大当たり表示となり、再変動せずにそのまま確定した場合である。この場合にも、これを新たな価値として捉えて、付加利得を供与するようにしても良い。例えば、大当たり表示後に再変動しなかったので始動記憶限度数を所定回数を限りとして上げる(例えば変動回数100回に達するまでは4個から8個に変更)等が提案される。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、大当りとなる場合に図柄再生行程が実行されるものにあって、再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の相対関係により、特別遊技作動終了後に付与される付加利得を変化させるようにしたから、再変動後の大当り図柄態様の相対関係が新たな価値要素となって、その相対関係による遊技者の新たな喜怒哀楽を醸成することができ、遊技をさらに面白いものとすることができる。また図柄再生行程に対する遊技者の注意力が高まり、該図柄再生行程の意義が向上する。
【0068】
ここで、上述の制御内容としては、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が異なる複数の利得図柄態様種により区分される大当り図柄態様を有し、再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の利得図柄態様種の相対関係により、特別遊技作動終了後に付与される付加利得を変化させるようにしたものであるから、利得図柄態様種による利得結果を、図柄再生行程での相対関係により、付加利得を補填したり是正することができる。
【0069】
かかる構成にあって、再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に低い利得図柄態様種の大当り図柄態様に降格した場合に、特別遊技作動終了後に、補填付加利得を付与するようにした場合にあっては、その降格により付加利得が低減することとなっても、その失われた利益が補填付加利得の供与により償われ、遊技者の失望感を緩和できて、遊技への挑戦意欲を保全できる。このため、従来の図柄生成行程では、遊技者の落胆を避けるために、付加利得が相対的に低い利得図柄態様種への再生は行われていなかったが、補填付加利得を付与することにより、遊技者の落胆を緩和できる結果、このような低い利得図柄態様種への再生も実現可能となり、多様な図柄再生行程を演出することが可能となる。
【0070】
また、再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に高い利得図柄態様種の大当り図柄態様に昇格した場合に、特別遊技作動終了後に、予め定められた付加利得を低減するようにした構成にあっては、その利益格差が緩和され、利得の調和が達成される。
【0071】
さらにまた、遊技制御手段の制御内容が、再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される利得図柄態様種に変化が無い場合に、特別遊技作動終了後に、賞球と直接関係しない補填付加利得を付与するようにした場合には、利得図柄態様種に変化がないことが新たな価値となり、これに対する遊技者の新たな期待感を醸成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機1の正面図である。
【図2】遊技盤7の拡大正面図である。
【図3】図柄生成行程(a),(b)を示す説明図である。
【図4】図柄生成行程(c),(d)を示す説明図である。
【図5】遊技制御手段などを示すブロック回路図である。
【符号の説明】
7 遊技盤
16 特別図柄表示装置
25 可変入賞装置
W 再変動乱数テーブル
X 仮停止図柄乱数テーブル

Claims (4)

  1. 複数の選出図柄を図柄表示領域上に変動表示する図柄表示装置と、遊技球の通過を検知する図柄始動領域とを遊技領域上に設け、図柄表示装置上で、選出図柄を変動後停止して図柄確定する一連の図柄生成行程を実行する図柄制御手段を備え、図柄始動領域への遊技球通過を契機として、該図柄制御手段を介して図柄生成行程を実行するとともに、選出図柄の組合せが大当り図柄態様で確定表示されることを契機として、所定の賞球形態を発生することとなる特別遊技作動を実行する制御内容を具備する遊技制御手段を具備するパチンコ遊技機において、
    前記遊技制御手段は、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が異なる複数の利得図柄態様種により区分される大当り図柄態様を有し、大当り図柄態様で一旦仮停止した後、再変動させることにより他の大当り図柄態様に再生する図柄再生行程を実行すると共に、図柄再生行程での再変動前と、再変動後の大当り図柄態様の利得図柄態様種の相対関係が、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に低い利得図柄態様種の大当り図柄態様に降格した場合、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に高い利得図柄態様種の大当り図柄態様に昇格した場合、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される利得図柄態様種に変化が無い場合のいずれかである場合に応じて、特別遊技作動終了後に付与される付加利得を変化させる制御内容を具備するものであるパチンコ遊技機。
  2. 遊技制御手段の制御内容を、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に低い利得図柄態様種の大当り図柄態様に降格した場合に、特別遊技作動終了後に、補填付加利得を付与するようにした請求項1記載のパチンコ遊技機。
  3. 遊技制御手段の制御内容を、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される付加利得が相対的に高い利得図柄態様種の大当り図柄態様に昇格した場合に、特別遊技作動終了後に、予め定められた付加利得を低減するようにした請求項1又は請求項2記載のパチンコ遊技機。
  4. 遊技制御手段の制御内容を、図柄再生行程での再変動後に、特別遊技作動終了後に付与される利得図柄態様種に変化が無い場合に、特別遊技作動終了後に、賞球と直接関係しない補填付加利得を付与するようにした請求項1乃至請求項3のいずれか 1 項に記載のパチンコ遊技機。
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