JP2011057726A - 極性基含有ポリオレフィン重合体、離型剤、樹脂組成物、及び樹脂成形体 - Google Patents

極性基含有ポリオレフィン重合体、離型剤、樹脂組成物、及び樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】従来に無い化学構造を有し、成形時の離型性に優れた極性基含有ポリオレフィン重合体を提供する。
【解決手段】エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に、ヒドロキシル基、−C(O)OR基および−C(O)R基からなる群から選ばれる極性基(F)を有し(前記Rおよび前記Rはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が500以上10000以下であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下であり、H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が70%以上100%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、極性基含有ポリオレフィン重合体、離型剤、樹脂組成物、及び樹脂成形体に関する。
ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチック、ポリスチレン等のスチレン樹脂など、所謂熱可塑性樹脂には、成形時における金型からの離型性を向上させ金型の汚染を抑制するため、また、成形時の熱履歴や機械的付加による樹脂の物性低下を抑制するために、一般的に離型剤を含有させる。
離型剤としては、例えば、脂肪酸誘導体、ワックス及び金属石鹸等が用いられている。しかし、脂肪酸誘導体やワックスは高温で成形する時にそれ自身が揮発性のため蒸気として消失する場合があり、前記金属石鹸は、樹脂自身の分解を引き起こしたりする場合がある。
ワックスである離型剤について、具体的には、鉱物系のモンタン酸系ワックス(例えば、特許文献1及び2参照)や、ポリエチレン系ワックス(例えば、特許文献3参照)が知られている。
特開2006−335883号公報 特開平5−339481号公報 特開平9−290424号公報
しかし、従来のポリエチレン系ワックスでは、さらなる離型性の向上が求められている。
また、モンタン酸系ワックスは、天然の褐炭から抽出、精製されるため、製造コストが高いという問題がある。更に、近年では、天然の褐炭鉱山の枯渇により供給不安が起こり価格が高騰している問題もある。従って、モンタン酸系ワックスに代わる離型剤が求められている。
従って、本発明は以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、従来に無い化学構造を有し、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させる極性基含有ポリオレフィン重合体を提供することである。
また、本発明の目的は、モンタン酸系ワックスに代わる離型剤として、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させる離型剤を提供することである。
また、本発明の目的は、成形時の離型性に優れた樹脂組成物及び樹脂成形体を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造のポリオレフィン重合体が優れた離型性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は、以下のとおりである。
<1> エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に、ヒドロキシル基、−C(O)OR基および−C(O)R基からなる群から選ばれる極性基(F)を有し(前記Rおよび前記Rはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)、
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が500以上10000以下であり、
GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下であり、
H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が70%以上100%以下である極性基含有ポリオレフィン重合体。
<2> 下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を空気酸化して得られる<1>に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
Figure 2011057726

〔一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。〕
<3> 前記ポリオレフィン重合鎖が、ポリエチレン重合鎖である<1>または<2>に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
<4> 前記極性基(F)が、−C(O)OH基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の極性基含有ポリオレフィン重合体を含む離型剤。
<6> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の極性基含有ポリオレフィン重合体を製造する方法であって、
下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を用意する工程と、
下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を空気酸化する工程と、
を有する極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法。
Figure 2011057726

〔一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。〕
<7> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の極性基含有ポリオレフィン重合体と、樹脂と、を含む樹脂組成物。
<8> 前記樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、またはポリカーボネート樹脂である<7>に記載の樹脂組成物。
<9> <7>又は<8>に記載の樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形体。
本発明によれば、従来に無い化学構造を有し、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させる極性基含有ポリオレフィン重合体を提供することができる。
また、本発明によれば、モンタン酸系ワックスに代わる離型剤として、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させる離型剤を提供することができる。
また、本発明によれば、成形時の離型性に優れた樹脂組成物及び樹脂成形体を提供することができる。
まず、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体について説明し、引き続き、本発明の離型剤、樹脂組成物、及び樹脂成形体について説明する。
<極性基含有ポリオレフィン重合体>
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体は、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に、ヒドロキシル基、−C(O)OR基および−C(O)R基からなる群から選ばれる極性基(F)を有し(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)、下記(1)〜(3)を満たす極性基含有ポリオレフィン重合体である。
(1)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が500以上10000以下である。
(2)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下である。
(3)H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が70%以上100%以下である。
極性基含有ポリオレフィン重合体を上記本発明の構成とすることにより、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させることができる。
(ポリオレフィン重合鎖)
前記ポリオレフィン重合鎖は、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるものである。
前記炭素数3以上20以下のα−オレフィン類としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族α−オレフィン類、脂環式α−オレフィン類および芳香族α−オレフィン類等が挙げられる。
前記脂肪族α−オレフィン類としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−へキセン、4−メチル−1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
また、前記脂環式α−オレフィン類としては、例えば、アリルシクロヘキサン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、前記芳香族α−オレフィン類としては、例えば、スチレン、アリルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で、好ましくは、炭素数3以上10以下のα−オレフィン類であり、より好ましくは、炭素数3以上8以下のα−オレフィン類であり、特に好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
前記ポリオレフィン重合鎖は、離型性及び合成容易性などの観点より、エチレン単独を重合させて得られた重合鎖(即ちポリエチレン重合鎖)であるか、または、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンの少なくとも1種とを共重合させて得られた重合鎖であることが好ましく、ポリエチレン重合鎖であることが特に好ましい。
(極性基(F))
前記極性基(F)は、前記ポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に結合した、ヒドロキシル基、−C(O)OR基および−C(O)R基からなる群から選ばれる基である。
前記極性基(F)は、前記ポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に結合していれば特に限定はなく、前記ポリオレフィン重合鎖の片方の末端のみに結合していてもよいし、前記ポリオレフィン重合鎖の両方の末端のみに結合していてもよいし、前記ポリオレフィン重合鎖の片方の末端及び内部に結合していてもよいし、前記ポリオレフィン重合鎖の両方の末端及び内部に結合していてもよい。
前記−C(O)OR基および前記−C(O)R基のうち、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基(より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)を表す。
ここでアルキル基は無置換であっても置換されていてもよい。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、直鎖のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−デシル基、n−オクタデシル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル基、等が挙げられる。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、分岐のアルキル基として、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルオクタデシル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、等が挙げられる。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、環状のアルキル基として、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシシクロヘキシル基、2,3−ジヒドロキシシクロヘキシル基、2−アミノシクロヘキシル基、2,3−ジアミノシクロヘキシル基、2−メルカプトシクロヘキシル基等が挙げられる。
前記極性基(F)としては、−C(O)OR基(但しRは、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基)が好ましく、−C(O)OH(即ち、カルボキシル基)が特に好ましい。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で測定した数平均分子量(Mn)が500以上10000以下であることが必要である。
前記数平均分子量(Mn)は、離型性の観点からは、500以上7000以下が好ましく、500以上5000以下がより好ましく、500以上3000以下が更に好ましく、500以上1500以下が特に好ましい。
また、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体は、GPCで測定された重量平均分子量(Mw)とGPCで測定された数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下であることが必要である。
以下、この比〔Mw/Mn〕を分子量分布〔Mw/Mn〕ともいう。
前記比〔Mw/Mn〕は、1.0以上10.0以下が好ましく、1.0以上9.0以下がより好ましく、1.0以上8.0以下が特に好ましい。
また、前記重量平均分子量(Mw)は、離型性の観点からは、500以上50000以下が好ましく、750以上30000以下がより好ましい。
前記数平均分子量(Mn)、前記重量平均分子量(Mw)、比〔Mw/Mn〕は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動層にはオルトジクロロベンゼン(和光純薬)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。また、試料濃度は0.1質量%、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。なお、基準となる標準ポリスチレンは東ソー社製を用いた。
なお、本明細書中における前記数平均分子量(Mn)、前記重量平均分子量(Mw)、比〔Mw/Mn〕は、特に断りのない限り、いずれも上記条件で測定された値を指す。
また、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体は、H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が70%以上100%以下であることが必要である。
ここで、極性基(F)の含有率は、全ポリオレフィン重合体中において各ポリオレフィン重合体に極性基が1つずつ含まれる場合を100%としたときの、全ポリオレフィン重合体中における極性基(F)の含有率(%)である。
極性基(F)の含有率は、以下のようにして求められた値を指す。
例えば、エチレンのみからなる片末端二重結合含有重合体を空気酸化して得られた極性基含有重合体の場合、飽和末端におけるメチル基の3プロトン分のピーク(A)が0.65〜0.9ppm、およびポリエチレン主鎖のプロトン分のピーク(B)が1.0ppm〜1.9ppm、カルボキシル基のα位の2プロトン分のピーク(C)2.4ppm、ヒドロキシル基の付け根のピーク(D)が3.5〜3.6ppm、エステルのα位の2プロトン分のピーク(E)が3.9〜4.2ppmに観測される。酸化反応が十分でない場合は、末端二重結合の2プロトン分のピーク(V)が4.85〜5.0ppmに2プロトン(V1)、5.5〜5.8ppmに1プロトン(V2)観測される。各ピークのピーク面積を各々S、S、S、S、SおよびSV1とすれば、極性基(F)の含有率(%)は下記式にて算出される。
F(%)=((S+S+S)/(S+S))/(SV1/(S+S))×100
その中でも特に−C(O)OH基の含有率Fca(%)は、
Fca(%)=(S/(S+S))/(SV1/(S+S))×100
として算出される。
なお、1H-NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と溶媒を兼ねた重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化-1,1,2,2-テトラクロロエタンのピークを5.91ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
前記極性基(F)の含有率は、離型性の観点からは、70%以上100%以下が好ましく、75%以上100%以下がより好ましい。
また、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の融点(Tm)は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、85℃以上145℃以下であることがより好ましく、90℃以上140℃以下であることが特に好ましい。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体における特に好ましい形態(組み合わせ)としては、
前記ポリオレフィン重合鎖がポリエチレン重合鎖であって、少なくとも片方の末端に、極性基(F)として−C(O)OH基を有し、数平均分子量(Mn)が500以上10000以下であり、比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下であり、極性基(F)の含有率が70%以上100%以下である形態が好ましく、
前記ポリオレフィン重合鎖がポリエチレン重合鎖であって、少なくとも片方の末端に、極性基(F)として−C(O)OH基を有し、数平均分子量(Mn)が500以上7000以下であり、比〔Mw/Mn〕が1.0以上9.0以下であり、極性基(F)の含有率が75%以上100%以下である形態が好ましく、
前記ポリオレフィン重合鎖がポリエチレン重合鎖であって、少なくとも片方の末端に、極性基(F)として−C(O)OH基を有し、数平均分子量(Mn)が500以上7000以下であり、比〔Mw/Mn〕が1.0以上8.0以下であり、極性基(F)の含有率が75%以上100%以下である形態が特に好ましい。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の具体例を以下に示す。
例示化合物(1)として、エチレン重合鎖の少なくとも片方の末端に、極性基(F)として−C(O)OH基を有し、GPCで測定した数平均分子量(Mn)が2200であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が7.0であり、H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が76%である重合体が挙げられる。
例示化合物(2)として、エチレン重合鎖の少なくとも片方の末端に、極性基(F)として−C(O)OH基を有し、GPCで測定した数平均分子量(Mn)が1090であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が7.5であり、H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が78%である重合体が挙げられる。
以上で説明した本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体を製造する方法については特に限定はないが、例えば、以下に説明する本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法が好適である。
<極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法>
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法は、下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を用意する工程と、下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を空気酸化する工程と、を有する。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。
(一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を用意する工程)
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法は、下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体(以下、「一般式(i)で示される重合体」ともいう)を用意する工程を有する。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法では、予め準備された一般式(i)で示される重合体を用いてもよいし、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体を合成する度に、一般式(i)で示される重合体を合成し、合成された重合体を用いてもよい。
Figure 2011057726

一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。
一般式(i)中、R及びRで表される炭素数1以上20以下のアルキル基は、無置換であっても置換されていてもよい。
及びRで表される炭素数1以上20以下のアルキル基としては、炭素数1以上6以下のアルキル基が特に好ましい。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、直鎖のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−デシル基、n−オクタデシル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル基、等が挙げられる。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、分岐のアルキル基として、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルオクタデシル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、等が挙げられる。
前記炭素数1以上20以下のアルキル基としては、環状のアルキル基として、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシシクロヘキシル基、2,3−ジヒドロキシシクロヘキシル基、2−アミノシクロヘキシル基、2,3−ジアミノシクロヘキシル基、2−メルカプトシクロヘキシル基等が挙げられる。
前記R及び前記Rとしては、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖である。
前記POについては、既述の「本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体」におけるポリオレフィン重合鎖と同義であり、好ましい形態も同様である。
また、POにおける数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)及び比〔Mw/Mn〕の好ましい範囲としては、既述の「本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体」の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)及び比〔Mw/Mn〕の好ましい範囲をそのまま採用できる。
また、前記一般式(i)で表されるポリオレフィン重合体は、ポリオレフィンの片方の末端に二重結合を有する重合体である。
このような、ポリオレフィンの片方の末端に二重結合を有する重合体は、例えば、特許第3934999号公報に記載されているオレフィン重合用触媒の存在下において、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合または共重合させることにより合成できる。
(オレフィン重合用触媒)
前記オレフィン重合用触媒として、具体的には、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、からなるオレフィン重合用触媒が好ましい。
〜 一般式(I)で表される遷移金属化合物 〜
Figure 2011057726

一般式(I)中、Mは周期律表第4族の遷移金属原子を示し、mは、1〜4の整数を示し、R11は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基または水素原子を示し、R12、R13、R14、R15、及びR16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコシキ基、アリーロキシ基、アリールアルコキシ基、アセトキシ基、アリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、ハロゲン原子を示す。
なお、一般式(I)中、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
一般式(I)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
一般式(I)中、mは1〜4の整数を示し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは2である。
一般式(I)中、R11は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基または水素原子を示す。R11の炭素数1〜5の直鎖炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。
前記R11として、より好ましくは、メチル基、エチル基、及び水素原子である。
一般式(I)中、R12〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アリールアルコキシ基、アセトキシ基、アリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、また、mが2以上の場合にはR12〜R16で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記のうち、R12〜R16としてはハロゲン原子又は炭化水素基が好ましい。
前記炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、α,α−ジメチルベンジル基、などの炭素数7以上20以下のアリール置換アルキル基(アラルキル基);などが挙げられる。
上記のうち、前述の一般式(i)で表されるポリオレフィン重合体を合成し易いという観点からは、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物としては、R11が炭素数1以上5以下の直鎖炭化水素基であって、R12、R13及びR15が水素原子であって、R14が水素原子、ハロゲン原子または炭素数1以上5以下の直鎖炭化水素基(R14として特に好ましくはハロゲン原子)であって、R16が炭素数7以上20以下のアラルキル基であって、Mがジルコニウムであって、Xがハロゲン原子であって、nが2であって、mが2である組み合わせの形態が特に好ましい。
〜 有機アルミニウムオキシ化合物 〜
前記有機アルミニウムオキシ化合物としては、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
前記有機アルミニウムオキシ化合物としては、アルキルアルミノキサン(例えば、メチルアルミノキサン)やその誘導体が特に好ましい。
前記有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物としては、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、東ソー・ファインケム(株)製のMMAO(修飾メチルアルミノキサン)等が挙げられる。
〜 重合条件 〜
前述の一般式(i)で表されるポリオレフィン重合体を合成する際のオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、一般式(I)で示される遷移金属化合物は、反応容積1リットル当り、通常10−12〜10−2モル、好ましくは10−10〜10−3モルになるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物は、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、一般式(I)で示される遷移金属化合物中の全遷移金属(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
前述の一般式(i)で表されるポリオレフィン重合体を合成し易いという観点からは、モル比〔Al/M〕は、1000〜10000が更に好ましく、1000〜5000が特に好ましい。
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃、更に好ましくは50℃〜170℃、特に好ましくは100℃〜170℃の範囲である。
重合圧力は、通常常圧〜100kg/cmG、好ましくは常圧〜50kg/cmGの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
(一般式(i)で示される重合体を空気酸化する工程)
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法は、既述の一般式(i)で示される重合体を空気酸化する工程を有する。
空気酸化の条件としては特に限定はないが、例えば、一般式(i)で示される重合体と、体積比〔酸素ガス/(窒素ガス+酸素ガス)〕が0.05以上0.30以下(より好ましくは0.05以上0.20以下)である混合ガスと、を100℃以上250℃以下(より好ましくは150℃以上200℃以下)の温度で反応させる条件が好ましい。
空気酸化の時間(反応時間)は上記体積比や温度によっても異なるが、5時間以上30時間以下(より好ましくは10時間以上20時間以下)が好適である。
より具体的には、一般式(i)で示される重合体を入れたオートクレーブに、体積比〔酸素ガス/(窒素ガス+酸素ガス)〕が0.05以上0.30以下(より好ましくは0.05以上0.20以下)である混合ガスを100mL/分以上200mL/分以下(より好ましくは100mL/分以上200mL/分以下)の流量で流通させながら、100℃以上250℃以下(より好ましくは150℃以上200℃以下)の温度で、5時間以上30時間以下(より好ましくは10時間以上20時間以下)反応させる条件を適用できる。
上記反応後は、必要に応じ、例えば、140℃〜150℃まで冷却した後、空気酸化により得られた重合体をオートクレーブから排出する。
<離型剤>
本発明の離型剤は、前記本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体を含む。
また、本発明の離型剤は、上記極性基含有ポリオレフィン重合体以外のその他の離型剤を含んでいてもよいし、離型剤以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の離型剤は上記構成としたことにより、樹脂組成物を成形する際の金型からの離型性を向上させる。
本発明の離型剤は、公知のポリエチレン系ワックスである離型剤と比較し、優れた離型性を有する。
また、本発明の離型剤による離型性は、公知のモンタン酸系の離型剤と比較しても近い程度であるか、または、同等以上であるため、公知のモンタン酸系の離型剤に代わる離型剤として好適である。
また、本発明の離型剤はモンタン酸系の離型剤と併用してもよく、この場合には、モンタン酸系の離型剤の使用量を減らすことができる。
前記樹脂組成物に含まれる樹脂(即ち、本発明の離型剤を用いることができる樹脂)としては特に限定はないが、例えば、熱可塑性樹脂、エンジニアリングプラスチック、及びスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体は熱的に安定である。
このため、本発明における特定ポリオレフィン重合体は、特に、前記エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックと高温で混合される場合でも、これらの樹脂の機械物性の変化を抑制しながら、これらの樹脂に対し離型性を付与することができる。
前記「高温」としては、例えば200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上である。前記「高温」の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
従って、本発明の離型剤は、融点が200℃以上(好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上)の樹脂の離型性を向上させる用途に好適である。該樹脂の融点の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
また、本発明の離型剤は、ガラス転移点が40℃以上(好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上)の樹脂の離型性を向上させる用途に好適である。該樹脂のガラス転移点の上限には特に限定はないが、例えば300℃である。
また、本発明の離型剤は、前記範囲の融点と前記範囲のガラス転移点との双方を満たす樹脂の離型性を向上させる用途にも好適である。
前記熱可塑性樹脂、前記エンジニアリングプラスチック、及び前記スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム状(共)重合体、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂;アイオノマー樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、液晶ポリマー等、が挙げられる。また、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。
具体的には、ポリアセタール樹脂[ポリプラスチック社製、商品名:ジュラコン−M90]、ABS樹脂[宇部サイコン社製、商品名:HM−11001]、[東レ社製、商品名:トヨラック500]、ポリアミド樹脂[三井化学社製、商品名:アーレン]、ポリアミド樹脂[宇部興産社製、商品名:UBEナイロン]、ポリフェニレンエーテル樹脂[旭化成ケミカルズ社製、商品名:ザイロン]、ポリブチレンテレフタレート樹脂[東レ社製、商品名:トレコン]、ポリエチレンテレフタレート樹脂[三井化学社製、商品名:三井PET]、ポリイミド樹脂[三井化学社製、商品名:オーラム]、ポリエーテルサルフォン樹脂[三井化学社製、商品名:PES]、ポリカーボネート樹脂[出光興産社製、商品名:タフロン]、[帝人化成社製、商品名:パンライト]等が挙げられる。
本発明の離型剤による離型性向上の効果は、上記の樹脂のうち、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリエステル樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)に用いたときに顕著であり、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリフェニレンエーテル樹脂に用いたときにより顕著である。
本発明の離型剤(または本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体)の添加量としては、用いる樹脂の種類にもよるが、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05質量部〜20質量部の範囲、より好ましくは0.1質量部〜10質量部の範囲、さらに好ましくは、0.2質量部〜5質量部の範囲である。
また、本発明の離型剤は、一本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体単体であってもよいし、該重合体とその他の成分とを含む組成物であってもよい。
前記その他の成分としては、前記重合体以外の他の離型剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、帯電防止剤、核剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、相溶化剤、発泡剤、充填剤、補強剤等が挙げられる。
本発明の離型剤は、前記その他成分の分散性を向上する機能を有する。従って、得られた成形体の表面平滑性、摺動性、光沢、透明性、印刷性、溶接適性、滑り特性及びブロッキング特性を向上させる。
また、本発明の離型剤は、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体と、該重合体以外の樹脂と、の樹脂組成物の形態であってもよい。また、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体を含む樹脂組成物を、目的とする樹脂組成物や樹脂成形体のマスターバッチとして用いる形態であってもよい。
本発明の離型剤の使用形態としては、成形材料としての樹脂組成物(例えば、ペレット)中に含有させて使用する形態が挙げられる。この場合、例えば、本発明の離型剤と、該離型剤以外の成分から構成される樹脂組成物と、を混合し、押出機に装入して溶融混練することで、本発明の離型剤を含んだ樹脂組成物(例えば、ペレット)を得ることができる。
また、本発明の離型剤の別の使用形態としては、本発明の離型剤を含まない樹脂組成物と、本発明の離型剤と、を成形時に成形機に装入する形態であってもよい。
また、本発明の離型剤の使用形態としては、溶媒に溶解させて溶液状態とするか、または、溶媒に加熱溶解させた後、冷却してペースト状態とし、得られた溶液またはペーストを、金型に塗布または印刷する形態であってもよい。
本発明の離型剤は、樹脂成形体の金型からの離型性を向上させる効果の他、難燃剤等の腐食性物質による侵食を防止する効果を有する。
また、本発明の離型剤は、例えば、押出機の成形機内部の樹脂滞留部が原因で発生するダイ先端の目やにの生成を防止する効果や、例えば、射出成形金型のベントが閉塞することで発生するショートショットやガス焼けなどを低減する効果を有する。
従って、本発明の離型剤を用いることで、長時間の連続射出成形が可能となることがあり、これらの効果により、成形サイクルの短縮化が図られ効率化、省力化等の利点がもたらされる。
更に、本発明の離型剤を用いることにより、電気・電子部品に用いられるエンジニアリングプラスチックの成形品(樹脂成形体)において、離型性向上を達成し、且つ、はんだ付け工程におけるリフロー耐熱性を向上させ、成形品における靭性を向上させることができる。
また、本発明の離型剤は、滑剤としての機能を有していてもよい。
ここで、滑剤としての機能とは、例えば、樹脂組成物中に含有させることで樹脂組成物の流動性を向上させる機能や、樹脂組成物中に含有させることで混練時に樹脂組成物にかかるシェアを低減させる機能、成形品表面の状態を向上させる機能、等である。
<樹脂組成物及び樹脂成形体>
本発明の樹脂組成物は、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体(または本発明の離型剤)と、樹脂と、を含む。
また、本発明の樹脂成形体は、上記本発明の樹脂組成物を成形して得られたものである。
このため、本発明の樹脂組成物または樹脂成形体は、成形の際、金型からの離型性に優れる。
前記樹脂組成物または樹脂成形体に含まれる樹脂としては、前述の熱可塑性樹脂、前述のエンジニアリングプラスチック、及び前述のスーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられ、好ましい範囲も前述のとおりである。
前記樹脂としては、離型性向上効果の観点より、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
また、前記樹脂としては、離型性向上効果をより効果的に得る観点より、融点が200℃以上(好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上)の樹脂が好適である。該樹脂の融点の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
また、前記樹脂としては、ガラス転移点が40℃以上(好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上)の樹脂も好適である。該樹脂のガラス転移点の上限には特に限定はないが、例えば300℃である。
また、前記樹脂としては、前記範囲の融点と前記範囲のガラス転移点との双方を満たす樹脂が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物または樹脂成形体に含まれる、本発明の極性基含有ポリオレフィン重合体の量としては、用いる樹脂の種類にもよるが、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05質量部〜20質量部の範囲、より好ましくは0.1質量部〜10質量部の範囲、さらに好ましくは、0.2質量部〜5質量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じ、ガラス繊維、難燃剤、難燃助剤、ハロゲンキャッチャー、ドリップ防止剤、結晶核剤等のその他の成分を有していてもよい。
また、本発明の樹脂組成物に含まれるその他の成分としては、既述の本発明の離型剤のその他の成分として列挙した成分が挙げられる。
樹脂成形体への成形方法としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の違いにより異なるが、押出成形方法、射出成形方法、真空成形方法、ブロー成形方法、圧縮形成方法、トランスファー成形方法、RIM成形方法、注型成形方法等、広く一般的に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂に用いられている成形方法を採用することができる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
≪分析装置および測定条件≫
まず、本実施例における化合物の分析に用いた分析装置および測定条件等について説明する。
(1)分子量、分子量分布
重合体の分子量測定に際しては、本文中に記載のGPC装置および条件で測定を行った。
(2)H−NMRスペクトル
日本電子社製JNM−GSX270型または日本電子社製EX400型用いて、本文中に記載の方法で測定した。
(3)赤外線吸収スペクトル
日本分光社製FT/IR−6100を用いて測定した。
(4)FD−質量分析
日本電子社製JMS−SX102Aを用いて分析した。
(5)融点(Tm)
本実施例中、特に断りの無い限り、融点(Tm)は以下のようにして測定した。
即ち、島津製作所製DSC−60Aを用い、以下の条件で測定して得られたピークトップ温度を採用、融点(Tm)とした。
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:窒素(50ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→100℃(5分固定)→350℃(5分固定)
(6)5%減量温度(Thermogravimetric Analysis(TGA))
島津製作所製DTG−60を用い、以下の条件で測定して得られた減量カーブから解析により求めた。
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:空気(100ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→100℃(10分固定)→400℃(5分固定)
〔合成例1〕
(重合体(A1)の合成:片末端二重結合含有エチレン重合体)
触媒として使用した下記化合物(xi)は、特許第3934999号公報の合成例6に従って合成し、片末端二重結合含有ポリエチレンは、同公報実施例8に従って合成した。
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。
続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cmGに加圧し、温度を維持した。 次に、オートクレーブ内に、MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで下記化合物(xi)のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。
エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥した。
Figure 2011057726

得られた重合体(A1)はホモポリエチレン重合鎖で、片末端に二重結合を有するホモポリエチレンに、一部、両末端に二重結合を有するホモポリエチレンが混入していた。
H−NMRの測定結果および物性は以下の通りであった。
H−NMR:δ(CCl) 0.81(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.45(m),1.93(m、2H),4.80(dd,1H,J=9.2,1.6Hz),4.86(dd,1H,J=17.2,1.6Hz),5.60−5.72(m,1H)
・二重結合含有率(X):1.16
・融点(Tm):123℃
・Mw:1900、Mw/Mn:2.24
〔合成例2〕
(重合体(A2)の合成:片末端二重結合含有エチレン重合体)
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、5−クロル−3−クミルサリチルアルデヒド15.4g(56.1mmol)、トルエン60ml、及びメチルアミン4.42g(40%メタノール溶液、56.9mmol)を仕込み、室温で5時間撹拌した。この反応溶液を減圧濃縮することにより、下記式(xii)で示される赤褐色オイル16.0g(収率99%)を得た。
H−NMR:δ(CDCl3)1.71(s,6H),3.33(s,3H),7.10−7.44(m,7H),8.16(s、1H),13.8(s,1H)
Figure 2011057726

充分に乾燥、アルゴン置換した500mlの反応器に、上記化合物(xii)12.1g(42.0mmol)とジエチルエーテル150mlとを仕込み、−78℃に冷却し撹拌した。これにn−ブチルリチウム27.8ml(n−ヘキサン溶液、1.57M、43.7mmol)を30分かけて滴下し、そのままの温度で2時間撹拌した後、ゆっくりと室温まで昇温し、室温でさらに3時間撹拌してリチウム塩を調製した。この溶液を、−78℃に冷却したZrCl(THF)錯体4.84g(20.8mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液150mlに滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで昇温しながら撹拌を続けた。さらに室温で12時間撹拌した後、反応液を溶媒留去した。
得られた固体を塩化メチレン200mlに溶解し、不溶物をガラスフィルターで除去した。ろ液を減圧濃縮し、析出した固体をジエチルエーテル80ml、n−ヘキサン150mlで再沈し、減圧乾燥することにより下記式(xiii)で示される黄色粉末の化合物11.4g(収率75%)を得た。
H−NMR:δ(CDCl)1.67(s,6H),1.92(s、6H),2.30(s,6H),7.00−7.60(m,12H),7.70(s,2H),7.79(s,2H)
・FD−質量分析:734
Figure 2011057726

充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン1000mlを装入し、150℃に維持した。エチレンにて34kg/cmGに昇圧し、MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)1ml(1mmol)を圧入し、次いで化合物(xiii)のトルエン溶液(0.0001mmol/ml)3ml(0.0003mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。
得られたポリマー溶液から溶媒を留去してポリマーを析出させた。その後、80℃にて10時間減圧乾燥した。
得られた重合体(A2)は片末端に二重結合を有するホモポリエチレンであった。
また、得られた重合体(A2)は30.45gであり、重合活性は203kg/mmol−Zr・hrであり、H−NMRの測定結果及び物性は以下の通りであった。
・二重結合含有率(X):0.990
・融点(Tm):116℃
H−NMR:δ(C) 0.81(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.45(m),1.95(m,2H),4.84(dd,1H,J=9.2,1.6Hz),4.91(dd,1H,J=17.2,1.6Hz),5.67−5.78(m、1H)
・Mw:1380,Mw/Mn:2.20
〔実施例1〕
マスフローコントローラーおよび酸素濃度計を設置した200mlステンレス製オートクレーブ(反応器)に、合成例1で得られた重合体(A1)50gを仕込み、密閉後、体積比〔酸素ガス/(窒素ガス+酸素ガス)〕が0.1である酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを150ml/分にて流通を開始し、温度を180℃まで昇温した。
前記混合ガスを前記流量で流通させながら、温度180℃にて16時間攪拌し、重合体(A1)の空気酸化を行った。
その後、前記混合ガスを前記流量で流通させながら反応系を140℃〜150℃まで冷却した後、前記空気酸化により得られた重合体を反応器から排出し、極性基含有重合体である例示化合物(1)47g(収率94%)の淡黄色固体を得た。
得られた例示化合物(1)は、ホモポリエチレンの少なくとも片方の末端に、−C(O)OH基を有し、Mnが2200であり、比〔Mw/Mn〕が7.0であり、極性基(F)の含有率が76%であった。
例示化合物(1)の詳細な物性は以下のとおりである。
FT−IRで算出した二重結合の消費率(変性率)は82%であった。
・融点(Tm):113℃
H−NMR:δ(CCl) 0.85(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.65(m),2.06(s,2H),2.40(t,2H,J=5.2Hz),3.50−3.60(m),3.90−4.20(m),4.3−4.5(m),4.7−4.9(m),5.4(m)
13C−NMR: 13.34,17,49,22.19,23.66,25.36,26.69,28.74,28.91,29.06,29.14,29.26,29.34,29.72,30.11,31.51,33.93,37.50,42.16,71.32,178.41,182.89
・FT−IR:(cm−1) 4322,4250,4189,3605,3478,2975−2826,2637,1734−1711,1468,1375,1178,720
〔実施例2〕
実施例1において原料の二重結合含有重合体を合成例2で得られた重合体(A2)に変えた以外は実施例1と同様にして、例示化合物(2)45g(収率90%)の淡黄色固体を得た。
得られた例示化合物(2)は、ホモポリエチレンの少なくとも片方の末端に、−C(O)OH基を有し、Mnが1090であり、比〔Mw/Mn〕が7.5であり、極性基(F)の含有率が78%であった。
例示化合物(2)の詳細な物性は以下のとおりである。
FT−IRで算出した二重結合の消費率(変性率)は90%であった。
・融点(Tm):109℃
H−NMR:δ(CCl) 0.85(t,3H,J=6.9Hz),1.10−1.65(m),2.06(s,2H),2.40(t,2H,J=5.2Hz),3.50−3.60(m),3.90−4.20(m),4.3−4.5(m),4.7−4.9(m),5.4(m)
13C−NMR:13.34,17,49,22.19,23.66,25.36,26.69,28.74,28.91,29.06,29.14,29.26,29.34,29.72,30.11,31.51,33.93,37.50,42.16,71.32,178.41,182.89
・FT−IR:(cm−1)4322,4250,4189,3605,3478,2975−2826,2637,1734−1711,1468,1375,1178,720
≪ポリアミド樹脂での離型性評価≫
〔実施例3−1〕
ポリアミド樹脂(宇部興産製、UBEナイロン:1015GC6A、融点223℃)と、前記例示化合物(2)(離型剤)と、を表1に示すような量比で混合し、二軸押出機(パーカーコーポレーション製、HK25D、シリンダー温度260℃)に装入し、溶融混練してペレット(樹脂組成物)を得た。ペレットの作製量は3kgとした。
なお、上記1015GC6Aの融点は、以下のようにして測定した。
即ち、島津製作所製DSC−60Aを用い、以下の条件で測定して得られたピークトップ温度を採用し、融点とした。
−条件−
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:窒素(50ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→350℃
次に上記で作製したペレットを、下記条件の下、コップ型の射出成形金型を用いて射出成形を行ってコップ型成形品を作製するとともに、射出成形の際の離型応力(離型力)を下記条件により測定した。
離型応力値はN=15ショットの平均値とした。
結果を表1に示す。
(射出成形及び離型応力測定の条件)
コップ型金型:φ50×50×1.6mmt、勾配0.5°
金型温度:80℃
成形機:クロックナーF−85
シリンダー温度:NT/C1/C2/C3=280℃/250℃/250℃/240℃
測定装置:ニレコ社モバック100
センサー:M100A、ストレンゲージ式、受圧部ピンφ2.5
〔比較例3−1〕
離型剤として、例示化合物(2)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例3−1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例3−2、比較例3−2〕
離型剤の種類及び量を下記表1に示すようにしたこと以外は実施例3−1と同様の操作を行った。
なお、リコワックスEは、クラリアント(株)製のモンタン酸系離型剤である。
結果を表1に示す。
Figure 2011057726
表1に示すように、実施例3−1及び3−2では、離型剤が無添加である比較例3−1に対して離型力が30%以下に低減されており、極めて優れた離型性を示した。
また、実施例3−1及び3−2では、モンタン酸系離型剤を用いた比較例3−2よりも優れた離型性を示した。
≪ポリカーボネート樹脂での離型性評価≫
〔実施例4−1〕
実施例3−1において、ポリアミド樹脂をポリカーボネート樹脂(帝人化成製、パンライト:G−3410R、ガラス転移点150℃)に変更し、ペレット作製時の二軸押し出し機のシリンダー温度を280℃に変更し、射出成形時の成形機のシリンダー温度を「NT/C1/C2/C3=290℃/280℃/270℃/260℃」に変更したこと以外は実施例3−1と同様の操作を行った。
上記ガラス転移点は、既述の1015GC6Aの融点測定と同様の条件で測定し、自動計算により求めた。具体的には、接線交点からオンセット及びオフセットを求め、得られたオンセット(147℃)とオフセット(154℃)との中間点(150℃)を、ガラス転移点とした。
結果を表2に示す。
〔比較例4−1〕
離型剤として、例示化合物(2)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例4−1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
〔実施例4−2、比較例4−2、比較例4−3〕
離型剤の種類及び量を下記表2に示すようにしたこと以外は実施例4−1と同様の操作を行った。
なお、リコモントCaV−102は、クラリアント(株)製のモンタン酸系離型剤である。
結果を表2に示す。
Figure 2011057726
表2に示すように、実施例4−1及び4−2では、離型剤が無添加である比較例4−1に対して離型力が80%程度又はそれ以下に低減されており、優れた離型性を示した。
また、実施例4−1及び4−2では、モンタン酸系の離型剤(比較例4−2及び4−3)と同等以上の優れた離型性を示した。
≪変性ポリフェニレンエーテル樹脂での離型性評価≫
〔実施例5−1〕
実施例3−1において、ポリアミド樹脂を変性ポリフェンレンエーテル樹脂(旭化成ケミカルズ製、ザイロン:G701V、ガラス転移点210℃)に変更し、ペレット作製時の二軸押し出し機のシリンダー温度を290℃に変更し、射出成形時の成形機の金型温度を75℃に変更し、射出成形時の成形機のシリンダー温度を「NT/C1/C2/C3=300℃/280℃/270℃/260℃」に変更した以外は実施例3−1と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
〔比較例5−1〕
離型剤として、例示化合物(2)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例5−1と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
Figure 2011057726
表3中、比較例5−1の離型力「N.D.」は、金型から成形体を離型することができず、離型性が極めて悪いことを示す。
表3に示すように、実施例5−1では、離型剤が無添加である比較例5−1に対し、極めて優れた離型性を示した。

Claims (9)

  1. エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖の少なくとも片方の末端に、ヒドロキシル基、−C(O)OR基および−C(O)R基からなる群から選ばれる極性基(F)を有し(前記Rおよび前記Rはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。)、
    ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が500以上10000以下であり、
    GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比〔Mw/Mn〕が1.0以上10.0以下であり、
    H−NMRから計算される極性基(F)の含有率が70%以上100%以下である極性基含有ポリオレフィン重合体。
  2. 下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を空気酸化して得られる請求項1に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
    Figure 2011057726


    〔一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または、炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。〕
  3. 前記ポリオレフィン重合鎖が、ポリエチレン重合鎖である請求項1または請求項2に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
  4. 前記極性基(F)が、−C(O)OH基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体を含む離型剤。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体を製造する方法であって、
    下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を用意する工程と、
    下記一般式(i)で示される二重結合含有ポリオレフィン重合体を空気酸化する工程を有する極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 2011057726


    〔一般式(i)中、POは、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られるポリオレフィン重合鎖であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1以上20以下のアルキル基を表す。〕
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の極性基含有ポリオレフィン重合体と、樹脂と、を含む樹脂組成物。
  8. 前記樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、またはポリカーボネート樹脂である請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形体。
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