JP3931016B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置のような半導体装置の高集積化のための多層配線構造に用いるのに好適なスピンオングラス(Spin On Glass)膜を備える半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の多層配線技術において、半導体基板上に形成された下層配線とその上方に形成された上層配線との間に層間絶縁膜を形成することにより、多層配線構造が得られる。この配線構造により、半導体装置の集積度の向上が図られている。
【0003】
一般的に、層間絶縁膜には、半導体基板上の活性領域(例えばMOSトランジスタのソース・ドレイン領域)を露出させるコンタクトホールが形成される。
【0004】
このようなコンタクトホールの形成技術に、自己整合コンタクト技術がある。この自己整合コンタクト技術は以下のステップに従って実行される。
【0005】
まず、側面と上面が保護膜で覆われた一対のゲート電極を半導体基板上に形成する。この保護膜は例えばシリコン窒化膜で構成されている。
【0006】
次に、このゲート電極と保護膜を覆うように、半導体基板上全面に層間絶縁膜を形成する。
【0007】
次に、開口部を持つエッチングマスクを、この開口部がゲート電極間に位置する半導体基板の活性領域に対応するよう、層間絶縁膜上に形成する。
【0008】
その後、このエッチングマスクを使用してエッチング処理を実行し、この活性領域から層間絶縁膜の上部表面に延在するコンタクトホールを形成する。この時、この保護膜はエッチングガス等に対して高いエッチング耐性を有しているので、この保護膜がエッチングされることが防止される。これはこの保護膜がエッチングマスクとして機能することを意味する。
【0009】
この自己整合技術においては、保護膜のマスク機能により、たとえこのエッチングマスクが所望の位置からわずかにずれた位置に形成されたとしても、活性領域を露出させるコンタクトホールを得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなエッチングマスクを用いたエッチング処理(選択エッチング処理)では異方性エッチングが使用されている。この異方性エッチングは垂直方向に比較して水平方向へのエッチング割合が小さいエッチングである。そのために、エッチングマスクに大きな位置合わせずれが生じた場合、露出される活性領域の面積が所望の面積(設計値)よりも小さくなる可能性がある。
【0011】
この面積の減少は、コンタクトホール内に形成された導電部と活性領域との間の接触抵抗値の増大につながる。このことは、半導体基板上に形成された同種の複数のコンタクトホールにおいて、電気的特性が不均一になることも意味する。
【0012】
上記した問題点を解決するために、前記した異方性エッチングに代り、等方性エッチングを使用することが考えられる。しかしながら、層間絶縁膜中にコンタクトホールを形成するために、等方性エッチングのみを単に適用した場合、このコンタクトホールの深さ及び活性領域の露出面積を制御することが困難であり、所望のコンタクトホールを得ることはできない可能性がある。
【0013】
また、等方性及び異方性の両エッチングを前記選択エッチングに適用することも考えられる。しかしながら、単一の耐エッチング特性を持つ層間絶縁膜に異なる種類のエッチング方法、すなわち、等方性及び異方性エッチングにさらすことは、現実的ではない。
【0014】
そこで、改善された電気的特性を持つ、半導体装置及びその製造方法が望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その代表的なものの一つは、半導体基板の主表面近傍の第1、第2及び第3の領域に第1、第2及び第3の不純物拡散領域を各々形成する工程と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の、前記主表面近傍の第4の領域上方に第1のゲート電極を形成する工程と、前記第2の領域と前記第3の領域との間の、前記主表面近傍の第5の領域上方に第2のゲート電極を形成する工程と、前記第1及び前記第2のゲート電極の上面及び側壁に保護膜を形成する工程と、前記半導体基板上全面にスピンオングラス層を形成する工程と、イオン注入によって前記スピンオングラス層の表面部を前記スピンオングラス層の下部よりも緻密な層に変換する工程と、前記第2の領域上方に位置する前記緻密な層を異方性のドライエッチングで除去し、前記スピンオングラス層の下部を露出させる工程と、前記緻密な層をマスクとして前記スピンオングラス層の下部を等方性のウエットエッチングで除去し、前記第2の不純物拡散領域を露出する工程と、前記第2の不純物拡散領域上に導電材料を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また、本発明の代表的なものの他の一つは、半導体基板表面近傍に、活性領域を区画する素子分離領域を形成する工程と、前記半導体基板の前記活性領域上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極と前記素子分離領域とに隣接した前記活性領域に不純物拡散領域を形成する工程と、前記ゲート電極の上面及び側壁に保護膜を形成する工程と、前記半導体基板上方にスピンオングラス層を形成する工程と、イオン注入によって前記スピンオングラス層の表面部を前記スピンオングラス層の下部よりも緻密な層に変換する工程と、前記不純物拡散領域上方に位置する前記緻密な層の第1の部分を異方性のドライエッチングで除去し、前記スピンオングラス層の下部を露出させる工程と、前記露出された下部に対応する前記スピンオングラス層の第2の部分を等方性のウエットエッチングで除去し、前記不純物拡散領域を露出する工程と、前記不純物拡散領域上に導電材料を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態における半導体装置の製造工程を示す図であり、MOSトランジスタの製造工程を含んでいる。図1は、実質的に2層で構成されるスピンオングラス膜を自己整合コンタクト技術に適用した例を示す。このスピンオングラス膜は2層で構成されるので積層構造とも称す。
【0017】
図1(a)に示されているように、例えばシリコンのような半導体材料からなる半導体基板10上に、例えばLOCOS法を用いて、フィールド酸化膜からなる素子分離領域11が形成される。この素子分離領域11は、トランジスタの様な能動素子もしくは抵抗のような受動素子が形成される活性領域12を区画する。
【0018】
一対のゲート電極14a、14bが活性領域12上にゲート酸化膜13a、13bを介して形成されている。一対のゲート電極14a、14bは互いに離れて配置されている。各ゲート電極14a、14bの上面及び両側面にはシリコン窒化膜からなる保護膜15(15a及び15b)が形成される。この構造は、従来の自己整合コンタクト技術として良く知られている。
【0019】
ソース・ドレイン領域として機能する不純物拡散領域16a、16bは、ゲート電極14a、14bに隣接した活性領域12上に形成される。この不純物拡散領域16a、16bは、イオン注入法を使用することによって形成される。この時、保護膜15a、15bはイオン注入のマスクとして機能する。
【0020】
さらにイオン注入による活性領域12の損傷を防止するために、マスク酸化膜17がこのイオン注入技術において利用される。このようなマスク酸化膜17はこの技術分野において良く知られている。
【0021】
次に、図1(b)に示されているように、マスク酸化膜17が除去される。このマスク酸化膜17は、不純物拡散領域16a、16bの形成後、エッチャントにより除去される。この例では、0.3%濃度のフッ酸を含むエッチング液が使用される。
【0022】
その後、スピンオングラス膜18(18aおよび18b)が、各ゲート電極14a、14b、保護膜15a、15b、素子分離領域11及び活性領域12を含む全面に形成される。
【0023】
スピンオングラス膜18は、以下の工程を実行することにより形成される。
【0024】
最初にシリコン化合物を有機溶剤に溶かしスピンオングラス溶液を得る。次に、得られたスピンオングラス溶液を全面に塗布する。その後、塗布されたスピンオングラス溶液をベークしそれにより最終的にスピンオングラス膜18が得られる。スピンオングラス膜18が層間絶縁膜として導入されているので、たとえゲート電極14a、14bおよび保護膜15(15aおよび15b)の様な段差部が層間絶縁膜中に存在したとしても、平坦化された表面を持つ層間絶縁膜を得ることができる。従って、層間絶縁膜の表面の凹凸に起因するフォトリソグラフィプロセス内での誤差、あるいは配線の断線等を考慮することなく上層の配線を精密に形成することができる。
【0025】
次に、ゲート電極14a、14b間に位置する不純物拡散領域16aを露出するコンタクトホールを形成するに先立ち、スピンオングラス膜18の表面及びその近傍の部分に、例えばアルゴンの様なイオンが注入される。これにより、スピンオングラス膜18のイオン注入を受けた部分が緻密な層18bに変換される。その結果、非イオン注入部分により構成される基層18aと、該基層18aよりも緻密化された表層18bとからなる積層構造が最終的に得られる。
【0026】
このようにイオン注入によりスピンオングラス膜の積層構造を得ることは、1997年3月11日に公開された特開平9−69562号公報に記載されている。この公報には、イオン注入によりスピンオングラス膜中に緻密な層が形成される理由が述べられている。この公報によれば、スピンオングラス膜中の有機成分が分解されると共に、スピンオングラス膜中の水分および水酸基が減少されることによるというのがその理由である。
【0027】
従って、スピンオングラス膜18に緻密化された層を得るために使用されるイオンは、アルゴンに限らず種々のイオンでも良い。例えば、フッ化シリコンおよびフッ化ボロンのようなフッ化物のイオン、ボロンイオンおよび窒素イオン、不活性ガスイオン、IIIb、IVb、Vb、VIb、VIIb、IVa、Va元素イオンおよびそれら元素の少なくとも2つからなる化合物イオンがこのイオン注入で使用され得る。どの種類のイオンをイオン注入時に使用するかはプロセスに依存する。
【0028】
スピンオングラス膜18中に注入されるべきイオンの深さを制御するのは容易である。さらにこの制御は、熱拡散法よりも精密に行うことができる。従って、イオン注入エネルギーを制御することにより、所望の厚さを有する表層18bを比較的容易に形成することができる。
【0029】
表層18bは、基層18aに比較して緻密なので、表層18bは高い耐エッチング特性を持つ。
【0030】
この耐エッチング特性の差を利用するエッチング処理を実行するために、図1(b)に示されているように、レジストパターン19が表層18b上に形成される。レジストパターン19は、従来良く知られたフォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0031】
このレジストパターン19は表層18bの表面上に設けられている。開口部19aは、不純物拡散領域16aの直上に位置していない。すなわち、図1(b)に示すように、開口部19aは不純物拡散領域16aに対して紙面の左にずれている。このずれの量は比較的大きい。
【0032】
このずれに関わらず、不純物拡散領域16aを露出するコンタクトホールを形成するために、まず異方特性を持つドライエッチング処理により表層18b中に該表層18bの表面から基層18aの表面に延在する(達する)第1のエッチング穴部20aが形成される。
【0033】
第1のエッチング穴部20aを得るためのドライエッチング処理には、例えばC33、CCl4、Ar等の様な反応ガスが使用される。シリコン窒化膜からなる保護膜15(15aおよび15b)の前記エッチングガスに対するエッチングレートは、緻密化された表層18bよりも高い。これはエッチング選択比が高いことを意味する。そのため、この高い選択比により、保護膜(15aおよび15b)に大きな損傷を与えることなく、表層18bをエッチングすることができる。
【0034】
しかも、緻密化された表層18bに対して前記したようなエッチングガスは異方性を示す。このことから、エッチングマスクとしてのレジストパターン19を使用する前記異方性ドライエッチングである選択エッチング処理により、表層18bに、開口部19aに対応した第1のエッチング穴部20aを正確に形成することができる。第1のエッチング穴部20aは、基層18aを貫通しない限り該基層18a内に達していても良い。
【0035】
第1のエッチング穴部20aの形成後、例えばフッ化水素のようなエッチング液を用いて露出された基層18aの表面がエッチングを受ける。
【0036】
基層18a、表層18bおよび保護膜15(15aおよび15b)は、このエッチング液に対して、この記載順のエッチングレートを持つ。例えば、5%濃度のフッ酸の基層18a及び表層18bに対するエッチングレートは、それぞれ3000Å〜4000Å/min及び300Å〜350Å/minであり、同フッ酸の保護膜15に対するエッチングレートは、表層18bのそれ以下である。
【0037】
従って、第1のエッチング穴部20aから延在する位置でありかつ基層18aの中の保護膜15aと保護膜15aとの間に、前記エッチング液を用いたウエットエッチング処理により、第2のエッチング穴部20bを形成することができる。
【0038】
この時、表層18bおよび保護膜15aは、大きな損傷が与えられることから守られる。しかも、前記したようなエッチング液は、基層18aに対して等方性を示し、また保護膜15a(両サイドウォール部)が自己整合コンタクト技術で良く知られているようなマスク作用を果たすことから、基層18aのうち保護膜15a(両サイドウォール部)間の基層18aの部分がほぼ正確に除去される。
【0039】
従って、たとえ開口部19aが開口させるべき不純物拡散領域16aに関して水平方向にわずかにずれたとしても(例えば、図1(b)では紙面の左方向)、第2のエッチング穴部20bにより、不純物拡散領域16aの表面が所望の面積分露出される。第1のエッチング穴部20a及び該穴部に延在する第2のエッチング穴部20bにより、不純物拡散領域16aの所望の面積を露出するエッチング穴20を形成することができる。このエッチング穴20は、コンタクトホールとも呼ばれている。
【0040】
次に、図1(c)に示すように、従来良く知られた導電部21がエッチング穴20内に形成される。このエッチング穴20は、前記した通り、たとえレジストパターン19の開口部19aの位置と、不純物拡散領域16aの位置とのずれが生じたとしても、不純物拡散領域16aの所望の面積を露出することができる。従って、このずれに関わらず、導電部21と不純物拡散領域16aとの接触面積が減少すること及びばらつくことを抑制することが可能である。
【0041】
前記ゲート電極14a、14bおよびその側壁に形成される一対の不純物拡散領域16a、16bを備えるMOSトランジスタは、ゲート電極14a、14bに印加される電圧を制御することにより、ゲート電極14a、14b下で両不純物拡散領域16a、16b間に形成されるチャネルを制御することができる。これは従来技術として良く知られている。
【0042】
このようなMOSトランジスタでは、ゲート電圧によって制御されたチャネル電流は導電部21に流れる。この時、導電部21と不純物拡散領域16との間の接触抵抗が、基板10上全体で実質的に同一の値に設定することができるため、不均一な接触抵抗によりMOSトランジスタの電気特性が不均一になることが改善される。
【0043】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施の形態における半導体装置の断面図である。図2は、本発明に係る前記積層構造をDRAMからなる半導体メモリに適用した例を示す。
【0044】
ゲート電極14a、14b間の活性領域12に不純物拡散領域16aが形成され、それらの外側の活性領域12に不純物拡散領域16bが形成されている。スイッチング素子として機能するMOSトランジスタは、ゲート電極14a、14bおよび該各ゲート電極14a、14bの両側に位置する一対の不純物拡散領域16a、16bとで構成されている。図2では、2つのMOSトランジスタが、一方の不純物拡散領域16aを共用している。ゲート電極14a(もしくは14b)、不純物拡散領域16a、不純物拡散領域16bを持つMOSトランジスタと、不純物拡散領域16bに結合されるキャパシタとにより、1つのメモリセルが構成されている。
【0045】
ゲート電極14a、14bを覆うように、第1の実施の形態における積層構造と同様の積層構造(18a、18b)を有するスピンオングラス膜18がゲート電極14a、14b上に形成されている。ビット線としての導電部21がゲート電極14a、14b間に形成されている。導電部21は第1の実施の形態のそれと同様である。前記2つのメモリセルは導電部21を共用している。このビット線となる導電部21は、図1(a)〜図1(c)に沿って説明したと同様な手順により形成することができる。
【0046】
その後、図2に示されているように、CVD酸化膜からなる層間絶縁膜22が導電部21およびスピンオングラス膜18上に形成される。
【0047】
この層間絶縁膜22およびスピンオングラス膜18を貫通し、不純物拡散領域16bを露出させるエッチング穴23が、層間絶縁膜22とスピンオングラス膜18内に形成される。エッチング穴23の形成では、層間絶縁膜22および表層18bが、第1の実施の形態で説明したのと同様な異方性を示すドライエッチング処理である選択エッチング処理を受ける。このドライエッチング処理により、図2には示されていないレジストパターンのエッチングマスクに対応した第1のエッチング穴部23aが形成される。このプロセスは、第1の実施の形態のプロセスと同様である。
【0048】
第1のエッチング穴部23aの形成後、積層構造のスピンオングラス膜18の表層18b下部に位置する基層18aにエッチング処理が施される。等方性を示すウエットエッチングが、この基層18aのエッチング処理に使用される。このエッチング処理は、実質的に第1の実施の形態と同一の方法である。
【0049】
この等方性エッチングでは、素子分離領域11を構成する熱酸化膜であるシリコン酸化膜は、表層18bのエッチングレートと同等もしくはこれよりも僅かに大きなエッチングレートを示すに過ぎない。このことから、前記した等方性エッチングにより、保護膜15a(サイドウォール部)と素子分離領域11との間の不純物拡散領域16bを露出させる第2のエッチング穴部23bが基層18a内に形成される。第2のエッチング穴部23bは比較的大きな容積を持つキャビティー部である。
【0050】
第1のエッチング穴部23aおよび第2のエッチング穴部23bで定義されるエッチング穴23の側面には、前記キャパシタの下部電極であるストレージ電極を構成する導電部24が形成される。この導電部24上には、さらに、図示しないが、従来良く知られた誘電体膜および上部電極であるセル電極が形成される。
【0051】
第2の実施の形態に示した例では、ビット線たる導電部21が形成されるエッチング穴20およびキャパシタのストレージ電極たる導電部24が形成されるエッチング穴23を設けるのに、表層18bに対して異方性を示すドライエッチング処理および基層18aに対して等方性を示すウエットエッチング処理の両方が用いられる。この2段階のエッチング処理により、たとえ前記マスクずれが生じたとしても、また該マスクのパターン形状が円形であるか矩形であるとしても、活性領域12内の所望の面積(不純物拡散領域16a、16b)を露出する、導電部21及び24のためのエッチング穴20及び23を形成することができる。
【0052】
本発明によれば、ビット線と不純物拡散領域16aとの間の接触抵抗を全てのコンタクト部でほぼ均一にたもつことができる。また、ストレージ電極と不純物拡散領域16bとの接触抵抗を全てのコンタクト部でほぼ均一にすることができる。従って、電気特性に優れたDRAMを容易に製造することができる。
【0053】
等方性を示すウエットエッチング処理にフッ酸を使用すること、保護膜15a、15bがシリコン窒化膜からなることを例として示した。しかしながら、等方性を示すフッ酸以外のいかなる等方性エッチング液を代りに使用することができ、基層18aのエッチングレートよりも低いエッチングレートを持ついかなる材料も保護膜15a、15bとして使用することができる。これらのエッチングレートは、ウエットエッチング処理で使用されるエッチング液に依存する。
【0054】
第1及び第2の実施形態では、スピンオングラス膜の基層の密度及びスピンオングラス膜の表層の密度との違い(緻密性の違い)を利用することを例として説明した。次の第3の実施の形態では、スピンオングラス膜中の基層の吸水度合い(吸水率)とスピンオングラス膜中の表層の吸水度合い(吸水率)の違いを利用することを例として説明する。
【0055】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明に係る積層構造を有するスピンオングラス膜が組み込まれた例えば半導体メモリの様な半導体装置を示す。
【0056】
前記したDRAMのような半導体装置には、欠陥メモリセルの代りに用いられる冗長メモリセルを持つ冗長回路が設けられる。また、欠陥メモリセルの代りに冗長メモリセルが用いられる冗長置換動作を実行するための切換回路が半導体装置内に内蔵されている。レーザブローヒューズがこの切換回路内に内蔵されている。冗長置換動作はこのレーザブローヒューズを溶断することによって達成される。
【0057】
図3(a)〜図3(c)は、このような冗長回路のためのレーザブローヒューズが組み込まれた半導体装置の製造工程を示す。
【0058】
半導体基板30上には、絶縁膜31を介して、切換回路のためのヒューズ32が形成される。この絶縁膜31は例えばCVD法を使用して形成されたシリコン酸化膜で構成されている。このヒューズ32は、例えば150nmの厚さを有するタングステンシリサイド層で構成されている。
【0059】
ヒューズ32および絶縁膜31上にはシリコン酸化膜からなる絶縁層33がヒューズ32を覆うように形成されている。絶縁層33上には、CVD法により、500nmの厚さを有するタングステン層が堆積される。このタングステン層にはフォトリソグラフィおよびエッチングが施される。それによって、ダミー層34、切換回路のための配線、ビット線のための配線等が形成される。
【0060】
図4に示されているように、ダミー層34は枠形状を有していて、ヒューズ32が位置している領域を取り囲むように絶縁層33上に形成されている。このダミー層34は、水分が半導体装置の内部回路に伝達するのを防止する。
【0061】
前記ヒューズ32を含む前記配線上には、本発明に係るスピンオングラス膜35が形成される。このスピンオングラス膜35とダミー層34との密着性を高めるために、ダミー層34を覆う絶縁膜36が500nmの厚さで形成される。この絶縁膜36はプラズマCVD法を用いて形成されている。
【0062】
絶縁膜36の形成後、以下の方法により絶縁膜36およびダミー層34を覆うスピンオングラス膜35が形成される。
【0063】
まず、シリコン化合物を有機溶剤に溶かしスピンオングラス溶液を得る。
【0064】
次に、得られたスピンオングラス溶液を全表面に塗布する。
【0065】
その後、この塗布層に約300℃の焼成(ベーク)が施され、これにより最終的にスピンオングラス膜35が得られる。このスピンオングラス膜35は、比較的高い吸水性を示す。
【0066】
その後、スピンオングラス膜35の表面に前記したイオン注入が施される。このイオン注入により、ダミー層34から上方のスピンオングラス膜35の表層が緻密化された層としての表層35bに変換される。この表層35bは、その下に位置する基層35aよりも緻密な膜である。その結果、図3(b)に示されているように、スピンオングラス膜35は、緻密化された表層35bと、これに比較して高い吸収性を示す基層35aとの積層構造に変換される。
【0067】
ダミー層34上に位置するスピンオングラス膜35の表層35bとダミー層34は、その低い吸収性より、水分の通過を防止するための堰として機能する。
【0068】
このスピンオングラス膜35上には、後述するように、スピンオングラス膜35よりも低い吸水性を示す絶縁膜37およびカバー膜38(絶縁膜で構成されている)が形成される。もしダミー層34の上部表面と絶縁膜37との間に、吸水性の高いスピンオングラス膜35が存在すると、このスピンオングラス膜35が水分の通路として働く可能性が考えられる。従来では、その水分通過問題を解決するため、ダミー層34の上部表面と絶縁膜37との間に位置するスピンオングラス膜35を、スピンオングラス膜35全面をエッチングバックすることにより除去していた。その後、絶縁膜37およびカバー膜38をエッチングされたスピンオングラス膜35上に形成していた。
【0069】
本実施例においては、スピンオングラス膜35にエッチングバックを施すことなく、この表層35b上に絶縁膜37およびカバー膜38を形成したものである。
【0070】
絶縁膜37は、例えばプラズマCVD法により、約400nmの厚さを有するプラズマ酸化膜で形成することができる。カバー膜38は、従来良く知られたCVD法により形成することができ、約1000nmの厚さを有している。
【0071】
この絶縁膜37中には、図示しないが、配線の表面を露出するコンタクトホールが形成されている。このコンタクトホール内には導電部が形成されている。
【0072】
次に、図3(c)に示されているように、絶縁膜37およびカバー膜38の形成後、カバー膜38の表面からフューズ32の近傍の位置に伸びる開口部39が選択エッチング処理により形成される。この開口部39は、フューズ32をレーザブローするためのレーザブローウインドウとして機能する。レーザー光によるフューズ32のブローが容易になる。
【0073】
前記した開口部39の形成により、吸水性の高いスピンオングラス膜35が該開口部39の縁部で露出する。ダミー層34の頂上部上に位置するスピンオングラス膜の表層35bは、前記したイオン注入により吸水性が低められていることから、ダミー層34と表層35bは開口39の縁部から半導体装置内に侵入する水分に対して堰として機能する。したがって、スピンオングラス膜にエッチングバックを施すことなく、確実に堰として機能する吸水遮断構造を形成することができる。
【0074】
第3の実施の形態では、メモリの冗長回路に積層構造およびダミー層からなる吸水遮断構造を適用することを説明したが、本発明に係る前記吸水遮断構造は、多層配線を有する半導体チップの縁部、あるいはグリッドラインに関連して設けられる開口部等、いかなる吸水遮断構造にも適用することができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、半導体基板上にスピンオングラス膜を形成した後、このスピンオングラス膜の表層部をその下方の基層よりも緻密化した層に変換することによりスピンオングラス膜からなる積層構造を得る。そして、この積層構造を利用して、このスピンオングラス膜にコンタクトホールを形成したものである。本発明によれば、半導体基板表面を所定の開口面積で開口するコンタクトホールを容易に形成することができる。
【0076】
よって、前記開口面積がばらつくことにより、このコンタクトホール内に形成された導電部と前記半導体基板表面との間の接触抵抗がばらつくことを防止することができ、これにより、電気特性が安定した半導体装置を得ることができる。
【0077】
また、本発明によれば、前記積層構造を有するスピンオングラス膜とダミー層とにより外部から侵入する水分に対する堰を構成したので、比較的容易に高精度の吸水遮断構造を実現することができる。したがって、吸水による電気特性のばらつきを防止し、これにより電気特性が安定した半導体装置を比較的容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における半導体装置の製造工程を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における半導体装置の断面図を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における半導体装置の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における半導体装置の上面図である。
【符号の説明】
10、30・・・半導体基板
18、35・・・スピンオングラス膜
18a、35a・・・基層
18b、35b・・・表層

Claims (2)

  1. 半導体基板の主表面近傍の第1、第2及び第3の領域に第1、第2及び第3の不純物拡散領域を各々形成する工程と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間の、前記主表面近傍の第4の領域上方に第1のゲート電極を形成する工程と、
    前記第2の領域と前記第3の領域との間の、前記主表面近傍の第5の領域上方に第2のゲート電極を形成する工程と、
    前記第1及び前記第2のゲート電極の上面及び側壁に保護膜を形成する工程と、
    前記半導体基板上全面にスピンオングラス層を形成する工程と、
    イオン注入によって前記スピンオングラス層の表面部を前記スピンオングラス層の下部よりも緻密な層に変換する工程と、
    前記第2の領域上方に位置する前記緻密な層を異方性のドライエッチングで除去し、前記スピンオングラス層の下部を露出させる工程と、
    前記緻密な層をマスクとして前記スピンオングラス層の下部を等方性のウエットエッチングで除去し、前記第2の不純物拡散領域を露出する工程と、
    前記第2の不純物拡散領域上に導電材料を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 半導体基板表面近傍に、活性領域を区画する素子分離領域を形成する工程と、
    前記半導体基板の前記活性領域上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極と前記素子分離領域とに隣接した前記活性領域に不純物拡散領域を形成する工程と、
    前記ゲート電極の上面及び側壁に保護膜を形成する工程と、
    前記半導体基板上方にスピンオングラス層を形成する工程と、
    イオン注入によって前記スピンオングラス層の表面部を前記スピンオングラス層の下部よりも緻密な層に変換する工程と、
    前記不純物拡散領域上方に位置する前記緻密な層の第1の部分を異方性のドライエッチングで除去し、前記スピンオングラス層の下部を露出させる工程と、
    前記露出された下部に対応する前記スピンオングラス層の第2の部分を等方性のウエットエッチングで除去し、前記不純物拡散領域を露出する工程と、
    前記不純物拡散領域上に導電材料を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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