JP2015182992A - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒、および、オレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1](A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物。
R1〜R5およびR6〜R13のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
[2]前記Mが周期律表第4族の遷移金属原子であり、nが4である[1]に記載の遷移金属化合物(A)。
[3][1]または[2]に記載の遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒。
[4]前記遷移金属化合物(A)に加えて、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および、
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物、
を含む、[3]に記載のオレフィン重合用触媒。
[5][3]または[4]に記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを単独重合または共重合させる、オレフィン系重合体の製造方法。
<遷移金属化合物(A)>
本発明の遷移金属化合物(A)は、下記一般式(1)で表わされる。
ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;
シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
トリル基、iso−プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基;などが挙げられる。
アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;
アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;
ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;
メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;
ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基;
ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられ、
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基などが挙げられ、
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられ、
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられ、
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられ、
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられ、
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基などが挙げられ、
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられ、
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられ、
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられ、
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられ、
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N−メチルスルホンアミド基、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基もしくはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基が好ましい。
上記一般式(I)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;
ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;
フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられる。
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;
フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;
フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;
アセトキシ基;
カルボニル基などが挙げられる。ただし、前記酸素含有基はこれらに限定されるものではない。
メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p−トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;
アルキルチオ基;
アリールチオ基などが挙げられる。ただし、前記イオウ含有基はこれらに限定されるものではない。
メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;
フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。ただし、前記窒素含有基はこれらに限定されるものではない。
トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;
メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);
ホスホン酸基;
ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;
トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;
トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
<オレフィン重合用触媒>
以下、本発明のオレフィン重合用触媒について具体的に説明する。
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)に加えて、(B−1)有機金属化合物、(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含むことが、重合活性の点から好ましい。
本発明で用いられる(B−1)有機金属化合物として、具体的には下記の一般式(B−1a)で表わされる有機アルミニウム化合物、一般式(B−1b)で表わされる周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、および一般式(B−1c)で表わされる周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。なお、(B−1)有機金属化合物には、後述する(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は含まないものとする。
上記一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
M3AlRc 4 (B−1b)
上記一般式(B−1b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
RdReM4 (B−1c)
上記一般式(B−1c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
Ra pAlY3−p
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
Ra pAlH3−p
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
Ra pAl(ORb)qYs
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
Ra 2.5Al(ORb)0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
本発明で用いられる(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
前記一般式(III)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
(一般式(IV)中、R19は前記一般式(III)におけるR17と同じ基を示す。)
前記一般式(IV)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる、遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
本発明で用いられる担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(C)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(HPO4)2、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
本発明において有機化合物成分(D)は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能(例えば、触媒活性)および生成ポリマーの物性(例えば、生成ポリマーの高分子量化)を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
<オレフィン系重合体の製造方法>
本発明に係るオレフィン系重合体の製造方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを単独重合または共重合することによりオレフィン系重合体を得る。なお、前述のように、本明細書においてオレフィンとは、炭素・炭素二重結合を分子中に一つ有する炭化水素を示す。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)をおよび化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(6)遷移金属化合物(A)と化合物(B)とを担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(7)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(8)化合物(B)を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
(9)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)を担体(C)に担持した成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(10)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物(B)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)を任意の順序重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(11)遷移金属化合物(A)、化合物(B)、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(12)化合物(B)と有機化合物成分(D)をあらかじめ接触させた成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(13)化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(14)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(15)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)、有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(16)遷移金属化合物(A)と化合物(B)を予め接触させた触媒成分、および化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一でも異なっていてもよい。
(17)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物(B)、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(18)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(19)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。
(20)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
(21)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒を重合器に添加する方法。
(22)遷移金属化合物(A)と化合物(B)と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒成分、および化合物(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、化合物(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;
アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;
アクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;
アリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、アリルアニソール等の不飽和エーテル類;
ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;
アクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
アリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;
アリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類;
アリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;
アリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;
アリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、などの官能基含有スチレン誘導体;
および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
(1)配位子の合成
[合成例1]
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド1.52g(6.46mmol)、3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩1.57g(7.17mmol)、トリエチルアミン0.67g(6.65mmol)を入れ、これにトルエン30mLを加えて室温で攪拌しながら、3時間反応させた。不溶物をろ過で取り除き、ろ液を乾固することによって、下記式(1)で示した目的物(以下化合物(1)という)が1.73g(収率71%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.8(1H,s,OH),8.40(1H,s,−C=NH−),7.33(1H,dd,J=7.75Hzand1.69Hz,Ar−H),7.12(1H,dd,J=7.62Hzand1.69Hz,Ar−H),7.14(1H,t,J=7.83Hz,Ar−H),3.75(2H,t,J=5.19Hz,−CH2),3.50(2H,t,J=6.43Hz,−CH2),2.31−2.22(2H,m,−CH2),1.43(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した300mLの反応容器に、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール14.5g(70.5mmol)を入れ、これに酢酸100mLを加えた。氷冷下臭素15.2g(95.1mmol)を15分かけて滴下した後、室温で3.5時間攪拌した。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えてクエンチした後、塩化メチレンで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を乾固することで、下記式(2)で示した目的物(以下化合物(2)という)が19.6g(収率98%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):7.32(1H,d,J=2.23Hz,Ar−H),7.24(1H,d,J=2.27Hz,Ar−H),5.64(1H,s,OH),1.40(9H,s,−C(CH3)3),1.28(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した500mLの反応容器に、合成例2で得られた化合物(2)19.4g(68.1mmol)、2−メトキシフェニルボロン酸11.4g(77.8mmol)、酢酸パラジウム0.25g(1.11mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’、6’−−ジメトキシビフェニル0.19g(0.46mmol)、リン酸カリウム29.3g(137.9mmol)を入れ、これにテトラヒドロフラン100mL、水25mLを加えた。70℃で8時間攪拌した後、反応液を室温まで戻し有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を乾固することで、下記式(3)で示した目的物(以下化合物(3)という)が21.5g(収率99%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):7.38(1H,dd,J=1.81Hzand0.82Hz,Ar−H),7.37−7.35(1H,m,Ar−H),7.33(1H,d,J=2.39Hz,Ar−H),7.14−7.12(1H,m,Ar−H),7.11−7.09(1H,m,Ar−H),7.08(1H,d,J=2.64Hz,Ar−H),6.08(1H,s,OH),3.89(3H,s,OCH3),1.47(9H,s,−C(CH3)3),1.33(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した500mLの反応容器に、合成例3で得られた化合物(3)4.83g(15.0mmol)を入れ、塩化メチレン100mLを加えた。ドライアイス−アセトンで−78℃に冷却し、三臭化ホウ素34.0mL(34.0mmol1M塩化メチレン溶液)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら18時間攪拌した。反応液にゆっくりと水20mLを加えてクエンチした後、水層を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を乾固することで、下記式(4)で示した目的物(以下化合物(4)という)が4.19g(収率91%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):7.39(1H,d,J=2.5Hz,Ar−H),7.35−7.33(1H,m,Ar−H),7.29(1H,d,J=2.06Hz,Ar−H),7.26(1H,d,J=1.90Hz,Ar−H),7.07(1H,d,J=2.72Hz,Ar−H),7.04(1H,d,J=1.28Hz,Ar−H),5.19(1H,s,OH),5.15(1H,s,OH),1.44(9H,s,−C(CH3)3),1.31(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、合成例1で得られた化合物(1)0.71g(2.37mmol)、(4)0.79g(2.65mmol)、炭酸カリウム0.98g(7.11mmol)を入れ、ジメチルホルムアミド15mLを加えた。65℃で15時間攪拌した後、溶媒を留去した。残渣を塩化メチレンで抽出し、水で数回洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製することにより、下記式(5)で示した目的物(以下化合物(5)という)が0.97g(収率69%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.9(1H,bs,OH),8.09(1H,s,−C=NH−),7.39−7.34(3H,m,Ar−H),7.33−7.30(1H,m,Ar−H),7.29−7.27(1H,m,Ar−H),7.12−7.08(2H,m,Ar−H),7.01(1H,dd,J=3.83Hzand1.20Hz,Ar−H),6.80−6.75(1H,m,Ar−H),6.09(1H,bs,OH),4.13(2H,bs,CH2),3.58(2H,t,J=6.72Hz,−CH2),2.16−2.07(2H,m,−CH2),1.47(9H,s,−C(CH3)3),1.41(9H,s,−C(CH3)3),1.33(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、3−クミル−5−メチルサリチルアルデヒド4.37g(17.2mmol)、3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩4.98g(22.8mmol)、トリエチルアミン1.75g(17.3mmol)を入れ、これにトルエン30mLを加えて室温で攪拌しながら、3時間反応させた。不溶物をろ過で取り除き、ろ液を乾固することによって、下記式(6)で示した目的物(以下化合物(6)という)が6.32g(収率98%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.1(1H,s,OH),8.29(1H,s,−C=NH−),7.30(1H,d,J=2.06Hz,Ar−H),7.25−7.21(3H,m,Ar−H),7.18−7.10(2H,m,Ar−H),6.97(1H,d,J=1.52Hz,Ar−H),3.63(2H,dt,J=6.43Hzand0.99Hz,−CH2),3.38(2H,t,J=6.39Hz,−CH2),2.34(3H,s,−CH3),2.20−2.10(2H,m,−CH2),1.72(6H,s,Ar−C−(CH3)2)ppm
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、合成例6で得られた化合物(6)1.04g(2.77mmol)、2−ヨードフェノール0.67g(3.04mmol)、炭酸カリウム1.24g(8.97mmol)を入れ、これにN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて、50℃で攪拌しながら2時間反応させた。不溶物をろ過で取り除き、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(7)で示した目的物(以下化合物(7)という)が1.23g(収率約87%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.3(1H,s,OH),8.32(1H,s,−C=NH−),7.75(1H,dd,J=7.75Hzand1.65Hz,Ar−H),7.29−7.21(6H,m,Ar−H),7.16−7.10(1H,m,Ar−H),6.93(1H,d,J=1.77Hz,Ar−H),6.74(1H,dd,J=8.24Hzand1.32Hz,Ar−H),6.68(1H,dd,J=7.50Hzand1.36Hz,Ar−H),4.00(2H,t,J=5.89Hz,−CH2),3.76(2H,t,J=6.68Hz,−CH2),2.33(3H,s,−CH3),2.18−2.08(2H,m,−CH2),1.72(6H,s,Ar−C−(CH3)2)ppm
充分に乾燥、窒素置換した200mLの反応器に、水素化ナトリウム(油性)2.43g(60wt%、60.8mmol)を仕込み、氷冷下で4−tert−ブチルフェノール6.02g(40.1mmol)をテトラヒドロフラン60mLに溶解させた溶液をカニュラーでゆっくり滴下した。室温で3時間攪拌した後、氷冷下でクロロメチルメチルエーテル4.10mL(54.5mmol)を加えた。室温で2時間攪拌した後、水を加えて反応をクエンチした。酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を乾固することによって、下記式(8)で示した目的物(以下化合物(8)という)が7.67g(収率約98%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):7.31(2H,dd,J=6.68Hzand2.14Hz,Ar−H),6.97(2H,dd,J=6.72Hzand2.23Hz,Ar−H),5.16(2H,s,−OCH2OCH3),3.48(3H,s,−OCH2OCH3),1.30(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した500mLの反応器に、合成例8で得られた化合物(8)10.7g(54.9mmol)とテトラヒドロフラン200mLを仕込み、n−ブチルリチウム溶液45.0mL(ヘキサン溶液、1.60M、72.0mmol)を加えた。室温で2時間攪拌した後−78℃に冷却し、トリメトキシボラン9.50mL(85.4mmol)を15分かけて滴下した。室温まで昇温しながら一晩攪拌した後、この反応混合物の溶媒を留去することで、黄色オイル状残渣を得た。この残渣に、3,5−ジ−tert−ブチルブロモベンゼン14.9g(55.4mmol)、酢酸パラジウム0.38g(1.70mmol)、リン酸三カリウム(K3PO4)35.0g(165mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル1.364g(3.32mmol)、テトラヒドロフラン100mL、蒸留水25mLを仕込み、オイルバス中で5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、水を加えて反応をクエンチした。酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(9)で示した目的物(以下化合物(9)という)が12.3g(収率58%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):7.41−7.35(4H,m,
Ar−H),7.31(1H,dd,J=8.49Hzand2.56Hz,Ar−H),7.14(1H,d,J=8.61Hz,Ar−H),5.08(2H,s,−OCH2OCH3),3.39(3H,s,−OCH2OCH3),1.37(18H,s,−C(CH3)3),1.34(9H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応器に、合成例9で得られた化合物(9)0.93g(2.43mmol)とテトラヒドロフラン10mLを仕込み、n−ブチルリチウム溶液2.40mL(ヘキサン溶液、1.60M、3.84mmol)を加えた。室温で2時間攪拌した後−78℃に冷却し、トリメトキシボラン0.41mL(3.69mmol)を15分かけて滴下した。室温まで昇温しながら一晩攪拌した後、この反応混合物の溶媒を留去することで、黄色オイル状残渣を得た。この残渣に、合成例7で得られた化合物(7)、酢酸パラジウム0.03g(0.12mmol)、リン酸三カリウム(K3PO4)1.68g(7.91mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル0.11g(0.26mmol)、テトラヒドロフラン10mL、蒸留水3mLを仕込み、オイルバス中で6時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、水を加えて反応をクエンチした。酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(10)で示した目的物(以下化合物(10)という)が1.31g(収率71%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.3(1H,s,OH),8.09(1H,s,−C=NH−),7.40(2H,d,J=1.73Hz,Ar−H),7.38−7.35(3H,m,Ar−H),7.27−7.21(7H,m,Ar−H),7.16−7.09(1H,m,Ar−H),7.00(1H,dt,J=7.42Hzand1.07Hz,Ar−H),6.90(1H,d,J=8.32Hz,Ar−H),6.79(1H,d,J=1.90,Ar−H),4.28(2H,s,−OCH2OCH3),3.97(2H,t,J=5.36Hz,−CH2),3.55(2H,t,J=6.39Hz,−CH2),2.52(3H,s,−OCH2OCH3),2.26(3H,s,−CH3),2.06−1.97(2H,m,−CH2),1.70(6H,s,Ar−C−(CH3)2),1.34(9H,s,−C(CH3)3),1.33(18H,s,−C(CH3)3)ppm
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応器に、合成例10で得られた化合物(10)1.31g(1.70mmol)とエタノール10mLを仕込んだ。この反応液にp−トルエンスルホン酸1.04g(5.46mmol)を加え、50℃で7時間攪拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルと蒸留水を加え、有機層、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液にトリエチルアミン0.24mL(1.72mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(11)で示した目的物(以下化合物(11)という)が0.76g(収率62%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3):13.2(1H,bs,OH),7.93(1H,s,−C=NH−),7.42(1H,d,J=1.73Hz,Ar−H),7.39−7.38(2H,m,Ar−H),7.36−7.32(1H,m,Ar−H),7.25−7.06(10H,m,Ar−H),6.97(1H,dd,J=8.20Hzand0.87Hz,Ar−H),6.74(1H,d,J=1.44Hz,Ar−H),5.78(1H,bs,OH),4.02(2H,t,J=6.22Hz,−CH2),3.46(2H,t,J=6.18Hz,−CH2),2.26(3H,s,−CH3),1.69(6H,s,Ar−C−(CH3)2),1.36(9H,s,−C(CH3)3),1.34(18H,s,−C(CH3)3)ppm
[実施例1]
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、四塩化チタン0.70mL(トルエン溶液1M、0.70mmol)を入れ、トルエン5mLを加えた。ドライアイス−アセトンで−78℃に冷却し、合成例5で得られた化合物(5)0.41g(0.80mmol)を含むトルエン溶液5mLを5分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、残渣にn−ヘキサン15mLを加え懸濁液を調整した。不溶物をガラスフィルターでろ別し、得られた固体をn−ヘキサン5mLで洗浄した後、減圧乾燥することで、下記式(A)で示した目的物(以下化合物(A)という)が0.33g(収率75%)得られた。
FD−質量分析(M+):631
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、水素化ナトリウム(油性)0.04g(60wt%、0.93mmol)を入れ、n−ヘキサンで洗浄した。その後合成例5で得られた化合物(5)0.18g(0.36mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液5mLを15分かけて滴下し、室温で2時間攪拌した。この反応液を、ドライアイス−アセトンで−78℃に冷却した四塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体0.13g(0.36mmol)を含むテトラヒドラフラン溶液5mLに10分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、残渣に塩化メチレン15mLを加えしばらく攪拌した後、不溶物をガラスフィルターで取り除き、ろ液を濃縮した。残渣にジエチルエーテル2mL、n−ヘキサン15mLを加え懸濁液を調整した。不溶物をガラスフィルターで濾別し、得られた固体をn−ヘキサン3mLで洗浄した後、減圧乾燥することで、下記式(B)で示した目的物(以下化合物(B)という)が0.07g(収率29%)得られた。
FD−質量分析(M+):675
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、水素化ナトリウム(油性)0.03g(60wt%、0.65mmol)を入れ、n−ヘキサンで洗浄した。その後合成例5で得られた化合物(5)0.13g(0.25mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液5mLを10分かけて滴下し、室温で2時間攪拌した。この反応液を、ドライアイス−アセトンで−78℃に冷却した四塩化ハフニウム0.08g(0.24mmol)を含むテトラヒドラフラン溶液5mLに5分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、残渣に塩化メチレン10mLを加えしばらく攪拌した後、不溶物をガラスフィルターで取り除き、ろ液を濃縮した。残渣にジエチルエーテル2mL、n−ヘキサン10mLを加え懸濁液を調整した。不溶物をガラスフィルターで濾別し、得られた固体をn−ヘキサン3mLで洗浄した後、減圧乾燥することで、下記式(C)で示した目的物(以下化合物(C)という)0.05g(収率28%)得られた。
FD−質量分析(M+):763
充分に乾燥、窒素置換した100mLの反応容器に、水素化ナトリウム(油性)0.10g(60wt%、2.38mmol)を入れ、n−ヘキサンで洗浄した。その後合成例11で得られた化合物(11)0.63g(0.86mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液5mLを15分かけて滴下し、室温で2時間攪拌した。この反応液を、ドライアイス−アセトンで−78℃に冷却した四塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体0.32g(0.86mmol)を含むテトラヒドラフラン溶液5mLに15分かけて滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌した。反応液の溶媒を留去し、残渣に塩化メチレン10mLを加えしばらく攪拌した後、不溶物をガラスフィルターで取り除き、ろ液を濃縮した。残渣にジエチルエーテル2mL、n−ヘキサン20mLを加え懸濁液を調整した。不溶物をガラスフィルターで濾別し、得られた固体をn−ヘキサン5mLで洗浄した後、減圧乾燥することで、下記式(D)で示した目的物(以下化合物(D)という)が0.37g(収率49%)得られた。
FD−質量分析(M+):884
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、実施例4で得られたジルコニウム化合物(D)を0.001mmol加え重合を開始した。
[実施例6]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン50リットル/hr、プロピレン150リットル/hrの混合ガスで液相および気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、実施例1で得られたチタン化合物(A)を0.005mmol加え、共重合を開始した。
[比較例1]
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、トルエン250mLを装入し、エチレン100リットル/hrで液相及び気相を飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、下記ジルコニウム化合物(E)を0.002mmol加え重合を開始した。
Claims (5)
- (A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物。
(上記一般式(I)において、Mは周期律表第4〜6族の遷移金属原子を示す。
R1〜R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、
R1〜R5およびR6〜R13のうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
Xは、Mに結合しており、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
nは、Mの原子価を示す。
Yは、酸素、硫黄、炭素、リン、ケイ素、セレン、スズおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む2価の結合基を示し、炭化水素基である場合には炭素原子2個以上からなる基である。) - 前記Mが周期律表第4族の遷移金属原子であり、nが4である請求項1に記載の遷移金属化合物(A)。
- 請求項1または2に記載の遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒。
- 前記遷移金属化合物(A)に加えて、
(B)(B−1)有機金属化合物、
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および、
(B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物、
を含む、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。 - 請求項3または4に記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを単独重合または共重合させる、オレフィン系重合体の製造方法。
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