JP3932724B2 - シート分離搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレイに載置されているシートを1枚ずつ分離して送り出すシートさばき装置に関し、特に、リタードローラに設ける弾性押圧手段に対して、前記リタードローラの支持フレームの上部から押圧力を調整可能に構成した調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置等においては、トレイに載置しているシートを1枚ずつ分離して給紙し、搬送路に設けた搬送ローラ装置により処理部に向けて搬送する手段が用いられている。前記シートをトレイから送り出すために、トレイに対応させた位置にピックアップローラを配置し、前記ピックアップローラにより取り出されたシートをシートさばき装置により1枚ずつ分離し、画像形成装置の処理部に向けて送り込むように構成している。前記シートが画像読取装置で用いられる原稿の場合には、画像読取装置の原稿トレイに対してピックアップローラを配置し、その下流部に配置するシートさばき装置では、シート送り方向とは反対側に回転されるリタードローラと、給紙方向に回転されるセパレートローラとを対向させて配置している。
【0003】
前記画像読取装置を小型化したものとして構成し、フラツトベッドスキャナー機構(FBS)と組み合わせて、画像形成装置の上部に配置する場合等には、前記画像読取装置のシート搬送路を略U字状に形成し、シートを非常に小さい半径で湾曲させて送る機構を設けることが必要となる。また、前記U字状の搬送路では、中間フレームの周囲にガイドを設けてシートの案内を行うように構成し、前記中間フレームにはシートさばき装置のリタードローラを支持させて、上部フレームに配置するセパレートローラと対向させて配置し、両ローラの間で所定の値のニップ圧力を設定するようにしている。そして、前記リタードローラに対して配置する弾性押圧手段では、押圧力を調節する手段を設けて前記ニップ圧力を随時調節可能にし、送り出すシートに重送が生じないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記セパレートローラとリタードローラからなるシートさばき装置の場合に、トレイに堆積された用紙の最上紙から繰り出そうとすると、リタードローラがセパレートローラに対して下側に配置される。前記両ローラの間での押圧力(ニップ圧力)の調整は、リタードローラに対して直接行うことが必要であるため、ドライバ等を用いて調整する時には、装置の下部(あるいは内部)から行わざるを得ず、その調整作業は大変煩わしいものであった。また、前記中間フレームの下面からドライバーを挿入するような機構を設けざるを得なかった理由は、リタードローラに対する駆動伝達機構の構造や、中間フレーム内部に配置する押圧力付与機構の構成等の制約条件があるからである。そして、特に、前記押圧力調整機構をリタードローラに対して直接作用するように設けることにより、中間フレームの高さ(厚さ)が大きくなる等の問題もあった。
【0005】
本発明は、前記従来の押圧力調整機構の問題を解消しようとするもので、上部フレームを開いた状態で、中間フレームの上から調整作業を行い得る装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リタードローラを含むシートさばき装置を有するシート分離搬送装置に関する。本発明の請求項1の発明は、前記リタードローラを支点を中心にして揺動する揺動ブラケットに支持し、前記支点に対し前記リタードローラの支持位置とは反対側の揺動ブラケットに、弾性押圧手段と、前記弾性押圧手段の押圧力調整手段と、を設け、前記押圧力調整手段は、前記リタードローラに対向するセパレートローラを支持する上部フレームを開放したときに露出可能に設けたことを特徴とする。したがって、押圧力の付与が効率的に行い得るので、調整位置を操作性を考慮した位置に設定でき、押圧力調整位置の選択の自由度を増すことができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記リタードローラを支持する揺動ブラケットは、下流部に設けた搬送ローラ装置の駆動軸からリタードローラへ駆動伝達するためのギヤ列を取り付けるためのベースブラケットに対して、前記支点を中心として揺動可能に支持されていることを特徴とする。そして、中間フレームの構造を簡素化でき、前記フレームに設ける部品点数も少なくできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図示される例にしたがって、本発明のシート分離搬送装置を説明する。図1においては、ファクシミリ装置や画像形成装置と組み合わせて使用し、原稿の画像の読取りに用いられる自動原稿搬送装置(ADF)1を例にして説明している。前記自動原稿搬送装置1においては、横向きの略U字状に構成した搬送路6を通して原稿の搬送を行い、前記搬送路6の下部に配置しているプラテン7の位置で、読取り装置により原稿の画像の読取りを行うように構成している。前記自動原稿搬送装置1においては、画像形成装置の上部に配置可能な基部フレーム4に対して、中間フレーム3と上部フレーム2とをそれぞれ組み合わせて設けており、前記上部フレーム2と中間フレーム3とを、支点2a、および、駆動ローラ15の軸15aを支軸として開閉可能に設けられている。前記図1に示す例において、前記上部フレーム2には、トレイから用紙を取り込むためのピックアップローラ10と、シートさばき装置11のセパレートローラ12、搬送ローラ装置14のプレスローラ16と、大径駆動ローラ17に対するプレスローラ18を設けている。
【0009】
前記中間フレーム3には、トレイに接続されるシート挿入口の下ガイド部材と、シートさばき装置11のリタードローラ13、搬送ローラ装置14の駆動ローラ15および、排出ローラ装置8の駆動ローラ8aとを設けている。また、前記基部フレーム4には、シート搬送路6の湾曲部で搬送作用を行うための大径駆動ローラ17と排出側のローラ部材とを配置し、前記基部フレーム4には読取部と排出側の搬送路のガイド板部材を配置している。そして、前述したような構成を有する装置では、シート搬送路6内でのシートのジャム処理や搬送ローラ装置14のニップ部の調整、その他のメンテナンスを行う際に、上部のフレームから順次開放することによりシート搬送路6を開放したり、フレームに装着する部材を露出させて作業を行うことができるようにする。
【0010】
前述したようなフレーム部材を組み合わせて構成した自動原稿搬送装置1においては、シート搬送路6に沿ってシートの搬送を行うために、シート挿入口のトレイ5に対応させて配置するピックアップローラ10によりシートを取り込んで、シート搬送路6に向けて送り込むようにする。そして、シートさばき装置11のセパレートローラ12とリタードローラ13との間でシートに対するさばき作用を付与し、1枚のシートのみを搬送ローラ装置14に向けて送り込む。前記搬送ローラ装置14により搬送されるシートは、シート搬送路の湾曲部で大径駆動ローラ17とプレスローラ18の間でニップされて、プラテン7の読取部を通過し、プレスローラ18aとのニップ部を通って、排出路から駆動ローラ8aとプレスローラ8bを対向させて設けた排出ローラ装置8により、排出トレイに向けて送り出される。また、前記シートさばき装置11のリタードローラ13に対しては、セパレートローラ12との間でのニップ圧力の調整を行うために、押圧力調整機構30を配置しており、給紙装置におけるシートさばき作用の実施状態に応じて、両ローラの間でのニップ圧力を調整できるようにしている。
【0011】
図2には、前記自動原稿搬送装置1に配置する中間フレーム3の構成を示しているもので、中間フレーム3には上面にトレイ5に接続される上面のガイド板13を配置し、下面には排出されるシートのガイドを行うガイド板21を設け、大径駆動ローラ17に対してシートを案内するリブ22を、前記フレームの先端部から突出させる状態に設けている。また、前記中間フレーム3には、リタードローラ13と搬送ローラ装置の駆動ローラ15、および、排出ローラ装置8の駆動ローラ8aとを設けており、図示を省略した支軸を介して、前記中間フレーム3をトレイ5を持ち上げる方向に揺動可能に構成している。
【0012】
前記シートさばき装置11において、セパレートローラ12に押圧されるリタードローラ13は、中間フレーム3に配置するローラ支持手段により支持され、押圧力調整機構30によりニップ圧力が設定される。前記シートさばき装置11におけるニップ圧力の調整のために、リタードローラ13の軸13aを支持する支持ブラケット24と、揺動ブラケット26、ベースブラケット27を組み合わせたリンク機構を、連結軸25、支点28を介して接続している。前記リンク機構は、シートさばき装置11におけるニップ圧力の調整を行うために使用することの他に、駆動ローラ15の回転をリタードローラ13に伝達するためのギヤ列を支持する部材として用いているが、前記ギヤ列による駆動伝導機構に関しては説明を省略している。前記ローラ軸13aを支持する支持ブラケット24は、連結軸25を介して揺動ブラケット26に接続されており、前記揺動ブラケット26は支点28に揺動可能に支持され、前記連結軸25と反対側にアーム部材29を設けており、前記支点28と駆動ローラ15の間にはベースブラケット27を配置している。そして、前記揺動ブラケット26の連結軸25とは反対の側に突出させて設けたアーム部材29に対して押圧力調整機構30から押圧力を付与することにより、リタードローラ13をセパレートローラ12に向けて押圧する作用を行わせている。
【0013】
前記押圧力調整機構30は、中間フレーム3に固定している固定受け板31と、調節ねじ34を介して配置される下部受け板33との間に、アーム部材29に対してスプリング32を設けており、前記調節ねじ34をドライバー35のような工具を用いて進退させることにより、アーム部材29に対して下部受け板33を離接させる。そして、前記2つの受け板31、33の間でのスプリング32の長さを変化させ、前記スプリング32による押圧力を調整することにより、前記支持ブラケット24に支持されるリタードローラ13を、セパレートローラ12に対して押圧する力(ニップ力)を調節する。
【0014】
前記中間フレーム3の上面から、ドライバー35のような工具を挿入して押圧力調整機構の押圧力を調整するためには、前記フレームの上面のガイド板20の所定の位置に、小さな孔を設けておくのみで良く、シートの案内作用に支障が生じない形状の孔を構成することができる。そして、前記押圧力調整機構30に対する調整の動作を行う際には、図1に示す上部フレーム2を開くことで、中間フレーム3の上面を露出させて工具挿入孔を容易に露出させることができる。また、前記上部フレーム2に工具挿入孔を連通させる開口を、セパレートローラ邪魔にならない位置に配置しておくこともできる。さらに、前記上部フレーム2のカバー板部材のみを開き得るように構成する場合には、セパレートローラ12が邪魔にならない位置に、前記押圧力調整機構30に対する工具挿入孔を設けておくことで、ニップ圧力の調整作業を行うことも可能である。なお、前記工具挿入孔は、押圧力の調整を行わない時には、フィルム等で覆っても良いものである。
【0015】
前記図1に示される自動原稿搬送装置は、例えば、図3に示されるように、複写機やファクシミリ装置のような画像形成装置と一体に設けた読取装置40として組み合わせて用いることができる。前記画像読取装置において、走査装置43は、従来より一般に知られている複写機の走査装置に用いられている装置と同様に、ランプ44aと1つのミラーm1を設けたフルレートキャリッジ44と、2つの対向するミラーm2、m3を配置するハーフレートキャリッジ45とを組み合わせて設けている。そして、原稿の読取り情報をレンズ装置48を介してCCD49に伝達し、光信号を電気信号に変換して画像形成装置の画像情報処理部に伝達するように構成している。前記走査装置においては、フルレートキャリッジ44とハーフレートキャリッジ45とを駆動するために、径が2:1に設定された駆動プーリ46、46aを同軸に配置し、各々の駆動プーリに巻き掛けたワイヤ47、47aを介して、2つのキャリッジを各々連動させて移動させる機構を設けている。
【0016】
前記フレーム41の上部には、ブックものの原稿を載置し、FBSとしての動作に対応させるプラテン42と、ADFに対応させて、原稿搬送部1の下部に配置するプラテン7とを設けている。前記プラテン42に対しては、上部開閉フレーム50を開いて原稿をセットし、上部開閉フレームを閉じることにより、プラテンカバー53がプラテンの上面に原稿の画像面を押圧してセットした原稿の走査を行う。そして、前記プラテン42にセットした原稿に対しては、図示を省略したセンサの検知情報に応じて、走査装置43のフルレートキャリッジ44が原稿の走査方向の長さだけ往復移動し、ハーフレートキャリッジ45が前記フルレートキャリッジの半分の速度で移動しながら画像情報の読取りを行い、CCD48を介して画像信号を出力する。また、原稿トレイ51を用いてシートものの原稿の走査を行う際には、ADFとしての原稿搬送部に設けた原稿搬送路6を通して原稿を搬送し、プラテン7の部分に走査装置を固定する状態で画像の読取りの動作を行う。
【0017】
前記原稿搬送部40を用いて、原稿トレイ51にセットした原稿の走査を行う際には、原稿を原稿トレイにセットしたことを図示を省略した検知手段を用いて検知し、その検知信号により制御装置を作動させることや、コントロールパネルに原稿搬送部を用いた走査を行う指令を入力することにより行う。そして、前記画像形成装置に設定した原稿の読取り指令の信号に応じて、走査装置43のフルレートキャリッジ44をプラテン7に対応する位置に停止させ、ハーフレートキャリッジ45を走査部フレーム43の左側の端部にまで移動させ、原稿トレイ51から原稿を1枚ずつU型搬送路6内で搬送し、プラテン7の部分で原稿の画像の読取りを行う。したがって、前記走査部フレーム41に配置する走査装置においては、2つのプラテン42、7に対応させて走査装置をセットし、任意の原稿に対する読取りの動作を行うことができ、ファクシミリ装置の送信機能を利用して画像情報を送信すること、または、複写機の機能を利用して記録紙に印字することができる。
【0018】
なお、前記実施例に示される自動原稿搬送装置を単独で用いる場合、および、前記自動原稿搬送装置とFBSとを一体化して構成する読取装置は、それを単独で読取装置として構成することができる。前記画像形成装置に組み合わせて用いる装置では、自動原稿搬送装置の構造が小型化されるとともに、原稿の読取り速度を高速に設定することが求められている。そこで、前記湾曲路として構成される搬送路内での原稿がガイドに高速で強く摺動されることにより、搬送路のガイドに発生する静電気が多くなるという問題に対しては、前記湾曲路の外側のガイド板を導電性の部材で構成することにより、静電気の蓄積を防止することができる。そして、前述したような構成を有するシート搬送装置は、画像形成装置に一体に組み合わせて設ける原稿読取り手段として、または、ファクシミリ装置の読取り装置として用いることができる他に、画像形成装置の用紙搬送路にも適用が可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明の装置は、前述したように構成したものであるから、前記リタードローラを支点を中心にして揺動する揺動ブラケットに支持し、前記リタードローラの支持位置とは反対側の揺動ブラケットに設けたアーム部材に、弾性押圧手段と、押圧手段の押圧力調整手段とを設けたことにより、シートさばき装置における押圧力の付与が効率的に行い得るので、調整位置を操作性を考慮した位置に設定でき、押圧力調整位置の選択の自由度を増すことができる。
【0020】
また、前記押圧力調整手段は、前記リタードローラを支持する揺動フレームの上に配置する開閉カバー部材を開放したときに露出可能に設けたことにより、フレームの上方から調節作業を行い得て、調整に際しての操作性が向上され、リタードローラを、開閉する中間フレームに組み付けて構成しようとする時に、中間フレームの高さを減少させ得て、搬送路の曲げ半径を小さく設定できる。さらに、前記揺動ブラケットは、下流部に設けた搬送ローラ装置の駆動軸からリタードローラへ駆動伝達するためのギヤ列を取り付けるためのベースブラケットに対して揺動可能に支持されているものであるから、中間フレームの構造を簡素化することができ、前記フレームに設ける部品点数も少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を適用可能な自動原稿搬送装置の構造の説明図である。
【図2】 図1の装置の要部の説明図である。
【図3】 図1の装置を画像読取装置に組み合わせる例の説明図である。
【符号の説明】
1 自動原稿搬送装置、 2 上部フレーム、 3 中間フレーム、
10 ピックアップローラ、 11 シートさばき装置、
14 搬送ローラ装置、 17 大径駆動ローラ、
26 揺動ブラケット、 27 ベースブラケット、
29 アーム部材、 30 押圧力調整機構、
31 固定受け板、 34 調節ねじ。
Claims (2)
- リタードローラを含むシートさばき装置を有するシート分離搬送装置において、
前記リタードローラを支点を中心にして揺動する揺動ブラケットに支持し、
前記支点に対し前記リタードローラの支持位置とは反対側の揺動ブラケットに、弾性押圧手段と、前記弾性押圧手段の押圧力調整手段と、
を設け、
前記押圧力調整手段は、前記リタードローラに対向するセパレートローラを支持する上部フレームを開放したときに露出可能に設けたことを特徴とするシート分離搬送装置。 - 前記リタードローラを支持する揺動ブラケットは、下流部に設けた搬送ローラ装置の駆動軸からリタードローラへ駆動伝達するためのギヤ列を取り付けるためのベースブラケットに対して、前記支点を中心として揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のシート分離搬送装置。
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