JP3934852B2 - 酸化鉄粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化鉄粒子に関し、詳しくは脂肪酸吸着量が高く、粒子表面に銅成分を含有、および/または粒子表面に銅成分が露出していることにより、樹脂等の有機物との親和性の高い表面を有し、特に静電複写磁性トナー、静電潜像現像用キャリア用材料粉および黒色顔料粉等の用途として好適な酸化鉄粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近電子写真用の材料粉や黒色顔料粉としてマグネタイトを主成分とする酸化鉄粒子が汎用されており、近年の電子写真システムの急速な発展に伴い、この用途に用いられる酸化鉄粒子としても、その要求特性がさらに高度なものとなってきた。
このような酸化鉄粒子は、一般的には熱可塑性樹脂およびワックス成分や帯電制御剤等と熱混練して静電複写磁性トナーや静電潜像現像用キャリアとして用いられている。したがって、このような熱混練の際に、酸化鉄粒子が高い分散性を有し、溶融樹脂中に均一に分散できることが、電子写真用途として用いられるためには、非常に重要な要件となっている。
【0003】
また、電子写真システムの高速化にともない、印刷紙への定着時におけるオフセット現象や定着不良といった問題に対しては、樹脂側での調整が通常行なわれているが、酸化鉄粒子に関しても何らかの対策が求められてきている。
【0004】
上記の酸化鉄粒子の樹脂混練時における分散性向上に関する公知技術としては、特開平3−221965号公報や特開平7−277738号公報等に開示されているような酸化鉄粒子表面を有機系処理剤で処理し、表面を疎水化する技術が挙げられる。
かかる有機系処理剤で処理された酸化鉄粒子は、確かに樹脂とのなじみを改善する効果は期待できるが、前記処理剤が熱混練時にいかなる化学変化を生じるか不明な点も多く、前記効果が必ずしも安定して得られるものとは言い難かった。
【0005】
したがって本発明では、上記従来技術によらずに、熱混練時の樹脂との親和性が高い、静電複写磁性トナー用や静電潜像現像用キャリア用および黒色顔料粉用に適した酸化鉄粒子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、酸化鉄粒子の単位表面積あたりのミリスチン酸吸着量が特定以上の酸化鉄粒子であれば、酸化鉄粒子の樹脂混練時における樹脂との親和性が向上されることを知見した。
【0007】
本発明は、ミリスチン酸吸着量A(g)、酸化鉄粒子重量B(g)および窒素を用いたBET法による酸化鉄粒子の比表面積C(m2/g)において、下記式(1)を満たし、且つ酸化鉄粒子表面に銅成分を含有および/または銅成分が露出しており、酸化鉄粒子全体に含まれている全銅成分量に対して、1mol/lの濃度のアンモニア水溶液で溶出する銅成分量の重量比率が、銅元素に換算して5重量%以上であることを特徴とする、静電複写磁性トナー用、静電潜像現像用キャリア用材料粉用、または黒色顔料粉用の酸化鉄粒子を提供するものである。
A/(B×C)≧4×10-4(g/m2) … (1)
【0008】
また、本発明は上記条件に加えて、酸化鉄粒子表面に銅成分を含有および/または銅成分が露出しており、酸化鉄粒子全体に含まれている全銅成分量に対して、1mol/lの濃度のアンモニア水溶液で溶出する銅成分量の重量比率が、銅元素に換算して5重量%以上であることを特徴とする酸化鉄粒子を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
一般に粒子の分散性については、その粒子の大きさが問題とされており、その粒子径についてはさまざまな測定方法がある。特に酸化鉄粒子のような微粒子においては、電子顕微鏡を用いて直接粒子の大きさを測定する方法もあるが、簡便法として窒素を用いたBET法による比表面積測定によって粒子径の代用とすることが行なわれている。
【0010】
しかしながら、このBET法による比表面積においては、窒素ガスの分子の大きさを用いて、酸化鉄粒子表面へ吸着する窒素ガスの量を測定するため、分散性において評価の目安である1次粒子の平均粒子径だけではなく、粒子表面に存在するごく微小な凹凸まで測定してしまうため、分散性を代用評価する上で問題がある。
【0011】
本発明者らは、上記代用評価方法を検討する過程で、ミリスチン酸吸着量が特定以上の酸化鉄粒子であれば、酸化鉄粒子の樹脂混練時における樹脂との親和性が向上されることを知見し、より具体的な酸化鉄粒子としては、酸化鉄粒子表面に特定量の銅成分を含有および/または露出させたものが好ましいことを知見したのである。
【0012】
すなわち、本発明の酸化鉄粒子は、ミリスチン酸吸着量A(g)、酸化鉄粒子重量B(g)および窒素を用いたBET法による酸化鉄粒子の比表面積C(m/g)において、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
A/(B×C)≧4×10−4(g/m) … (1)
【0013】
本発明において、酸化鉄粒子の表面に吸着するミリスチン酸量を特定する方法は、以下の通りである。
〔ミリスチン酸吸着量測定法〕
(1)容量100mlのポリビンに、酸化鉄粒子粉末5gとミリスチン酸0.5gを精秤して入れる。
(2)試薬2級エタノールを50mlはかりとり、ポリビンに加える。
(3)ポリビンを密封し、2回転/秒で回転するようにしたボールミル回転装置で24時間混合する。
(4)ポリビンを静置し、上澄み液を5mlのホールピペットで300mlコニカルビーカーに分取する。
(5)0.1重量%のフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴添加し、エタノールで液量を50ml程度に調整し、0.01mol/lのNaOH水溶液で滴定する。透明な溶液が薄紫色となった時点を滴定終点とする。
(6)(1)において酸化鉄粒子粉末を入れずに、(1)から(5)の操作を行ない、得られた滴定値をブランクとし、この滴定値から(5)の滴定値を差し引くことで、酸化鉄粒子に吸着されたミリスチン酸を定量する。
【0014】
本発明の酸化鉄粒子は、酸化鉄粒子重量B(g)とBET法による比表面積C(m2/g)で求められる全表面積に対して、ミリスチン酸吸着量A(g)が、式(1)に示されるように高いことを特徴としており、ミリスチン酸吸着量が高いことで、樹脂等の有機物との親和性が高く、熱混練時における分散性に対して効果がある。
【0015】
式(1)に関し、A/(B×C)の値としては4×10−4(g/m)以上が望ましい。より好ましくはこの値が5×10−4(g/m)、さらに好ましくは6×10−4(g/m)である。
【0016】
また、本発明の酸化鉄粒子は、酸化鉄粒子表面に銅成分を含有および/または銅成分が露出しており、酸化鉄粒子全体に含まれている全銅成分に対して、1mol/lの濃度のアンモニア水溶液で溶出する銅成分量の重量比率が、銅元素に換算して5重量%以上である。
【0017】
本発明においては、酸化鉄粒子がその粒子表面に銅成分を含有しているということは、酸化鉄粒子表層部分に銅成分を含有する成分が微粒子として存在および/または層状に被覆されて存在している状態を意味し、また、露出しているということは、酸化鉄粒子最表面部分に銅成分が存在している状態を意味する。本発明では、下記に示すようなアンモニアによる銅成分の溶出量を酸化鉄粒子表面の銅成分露出量として取扱う。
【0018】
酸化鉄粒子に銅成分を含有させる公知技術の代表例としては、特開平7−267646号公報が挙げられ、当該技術は、銅等の特定の金属元素を粒子全体の外殻50重量%以内に60mol%以上含有させたマグネタイト粒子について開示している。しかし、かかるマグネタイト粒子は、低ミリスチン酸吸着量とする思想に欠けるものであるため、本発明の課題であるところの、樹脂混練時における樹脂との親和性が向上した酸化鉄粒子とはいえない。
【0019】
酸化鉄粒子表面に銅成分を含有および/または露出することによってミリスチン酸吸着量が高くなる現象について、その科学的根拠は確認が取れていないが、このような銅成分を粒子表面に含有および/または露出させることによって、適度な大きさの銅成分の微粒子が酸化鉄粒子表面に存在する微細な凹凸を平滑化して、窒素吸着による比表面積を下げることにより、式(1)に記載のミリスチン酸吸着量を高くすることができるものと推定される。
【0020】
銅成分を含有および/または銅成分が露出している酸化鉄粒子表面の銅成分露出量を特定するためには、以下のような方法を用いて確認する。
〔銅成分溶出測定法〕
(1)酸化鉄粒子粉末1gと1mol/lのアンモニア水25mlを内容積100mlのポリビーカーに入れ、マグネティックスターラーで室温にて4時間撹拌する。
(2)上澄み液を分取し、ICPにて溶出した銅濃度を測定し、液量から溶出した銅を定量する。
(3)別に、酸化鉄粒子粉末を硫酸で全量溶解し、ICPにて酸化鉄粒子中に含まれている銅を定量する。
この方法によって重量比率を計算するが、溶出した銅成分が酸化鉄粒子中に含まれている銅成分に対して、銅元素に換算して5重量%以上あることが望ましい。この値は10重量%以上95%重量以下が好ましく、20重量%以上90%重量以下がより好ましい。
【0021】
また、本発明の技術を応用した、例えば粒子表面にケイ素成分等を被覆した酸化鉄粒子は、粒子表面の凹凸が多く、BET法による比表面積も高くなりやすいが、粒子表面に銅成分を含有および/または露出させることで、このような微細な凹凸を平滑化し、なおかつ樹脂との親和性を高くすることができるため、式(1)の値を大きく高めることができ、熱混練時における分散性を改善することができる。
【0022】
次に本発明の酸化鉄粒子の好ましい製造方法について具体的に述べる。
本発明のような酸化鉄粒子は、例えば第一鉄塩水溶液をアルカリで中和し、温度を60〜100℃に維持し、撹拌しながら酸化性ガスを通気して酸化する方法において、粒子表面に銅成分を含有、および/または粒子表面に銅成分が露出するように、銅成分を含有する水溶液の添加時期を酸化反応の後半に調整したり、pHを調整することで製造できる。また、酸化反応終了後、鉄成分と銅成分を含有する混合水溶液を添加し、pHを調整しながら酸化反応を行なう方法でも良い。
【0023】
具体的には、酸化反応の途中で銅成分を添加する場合には、酸化工程で消費される未反応のFe2+成分が70%以上99%未満消費された時点で添加し、かつ銅成分を添加した直後においてはpH6以上8以下に、被覆終了時においてはpH8以上10以下に調整する方法にて製造する。つまり、銅成分添加直後においては、粒子内部へ銅成分が取りこまれにくい反応雰囲気とし、被覆処理の終了時においては、粒子表面に銅成分が十分含有および/または露出できるような反応雰囲気に調整することが重要で、pH調整が反応雰囲気を調整する上で最も好ましい。
【0024】
また、酸化反応終了後に銅成分を添加する場合には、銅成分とともに鉄成分を含有する水溶液を添加し、pHを調整しながら酸化反応を行う方法が好ましい。この場合、銅成分と鉄成分を添加している際のpHは6以上8以下に、酸化反応を行なう際のpHは8以上10以下に調整すれば良い。また、この銅成分と同時に添加する鉄成分量は、第1段反応終了時の酸化反応率が70〜99%となるように添加すれば良い。
【0025】
上記において、銅成分の添加時期が、未反応のFe2+成分の70%未満の場合、粒子内部に銅成分が取りこまれてしまい、粒子表面に銅成分が露出できなくなってしまう。また、99%以上消費された時点で添加した場合、銅成分が粒子表面に過剰に露出してしまい、粒子表面から銅成分が脱落してしまうため好ましくない。したがって、銅成分のみが反応溶液中に存在するように銅成分を含有する水溶液を添加する方法は好ましくない。
【0026】
本発明においては、上記何れの方法においても、銅成分を粒子表面に含有および/または露出させるためのpH調整が重要である。反応溶液のpHが10を超える場合、粒子内部に銅成分が取りこまれ易くなり、また、pHが6未満の場合、銅成分が粒子表面に含有および/または露出させにくくなるため、好ましくない。
【0027】
また、本発明の効果をより引き出すためには、反応溶液中の未反応のFe2+成分が多い時点ではpHを低くし、未反応のFe2+成分が少なくなるのを見計らってpHを高くする必要がある。このpH調整を段階的に変化させる方法は、粒子表面に銅成分を含有および/または露出させるために重要であるが、pHを高めに変化させるタイミングが遅いほど銅成分の粒子表面への露出量は大きくなるものの、酸化鉄粒子全体に対する銅成分の歩留まりが悪くなるので、前記未反応のFe2+成分が多くとも95%消費された時点ではpHを高くする必要がある。
【0028】
さらに、粒子表面にケイ素成分と銅成分を含有させる際には、ケイ素成分と銅成分、さらには銅成分を粒子表面より脱落しないように鉄成分を結合させた状態で酸化鉄粒子表面に含有させることが好ましい。ケイ素成分を粒子表面に含有させる場合、公知の方法としてpHを調整して被覆することが知られているが、この際、銅成分もこのようなpHの調整とともにケイ素成分と共沈現象を起こすものと考えられる。さらにFe2+との共沈および酸化によって、鉄とケイ素と銅成分が結合した複合酸化鉄である場合、より安定に粒子表面に含有させることができるものと考えられる。
【0029】
特に、ケイ素成分を粒子表面へ含有させる際には、公知技術のように水溶性珪酸塩を用い、中和を行なうと、微細な珪酸ゾルを酸化鉄粒子表面へ含有させることができ、粒子表面に微細な凹凸が多数発生する。この凹凸を平滑化するために銅成分を添加することが効果的である。しかし、例えば水溶性珪酸塩の代わりに、市販品の酸化ケイ素の微粉末を酸化鉄反応に用いた場合、本発明のような銅成分による表面の平滑化は十分得られないため、好ましい方法とはいえない。
【0030】
このようにして得られた酸化鉄粒子は、外部磁場796kA/mにおいて、飽和磁化値で70Am/kg以上が好ましく、より好ましくは75Am/kg以上である。
【0031】
【実施例】
[実施例1]
2.0mol/lのFe2+を含有する水溶液50リットルと4.0mol/lのNaOH水溶液48リットルを混合し、pH6.5の水酸化第一鉄スラリーを得た。得られたスラリーの温度を85℃、pH6.5を維持しながら空気を通気し、酸化反応を行った。酸化反応の過程は、未反応のFe2+の残存量を以下の方法で定量しながら反応を行なった。途中酸化反応率が80%に達した時点で、0.5mol/lのCu2+水溶液1リットルを添加した。さらに反応率90%の時点でスラリーのpHが8.0になるように調整し、未反応Fe2+が残存しなくなるまで空気を通気して、粒子表面に銅成分を含有する酸化鉄粒子を得た。得られた酸化鉄粒子を通常の濾過、洗浄、乾燥、粉砕を経て、酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を以下の方法および前述のミリスチン酸吸着量測定法および銅成分溶出測定法で評価した。
【0032】
〔未反応Fe2+測定方法および酸化反応率〕
反応中のスラリーを分取し、5%希硫酸に分散し、水酸化第一鉄だけを溶解した。溶解した液中のFe2+を過マンガン酸カリウム標準溶液を用いた酸化還元滴定にて定量した。
酸化反応率(%)=(1−(酸化反応途中に残存する未反応Fe2+量(g/l))/(酸化反応開始時の未反応Fe2+量(g/l)))×100
【0033】
(1)比表面積
島津−マイクロメリテックス社製2200型BET計にて測定した。
(2)化学分析
試料を酸に溶解し、ICPにて各元素を定量した。
(3)飽和磁化値
東英工業製振動試料型磁力計VSM‐P7を用い、外部磁場796kA/mにて測定した。
(4)分散性試験
試料を用い、以下の処方で電子写真用磁性トナーを試作し、その工程で得られる混練物の破断面を走査型電子顕微鏡で倍率1000倍にて5視野観察し、凝集して未分散の酸化鉄粒子の有無を確認した。
【0034】
〔電子写真用トナー試作〕
試料100重量部、熱可塑性樹脂(三洋化成(株)製 スチレンアクリル系樹脂TB−1000F)100重量部、帯電制御剤(オリエント化学(株)製 ボントロンS−34)1重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、さらに2軸のニーダーを用いて180℃にて溶融混練をした。得られた混練物を冷却してバンタムミルにて粗粉砕、さらにジェットミルにて微粉砕した後、風力分級機(日清エンジニアリング(株)製ターボクラシファイア TC−15M)を用いて、平均粒径8μmの粒子を得た。この粒子に流動化剤としてのシリカ微粒子(日本アエロジル(株)製R−972)を2重量%添加して、現像用磁性トナーを作成した。
【0035】
得られた結果を表1に示す。
酸化鉄粒子1gあたり(B=1.0)のミリスチン酸吸着量Aは3.8×10−3(g)、窒素を用いたBET法による酸化鉄粒子の比表面積Cは7.5(m2/g)であり、A/(B×C)=5.1×10−4(g/m2)であった。また、酸化鉄粒子全体に含まれている全銅成分量に対して、1mol/lの濃度のアンモニア水溶液で溶解する銅成分量の重量比率は、銅元素に換算して39重量%であった。
【0036】
[比較例1]
実施例1と同様に2.0mol/lのFe2+を含有する水溶液50リットルと4.0mol/lのNaOH水溶液48リットルを混合し、pH6.5の水酸化第一鉄スラリーを得た。得られたスラリーの温度を85℃、pH6.5を維持しながら空気を通気し、酸化反応を行った。酸化反応の過程は、未反応のFe2+の残存量を以下の方法で定量しながら反応を行なった。反応率90%の時点でスラリーのpHが8.0になるように調整し、未反応Fe2+が残存しなくなるまで空気を通気して、実施例1に対して粒子表面に銅成分を含有しない酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。
【0037】
得られた結果を表1に示す。酸化鉄粒子1gあたり(B=1.0)のミリスチン酸吸着量Aは2.2×10−3(g)、窒素を用いたBET法による酸化鉄粒子の比表面積Cは6.9(m2/g)であり、A/(B×C)=3.2×10−4(g/m2)であった。
【0038】
[実施例2]
実施例1において、Siを0.2mol/l含有する珪酸ソーダ水溶液8リットルを酸化反応開始前の水酸化第一鉄スラリーへ追加した後、実施例1と同様に酸化反応を行ない、酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0039】
[実施例3]
実施例1において、酸化反応途中に銅成分を添加せずに酸化反応を行った。酸化反応終了後、スラリーのpHが8.0を維持しながら、珪酸成分および銅成分を含有する第一鉄塩水溶液を添加した。(Fe2+を1.0mol/l含有する溶液2リットルにSiが1molおよびCu2+が0.1mol含有するように珪酸と銅イオンを含有した溶液を添加した。)その後、反応温度85℃とpH8.0を維持しながら空気を通気して酸化を行ない、酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0040】
[比較例2]
実施例2において銅成分を添加せずに反応し、酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0041】
[比較例3]
実施例3において、第1段酸化反応終了後、珪酸成分を含有する第一鉄塩水溶液を添加した。(Fe2+を1.0mol/l含有する溶液1リットルにSiが1mol含有するように珪酸を含有した溶液を添加した。)その後実施例3と同様に反応を行ない酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0042】
[比較例4]
実施例1と同様に2.0mol/lのFe2+を含有する水溶液50リットルと4.0mol/lのNaOH水溶液48リットルを混合し、pH6.5の水酸化第一鉄スラリーを得た。得られたスラリーの温度を85℃、pH6.5を維持しながら空気を通気し、酸化反応を行った。酸化反応の過程は、未反応のFe2+の残存量を以下の方法で定量しながら反応を行なった。途中酸化反応率が20%に達した時点で、0.5mol/lのCu2+水溶液1リットルを添加した。さらに反応率70%の時点でスラリーのpHが12.0になるように調整し、未反応Fe2+が残存しなくなるまで空気を通気して、粒子表面に銅成分を含有する酸化鉄粒子を得た。得られた酸化鉄粒子を通常の濾過、洗浄、乾燥、粉砕を経て、酸化鉄粒子粉末を得た。得られた酸化鉄粒子粉末を実施例1に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
[比較例5]
特開平7−267646号公報の実施例4に従って試験を行なった。すなわち、公報記載のようにFe2+を1.1mol/l含有する水溶液7.27リットルと5.13mol/lのKOH2.73リットルの溶液を撹拌混合して水酸化第一鉄コロイド溶液を作成した。この溶液に公報記載のようにアンモニア水を添加してpHを8.5および温度95℃を維持しながら空気を通気し、酸化反応が50%進んだ時点(Fe(OH):Fe=1:1の時点)で硫酸銅59gを溶解した水溶液1リットルを添加し、酸化反応を継続してマグネタイト粒子を得た。得られたマグネタイト粒子を水洗、濾別、乾燥後解砕した。この方法で製造したマグネタイト粒子粉末を特開平7−267646号公報の「段落番号0028」に記載されているマグネタイト粒子の外殻部におけるFe以外の銅元素の求め方に基づいて測定した結果、マグネタイト粒子外殻部溶解量として35重量%の時点で、銅元素の含有率として85mol%であった。この試料を実施例1に準じて評価し、得られた結果を表1に示す。
【0044】
[比較例6]
特開平7−267646号公報の実施例24に従って試験を行なった。すなわち、公報記載のようにFe2+を1.1mol/l含有する水溶液7.27リットルと5.13mol/lのKOH2.73リットルの溶液を撹拌混合して水酸化第一鉄コロイド溶液を作成した。この溶液に特許記載のようにアンモニア水を添加してpHを8.5および温度95℃を維持しながら空気を通気し、酸化反応が25%進んだ時点でコロイダルシリカ(日本アエロジル(株) AEROSIL 90G(1次粒子の平均径 約20nm)を0.7g添加し、さらに酸化反応が50%進んだ時点(Fe(OH):Fe=1:1の時点)で硫酸銅59gを溶解した水溶液1リットルを添加し、酸化反応を継続してマグネタイト粒子を得た。得られたマグネタイト粒子を水洗、濾別、乾燥後解砕した。この方法で製造したマグネタイト粒子粉末を特開平7−267646号公報の「段落番号0028」に記載されているマグネタイト粒子の外殻部におけるFe以外の銅元素の求め方に基づいて測定した結果、マグネタイト粒子外殻部溶解量として35重量%の時点で、銅元素の含有率として85mol%および粒子外殻部SiO含有率が全SiO量に対して75%であった。この試料を実施例1に準じて評価し、得られた結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003934852
【0046】
表1からも明らかなとおり、実施例1〜3の酸化鉄粒子粉末は、単位表面積あたりのミリスチン酸吸着量が高いことに起因して、樹脂との親和性が高く、その結果、樹脂混練物中に凝集粒子が認められず、分散性に優れていた。
一方、比較例1〜6の酸化鉄粒子またはマグネタイト粒子粉末は、銅成分を有しているいないにかかわらず、単位表面積あたりのミリスチン酸吸着量が小さく、したがって樹脂との親和性が小さく、その結果、樹脂混練物中に凝集粒子が多く発生し、分散性に劣っていた。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、ミリスチン酸吸着量をA(g)、酸化鉄粒子重量をB(g),窒素を用いたBET法による酸化鉄の粒子の比表面積をC(m2/g)とした場合において、A/(B×C)≧4×10−4(g/m2)なる条件を満たす本発明の酸化鉄粒子は、粒子表面の微細な凹凸が少なく、樹脂との親和性を高くすることができるため、熱混練時における分散性が改善され、静電複写磁性トナー用や静電潜像現像用キャリア用および黒色顔料粉等の用途に好適である。

Claims (1)

  1. ミリスチン酸吸着量A(g)、酸化鉄粒子重量B(g)および窒素を用いたBET法による酸化鉄粒子の比表面積C(m2/g)において、下記式(1)を満たし、且つ酸化鉄粒子表面に銅成分を含有および/または銅成分が露出しており、酸化鉄粒子全体に含まれている全銅成分量に対して、1mol/lの濃度のアンモニア水溶液で溶出する銅成分量の重量比率が、銅元素に換算して5重量%以上であることを特徴とする、静電複写磁性トナー用、静電潜像現像用キャリア用材料粉用、または黒色顔料粉用の酸化鉄粒子。
    A/(B×C)≧4×10-4(g/m2) … (1)
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