JP3934999B2 - オレフィン重合用触媒、オレフィンの重合方法、該方法によって得られるエチレン系重合体およびその用途 - Google Patents
オレフィン重合用触媒、オレフィンの重合方法、該方法によって得られるエチレン系重合体およびその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒、この触媒を用いたオレフィンの重合方法、該重合方法によって得られる低分子量エチレン系重合体およびこれらの低分子量エチレン系重合体の用途に関し、さらに詳しくは高い重合活性を有する新規オレフィン重合用触媒、この触媒を用いたオレフィンの重合方法、これによって得られる分子量分布が狭く、主鎖末端位のビニルまたはビニリデン基含有率の高い低分子量エチレン系重合体およびこれらの変性体、ならびにこれらの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からエチレン重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体などのオレフィン重合体を製造するための触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、およびバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒が知られている。
【0003】
また、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することのできる触媒としてジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒が知られている。
さらに最近新しいオレフィン重合触媒として、特開平11−315109号は、サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物が記載され、この錯体は高いオレフィン重合活性を示すことが記載されている。さらに特開2001−2731号において、該遷移金属化合物を用いることによって製造できる、片末端に二重結合を含有する新規な低分子量エチレン系重合体、片末端二重結合の変性体、及びそれらの用途(トナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤)について記載されている。
【0004】
しかしながらこれらの用途においてより高い性能を発揮させる為、及び更に別の用途に使用する為には、重合体主鎖の片末端位の二重結合(以下の説明では、この二重結合のことを「片末端二重結合」と呼ぶことがある。)の含有率をより高くすることが求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れたオレフィン重合活性を有する新規オレフィン重合用触媒、および該遷移金属化合物を用いて重合するに際し、高い重合活性で、低分子量のポリマーを生成する重合方法を提供する事を目的としている。
さらに本発明は、高い割合で片末端二重結合を有する低分子量エチレン系重合体、及びその片末端二重結合を特定の変性剤と処理することによって得られる変性体、及びこれら低分子量エチレン系重合体と変性体の用途を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1のオレフィン重合触媒は、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物からなることを特徴とする。
【0007】
【化4】
【0008】
式中、Mは周期律表4〜5族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
R1は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'H2n'+1, n'=1〜5)または水素原子を示し、
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0009】
上記第1のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(I)で表わされる遷移金属化合物において、Mが周期表第4族の遷移金属原子であり、mが2であり、nが2であり、R1が炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'H2n'+1, n'=1〜5)または水素原子であることが好ましい。
また第1のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(I)で表わされる遷移金属化合物において、Mがジルコニウム原子であり、R1がメチル基、エチル基または水素原子であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る第2のオレフィン重合触媒は、(A)下記一般式(II)で表される遷移金属化合物からなることを特徴とする。
【0011】
【化5】
【0012】
式中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員環の脂環式炭化水素基、
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0013】
上記第2のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(II)で表わされる遷移金属化合物において、Mが周期表第4族の遷移金属原子であり、mが2であり、nが2であり、R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
また第2のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(II)で表わされる遷移金属化合物において、Mがジルコニウム原子であり、R1が1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る第3のオレフィン重合触媒は、(A)下記一般式(III)で表される遷移金属化合物からなることを特徴とする。
【0015】
【化6】
【0016】
式中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の少なくとも1つ以上の炭素を共有する2環性炭化水素基を示し、
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0017】
上記第3のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(III)で表わされる遷移金属化合物において、Mが周期表第4族の遷移金属原子であり、mが2であり、nが2であり、R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の1つまたは2つの炭素を共有する2環性炭化水素基であることが好ましい。
【0018】
また第3のオレフィン重合用触媒は、(A)前記一般式(III)で表わされる遷移金属化合物において、R1が1つまたは複数の置換基を有していてもよい、炭素数4〜20の2つの炭素を共有する2環性炭化水素基であることが好ましい。
また第3のオレフィン重合用触媒においては、(A)前記一般式(III)で表わされる遷移金属化合物において、Mがジルコニウム原子であり、R1が1つまたは複数の置換基を有していてもよい、炭素数5〜20の2つの炭素を共有する橋かけ2環性脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
【0019】
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、(A)前記一般式(I)、(II)または(III)で表わされる遷移金属化合物と、(B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなることが好ましい。
【0020】
本発明のオレフィン重合方法は前記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、少なくとも1種以上のオレフィンを重合することを特徴としている。
本発明で製造する低分子量エチレン系重合体は、片末端にビニル又はビニリデン型の二重結合を含み、エチレン単独、もしくはエチレンと炭素数3〜10のα-オレフィンからなる低分子量エチレン系(共)重合体である。本発明に用いられる炭素数3〜10のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上が用いられる。この中でも特にプロピレン、1−ブテンが好ましい。
【0021】
本発明の低分子量エチレン系重合体中の、エチレンに由来する構造単位は81〜100mol%、好ましくは90〜100mol%、特に好ましくは94〜100mol%である。一方炭素数3〜10のα−オレフィンに由来する構造単位は、0〜19mol%、好ましくは0〜10mol%、より好ましくは0〜6mol%である。
【0022】
本発明の低分子量(共)重合体の135℃、デカリン中で測定した極限粘度(〔η〕)は、0.39dl/g以下、好ましくは0.25dl/g以下である。本発明の低分子量エチレン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が7000以下、好ましくは5000以下である。
【0023】
本発明の低分子量エチレン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、1.1〜2.5であり、好ましくは1.2〜2.2の範囲にある。
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)はミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロルベンゼン(和光純薬)及び酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは東ソー社製を用いた。
【0024】
本発明の低分子量エチレン系重合体中の、1H-NMRまたはIRで測定されたビニルまたはビニリデン型の二重結合の割合(以下の説明では、この割合を「二重結合含有率」または「片末端ビニル化率」と呼称する場合がある。)は、全片末端の90%以上であり、より好ましくは94%以上である。
1H-NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒としての重水素化ベンゼンを少量含むオルトジクロルベンゼンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、テトラメチルシランのピークを0ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
【0025】
エチレンのみからなる低分子量重合体中の二重結合含有率は、1H-NMRによって決定される。該重合体の各水素のピークは、末端の飽和メチル基に基づくピーク(A)が0.65〜0.85ppm、ビニル基に基づくピーク(B)および(C)が各々4.85〜5.0ppmと5.5〜5.8ppmに観測される。各ピーク(A)、(B)および(C)のピーク面積を各々SA、SBおよびSCとすれば、二重結合含有率(U%)は、下記式にて算出される。
【0026】
【数1】
【0027】
なお、上式において分子は、末端ビニル基に基づくピークの面積量を示し、分母は末端メチル基に基づくピークの面積量を示す。一方、エチレンとα−オレフィンとからなる共重合体の末端ビニル基および末端ビニリデン基は特開2001−2731号において開示した方法によって定量される。
本発明に係る低分子量エチレン系共重合体は、重合体主鎖の片側末端ビニルまたは末端ビニリデン基を、エポキシ化剤、スルホン化剤、無水マレイン酸およびその誘導体、ヒドロホウ素化剤、有機アルミニウム水素化物、シリル化剤、ハロゲン化剤から選ばれる少なくとも1種の化合物で処理することによって、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、ハロゲン含有基またはスズ含有基に変性することが可能である。本発明で変性剤として用いるエポキシ化剤としては、蟻酸−過酸化水素(H2O2)、m−クロロ過安息香酸等がある。スルホン化剤としては、硫酸−無水酢酸がある。ヒドロホウ素化剤としては、ジボラン、トリメチルボラン、9−ボランビシクロ[3.3.1]ノナン等がある。有機アルミニウム水素化物としては、ジイソブチルアルミニウムハイドライドがあげられる。シリル化剤としてはトリエトキシシリルハイドライド/H2PtCl2、トリメトキシシシリルハイドライド/H2PtCl2がある。ハロゲン化剤としては、臭化水素、塩化水素、ヨウ化水素等があげられる。
【0028】
これらの変性剤による具体的変性条件(温度、時間、触媒種、触媒量等の詳細条件)については、Die Makromolecular Chemie Makromolecular Symposia 48/49, 317-332, 1991に記載された条件に準拠すること可能である。
例えば、末端を無水マレイン酸で変性した酸素含有基をもつオリゴマー、およびアミド基およびアミン基を含有したオリゴマーなどは、チクソトロピー付与などのための塗料添加剤および顔料分散剤に適する。また、ケイ素含有基やスズ含有基などをもつオリゴマーは、ポリ塩化ビニル滑剤への用途およびエンジニアリングプラスチックなどの滑剤、紙処理剤などに適する。
【0029】
本発明に係る塗料改質剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この塗料改質剤は、艶消し効果に優れ、塗膜の耐摩耗性を向上させる。具体的には、木工塗料に高級感を付与し、耐久性を向上させる。
本発明に係る艶出し剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この艶出し剤は、光沢に優れ、塗膜物性を向上させる。具体的にはカーワックス、フロアーポリッシュの性能を向上させる。
【0030】
本発明に係る樹脂成型用離型剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この離型剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂への離型性を付与する。このため、樹脂の成型サイクル向上を図ることが可能である。
本発明に係るゴム加工助剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この助剤は、離型性、流動性に優れ、フィラー及び顔料の分散性を向上させる。具体的には、成型サイクル、押出し特性を向上させる。
【0031】
本発明に係る紙質向上剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この紙質向上剤は、防湿性、光沢、表面硬度、耐ブロッキング性、耐摩耗性を向上させる。具体的には高級感を付与し、耐久性を向上させる。
本発明に係るインキ用耐摩耗性向上剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この耐摩耗性向上剤は、インキ表面に耐摩耗性、耐熱性を付与する。具体的には、インキの鮮度を向上させる。
【0032】
本発明に係る繊維加工助剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この助剤は、繊維の樹脂加工時に柔軟性、滑性を付与する。具体的には、高速縫製性、引裂強度を向上させる。
本発明に係るホットメルト添加剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この添加剤は、ホットメルト接着剤への耐熱性、流動性を付与する。具体的には耐熱要求分野(自動車、建材)での品質を向上させる。
【0033】
本発明に係る電気絶縁剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この電気絶縁剤は、電気的性質に優れ、軟化点を向上させる。具体的には、フィルムコンデンサーの電気絶縁特性を向上させる。
本発明に係る天然ワックスの配合剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この配合剤は、表面硬度、軟化点を向上させる。具体的には、クレヨン、ローソクの性能を向上させる。
【0034】
本発明に係るポリオレフィンフィルムの防曇剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この防曇剤は、樹脂との相溶性に優れ、樹脂表面へのブリードアウトを抑制する。具体的にはフィルムの耐久性を向上させる。
本発明に係るトナー用離型剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。このトナー用離型剤は、定着ロールへの耐オフセット性を付与する。具体的には、画像鮮明性を向上させる。
【0035】
本発明に係る顔料分散剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この顔料分散剤は、各種顔料との濡れに優れ、持続性を向上させる。具体的には、高濃度のマスターバッチを可能にさせる。
本発明に係る塩化ビニル樹脂用滑剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この滑剤は、滑剤のバランスに優れ、持続性がある。具体的には、生産性を向上させ、消費電力の節減に繋がる。
【0036】
さらにこのようにして合成した低分子量エチレン系共重合体、またはその変性体は、マクロモノマーとして、単独に重合、またはエチレンおよび炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくても1種のオレフィンと共重合が可能であり、またカップリング反応に用いることもができる。この際に用いられる炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、前記の低分子量エチレン系重合体の製造時に使用されるα−オレフィンを例示することができる。低分子量エチレン系重合体またはその変性体をマクロモノマーとして用いて得られる重合体は新しい骨格を持つ新規ポリマーであり、これ自体で、あるいはこれを含む樹脂組成物として様々な用途で利用される。例えば、エチレンと共重合させることで、分岐鎖数と分岐部分の分子量を自在に制御した長鎖分岐型のポリエチレンを製造できる。さらに、エチレン/α−オレフィンの共重合において非晶性重合体を製造する際に、ポリエチレンのマクロモノマーを共重合することで、ポリマー分子中に非晶性と結晶性部分を共存させることが可能となり、高性能の共重合体が製造できる。また、この共重合体はポリプロピレン樹脂用改質剤として用いることもでき、ポリプロピレン樹脂に対して、たとえば1〜30重量部の割合で配合することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0038】
本発明に係るオレフィン重合触媒は、(A)前記一般式(I)、(II)、(III)で表される遷移金属化合物、あるいは、(A)前記一般式(I)、(II)、(III)で表される遷移金属化合物と、(B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されている。
(A)遷移金属化合物
本発明に係る第一のオレフィン重合触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0039】
【化7】
【0040】
(なお、ここでN……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(I)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
【0041】
mは1〜4の整数を示し、好ましくは1〜2であり、特に好ましくは2である。
R1は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'H2n'+1, n'=1〜5)または水素原子を示す。R1の炭素数1〜5の直鎖炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。
【0042】
R1として、より好ましくは、メチル基、エチル基、及び水素原子である。
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0043】
炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、 t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0044】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0045】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
【0046】
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0047】
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0048】
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
【0049】
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR2〜R6の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、 t-ブトキシ基などが挙げられる。
【0050】
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
【0051】
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
【0052】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。 アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
【0053】
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
【0054】
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、より好ましくはこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜20のアリール基で置換した基であるフェニルエチル基、ジフェニルメチル基、クミル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、更にアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0055】
R2〜R6 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mが2以上の場合には、R2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0056】
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0057】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0058】
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
イオウ含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
窒素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
ケイ素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0063】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0064】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
本発明で用いられる第二のオレフィン重合触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(II)で表される化合物である。
【0066】
【化8】
【0067】
(なお、ここでN……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(II)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
【0068】
mは1〜4の整数を示し、好ましくは1〜2であり、特に好ましくは2である。
R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい3〜5員環の脂環式炭化水素基を示す。脂環式炭化水素基として具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基が挙げられる。
【0069】
R1の置換基としては特に制限はないが、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基から選ばれる基であるか、それらの基を含有する炭化水素基または炭化水素置換シリル基が挙げられる。
【0070】
上記R1に有していても良い置換基として、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、エトキシエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、などが挙げられる。
【0071】
上記R1の置換基を2つ以上有する3〜5員環の脂環式炭化水素基においては、2つ以上の置換基の位置に特に制限はない。
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0072】
炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、 t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;
フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0073】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0074】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
【0075】
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0076】
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0077】
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
【0078】
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR2〜R6の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、 t-ブトキシ基などが挙げられる。
【0079】
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
【0080】
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
【0081】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
【0082】
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
【0083】
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
本発明では、R6としては特に、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の分岐状アルキル基、より好ましくはこれらの基の水素原子を炭素原子数が6〜20のアリール基で置換した基であるフェニルエチル基、ジフェニルメチル基、クミル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、更にアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、または炭化水素置換シリル基であることも好ましい。
【0084】
R2〜R6 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
また、mが2以上の場合には、R2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0085】
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0086】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0087】
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
イオウ含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
窒素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
ケイ素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0092】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0093】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
本発明に係る第三のオレフィン重合用触媒を構成する(A)遷移金属化合物は、下記一般式(III)で表される化合物である。
【0095】
【化9】
【0096】
(なお、ここでN……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(III)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
【0097】
mは1〜4の整数を示し、好ましくは1〜2であり、特に好ましくは2である。
R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の1つ以上の炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
【0098】
好ましくは、R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数4〜20の2つの炭素を共有する2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
【0099】
より好ましくは、R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよい炭素数5〜20の2つの炭素を共有する橋かけ2環性脂肪族炭化水素基であり、2環性脂肪族炭化水素基として具体的には、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2.]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、などが挙げられる。
【0100】
特に好ましくは、R1は、1つまたは複数の置換基を有していてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプタンである。
R1の置換基としては特に制限はないが、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基から選ばれる基であるか、それらの基を含有する炭化水素基または炭化水素置換シリル基が挙げられる。
【0101】
上記R1に有していても良い置換基として、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、エトキシエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、シアノメチル基、シアノエチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、などが挙げられる。
【0102】
上記R1の置換基を2つ以上有する2環性炭化水素基においては、2つ以上の置換基の位置に特に制限はない。
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
また、mが2以上の場合にはR2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく、
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0103】
炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、 t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0104】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0105】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
【0106】
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0107】
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0108】
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
【0109】
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR2〜R6の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、 t-ブトキシ基などが挙げられる。
【0110】
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
【0111】
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
【0112】
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
【0113】
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
【0114】
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
R2〜R6 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0115】
また、mが2以上の場合には、R2〜R6で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
【0116】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0117】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0118】
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
イオウ含有基としては、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
窒素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
ケイ素含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0123】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R2〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0124】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、(A)上記一般式(I)、(II)、(III)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0126】
【化10】
【0127】
【化11】
【0128】
【化12】
【0129】
【化13】
【0130】
【化14】
【0131】
【化15】
【0132】
【化16】
【0133】
【化17】
【0134】
【化18】
【0135】
【化19】
【0136】
【化20】
【0137】
【化21】
【0138】
【化22】
【0139】
【化23】
【0140】
【化24】
【0141】
【化25】
【0142】
【化26】
【0143】
【化27】
【0144】
【化28】
【0145】
【化29】
【0146】
【化30】
【0147】
なお、上記例示中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n−Prはノルマルプロピル基を、i−Prはイソプロピル基を、n−Buはノルマルブチル基を、i−Buはイソブチル基を、t−Buはターシャリーブチル基を、Adはアダマンチル基を、Phはフェニル基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、ジルコニウム金属をチタン、ハフニウムに置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0148】
まず、遷移金属(A)を構成する配位子は、サリチルアルデヒド類化合物を、第1級アミン類化合物(R1−NH2、R1は前記と同義)、例えばアルキルアミン類化合物と反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が良好な収率で得られる。配位子化合物を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンスタークにより脱水しながら行うと、反応進行に効果的である。
【0149】
次に、こうして得られた配位子を遷移金属M含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキシド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物等の金属化合物と低温で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキシド塩を調製する際に使用する塩基としては、n−ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等を例示することができるが、この限りではない。
【0150】
また、化合物の性質によっては、フェノキシド塩調製を経由せず、配位子と金属化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1〜R6の一つ以上が水素である場合には、合成の任意の段階において、水素以外の置換基を導入することができる。
【0151】
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子と金属化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
(B−1)有機金属化合物
本発明で用いられる(B-1) 有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(B-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)n Hp Xq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(B-1b) 一般式 M2 AlRa 4
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(B-1c) 一般式 Ra Rb M3
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3 はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
【0152】
前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra m Al(ORb)3-m
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlX3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlH3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m Al(ORb )n Xq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0153】
(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ t-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i-C4H9)x Aly(C5H10)z
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0154】
また(B-1a)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2 などを挙げることができる。
前記(B-1b)に属する化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4 などを挙げることができる。またその他にも、(B-1) 有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0155】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
(B-1) 有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような(B-1) 有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0156】
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0157】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0158】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0159】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0160】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0161】
【化31】
【0162】
式中、R7は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
前記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸と有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0163】
【化32】
【0164】
(式中、R7は前記と同じ基を示す。)
前記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0165】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0166】
上記のような (B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0167】
具体的には、ルイス酸としては、BR3 (Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0168】
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0169】
【化33】
【0170】
式中、R9としては、H+ 、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
R10〜R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
【0171】
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0172】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
R9としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0173】
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0174】
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0175】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VII)または(VIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0176】
【化34】
【0177】
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0178】
【化35】
【0179】
ボラン化合物として具体的には、たとえば
デカボラン;
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0180】
カルボラン化合物として具体的には、たとえば 4-カルバノナボラン、1,3-ジカルバノナボラン、6,9-ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン、2,7-ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-トリメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0181】
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できるが、この限りではない。
【0182】
上記のような (B-3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明に係る遷移金属化合物を触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
【0183】
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて後述するような担体(C)を用いることもできる。
(C)担体
本発明で用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0184】
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2 、SiO2-V2O5 、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。
【0185】
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2 、Al(NO3)3 、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していてもさしつかえない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0186】
無機塩化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0187】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(HPO4)2、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ―Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0188】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
【0189】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0190】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0191】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0192】
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
【0193】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
(D)有機化合物成分
本発明において、(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
【0194】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R14−OHで表されるものが使用され、ここで、R14は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R14がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'-位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0195】
カルボン酸としては、通常、R15−COOHで表されるものが使用される。R15は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
燐化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。スルホン酸塩としては、下記一般式(IX)で表されるものが使用される。
【0196】
【化36】
【0197】
式中、Mは周期表1〜14族の元素である。
R16は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
【0198】
次に、本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1) 成分(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2) 成分(A)をおよび成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3) 成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4) 成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5) 成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0199】
上記(2) 〜(5) の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
【0200】
また、上記の成分(C)に成分(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。
【0201】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0202】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(B-1)は、成分(B-1)と、成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(B-3)は、成分(B-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0203】
成分(D)は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、モル比〔(D)/(B-1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B-2)の場合には、モル比〔(D)/(B-2)〕が通常0.01〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合なは、モル比(D)/(B-3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0204】
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0205】
前述した本発明に係る低分子量エチレン系重合体は、上記プロセスによって得られる。また、この重合体における末端二重結合は変性されていてもよい。
本発明に係るトナー用離型剤は、本発明に係る末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体からなるものである。この離型剤は、結着樹脂(a)および着色剤(b)、ならびに必要に応じて帯電制御剤などとともに静電荷像現像用のトナーの成分として用いられる。この離型剤の数平均分子量は、300ないし2000の範囲、好ましくは400ないし1000の範囲である。
【0206】
上記の結着樹脂(a)は、静電荷像の現像材に一般的に配合される熱可塑性樹脂からなるものであれば、いずれでもよく、特に制限されない。例えば、スチレン樹脂、スチレン−アクリルエステル酸共重合体、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらの中では、適当な軟化点(90℃〜120℃)で定着性が良いスチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル芳香族樹脂、およびエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0207】
上記(b)の着色剤は、静電荷像の現像材に一般的に配合されるものであればいずれでもよく、特に制限されない。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、アルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、ランプブラック、ローズベンガル、ジアゾイエロー、ローダミンBレーキ、カーミン6B、キナクリドン誘導体等の顔料または染料が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組合せても用いられる。
【0208】
本発明のトナー用離型剤の配合割合は、通常、結着樹脂/着色剤/帯電制御剤/本発明の離型剤の比が、重量比で100/1〜10/0〜5/0.5〜40程度であり、好ましくは100/1〜6/0.5〜2/10〜20である。
本発明に係る顔料分散剤は、本発明に係る末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体からなるものである。この分散剤は、顔料と混合し、次に被着色樹脂と混合した後、押出機により混練および造粒し、ドライカラー、カラーコンパウンドまたはマスターバッチとして使用される。上記顔料分散剤の配合割合は、顔料100重量部に対して通常25ないし200重量部、好ましくは50ないし150重量部の範囲である。数平均分子量は、1000ないし5000の範囲であり、好ましくは1500ないし3000の範囲である。使用し得る被着色樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABSなどのスチレン系樹脂、ビスフェノール−Aとホスゲンから得られるポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂およびフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0209】
特に、本発明の顔料分散剤は、熱可塑性樹脂に対して好適に用いることができる。
使用し得る顔料は、従来から合成樹脂の着色に知られている全ての顔料に使用することが出来る。顔料として具体的に例示すると、アルミニウム、銀、金など金属類;炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ZnO、TiO2などの酸化物;Al2O3・nH2O、Fe2O3・nH2Oなどの水酸化物;CaSO4、BaSO4などの硫酸塩;Bi(OH)2NO3などの硝酸塩;PbCl2などの塩化物;CaCrO4、BaCrO4などのクロム酸塩;CoCrO4などの亜クロム酸塩、マンガン酸塩および過マンガン酸塩;Cu(BO)2などの硼酸塩;Na2U2O7・6H2Oなどのウラン酸塩;K3Co(NO2)6・3H2Oなどの亜硝酸塩;SiO2などの珪酸塩;CuAsO3・Cu(OH)2などのひ酸塩および亜ひ酸塩;Cu(C2H3O2)2・Cu(OH)2などの酢酸塩;(NH4)2MnO2(P2O7)2などの燐酸塩;アルミ酸塩、モリブデン酸塩、亜鉛酸塩、アンチモン酸塩、タングステン酸塩セレン化物、チタン酸塩、シアン化鉄塩、フタル酸塩、CaS、ZnS、CdSなどの無機顔料、コチニール・レーキ、マダー・レーキなどの天然有機顔料、ナフトール・グリーンY、ナフトール・グリーンBなどのニトロソ顔料;ナフトールエローS、ピグメント・クロリン2Gなどのニトロ顔料;パーマネント・レッド4R;ハンザエロー、ブリリアント・カーミン68、スカーレット2Rなどのアゾ顔料;マラカイン・グリーン、ローダミンBなどの塩基性染料レーキ、アシツド、グリーンレーキ、エオシン・レーキなどの酸性染料レーキ、アリザリン・レーキ、プルプリン・レーキ、などの媒染染料レーキ、チオ・インジゴ・レッドB、インタンスレン・オレンジなどの建染染料顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料などの有機顔料などが挙げられる。
【0210】
本発明の顔料分散剤は、ドライカラー法による着色、カラーコンパウンド法による着色またはマスターバッチ法による着色のいずれかの方法による着色にも利用できるが、なかでもマスターバッチ法に特に好ましく利用することができる。
本発明に係るポリ塩化ビニル樹脂用滑剤は、本発明に係る末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体からなるものである。本発明の滑剤を用いたポリ塩化ビニル組成物において、滑剤の配合割合はポリ塩化ビニル100重量部に対し、0.05重量部ないし5重量部の範囲で、好ましくは0.1重量部ないし3重量部である。また、滑剤として用いられる重合体は、数平均分子量が400ないし4000重量部の範囲にあり、好ましくは500ないし1000重量部の範囲であり、さらに、末端を変性した変性体を用いる場合には、この変性体の酸価が2ないし70の範囲にあり、好ましくは、酸価10から50の範囲である。変性体の酸価が70以上のときは、滑剤の初期滑性が低下し、10以下では粘着性防止効果が低下する。また、滑剤の数平均分子量が400以下では金属に対する粘着性防止効果が劣り、4000以上では、初期および後期全般で滑性が低下する。また、滑剤の配合量割合においては、0.05重量部以下では滑性効果が不足し、5重量部以上では滑性が過剰になり、組成物の可塑化が困難になる。
【0211】
上記の変性体を滑剤として使用するために、本発明に係る低分子量エチレン系重合体の重合体鎖の片側末端ビニル基またはビニリデン基含有オリゴマーを変性するモノマーとして、不飽和カルボン酸またはその無水物が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、3-シクロヘキセンカルボン酸、4-シクロヘキセンカルボン酸、5-ノルボルネン-2・3-ジカルボン酸などを挙げることが出来る。
【0212】
本発明のポリ塩化ビニル樹脂添加剤を含むポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル、またはポリ塩化ビニルにポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、MBS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタアクリレートなどを混合したものであっても差し使えない。また、これらの組成物には、さらに耐熱安定剤を配合してもよい。
【0213】
使用しうる耐熱安定剤としては、ポリ塩化ビニル樹脂に対し安定化効果を示すものであれば何でもよく、例えば、鉛化合物、カドミウム化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、有機スズ化合物、エポキシ化合物、キレーター等およびこれらの混合物が使用される。
本発明に係る滑剤を含むポリ塩化ビニル組成物は、さらに他の滑剤、充填剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、耐候安定剤を含んでいてもよい。
【0214】
本発明に係る滑剤を含む組成物は、初期滑性が優れるため、金属に対する粘着性が軽減され、安定に成形でき、連続運転を長時間にわたって、行うことができる。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は、ワックスなどの公知の低分子量ポリエチレンが用いられる用途に広く利用することができる。この際には、必要に応じて種々の添加剤を添加して用いることもできる。
【0215】
たとえば本発明に係る低分子量エチレン系重合体を塗料改質剤として用いると、塗膜表面を改質することができ、たとえば艶消し効果に優れ、塗膜の耐摩耗性を向上させることができ、木工塗料に高級感を付与することができ、耐久性を向上させることができる。
また本発明に係る低分子量エチレン系重合体をカーワックス、フロアーポリッシュなどの艶出し剤として用いると、光沢に優れ、塗膜物性を向上させることができる。
【0216】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は樹脂成形用離型剤として好適であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に離型性を付与して成形サイクルを向上させることができる。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体はゴムとの相溶性に優れており、ゴムに離型性を付与し、粘度調整をするゴム加工助剤として好適であり、ゴム加工助剤として用いたときにはフィラーおよび顔料の分散性を向上させ、ゴムに離型性、流動性を付与するのでゴム成形時の成形サイクル、押出特性を向上させることができる。
【0217】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は紙の滑性、表面改質を改良する紙質向上剤として好適であり、紙質向上剤として用いたときには、防湿性、光沢、表面硬度、耐ブロッキング性、耐摩耗性を向上させることができ、紙に高級感を付与し、耐久性を向上させることができる。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体はインキ用耐摩耗性向上剤として好適であり、耐摩耗性向上剤として用いたときには、インキ表面の耐摩耗性、耐熱性を向上させることができる。
【0218】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は繊維加工助剤として好適であり、繊維を樹脂加工する際に繊維加工助剤として用いたときには、繊維に柔軟性、滑性を付与することができる。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体はホットメルト添加剤として好適であり、ホットメルト接着剤に耐熱性、流動性を付与することができる。自動車、建材などの耐熱性が要求される分野でのホットメルト接着剤の品質を向上させることができる。
【0219】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は電気絶縁剤として好適であり、たとえばフィルムコンデンサーの電気絶縁性、耐熱的を向上させることができる。
本発明に係る低分子量エチレン系重合体はクレヨン、ローソクなどの天然ワックスへの配合剤として好適であり、表面硬度および軟化点を向上させることができる。
【0220】
本発明に係るオレフィンの重合方法により、良好な重合活性を示し、また分子量分布の狭い重合体を得ることができる。さらに、2種以上のオレフィンを共重合したときに、組成分布が狭いオレフィン共重合体を得ることができる。
【0221】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、合成例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H-NMR(日本電子 GSH-270)、FD-質量分析(日本電子 SX-102A)等を用いて決定した。
【0222】
また、本実施例において、極限粘度([η])は、135℃、デカリン中で測定した。
(1)配位子の合成
〔配位子L-1の合成〕
合成例
充分に乾燥、アルゴン置換した30mlの反応器に、3-t-ブチルサリチルアルデヒド2.02g(10.9mmol)、トルエン10ml、メチルアミン0.86g(40%水溶液、11.1mmol)を仕込み、室温で24時間攪拌した。この反応溶液を減圧濃縮して下記式 L-1で示される黄色オイル2.05g(収率99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
1.43(s,9H),3.46(s,3H),6.79(t,1H),7.07-7.32(m,2H),8.32(s,1H), 14.1(s,1H)
【0223】
【化37】
【0224】
以下同様の方法で対応するフェノール化合物とアルキルアミン化合物より配位子L-2〜L-5を合成した。
〔配位子L-2の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
0.95(s,2H),0.97(s,2H),1.42(s,9H),2.93(m,1H),6.79(t,1H),7.05-7.29(m,2H),8.47(s,1H),13.3(s,1H)
〔配位子L-3の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.47(s,9H),1.77-1.94(m,2H),2.16-2.33(m,2H),2.35-2.41(m,2H),4.04-4.16(m,1H),6.79(t,1H),7.06-7.32(m,2H),8.23(s,1H),14.2(s,1H)
〔配位子L-4の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.44(s,9H),1.65-1.98(m,8H),3.73-3.78(m,1H),6.79(t,1H),7.06-7.31(m,2H),8.33(s,1H),14.1(s,1H)
〔配位子L-5の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.18-1.29(m,3H),1.48(s,9H),1.52-1.62(m,2H),1.69-1.79(m,1H),1.82-1.89(m,1H),2.22-2.39(m,2H),3.29-3.32(m,1H),6.79(t,1H),7.08-7.32(m,2H),8.29(s,1H),14.1(s,1H)
【0225】
【化38】
【0226】
〔配位子L-6の合成〕
合成例
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、3-クミル-5-メチルサリチルアルデヒド3.89g(15.0mmol)、トルエン30ml、メチルアミン1.75g(40%水溶液、22.5mmol)を仕込み、室温で5時間攪拌した。この反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記式 L-6で示される黄色オイル3.87g(収率97%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
1.69(s,6H),2.34(s,3H),3.33(s,3H),6.93-7.29(m,7H),8.21(s,1H),13.5(s,1H)
【0227】
【化39】
【0228】
以下同様の方法で対応するフェノール化合物とアルキルアミン化合物より配位子L-7〜L-10を合成した。
〔配位子L-7の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.79(s,6H),3.38(s,3H),7.15(t,1H),7.20-7.40(m,4H),7.43(t,2H),7.61(d,2H),7.76(d,1H),8.37(s,1H),13.9(s,1H)
〔配位子L-8の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.59-2.35(m,8H),1.73(s,6H),2.35(s,3H),3.62-3.67(m,1H),6.92-7.27(m,7H),8.23(s,1H),13.3(s,1H)
〔配位子L-9の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.12-2.26(m,17H),2.32(s,3H),3.19-3.23(m,1H),6.91-7.25(m,7H),8.18(s,1H),13.1(s,1H)
〔配位子L-10の合成結果〕
1H-NMR(CDCl3):
1.66(s,6H),1.70(s,6H),3.31(s,3H),6.98-7.34(m,12H),8.21(s,1H),13.6(s,1H)
【0229】
【化40】
【0230】
(2)遷移金属化合物の合成
【0231】
【合成例1】
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、化合物L-1 1.52g(7.79mmol)とジエチルエーテル30mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム5.0ml(n-ヘキサン溶液、1.56M、7.80mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で3時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに2時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体1.48g(3.92mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液30mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン30mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈させ、減圧乾燥することにより下記式(1)で示される黄色粉末の化合物を1.54g(収率72%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
1.54(s,18H),3.37(s,6H),6.92(t,2H),7.18-7.58(m,4H),8.15(s,2H)
FD-質量分析:542
【0232】
【化41】
【0233】
【合成例2】
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、化合物L-2 1.25g(4.00mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.50ml(n-ヘキサン溶液、1.6M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン10mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルとヘキサンで再沈させ、減圧乾燥することにより下記式(2)で示される黄色粉末の化合物を0.88g(収率56%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
0.48-0.98(m,8H),1.41(s,18H),3.25(m,2H),6.90(t,2H),7.19-7.55(m,4H),8.49(s,2H)
FD-質量分析:594
【0234】
【化42】
【0235】
【合成例3】
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、化合物L-3 1.26g(5.34mmol)とジエチルエーテル25mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム3.5ml(n-ヘキサン溶液、1.56M、5.46mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で3時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに2時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体1.00g(2.66mmol)のテトラヒドロフラン溶液25mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン20mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンとヘキサンで再沈させ、減圧乾燥することにより下記式(3)で示される黄色粉末の化合物を0.18g(収率11%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
1.43-2.22(m,30H),4.52(bs,2H),6.93(t,2H),7.25-7.64(m,4H),8.27(s,2H)
FD-質量分析:622
【0236】
【化43】
【0237】
【合成例4】
充分に乾燥、アルゴン置換した50mlの反応器に、化合物L-4 0.99g(4.00mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.63ml(n-ヘキサン溶液、1.52M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン40mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンとヘキサンで再沈させ、減圧乾燥することにより下記式(4)で示される黄色粉末の化合物を0.97g(収率75%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
1.18-1.65(m,34H),2.16(bs,2H),6.91(t,2H),7.18-7.57(m,4H),8.28(s,2H)
FD-質量分析:650
【0238】
【化44】
【0239】
【合成例5】
充分に乾燥、アルゴン置換した50mlの反応器に、化合物L-5 1.10g(4.00mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.50ml(n-ヘキサン溶液、1.6M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン20mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルとヘキサンで再沈させ、減圧乾燥することにより下記式(5)で示される黄色粉末の化合物を1.13g(収率81%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
0.85-1.87(m,34H),2.16-2.28(m,4H),3.85-4.12(m,2H),6.92(t,2H),7.19-7.59(m,4H),8.32-8.41(m,2H)
FD-質量分析:702
【0240】
【化45】
【0241】
【合成例6】
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、化合物L-6 1.12g(4.00mmol)とジエチルエーテル25mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.58ml(n-ヘキサン溶液、1.55M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mol)を含むテトラヒドロフラン溶液25mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン50mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をn-ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(11)で示される黄色粉末の化合物を1.10g(収率79%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
0.86-1.91(m,18H),2.35(s,6H),6.92-7.52(m,14H),7.78(s,2H)
FD-質量分析:694
【0242】
【化46】
【0243】
【合成例7】
充分に乾燥、アルゴン置換した50mlの反応器に、化合物L-7 1.38g(4.19mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.64ml(n-ヘキサン溶液、1.59M、4.19mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.79g(2.09mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン60mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(12)で示される黄色粉末の化合物を1.12g(収率65%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):1.79(s,12H),2.40(s,,6H),6.90-7.80(m,24H),7.98(s,2H)
FD-質量分析:818
【0244】
【化47】
【0245】
【合成例8】
充分に乾燥、アルゴン置換した50mlの反応器に、化合物L-8 1.35g(4.00mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.56ml(n-ヘキサン溶液、1.56M、5.46mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン40mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化ジエチルエーテルとn−ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(13)で示される黄色粉末の化合物を1.14g(収率71%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
0.95-1.81(m,16H),1.69(s,6H),1.90(s,6H),2.36(s,6H),3.54-3.62(m,2H),6.95-7.46(m,14H),8.02(s,2H)
FD-質量分析:802
【0246】
【化48】
【0247】
【合成例9】
充分に乾燥、アルゴン置換した50mlの反応器に、化合物L-9 1.39g(4.00mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.56ml(n-ヘキサン溶液、1.56M、4.00mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.76g(2.00mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン40mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルとn−ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(14)で示される黄色粉末の化合物を1.16g(収率68%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):
0.80-2.41(m,40H),3.27-3.32(m,2H),6.96-7.45(m,14H),8.12(s,2H)
FD-質量分析:854
【0248】
【化49】
【0249】
【合成例10】
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、化合物L-10 1.31g(3.50mmol)とジエチルエーテル20mlを仕込み、-78℃に冷却し攪拌した。これにn-ブチルリチウム2.38ml(n-ヘキサン溶液、1.59M、3.78mmol)を5分かけて滴下し、そのままの温度で2時間攪拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間攪拌してリチウム塩を調整した。この溶液を、-78℃に冷却したZrCl4(THF)2錯体0.66g(1.75mmol)のテトラヒドロフラン溶液20mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で12時間攪拌した後、反応液を溶媒留去した。得られた固体を塩化メチレン20mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテルとn-ヘキサンで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(15)で示される黄色粉末の化合物を0.22g(収率14%)を得た。
1H-NMR(CDCl3):1.57-2.32(m,30H),6.94-7.57(m,24H),7.77(s,2H)
FD-質量分析:902
【0250】
【化50】
【0251】
【実施例1】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(1)を0.00025mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、1.31gであり、重合活性は62.9kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2750、Mw/Mn=1.65、極限粘度[η]は0.12dl/g、片末端ビニル化率90.5mol%であった。
【0252】
【化51】
【0253】
【実施例2】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(2)を0.0002mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、0.64gであり、極限粘度[η]は0.19dl/gであった。
【0254】
【化52】
【0255】
【実施例3】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(3)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、0.25gであり、極限粘度[η]は0.10dl/gであった。
【0256】
【化53】
【0257】
【実施例4】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(4)を0.0001mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、0.97gであり、重合活性は116.4kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=3800、Mw/Mn=1.75、極限粘度[η]は0.15dl/g、片末端ビニル化率92mol%であった。
【0258】
【化54】
【0259】
【実施例5】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(5)を0.0002mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、1.39gであり、極限粘度[η]は0.17dl/gであった。
【0260】
【化55】
【0261】
【比較例1】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(6)を0.0005mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、1.85gであり、重合活性は44.4kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=9500、Mw/Mn=1.85、極限粘度[η]は0.41dl/g、片末端ビニル化率88mol%であった。
【0262】
【化56】
【0263】
【比較例2】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(7)を0.005mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で30分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、2.15gであり、極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
【0264】
【化57】
【0265】
【比較例3】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(8)を0.0005mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で30分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、2.07gであり、極限粘度[η]は0.48dl/gであった。
【0266】
【化58】
【0267】
【比較例4】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(9)を0.0002mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で30分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、1.09gであり、重合活性は65.4kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=13800、Mw/Mn=1.87、極限粘度[η]は0.44dl/g、片末端ビニル化率84mol%であった。
【0268】
【化59】
【0269】
【比較例5】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(10)を0.005mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で15分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、2.47gであり、極限粘度[η]は0.61dl/gであった。
【0270】
【化60】
【0271】
【実施例6】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(11)を0.000005mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、0.40gであり、重合活性は960kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2880、Mw/Mn=1.65、[η]=0.15dl/g、片末端ビニル化率=94.3mol%であった。
【0272】
【実施例7】
充分に窒素置換した内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mlを装入し、室温でエチレン100リットル/hrで15分間、液相及び気相を飽和させた。続いて80℃に昇温した後、エチレン8kg/cm2-Gに昇圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、ついで化合物(11)のトルエン溶液(0.00003mmol/ml)1ml(0.00003mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガスを連続的に供給しながら圧力を保ち、80℃で15分間重合を行った後、5mlのメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたエチレン重合体は9.73gであり、重合活性は1297kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2720、Mw/Mn=1.60、[η]=0.14dl/g、片末端ビニル化率=94.0mol%であった。
【0273】
【実施例8】
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cm2G加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで化合物(11)のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたエチレン重合体は18.8gであり、重合活性は376kg/mmol−Zr・hr、Mw=2230、Mw/Mn=1.52、[η]=0.12dl/g、片末端ビニル化率=94.2mol%であった。
【0274】
【化61】
【0275】
【実施例9】
下記ジルコニウム化合物(12)を0.00002mmol加えた以外は実施例6と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、1.98gであり、重合活性は1185kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2430、Mw/Mn=1.63、極限粘度[η]は0.11dl/g、片末端ビニル化率=94.1mol%であった。
【0276】
【実施例10】
下記ジルコニウム化合物(12)を0.000003mmol加えた以外は実施例7と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、11.2gであり、重合活性は1490kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2350、Mw/Mn=1.63、極限粘度[η]は0.12dl/g、片末端ビニル化率=96.0mol%であった。
【0277】
【実施例11】
下記ジルコニウム化合物(12)を0.0001mmol加えた以外は実施例8と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、18.9gであり、重合活性は378kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2050、Mw/Mn=1.52、極限粘度[η]は0.10dl/g、片末端ビニル化率=94.6mol%であった。
【0278】
【化62】
【0279】
【実施例12】
下記ジルコニウム化合物(13)を0.000005mmol加えた以外は実施例6と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、0.86gであり、重合活性は2069kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=3120、Mw/Mn=1.68、極限粘度[η]は0.19dl/g、片末端ビニル化率=94.0mol%であった。
【0280】
【化63】
【0281】
【実施例13】
下記ジルコニウム化合物(14)を0.00005mmol加えた以外は実施例6と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、0.75gであり、重合活性は1793kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2850、Mw/Mn=1.78、極限粘度[η]は0.15dl/g、片末端ビニル化率=94.5mol%であった。
【0282】
【化64】
【0283】
【実施例14】
下記ジルコニウム化合物(15)を0.0002mmol加えた以外は実施例6と同様に重合をおこなった。得られたポリエチレンは、0.16gであり、重合活性は97kg/mmol−Zr・hrであり、Mw=2850、Mw/Mn=1.78、極限粘度[η]は0.13dl/g、片末端ビニル化率=96.2mol%であった。
【0284】
【化65】
【0285】
【比較例6】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器に、トルエン250mlを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(16)を0.00001mmol加え重合を開始した。エチレンを100リットル/hrで連続的に供給し、常圧下、25℃で5分間重合を行った後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を少量の塩酸を含む1リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。得られたポリエチレンは、1.71gであり、重合活性は2057kg/mmol−Zr・hr、Mw=9600、Mw/Mn=2.11、であり、極限粘度[η]は0.48dl/g、片末端ビニル化率=86.2mol%であった。
【0286】
【実施例15】
200mlのガラス製フラスコに、実施例4で得られたポリエチレン0.5gと、n−デカン90ml、ジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘプタン溶液(1.0mmol/ml)1.19ml(1.09mmol)を加え、100℃で7時間攪拌した。続いて100℃に保ったまま、乾燥空気を100L/hで6時間流通した。反応生成物を少量の塩酸を含むメタノール/アセトン混合溶液(1.5L/1.5L)に加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。末端ヒドロキシル化ポリエチレンを得た。
【0287】
【実施例16】
300mlのガラス製フラスコに、実施例7で得られたエチレン重合体5gと、トルエン100mlを加え、窒素雰囲気下で110℃に昇温した。続いてm−クロロ過安息香酸0.34gを加え3時間攪拌した。反応後、生成物をメタノール800mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。末端ヒドロキシル化ポリエチレンを得た。
【0288】
【実施例17】
300mlのガラス製フラスコに、実施例8で得られたエチレン重合体15gと、無水マレイン酸2.7gを加え、窒素雰囲気下200℃で6時間反応を行った。過剰の未反応無水マレイン酸を減圧(10mmHg)下、1時間で取り除き、末端無水マレイン化ポリエチレンを得た。
【0289】
【実施例18】
300mlのガラス製フラスコに、実施例11で得られたポリエチレン5gと、キシレン100ml、硫酸1.47g、無水酢酸3.79gを加え100℃で3時間反応を行った。反応後、生成物をメタノール800mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。末端スルホン化ポリエチレンを得た。
【0290】
【実施例19】
十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器にメジチレン250ml、実施例12で得られたポリエチレン4.5gを加え、エチレンを100L/hrで流通しながら常圧で140℃に昇温した。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、ジメチルシリル(1-(2-メチルー4,5―ベンズインデニル))(9-(2,7-ジtertブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmol加えて重合を開始した。15分後、少量のイソブタノールを加えて反応を停止した。続いて生成物をメタノール2000mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。得られた重合体は10.5gであり、13C-NMR分析によると1000炭素中1.10個の長鎖分岐が含まれていた。
【0291】
【比較例7】
4.5gのポリエチレンを用いなかった以外は実施例19と同様に重合を行った。得られた重合体は4.9gであり、13C-NMR分析によると1000炭素中長鎖分岐は含まれていなかった。
【0292】
【化66】
【0293】
【発明の効果】
本発明の低分子量エチレン系重合体は、重合体鎖の片側末端に反応性を有するビニル型またはビニリデン型の不飽和結合を有するため、各種変性手法によって、任意の官能基を付与することができる。このような低分子量エチレン系重合体およびその変性体は、高温離型性が優れ、かつ低温定着性が優れたトナー離型剤を提供することができる。また、前記低分子量エチレン系重合体およびその変性体は、顔料分散性にすぐれた顔料分散剤や初期滑性に優れたポリ塩化ビニル樹脂用滑剤を提供することができる。さらに、塗料改質剤、艶出し剤など多くの有用な組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物とからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
mは、1〜4の整数を示し、
R1は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基(Cn'H2n'+1, n'=1〜5)または水素原子を示し、
R2〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アリールアルコキシ基、アセトキシ基、アリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、ハロゲン原子を示す。) - R2〜R6が、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下において、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
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