JP3607352B2 - BaCeO3系イオン伝導性セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料電池、水素・水蒸気センサー、水素分離のための固体電解質などの電気化学デバイスに用いることができるBaCeO3 系イオン伝導性セラミックスに関するものであり、特には強度を改善したBaCe1−X Gdx O3−a 酸素・プロトン混合イオン伝導性セラミックス及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン伝導体としては、溶液系、溶融塩系及び固体系があり、電池等の電気化学デバイスにはイオン伝導度が大きい溶液系、溶融塩系が用いられているが、これらデバイスでは漏液、蒸発といった問題があり、固体系のイオン伝導電気化学デバイスを開発することに大きな期待が寄せられている。しかしながら、多数の複合酸化物イオン伝導体が報告されてきたが、そのイオン伝導度は低く、化学的安定性も悪い。
【0003】
そうした中で、BaCeO3 を母体としたペロブスカイト型酸化物焼結体、特にCeの一部を稀土類元素、代表的にGdで置換したBaCe1−X Gdx O3−a (0<x<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0、以下BCGと略す)は、化学的に安定であり、比較的イオン伝導度が高く、水素源と酸素源のある雰囲気では酸素イオンとプロトンの両者が伝導に携わる混合イオン伝導体としての挙動を示すことが知られている。例えば特開平5−28820号は、それまで化学的に安定でありかつ高い伝導度特性を有するイオン伝導体が合成されていなかったことに鑑み、最終焼成前の粉末粒径の管理や最終焼成前の非水溶媒による粉末処理及び脱水真空乾燥の実施、焼成温度の選択などを通して、好ましくは上述の式においてxが0.16から0.23、より好ましくは0.2であるBCGペロブスカイト型酸化物焼結体合成法を記載している。また、セラミックス27(1992)No.2、112〜116頁には、「高温型プロトン電導性セラミックスとその応用」と題して、幾種かのプロトン伝導性固体の紹介、ペロブスカイト型プロトン伝導性酸化物の伝導特性としてSrCeO3 及びBaCeO3 のCeの一部を稀土類元素で置換した各種の合成セラミックスの水素中での導電率を測定結果を示している。その応用例として、高温水素及び水蒸気センサー、燃料電池等が紹介されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このBCG高温型プロトン伝導体は、現在使用されている安定化ジルコニア系酸素イオン伝導体に比較して、1000℃以下の温度で高いイオン伝導性を示すことから安定化ジルコニア系酸素イオン伝導体よりも低温で使用できる電気化学デバイスへの応用が期待できること及び高温にすることにより電極反応を円滑に行わせることができることといった利点を有し、これら利点を生かした多くの電気化学デバイスへの応用が期待されているが、問題点は強度が弱いことである。本発明者の測定では、焼結体密度99.4%の焼結体で3点曲げ(抗折力)強度は75MPaに過ぎない。どのような形態で使用されるにせよ、機械的強度の信頼性を得るには、少なくとも100MPaの3点曲げ(抗折力)強度は必要である。
【0005】
本発明の課題は、イオン伝導性を実質上犠牲とすることなく、BCG焼結体セラミックスの強度を改善することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、研究の結果、この課題解決には、20モル%以下のAl2O3の添加によりBaAl2O4スピネル相を発現せしめることが効果的であることを見いだした。BaAl2O4を添加することもできる。この知見に基づいて、本発明は、Ba1+XCe1-yGdyO3-a(0<x≦0.2、0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにAl2O3をxモル;又はBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにBaAl2O4を0.2モル以下;添加・混合させた後焼結させた組織を有することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックスを提供する。この焼結組織は、1モルのBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)母体に0.2モル以下のBaAl2O4スピネル相を分散させた焼結組織を有することを特徴とする。本発明はまたBa1+XCe1-yGdyO3-a(0<x≦0.2、0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにAl2O3粉もしくはAl2O3ウイスカをxモル;又は1モルのBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉に0,2モル以下のBaAl2O4粉を添加し、混合後、成形し、その後焼結することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックスの製造方法をも提供する。
【0007】
【作用】
BCG粉へAl2O3粉を添加混合した後成形体を焼結することにより次の反応が起こるものと考えられる:
Ba1+xCe1-yGdyO3-a(0<x≦0.2、0<y<0.3、1.5>a>0)+xAl2O3→xBaAl2O4+BaCe1-yGdyO3-a-x
強度向上のメカニズムは、強度の大きなBaAl2O4スピネル相の分散強化機構であると考えられる。
【0008】
Al2 O3 の添加量は、20モル%以下、好ましくは2〜18モル%、より好ましくは4〜11モル%である。Al2 O3 添加量が20モル%を超えると、焼結性が悪くなり、焼結体密度が低下する。20モル%以下なら、添加量に応じて相応の添加効果を示すが、意味のある強度改善効果を得るには少なくとも2モル%添加することが好ましい。Al2 O3 の代わりにBaAl2 O4 を相応量添加してもよい。
【0009】
BCG粉は、各元素の酸化物、炭酸塩、酢酸塩などの所定の割合の混合粉を原料として通常の焼結法で作ることができる。例えば、出発粉として、炭酸バリウム(BaCO3 )、酸化セリウム(CeO2 )、酸化ガドリニウム(Gd2 O3 )粉末を用いて固相反応法で合成することができる。これら出発粉末を所定の比率で十分に混合し、成形物を例えば1300℃で10時間程度焼成し、それを粉砕することによりBCG粉が得られる。
【0010】
BCG粉に例えば粒状もしくはウイスカ状Al2 O3 を添加し、ボールミルで十分に混合後、CIPにより成形を行い、1450〜1650℃で5〜15時間焼結がなされる。焼結は酸素雰囲気中で実施することが好ましい。
【0011】
こうして、BCGにAl2 O3 もしくはBaAl2 O4 を添加・反応させた焼結組織を有することにより強度を改善したBaCeO3 系イオン伝導性セラミックスが得られる。これは、強度の大きなBaAl2 O4 スピネル相が母体に分散することにより強度を改善したものと考えられる。
【0012】
アルミナを添加することにより注目すべき現象が判明した。BCGは斜方晶から立方晶への相変化が原因と考えられる600〜800℃範囲での熱膨張係数の大きな変化を示す(文献として「Denki Kagaku 62(4)(1994)326〜331頁を参照されたい)。ところが、アルミナを添加することにより、この600〜800℃範囲での熱膨張係数の大きな変化を軽減もしくは排除することができる。図1は、BCG粉焼結体、BCG+5モル%Al2 O3 粉焼結体及びBCG+10モル%Al2 O3 粉焼結体から成る3種のサンプルを300℃/hrの加熱速度で1000℃以上に加熱した場合のそれぞれの熱膨張率(%)を測定した曲線1、2及び3を示すものである。測定はリガクTAS−200システムの示差熱分析計を使用して行った。曲線1では600〜800℃範囲での熱膨張率の大きな変化が見られるのに対して、曲線2では熱膨張は軽減し、そして10%アルミナを添加した曲線3ではそれが実質上排除されている。従って、Al2 O3 の添加により、加熱時の寸法安定性が向上し、構造材に組み込まれた場合の熱応力を軽減もしくは回避することができるようになる。
【0013】
【実施例】
(実施例及び比較例)
BCG粉(比表面積:12m2 /g)に粒状Al2 O3 粉(平均粒径:0.05μm、比表面積:80m2 /g)またはAl2 O3 ウイスカ(平均直径:5μm、長さ:100〜200μm)を5モル%及び10モル%(ウイスカの場合のみ)添加し、ボールミルで混合し、CIP成形後、1500℃で10時間酸素雰囲気中で焼結した。比較例としてAl2 O3 無添加のサンプルも用意した。焼結体に、白金ペーストを焼きつけ、水素中の伝導度を測定した。
【0014】
【表1】
【0015】
表1から、イオン伝導性を実質上犠牲とすることなく、焼結体セラミックスの強度が約1.7倍向上し、Al2 O3 を添加することで強度が改善されていることがわかる。
【0016】
【発明の効果】
高温でのイオン伝導性を実質上犠牲とすることなく、BCG焼結体セラミックスの強度が改善し、加えて加熱時の寸法安定性を向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】BCG粉焼結体(曲線1)、BCG+5モル%Al2 O3 粉焼結体(曲線2)及びBCG+10モル%Al2 O3 粉焼結体(曲線3)から成る3種のサンプルの加熱時の熱膨張率(%)の測定結果を示すグラフである。
Claims (4)
- Ba1+XCe1-yGdyO3-a(0<x≦0.2、0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにAl2O3をxモル、もしくはBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにBaAl2O4を0.2モル以下添加・混合させた後焼結させた組織を有することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックス。
- 1モルのBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)母体に0.2モル以下のBaAl2O4スピネル相を分散させた焼結組織を有することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックス。
- Ba1+XCe1-yGdyO3-a(0<x≦0.2、0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉1モルにAl2O3粉もしくはAl2O3ウイスカをxモル添加し、混合後、成形し、その後焼結することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックスの製造方法。
- 1モルのBaCe1-yGdyO3-a(0<y<0.3、aは単位式量当りの酸素欠損数であり、1.5>a>0)粉に0.2モル以下のBaAl2O4粉を添加し、混合後、成形し、その後焼結することを特徴とするBaCeO3系イオン伝導性セラミックスの製造方法。
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