JP3927663B2 - 混合イオン電導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池、センサーなど電気化学デバイスを構成するための酸化物イオン伝導性とプロトン伝導性とを有する混合イオン電導体に関して、特に、プロトン伝導性に優れた酸化物系のイオン電導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、平成3年に高いイオン伝導性を有するプロトンと酸化物イオンの混合イオン電導体の開発に成功し、特開平05−028820、特開平06−236114などにおいて公開した。この混合イオン電導体は、酸化物イオン伝導性とプロトン伝導性とを同時に有する電導体であって、バリウムセリウムをベース(BaCe1−x3−α)としたペロブスカイト型酸化物からなり、そのセリウムの一部を他の希土類元素で置換することにより、高いイオン伝導性を発生させるものであった。
【0003】
この種の電導体材料は、その特性に温度依存性があるけれども、電導性は、酸化物イオン伝導を主流にして生ずるものであり、発明者らの実験によれば、酸素分圧が7.3×10−6atm 以上で酸化物イオン伝導を発現し、水素分圧が2.7×10−3atm 以上でプロトン電導を示す。この酸化物系プロトン電導体は、高いプロトン導電率を示すが、酸素のある状態では酸化物イオン伝導性が優先する。
【0004】
同様なペロブスカイト型酸化物でプロトン伝導性のみ有する材料が、岩原らによって開発されている(Iwahara et al;Solid State Ionics 28-30 (1988) 573、及び、ibid; J. Electrochemical Soc. 135 (1998) 529)。これらの材料は、例えば、SrCe0.95Yb0.053−αや、SrCe0.9 Sc0.13−α、また、SrCe0.90.13−αなどのSrCeO3−αをベースにCeの一部を他の希土類元素で少量置き換えたものである。これら酸化物系のプロトン電導体の導電率は、最も高いもので500℃において8×10−4S/cm程度であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら電導体のセンサーや電気化学デバイスへの適用を考えると、それぞれの用途に対応した最適のイオン電導体が要求される。例えば、限界電流式酸素センサでは、低温でも高い酸化物イオン電導体が望まれるであろうし、他方、還元ガス検知センサでは、わずかではあるけれど純粋のプロトン伝導性のみが要求されるものもある。従来技術では、Ba−Ce系では、BaCe1−x3−αのように高いイオン導電率ではあるが酸化物イオンが優先する混合イオン電導体であった。また、Sr−Ce系では、SrCe1−x3−α ( MはYb、Sc、Y、ここでx<0.15)のような純粋のプロトン電導体があったが、これはイオン導電率が低いものであった。
【0006】
混合イオン電導体は、酸化物伝導性とプロトン伝導性とを兼ね備えた材料であるが、これは、多種多様なセンサへの適用を可能にする。この材料は、電気化学デバイスの高性能化のためにはプロトンと酸化物イオンとの伝導の度合いをかなり自由に制御できて、しかもプロトン伝導性の高いものであることが必要である。しかしながら、従来の電導体は、酸化物伝導性とプロトン伝導性とを同時に要求されるような特殊なセンサや新規な電気化学デバイスに適合する混合イオン電導体ではなかった。
【0007】
さらに、SrやBa等のアルカリ土類金属を含む電導体は、酸性水分の存在下で崩壊したり、耐酸性に劣っていた。混合イオン電導体は、上記のような電気化学デバイスに使用されるためには、構造的に強く、使用環境に対して化学的にも安定であるように改質する必要があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑み、酸化物イオンとプロトンを電導する混合イオン電導体であって、特に、プロトン伝導性が優先する電導体材料を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、センサやデバイスとしての実用の観点から、化学的にも機械的にも安定な混合イオン電導体を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化物伝導性とプロトン伝導性とを有する混合イオン電導体であって、ペロブスカイト型結晶のSrCeO3−α化合物のCeの一部を置換可能な3価イオンになり得る遷移金属元素に比較的多量に置換して、よりプロトン伝導性を優位にするものである。
【0010】
より具体的には、酸化物と焼結助剤とから焼結して成る、混合イオン電導体であって、上記酸化物が、
一般式
Sr Ce 3− α (但し、0<α<1.5)
で表される単位格子組成を有し、
置換元素LがMg、Ca若しくはBaの元素であって、置換元素Mは希土類元素を含み、
式中のaが0.9≦a≦1.1で、bが0≦b≦0.1で、cが0.7≦c≦1.0で、且つ、dが0.16≦d≦0.40である酸化物イオン伝導性を有するプロトン伝導性酸化物であって、
上記焼結助剤が、上記一般式で表される酸化物1モルに対して、B、Ga、In、C、Si及びGeより選ばれた元素を0.1モル以下含む化合物であることを特徴とする混合イオン電導体である。
【0011】
本発明は、酸化物イオン伝導性とともに、同様に高いプロトン伝導性を示す混合イオン電導体として、上記ペロブスカイト結晶の単位格子SrCeO 3− α化合物中の上述のCeの3価のM元素による置換とともに、Srの一部を、他のアルカリ土類金属と置換することにより達成され、さらにプロトン導電率を高めるものである。
【0012】
また、焼結助剤は上記元素B、Ga、In、C、Si又はGeは金属単体のまま微粉状にして、上記のプロトン伝導性酸化物の粒子と混合して、圧縮成形した後焼成する方法も採用できる。焼成過程で、配合した金属を酸化させて焼結し、伝導性酸化物の粒子の焼結を促進し、粒子相互を粘結するものである。
【0013】
焼結助剤用の金属元素は、上記一般式(1)又は(2)で表されるプロトン伝導性酸化物1モルに対して、0.1モル以下とするのが適当で、0.1モルを越えると、結晶粒界に占める焼結助剤の面域ないし厚みが大きくなりイオン伝導を阻害して、イオン導電率を低下させるので好ましくない。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、ペロブスカイト型のSr Ce 3− αで表される組成の酸化物であって、Mの希土類元素とし、LをMg、Ca又はBaによりSrに一部置換するようにしたので、プロトン伝導性の大きい、従って、導電率の大きい混合イオン電導体を得ることができる。このようにして、本発明は、酸化物イオン伝導性と特に高いプロトン伝導性とを兼ね備えた混合イオン電導体を提供でき、従来にない高性能なセンサや燃料電池の開発や全く新しい電気デバイスの開発を可能にする。
【0015】
さらに、混合イオン伝導体は、プロトン伝導性の酸化物に焼結助剤を添加して焼結することにより、化学的安定性に優れかつ、構造的に強化できるので、長期にわたり安定な高プロトン伝導的な導電体の材料の係属使用が可能となる。この混合イオン電導体を用いることにより、どのような条件下、酸性・アルカリ性環境下でも高性能で長寿命な燃料電池、ガスセンサ、電気デバイスを構成することを可能にする。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記のプロトン伝導性酸化物は、
Sr Ce3−α
の式において、Mに希土類元素(但し、Ceを除く)が好ましく選ばれ、特に、重希土類が選ばれ、そのなかでも、特にGdが利用される。 他方、式のLには、Mg、Ca又はBaが使用され、特に好ましくは、Baである。
【0017】
混合イオン電導体の形成の方法は、一例を挙げると、式のプロトン伝導性酸化物の組成になるように、Sr、Ce、重希土類、及び他のMg、Ca又はBaのアルカリ土類の酸化物を配合調製し、高温加熱により焼結してペロブスカイト型結晶に形成される。このペロブスカイト型結晶の微粒子は、その後圧縮成形し所望形状の成形体とし、これを再度、焼成して混合イオン電導体とする。
【0018】
混合イオン電導体の成形には、通常は、組成調製した酸化物原料粉末から固相反応法を用い合成して多結晶体とされるが、さらに、固相反応法では、出発原料の混合を確実にするため、水溶液からの共沈法や、硝酸塩法、スプレー顆粒法などの従来の手法を用いて混合粉末とし、焼結にてペロブスカイト型結晶に合成しても良い。
【0019】
混合イオン電導体には、その用途において、板ないしディスクのバルク状、薄い皮膜状などのような形状も形成でき、そのための成形法には、CVD、スパッタ法、溶射法などの技術が利用できる。
【0020】
さらに、機械的強度と耐酸性に優れた電導体とするために、上記の混合イオン電導体は、上記式で表されるプロトン伝導性酸化物の酸化物と焼結助剤とから焼結して形成することが好ましい。
【0021】
焼結助剤には、B、Ga、In、C、Si及びGeより選ばれた元素の化合物が利用され、具体的には、これら元素から安定して生成可能な酸化物(Cを除く)、炭化物又は窒化物(Cを除く)が利用される。酸化物には、B 、GaO 、SiO が挙げられる。窒化物BNが利用可能であり、炭化物にはSiC等がある。
【0022】
これらの元素は、電導体中にあって、酸化物などとして、ペロブスカイト型結晶粒間の粒界の一部で粘結して焼結体を強固に結合するとともに、結晶粒を被覆して、結晶粒自体の耐酸性を発現する。
【0023】
上記元素B、Ga、In、C、Si又はGeは金属単体のまま微粉状にして、上記のプロトン伝導性酸化物の粒子と混合して、圧縮成形した後焼成する方法も採用できる。焼成過程で、配合した金属を酸化させて焼結し、伝導性酸化物の粒子の焼結を促進し、粒子相互を粘結するものである。
【0024】
焼結助剤用の金属元素は、上記一般式で表されるプロトン伝導性酸化物1モルに対して、0.1モル以下とするのが適当で、0.1モルを越えると、結晶粒界に占める焼結助剤の面域ないし厚みが大きくなりイオン伝導を阻害して、イオン導電率を低下させるので好ましくない。
【0025】
【参考例】
本参考例は、酸化物イオン伝導性を有するプロトン伝導性酸化物として式のSrCe1−x3−αの焼結体(ここではMは置換する希土類元素、0.16<x<0.4、0<α<1.5)を合成し、種々のガス雰囲気下、200℃〜1000℃の温度範囲においてその伝導特性を調べたものである。
【0026】
SrCe1−x3−α焼結体の合成は固相反応法を用いた。焼結体の出発原料として炭酸ストロンチウムSrCO 、酸化セリウム(CeO )、及び他の希土類酸化物(例えばGd 、Y )粉末を、所望の置換量xにつき、それぞれモル比で1:(1−x):xの割合で混合し、メノウ乳鉢中エタノール溶媒を用いて粉砕混合を行った。充分に混合した後、溶媒を蒸発させ、更にバーナーで脱脂、再度メノウ乳鉢中で粉砕混合を繰り返した後、円柱状にプレス成形して1300℃、10時間焼成を行った。焼成したものを粗粉砕、その後ベンゼン溶媒中遊星ボールミル粉砕をして粒子の粒度を3μm程度に調整した。
【0027】
得られた粉末を150℃で真空乾燥した後、約2000kg/cm の圧力で静水圧プレスをして円柱に圧縮成形し、ついで、1650℃、10時間焼成して、焼結体を合成した。この焼結体の密度は、理論密度の98%であり、結晶粒度が15μm以下の緻密な多結晶体であった。
【0028】
この円柱焼結体を、厚さ0.5mm、直径14mmのディスクに加工し、その両面に0.5cm の面積になるように白金ペーストを塗布、焼き付けて白金電極付き導電率測定試料とした。
【0029】
この試料を、水素1atm雰囲気中に置き、導電率測定を行った。ただし導電率は、周波数10Hz〜10kHz、ピーク電圧50mVp−p で、交流インピーダンス法による抵抗値から算出し、測定装置中のリード抵抗成分を完全に補正している。
【0030】
例として、MにGdを用いたSrCe0.8 Gd0.23−α組成の焼結体試料のプロトン導電率をアレニウスプロットにして、第1図に示す。この図には、従来例として、SrCe0.95Yb0.053−αの測定値も記載した。図から明らかなように、SrCe0.8 Gd0.23−α焼結体の導電率は、200℃〜1000℃で、従来のプロトン電導体より高い導電率を示した。
【0031】
次にこの試料について酸化物イオン伝導性を調べた。酸化物イオン伝導性は、SrCe0.8 Gd0.23−α焼結体のディスクを固体電解質として、酸素濃淡電池を組み、その起電圧より調べた。上記試料では、500℃でプロトン伝導率の1/10程度の酸化物イオン導電率であった。このSrCe0.8 Gd0.23−α焼結体は、酸化物イオン伝導性を有し、しかも高いプロトン伝導性を示す混合イオン電導体であることがわかった。
【0032】
さらに、Mの置換量xに対するプロトン導電率の変化を実験的に調べた。その結果を第2図に示す。図から明らかなように置換量xにより導電率が変化することがわかり、従来にない高い導電率(500℃で1×10−3S/cmとした場合)は最も低いM=Laでその置換量xは0.16以上であることがわかった。また、M=Laで置換量x=0.4を超えると、酸化物は焼結せず合成不可能であった。 いずれの置換元素を使用した場合でも、0.16≦x≦0.40の範囲で、1×10−3S/cm以上の高い導電率を示すことが明らかになった。
【0033】
また、各種置換元素Mのx=0.16に調製した試料について、水素1atm 雰囲気中で500℃での導電率を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003927663
【0035】
この表から、LaからEuまでの軽希土類がプロトン導電率2.0×10−3S/cm未満であるのに対して、Yを含みGdからLuまでの重希土類が2.0×10−3S/cm以上の高いプロトン導電率を示すことが判る。重希土類が特に高いプロトン伝導性を示す理由は、必ずしも明らかでないが、恐らくは、イオン半径的にセリウムに近く構造的にプロトン導電パスができやすいためと考えられる。
【0036】
【実施例1】
上記ペロブスカイト結晶の単位格子SrCeO3−α化合物中の上述のCeの3価のM元素による置換とともに、Srの一部を、他のアルカリ土類金属と置換することにより達成され、さらにプロトン導電率を高めるものである。
本実施例は、酸化物イオン伝導性を有するプロトン伝導性酸化物であって、その酸化物が式Sr Ce3−α(L、Mは添加元素)で表される単位格子の組成の酸化物についての例である。それぞれ酸化物の合成は固相反応法を用いた。ストロンチウム、セリウム、置換元素LにバリウムBa、マグネシウムMg、カルシウムCaを選び、Mには、ランタンLaとガドリニウムGdを選んだ。
【0037】
これらの酸化物粉末をそれぞれ所定の量を混合し、メノウ乳鉢中エタノール溶媒を用いて粉砕混合を行った。充分に混合した後、溶媒を飛ばし、更にバーナーで脱脂、再度メノウ乳鉢中で粉砕混合を繰り返した後、円柱状にプレス成形した圧縮成形体を1300℃で10時間の予備焼成を行った。
【0038】
予備焼成したものを粗粉砕、その後ベンゼン溶媒中遊星ボールミル粉砕をして3μm程度に粒度調製した。得られた粉末を150℃真空乾燥した後、2000kg/cm の圧力で静水圧プレスをして円柱に圧縮成形し、直ちに1650℃で10時間焼成して、多結晶焼結体を合成した。この焼結体の密度は、理論密度の96%以上であり、構造はペロブスカイト型であった。
【0039】
この円柱焼結体を、厚さ0.5mm,直径14mmのディスクに加工し、そのディスク両面に0.5cm の面積になるように白金ペーストを塗布して電極を焼き付けし、イオン導電率測定試料とした。前実施例と同様、水素1atm 雰囲気中で500℃で導電率測定を行った結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003927663
【0041】
表2で明らかなように全ての材料において500℃で1.0×10−3S/cm以上の導電率を示し、良好なプロトン導電体であることがわかる。また、式(2)のSr Ce3−α(L、Mは添加元素)で表される組成の酸化物で、LにMg、Ca、Baなどの元素を用いた材料はすべてSr単独のものよりプロトン導電率が向上し、その酸化物イオン伝導性は、Sr単独のものに比べわずかに大きいことがわかる。
【0042】
Sr置換した試料No1〜3は、試料No0のb=0のものより、導電率が大きくなり、前述の方法でイオン輸率を調べると、酸化物イオン伝導性が、Sr単独のもの(輸率比t /t =49)より僅かに大きい(輸率比t /t =19)ことがわかった。
【0043】
組成比aとbは、a+b=1の条件では、置換元素のbの増加に伴って導電率は増大する(試料No3と4)が、Srの量aを増加させても導電率は殆ど変化しない(試料No5〜8)。a>1.1のとき焼結体の成形自体が困難で(試料No18)、aが1.1で、b>0.1としたときも焼結体が成形困難となった。従って(a+b)/(c+d)<1.2の条件を満たさないと、焼結が困難であろう。
【0044】
a+b<1.0のとき試料No11〜16に示すように、導電率は1.0×10−3S/cm以上を得ることができるが、置換元素Mに最も導電率の低いLaを採用して、元素La無添加でSrのaを0.9より小さくした試料No17や、さらに、aを0.9未満で、cを0.7から1.0にし、且つdを0.16にした試料No15と16は導電率が非常に低下している。 Srのaを0.9にして、Ceのcを1より大きくした場合(試料No18)も同様に著しく導電率を低下させる。aを0.7以下にしたとき(試料No20)、も焼結困難であった。(a+b)/(c+d)=1.2が焼結の限界で、これを超えると、焼結組成物の合成が困難ある。 その他、式(2)のa、b、c及びdの条件を満たせば、焼結可能となる。
【0045】
以上のことより、Sr Ce3−α(L、Mは添加元素)で表される組成の酸化物で、添加元素Lは少なくともMg、Ca、Baの元素を含み、添加元素Mは少なくとも希土類元素を含み、かつ組成比aが0.9から1.1までの範囲であることと、組成比bが0から0.1までの範囲であることと、組成比cが0.7から1までの範囲であることと、組成比dが0.16から0.4までの範囲である酸化物は高いプロトン導電性を示すことが明らかになった。
【0046】
【実施例2】
本実施例は少なくとも酸化物イオン伝導性を有するプロトン伝導性酸化物であって、その酸化物が上記一般式に示す構造を有し、粘結助剤の添加元素がB、Ga、In、C、Si及びGeを含む焼結助剤を加えて、電導体とした例を示す。添加元素は、一般式の酸化物1モルに対して0.1モル以下の範囲に調製した。
【0047】
本実施例は、高いプロトン導電性を有する材料の機械的強度の向上と耐酸性を高める発明である。従って前記混合イオン電導体に、微量の酸化性元素を添加することにより、酸化物内および粒界同士の結合性を高め機械的強度および耐酸性向上を図るものである。
【0048】
【表3】
Figure 0003927663
【0049】
前記実施例と同様にして、所要組成の酸化物と、焼結助剤として、B、In、Ga及びSiを金属で添加して、焼成して焼結体を作成し、次いで、同様にして、各焼結体の導電率を測定した。焼結助剤の添加により、導電率はわずかに減少したものの全ての試料で1.0×10−3S/cm(500℃)以上であった。しかしながら、助剤の添加量を0.1モル以上にしたとき、導電率は著しく低下し、1.0×10−3S/cm(500℃)以下になるものもあった。したがって、焼結助剤の成分元素の添加量の上限は、上記化学式(1)又は(2)で示したプロトン伝導性酸化物1モルに対して0.1モルであると考えられる。
【0050】
次に各々の試料の機械的強度と耐酸性について調べた。機械的強度は、各々焼結体試料を直径13mmφ厚さ0.2mmに加工し、この試料を1mの高さから鉄床に落下させ、割れが生じるかどうか観察する落下試験によった。 まず、粘結助剤の金属元素を加えなかった試料について落下試験を行ったところ、半数以上が落下試験で割れを生じた。しかしながら、粘結助剤の金属元素を加えた試料については、全て落下試験では割れを生じなかった。
【0051】
また、耐酸性については、1.38規定の硝酸溶液に、上記合成した酸化物のディスクを投入し、酸化物が反応するかどうか観察した。粘結助剤の金属元素を加えなかった試料について酸浸漬試験を行ったところ、1/3の試料が酸浸漬中に格子を出して崩壊が、粘結助剤の金属元素を加えた試料については、全て変化がなかった。
【0052】
以上のように、粘結助剤の金属元素を加えることにより混合イオン電導体の機械的強度と耐酸性が著しく向上したものと考えられる。
【0053】
なお、上記実施例は、利用可能な材料の一例を示したものに過ぎず、本発明が提案する化学式に従う他の材料でも同様の結果を得ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例における発明材料の導電率の一例を示すグラフ。
【図2】 本実施例における置換元素Mの置換量と導電率の関係を示すグラフ。

Claims (2)

  1. 酸化物と焼結助剤とから焼結して成る、混合イオン電導体であって、上記酸化物が、
    一般式
    Sr Ce 3− α (但し、0<α<1.5)
    で表される単位格子組成を有し、
    置換元素LがMg、Ca若しくはBaの元素であって、置換元素Mは希土類元素を含み、
    式中のaが0.9≦a≦1.1で、bが0≦b≦0.1で、cが0.7≦c≦1.0で、且つ、dが0.16≦d≦0.40である酸化物イオン伝導性を有するプロトン伝導性酸化物であって、
    上記焼結助剤が、上記一般式で表される酸化物1モルに対して、B、Ga、In、C、Si及びGeより選ばれた元素を0.1モル以下含む化合物であることを特徴とする混合イオン電導体。
  2. 希土類元素がGdであることを特徴とする請求項記載の混合イオン電導体。
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