JP3945559B2 - オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関し、さらに詳しくは高い重合活性を有するオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
オレフィン重合用触媒としては、いわゆるカミンスキー触媒がよく知られている。この触媒は非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合体が得られるという特徴がある。このようなカミンスキー触媒に用いられる遷移金属化合物としては、例えばビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭58-19309号公報参照)や、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(特開昭61-130314号公報参照)などが知られている。また重合に用いる遷移金属化合物が異なると、オレフィン重合活性や得られたポリオレフィンの性状が大きく異なることも知られている。さらに最近新しいオレフィン重合用触媒としてジイミン構造の配位子を持った遷移金属化合物(国際公開特許第9623010号参照)が提案されている。
【0003】
ところで一般にポリオレフィンは、機械的特性などに優れているため、各種成形体用など種々の分野に用いられているが、近年ポリオレフィンに対する物性の要求が多様化しており、様々な性状のポリオレフィンが望まれている。また生産性の向上も望まれている。
【0004】
このような状況のもとオレフィン重合活性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを製造しうるようなオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法の出現が望まれている。
【0005】
【発明の目的】
本発明は優れたオレフィン重合活性を有するオレフィン重合用触媒および該触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(B)(B-1) 有機アルミニウム化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなることを特徴としている。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、Mは、周期表第4族または第6族から選ばれる遷移金属原子を示し、
Uは、置換基R2を有する炭素原子を示し、
Aは、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは、置換基R3を有する炭素原子を示し、
Sは、置換基R4を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは、置換基R5を有する炭素原子を示し、
mは、2〜6の整数を示し、
R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mが周期表第4族から選ばれる遷移金属原子のときには、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Mが周期表第6族から選ばれる遷移金属原子のときには、R1は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、R2〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、
R1〜R5は、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに連結して環を形成してもよい。)
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
前記遷移金属化合物(A)と、
前記(B-1)有機アルミニウム化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)に加えて、さらに担体(C)を含んでいてもよい。
【0009】
本発明に係るオレフィンの重合方法は、前記のような触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明におけるオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
【0011】
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0012】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
必要に応じて、
(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とから形成されている。
【0013】
まず、本発明のオレフィン重合用触媒を形成する各触媒成分について説明する。
(A)遷移金属化合物
本発明で用いられる(A)遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される。
【0014】
【化3】
【0015】
式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族から選ばれる遷移金属原子であり、特に好ましくは4族または5族から選ばれる遷移金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0016】
なお、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
Aは、窒素原子またはリン原子を示し、好ましくは窒素原子である。
【0017】
なお、A−Mは、一般的にはAと金属Mとの結合を示すが、本発明においては、ピロール基(Aが窒素である場合)が金属Mとη結合をしている場合も含む。)
Uは、置換基R2を有する炭素原子(-(R2)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R2を有する炭素原子またはリン原子であり、さらに好ましくは置換基R2を有する炭素原子である。
【0018】
Qは、置換基R3を有する炭素原子(-(R3)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R3を有する炭素原子である。
Sは、置換基R4を有する炭素原子(-(R4)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R4を有する炭素原子である。
【0019】
Tは、置換基R5を有する炭素原子(-(R5)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R5を有する炭素原子である。
mは、2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数、さらに好ましくは2を示す。
【0020】
R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mが周期表第3〜5族および第7〜11族から選ばれる遷移金属原子のときには、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Mが周期表第6族から選ばれる遷移金属原子のときには、R1は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、R2〜R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。
【0021】
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基などの脂肪族炭化水素基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基などの脂環族炭化水素基、
フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0022】
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、このような炭化水素基としては、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0023】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、このような炭化水素基としては、例えばベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0024】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、スルフォネート基、スルフィネート基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基などで置換されていてもよい。
【0025】
このように炭化水素基は、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基などで置換されていてもよいが、この場合、酸素含有基などの置換基は、その基を特徴づける原子団が、式(I)のNや、U、Q、S、T、A中の炭素原子に直接結合しないことが望ましい。
【0026】
これらのうち、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
【0027】
R1〜R5は、これらのうちの2個以上が互いに連結して、環を形成することもできる。このような環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、インデン環などの縮環基、および前記縮環基上の水素原子がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基で置換された基が挙げられる。
【0028】
ヘテロ環式化合物残基は、基の中にヘテロ原子を1〜5個含む環状の基であり、ヘテロ原子としてはO、N、S、P、Bが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、例えばピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0029】
酸素含有基は、基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。また、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子またはケイ素原子を含み、かつこれらの原子と酸素原子とが直接結合している基も酸素含有基には含まれない。酸素含有基として具体的には、例えばアルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、アルコキシ基、アリーロキシ基、アセトキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などが好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0030】
窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。窒素含有基として具体的には、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられ、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0031】
イオウ含有基は、基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。イオウ含有基として具体的には、例えばメルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、スルフォネート基、スルフィネート基などが挙げられ、スルフォネート基、スルフィネート基、アルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。なおイオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0032】
ケイ素含有基は、基中に1〜5のケイ素原子を含有する基であり、例えば炭化水素置換シリル基などのシリル基、炭化水素置換シロキシ基などのシロキシ基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。なおケイ素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0033】
リン含有基は、基中に1〜5のリン原子を含有する基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。リン含有基として具体的には、例えばホスフィノ基、ホスホリル基、ホスホチオイル基、ホスホノ基などが挙げられる。
【0034】
ホウ素含有基は、基中に1〜5個のホウ素原子を含む基であり、上記ヘテロ環化合物残基は含まれない。ホウ素含有基として具体的には、例えばボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基が挙げられ、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の炭化水素基が1〜2個置換したボリル基または1〜3個置換したボレート基が好ましい。炭化水素基が2個以上置換している場合には、各炭化水素は同一でも異なっていても良い。
【0035】
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
なお上記、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基およびリン含有基は、その基を特徴づける原子団が、式(I)のNや、U、Q、S、T、A中の炭素原子と直接結合するような基であることが好ましい。
【0036】
次に上記で説明したR1〜R5の例について、より具体的に説明する。
酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、p-クロロベンゾイル、p-メトキシベンソイルなどが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニルなどが好ましく例示される。
【0037】
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
【0038】
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N-メチルスルホンアミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
【0039】
スルフォネート基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどが、スルフィネート基としてはメチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどが挙げられる。
【0040】
リン含有基のうち、ホスフィノ基としては、ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどが挙げられ、ホスホリル基としては、メチルホスホリル、イソプロピルホスホリル、フェニルホスホリルなどが挙げられ、ホスホチオイル基としては、メチルホスホチオイル、イソプロピルホスホチオイル、フェニルホスホチオイルなどが挙げられ、ホスホノ基としては、リン酸ジメチル、リン酸ジイソプロピル、リン酸ジフェニルなどのリン酸エステル基、リン酸基などが挙げられる。
【0041】
なお、R1〜R5 は、Mが周期表第3〜5族および第7〜11族から選ばれる遷移金属原子のときには、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であることが好ましく、Mが周期表第6族から選ばれる遷移金属原子のときには、R1が水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であり、R2〜R5が、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であることが好ましい。
【0042】
さらに、R1〜R5 は、Mが周期表第3〜5族および第7〜11族から選ばれる遷移金属原子のときには、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが特に好ましく、Mが周期表第6族から選ばれる遷移金属原子のときには、R1が水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であり、R2〜R5が、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基であることが特に好ましい。
【0043】
特にR5 は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基であることが好ましく、さらに水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基であることが活性の点で好ましい。
【0044】
R5として好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
【0045】
R5 として好ましい炭化水素置換シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。特に好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、イソフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。
【0046】
R1 〜R5 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0047】
また、いずれか一つの配位子に含まれるR1 〜R5 のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1 〜R5 のうちの1個の基とで結合基または単結合を形成してもよく、R1 同士、R2 同士、R3 同士、R4 同士、R5 同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0048】
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0049】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0050】
これらのうち、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
酸素含有基としては、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものなどが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。
【0051】
イオウ含有基としては、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものなどが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。
【0052】
窒素含有基として具体的には、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものなどが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0053】
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す。)などが挙げられる。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)などが挙げられる。
【0054】
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0055】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基などが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものなどが挙げられる。
【0056】
ケイ素含有基として具体的には、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0057】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
【0058】
スズ含有基として具体的には、前記R1 〜R5 で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0059】
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。Xとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、窒素含有基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基がより好ましい。
【0060】
以下に、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
なお、下記具体例においてMは遷移金属原子であり、例えばSc(III)、Ti(III)、Ti(IV)、Zr(III)、Zr(IV)、Hf(IV)、V(IV)、Nb(V)、Ta(V)、Co(II)、Co(III)、Rh(II)、Rh(III)、Rh(IV)を示す。これらのなかでは特に、Ti(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)が好ましい。
【0061】
Xは、例えばCl、Brなどのハロゲン、もしくはメチル等のアルキル基を示す。また、Xが複数ある場合は、これらは同じであっても、異なっていても良い。
【0062】
nは金属Mの価数により決定される。例えば、2種のモノアニオン種が金属に結合している場合、2価金属ではn=0、3価金属ではn=1、4価金属ではn=2、5価金属ではn=3になる。例えば金属がTi(IV)の場合はn=2であり、Zr(IV)の場合はn=2であり、Hf(IV)の場合はn=2である。
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】
このような上記一般式(I)で表される遷移金属化合物としてより具体的な化合物としては、以下のチタン化合物およびこれらの化合物においてチタンをハフニウムまたはジルコニウムに置き換えたものが例示できる。
【0069】
【化9】
【0070】
【化10】
【0071】
また、上記一般式(I)で表され、Mが周期表第6族の遷移金属原子M'である化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0072】
【化11】
【0073】
このような上記一般式(I)で表され、Mが第6族の遷移金属原子である遷移金属化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0074】
【化12】
【0075】
なお、上記例示中、Meはメチル基、Etはエチル基、iPrはi-プロピル基、tBuはtert-ブチル基、Phはフェニル基を示す。
上記一般式(I)で表される遷移金属化合物において、mが2であり、一の配位子に含まれるR1 〜R5 のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1 〜R5 のうちの1個の基とで結合基または単結合を形成している化合物としては、例えば下記一般式(I-a)で表される化合物がある。
【0076】
【化13】
【0077】
式(I-a)中、M、A、Q、S、T、U、R1 〜R5 およびXは、それぞれ上記一般式(I)中のM、A、Q、S、T、U、R1 〜R5 およびXと同義であり、A’はAと同義である。
【0078】
U’は、置換基R12を有する炭素原子(-(R12)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R12を有する炭素原子またはリン原子であり、さらに好ましくは置換基R12を有する炭素原子である。
【0079】
Q’は置換基R13を有する炭素原子(-(R13)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R13を有する炭素原子である。
S’は置換基R14を有する炭素原子(-(R14)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R14を有する炭素原子である。
【0080】
T’は置換基R15を有する炭素原子(-(R15)C=)、窒素原子(-N=)またはリン原子(-P=)を示し、好ましくは置換基R15を有する炭素原子である。
R11〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、R11はR1と同義であり、R12〜R15は、R2〜R5 と同義である。
【0081】
またR1〜R5 およびR11〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、R1〜R5 およびR11〜R15のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基は互いに連結して脂肪族環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよい。
【0082】
Yは、R1 〜R5 から選ばれる少なくとも1つの基と、R11〜R15から選ばれる少なくとも1つの基とで形成される結合基または単結合である。
Yで示される結合基としては、酸素、イオウ、炭素、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズ、ホウ素などの中から選ばれる少なくとも1種の原子を含む基が挙げられ、具体的には−O−、−S−、−Se−などのカルコゲン原子含有基;−NH−、−N(CH3)2 −、−PH−、−P(CH3)2 −などの窒素またはリン原子含有基;−CH2 −、−CH2 −CH2 −、−C(CH3)2 −などの炭素原子数が1〜20の炭化水素基;ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの炭素原子数が6〜20の環状不飽和炭化水素残基;ピリジン、キノリン、チオフェン、フランなどのヘテロ原子を含む炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基;−SiH2−、−Si(CH3)2 −などのケイ素原子含有基、−SnH2 −、−Sn(CH3)2 −などのスズ原子含有基;−BH−、−B(CH3)−、−BF−などのホウ素原子含有基などが挙げられる。
【0083】
また、一般式(I-a)で表される化合物のうち、R1とR11とで結合基または単結合を形成している遷移金属化合物としては、下記一般式(I-b)で表される遷移金属化合物がある。
【0084】
【化14】
【0085】
式(I-b)中、M、A、Q、S、T、U、R2〜R5 およびXは、それぞれ上記一般式(I)中のM、A、Q、S、T、U、R2〜R5 およびXと同義であり、A’、Q'、S'、T'、U’およびR12〜R15は、それぞれ一般式(I-a)中のA’、Q'、S'、T'、U’およびR12〜R15と同義である。
【0086】
R2〜R5 およびR12〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、R2〜R5 およびR12〜R15のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基は互いに連結して脂肪族環、芳香族環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよい。
【0087】
一般式(I-b)において、R4またはR14の少なくとも一方、特に両方が、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であることが好ましい。
【0088】
nは、Mの価数を満たす数である。
Xとしては、特に、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルホネート基が好ましい。nが2以上の場合、2個以上のXが互いに連結して形成する環は、芳香族環であっても、脂肪族環であってもよい。
【0089】
Y’は、上記一般式(I-a)中のYと同義であるが、炭化水素基である場合には炭素原子3個以上からなる基である。これらの結合基Y’は、好ましくは主鎖が原子3個以上、より好ましくは4個以上20個以下、特に好ましくは4個以上10個以下で構成された構造を有する。なお、これらの結合基は置換基を有していてもよい。
【0090】
2価の結合基(Y’)として具体的には、-O-、-S-、-Se-などのカルコゲン原子;-NH-、-N(CH3)-、-PH-、-P(CH3)-などの窒素またはリン原子含有基;-SiH2-、-Si(CH3)2-などのケイ素原子含有基;-SnH2-、-Sn(CH3)2-などのスズ原子含有基;-BH-、-B(CH3)-、-BF-などのホウ素原子含有基などが挙げられる。炭化水素基としては-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-などの炭素原子数が3〜20の飽和炭化水素基、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシレン基などの環状飽和炭化水素基、これらの飽和炭化水素基の一部が1〜10個の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン、酸素、イオウ、窒素、リン、ケイ素、セレン、スズ、ホウ素などのヘテロ原子で置換された基、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの炭素原子数が6〜20の環状炭化水素の残基、ピリジン、キノリン、チオフェン、フランなどのヘテロ原子を含む炭素原子数が3〜20の環状化合物の残基などが挙げられる。
【0091】
以下に、上記一般式(I-b)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0092】
【化15】
【0093】
なお、上記例示中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、チタン金属をジルコニウム、ハフニウムなどのチタン以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0094】
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、遷移金属化合物(A)を合成したときに配位子となる化合物(配位子前駆体)と、MXk(MおよびXは上記一般式(I)中のMおよびXと同義であり、kはMの原子価を満たす数である。)で表される化合物などの遷移金属含有化合物とを反応させる。
【0095】
具体的には、遷移金属化合物(A)を構成する配位子がピロールアルドイミン配位子である場合、遷移金属化合物(A)を合成したときにピロールアルドイミン配位子となる化合物(配位子前駆体)は、アシルピロール類化合物と、アニリン類化合物、アルキルアミン類化合物などの式R1 −NH2 で表される第1級アミン類化合物(ただし、R1 は、上記一般式(I)中のR1と同義である。)とを反応させることにより得られる。より具体的には、アシルピロール類化合物と第1級アミン類化合物とを溶媒に溶解し、次いで、得られた溶液を室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子前駆体が良好な収率で得られる。ここで用いられる溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、またはトルエンなどの炭化水素溶媒が好ましい。
【0096】
また、遷移金属化合物(A)を構成する配位子がフォスホールアルドイミン配位子である場合は、配位子前駆体は例えばハロゲン化フォスホールをホルミル化することで得られたアシルフォスホール類化合物(Angew Chem 1994, 106(11), 1214に記載の方法)を上記の方法でアニリン類化合物、またはR1-NH2(ただし、R1は、上記一般式(I)中のR1と同義である。)とを反応させることにより得ることができる。
【0097】
ピラゾールアルドイミンのような上記一般式(I)中のUが炭素原子であり、Aが窒素原子またはリン原子であり、Q、S、Tに少なくとも1つ以上の窒素原子またはリン原子を有する5員環ヘテロ環化合物が配位子である場合も、配位子前駆体は上記と同様に、α-ホルミル化、及びイミノ化を行うことで合成することができる。
【0098】
上記一般式(I)中のUが窒素原子である配位子前駆体を合成する場合、この配位子前駆体は例えばピロール、インドール、フォスホール、ピラゾールのようなα位に水素を有する5員環ヘテロ化合物と、アニリン類もしくはアルキルアミン類化合物から合成したジアゾニウム化合物と反応させることにより得ることができる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解し、得られた溶液を0℃から還流下で約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が得られる。溶媒としては水溶媒が好ましい。
【0099】
ジアゾニウム化合物は、例えば水中で、第1級アニリン類、アミン類化合物を亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アルキル等と、塩酸等の強酸と反応させることで得られる。
【0100】
配位子前駆体を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラシーブス、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンシュタークにより脱水を行うと、反応進行に効果的である。
【0101】
次に、こうして得られた配位子前駆体を遷移金属含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子前駆体を溶媒に溶解し、遷移金属含有化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。
【0102】
また必要に応じて配位子前駆体を塩基と接触させて塩を調製し、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物等の金属化合物と低温下で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌しても良い。
【0103】
溶媒としては、このような反応に普通のものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒などが好ましく使用される。
【0104】
また、塩を調製する際に使用する塩基としては、n-ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基が好ましいが、この限りではない。
【0105】
さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1 〜R5 の何れかがHである場合には、合成の任意の段階において、H以外の置換基を導入することができる。
【0106】
以上のような遷移金属化合物(A)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。また、上記遷移金属化合物(A)以外の遷移金属化合物、例えば窒素、酸素、イオウ、ホウ素またはリンなどのヘテロ原子を含有する配位子からなる公知の遷移金属化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0107】
また、上記遷移金属化合物(A)に加えて、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とするチタン触媒成分を用いることができる。
他の遷移金属化合物
上記遷移金属化合物(A)以外の遷移金属化合物として、具体的には、下記のような遷移金属化合物を用いることができるが、この限りではない。
【0108】
(a-1)下記一般式(I-c)で表される遷移金属イミド化合物
【0109】
【化16】
【0110】
式中、Mは、周期表第8〜10族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくはニッケル、パラジウムまたは白金である。
R31〜R34は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、炭化水素置換シリル基または、窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の原子を含む置換基で置換された炭化水素基を示す。
【0111】
R31〜R34で表される基は、これらのうちの2個以上、好ましくは隣接する基が互いに連結して環を形成していてもよい。
qは0〜4の整数を示す。
【0112】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、qが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0113】
(a-2)下記一般式(I-d)で表される遷移金属アミド化合物
【0114】
【化17】
【0115】
式中、Mは、周期表第3〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであることが好ましい。
R'およびR''は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、炭化水素置換シリル基、または、窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する置換基を示す。
【0116】
mは、0〜2の整数である。
nは、1〜5の整数である。
Aは、周期表第13〜16族から選ばれる原子を示し、具体的には、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、セレン、スズなどが挙げられ、炭素またはケイ素であることが好ましい。nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0117】
Eは、炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する置換基である。mが2の場合、2個のEは、互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。
【0118】
pは、0〜4の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。なおpが2以上の場合には、Xで示される複数の基は、互いに同一でも異なっていてもよい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基またはスルホネート基であることが好ましい。
【0119】
(a-3)下記一般式(I-e)で表される遷移金属ジフェノキシ化合物
【0120】
【化18】
【0121】
式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、lおよびmはそれぞれ0または1の整数であり、AおよびA'は炭素原子数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素、または、酸素、イオウもしくはケイ素を含有する置換基を持つ炭化水素基、または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基であり、AとA'は同一でも異なっていてもよい。
【0122】
Bは、炭素原子数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、R1 R2 Zで表される基、酸素またはイオウであり、ここで、R1およびR2は炭素原子数1〜20の炭化水素基または少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Zは炭素、窒素、イオウ、リンまたはケイ素を示す。
【0123】
pは、Mの価数を満たす数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、pが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに結合して環を形成してもよい。
【0124】
(a-4)下記式(I-f)で表される少なくとも1個のヘテロ原子を含むシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物
【0125】
【化19】
【0126】
式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。
Xは、周期表第13、14および15族から選ばれる原子を示し、Xのうちの少なくとも1つは炭素以外である。
【0127】
aは、0または1を示す。
Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素基置換シリル基を示すか、または窒素、酸素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の原子を含む置換基を有する炭化水素基を示し、2個以上のRが互いに連結して環を形成していてもよい。
【0128】
bは、1〜4の整数であり、bが2以上の場合、各[((R)a)5−X5]基は同一でも異なっていてもよく、さらにR同士が架橋していてもよい。
cは、Mの価数を満たす数である。
【0129】
Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。
【0130】
cが2以上の場合は、Yで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またYで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
(a-5)一般式RB(Pz)3MXn で表される遷移金属化合物
式中、Mは、周期表3〜11族遷移金属化合物を示す。
【0131】
Rは水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。
Pzは、ピラゾイル基または置換ピラゾイル基を示す。
【0132】
nは、Mの価数を満たす数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに結合して環を形成してもよい。
【0133】
(a-6)下記式(I-g)で示される遷移金属化合物
【0134】
【化20】
【0135】
式中、Y1 およびY3 は、互いに同一であっても異なっていてもよく、周期表第15族から選ばれる原子であり、Y2 は周期表第16族から選ばれる原子である。
【0136】
R41〜R48は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ素含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0137】
(a-7)下記一般式(I-h)で表される化合物と周期表第8〜10族から選ばれる遷移金属原子との化合物
【0138】
【化21】
【0139】
式中、R51〜R54は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲ原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0140】
(a-8)下記式(I-i)で示される遷移金属化合物
【0141】
【化22】
【0142】
式中、Mは、周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。
mは、0〜3の整数であり、
nは、0または1の整数であり、
pは、1〜3の整数であり、
qは、Mの価数を満たす数である。
【0143】
R61〜R68は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0144】
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、qが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またはXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0145】
Yは、ボラータベンゼン環を架橋する基であり、炭素、ケイ素またはゲルマニウムを示す。
Aは、周期表第14、15または16族から選ばれる原子を示す。
【0146】
(a-9)下記一般式(I-j)で表される遷移金属化合物
【0147】
【化23】
【0148】
式中、Mは、周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示す。
mは、1〜3の整数を示す。
Aは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または置換基R77を有する窒素原子を示す。
【0149】
R71〜R77は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が連結して環を形成してもよく、また、m=2以上の時は1つの配位子に含まれるR71〜R77のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR71〜R77のうちの1個の基とが結合されていてもよく、R71同士、R72同士、R73同士、R74同士、R75同士、R76同士、R77同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0150】
nはMの価数を満たす整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっても良い。
【0151】
また、Xで示される複数の基は、互いに結合して環を形成しても良い。
(a-10)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物
(a-11)VO(OR)nX3-n で表されるバナジウム化合物
式中、Rは脂肪族炭化水素残基を示す。
【0152】
Xはハロゲン原子を示す。
nは0<n≦3である。
(B-1) 有機金属化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B-1)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族から選ばれる有機金属化合物が用いられる。
【0153】
(B-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)n Hp Xq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
【0154】
(B-1b) 一般式 M2 AlRa 4
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
【0155】
(B-1c) 一般式 Ra Rb M3
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3 はMg、ZnまたはCdである。)
で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
【0156】
前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra m Al(ORb)3-m
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlX3-m(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlH3-m(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m Al(ORb )n Xq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0157】
(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i-C4H9)x Aly(C5H10)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0158】
また(B-1a)に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2 などを挙げることができる。
【0159】
前記(B-1b)に属する化合物としては、
LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4 などを挙げることができる。
またその他にも、(B-1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0160】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
【0161】
(B-1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような(B-1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0162】
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で必要に応じて用いられる(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0163】
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0164】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0165】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0166】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0167】
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0168】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
【0169】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0170】
【化24】
【0171】
式中、R20は、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
【0172】
前記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸と
R20−B−(OH)2 …(V)
(式中、R20は前記と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0173】
前記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0174】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0175】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0176】
上記のような(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
(B-3) 遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で必要に応じて用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0177】
具体的には、ルイス酸としては、BR3 (Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0178】
イオン性化合物としては、例えば下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0179】
【化25】
【0180】
式中、R22としては、H+ 、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
【0181】
R23〜R26は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0182】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0183】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0184】
R22としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0185】
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
【0186】
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0187】
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0188】
ジアルキルアンモニウム塩として具体的にはは、例えばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0189】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VII)または(VIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0190】
【化26】
【0191】
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0192】
【化27】
【0193】
ボラン化合物として具体的には、例えば
デカボラン(14);
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0194】
カルボラン化合物として具体的には、例えば
4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、6,9-ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン(13)、2,7-ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-トリメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート(14)、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート(13)、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0195】
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素およびスズから選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できる。
【0196】
上記のような(B-3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
本発明に係る遷移金属化合物は触媒、助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)を用いると、オレフィン化合物に対して良好な活性で高い共重合性を示す。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(B-3)を用いると良好な活性で分子量の高いオレフィン重合体が得られる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とともに、必要に応じて後述するような担体(C)を用いることもできる。
【0197】
(C)担体
本発明で必要に応じて用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0198】
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2 、SiO2-V2O5 、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。
【0199】
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2 、Al(NO3)3 、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支ない。
【0200】
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0201】
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によってを微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0202】
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、複数の層がイオン結合などによって互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0203】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
【0204】
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0205】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
【0206】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0207】
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0208】
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0209】
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0210】
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
【0211】
(D)有機化合物成分
本発明において必要に応じて用いられる(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
【0212】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R31−OHで表されるものが使用され、ここで、R31は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
【0213】
アルコール類としては、R31がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'-位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0214】
カルボン酸としては、通常、R32-COOHで表されるものが使用される。R32は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
【0215】
燐化合物としては、P−O−H結合を有する燐酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
スルホン酸塩としては、下記一般式(IX)で表されるものが使用される。
【0216】
【化28】
【0217】
式中、Mは周期表1〜14族から選ばれる原子である。
R33は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0218】
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
【0219】
図1に、本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(A)と成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0220】
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
また、上記の成分(C)に成分(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
【0221】
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。
【0222】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0223】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)は、重合容積1リットル当たり通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
【0224】
成分(B-1)は、成分(B-1)と、成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(B-3)は、成分(B-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0225】
成分(D)は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、モル比〔(D)/(B-1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B-2)の場合には、モル比〔(D)/(B-2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合には、モル比〔(D)/(B-3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で必要に応じて用いられる。
【0226】
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0227】
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(B)の違いにより調節することもできる。
【0228】
このようなオレフィン重合用触媒により重合することができるオレフィンとしては、炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン;
炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン;
極性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物などのα,β-不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのα,β-不飽和カルボン酸金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸 tert-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β-不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジル類、塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン含有オレフィン類などを挙げることができる。
【0229】
また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを用いることもできる。ジエンまたはポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状又は鎖状の化合物が用いられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;
7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン;
さらに芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;および3-フェニルプロピレン、4-フェニルプロピレン、α- メチルスチレンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0230】
【発明の効果】
本発明に係るオレフィン重合触媒は、オレフィンに対し高い重合活性を有する。
【0231】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0232】
以下に具体的な錯体合成例を示す。
得られた化合物は、270MHz 1H−NMR(日本電子 GSH-270)、FD−質量分析(日本電子 SX-102A)、金属含有量分析(乾式灰化・希硝酸溶解後、ICP法により分析;SHIMADZU ICPS-8000)等を用いて構造決定した。
【0233】
【合成例1】
配位子前駆体(1)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール150ml、アニリン5.0g(53mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド5.1g(53mmol)を装入し、さらに蟻酸1mlを添加後、室温で24時間攪拌を続けた。得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、シリカゲルカラム精製をすることで白色固体を6.0g(34.9mmol、収率66%)得た。この白色固体の分析結果を下記に示す。
【0234】
1H-NMR(CDCl3):6.3(d,1H), 6.69(dd,1H), 6.89(d,1H), 7.1-7.5(m,4H), 8.29(s,1H), 9.85(brs,1H)
FD-質量分析:170
上記結果から、白色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(1))であることがわかる。
【0235】
【化29】
【0236】
遷移金属化合物(1-a)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で配位子前駆体(1)が1.04g(6.08mmol)含まれるジエチルエーテル溶液16mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiを6.08mmol含むヘキサン溶液4.2mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液6.08ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル16mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒褐色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ペンタンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒褐色固体を1.10g(2.40mmol、収率79%)得た。この黒褐色固体の分析結果を下記に示す。
【0237】
1H-NMR(CDCl3):6.0-7.9(m,16H), 7.80(s,2H)
FD-質量分析 :456(M+)
元素分析 :Ti;10.4%(10.5) ( )内は計算値
上記結果から、黒褐色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(1-a))であることがわかる。
【0238】
【化30】
【0239】
【合成例2】
遷移金属化合物(1-b)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した300mlの反応器に、四塩化ジルコニウム・2THF錯体1.11g(2.95mmol)とテトラヒドロフラン40mlとを仕込み、−78℃に冷却した。これに配位子前駆体(1)を1.02g(6.0mmol)含むジエチルエーテル溶液15mlを徐々に滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに10mlに溶解し、ペンタン70mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで赤褐色の結晶が析出した。この結晶をガラスフィルターでろ別し、ペンタンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黄緑色固体を0.35g(0.70mmol、収率24%)得た。この黄緑色固体の分析結果を下記に示す。
【0240】
1H-NMR(CDCl3):6.55-7.85(m,16H), 8.95(s,2H)
FD-質量分析 : 500(M+)
元素分析 : Zr;18.4%(18.2) ( )内は計算値
上記結果から、黄緑色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(1-b))であることがわかる。
【0241】
【化31】
【0242】
【合成例3】
配位子前駆体(2)の合成:
窒素雰囲気下、ピロール2-カルボキシアルデヒド24.8g(0.26mol)をジメチルアミンの50%水溶液44.8g(0.50mol)に加えて溶解させ、室温で3時間攪拌した後、この溶液に水を添加すると薄黄色のスラリー液になった。沈殿をろ取し、ジクロロメタンおよび水で洗浄し、減圧乾燥することで、紫色固体(下記式で示される2量体化合物(2a))を29.6g(収率;92.0%)得た。
【0243】
【化32】
【0244】
窒素雰囲気下、得られた2量体化合物5.0g(20.5mmol)をTHF100mlに溶解し、−15℃に冷却後、n-BuLiが49.0mmol含まれるヘキサン溶液31.9mlをゆっくり滴下し、室温まで昇温した。この溶液を−78℃で冷却し、ヨウ化メチル3.1ml(49.0mmol)を滴下後、室温間で昇温し3時間攪拌を続けた。0.4モルの酢酸ナトリウム水溶液でクエンチし、有機層を抽出、酢酸エチルで再結晶することで白色固体(下記式で表されるα-メチル置換の2量体化合物)を3.27g(12.0mmol、収率:59%))得た。
【0245】
【化33】
【0246】
このα-メチル置換の2量体化合物をTHF40mlに溶解し、0.4モルの酢酸ナトリウム水溶液60mlと混合し、この混合物を還流下6時間反応させることで加水分解が進行した。反応終了後、ジエチルエーテルで有機層を抽出し、溶媒を留去し、減圧乾燥することで赤紫色固体の5-メチル-ピロール2-カルボキシアルデヒドが2.53g(23.2mmol、収率96.7%)得られた。
【0247】
ここで得られた5-メチル-ピロール2-カルボキシアルデヒド2.52gとアニリン2.12g(22.8mmol)を前記配位子前駆体(1)の合成と同様の方法で反応させることにより、茶色固体を2.39g(収率57%)得た。この茶色固体の分析結果を下記に示す。
【0248】
1H-NMR(CDCl3):2.56(s,3H), 6.31(d,1H), 7.2-7.7(m,6H), 8.10(s,1H), 13.88(brs,1H)
FD-質量分析 : 184 (M+)
上記結果から、茶色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(2))であることがわかる。
【0249】
【化34】
【0250】
遷移金属化合物(2-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中、配位子前駆体(2)が0.76g(4.11mmol)含まれるジエチルエーテル溶液20mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが4.48mmol含まれるヘキサン溶液2.8mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液3.9ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル20mlの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒褐色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより暗緑色固体を0.23g(0.47mmol、収率23%)得た。この暗緑色固体の分析結果を下記に示す。
【0251】
1H-NMR(CDCl3):2.52(s,6H), 6.1-8.0(m,16H)
FD-質量分析 : 484(M+)
元素分析 : Ti; 9.7% (9.9) ( )内は計算値
上記結果から、暗緑色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(2-A))であることがわかる。
【0252】
【化35】
【0253】
【合成例4】
配位子前駆体(3)の合成:
窒素雰囲気下、配位子前駆体(2)の合成中間体である2量体化合物(2a)10.1g(41.3mmol)をTHF200mlに溶解し、−15℃に冷却した後、この溶液にn-BuLiが99.2mmol含まれるヘキサン溶液62mlをゆっくり滴下し、室温まで昇温した。この溶液を−78℃で冷却し、トリメチルシリルクロリド12.5ml(99.2mmol)を滴下後、室温まで昇温し3時間攪拌を続けた。0.4モルの酢酸ナトリウム水溶液でクエンチし、有機層を抽出することで白色針状結晶のα-トリメチルシリル置換の2量体化合物を16.6g(41.3mmol、収率:100%))得た。
【0254】
ここで得られたα-トリメチルシリル置換の2量体化合物12.4g(32.0mmol)をTHF150mlに溶解し、0.75モルの酢酸ナトリウム水溶液300mlと混合し、還流下15時間反応させることで加水分解が進行した。反応終了後、ジエチルエーテルで有機層を抽出し、溶媒を留去し、減圧乾燥することで黒色固体の5-トリメチルシリル-ピロール2-カルボキシアルデヒドが10.7g(64.0mmol、収率quant.)得られた。
【0255】
ここで得られた5-トリメチルシリル-ピロール2-カルボキシアルデヒド5.0g(28.7mmol)とアニリン2.67g(28.7mmol)を配位子前駆体(1)の合成と同様の方法で反応させることにより、ワインレッド色のオイルを4.18g(GC純度90%、収率54%)得た。
【0256】
1H-NMR(CDCl3):0.30(s,9H), 6.49(d,1H), 6.81(d,1H), 7.1-7.5(m,5H), 8.29(s,1H), 9.35(brs,1H)
FD-質量分析 : 242 (M+)
上記結果から、ワインレッド色のオイルは下記式で示される化合物(配位子前駆体(3))であることがわかる。
【0257】
【化36】
【0258】
【合成例5】
遷移金属化合物(3-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中に、配位子前駆体(3)が0.848g(3.50mmol)含まれるジエチルエーテル溶液20mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが4.48mmol含まれるヘキサン溶液2.8mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液3.5ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル20mlの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をヘキサン再結晶後、減圧乾燥させることにより黒色固体を0.52g(0.86mmol、収率49%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0259】
1H-NMR(CDCl3): 0.60(s,18H), 6.2-6.4(m,4H), 6.9-7.2(m,10H), 7.82(s,2H)
FD-質量分析 : 600(M+)
元素分析 : Ti; 7.8% (8.0) ( )内は計算値
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(3-A))であることがわかる。
【0260】
【化37】
【0261】
【合成例6】
遷移金属化合物(3-B)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器に、四塩化ジルコニウム・2THF錯体0.45g(1.19mmol)とTHF15mlとを仕込み、−78℃に冷却した。この溶液に配位子前駆体(3)(0.58g、3.7mmol)を含むTHF溶液15mlを徐々に滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに55℃加温で7時間攪拌し濾過した後ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をヘキサン洗浄後、減圧乾燥させることにより黄土色固体を0.70g(1.09mmol、収率91%)得た。この黄土色固体の分析結果を下記に示す。
【0262】
1H-NMR(CDCl3):0.53(s,18H), 6.38(d,2H), 6.43(d,2H), 6.8-7.2(m,10H) 7.87(s,2H)
FD-質量分析 :644(M+)
元素分析 :Zr;14.4% (14.2) ( )内は計算値
上記結果から、黄土固体が下記式で示される化合物(遷移金属化合物(3-B))であることがわかる。
【0263】
【化38】
【0264】
【合成例7】
配位子前駆体(4)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール150ml、シクロヘキシルアミン5.22g(52.6mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド5.0g(52.6mmol)を装入し、シクロヘキシルアミンおよびピロール2-カルボキシアルデヒドをエタノールに溶解し、室温で24時間攪拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることで暗茶色オイルを8.88g(50.4mmol、収率96%)得た。この暗茶色オイルの分析結果を下記に示す。
【0265】
1H-NMR(CDCl3): 1.1-1.9(m,10H), 3.0-3.2(m,1H), 6.21(d,1H), 6.48(d,1H), 6.89(dd,1H), 8.13(s,1H), 8.35(brs,1H)
FD-質量分析 : 176
上記結果から、暗茶色オイルは下記式で示される化合物(配位子前駆体(4))であることがわかる。
【0266】
【化39】
【0267】
遷移金属化合物(4-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中、配位子前駆体(4)を1.02g(5.78mmol)含むジエチルエーテル溶液25mlを−78℃に冷却し、n-BuLiを6.08mmol含むヘキサン溶液3.8mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液5.78ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル25mlの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色固体を0.52g(1.11mmol、収率38%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0268】
1H-NMR(CDCl3):0.7-2.7 (m,22H), 6.2-7.9(m,6H), 8.00(s,2H)
FD-質量分析 :468(M+)
元素分析 :Ti;17.8%(17.8) ( )内は計算値
上記結果から黒色固体は、下記式で示される化合物(遷移金属化合物(4-A))であることがわかる。
【0269】
【化40】
【0270】
【合成例8】
遷移金属化合物(4-B)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中、配位子前駆体(4)が1.11g(6.28mmol)含まれるジエチルエーテル溶液30mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが6.08mmol含まれるヘキサン溶液3.8mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム2THF錯体1.14g(3.0mmol)とテトラヒドロフラン40mlの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をこの固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黄色固体を0.78g(1.52mmol、収率48%)得た。この黄色固体の分析結果を下記に示す。
【0271】
1H-NMR(CDCl3):0.6-2.0(m,20H), 2.6-3.2(m,2H), 6.0-6.9(m,6H), 8.07(s,2H)
FD-質量分析 :512(M+)
元素分析 :Zr;18.1%(17.8) ( )内は計算値
上記結果から、黄色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(4-B))であることがわかる。
【0272】
【化41】
【0273】
【合成例9】
遷移金属化合物(4-C)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中、配位子前駆体(4)が1.02g(5.78mmol)含まれるTHF25ml溶液を−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが6.08mmol含まれるヘキサン溶液3.8mlをゆっくり滴下した後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した三塩化クロム・3THF錯体が1.08g(2.89mmol)含まれるTHF溶液25mlにゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。1.0モルのトリメチルアルミニウムのトルエン溶液2.7ml(2.90mmol)を加え、さらに室温で2時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレン5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色固体を0.09g(0.22mmol、収率8%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0274】
FD-質量分析 : 417(M+)
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(4-C))であることがわかる。
【0275】
【化42】
【0276】
【合成例10】
配位子前駆体(5)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール150ml、エチルアミンが52.6mmol含まれるメタノール溶液26.3mlおよびピロール2-カルボキシアルデヒド5.0g(52.6mmol)装入し、エチルアミンおよびピロール2-カルボキシアルデヒドをエタノールに溶解し、室温で24時間攪拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることであずき色粉末を4.15g(34.0mmol、収率65%)得た。このあずき色粉末の分析結果を下記に示す。
【0277】
1H-NMR(CDCl3):1.26(t,3H), 3.56(q,2H), 6.26(d,1H), 6.43(d,1H), 6.89(dd,1H), 8.13(s,1H), 9.20(brs,1H)
FD-質量分析 :122
上記結果から、あずき色粉末は下記式で示される化合物(配位子前駆体(5))であることがわかる。
【0278】
【化43】
【0279】
遷移金属化合物(5-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(5)が0.80g(6.55mmol)含まれるジエチルエーテル溶液24mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが6.88mmol含まれるヘキサン溶液4.3mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液6.6ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル25mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色固体を0.68g(1.88mmol、収率58%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0280】
1H-NMR(CDCl3): 1.05 (t,6H), 3.09 (q,4H), 6.2-7.9(m,6H), 8.00(s,2H)
FD-質量分析 : 360(M+)
元素分析 : Ti;13.3%(13.3) ( )内は計算値
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(5-A))であることがわかる。
【0281】
【化44】
【0282】
【合成例11】
配位子前駆体(6)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール150ml、アニリン4.73g(50.8mml)およびイミダゾール-4-カルボキシアルデヒド4.9g(49.8mmol)装入し、アニリンおよびイミダゾール-4-カルボキシアルデヒドをエタノールに溶解した後、室温で20時間攪拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることで白色粉末を8.47g(49.5mmol,収率99%)得た。この白色粉末の分析結果を下記に示す。
【0283】
1H-NMR(CDCl3):6.6-7.9(m,7H), 8.43(s,1H)
FD-質量分析 :171
上記結果から、白色粉末は下記式で表される化合物(配位子前駆体(6))でであることがわかる。
【0284】
【化45】
【0285】
遷移金属化合物(6-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(6)が1.03g(6.02mmol)含まれるジエチルエーテル溶液30mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが6.02mmol含まれるヘキサン溶液3.76mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液6.0ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル30mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら攪拌を続けた。さらに室温で8時間攪拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを攪拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色固体を0.11g(0.24mmol、収率8%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0286】
1H-NMR(CDCl3): 6.0-7.7(m,16H)
FD-質量分析 : 458(M+)
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(6-A))であることがわかる。
【0287】
【化46】
【0288】
【合成例12】
配位子前駆体(7)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール90ml、アニリン1.92g(21mmol)およびインドール-2-アルデヒド3.0g(21mmol)を装入し、さらに酢酸0.2mlを添加後、室温で24時間撹拌を続けた。得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、ヘキサンとジクロロメタンを用いて精製をすることでえんじ色の粉末を4.17g(20mmol、収率93.2%)得た。このえんじ色固体の分析結果を下記に示す。
【0289】
1H-NMR(CDCl3):6.98(s,1H), 7.1-7.8(m,9H), 8.50(s,1H), 9.32(brs,1H)
FD-質量分析:220
上記結果から、えんじ色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(7))であることがわかる。
【0290】
【化47】
【0291】
遷移金属化合物(7-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で配位子前駆体(7)が1.0g(4.54mmol)含まれるジエチルエーテル溶液20mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiを6.08mmol含むヘキサン溶液2.98mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液4.54ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル20mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で8時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をヘキサンで洗浄した。得られた黒色粉末をエーテル10ml、塩化メチレンに50mlに溶解し、グラスフィルターで濾過した濾液を濃縮し、黒色粉末を得た。ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒褐色固体を0.79g(1.41mmol、収率61%)得た。この黒褐色固体の分析結果を下記に示す。
【0292】
1H-NMR(CDCl3):6.0-8.5(m,20H), 8.92(s,2H)
FD-質量分析 :556(M+)
上記結果から、黒褐色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(7-A))であることがわかる。
【0293】
【化48】
【0294】
【合成例13】
配位子前駆体(8)の合成:
充分に窒素置換した300mlの反応器にエタノール150ml、3,5-ビス(トリフルオロメチル)アニリン12.05g(52.58mmol)およびピロール-2-カルボキシアルデヒド5.0g(52.58mmol)を装入し、さらに酢酸0.2mlを添加後、室温で1週間撹拌を続けた 。得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、ヘキサンとジクロロメタンを用いて精製をすることで暗褐色の固体を9.65g(31.5mmol、収率60.0%)得た。この暗褐色固体の分析結果を下記に示す。
【0295】
1H-NMR(CDCl3):6.39(dd,1H), 6.80(d,1H), 7.08(d,1H), 7.60(s,2H), 7.68(s,1H), 8.30(s,1H), 9.40(brs,1H)
FD-質量分析:306
上記結果から、暗褐色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(8))であることがわかる。
【0296】
【化49】
【0297】
遷移金属化合物(8-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で配位子前駆体(8)が1.02g(3.32mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiを3.55mmol含むヘキサン溶液2.22mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液3.25ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル40mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をヘキサンで洗浄した。得られた黒色固体を減圧乾燥させることにより黒褐色固体を0.75g(1.02mmol、収率62%)得た。この黒褐色固体の分析結果を下記に示す。
【0298】
1H-NMR(CDCl3):6.18(dd,2H), 6.48(d,2H), 6.62(d,2H), 7.0-8.5(m,8H)
FD-質量分析 :728(M+)
上記結果から、黒褐色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(8-A))であることがわかる。
【0299】
【化50】
【0300】
【合成例14】
配位子前駆体(9)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール90ml、シクロヘキシルアニリン2.0g(20.25mmol)およびインドール-2-アルデヒド3.0g(20.25mmol)を装入し、室温で12時間撹拌を続けた 。得られた反応液を減圧濃縮して溶媒を除去し、ヘキサンを用いて晶析・精製をすることで茶色の固形物を3.46g(15.3mmol、収率75.5%)得た。この茶色固体の分析結果を下記に示す。
【0301】
1H-NMR(CDCl3):1.0-2.0(m,10H), 3.1-3.4(m,1H), 6.70(s,1H), 7.0-7.7(m,4H), 8.32(s,1H), 9.30(brs,1H)
FD-質量分析:226
上記結果から、茶色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(9))であることがわかる。
【0302】
【化51】
【0303】
遷移金属化合物(9-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で配位子前駆体(9)が1.02g(4.51mmol)含まれるジエチルエーテル溶液30mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiを4.51mmol含むヘキサン溶液2.9mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液4.5ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル40mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、得られた黒色固形物をジエチルエーテルで洗浄した。この固形物をジクロロメタンで抽出し、減圧濃縮し、析出した固体をヘキサンで洗浄した。得られた黒色固体を減圧乾燥させることにより黒色固体を0.84g(1.48mmol、収率65%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0304】
1H-NMR(CDCl3):0.3-2.8(m,22H), 6.7-7.8(m,8H), 8.30(s,2H), 8.95(d,2H)
FD-質量分析 :568(M+)
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(9-A))であることがわかる。
【0305】
【化52】
【0306】
【合成例15】
配位子前駆体(10)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール100ml、n-オクタデシルアミン5.67g(21.0mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド2.0g(21.0mmol)を装入し、室温で12時間撹拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることで白色粉末を6.46g(18.6mmol、収率88.5%)得た。この白色粉末の分析結果を下記に示す。
【0307】
1H-NMR(CDCl3):0.90(t,3H), 1.28(m,30H), 1.62(m,2H), 3.52(t,2H), 6.24(dd,1H), 6.48(d,1H), 6.88(d,1H), 8.08(s,1H), 9.20(brs,1H)
FD-質量分析 :346
上記結果から、白色粉末は下記式で示される化合物(配位子前駆体(10))であることがわかる。
【0308】
【化53】
【0309】
遷移金属化合物(10-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(10)が1.0g(2.91mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが2.91mmol含まれるヘキサン溶液1.95mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液2.9ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル30mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で8時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを撹拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより 黒色固体を0.44g(0.54mmol、収率37%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0310】
1H-NMR(CDCl3):0.9-2.0(m,70H), 2.8-3.3 (m,4H), 6.2-7.9(m,6H) 8.00(s,2H)
FD-質量分析 :809(M+)
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(10-A))であることがわかる。
【0311】
【化54】
【0312】
【合成例16】
配位子前駆体(11)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール100ml、p-アニシジン6.47g(52.54mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド5.0g(52.58mmol)を装入し、さらに0.5mlの酢酸を添加し、室温で3日間撹拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることでこげ茶色粉末を 10.24g(51.1mmol、収率96.3%)得た。このこげ茶色粉末の分析結果を下記に示す。
【0313】
1H-NMR(CDCl3):3.82(s,3H), 6.28(dd,1H), 6.68(d,1H), 6.8-7.0(m,3H), 7.1-7.3(m,2H), 8.30(s,1H), 10.10(brs,1H)
FD-質量分析 :200
上記結果から、こげ茶色粉末は下記式で示される化合物(配位子前駆体(11))であることがわかる。
【0314】
【化55】
【0315】
遷移金属化合物(11-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(11)が1.03g(5.12mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが5.12mmol含まれるヘキサン溶液3.4mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液5.0ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル30mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを撹拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより 黒色固体を0.64g(1.24mmol、収率48%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0316】
1H-NMR(CDCl3): 3.6-4.0(m,6H), 6.0-8.2(m,16H)
FD-質量分析 : 516(M+)
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(11-A))であることがわかる。
【0317】
【化56】
【0318】
【合成例17】
配位子前駆体(12)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール80ml、トリフルオロ-p-トルイジン8.64g(53.63mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド5.1g(53.63mmol)を装入し、さらに0.5mlの酢酸を添加し、室温で3日間撹拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることで黒色固体を 10.16g(42.7mmol、収率79.5%)得た。この黒色固体の分析結果を下記に示す。
【0319】
1H-NMR(CDCl3):6.30(dd,1H), 6.72(d,1H), 6.98(d,1H), 7.26(d,2H), 7.60(d,2H), 8.28(s,1H), 9.70(brs,1H)
FD-質量分析 :238
上記結果から、黒色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(12))であることがわかる。
【0320】
【化57】
【0321】
遷移金属化合物(12-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(12)が1.13g(4.73mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが4.73mmol含まれるヘキサン溶液3.0mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液4.7ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル30mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを撹拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより 黒色粉末を0.81g(1.37mmol、収率58%)得た。この黒色粉末の分析結果を下記に示す。
【0322】
1H-NMR(CDCl3): 6.10(dd,2H), 6.50(d,2H), 6.8-8.5(m,12H)
FD-質量分析 : 592(M+)
上記結果から、黒色粉末は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(12-A))であることがわかる。
【0323】
【化58】
【0324】
【合成例18】
配位子前駆体(13)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール80ml、o-イソプロピルアニリン4.56g(33.72mmol)およびピロール2-カルボキシアルデヒド3.22g(33.83mmol)を装入し、さらに0.5mlの酢酸を添加し、室温で3日間撹拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒を除去した後、真空乾燥をすることで白色固体を5.2g(24.5mmol、収率72.6%)得た。この白色固体の分析結果を下記に示す。
【0325】
1H-NMR(CDCl3):1.20(d,6H), 3.56(m,1H), 6.28(dd,1H), 6.5-7.0(m,2H), 7.1-7.4(m,4H), 8.20(s,1H), 9.78(brs,1H)
FD-質量分析 :212
上記結果から、白色固体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(13))であることがわかる。
【0326】
【化59】
【0327】
遷移金属化合物(13-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(13)が1.0g(4.71mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが4.71mmol含まれるヘキサン溶液3.15mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液4.71ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル20mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン10mlを撹拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色粉末を0.22g(0.41mmol、収率17%)得た。この黒色粉末の分析結果を下記に示す。
【0328】
1H-NMR(CDCl3): 1.0-1.4(m,12H), 3.4-3.6(m,2H), 6.3-8.0(m,16H)
FD-質量分析 : 540(M+)
上記結果から、黒色粉末は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(13-A))であることがわかる。
【0329】
【化60】
【0330】
【合成例19】
配位子前駆体(14)の合成:
充分に窒素置換した200mlの反応器にエタノール100ml、n-ヘキシルアミン5.0g(49.4mmol)およびピロール-2-カルボキシアルデヒド4.7g(49.4mmol)を装入し、室温で12時間撹拌を続けた。反応液を減圧濃縮して溶媒除去、真空乾燥をすることで褐色液体を 8.54g(47.9mmol、収率96.4%)得た。この褐色液体の分析結果を下記に示す。
【0331】
1H-NMR(CDCl3):0.90(d,3H), 1.30(m,6H), 1.65(m,2H), 3.52(t,2H), 6.24(dd,1H), 6.45(d,1H), 6.88(d,1H), 8.08(s,1H), 9.48(brs,1H)
FD-質量分析 :178
上記結果から、褐色液体は下記式で示される化合物(配位子前駆体(14))であることがわかる。
【0332】
【化61】
【0333】
遷移金属化合物(14-A)の合成:
充分に乾燥、アルゴン置換した100mlの反応器中で、配位子前駆体(14)が1.03g(5.72mmol)含まれるジエチルエーテル溶液40mlを−78℃に冷却し、この溶液にn-BuLiが5.72mmol含まれるヘキサン溶液3.83mlをゆっくり滴下後、室温まで昇温した。この溶液を、−78℃に冷却した四塩化チタンのヘプタン溶液5.72ml(四塩化チタン濃度0.5mmol/ml)とジエチルエーテル30mlとの混合溶液にゆっくり滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、この反応液をグラスフィルターで濾過し、ろ液を減圧濃縮し、析出した固体を塩化メチレンに5mlに溶解し、ヘキサン40mlを撹拌しながらゆっくり添加した。この混合液を室温静置することで黒色の固体が析出した。この固体をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンで洗浄後、減圧乾燥させることにより黒色固形物を0.50g(1.05mmol、収率37%)得た。この黒色固形物の分析結果を下記に示す。
【0334】
1H-NMR(CDCl3): 0.8-1.6(m,22H), 2.7-3.3(m,4H), 6.28(dd,2H), 7.68(d,2H), 7.7-8.0(m,4H)
FD-質量分析 : 472(M+)
上記結果から、黒色固形物は下記式で示される化合物(遷移金属化合物(14-A))であることがわかる。
【0335】
【化62】
【0336】
【実施例1〜18】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相を100リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、表1に示す遷移金属化合物を0.005mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で表1に示す時間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を得た。その結果を下記表1に示す。
【0337】
【表1】
【0338】
【実施例19〜34】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相を100リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.25mmol、引き続き表2に示す遷移金属化合物を0.005mmol加えた後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.006mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下常圧で25℃で表2に示す時間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を得た。その結果を下記表2に示す。
【0339】
【表2】
【0340】
【実施例35〜39】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相を50リットル/hrの流量のエチレンと150リットル/hrの流量のプロピレン混合ガスで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、表3に示す遷移金属化合物を0.005mmol加え重合を開始した。混合ガス雰囲気下25℃常圧で表3に示す時間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を得た。その結果を下記表3に示す。
【0341】
【表3】
【0342】
【実施例40〜42】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相を50リットル/hrの流量のエチレンと150リットル/hrの流量のプロピレン混合ガスで飽和させた。その後、このオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.25mmol、引き続き表4に示す遷移金属化合物を0.005mmol加えた後、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.006mmol加え重合を開始した。混合ガス雰囲気下常圧で50℃で表4に示す時間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)を得た。その結果を下記表4に示す。
【0343】
【表4】
【0344】
【実施例43〜45】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、液相および気相を100リットル/hrの流量のエチレンで飽和させた。さらに、表5に示す量の1-ヘキセンを装入した。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で1.25mmol、引き続き、表5に示す遷移金属化合物を0.005mmol加え重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で表5に示す時間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。重合終了後、反応物を大量のメタノールに投入してポリマーを全量析出後、塩酸を加えてグラスフィルターで濾過した。ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、ポリエチレン(PE)を得た。その結果を下記表5に示す。
【0345】
【表5】
【0346】
実施例で得られたポリマーの極限粘度は、ポリマーをデカリンに溶解し、ウベローデ粘度計を用いて135℃で測定した。
また、共重合体中のプロピレン及び1-ヘキセンの含有量はIR分析(日本分光 FTIR-350)により測定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程を示す説明図である。
Claims (3)
- (A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
Uは、置換基R 2 を有する炭素原子を示し、
Aは、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは、置換基R 3 を有する炭素原子を示し、
Sは、置換基R 4 を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは、置換基R 5 を有する炭素原子を示し、
mは、2〜6の整数を示し、
R 1 〜R 5 は、互いに同一でも異なっていてもよく、Mが周期表第4族から選ばれる遷移金属原子のときには、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Mが周期表第6族から選ばれる遷移金属原子のときには、R 1 は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、R 2 〜R 5 は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、
R 1 〜R 5 は、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに連結して環を形成してもよい。)
(B)(B-1)有機アルミニウム化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。 - 請求項1に記載の遷移金属化合物(A)と、(B-1)有機アルミニウム化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)に加えて、
担体(C)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。 - 請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合することを特徴とするオレフィンの重合方法。
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