JP3928982B2 - エンジンの燃料供給装置 - Google Patents
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- F02M13/08—Carburettors adapted to use liquid and gaseous fuels, e.g. alternatively
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの燃料供給装置の従来技術として図8に示すものがある。これは、本発明と同様、キャブレータ101のミキシングボディ102にベンチュリ通路103を内設し、ミキシングボディ102にフロート室104を付設し、フロート室104に液体燃料ノズル105を連通させ、液体燃料ノズル出口106をベンチュリ通路103に臨ませてある。
【0003】
この従来技術では、キャブレータ101の吸気上流側にガスミキサ134を直列に接続し、このガスミキサ134にガス燃料ノズル107を設け、ガス燃料ノズル出口108をガスミキサ134のベンチュリ通路135に臨ませ、液体燃料とガス燃料との供給を切り替えることができるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば次の問題がある。
1.キャブレータ101のベンチュリ通路103とガスミキサ134のベンチュリ通路135とが直列になるため、2段階の絞り抵抗によって吸気抵抗が増大し、吸気の充填効率が低下して、出力が低下する。
2.キャブレータ101の吸気上流側にガスミキサ134が位置するため、キャブレータ101のベンチュリ通路103内に導入される吸気流に乱れが生じ、液体燃料の調量精度が低下する。
3.キャブレータ101とガスミキサ134とを用いるため、装置が大型化する。
【0005】
本発明の課題は、次の点にある。1.高出力を得ること。2.液体燃料の調量精度を高くすること。3.装置を小型化すること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(第1発明)
第1発明は、図1、図6又は図7に示すように、キャブレータ1のミキシングボディ2にベンチュリ通路3を内設し、ミキシングボディ2にフロート室4を付設し、フロート室4に液体燃料ノズル5を連通させ、液体燃料ノズル出口6をベンチュリ通路3に臨ませた、エンジンの燃料供給装置において、次のようにしたことを特徴とする。
【0007】
すなわち、上記ミキシングボディ2にガス燃料ノズル7を設け、上記液体燃料ノズル出口6とガス燃料ノズル出口8とを同じベンチュリ通路3に臨ませ、液体燃料とガス燃料との供給を切り替えることができるようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、第1発明は、図2に示すように、液体燃料ノズル出口6を臨ませた通路部分の内径9よりも大きい内径10の通路部分にガス燃料ノズル出口8を臨ませ、図4に示すように、ミキシングボディ2の外側に弁開度設定レバー17を設け、この弁開度設定レバー17に受け止め部18を設け、この弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19とガス始動解除姿勢20とに切り替えることができるようにし、弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19に切り替えて、その受け止め部18でスロットル入力レバー21を受け止めると、スロットル弁22が所定開度23のガス始動適性姿勢24となり、他方、弁開度設定レバー17をガス始動解除姿勢20に切り替えると、その受け止め部18がスロットル入力レバー21と干渉しない位置まで退くようにしたことを特徴とする。
【0009】
(第2発明)
第2発明は、図2に示すように、第1発明において、液体燃料ノズル出口6よりも吸気上流側にガス燃料ノズル出口8を配置したことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用及び効果】
(第1発明)
第1発明は次の作用効果を奏する(図1、図6又は図7参照)。
ガスミキサが不要になるので、吸気抵抗を小さくでき、充填効率が高くなり、高出力が得られる。
キャブレータ1の吸気上流側にガスミキサを設ける必要がないので、キャブレータ1のベンチュリ通路3内を通過する吸気流に乱れが生じにくく、液体燃料の調量精度を高くできる。
ガスミキサが不要になるので、装置を小型にできる。
【0011】
第1発明は、上記作用効果に加え、次の作用効果を奏する(図2参照)。
ガス燃料ノズル出口8を臨ませた通路部分で発生する負圧は液体燃料ノズル出口6を臨ませた通路部分で発生する負圧よりも小さいので、質量の小さいガス燃料の吸引に適合し、ガス燃料の調量精度を高くできる。
第1発明は、更に、次の作用効果を奏する(図4参照)。
ガス燃料によるエンジン始動時に、スロットル弁22を所定開度23のガス始動適性姿勢24にすることができる。ガス燃料によるエンジン始動時に、スロットル弁22の開度が小さすぎると、燃焼室に供給される混合気の量が不足し、他方、スロットル弁22の開度が大きすぎると、燃焼室に供給される混合気の濃度が薄くなりすぎて、エンジン始動をスムーズに行えない場合があるが、本発明では、スロットル弁22をガス始動適性姿勢24にすることができるので、ガス燃料によるエンジン始動をスムーズに行うことができる。
また、ガス燃料によるエンジン始動が終了し、弁開度設定レバー17をガス始動解除姿勢20に切り替えると、受け止め部18がスロットル入力レバー21と緩衝しない位置まで退くので、ガス燃料による通常運転時や、液体燃料によるエンジン始動時や通常運転時には、弁開度設定レバー17がスロットル弁22の連動の妨げになることがない。すなわち、スロットル弁22を全範囲にわたって開閉できる。
【0012】
(第2発明)
第2発明は、第1発明の作用効果に加え、次の作用効果を奏する(図1及び図2参照)。
液体燃料ノズル5からベンチュリ通路3に吸引された液体燃料は吸気方向上手側のガス燃料ノズル7内には侵入しにくいので、ガス燃料ノズル7の上流側のガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まりにくい。ガス燃料供給通路39中に多量の液体燃料が溜まると、ガス燃料の供給を開始する場合に、ガス燃料供給通路39から多量の液体燃料がベンチュリ通路3内に押し出され、液状のまま燃焼室に流れ込み、失火が起こるおそれがあるが、本発明では、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まりにくいので、このような失火を防止できる。
(第3発明)
第3発明は、第1発明または第2発明の作用効果に加え、次の作用効果を奏する(図3参照)。
ガス燃料によるエンジン始動が適切な場合、すなわちチョーク弁27の開度が所定値以上の場合には、キースイッチ28をエンジン始動位置29に投入するだけで、スタータ30とアクチュエータ25とを作動させることができるので、ガス燃料によるエンジン始動操作を簡単に行うことができる。
(第4発明)
第4発明は、第3発明の作用効果に加え、次の作用効果を奏する(図3参照)。
ガス燃料によるエンジン始動が不適切な場合、すなわちチョーク弁27の開度が所定値未満の場合、スタータ30が作動しないので、エンジンを始動することができない。チョーク弁27の開度が所定値未満の状態でガス燃料によるエンジン始動が行われると、ガス燃料の混合気が濃くなりすぎて排気ガス特性が悪化するおそれがあるが、この実施形態では、チョーク弁27の開度が所定値未満の場合には、スタータ30が作動しないので、排気ガス特性の悪化を防止できるとともに、チョーク弁27の開度が不適切であることを使用者に報知できる。
(第5発明)
第5発明は、第4発明の作用効果に加え、次の作用効果を奏する(図3、図4参照)。
液体燃料によるエンジン始動時には、弁開度設定レバー17がガス始動解除姿勢20に維持されるので、燃焼室への液体燃料の混合気の供給がスロットル弁22の開度制限によって邪魔されることがなく、液体燃料によるエンジン始動をスムーズに行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態に係る火花点火式エンジンを説明する図である。このエンジンの構成は次の通りである。すなわち、図5に示すように、シリンダブロック50の上側にシリンダヘッド51を組み付け、クランク軸軸線52の向きを前後方向と見て、シリンダブロック50とシリンダヘッド51の前側に調時伝動ケース53を組み付けている。シリンダブロック50の横側に動弁カムケース54を付設し、この動弁カムケース54の前側を調時伝動ケース53に接続している。シリンダヘッド51の横側に吸気マニホルド55を組み付け、その後部にキャブレータ1を取り付けている。
【0014】
キャブレータ1の構成は次の通りである。図1に示すように、キャブレータ1のミキシングボディ2にベンチュリ通路3を内設し、ミキシングボディ2にフロート室4を付設し、フロート室4に液体燃料ノズル5を連通させ、液体燃料ノズル出口6をベンチュリ通路3に臨ませている。
【0015】
フロート室4はミキシングボディ2の下側に配置し、内部にフロート36を収容し、フロート36に付設したニードル弁37でフロート室4への液体燃料供給口40を開閉するようになっている。ミキシングボディ2にはエアベント42を設け、ミキシングボディ2の吸気上流側の吸気通路(図外)とフロート室4とをエアベント42で連通させている。
【0016】
ミキシングボディ2からフロート室4内にノズル収容ボス41を垂設し、このノズル収容ボス41内に液体燃料ノズル5を内嵌し、液体燃料ノズル5の上端部をベンチュリ通路3内に突出させている。液体燃料ノズル5の下側には液体燃料計量ジェット56を配置してある。燃料フロート室4の内底部に液体燃料入口13を形成し、この液体燃料入口13でフロート室4と液体燃料ノズル5とを連通させている。フロート室4の下部には液体燃料入口13を開閉する液体燃料弁14を横向きに配置してある。図2に示すように、ベンチュリ通路3の吸気上流側にはチョーク弁27を配置し、吸気下流側にはスロットル弁22を配置してある。
【0017】
この実施形態では、高出力を得るため、図1に示すように、ミキシングボディ2にガス燃料ノズル7を設け、液体燃料ノズル出口6とガス燃料ノズル出口8とを同じベンチュリ通路3に臨ませ、液体燃料とガス燃料との供給を切り替えることができるようにしてある。このようにすると、ガスミキサが不要になるので、吸気抵抗を小さくでき、充填効率が高くなり、高出力が得られる。また、キャブレータ1の吸気上流側にガスミキサを設ける必要がないので、キャブレータ1のベンチュリ通路3内を通過する吸気流に乱れが生じにくく、液体燃料の調量精度を高くできる。また、ガスミキサが不要になるので、装置を小型にできる。
【0018】
この実施形態では、図3に示すように、液体燃料供給源16からフロート室4に液体燃料を供給するため、液体燃料供給通路43を設け、この液体燃料供給通路43に液体燃料供給源16側から順に、液体燃料コック44、液体燃料フィルタ45、電動の液体燃料ポンプ15を配置してある。また、ガス燃料供給源31からキャブレータ1にガス燃料を供給するため、ガス燃料供給路39を設け、このガス燃料供給路39にガス燃料供給源31側から順に、ガス燃料フィルタ46、電磁式の上流側ガス燃料弁47、ベーパライザ32、電磁式の下流側ガス燃料弁33を配置してある。
【0019】
この実施形態では、ガス燃料と液体燃料との供給を切り替えるため、図3に示すように、キースイッチ28のON位置49に燃料切り替え手段26を接続し、この燃料切り替え手段26に液体燃料弁14と2個のガス燃料弁47・33とを連携させている。そして、燃料切り替え手段26がガス燃料供給状態で、キースイッチ28がエンジン始動位置29又はON位置49に入っている場合には、2個のガス燃料弁47・33が通電によって開弁状態を維持し、ベンチュリ通路3へのガス燃料の供給がなされる。この際、液体燃料弁14は非通電状態となって閉弁状態を維持し、ベンチュリ通路3への液体燃料の供給はなされない。
【0020】
一方、燃料切り替え手段26が液体燃料供給状態で、キースイッチ28がエンジン始動位置29又はON位置49に入っている場合には、液体燃料弁14は通電によって開弁状態を維持し、ベンチュリ通路3への液体燃料の供給がなされる。この際、2個のガス燃料弁47・33は非通電状態となって閉弁状態を維持し、ベンチュリ通路3へのガス燃料の供給はなされない。尚、キースイッチ28のON位置49には点火装置63を接続しており、キースイッチ28をON位置49又はエンジン始動位置29に入れると点火装置63が作動する。
【0021】
この実施形態では、ガス燃料の調量精度を高くするため、図2に示すように、液体燃料ノズル出口6を臨ませた通路部分の内径9よりも大きい内径10の通路部分にガス燃料ノズル出口8を臨ませている。このようにすると、ガス燃料ノズル出口8を臨ませた通路部分で発生する負圧は液体燃料ノズル出口6を臨ませた通路部分で発生する負圧よりも小さいので、質量の小さいガス燃料の吸引に適合し、ガス燃料の調量精度を高くできる。
【0022】
この実施形態では、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まるのを抑制するため、図2に示すように、液体燃料ノズル出口6よりも吸気上流側にガス燃料ノズル出口8を配置した。このようにすると、液体燃料ノズル5からベンチュリ通路3に吸引された液体燃料は吸気方向上手側のガス燃料ノズル7内には侵入しにくいので、ガス燃料ノズル7の上流側のガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まりにくい。ガス燃料供給通路39中に多量の液体燃料が溜まると、ガス燃料の供給を開始する場合に、ガス燃料供給通路39から多量の液体燃料がベンチュリ通路3内に押し出され、液状のまま燃焼室に流れ込み、失火が起こるおそれがあるが、この実施形態では、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まりにくいので、このような失火を防止できる。
【0023】
また、図1に示すように、ガス燃料ノズル7をベンチュリ通路3に向けて垂直下向きにした。このようにすると、垂直下向きのガス燃料ノズル7内に付着した液体燃料は自重でベンチュリ通路3に流れ落ちるので、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まるのをより有効に防止できる。図7の第3実施形態のように、ガス燃料ノズル7をベンチュリ通路3に向けて斜め下向きにするのも有効である。
【0024】
この実施形態では、図1に示すように、ガス燃料ノズル7へのガス燃料導入通路11を水平に向けてあるが、このガス燃料導入通路11は図7の第3実施形態のように、ガス燃料ノズル7に向けて斜め下向きにしてもよい。また、垂直下向きにしてもよい。このようにすると、斜め下向き又は垂直下向きのガス燃料導入通路11内に付着した液体燃料は自重でガス燃料ノズル7側に流れ落ちるので、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まるのをより有効に防止できる。
【0025】
また、図1に示すように、ガス燃料ノズル7とガス燃料導入通路11との間にガス燃料ノズル7よりも通路断面積の大きな膨張室12を設けた。このようにすると、ミスト状の液体燃料を含む吸気がガス燃料ノズル7に侵入しても、この吸気の流速は膨張室12内で低下し、大きなミストは自重で落下して吸気から分離されるので、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まるのをより有効に防止できる。
【0026】
また、図1に示すように、膨張室12を介してガス燃料導入通路11とガス燃料ノズル7とを折れ曲がり状に接続した。このようにすると、ガス燃料ノズル7から膨張室12に侵入した吸気の多くはガス燃料ノズル7の形成方向に沿って膨張室12内を通過するので、ガス燃料ノズル7に折れ曲がり状に接続されたガス燃料導入通路11には侵入しにくく、ガス燃料供給通路39中に液体燃料が溜まるのをより有効に防止できる。
【0027】
また、折れ曲がり状に接続したガス燃料導入通路11とガス燃料ノズル7の接続個所に膨張室12があるので、折れ曲がり部分の通路抵抗を小さくして、ガス燃料をスムーズに通過させることができ、ガス燃料の調量精度が高まる。
【0028】
この実施形態では、ガス燃料への切り替え時に運転状態や排気ガス特性が悪化するのを抑制するため、図1に示すように、フロート室4と液体燃料ノズル5との間に液体燃料入口13を設け、この液体燃料入口13を開閉する液体燃料弁14を設け、液体燃料供給中は液体燃料弁14が開弁され、ガス燃料供給中は液体燃料弁14が閉弁されるようにした。このようにすると、液体燃料からガス燃料に切り替えた場合、液体燃料ノズル5に残った少量の液体燃料がベンチュリ通路3に吸い出された後は、液体燃料がベンチュリ通路3に吸い出されることがないので、ガス燃料への切り替え後、短時間でガス燃料の混合気濃度が適正化され、運転状態や排気ガス特性の悪化を抑制できる。
【0029】
この実施形態では、フロート36のニードル弁37が摩耗するのを防止するため、図3に示すように、ガス燃料供給中も液体燃料ポンプ15を作動させて、液体燃料供給源16の液体燃料をキャブレータ1のフロート室4に供給するようにしてある。このようにすると、図1に示すように、ガス燃料供給中にフロート室4の液体燃料が蒸発してエアベント42等から流出しても、フロート室4には液体燃料ポンプ15で液体燃料が補充されるので、フロート室4が空になることがない。フロート室4が空になると、エンジンの振動でフロート36が激しく上下動し、フロート36のニードル弁37が損傷するが、この実施形態では、フロート室4が空になることがないので、フロート36のニードル弁37が損傷するのを防止できる。液体燃料ポンプ15は、燃料切り替え手段26を介することなく、直接にキースイッチ28のON位置49に接続させているので、ガス燃料供給中も液体燃料ポンプ15は作動する。
【0030】
この実施形態では、ガス燃料によるエンジン始動をスムーズに行わせるため、図4に示すように、ミキシングボディ2の外側に弁開度設定レバー17を設け、この弁開度設定レバー17に受け止め部18を設け、この弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19とガス始動解除姿勢20とに切り替えることができるようにし、弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19に切り替えて、その受け止め部18でスロットル入力レバー21を受け止めると、スロットル弁22が所定開度23のガス始動適性姿勢24となり、他方、弁開度設定レバー17をガス始動解除姿勢20に切り替えると、その受け止め部18がスロットル入力レバー21と干渉しない位置まで退くようにした。
【0031】
このようにすると、ガス燃料によるエンジン始動時に、スロットル弁22を所定開度23のガス始動適性姿勢24にすることができる。ガス燃料によるエンジン始動時に、スロットル弁22の開度が小さすぎると、燃焼室に供給される混合気の量が不足し、他方、スロットル弁22の開度が大きすぎると、燃焼室に供給される混合気の濃度が薄くなりすぎて、エンジン始動をスムーズに行えない場合があるが、この実施形態では、スロットル弁22をガス始動適性姿勢24にすることができるので、ガス燃料によるエンジン始動をスムーズに行うことができる。
【0032】
また、ガス燃料によるエンジン始動が終了し、弁開度設定レバー17をガス始動解除姿勢20に切り替えると、受け止め部18がスロットル入力レバー21と緩衝しない位置まで退くので、ガス燃料による通常運転時や、液体燃料によるエンジン始動時や通常運転時には、弁開度設定レバー17がスロットル弁22の連動の妨げになることがない。すなわち、スロットル弁22を全範囲にわたって開閉できる。
【0033】
この実施形態では、スロットル弁22の全開方向に回動しようとするスロットル入力レバー21を受け止め部18で受け止めるようにしてある。調速操作手段64を高速側に操作すると、メカニカルガバナ65のガバナスプリング61のスプリング力62でスロットル入力レバー21はスロットル弁22の全開方向に付勢される。また、ガス始動適性姿勢24となるスロットル弁22の開度23は、このキャブレータ1を適性するエンジンに応じて設定する。この実施形態では、スロットル弁22の全閉姿勢の開度を0゜とし、全開姿勢の開度を90゜として前記開度23を30゜に設定してある。
【0034】
この実施形態では、ガス燃料によるエンジン始動を簡単な操作で行えるようにするため、図3に示すように、弁開度設定レバー17を電動のアクチュエータ25に連動連結し、燃料切り替え手段26がガス燃料供給状態になっており、チョーク弁27の開度が所定値以上である場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入された時に、スタータ30が作動するとともに、アクチュエータ25が作動して、弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19に連動するようにした。このようにすると、ガス燃料によるエンジン始動が適切な場合、すなわちチョーク弁27の開度が所定値以上の場合には、キースイッチ28をエンジン始動位置29に投入するだけで、スタータ30とアクチュエータ25とを作動させることができるので、ガス燃料によるエンジン始動操作を簡単に行うことができる。
【0035】
この実施形態では、キースイッチ28をエンジン始動位置29からON位置49にするとスタータ30は停止し、所定の設定時間経過後、アクチュエータ25で弁開度設定レバー17はガス始動解除姿勢20に戻される。
【0036】
図3に示すように、チョーク弁27はプッシュプルワイヤ57を介してチョーク操作具58に連動連結し、このチョーク操作具58にリミットスイッチ59を臨ませ、チョーク弁27の開度が設定値になった時に、チョーク操作具58がリミットスイッチ59に接当するようにし、チョーク弁27の開度が所定値以上であるか、所定値未満であるかを検出できるようにしてある。そして、燃料切り替え手段26とリミットスイッチ59とキースイッチ28のエンジン始動位置29とを制御手段60を介してスタータ30とアクチュエータ25に連携させ、上記のような制御を行う。制御手段60にはマイコンを用いる。
【0037】
この実施形態では、ガス燃料によるエンジン始動が不適切な場合には、エンジン始動が行われないようにするため、図3に示すように、燃料切り替え手段26がガス燃料供給状態になっており、チョーク弁27の開度が所定値未満である場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入されても、スタータ30が作動しないようにしている。このようにすると、ガス燃料によるエンジン始動が不適切な場合、すなわちチョーク弁27の開度が所定値未満の場合、スタータ30が作動しないので、エンジンを始動することができない。チョーク弁27の開度が所定値未満の状態でガス燃料によるエンジン始動が行われると、ガス燃料の混合気が濃くなりすぎて排気ガス特性が悪化するおそれがあるが、この実施形態では、チョーク弁27の開度が所定値未満の場合には、スタータ30が作動しないので、排気ガス特性の悪化を防止できるとともに、チョーク弁27の開度が不適切であることを使用者に報知できる。このような制御は、制御手段60によって行う。
【0038】
この実施形態では、液体燃料によるエンジン始動をスムーズに行わせるため、図3に示すように、燃料切り替え手段26が液体燃料供給状態になっている場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入されると、スタータ30は作動するが、アクチュエータ25は作動せず、弁開度設定レバー17がガス始動解除姿勢20を維持するようにした。
【0039】
このようにすると、図4に示すように、液体燃料によるエンジン始動時には、弁開度設定レバー17がガス始動解除姿勢20に維持されるので、燃焼室への液体燃料の混合気の供給がスロットル弁22の開度制限によって邪魔されることがなく、液体燃料によるエンジン始動をスムーズに行うことができる。このような制御は、制御手段60によって行う。
【0040】
この実施形態では、液体燃料に切り替えた場合に、短時間で液体燃料の混合気濃度を適正化するため、図3に示すように、ガス燃料供給源31の燃料をガス化させてガス燃料ノズル7に供給するベーパライザ32の下流側にガス燃料弁33を設け、ガス燃料供給中はガス燃料弁33が開弁され、液体燃料供給中はガス燃料弁33が閉弁されるようにした。このようにすると、ガス燃料から液体燃料に切り替えた場合、ベーパライザ32の下流側に残った少量のガス燃料がベンチュリ通路3に吸い出された後は、ガス燃料がベンチュリ通路3に吸い出されることがないので、液体燃料への切り替え後、短時間で液体燃料の混合気濃度が適正化され、運転状態や排気ガス特性の悪化を抑制できる。また、液体燃料でエンジン始動を行う場合にチョーク弁27が全閉近くになっていても、ガス燃料弁33が閉弁しているので、ベンチュリ通路3内で発生する大きな負圧はベーパライザ32には及ばず、ベーパライザ32内のダイヤフラム等の損傷を防止できる。このような制御は制御手段60によって行う。
【0041】
図6に示す第2実施形態では、下流側ガス燃料弁33をキャブレータ1のミキシングボディ2に取り付けている。他の構造は、第1実施形態と同じである。図6中、第1実施形態と同一の要素には、同一の符号を付しておく。
【0042】
図7に示す第3実施形態では、ガス燃料ノズル7をベンチュリ通路3に向けて斜め下向きにし、ガス燃料導入通路11をガス燃料ノズル7に向けて斜め下向きにし、膨張室12を介してガス燃料導入通路11をガス燃料ノズル7とを真っすぐに接続している。また、ノズル収容ボス41内に収容した液体燃料軽量ジェット56を液体燃料入口13とし、この液体燃料入口13を開閉する液体燃料弁14をフロート室4の下部に縦向きに配置してある。他の構造は、第1実施形態と同じである。図7中、第1実施形態と同一の要素には、同一の符号を付しておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のエンジンに用いるキャブレータの縦断面図である。
【図2】 図1のII−II線断面図である。
【図3】 第1実施形態のエンジンに用いる燃料供給装置の斜視図である。
【図4】 第1実施形態のエンジンに用いるキャブレータの要部平面図で、図4(A)は弁開度設定レバーがガス始動設定姿勢となっている図、図4(B)は弁開度設定レバーがガス始動解除姿勢となっている図である。
【図5】 第1実施形態のエンジンの要部平面図である。
【図6】 第2実施形態の図1相当図である。
【図7】 第3実施形態の図1相当図である。
【図8】 従来技術に係るキャブレータの縦断面図である。
【符号の説明】
1…キャブレータ、2…ミキシングボディ、3…ベンチュリ通路、4…フロート室、5…液体燃料ノズル、6…液体燃料ノズル出口、7…ガス燃料ノズル、8…ガス燃料ノズル出口、9・10…内径。
Claims (5)
- キャブレータ1のミキシングボディ2にベンチュリ通路3を内設し、ミキシングボディ2にフロート室4を付設し、フロート室4に液体燃料ノズル5を連通させ、液体燃料ノズル出口6をベンチュリ通路3に臨ませた、エンジンの燃料供給装置において、
上記ミキシングボディ2にガス燃料ノズル7を設け、上記液体燃料ノズル出口6とガス燃料ノズル出口8とを同じベンチュリ通路3に臨ませ、液体燃料とガス燃料との供給を切り替えることができるようにし、
液体燃料ノズル出口6を臨ませた通路部分の内径9よりも大きい内径10の通路部分にガス燃料ノズル出口8を臨ませ、
ミキシングボディ2の外側に弁開度設定レバー17を設け、この弁開度設定レバー17に受け止め部18を設け、この弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19とガス始動解除姿勢20とに切り替えることができるようにし、弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19に切り替えて、その受け止め部18でスロットル入力レバー21を受け止めると、スロットル弁22が所定開度23のガス始動適性姿勢24となり、他方、弁開度設定レバー17をガス始動解除姿勢20に切り替えると、その受け止め部18がスロットル入力レバー21と干渉しない位置まで退くようにした、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1に記載したエンジンの燃料供給装置において、
液体燃料ノズル出口6よりも吸気上流側にガス燃料ノズル出口8を配置した、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項1または請求項2に記載したエンジンの燃料供給装置において、
弁開度設定レバー17を電動のアクチュエータ25に連動連結し、燃料切り替え手段26がガス燃料供給状態になっており、チョーク弁27の開度が所定値以上である場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入された時に、スタータ30が作動するとともに、アクチュエータ25が作動して、弁開度設定レバー17をガス始動設定姿勢19に連動するようにした、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項3に記載したエンジンの燃料供給装置において、
燃料切り替え手段26がガス燃料供給状態になっており、チョーク弁27の開度が所定値未満である場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入されても、スタータ30が作動しないようにした、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - 請求項4に記載したエンジンの燃料供給装置において、
燃料切り替え手段26が液体燃料供給状態になっている場合には、キースイッチ28がエンジン始動位置29に投入されると、スタータ30は作動するが、アクチュエータ25は作動せず、弁開度設定レバー17がガス始動解除姿勢20を維持するようにした、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
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